本発明のトナー用結着樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する樹脂であり、カルボン酸成分に、(メタ)アクリル酸変性ロジンとフマル酸変性ロジン及び/又はマレイン酸変性ロジンとが含有されている変性ロジン由来の樹脂である点に特徴を有している。変性ロジン由来の樹脂は、極めて低い温度での定着が可能であり、保存性も向上する。さらに、(メタ)アクリル酸変性ロジンが2価のモノマーであるため数平均分子量を上げることができ、かつフマル酸変性ロジン及び/又はマレイン酸変性ロジンが3価のモノマー、即ち架橋剤として働くため高分子量成分を増やすことが可能となる。つまり高分子量成分を増やすことにより樹脂に弾性を付与し、数平均分子量を上げることにより溶融粘度が上がり、トナー製造時のワックス分散性を向上させることができ、スミア性も向上する。
本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンとは、(メタ)アクリル酸で変性されたロジンであり、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、(メタ)アクリル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、(メタ)アクリル酸とによる加熱下でのディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て得ることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。従って、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル酸変性ロジン」は、アクリル酸で変性されたロジン又はメタクリル酸で変性されたロジンを意味する。本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンとしては、ディールス-アルダー(Diels-Alder)反応における反応活性の観点から、立体障害の少ないアクリル酸で変性したアクリル酸変性ロジンが好ましい。
(メタ)アクリル酸によるロジンの変性度((メタ)アクリル酸変性度)は、ポリエステルユニットの分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、5〜105が好ましく、20〜105がより好ましく、40〜105がさらに好ましく、60〜105がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸変性度は、式(Aa):
(式中、Xa1は変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値、Xa2は(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出される。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンとの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。式(Aa)の分子は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Aa)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
(メタ)アクリル酸変性ロジンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンと(メタ)アクリル酸を混合し、180〜260℃程度、好ましくは180〜210℃に加熱することで、ディールス-アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸に(メタ)アクリル酸を付加させて、(メタ)アクリル酸変性ロジンを得ることができる。(メタ)アクリル酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
本発明におけるフマル酸変性ロジンとは、フマル酸で変性されたロジンであり、(メタ)アクリル酸変性ロジンと同様に、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、フマル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、フマル酸とによる加熱下でのディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て得ることができる。
フマル酸によるロジンの変性度(フマル酸変性度)は、ポリエステルの分子量を高め、ガラス転移点を高める観点から、5〜105が好ましく、20〜105がより好ましく、40〜105がさらに好ましく、60〜105がさらに好ましい。
フマル酸変性度は、式(Af):
(式中、Xf1は変性度を算出するフマル酸変性ロジンのSP値、Xf2はフマル酸1モルとロジン0.7モルとを反応させて得られるフマル酸変性ロジンのSP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。式(Aa)により算出される(メタ)アクリル酸変性度と同様に、式(Af)の分子は、フマル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Af)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
フマル酸変性ロジンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンとフマル酸を混合し、180〜260℃程度、好ましくは180〜210℃に加熱することで、ディールス-アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸にフマル酸を付加させて、フマル酸変性ロジンを得ることができる。
さらに、ロジンとフマル酸を効率よく反応させる観点から、フェノール類の存在下で、ロジンとフマル酸を反応させることが好ましい。フェノール類としては、2価のフェノール及び水酸基に対して少なくともオルト位に置換基を有するフェノール性化合物(以下、ヒンダードフェノールという)が好ましく、ヒンダードフェノールがより好ましい。
2価のフェノールとは、ベンゼン環に、OH基が2個結合したものであり、他の置換基がついていない化合物を意味し、ハイドロキノンが好ましい。
ヒンダードフェノールとしては、モノ-t-ブチル-p-クレゾール、モノ-t-ブチル-m-クレゾール、t-ブチルカテコール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-アミルハイドロキノン、プロピルガレード、4,4’-メチレンビス(2,6-t-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、オクタデシル-3-(4-ハイドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル(4-ハイドロキシ-3-メチル-5-t-ブチル)ベンジルマロネート、6-(4-ハイドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、2,6-ジフェル-4-オクタデカノキシフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、2,2’-ジハイドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ハイドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ハイドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ハイドロキシフェノール)イソシアヌレート、1,1,3’-トリス(2-メチル-4-ハイドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(2’-ハイドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ハイドロキシハイドロシンナメート)、ヘキサメチレングルコールビス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ハイドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[β-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ハイドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられ、これらの中では、t-ブチルカテコールが好ましい。
