JP4768908B2 - プロテインキナーゼ阻害剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヌクレオチドアルキル誘導体の新しい用途に関する。さらに詳しく言えば、ヌクレオチドアルキル誘導体を含むプロテインキナーゼ阻害剤、および、制癌剤として使用するための該阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロテインキナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)は、タンパク質のセリン、スレオニン、あるいはチロシンの水酸基をリン酸化する酵素であり、細胞の増殖や分化などのシグナル伝達を担う重要な酵素群である。これまでに200種以上のプロテインキナーゼをコードする遺伝子がクローニングされているが、プロテインキナーゼは細胞内の殆どあらゆる場所に存在しており、細胞の増殖や分化あるいは機能発現などの様々な局面において調節や制御に深く関与しているものと考えられている。
【0003】
近年、癌の分子生物学的研究の進展により、細胞の癌化に関与する遺伝子が明らかにされ、癌遺伝子の多くがプロテインキナーゼをコードしていることが判明した。
扁平上皮癌ではErbB−1(EGF−R)が、乳腺癌、胃腺癌、卵巣癌ではErbB−2などのレセプター型チロシンキナーゼが増幅することが認められており、癌化との関係が示唆されている。乳癌の場合、チロシンキナーゼの増幅を認めた患者は、増幅のない患者に比べ明らかに予後不良であることから、これらレセプター型チロシンキナーゼは癌治療において重要な標的となると考えられる(Toi, M. et al., Eur. J. Cancer, 第26巻, 722頁, 1990年、Yoneda, T. et al.,Cancer. Res., 第51巻, 4430頁, 1991年)。
また、ヒトCML(細胞媒介性リンパ球傷害反応)の95%以上、ALL(急性リンパ性白血病)では約20%以上の症例で、9番と22番の染色体長腕間の相互転座の結果、一方の染色体(Ph1染色体)上でabl遺伝子とbcr遺伝子の融合が起こることが知られている。このキメラ遺伝子産物は活性化されたチロシンキナーゼである。
【0004】
非レセプター型チロシンキナーゼも様々な癌で活性化していることが知られており、例えば、慢性骨髄性白血病のBcr−ablや急性リンパ性白血病のJak−2、あるいは大腸癌などのc−Srcやc−Yesチロシンキナーゼなどが標的になると考えられており、それらに選択性を有する阻害剤も報告されている(Okabe, M. et al., Leukemia Lymph., 第12巻, 41頁, 1993年、Clark, J. W., Int. J. Cancer, 第65巻, 186頁, 1996年、Meydan, N. et al., Nature, 第379巻, 645頁, 1996年)。
【0005】
癌遺伝子の活性化にしろ、癌制御遺伝子の不活性化にしろ、過剰あるいは異常なシグナルが核へ流入することが、癌化と密接に関与している。したがって、癌細胞で過剰に活性が発現されているシグナル伝達路に干渉する薬物は、新規な制癌剤として有用である。プロテインキナーゼは、そのような分子標的の一つであり、プロテインキナーゼ阻害活性を有する化合物の探索によって得られた物質は、制癌剤として有用である。
癌は、我が国では死亡率第1位の疾患である。近年、手術療法や放射線療法といった局所療法の進歩が癌患者の生存率の向上に寄与しつつあるものの、癌は転移により全身に広がった時点で発見されることも多く、癌治療方法の確立には、かかる全身性疾患となった癌への対応が急務である。この点で、制癌剤を中心とする化学療法の開発に寄せられる期待は、ますます高まっている。
また、癌細胞に関する分子生物学的アプローチの進展は、従来明らかにされていなかった制癌剤の作用機構の解明に重要な指針を与えてきている。
【0006】
これらのことを契機として、プロテインキナーゼ阻害活性を有する制癌剤のスクリーニングが行われ、その結果、これまでにハービマイシンA(Uehara, Y. et al., Jpn. J. Cancer res., 第76巻, 672頁, 1985年)、アーブスタチン(Umezawa, H. et al., J. Antibiot., 第39巻, 170頁, 1986年)、ゲニステイン(Ogawara, H. et al., J. Antibiot., 第39巻, 606頁, 1986年)などの有望な医薬品候補物質が見出されるに至った。
【0007】
一方、分子内にフッ素を有するフルオロウラシル化合物が制癌活性を有することは、これまでによく知られている。また、ウリジン5’−アルキルホスフェート類が酵母菌のαおよびαハプロイド(1倍体)細胞間の有性凝集を細胞の成長に影響を与えることなく阻害したり(FEMS Microbiol. Lett., 第147巻, 17頁, 1997年)、抗真菌活性を有する(特開平10−218778号公報)ことが報告されている。さらに、本発明者らは、ヌクレオシド5’−アルキルホスフェート類がカルシウム拮抗作用を有し、血小板凝集抑制剤として有用であることを見出している(特開2000−247891号公報)。しかしながら、フッ素を含まないヌクレオシド5’−アルキルホスフェート誘導体についてのプロテインキナーゼ阻害活性は報告されておらず、該誘導体が制癌剤として有用であるとの報告もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、制癌剤として有用な新規なプロテインキナーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、種々のヌクレオシド誘導体について鋭意研究を重ねた結果、ヌクレオシド5’−アルキルホスフェート誘導体、とりわけ、ウリジン5’−アルキルホスフェート誘導体(UMPC)が顕著なプロテインキナーゼ阻害活性を有する事実を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)式(I):
