JP4711282B2 - 傾斜機能合金およびそれを用いたガイドワイヤ - Google Patents
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本発明のガイドワイヤの作製に要する傾斜機能合金素子の本体部(コア材)は、3〜10質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成り、内層部及び外層部の機械的性質を変化させるために、場合に応じて内層部と外層部との主成分組成に差を設け、内層部と外層部とにおける硬さを変化させることができるものである。
上述した本体部(コア材)のβ単相化処理は、700〜950℃の温度範囲で0.1〜30分保持することが望ましい。700℃以下では、内層部及び外層部共にβ単相化することができず、950℃以上では溶けてしまう恐れがある。又、この温度範囲での保持時間は、0.1分以上であれば良いが、上限は酸化の影響を考慮して20分未満とすることが一層好ましい。
β単相組織を高温から室温に凍結するため、β単相化処理の後、室温まで200℃/s以上の冷却速度で本体部(コア材)を冷却することが望ましい。冷却方法は、水等の媒体に投入するか、或いはミスト冷却や強制空冷等により行うことができる。冷却速度が小さ過ぎると、α相が多量析出してしまい、β単相組織を実質的に維持できない。それ故、より好ましい冷却速度は、230〜10000℃/sの範囲である。
本体部(コア材)における内層部及び外層部の硬さを変化させるために焼入れ後に100℃〜350℃の温度範囲で1〜600分の時間範囲で時効処理を行う。時効処理温度が100℃以下であると、外層部に充分な硬さの上昇が起こらず、350℃を超えると、外層部及び内層部共に硬さの急激な上昇が生じ、内層部の超弾性特性が失われると各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理を150℃〜250℃の温度範囲で行うことである。時効処理時間が1分未満では、外層部に充分な硬さの上昇が得られず、又600分を超えると、外層部及び内層部共に硬さの上昇が顕著に生じてしまって各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理時間を5〜500分の時間範囲とすることである。更に、本体部(コア材)の外周先端部分をテーパ加工して硬質部分を除去することにより、先端部が超弾性特性を示すようにすることができる。
上述した本体部(コア材)のβ単相化処理は、700〜950℃の温度範囲で0.1〜30分保持することが望ましい。700℃以下では、内層部及び外層部共にβ単相化することができず、950℃以上では溶けてしまう恐れがある。又、この温度範囲での保持時間は、0.1分以上であれば良いが、上限は酸化の影響を考慮して20分未満とすることが一層好ましい。
β単相組織を高温から室温に凍結するため、β単相化処理の後、室温まで200℃/s以上の冷却速度で本体部(コア材)を冷却することが望ましい。冷却方法は、水等の媒体に投入するか、或いはミスト冷却や強制空冷等により行うことができる。冷却速度が小さ過ぎると、α相が多量析出してしまい、β単相組織を実質的に維持できない。それ故、より好ましい冷却速度は、230〜10000℃/sの範囲である。
本体部(コア材)における内層部及び外層部の硬さを変化させるために焼入れ後に100℃〜350℃の温度範囲で1〜600分の時間範囲で時効処理を行う。時効処理温度が100℃以下であると、内層部に充分な硬さの上昇が起こらず、350℃を超えると、外層部及び内層部共に硬さの急激な上昇が生じ、外層部の超弾性特性が失われると各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理を150℃〜250℃の温度範囲で行うことである。時効処理時間が1分未満では、内層部に充分な硬さの上昇が得られず、又600分を超えると、外層部及び内層部共に硬さの上昇が顕著に生じてしまって各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理時間を5〜500分の時間範囲とすることである。更に、本体部(コア材)の先端部分を部分的に(2)−(a)、(2)−(b)に記述した手法で熱処理すれば、先端部を超弾性化することが可能である。この時、内層部及び外層部共に超弾性特性を示す。又、必要に応じて外周先端部分をテーパ加工により除去すれば、先端部に適確に超弾性特性を持たせることができる。