フェノール類の使用量は、フマル酸変性ロジンの原料モノマー100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.003〜0.1重量部がより好ましく、0.005〜0.1重量部がさらに好ましい。
フマル酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
本発明におけるマレイン酸変性ロジンとは、マレイン酸又は無水マレイン酸で変性されたロジンであり、(メタ)アクリル酸変性ロジンと同様に、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、マレイン酸又は無水マレイン酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、マレイン酸又は無水マレイン酸とによる加熱下でのディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て得ることができる。
マレイン酸又は無水マレイン酸によるロジンの変性度(マレイン酸変性度)は、ポリエステルの分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、30〜105が好ましく、40〜105がより好ましく、50〜105がさらに好ましく、60〜105がさらに好ましく、70〜105がさらに好ましい。
マレイン酸変性度は、式(Am):
(式中、Xm1は変性度を算出するマレイン酸変性ロジンのSP値、Xm2はマレイン酸1モルとロジン1モルとを230℃で反応させて得られるマレイン酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、飽和SP値とは、マレイン酸とロジンとの反応を、得られるマレイン酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。式(Aa)により算出される(メタ)アクリル酸変性度と同様に、式(Am)の分子は、マレイン酸又は無水マレイン酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Am)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
マレイン酸変性ロジンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンとマレイン酸又は無水マレイン酸を混合し、180〜260℃程度、好ましくは180〜210℃に加熱することで、ディールス-アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸にマレイン酸又は無水マレイン酸を付加させて、マレイン酸変性ロジンを得ることができる。マレイン酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジン(これらを合わせて「変性ロジン」ともいう)に使用されるロジンは、松類から得られる天然ロジン、異性化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等の、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンであれば、公知のロジンを使用できるが、色目の観点から、天然ロジンパルプを製造する工程で副産物として得られるトール油から得られるトールロジン、生松ヤニから得られるガムロジン、松の切株から得られるウッドロジン等の天然ロジンが好ましく、低温定着性の観点からトールロジンがより好ましい。
本発明における変性ロジンは、加熱下でのディールス-アルダー反応を経て得られるため臭気の原因となる不純物が低減されており、臭気が少ないものであるが、さらに臭気を低減し保存性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンは精製工程により不純物が低減されたロジン(精製ロジン)を(メタ)アクリル酸で変性して得られるものが好ましく、精製トールロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものがより好ましい。同様に、フマル酸変性ロジンは精製工程により不純物が低減されたロジン(精製ロジン)をフマル酸で変性して得られるものが好ましく、精製トールロジンをフマル酸で変性して得られるものがより好ましい。また、マレイン酸変性ロジンは精製工程により不純物が低減されたロジン(精製ロジン)をマレイン酸又は無水マレイン酸で変性して得られるものが好ましく、精製トールロジンをマレイン酸又は無水マレイン酸で変性して得られるものがより好ましい。
本発明における精製ロジンは、精製工程により不純物が低減されたロジンであり、ロジンを精製することにより、ロジンに含まれる不純物が除去される。主な不純物としては、2-メチルプロパン、アセトアルデヒド、3-メチル-2-ブタノン、2-メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、n-ヘキサナール、オクタン、ヘキサン酸、ベンズアルデヒド、2-ペンチルフラン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、1-メチル-2-(1-メチルエチル)ベンゼン、3,5-ジメチル2-シクロヘキセン、4-(1-メチルエチル)ベンズアルデヒド等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、ヘキサン酸、ペンタン酸及びベンズアルデヒドの3種類の不純物の、ヘッドスペースGC-MS法により揮発成分として検出されるピーク強度を精製ロジンの指標として用いることができる。なお、不純物の絶対量ではなく特定の揮発成分を指標とするのは、本発明における精製ロジンの使用が、ロジンを使用した従来のポリエステルに対して、臭気の改良を課題の1つとしていることによる。
即ち、本発明における精製ロジンとは、後述のヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×107以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×107以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×107以下であるロジンをいう。さらに、保存性及び臭気の観点から、ヘキサン酸のピーク強度は、0.6×107以下が好ましく、0.5×107以下がより好ましい。ペンタン酸のピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。ベンズアルデヒドのピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。