【0010】
【化2】
Figure 0004768908
(式中、Rは直鎖または分岐鎖状アルキル基を示す。)で表されるヌクレオチドアルキル誘導体を含むプロテインキナーゼ阻害剤、(2)Rが炭素数30を超えないアルキル基である、上記(1)記載のプロテインキナーゼ阻害剤、(3)Rが炭素数4〜24のアルキル基である、上記(2)記載のプロテインキナーゼ阻害剤、(4)Rが炭素数16のアルキル基である、上記(3)記載のプロテインキナーゼ阻害剤、(5)ヌクレオチドアルキル誘導体が遊離形または生体内で遊離形を与え得る医薬的に許容される任意形で使用される、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のプロテインキナーゼ阻害剤、(6)制癌剤として使用するための、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のプロテインキナーゼ阻害剤を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記式(I)において、Rで示されるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。その炭素数は、通常30を超えることはなく、好ましくは4〜24、更に好ましくは16〜20である。このようなアルキル基の具体例としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシルなどの直鎖状アルキル、または、ゲラニル、ファルネシルなどの分岐鎖状アルキルを挙げることができる。現時点で最も好ましいと考えられるものは、Rが炭素数16のn−ヘキサデシル基を表す場合、すなわちウリジン5’−ヘキサデシルホスフェート(UMPC16)である。
【0012】
有効成分としてのヌクレオチドアルキル誘導体は、遊離形のみならず、医薬的に許容される限り、水和物、塩、エステルなど、生体内で遊離形を与えることのできる任意の形で使用されてよい。したがって、以下の記載において、式(I)の化合物は、遊離形のみならず、そのような医薬的に許容される任意形をも包括して意味するものとする。
【0013】
上記式(I)の化合物であるヌクレオチド5’−アルキル誘導体は、一般に対応するヌクレオチド5’−モノホスフェート(式(I)において、R=Hに相当する化合物)から自体常套の方法(FEBS Lett., 第94巻, 339-341頁, 1978年、Life Sci., 第43巻, 437-444頁, 1988年、FEBS Lett., 第352巻, 353-355頁, 1994年)により合成することができる。例えば、ウリジン5’−アルキル誘導体の場合、ウリジン5’−モノホスフェートおよび種々の直鎖状または分岐鎖状アルキルアルコールをt−ブチルアルコールに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で反応させることにより、製造することができる。反応温度は、溶媒の種類により異なるが、通常60〜100℃、好ましくは70〜90℃であり、反応時間は、反応温度により異なるが、通常2〜20時間、好ましくは6〜8時間である。
【0014】
本明細書において「癌」とは、その最も広い意味で使用するものであり、腫瘍、新生組織形成、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などを包含する。また、本明細書において「制癌」とは、癌性病変の予防、癌性病変の進行の遅延、癌性病変の生成の抑制、癌性病変の減少、または癌性病変の除去を意味する。
本明細書において「プロテインキナーゼ」とは、他のタンパク質をリン酸化する酵素の一群を意味し、チロシンキナーゼ、カルモジュリンキナーゼIII、Aキナーゼ、Cキナーゼ、MAPキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼなどが含まれる。
【0015】
癌細胞は、正常細胞に比べ急速な増殖をするのが特徴と考えられている。制癌剤は、この特徴を利用して増殖性の細胞に対し毒性を持つ薬剤を用いる化学療法である。本発明のプロテインキナーゼ阻害剤は、癌細胞の増殖を抑制したり、アポトーシスを誘導する制癌剤として用いることができ、良性腫瘍並びに肉腫、白血病、リンパ腫およびがん腫などの悪性腫瘍(癌)等の治療のため、通常全身的または局所的に、一般的には経口または非経口の形で投与される。
本発明の式(I)の化合物を投与する際には、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成物、非経口投与のための注射剤、点滴剤、口腔剤、経直腸剤、あるいは経皮投与により、すなわち薬剤を適用するのに都合のよい一般的な方法で投与することができる。
【0016】
経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれ、カプセル剤には、軟カプセル剤および硬カプセル剤が含まれる。液体組成物には、例えば、シロップ、懸濁液、エマルジョンが含まれる。
