JP4726324B2 - 歯車ポンプの側板の溝形状 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外接形歯車ポンプの側板に係り、特に側板の溝形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
外接形歯車ポンプは、原動歯車と従動歯車との各外歯同士が噛み合って原動歯車が回転して従動歯車が回転し、もって吸込み口からの流体を吐出し口から外部へ吐き出す。吐き出された流体は外部負荷に応じて昇圧する。両歯車はその両側面を2枚の側板で挟まれる。側板には可動式と固定式とがある。可動側板は、その背面に吐出し圧(いわゆる「背圧」)を受け(いわゆる「プレッシャローディング形」や「プレッシャバランス形」)、これにより両歯車の側面に密接して両歯車の摺動回転性を高め流体の内部漏れを抑制する。つまり、可動側板を用いれば、ポンプの容積効率及びトルク効率(いわゆる「全効率等」又は「ポンプ効率」)が高まる。従って、可動側板は中圧・高圧ポンプに用いられることが多い。一方、固定側板は、これをポンプケーシング内に別途固設するか又はポンプケーシングの内壁自体で構成する。固定側板は、可動側板ほどには流体の内部漏れを抑制できないために、低圧・中圧ポンプに用いられることが多い。
【0003】
ところで、外接形歯車ポンプは、両歯車の噛み合い部に両歯車の歯面と両側板面とで囲われた流体閉込め室が生ずる。流体閉込め室は、原動歯車側閉込め室と、従動歯車側閉込め室とで構成される。そして、側板の後述する溝の存在と、バックラッシュ(つまり「噛合無効点」)の存在とを考慮すれば、原動歯車側閉込め室では両歯車の回転とともにその容積を漸減して室内流体が超高圧化し、一方、従動歯車側閉込め室では両歯車の回転とともにその容積が漸増して室内流体が低圧化する。ここに、側板の後述する溝が不適切なものであると、エアレーション(流体の急激な低圧化に伴う流体中に溶け込んだ空気の気泡化)、キャビテーション(流体の急激な低圧化に伴う流体自体の気化による気泡化)及びピッチング(流体の急激な超高圧化や振動に伴う流体内の気泡の破裂によって生ずる歯面等の損傷)等の不都合が生ずる。尚、超高圧化と低圧化とは、その発生室が互いに異なるために、超高圧と低圧との間で変化するために、また歯車ポンプの回転に伴って繰り返し生ずるために、両歯車がポンプケーシング側へと移動し、次いで離間して歯車ポンプが振動し、これにより歯車ポンプの寿命を低下させ、また騒音を発生させる。つまり、ポンプ性能を低下させる。
【0004】
側板の上記溝は、側板の歯車側の面に設けられ、吐出し口に連通した吐出し口側溝(第1溝)と、吸込み口に連通した吸込み口側溝(第2溝)とでなる。そして従来の溝は、概ね、吐出し口側溝は原動歯車側閉込め室を吐出し口に連通させて室内の流体の超高圧化を抑制する機能を司り、一方、吸込み口側溝は従動歯車側閉込め室を吸込み口に連通させて室内の流体の低圧化を抑制する機能を司る。両機能によって上記不都合発生を抑制させる。勿論、両溝が直接連通したり、又は、両溝が流体閉込め室を介して連通すると、いわゆる「吹き抜け」が生じ、容積効率が低下する。そこで、噛み合い率を考慮した各種溝形状が実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記吹き抜けの防止は勿論のこと、上記不具合の抑制には先ず超高圧化の抑制が必須である。尚、低圧化については、側板が可動側板であるときは特に顕著な支障は生じない。理由は、可動側板は、上記の通り、背圧を受けて両歯車の側面に密接して両歯車の摺動回転性を高めているからである。つまり、この背圧を減殺しない低圧化の存在は寧ろ好ましいからである。勿論、側板が固定側板であるときも支障は生じない。
【0006】