さらに、保存性及び臭気の観点から、上記3種の物質に加え、n-ヘキサナールと2-ペンチルフランが低減されていることが好ましい。n-ヘキサナールのピーク強度は、1.7×107以下が好ましく、1.6×107以下がより好ましく、1.5×107以下がさらに好ましい。また、2-ペンチルフランのピーク強度は1.0×107以下が好ましく、0.9×107以下がより好ましく、0.8×107以下がさらに好ましい。
ロジンの精製方法としては、公知の方法が利用可能であり、蒸留、再結晶、抽出等による方法が挙げられ、蒸留によって、精製するのが好ましい。蒸留の方法としては、例えば特開平7−286139号公報に記載されている方法が利用でき、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられるが、減圧蒸留によって精製するのが好ましい。例えば、蒸留は通常6.67kPa以下の圧力で200〜300℃のスチル温度で実施され、通常の単蒸留をはじめ、薄膜蒸留、精留等の方法が適用され、通常の蒸留条件下では仕込みロジンに対し2〜10重量%の高分子量物がピッチ分として除去されると同時に2〜10重量%の初留分を除去する。
変性前のロジンの軟化点は、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、65〜85℃がさらに好ましい。本発明におけるロジンの軟化点とは、後述記載の方法により、ロジンを一度溶融させ、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させた後に測定される軟化点を意味する。
さらに、変性前のロジンの酸価は、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gがさらに好ましい。
なお、フマル酸変性ロジンのガラス転移点は、得られるポリエステルの保存性を高める観点から、40〜90℃が好ましく、45〜85℃がより好ましく、50〜80℃がさらに好ましい。また、フマル酸変性ロジンにおいて、変性前のロジンのガラス転移点は、フマル酸による変性後のロジンのガラス転移点を考慮して、10〜50℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
また、無水マレイン酸変性ロジンのガラス転移点は、得られるポリエステルの保存性を高める観点から、35〜90℃が好ましく、45〜70℃がさらに好ましい。また、無水マレイン酸変性ロジンにおいて、変性前のロジンのガラス転移点は、無水マレイン酸による変性後のロジンのガラス転移点を考慮して、10〜50℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量とフマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジンの総含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。また、保存性の観点からは、85重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。これらの観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量、及びフマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジンの総含有量は、カルボン酸成分中、5〜85重量%が好ましく、5〜65重量%がより好ましく、10〜50重量%がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸変性ロジンとフマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジンとの重量比((メタ)アクリル酸変性ロジン/フマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジン)は、90/10〜50/50が好ましく、80/20〜60/40がより好ましい。
本発明における「変性ロジン由来の樹脂」には、i)アルコール成分と(メタ)アクリル酸変性ロジン及びフマル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する樹脂、ii)アルコール成分と(メタ)アクリル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する樹脂、及びiii)アルコール成分と(メタ)アクリル酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する樹脂が含まれるが、本発明においては、保存性の観点から、アルコール成分と(メタ)アクリル酸変性ロジン及びフマル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する樹脂が好ましい。これは、アクリル酸変性ロジン及びフマル酸変性ロジンを用いた方が樹脂のガラス転移点が上がりやすいためである。
カルボン酸成分に含有される、変性ロジン以外のカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロリメット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、並びにこれらの酸の無水物及びアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
アルコール成分には、脂肪族アルコール、特に脂肪族多価アルコールが含有されていることが好ましい。脂肪族多価アルコールとしては、変性ロジンを含むカルボン酸成分との反応性の観点から、2〜6価の脂肪族多価アルコールが好ましく、2〜3価の脂肪族多価アルコールがより好ましい。また、脂肪族多価アルコールは、分子構造がよりコンパクトで反応性に富む炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールを含有していることが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、グリセリン等が挙げられ、これらの中では、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール及びグリセリンが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの含有量は、脂肪族多価アルコール中、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
アルコール成分に含有される、脂肪族多価アルコール以外のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、及びそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。
脂肪族多価アルコールの含有量は、変性ロジンとの反応性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、85モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