固体組成物は、一つまたはそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤と混合される。組成物は、常法にしたがって、不活性な希釈剤以外の一般的な添加物、例えば、潤滑剤、崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。
【0017】
錠剤は、化合物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤若しくはその他の適当な担体を加えて均等に混和し、慣用的な固体処方の製造方法により製造することができる。このような担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、シュークロースおよびセルロースを包含する。また、必要に応じて着色剤、矯味剤などを加えることができ、さらに、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の胃溶性あるいは腸溶性のフィルムで剤皮を施してもよいし、また2以上の層で皮膜してもよい。
【0018】
カプセル形である組成物は、慣用的なカプセル化操作を用いて製造できる。例えば、活性成分含有のペレットを標準担体の使用により調製し、次いで硬ゼラチンカプセルに充填することができる。別法として、いずれか適当な医薬担体、例えば、水性ガム、セルロース、シリケートまたは油を用いて分散液または懸濁液を調製し、ついで該分散液または懸濁液を軟ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0019】
経口投与のための液体組成物は、薬学的に許容される懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般に用いられる不活性な希釈剤を含んでいてもよい。このような組成物は、不活性な希釈剤以外に必要に応じて安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、分散安定剤またはその他の適当な添加剤を加えることができる。
【0020】
本発明による非経口投与のための注射剤は、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性または非水性の溶液剤、懸濁剤は、一つまたはそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤と混合される。水性の希釈剤としては、例えば、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液、または生理食塩水とブドウ糖溶液の混合液が挙げられる。非水性の希釈剤としては、例えば、オリブ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ナタネ油、トウモロコシ油、落花生油、綿実油のような植物油、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類のような有機溶媒が挙げられる。このような組成物は、さらに抗酸化剤、キレート剤、緩衝剤、水溶性有機溶剤などの安定化剤、無痛化剤、保存剤、等張化剤、乳化剤、溶解補助剤のような添加剤を含んでいてもよい。
【0021】
抗酸化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸など、キレート剤としては、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸など、緩衝剤としてはクエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩などを挙げることができる。
懸濁剤、乳剤の調製においてはアラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80(登録商標)を初めとする多くの乳化剤が用いられる。
これらの非経口投与のための注射剤は、加熱法(乾熱法、高圧蒸気法、流通蒸気法、煮沸法、間けつ法)、ろ過法、照射法(放射線法、紫外線法、高周波法)などの公知の滅菌手段によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し(例えば、凍結乾燥法等により)、使用前に無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用するような、用時溶解型の製剤とすることもできる。
【0022】
本発明の式(I)の化合物の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人患者一人あたり、一回につき、100μgから400mgの範囲で、一日一回から数回経口投与されるか、または、成人患者一人あたり、一回につき、10μgから100mgの範囲で、一日一回から数回非経口投与される。また、一日あたり400mgまでの用量で、連続的静脈内注入により投与してもよい。かくして、経口投与による一日の全用量は、100μgから2000mgの範囲にあり、非経口投与による一日の全用量は10μg〜400mgの範囲にある。適当には、該化合物を連続的治療の期間中、例えば、一週間またはそれ以上の期間投与する。もちろん、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて必要な場合もある。なお、本発明において、式(I)の化合物をプロテインキナーゼの阻害を目的として投与する場合、明らかな毒性は認められない。
以下に実施例において、製造例、製剤例および試験例をあげて本発明を詳しく説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