ところで、原動歯車側閉込め室と従動歯車側閉込め室との隣接点にもバックラッシュが生ずる。従って、溝付き側板を備える歯車ポンプにおいて原動歯車側閉込め室に発生する超高圧と、従動歯車側閉込め室で発生する低圧とは、両室がバックラッシュを介して連通することにより互いに緩和される。ところが、歯車ポンプが高速で回転すると、狭いバックラッシュを流れる単位時間当たりの流量(バックラッシュの開口面積と前後差圧の平方根との積に比例)が歯車ポンプの回転速度に追いつかず、いわゆるオイルロックが発生する傾向が生じ、バックラッシュを介しての上記圧力緩和が制限されてしまう。かかる理由から、外接形歯車ポンプにおいては、上記の通り、ともかくも先ず、溝形状による超高圧化の抑制が必須となる。
【0007】
ところが、上記従来の各種溝形状によれば、詳細を後述する本願発明が特徴とする溝形状を有さないのが実状である(例えば、特公昭63−45513号)。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑み、改善された溝形状を提供することを目的とする。より具体的には、「吹き抜けなきこと」は当然として、例えば騒音をよりよく抑制でき、全効率をよりよく向上でき、組み立てミスが生じにくいの、少なくとも一つを達成できる歯車ポンプの側板の溝形状を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的達成のため、本発明に係る歯車ポンプの側板の溝形状は、第1に、吐出し口に連通した第1溝と、吸込み口に連通した第2溝とを原動歯車及び従動歯車の側面側に有する側板を備え、両歯車の外歯間の噛み合いにより原動歯車が回転して従動歯車が回転し、もって吸込み口からの流体を吐出し口から外部へ吐き出し可能とされるとともに、外歯の噛み合い部に、両歯車の各歯面と両側板とで囲われる原動歯車側閉込め室と従動歯車側閉込め室とでなる流体閉込め室が生ずる外接形歯車ポンプにおいて、
第1、第2溝は、両歯車の遠退き側の噛み合い歯の噛合終了時点で流体閉込め室に対し同時に隔離される形状とし、さらに、
第1溝は、従動歯車側閉込め室の最小容積時から従動歯車が所定角だけ回転した時点で従動歯車側閉込め室に対し隔離される形状とし、かつ、
第2溝は、原動歯車側閉込め室の最小容積時から原動歯車の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室に連通される形状としたことを特徴とする。
【0010】
上記第1の構成によれば、
(1)第1、第2溝が両歯車の遠退き側の噛み合い歯の噛合終了時点で流体閉込め室に対し同時に隔離する形状であるため、かつ第2溝が原動歯車側閉込め室の最小容積時から原動歯車の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室に連通される形状であるため、原動歯車の回転による原動歯車側閉込め室割合が小さく、従って、原動歯車側閉込め室の最小容積時の超高圧化を抑制できる。
(2)第1溝が、従動歯車側閉込め室の最小容積時から従動歯車が所定角だけ回転した時点で従動歯車側閉込め室に対し隔離される形状であるため、その後の従動歯車側閉込め室の容積の漸増に伴う不要な低圧化を防止できる。
(3)即ち、上記(1)及び(2)の作用効果が相乗してエアレーション、キャビテーション及びピッチング等の不都合が発生しにくく、かつ騒音も大幅に低下し、歯車ポンプの使用寿命も延長できる。勿論、吹き抜け現象歯発生しない。
(4)尚、第2溝が、原動歯車側閉込め室の最小容積時から原動歯車の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室に連通される形状であるため、原動歯車がさらに少しでも回転すると、原動歯車側閉込め室の最小容積での超高圧が第2溝内に開放される。
(5)尚、上記構成によれば、第1、第2溝は、歯車ポンプの噛み合い作用線に対し非線対称となり、かつピッチ点に対して非点対称となる。従って、作業者は側板の違いを視認でき、従って、組み立て時に左右側板を取り違えて組み立てる等の組み立てミスが生じにくく、そのためポンプ効率の低下を誘発したり、破損に至らしめることがない。
【0011】