耐オフセット性向上の観点から、保存性を損なわない範囲で、アルコール成分が3価以上の多価アルコールを、及び/又はカルボン酸成分が3価以上の多価カルボン酸化合物(フマル酸/マレイン酸変性ロジン由来の樹脂の場合にはフマル酸変性ロジン及びマレイン酸変性ロジン以外の3価以上の多価カルボン酸化合物)を含有していることが好ましい。これらの観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、0.001〜40モルが好ましく、0.1〜25モルがより好ましく、3価以上の多価アルコールの含有量は、アルコール成分中、0.001〜40モル%が好ましく、0.1〜25モル%がより好ましい。
3価以上の原料モノマーにおいて、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸及びその誘導体が好ましく、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、及びそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられるが、これらの中では、分岐部位となる又は架橋剤として作用するだけでなく低温定着性の向上に有効であることから、グリセリン、トリメリット酸及びその誘導体が好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。本発明におけるエステル化触媒の例としては、p-トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。本発明においては、チタン化合物及び/又はSn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
チタン化合物としては、Ti-O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C3H7O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4H10O2N)2(C3H7O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C5H11O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C2H5O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(OHC8H16O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C18H37O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)1(C3H7O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6H14O3N)3(C3H7O)1〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手できる。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ-n-ブチルチタネート〔Ti(C4H9O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C3H7O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C18H37O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C14H29O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C8H17O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C8H17O)2(OHC8H16O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C14H29O)2(C8H17O)2〕等が挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることができ、又は、ニッソー社等の市販品としても入手できる。
チタン化合物の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
錫(II)化合物の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
チタン化合物と錫(II)化合物を併用する場合、チタン化合物と錫(II)化合物の総存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができる。
トナー用結着樹脂の軟化点は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。ガラス転移点は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜75℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、5〜60mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gがさらに好ましく、水酸基価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、8〜50mgKOH/gがより好ましく、8〜40mgKOH/gがさらに好ましい。
トナー用結着樹脂において、低温定着性、耐オフセット性及び保存性の観点から、残存モノマー成分やオリゴマー成分等に起因する分子量が500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル系樹脂中、12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、9%以下であることがさらに好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。低分子量成分の含有量は、ロジンの変性度を高める等の方法により、低減することができる。なお、低分子量成分の含有量は、後述のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量の面積割合による。
本発明において、結着樹脂におけるポリエステルユニットは、結晶性とは異なる非晶質であることが好ましい。本明細書において、非晶質の樹脂とは、軟化点とガラス転移点(Tg)の差が30℃以上である樹脂をいう。
本発明の結着樹脂をトナー用結着樹脂として用いることにより、低温定着性、耐オフセット性、スミア性及び保存性に優れ、定着時の臭気も低減されるトナーを得ることができる。本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、本発明のポリエステルの含有量は、結着樹脂中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
さらに、低温定着性、耐オフセット性、耐久性及び保存性の観点から、結着樹脂中の変性ロジン由来の樹脂の含有量は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
なお、本発明の結着樹脂におけるポリエステルユニットとはポリエステル構造を有する部位を指し、本発明の結着樹脂には、ポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれるが、本発明においては、ポリエステルであることが好ましい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
複合樹脂としては、ポリエステルユニットとビニル系樹脂等の付加重合系樹脂ユニットを有する樹脂が好ましい。
ポリエステルユニットの原料モノマーとしては、前記ポリエステルの原料モノマーと同様のアルコール成分及びカルボン酸成分が挙げられる。
