JP4748383B2 - 耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体 - Google Patents

耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体 Download PDF

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Description

本発明は、高速の飛来物に対して優れた耐衝撃性を発揮できる耐衝撃性繊維強化プラスチック、及びそれを用いてなる多層構造体に関する。本発明は主として、高速の飛来物に対する耐衝撃性の向上に特に有用である。
従来より、高強度繊維からなる繊維強化プラスチックとして、耐衝撃ヘルメット用途においてガラス繊維層を外層に、有機繊維層を内層とした耐衝撃性繊維強化プラスチックや、異種の高強度繊維からなる層を組み合わせた耐衝撃性繊維強化プラスチックが提案されている(例えば、特許文献1、2)。かかる耐衝撃性繊維強化プラスチックは、通常、製造工程が煩雑になり、また、異素材を複合化するため、使用できる樹脂、接着剤が限定され、層間接着性が悪く、耐衝撃性低下の問題があった。また、同一の高強度繊維からなる繊維強化プラスチックとして、均一な樹脂量のものが提案されている(例えば、特許文献3)。かかる耐衝撃性繊維強化プラスチックは、剛性に優れるが、耐衝撃性に劣る問題があった。
また、繊維強化プラスチックを接着剤を介して、セラミックスまたは金属と積層してなる多層構造体が提案されている(例えば、特許文献4、5)。特許文献4、5に記載の多層構造体には、本発明のような耐衝撃性繊維強化プラスチックの詳細な記載もなく、本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックより耐衝撃性が劣るため、耐衝撃性を有する多層構造体に構成する場合、耐衝撃性繊維強化プラスチック部分の厚みを増さざるをえず、多層構造体の重量が増加してしまうので、身体等に装着する場合には、動きにくく、また疲労しやすいといった問題があった。
特開平7−189010号公報 特開2003−269898号公報 特公平6−4705号公報 特開平9−39159号公報 特開平8−58025号公報
本発明の課題は、かかる従来技術に鑑み、高速の飛来物に対し優れた耐衝撃性を有し、かつ、軽量であって身体等への装着物を構成する場合にも所望の機能を阻害せずに構成できる耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックは、高速の飛来物に対する、高強度繊維を含む耐衝撃性繊維強化プラスチックであって、同種の高強度繊維の織物からなるが、曲げ弾性率の異なる層を2つ以上有し、前記層のうち高曲げ弾性率層での高強度繊維布帛への樹脂付着量が低曲げ弾性率層への付着量よりも高いことを特徴とし、かつ、高速の飛来物の衝突面側に高曲げ弾性率層を積層してなることを特徴とするものからなる。
この耐衝撃性繊維強化プラスチックにおいては、高曲げ弾性率層と低曲げ弾性率層の曲げ弾性率の比が1:0.2〜1:0.8の範囲にあることが好ましい。また、耐衝撃性繊維強化プラスチックの厚みに対して、1つの曲げ弾性率層の厚みの比率が、0.05〜0.8の範囲にあることが好ましい。
また、2層以上の曲げ弾性率の異なる層からなる耐衝撃性繊維強化プラスチックであって、最高曲げ弾性率層から最低曲げ弾性率層にかけて各層の曲げ弾性率が順に小さくなっているのも好ましい態様の一つである。
また、高曲げ弾性率層、低曲げ弾性率層、高曲げ弾性率層の弾性率以下で低曲げ弾性率を超える曲げ弾性率を有する層(a)の順になっており、耐衝撃性繊維強化プラスチックの厚みに対して、層(a)の厚みの比率が0.05〜0.2の範囲にあるのも、好ましい態様の一つである。
このような耐衝撃性繊維強化プラスチックにおいては、高曲げ弾性率層の高強度繊維のヤング率が低曲げ弾性率層の繊維のヤング率よりも高い構成とすることができる。
本発明に係る多層構造体は、上記のような耐衝撃性繊維強化プラスチックに接着剤を介してセラミックスまたは金属を積層してなることを特徴とするものからなる。この場合、積層されたセラミックスまたは金属の表面側を、高速の飛来物に対する衝突面側とすればよい。
上記のような本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックは、例えば、防護チョッキ(防弾チョッキや防刃チョッキ等)やヘルメット、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いることができ、さらに防弾板等にも用いることができる。また、上記のような本発明に係る多層構造体も、防護チョッキ(防弾チョッキや防刃チョッキ等)やヘルメット、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いることができ、さらに防弾板等にも用いることができる。