上述した本体部(コア材)のβ単相化処理は、600〜900℃の温度範囲で0.1〜30分保持することが望ましい。600℃以下では、内層部をβ単相化することができず、900℃以上では外層部をβ+αの2相にすることができない。又、この温度範囲での保持時間は、0.1分以上であれば良いが、上限は酸化の影響を考慮して20分未満とすることが一層好ましい。
内層部においてβ単相組織を高温から室温に凍結するため、内層部のβ単相化処理後、室温まで200℃/s以上の冷却速度で本体部(コア材)を冷却することが望ましい。冷却方法は、水等の媒体に投入するか、或いはミスト冷却や強制空冷等により行うことができる。冷却速度が小さ過ぎると、α相が多量析出してしまい、内層部を実質的にβ単相組織とすることができない。それ故、より好ましい冷却速度は、230〜10000℃/sの範囲である。
本体部(コア材)における内層部及び外層部の硬さを変化させるために焼入れ後に200℃〜450℃の温度範囲で1〜300分の時間範囲で時効処理を行う。時効処理温度が200℃以下であると、外層部に比べて内層部に充分な硬さの上昇が起こらず、450℃を超えると、組織が粗大してしまうことにより内層部に充分な硬さを得ることができない。より好ましくは時効処理を250℃〜350℃の温度範囲で行うことである。時効処理時間が1分未満では、内層部に充分な硬さの上昇が得られず、又300分を超えると、外層部及び内層部の硬さの相違が小さくなってしまう。より好ましくは、時効処理時間を5〜200分の時間範囲とすることである。更に、本体部(コア材)における先端部分を部分的に(3)−(a)、(3)−(b)に記述した手法で熱処理し、内層部を超弾性化し、軟質な外層部の外周先端部分をテーパ加工により除去することによって本体部(コア材)の先端部が超弾性特性を示すようにさせることができる。
この場合の熱処理は、雰囲気中(酸化雰囲気中等)で500℃以上の温度で15〜600分程度の時間範囲で表面付近の組成を変化させるために行う。500℃未満では、表面酸化等による表面付近(外層部)の組成変化が不十分であるため、望ましくは600℃以上の温度で熱処理を行えば良い。熱処理時間が15分未満では、表面付近(外層部)の組成変化が不十分であり、600分以上では、内層部まで酸化等が進行してしまうことにより内層部と外層部との組成変化が小さくなってしまうため、望ましくは熱処理時間を30分〜500分の時間範囲で行えば良い。
600〜950℃の温度範囲で場合分けに応じて内層部及び外層部共にβ単相組織となるように熱処理するか、或いは内層部がβ単相であり、且つ外層部がβ+αの2相組織となるように熱処理する。前者の場合は、700℃〜950℃の温度範囲で溶体化熱処理するのが好ましく、後者は600℃〜900℃の温度範囲で溶体化熱処理するのが望ましい。
内層部及び外層部、或いは内層部のみのβ単相組織を高温から室温に凍結するため、β単相化処理の後に室温まで200℃/s以上の冷却速度で本体部(コア材)を冷却することが望ましい。冷却方法は、水等の媒体に投入するか、或いはミスト冷却や強制空冷等により行うことができる。冷却速度が小さ過ぎると、α相が多量析出してしまい、内層部を実質的にβ単相組織とすることができない。より好ましい冷却速度は、230〜10000℃/sの範囲である。
内層部及び外層部が共にβ単相組織の場合、硬さを変化させるために焼入れ後に100℃〜300℃の温度範囲で1〜600分の時効処理を行う。時効温度が100℃以下であると、外層部に充分な硬さの上昇が起こらず、300℃を超えると、外層部及び内層部共に硬さの急激な上昇が生じ、内層部の超弾性特性が失われると各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理を150℃〜250℃の温度範囲で行うことである。時効処理時間が1分未満では、外層部に充分な硬さの上昇が得られず、又600分を超えると、外層部及び内層部共に硬さの上昇が顕著に生じてしまって各部が脆くなってしまう。より好ましくは、時効処理時間を5〜500分の時間範囲とすることである。更に、本体部(コア材)の先端部分をテーパ加工することにより本体部(コア材)における先端部が超弾性特性を示すようにさせることができる。
本発明のガイドワイヤの作製に供される傾斜機能合金素子の本体部(コア材)の製造方法としては、クラッド材である場合、先ず外層部及び内層部の組成分をそれぞれ上述した組成範囲内で成分調整し、又雰囲気熱処理で組成変化を生じさせる場合も同様に上述した組成範囲内で成分調整する。又、必要に応じて、Co,Fe,Ti,V,Cr,Ni,Si,Nb,Mo,W,Sn,Sb,Mg,P,Be,Zr,Zn,B,C,Ag,及びミッシュメタルから成る群から選択した1種以上を所定量添加し、適宜原料成分を調整することが好ましい。