一方、ビニル系樹脂ユニットの原料モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン化合物;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられ、これらの中では、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸の長鎖アルキル(炭素数12〜18)エステルが好ましく、帯電性の観点から、スチレンが、定着性及びガラス転移点の調整の観点から、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好ましい。スチレンの含有量は、ビニル系樹脂の原料モノマー中、50〜90重量%が好ましく、75〜85重量%がより好ましい。スチレンの(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに対するモノマー重量比(スチレン/(メタ)アクリル酸のアルキルエステル)は、50/50〜95/5が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
なお、ビニル系樹脂ユニットの原料モノマーの付加重合には、重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて使用してもよい。
本発明においては、ポリエステルユニットの原料モノマーの付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーに対する重量比(ポリエステルユニットの原料モノマー/付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー)は、連続相がポリエステルユニットであり、分散相が付加重合系樹脂ユニットであることが好ましいことから、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましい。
本発明において、複合樹脂は、ポリエステルユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーに加えて、さらにポリエステルユニットの原料モノマー及び付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物(両反応性モノマー)を用いて得られる樹脂(ハイブリッド樹脂)であることが好ましい。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基および第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより一層向上させることができる。両反応性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、及びこれらのカルボン酸の無水物、アルキル(炭素数1〜2)エステル等の誘導体が挙げられ、これらのなかでは反応性の観点からアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びこれらのカルボン酸の誘導体が好ましい。
本発明において、両反応性モノマーのうち、官能基を2個以上有するモノマー(ポリカルボン酸等)及びその誘導体はポリエステルユニットの原料モノマーとして、官能基を1個有するモノマー(モノカルボン酸等)及びその誘導体は付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとして扱う。両反応性モノマーの使用量は、両反応性モノマーを除くポリエステルユニットの原料モノマー100モルに対して、1〜30モルが好ましく、より付加重合系樹脂ユニットの分散性をさらに高める観点から、結着樹脂の製造過程において、付加重合反応後、高温で反応させる方法においては、1.5〜20モルがより好ましく、2〜10モルがさらに好ましく、付加重合反応後、反応温度を一定に保ちつつ両反応性モノマーを多めに使用する方法においては、4〜15モルがより好ましく、4〜10モルがさらに好ましい。
本発明において、複合樹脂は、ポリエステルユニットと付加重合系樹脂ユニットの均一性の観点から、ポリエステルユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとを予め混合し、縮重合反応と付加重合反応を同一反応容器中で並行して行うことにより得られる樹脂であることが好ましく、複合樹脂がさらに両反応性モノマーを用いて得られるハイブリッド樹脂である場合には、縮重合系樹脂ユニットの原料モノマー及び付加重合系樹脂ユニットの原料のモノマーの混合物と両反応性モノマーを予め混合し、縮重合反応と付加重合反応を同一反応容器中で並行して行うことにより得られる樹脂であることが好ましい。
本発明において、縮重合反応と付加重合反応の進行及び完結は、時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。例えば、ポリエステルユニットの原料モノマー、付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー、両反応性モノマー等を混合し、まず、主として付加重合反応に適した温度条件、例えば50〜180℃で付加重合反応により縮重合反応が可能な官能基を有する付加重合系樹脂を形成させた後、次いで反応温度を縮重合反応に適した温度条件、例えば190〜270℃に上昇させた後、主として縮重合反応により縮重合系樹脂を形成させる方法が挙げられる。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられる染料、顔料などのすべてが使用可能であり、カーボンブラック;C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー93、同95などのポリアゾ系黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー180;C.I.ピグメント・イエロー185;C.I.ソルベント・イエロー19、同77、同79、C.I.ディスパース・イエロー164等の黄色染料;C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同184、同5等の赤色もしくは紅色顔料;C.I.ソルベント・レッド49、同52、同58、同8等の赤色系染料;C.I.ピグメント・ブルー15:3等の銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)等の緑色顔料等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、モノカラートナー,フルカラートナーのいずれであっても良い。着色剤の含有量は、分散液中のビニル系樹脂及びポリエステルの総量100重量部に対して、1〜15重量部が好ましい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンラックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点は、耐ブロッキング性及び結着樹脂の低温定着性への影響を考慮すると、50〜120℃が好ましく、結着樹脂の軟化点以下であることがより好ましい。離型剤の含有量は、低温オフセットへの効果、帯電性への影響等の影響を考慮すると、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