第2に、上記第1の溝形状において、第2溝の、原動歯車側閉込め室の最小容積時から原動歯車の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室に連通される形状を、原動歯車が所定角だけ回転する間、両歯車間方向の幅で、原動歯車側閉込め室の最小容積時における原動歯車側閉込め室の幅よりも小さくしてもよい。
【0012】
上記第2の構成によれば、原動歯車側閉込め室の最小容積での超高圧が第2溝内に緩やかに開放されるため、開放音(騒音)の発生を防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、本発明に係る好適な実施例を図1を参照し説明する。図1は、原動歯車G1が時計回りY1に回転し、これに噛み合う従動歯車G2が反時計回りY2に回転する外接形歯車ポンプにおける両歯車G1、G2の噛み合い部を示す。
【0014】
図1において、Poはピッチ点、L1はピッチ点Poを通って両歯車G1、G2の不図示の回転軸へ向かう線(以下「軸間線L1」)、L2は作用線、L3は歯車G2を原動歯車であると仮定したときの作用線(以下「仮想作用線L3」)、L4はピッチ円共通接線(以下「共通接線L4」)、g10、g20は両歯車G1、G2の先に噛合う外歯(以下「歯g10、g20」)、g11、g22は両歯車G1、G2の後に噛合う外歯(以下「歯g11、g22」)、R1は原動歯車側閉込め室、R2は従動歯車側閉込め室、Kは噛合点、Koはバックラッシュが存在する噛合無効点、Ksは噛合開始点(図1(b)参照)、Keは噛合終了点(図1(d)参照)を示す。尚、上記要素名は、いずれも、図1の詳細説明であって下記本実施例の説明において不要のものもあり、一方、下記本実施例の説明において上記以外に必要な要素もある。上記以外に必要な要素はその符号とともに、必要の都度、加筆する。
【0015】
本実施例なる側板の溝は、図1において、吐出し口側溝M1と、吸込み口側溝M2とを指す。尚、側板は紙面自体であるため、また吐出し口は図示左側に位置し、かつ吸込み口は図示右側に位置しているので図示しない。溝M1は、連続線M11〜M15に沿って側板面上に穿たれて吐出し口に連通している。一方、溝M2は、連続線M21〜M25に沿って側板面上に穿たれて吸込み口に連通している。詳しくは次の通り。
尚、説明の便宜上、V1を原動歯車側閉込め室R1の容積、V1minをその最小容積、V1maxを最大容積とし、V2を従動歯車側閉込め室R2の容積、V2minをその最小容積、V2maxを最大容積とし、さらにRを流体閉込め室とするともに、Vを流体閉込め室Rの総容積(V=V1+V2)、Vminをその最小総容積(尚、Vmin>V1min+V2min)、Vmaxを最大総容積とする。
【0016】
図1において、(a)は、歯g10が歯20と噛合点Kで噛み合い、かつ歯g10の先端中心が軸間線L1上に位置した状態を示す。この状態では、室R2の容積V2は最小V2minである。ここに、溝M2は、その連続線M21〜M25が室R1、R2から吸込み口側へと遠く離間しているから室R1、R2に対し完全に隔離している。一方、溝M1は、歯g11が歯22に未だ噛み合っておらず(図示左側の無効噛合点Ko)、かつその線分M14が室R1内に位置しているから室R1に連通し、またその線分M12が室R2内に位置しいるから室R2に連通している。つまり、溝M1は両室R1、R2を吐出し口に連通させる。
【0017】
(b)は、上記(a)状態から両歯車G1、G2がほぼ3°進角して回転した状態である。尚、本実施例では、この状態での点Ksで近寄り側の歯g11が歯22に噛み合い始める。つまり、点Ksは噛合開始点となる。従って、室R1は正しくは上記(a)状態では生じておらず、この(b)状態で初めて生ずる。つまり、この状態で室R1の容積V1が最大V1maxであり、一方、室R2の容積V2は上記(a)状態での最小容積V2minよりも僅かに漸増している。ここに、溝M2は室R1、R2に対し隔離したままであり、一方、溝M1はその線分M14が室R1内に位置したままであるから溝M1は室R1に連通したままである。ところが、本実施例では溝M1は、その線分M12がこの状態で室R2に接するからこの状態で溝M1は室R2に対し隔離されることになる。つまり、溝M1のみが室R1を吐出し口に連通させる。