本発明によれば、従来のものに比べ、軽量で、かつ高速の飛来物に対し優れた耐衝撃性を有する耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体を提供できる。したがって、身体等への装着物を構成する場合にも所望の機能を発揮させることが可能になり、かつ、車輌、艦船、航空機の付加装甲に用いるには、極めて優れた耐衝撃性を発揮させることができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックに用いられる高強度繊維としては、引張強度が17cN/dtex以上のものが好ましく、17〜45cN/dtexsのものがより好ましく、19〜40cN/dtexのものがさらに好ましい。また、高強度繊維の弾性率としては、300〜2000cN/dtexが好ましく、350〜1800cN/dtexがさらに好ましい。このような特性を備えた高強度繊維としては、特に限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、全芳香族ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ノボロイド、ポリピリドビスイミダゾール、ポリアリレート、ポリケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどからなる繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維などが好ましく使用でき、耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維、超高分子量ポリエチレン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリピリドビスイミダゾール、ガラス繊維がさらに好ましく使用できる。また、これら高強度繊維の繊度としては、100〜7000dtexであることが好ましく、200〜3500dtexの範囲がさらに好ましいが、特に限定されるものではない。
さらに高強度繊維を用いて高強度繊維布帛を作製し、耐衝撃性繊維強化プラスチックの材料とすることができる。該高強度繊維布帛としては、織物、編物、不織布、フェルト、一方向性シート(UD〔一方向に引き揃えられたもの〕)、及びUDを0°/90°に積層したもの、3次元構造物などが好ましく使用でき、寸法安定性、強度から織物、UDがさらに好ましく使用できる。該織物には、平織、綾織、朱子織、畝織、斜子織、杉綾、二重織などを用いることができる。かかる繊維及び布帛は、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、耐電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤、油剤などを含有、または付着せしめることができる。
耐衝撃性繊維強化プラスチックを構成する樹脂(マトリックス樹脂)としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂などやその変性樹脂など、熱可塑性樹脂であれば塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル、ポリアミドなど、さらには熱可塑性ポリウレタン、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ネオプレン、ポリエステル等の合成ゴム又はエラストマーなどが好ましく使用できるが、特に限定されるものではない。中でも、フェノール樹脂とポリビニルブチラール樹脂を主成分とする樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂が耐衝撃性、寸法安定性、強度、価格などから好ましく使用できる。かかる熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂には、工業的にその目的、用途、製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のため通常使用されている各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、変性剤、可塑剤、充填剤、離型剤、着色剤、希釈剤などを含有せしめることができる。