荷電制御剤としては、負帯電性及び正帯電性のいずれのものも使用することができる。負帯電性荷電制御剤としては、例えば、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正帯電性荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。また、樹脂等の高分子タイプのものを使用することもできる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、結着樹脂、即ち少なくとも軟化点の異なる2種のポリエステル系樹脂を溶融混練する工程を含む溶融混練法により得られる粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、具体的には、前記結着樹脂、着色剤、離型剤等の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機で混合した後、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級することによりトナーを製造することができる。トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
さらに、本発明のトナーには、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等の外添剤で、外添処理が施されていてもよい。
外添剤としては、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2が好ましい。
外添剤の個数平均粒径は、帯電性及び感光体への傷防止の観点から、3〜300nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。
外添剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、またはキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
本発明において、キャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが用いられるのが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、帯電性の観点から、鉄粉、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトが好ましく、画質の観点から、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトがより好ましい。
キャリアの表面は、キャリア汚染低減の観点から、樹脂で被覆されているのが好ましい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができるが、トナーが負帯電性である場合には、帯電性及び表面エネルギーの観点から、シリコーン樹脂が好ましい。樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、単に粉体で混合する方法等、特に限定されない。
トナーとキャリアとを混合して得られる本発明の二成分現像剤において、トナーとキャリアの重量比(トナー/キャリア)は、1/99〜10/90が好ましく、5/95〜7/93がより好ましい。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔ロジンの軟化点〕
(1) 試料の調製
ロジン10gを、170℃で2時間ホットプレートで溶融する。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK-61M)で10秒間粉砕する。
(2) 測定
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂及びロジンのガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂及びロジンの酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
〔分子量が500以下の低分子量成分の含有量〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を測定する。トナー30mgにテトラヒドロフラン10mlを加え、ボールミルで1時間混合後、ポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶成分を除き、試料溶液を調製する。
溶離液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させ、試料溶液100μlを注入して測定を行う。なお、分析カラムには「GMHLX+G3000HXL」(東ソー(株)製)を使用し、分子量の検量線は数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成する。
分子量が500以下の低分子量成分の含有量(%)は、RI(屈折率)検出器により得られたチャート面積における該当領域の面積の、全チャート面積に対する割合(該当領域の面積/全チャート面積)として算出する。
〔ロジンのSP値〕
溶融した状態の試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行う。
測定機:環球式自動軟化点試験器 ASP-MGK2((株)メイテック製)
昇温速度:5℃/min
昇温開始温度:40℃
測定溶剤:グリセリン
〔ロジンの(メタ)アクリル酸変性度〕
式(Aa):
(式中、Xa1は変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値、Xa2は(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンとの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。
〔ロジンのフマル酸変性度〕
式(Af):
(式中、Xf1は変性度を算出するフマル酸変性ロジンのSP値、Xf2はフマル酸1モルとロジン0.7モルとを反応させて得られるフマル酸変性ロジンのSP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。Xf2で示されるSP値は、フマル酸1モル、ロジン0.7モル及びt-ブチルカテコール0.4gの混合物を160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行って得られたフマル酸変性ロジンのSP値である。
〔ロジンのマレイン酸変性度〕
式(Am):
(式中、Xm1は変性度を算出するマレイン酸変性ロジンのSP値、Xm2はマレイン酸1モルとロジン1モルとを230℃で反応させて得られるマレイン酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。飽和SP値とは、マレイン酸とロジンとの反応を、得られるマレイン酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。
なお、式(Aa)、式(Af)及び式(Am)において、ロジン1モルの分子量は、酸価をx(mgKOH/g)とすると、ロジン1gに対して水酸化カリウム(分子量:56.1)がxmg(x×10-3g)反応していることになるから、式(B):
分子量=56100÷x (B)
により算出することができる。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔外添剤の個数平均粒径〕
下記式より求める。
個数平均粒径(nm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))×1000