【0018】
(c)は、上記(b)状態から両歯車G1、G2がほぼ7°進角して回転した状態である。この状態は、上記(b)状態よりも容積V2はさらに漸増し、一方、容積V1はさらに漸減して互いにほぼ同容積(V2≒V1)となっている(尚、歯車ポンプの仕様によっては、近寄り噛合率と遠退き噛合率とを異ならせたものもあり、かかる歯車ポンプでは「V2≠V1」である)。この状態で流体閉込め室Rの総容積Vは最小Vminとなる(尚、上記の通り、Vmin>V1min+V2min)。ここに、溝M1、M2の室R1、R2に対する隔離又は連通状況は、図示する通り、上記(b)状態と同じであるが、室R1、R2の容積室V1、V2は上記(b)状態に対して相違する。
【0019】
(d)は、上記(c)状態から両歯車G1、G2がほぼ7°進角して回転した状態を示す。尚、本実施例では、この状態での点Keで遠退き側の歯g10が歯20から離れる。つまり、点Keは噛合終了点となる。従って、室R2の容積V2はこの状態での最大V2maxとなる。一方、室R1の容積V1は上記(c)状態での容積V1よりも漸減している。ここで、溝M2はその線分M22が噛合終了点Ke上を通過し、かつこの点Keで室R2に接するとともに、溝M1はその線分M14が歯g11と歯22との噛合点K上を通過し室R1に接している。そして、両溝M1、M2の各連続線M11〜M13,M15,M21,M23〜M25は室R1、R2内に位置してない。従って、この状態でのみ、溝M1、M2は共に室R1、R2に対し隔離している。
【0020】
(e)は、上記(d)状態から両歯車G1、G2がほぼ3°進角して回転した状態を示す。この状態では、室R1の容積V1は最小V1minである。ここに、溝M2は室R2を既に吸込み口に連通させているが、室R1は溝M1、M2に対し隔離されている。ところが、この状態では、室R2は線分M14に接している。従って、両歯車G1、G2がさらに少しでも進角すると、その途端に室R1は溝M2を介して吸込み口に連通し始める。
【0021】
上記本実施例を要約すれば、溝M1は室R2の容積V2が最小V2min時の(a)状態から所定角だけ進角して(b)状態になると、室R2に対し隔離される。一方、溝M2は室R1の容積V1が最小V1min時の(e)状態から少しでも原動歯車G2が回転すると室R1に連通し始める。そして、両溝M1、M2は、遠退き側の歯g10が歯g20との噛合終了点Keに位置したときのみ、両室R1、R2に対しそれぞれ隔離される。従って、溝M1、M2は共通接線L4に対し非線対称であり、かつピッチ点Poに対して非点対称となる。
【0022】
次に、本実施例の作用効果を図3に示す。尚、作用効果をよりよく理解するために、前記「従来技術」の欄で既説の一般的技術思想に基づく溝形状なる比較例を図2に、その作用効果を図4を掲げる。ここで両者の比較上、両歯車G1、G2の進角度合い上、比較例なる図2(a)〜(e)は、本実施例の図1(a)〜(e)にその図順で対応し、比較例なる図4(A)〜(C)は本実施例の図3(A)〜(C)にその図順で対応する。
【0023】
先ず図2の比較例を簡単に説明する。溝Ma(溝M1に対応)は室R2の容積V2が最小V2min時の(a)状態になると、室R2に対し隔離される。一方、溝Mb(溝M2に対応)は、上記本実施例と同じく、室R1の容積V1が最小V1min時の(e)状態から少しでも原動歯車G2が回転すると室R1に連通し始める。そして、両溝Ma、Mbは、室Rの総容積Vが最小時Vminの(c)状態でのみ室R1、R2に対しそれぞれ隔離される。従って、溝Ma、Mbは共通接線L4に対し非線対称であるが、ピッチ点Poに対してほぼ点対称となる。
【0024】