高強度繊維布帛強化プラスチックの作製に必要なプリプレグを得る方法は特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂の場合、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解してワニスに調整し、該布帛をワニス漕に通しバーコーターやクリアランスロールなどにて余分な樹脂を掻き取る方法や、コーティング、スプレーを用いた塗工が一般的に行われる。一方、熱可塑性樹脂の場合、樹脂エマルジョンや溶融あるいは溶剤に溶解してナイフやグラビアなどにてコーティングする方法や、溶融した樹脂を直接布帛にラミネートする方法が一般的に行われる。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックは、2つ以上の曲げ弾性率の異なる層を有するものである。その製造方法としては、ヤング率の異なる高強度繊維布帛を2種類以上準備し、樹脂量を同一または変化させたプリプレグを上記方法により製作し、複数枚積層後、加熱加圧する方法や同一のヤング率からなる高強度繊維布帛に樹脂量を変化させたプリプレグを上記方法により製作し、複数枚積層後、加熱加圧する方法がある。また、ヤング率の異なる高強度繊維布帛を2種類以上準備し、重量(厚み)の同一または異なるフィルムとを交互に複数枚積層して、加熱加圧する成形法や同一のヤング率からなる高強度繊維布帛と重量(厚み)の異なるフィルムを交互に複数枚積層して、加熱加圧する成形法、樹脂量の異なる耐衝撃性繊維強化プラスチックを個別に加熱加圧成形後、接着剤を介して貼り合わせる方法などがある。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチックにおいては、同種の高強度繊維からなり、単糸繊度や総繊度の異なる布帛を使用できる。異種の高強度繊維を組み合わせた場合、上記成形時において、収縮差の違いにより寸法安定性に問題が生じる。また、個別成形後、接着剤を介して貼り合わせる方法もあるが、工程が煩雑になるほか接着剤の選定が必要となり、場合によっては満足できる接着性を得られない。また、2つ以上の曲げ弾性率の異なる層は、少なくとも高曲げ弾性率層と低曲げ弾性率層からなり、その曲げ弾性率は、例えばヤング率の異なる高強度繊維布帛の組み合わせや高強度繊維布帛と樹脂の接着性や樹脂付着量に依存する。各層の樹脂付着量は、耐衝撃性繊維強化プラスチックの場合、高強度有機繊維布帛に対し3〜30wt%が好ましい。さらに好ましくは5〜20wt%である。3wt%未満であれば、高速の飛来物が衝突した際、剛性が低いため形態保持性が低く、30wt%を超えると、繊維の自由度を奪うため耐衝撃性に劣る。さらに、高曲げ弾性率層と低曲げ弾性率層の曲げ弾性率の比が1:0.2〜1:0.8であることが好ましい。低曲げ弾性率層の曲げ弾性率の比が0.2未満であれば高速の飛来物が衝突した際、剛性が低く変形量が大きいため、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。逆に0.8を超えると、全体的に剛性の均一な繊維強化プラスチックと性能に大差がなくなり、本発明による曲げ弾性率差を設けたことによる効果が小さくなる。
また、高曲げ弾性率層と低曲げ弾性率層の間で、順に曲げ弾性率が傾斜していることが好ましく、高速の飛来物の衝突面に高曲げ弾性率層が来るのが好ましい。逆になった場合(低曲げ弾性率層が衝突面側)、低曲げ弾性率層の自由度が低くなるため、耐弾性能(高速の飛来物〔例えば、弾丸〕に対する耐衝撃性)を阻害する。1つの曲げ弾性率層の厚みの比率は、耐衝撃性繊維強化プラスチックの厚みに対して、0.05〜0.8の範囲にあることが好ましい。0.05未満であれば耐衝撃性繊維強化プラスチックが多層となるため、耐衝撃性は良好であるが作業、工程が煩雑になる。高曲げ弾性率層の厚み比率が0.8を超えると均一な耐衝撃性繊維強化プラスチックと性能に大差がなくなり、低曲げ弾性率層が0.8を超えると剛性が低く変形量が大きくなる。また、人体側に配置する低曲げ弾性率層の変形量が大きい場合には、人体と低曲げ弾性率層との間に、高曲げ弾性率層の弾性率以下で低曲げ弾性率を超える曲げ弾性率を有する層(a)を積層することができる。その場合、耐衝撃性を低下しない範囲で変形を低減させる必要があり、耐衝撃性繊維強化プラスチックの厚みに対して、(a)の厚みの比率が0.05〜0.2の範囲内にあることが好ましい。0.05未満であれば変形を低減できないし、0.2を超えると低曲げ弾性率層の自由度が下がり、耐衝撃性が低下する。