式中、ρは無機微粉末又は外添剤の比重であり、比表面積は原体の、外添剤の場合は疎水化処理前の原体の、窒素吸着法により求められたBET比表面積である。例えば、シリカの比重は2.2であり、酸化チタンの比重は4.2である。
なお、上記式は、粒径Rの球と仮定して、
BET比表面積=S×(1/m)
m(粒子の重さ)=4/3×π×(R/2)3×密度
S(表面積)=4π(R/2)2
から得られる式である。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
<ロジンの精製例>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した2000ml容の蒸留フラスコに1000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
ロジン20gをコーヒーミル(National MK-61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20ml)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサンプリングして、未精製ロジン及び精製ロジン中の不純物を、ヘッドスペースGC−MS法により分析した結果を表1に示す。
〔ヘッドスペースGC−MS法の測定条件〕
A. ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
サンプル温度: 200℃
ループ温度: 200℃
トランスファーライン温度: 200℃
サンプル加熱平衡時間: 30min
バイヤル加圧ガス: ヘリウム(He)
バイヤル加圧時間: 0.3min
ループ充填時間: 0.03min
ループ平衡時間: 0.3min
注入時間: 1min
B. GC(ガスクロマトグラフィー)(Agilent社製、HP6890)
分析カラム: DB-1(60m-320μm-5μm)
キャリアー: ヘリウム(He)
流量条件: 1ml/min
注入口温度: 210℃
カラムヘッド圧: 34.2kPa
注入モード: split
スプリット比: 10:1
オーブン温度条件: 45℃(3min)-10℃/min-280℃(15min)
C. MS(質量分析法)(Agilent社製、HP5973)
イオン化法: EI(電子イオン化)法
インターフェイス温度: 280℃
イオン源温度: 230℃
四重極温度: 150℃
検出モード: Scan 29-350m/s
<未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)332g(1モル)とアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.1℃であった。
<精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)とアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.4℃であった。
<アクリル酸変性ロジンの製造例1>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに、220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンAを得た。アクリル酸変性ロジンAのSP値は110.4℃、ガラス転移点は57.1℃、アクリル酸変性度は100であった。
<アクリル酸変性ロジンの製造例2>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸648.5g(9.0モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに、220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンBを得た。アクリル酸変性ロジンBのSP値は99.1℃、ガラス転移点は53.2℃、アクリル酸変性度は66であった。
<アクリル酸変性ロジンの製造例3>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)5976g(18モル)とアクリル酸907.6g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、250℃にて2時間反応させた後、さらに、250℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンCを得た。アクリル酸変性ロジンCのSP値は110.1℃、ガラス転移点は54.5℃、アクリル酸変性度は100であった。
<Xf2値として用いられる未精製ロジンを使用したフマル酸変性ロジンのSP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)332g(1モル)、フマル酸81g(0.7モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに、200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留して未反応のフマル酸及び低沸点物を留去し、フマル酸変性ロジンを得た。得られたフマル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したフマル酸変性ロジンのSP値は130.6℃であった。
<Xf2値として用いられる精製ロジンを使用したフマル酸変性ロジンのSP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)、フマル酸81g(0.7モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに、200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留して未反応のフマル酸及び低沸点物を留去し、フマル酸変性ロジンを得た。得られたフマル酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したフマル酸変性ロジンのSP値は130.9℃であった。
<フマル酸変性ロジンの製造例1>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)5408g(16モル)、フマル酸928g(8モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに、200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル酸変性ロジンAを得た。フマル酸変性ロジンAのSP値は130.8℃、ガラス転移点は74.4℃、フマル酸変性度は100であった。
<フマル酸変性ロジンの製造例2>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)5408g(16モル)、フマル酸278g(2.4モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに、200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル酸変性ロジンBを得た。フマル酸変性ロジンBのSP値は98.4℃、ガラス転移点は48.3℃、フマル酸変性度は40であった。
<フマル酸変性ロジンの製造例3>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)5312g(16モル)、フマル酸928g(8モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに、200℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル酸変性ロジンCを得た。フマル酸変性ロジンCのSP値は130.4℃、ガラス転移点は72.1℃、フマル酸変性度は100であった。