本実施例に基づく図3及び比較例なる図4は、説明を容易にするためにバックラッシュが殆ど存在しないと仮定した場合の概念図であるが(従って、実測値でもないが)、本実施例と従来技術との作用効果の相違をよりよく示す。つまり、バックラッシュを介しての圧力緩和作用を余り期待できない歯車ポンプの高速回転時における本実施例の実用上の好適性をよりよく示す。各横軸は両歯車G1、G2の進角(即ち「回転」)を示し、各進角点(a)〜(e)は本実施例の図1及び比較例なる図2の各(a)〜(e)にこの図順で対応する。縦軸は、(A)では流体閉込め総容積V(=V1+V2)を示し、(B)では室R2内の流体圧PR2を示し、(C)では室R1内の流体圧PR1を示す。
【0025】
即ち、図3(A)及び図4(A)での各斜線部は「完全な閉じ込み発生領域」を示す。尚、白抜き部は完全な連通領域を示す。
【0026】
〔1〕斜線部のうち図示下側の容積V1(室R1側)は、図3(A)の進角点(d)〜(e)領域が図4(A)の進角点(c)〜(e)領域よりも短い。このため、図3(C)の進角点(e)で生ずるの超高圧PR1max-Aが、図4(C)の進角点(e)で生ずるの超高圧PR1max-Bよりも大幅に低くなる。
【0027】
ところが、このまま放置すると(即ち、本実施例も比較例と同じく「溝Maは室R2の容積V2が最小V2min時の(a)状態になると、室R2に対し隔離される。」とすると)、図3(A)の進角点(a)〜(d)領域が図4(A)の進角点(a)〜(c)領域よりもさらに長くなるために、図3(B)の進角点(d)で生ずる低圧PR2が、同図の点線で示す低圧PR2min-a1となり、図4(B)の進角点(c)で生ずる低圧PR2min-bよりも大幅に低くなってしまう。
【0028】
〔2〕ところが、本実施例では、上記の通り、「溝M1は室R2の容積V2が最小V2min時の(a)状態から所定角だけ進角して(b)状態になると、室R2に対し隔離される。」としてあるために、所定角だけ低圧化が遅れ、その結果、図3(B)に実線で示す通り、その低圧PR2が低圧PR2min-aとなって大幅な低下を抑制できる。
【0029】
〔3〕つまり、上記〔1〕及び〔2〕により、比較例よりも低い超高圧PR1max-Aと、比較例ほども高くないが幾らか高い低圧とが生ずるようになる。また、低圧化が騒音及び寿命等のポンプ性能にそれほど影響を与えないことは既説の通りである。勿論、実際は歯車ポンプが高速回転していてもバックラッシュが発生しているから、そのバックラッシュを介しての圧力緩和作用は従来技術よりも相対的に多く期待できる。即ち、本実施例によれば、エアレーション、キャビテーション及びピッチング等の不都合が発生しにくく、かつ騒音も大幅に低下する。ここで騒音とは歯車ポンプ全体の振動であるから、歯車ポンプの使用寿命も延長する。
【0030】
〔4〕さらに本実施例の溝M1、M2は、前記の通り、共通接線L4に対し非線対称であり、かつピッチ点Poに対して非点対称となる。従って、組み立て時に左右側板を取り違えて組み立て、ポンプ効率の低下を誘発したり、破損に至らしめることがない。一方、上記比較例では、溝Ma、Mbは共通接線L4に対し非線対称であるが、ピッチ点Poに対してほぼ点対称となる。従って、組み立て時に左右側板を取り違えて組み立ててポンプ効率及びポンプ性能の低下を誘発したり、破損に至らしめることが頻発する。
【0031】
即ち、上記作用効果〔1〕〜〔3〕は、要するに、本実施例が、第1、第2溝M1、M2を、両歯車G1、G2の遠退き側の噛み合い歯g10-g20の噛合終了時点Keで流体閉込め室Rに対し同時に隔離される形状とし(第1条件)、さらに、第1溝M1を、従動歯車側閉込め室R2の最小容積V2min時から従動歯車G2が所定角(線分M13の長さ相当)だけ回転した時点で従動歯車側閉込め室R2に対し隔離される形状とし(第2条件)、かつ第2溝M2を、原動歯車側閉込め室R1の最小容積V1min時から原動歯車G1の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室R1に連通される形状(第3条件)を満足しているから得られるものである。