多層構造体に使用されるセラミックスとしては、ファインセラミックスであれば問題なく使用できる。特性として、例えば圧縮強度1500MPa以上、曲げ強度300MPa以上、ビッカース強度1000kg/mm2以上のものであれば特に限定されるものではないが、アルミナ類、窒化類、珪石類、ボロン類、マグネシア類などや、これらセラミックスの混合焼成物、セラミックスが金属補強された構成物、セラミックスが繊維補強された構成物、炭素繊維等の耐熱性繊維でセラミックスを強靱化した繊維複合セラミックスやセラミックス粒子、ウィスカ、短繊維、連続長繊維で強化したセラミックス基複合材料(例えば、炭化珪素繊維/炭化珪素マトリックス複合材)などが好ましく使用できる。耐衝撃性、軽量性、強度、価格などからアルミナ類、窒化類、珪石類、ボロン類がさらに好ましく使用できる。アルミナ類であれば、純度が85%以上であることが好ましい。純度が85%未満であれば添加物の量の関係から、高速の飛来物衝突時のエネルギー吸収性能が低下する。
また、多層構造体に使用される金属としては、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、亜鉛、鉛、すずなどの純金属や、物性を改質するため、2種類以上の金属または炭素などの非金属を溶かし合わせた合金、例えば炭素鋼、高張力鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、ジューコール鋼、ハッドフィールド鋼、超強靱鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅合金(真鍮、すず青銅、アルミニウム青銅、ベリリウム銅など)、アルミニウム合金(Al−Cu系合金、Cu合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、ジュラルミンなど)、マグネシウム合金(Mg−Al−Zn合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−希土類元素合金、Mg−Th系合金、Mg−Mn合金、Mg−Th−Mn合金、Mg−Zn−R.E.合金など)、チタン合金、ニッケル合金(Ni−Mn合金、Ni−Cu合金、Ni−Mo合金、Ni−Cr合金など)、亜鉛合金、鉛合金、すず合金、また、アルミ、チタン、銅などの金属マトリックスを金属やセラミックスの粒子、ウィスカ、短繊維、連続長繊維で強化した金属基複合材料(例えば、ボロン繊維強化アルミ、炭化珪素/チタン)などが好ましく使用できる。軽量性、硬度、耐力、耐衝撃性などからチタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、チタン合金がさらに好ましく使用できる。また、かかる金属には製造工程や加工工程での生産性から常識の範囲内で不純物を含んでいてもよい。
上記のようなセラミックスまたは金属は、単独、あるいは複数枚の組み合わせでもよく、複数の組み合わせの場合、1種類あるいは2種類以上組み合わせてもよい。形状としては三角形、長方形、正方形、台形、六角形等の多角形であり、複数片を隙間なく配列できる形状が好ましい。厚み方向については、平面板、曲面板に限らず、均一な厚みのものや接合部の耐衝撃性向上のために平面形状における端部の厚みが中央部に対し厚いもの等を採用でき、重量面からは均一厚みのものが好ましい。このような形状のセラミックス片、または金属片を本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチック上に例えば千鳥状に配置することにより、高速の飛来物に対し優れた耐衝撃性能を有する多層構造体を構成できる。例えば、形状が正方形の場合、その一辺の長さは3〜10cmの範囲内にあることが好ましく、さらには、4〜7cmの範囲内にあることが好ましい。セラミックス、または金属の厚みは、対象とする高速の飛来物の構造や重量、速度、安全率などにより適宜選択するものとする。例えば、高速の飛来物が30−06M2AP弾の場合、アルミナセラミックスであれば7〜13mmの範囲内にあることが好ましく、NATO M80弾の場合、アルミナセラミックスであれば4〜9mmの範囲内にあることが好ましく、NATO SS−109弾であれば3.0〜7mmの範囲内にあることが好ましい。各飛来物に対し上記厚み未満であれば、十分な耐衝撃性能を付与できない。また、上記厚みを超えると満足できる耐衝撃性能を付与できるものの、多層構造体の重量が増す。
さらに、耐衝撃性繊維強化プラスチックをセラミックス、または金属に固定する方法は、プリプレグ作製に用いられる樹脂や合成ゴム、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤で接着し、セラミックスや金属と高強度繊維布帛強化プラスチックの間を密着させる。このようにして得られたセラミックスや金属と耐衝撃性繊維強化プラスチックの積層品(多層構造体)の形状は使用目的に応じ、平板、曲面板等適宜選択できる。