<未精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)332g(1モル)と無水マレイン酸98g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応の無水マレイン酸及び低沸点物の留去を行い、マレイン酸変性ロジンを得た。得られたマレイン酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値は116℃であった。
<精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値の測定>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)と無水マレイン酸98g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応の無水マレイン酸及び低沸点物の留去を行い、マレイン酸変性ロジンを得た。得られたマレイン酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値は116℃であった。
<マレイン酸変性ロジンの製造例1>
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)と無水マレイン酸1323g(13.5モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに、220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸酸変性ロジンAを得た。マレイン酸酸変性ロジンAのSP値は116.2℃、ガラス転移点は57.6℃、マレイン酸変性度は101であった。
<実施例1〜5及び比較例1>
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて1時間反応を行った。220℃まで冷却した後、表2に示す無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステルを得た。
<トナーの製造例>
表3に示す結着樹脂、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製、融点:105℃)1重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度を200r/min、ロール内の加熱温度を80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、個数平均粒径:16nm)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
<試験例1〔低温定着性及び耐オフセット性〕>
プリンター「OKI Microline 18」(沖データ社製カシオ計算機社製、定着:接触定着方式、現像方式:非磁性一成分現像方式)にトナーを実装し、トナー付着量を0.6mg/cm2に調整して未定着画像を得た。得られた未定着画像を接触定着方式の複写機「AR-505」(シャープ社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:300mm/s)を用いて、定着ロールの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
各定着温度で得られた画像を、「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ-1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(剥離後/剥離前)が最初に90%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って低温定着性を評価した。また同時に、ホットオフセットの発生を目視にて観察し、以下の評価基準に従って耐オフセット性を評価した。結果を表3に示す。
〔低温定着性の評価基準〕
◎:最低定着温度が150℃未満
○:最低定着温度が150℃以上、170℃未満
△:最低定着温度が170℃以上、180℃未満
×:最低定着温度が180℃以上
〔耐オフセット性の評価基準〕
◎:240℃でもホットオフセットは発生しない。
○:220℃以上、240℃以下でホットオフセットが発生する。
△:190℃以上、220℃未満でホットオフセットが発生する。
×:190℃未満でホットオフセットが発生する。
<試験例2〔スミア性〕>
定着温度190℃で得られた定着画像のベタ画像を、スミア試験器(摩擦試験機I型、JIS L0823、摩擦子径:φ15)の摩擦子に、25×25mm程度の白綿布(JIS L0803 綿3号)を繊維方向が摩擦子の可動方向と水平になるように両面テープで貼り付け、前記画像を5往復、連続動作にて擦った後、白綿布をはがし、画像が付着している摩擦子跡における任意の5箇所の画像濃度を測定し、擦り前と擦り後の濃度差を、以下の基準に従って評価した。画像濃度の測定には、「GRETAG SPM50」(GretagMacbeth AG社製)を用いる。白色基準は絶対白(absolute white)でキャリブレーションを行い、キャリブレーションはキャリブレーションカード「GretagMacbeth Density Calibration Reference」(Type: 47B/P, Density Standard: DIN 16536, Filter: Polarized)を用いた。
〔評価基準〕
◎:濃度差が0.3未満
○:濃度差が0.3以上0.8未満
△:濃度差が0.8以上1.2未満
×:濃度差が1.2以上
<試験例3〔保存性〕>
トナー4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れたサンプルを2個用意し、一方は温度40℃、相対湿度60%の環境下に、他方は温度55℃、相対湿度60%の環境下に、72時間放置した。放置後、トナーを入れた容器を軽く振り、トナーの凝集発生の有無を目視
により観察し、以下の評価基準に従って保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:40℃、55℃のいずれの環境下でもトナーの凝集は全く認められない。
○:40℃の環境下ではトナーの凝集は全く認められないが、55℃の環境下ではトナーの凝集の粒が僅かに観測される。
△:40℃の環境下ではトナーの凝集の粒が僅かに観測され、55℃の環境下では明らかに凝集が認められる。
×:40℃、55℃のいずれの環境下で明らかに凝集が認められる。
<試験例4〔臭気〕>
トナー20gをアルミホイルカップ((株)テラオカ製;FM-409(本体))に測り取り、150℃に加熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:臭気は全く感じられない。
○:臭気はほとんど感じられない。
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない。
×:臭気が強く感じられる。
以上の結果より、実施例1〜5の結着樹脂を含有したトナー1〜5は、未変性ロジンを使用した比較例1のポリエステルを含有した比較トナー1と対比して、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、スミア性も良好であり、臭いも低減されていることが分かる。