比較例1では、本体部(コア線材)として、Alを8.1質量%、Mnを9.7質量%、Coを0.5質量%を含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る合金をアルゴン雰囲気中で高周波溶解して凝固し、直径20mmのビレットを作製した。次いで、800℃の温度条件下で直径10mmまで熱間鍛造及び圧延した後、600℃の温度条件下で15分の焼鈍及び冷間伸線を繰り返し行うことにより外径0.5mmの線材を得た。この後、900℃で10分間の熱処理を行い、水焼入れすることによりβ単相組織とした。引き続いて、300℃の温度条件下で15分の時効処理を施した後、先端から10cmのところまでの部分を900℃で5分間熱処理し、良好な超弾性特性を得るために150℃の温度条件で15分間時効処理した。最後に、線材全体を親水性のポリマー樹脂でコーティングすることにより、比較例1に係るガイドワイヤを作製した。
比較例2では、Ni−Ti合金を用いて直径0.5mmの超弾性ガイドワイヤを作製した。
比較例3では、ステンレス鋼を用いて直径0.5mmのガイドワイヤを作製した。
Claims (9)
- 6〜10質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第1の合金を含む内層部と、4〜8質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第2の合金を含む外層部とを有するコア線材からなり、
前記内層部及び前記外層部は、何れもβ単相組織(bcc)を有するものであって、該外層部に含有される前記Alが該内層部に含有される該Alに比べて低濃度であると共に、該内層部に比べて該外層部が硬くされたことを特徴とする傾斜機能合金。 - 請求項1記載の傾斜機能合金において、前記コア線材における硬質な前記外層部の外周先端部分をテーパ加工で除去することにより先端部に超弾性特性が持たされたことを特徴とする傾斜機能合金。
- 4〜8質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第1の合金を含む内層部と、6〜10質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第2の合金を含む外層部とを有するコア線材からなり、
前記内層部及び前記外層部は、何れもβ単相組織(bcc)を有するものであって、該外層部に含有される前記Alが該内層部に含有される該Alに比べて高濃度であると共に、該外層部に比べて該内層部が硬くされたことを特徴とする傾斜機能合金。 - 請求項3記載の傾斜機能合金において、先端部に超弾性特性が持たされたことを特徴とする傾斜機能合金。
- 6〜10質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第1の合金を含む内層部と、3〜7質量%のAl、5〜20質量%のMnを含むと共に、残部Cu及び不可避不純物から成る第2の合金を含む外層部とを有するコア線材からなり、
前記内層部はβ単相組織(bcc)であり、且つ前記外層部はβ+αの2相組織(fcc)を有するものであって、該外層部に含有される前記Alが該内層部に含有される該Alに比べて低濃度であると共に、該外層部に比べて該内層部が硬くされたことを特徴とする傾斜機能合金。 - 請求項5記載の傾斜機能合金において、前記内層部に超弾性特性が持たされ、更に、前記内層部の先端部は、非超弾性の外周先端部分をテーパ加工で除去することで露呈されて前記超弾性特性が持たされたことを特徴とする傾斜機能合金。
- 請求項1〜6の何れか一つに記載の傾斜機能合金において、添加元素として、Co,Fe,Ti,V,Cr,Ni,Si,Nb,Mo,W,Sn,Sb,Mg,P,Be,Zr,Zn,B,C,Ag,及びミッシュメタルから成る群から選択した1種以上の元素を総量で0.01〜10.0(質量%)含有したことを特徴とする傾斜機能合金。
- 請求項1〜7の何れか一つに記載の傾斜機能合金において、前記内層部と前記外層部とは、主成分としてのAl、Mn、Cuの組成が異なるものであることを特徴とする傾斜機能合金。
- 請求項1〜8の何れか一つに記載の傾斜機能合金を用いて成るガイドワイヤであって、前記内層部及び前記外層部が中空管又はコーティング皮膜から成る被覆部で覆われて成ることを特徴とするガイドワイヤ。
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