また、該積層品において、高速飛来物の耐衝撃性をさらに向上させるため、接着剤を介して高強度繊維布帛、または樹脂が付着した高強度繊維布帛をセラミックス、または金属側に1〜2枚積層する方法や一般的な熱可塑性樹脂で被覆する方法などがある。布帛を積層する場合、積層する高強度繊維布帛は同種あるいは異種のものであってもかまわない。また、高強度繊維布帛を積層する場合、耐衝撃性繊維強化プラスチックの変形を抑制しない範囲で高強度繊維布帛を耐衝撃性繊維強化プラスチックの一部に積層できる。これによって、多層構造体周辺部に高速の飛来物が衝突した際、セラミックスや金属と耐衝撃性繊維強化プラスチックの層間剥離を抑制でき耐衝撃性が向上する。該接着剤としてはプリプレグ作製に用いられる樹脂や合成ゴム、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。セラミックスや金属の表面に高強度繊維布帛を積層しない場合、衝突時のセラミックス片が飛び散るばかりでなく、応力を緩和できないため耐衝撃性に劣ることがある。
本発明に係る耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体は、どのようなものにも使用でき、特に限定されるものではなく、例えば、防護チョッキ(チョッキ内部の防護材料)やヘルメット及びその装着板、防弾板(防護チョッキへの挿入板)、車輌、艦船、航空機への付加装甲に使用されるのが好ましい。その場合、耐衝撃性繊維強化プラスチックや多層構造体は、製品形状や使用環境にあった状態で常法に従い製造後着用、施工される。例えば、防護チョッキは、外衣を裁断後、該繊維強化プラスチック、または多層構造体とを常法に従い縫製、あるいは防護チョッキに挿入できる部分を作成することにより製造される。ヘルメットは、必要な形状に裁断後、該繊維強化プラスチック、または多層構造体を常法に従い成型加工することにより製造される。また、繊維強化プラスチック製ヘルメットに必要な大きさの多層構造体を付加することもできる。車輌、艦船、航空機用付加装甲は、所定のサイズに該繊維強化プラスチック、または多層構造体を常法に従い成形することにより製造される。さらに、機械加工によるボルト止めや面ファスナーなどにより車輌、艦船、航空機に施工される。
以上のようにして得られた、耐衝撃性繊維強化プラスチック及び多層構造体は、軽量、かつ優れた耐衝撃性を有するという効果を奏する。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の特性については、次の測定法を用いた。
原糸強度、弾性率、織布の目付、織り密度、厚さは、JIS L1096による。高強度繊維強化プラスチックの曲げ弾性率は、JIS K7074に準拠し、その際の条件として、試験片寸法を長さ60mm、幅20mm、支点間距離40mm、試験速度3mm/minとする。高強度繊維強化プラスチック及び各曲げ弾性率層の厚みは、ノギスを使用し測定する。また、各曲げ弾性率層の厚み、曲げ弾性率は、各曲げ弾性率層単独で成形し測定した。
実施例1
原糸強度20cN/dtex、弾性率500cN/dtexのアラミド繊維(総繊度3300dtex)を使用した平織織布(目付:460g/m2、織り密度17本/2.54cm、厚さ0.64mm)にフェノール樹脂(ポリビニルブーチラール主成分)を含浸、乾燥して樹脂分15wt%及び10wt%のプリプレグを得た。15wt%のプリプレグを7枚、10wt%のプリプレグを7枚積層し、150℃、50kg/cm2 、30分加熱加圧成形して耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。曲げ弾性率及び厚みは次の通りである。
・繊維強化プラスチック(14枚積層):厚み5.5mm
・15wt%プリプレグ(7枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.73GPa、厚み:2.8mm、厚みの比率:0.51
・10wt%プリプレグ(7枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.17GPa、厚み:2.7mm、厚みの比率:0.49
・曲げ弾性率の比 1:0.68
実施例2
実施例1のプリプレグの他に5wt%のプリプレグを作成し、15wt%のプリプレグを5枚、10wt%のプリプレグを5枚、5wt%のプリプレグを4枚順に積層し、実施例1の方法で耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。曲げ弾性率及び厚みは次の通りである。
・繊維強化プラスチック(14枚積層):厚み5.5mm
・15wt%プリプレグ(5枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.73GPa、厚み:2.0mm、厚みの比率:0.36