【0032】
次に上記実施例を基礎とした態様例をその作用効果とともに例示する。
【0033】
上記実施例での上記第3条件での「連通される形状」は、さらに「原動歯車G1が所定角だけ回転する間、両歯車G1、G2間方向の幅(図示上下方向の幅)で、原動歯車側閉込め室R1の最小容積V1min時における原動歯車側閉込め室R1の幅よりも小さくする」とするのが望ましい。
【0034】
上記実施例での第3条件なる「第2溝M2を、原動歯車側閉込め室R1の最小容積V1min時から原動歯車G1の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室R1に連通される形状」は、上記比較例でのこの部位と同形状である。そして、この場合、歯車ポンプの仕様によっては、図4(C)の進角点(e)を借用して説明すれば、その進角点(e)から進角側に示すように、最小容積V1minでの超高圧PR1max-Bが溝M2内に急激に開放されて開放音(騒音)が連続的に生ずることも考えられる。即ち、ポンプの振動である。
ところが、上記態様例の如く「原動歯車G1が所定角だけ回転する間、両歯車G1、G2間方向の幅で、原動歯車側閉込め室R1の最小容積V1min時における原動歯車側閉込め室R1の幅よりも小さくする」と、図3(C)の進角点(e)から進角側に示すように、最小容積V1minでの超高圧PR1max-Bが溝M2内に緩やかに開放され、従って、開放音(騒音)の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の噛み合い部の部分拡大図。
【図2】比較例の噛み合い部の部分拡大図。
【図3】実施例の作用効果の特性グラフ。
【図4】比較例の作用効果の特性グラフ。
【符号の説明】
G1:原動歯車、G2:従動歯車、g10、g20、11、g22:外歯、K:噛合点、Ko:噛合無効点、Ks:噛合開始点、Ke:噛合終了点、L1:軸間線、L2:作用線、L4:共通接線、M1:第1溝(吐出し口側溝)、M2:第2溝(吸込み口側溝)、Po:ピッチ点、R1:原動歯車側閉込め室、R2:従動歯車側流体閉込め室、R:流体閉込め室、V:流体閉込め総容積、V1:原動歯車側閉込め容積、V2:従動歯車側閉込め容積、Vmin:流体閉込め最小総容積、V1min:原動歯車側閉込め最小容積、V2min:従動歯車側閉込め最小容積。
Claims (1)
- 吐出し口に連通した第1溝(M1)と、吸込み口に連通した第2溝(M2)とを原動歯車(G1)及び従動歯車(G2)の側面側に有する側板を備え、両歯車(G1,G2)の外歯(g10,g11,g20,22)間の噛み合い(g10-g20,g11-g22)により原動歯車(G1)が回転して従動歯車(G2)が回転し、もって吸込み口からの流体を吐出し口から外部へ吐き出し可能とされるとともに、外歯(g10,g11,g20,22)の噛み合い部(g10-g20,g11-g22)に、両歯車(G1,G2)の各歯面と両側板とで囲われる原動歯車側閉込め室(R1)と従動歯車側閉込め室(R2)とでなる流体閉込め室(R)が生ずる外接形歯車ポンプにおいて、
第1、第2溝(M1,M2)は、両歯車(G1,G2)の遠退き側の噛み合い歯(g10-g20)の噛合終了時点で流体閉込め室(R)に対し同時に隔離される形状とし、さらに、
第1溝(M1)は、従動歯車側閉込め室(R2)の最小容積(V2min)時から従動歯車(G2)が所定角だけ回転した時点で従動歯車側閉込め室(R2)に対し隔離される形状とし、かつ、
第2溝(M2)は、原動歯車側閉込め室(R1)の最小容積(V1min)時から原動歯車(G1)の回転開始とほぼ同時に原動歯車側閉込め室(R1)に連通される形状としたことを特徴とする歯車ポンプの側板の溝形状。
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2001
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