・10wt%プリプレグ(5枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.17GPa、厚み:1.9mm、厚みの比率:0.35
・5wt%プリプレグ(4枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:0.45GPa、厚み:1.6mm、厚みの比率:0.29
・曲げ弾性率の比 1:0.26
実施例3
実施例1、2に記載の15wt%及び5wt%のプリプレグを使用し、15wt%のプリプレグを6枚、5wt%のプリプレグを6枚、15wt%のプリプレグを2枚順に積層し、実施例1の方法で耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。曲げ弾性率及び厚みは次の通りである。
・繊維強化プラスチック(14枚積層):厚み5.5mm
・15wt%プリプレグ(6枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.73GPa、厚み:2.4mm、厚みの比率:0.44
・5wt%プリプレグ(6枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:0.45GPa、厚み:2.3mm、厚みの比率:0.42
・15wt%プリプレグ(2枚積層)からの成形品:
曲げ弾性率:1.73GPa、厚み:0.8mm、厚みの比率:0.14
・曲げ弾性率の比:1:0.26
実施例4
アルミナセラミックス(純度92%、比重3.6g/cm3、重量18kg/m2、大きさ10cmの正方形、厚み5mm)を実施例1の15cm角の高強度繊維強化プラスチックにウレタン系接着剤で固定し多層構造体を得た。
比較例1
実施例1の15wt%のプリプレグを14枚積層し、実施例1の条件、方法で耐衝撃性繊維強化プラスチックを得た。
繊維強化プラスチック(15wt%14枚積層)、曲げ弾性率:1.73GPa、厚み:5.5mm
比較例2
比較例1の高強度繊維強化プラスチックと実施例3のアルミナセラミックスとをウレタン系接着剤で固定し多層構造体を得た。
実施例1〜3、比較例1で得た高強度繊維強化プラスチックを、豊和工業(株)製小口径発射装置にて、MIL−STD−662Fに準拠した1.1gの高速飛翔体でのBallistic Limit(V50)を評価した。また、実施例4や比較例3で得た多層構造体は、住友石炭鉱業(株)製高速飛翔体試験装置「HFT−1015」にて4.0gの高速飛翔体(NATO SS−109模擬弾)を用い、約900m/sの速度で耐衝撃試験を実施し、高速飛翔体が衝突した際の貫通・不貫通を評価した。結果を表1に示す。実施例1〜4の高強度繊維強化プラスチック及び多層構造体は、高速の飛来物に対し良好な耐衝撃性を示した。
Figure 0004748383

Claims (7)

  1. 高速の飛来物に対する、高強度繊維を含む耐衝撃性繊維強化プラスチックであって、同種の高強度繊維の織物からなるが、曲げ弾性率の異なる層を2つ以上有し、前記層のうち高曲げ弾性率層での高強度繊維布帛への樹脂付着量が低曲げ弾性率層への付着量よりも高いことを特徴とし、かつ、高速の飛来物の衝突面側に高曲げ弾性率層を積層してなることを特徴とする耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  2. 高曲げ弾性率層と低曲げ弾性率層の曲げ弾性率の比が1:0.2〜1:0.8の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  3. 耐衝撃性繊維強化プラスチックの厚みに対して、1つの曲げ弾性率層の厚みの比率が、0.05〜0.8の範囲にあることを特徴とする、請求1または2に記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  4. 高曲げ弾性率層の高強度繊維のヤング率が低曲げ弾性率層の繊維のヤング率よりも高いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐衝撃性繊維強化プラスチックに接着剤を介してセラミックスまたは金属を積層してなることを特徴とする多層構造体。
  6. 防護チョッキ、ヘルメット、ならびに車輌、艦船、航空機の付加装甲のいずれかに用いられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の耐衝撃性繊維強化プラスチック。
  7. 防護チョッキ、ヘルメット、ならびに車輌、艦船、航空機の付加装甲のいずれかに用いられることを特徴とする、請求項5に記載の多層構造体。
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