製造例:ウリジン5’−ヘキサデシルホスフェート(R=C1633:UMPC16)の調製
ウリジン5’−モノホスフェート(600μmol)およびヘキサデシルアルコール(6mmol)を20mLのt−ブチルアルコールに溶解した後、3mmolのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、80℃で20時間加熱した。反応終了後、生成した沈殿を濾別し、t−ブチルアルコールを減圧下に除去した。残渣をヘキサンおよびアセトンの混液(1:1)で数回洗浄し、乾燥した後、クロロホルムおよびメタノールの混液(95:5)に溶解した。これを同溶液にて作成したシリカゲルカラムに負荷し、カラムを同液で充分洗浄してジシクロカルボジイミドを流出させた。以後、メタノールの濃度を順次、上昇させることによって、ウリジン5’−ヘキサデシルホスフェートを溶出した。溶出液から溶媒を減圧下に除去することにより、白色の沈殿を得た。対ウリジン5’−モノホスフェートあたりの収率は、32.4%であった。
【0024】
製剤例1:静脈注射剤
式(I)の化合物 1〜40mg
緩衝剤 pH約7まで
溶媒 100mLまで
上記の製剤例1において、緩衝剤の具体例としてはクエン酸塩、リン酸塩および水酸化ナトリウム/塩酸を、溶媒の具体例としては水を挙げることができる。
【0025】
製剤例2:錠剤
式(I)の化合物 1〜40mg
希釈剤/充填剤 50〜250mg
結合剤 5〜25mg
崩壊剤 5〜50mg
滑沢剤 1〜5mg
上記製剤例2において、希釈剤/充填剤の具体例としては微結晶セルロース、ラクトースおよび澱粉を、結合剤の具体例としてはポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを、崩壊剤の具体例としてはナトリウム澱粉グリコレートおよびクロスポビドンを、滑沢剤の具体例としてはステアリン酸マグネシウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムを挙げることができる。
【0026】
製剤例3:経口用懸濁液
式(I)の化合物 1〜40mg
沈殿防止剤 0.1〜10mg
希釈剤 20〜60mg
保存剤 0.01〜1.0mg
緩衝剤 pH約5〜8まで
共溶媒 0〜40mg
香料 0.01〜1.0mg
着色剤 0.001〜0.1mg
上記製剤例3において、沈殿防止剤の具体例としてはキサンチンガムおよび微結晶セルロースを、希釈剤の具体例としてはソルビトール溶液、典型的には水を、保存剤の具体例としては安息香酸ナトリウムを、緩衝剤の具体例としてはクエン酸塩を、共溶媒の具体例としてはアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびシクロデキストリンを挙げることができる。
【0027】
試験例1:UMPC16のプロテインキナーゼ阻害活性の測定
本発明のヌクレオチドアルキル誘導体のプロテインキナーゼ阻害活性は、文部省がん特定 総合がん・制がん剤スクリーニング委員会が策定した平成11年度版「制がん剤の分子標的スクリーニング−その概要と利用法−」中の「プロテインキナーゼ阻害活性の検定」に記載の方法に基づいて、癌細胞NIH3T3/v−srcの細胞破砕液を用いた複数のプロテインキナーゼ活性の同一ゲル上検出法(Fukazawa, H. et al., Anal. Biochem., 第212巻, 106頁, 1993年、Pei-Ming Li et al., Anticancer Res., 第13巻, 1957-1964頁, 1993年)により、検定した。
上記の実験系では、NIH3T3細胞のv−srcトランスフォーマントを低張緩衝液中で破砕後、遠心、除核し、酵素液とする。これにDMSOに溶解した検体、cAMP、ホルボールエステル、[γ32P]ATPを加え、25℃で20分間反応させる。反応停止後、リン酸化されたタンパク質をSDS−PAGE、オートラジオグラフィーで解析する。この方法により、Aキナーゼ、Cキナーゼ、srcファミリーのチロシンキナーゼ、およびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIIの少なくとも4種類のプロテインキナーゼ活性を同時に検出することができる。
活性の評価は、検体を最終濃度0.1mg/mLになるように加え、リン酸化の阻害の有無と阻害パターンを判定する。阻害活性が認められた場合、3段階の希釈系列を作製する。
具体的には以下のように行った。
v−srcでトランスフォームしたNIH3T3細胞を1mMのHepes緩衝液(pH7.4)、5mMのMgCl2およびプロテアーゼ阻害剤であるアンチパイン、ロイペプチン、ペプスタチンAをそれぞれ25μg/mLずつを含有する低張緩衝液中で10分間氷冷した。膨潤した細胞を室温で2分間攪拌混合し、懸濁した。次に、20mMになるようにHepes緩衝液(200mM、pH7.4)を添加した後、核を沈殿させるために500gで5分間遠心分離した。上清を回収して、最終濃度が20mMのHepes緩衝液(pH7.4)、10mMのMgCl2、0.1mMのNa3VO4、10mMのβ−グリセロホスフェート、1mMのNaF、および2.5mg/mLのタンパク質となるように調製した。除核したフラクション20μLに対し、種々のキナーゼ活性化剤およびUMPC16のDMSO溶液を5μL添加した。5μLの[γ−32P]ATP(75μM、10μCi)を添加してキナーゼ反応を開始させ、25℃で15分間インキュベートした。活性化剤の最終濃度は、ホルボールエステル(PMA)1μM、CaCl2 10μM、DMSO 10%(v/v)、cAMP 20μMとした。また、UMPC16の最終濃度は、0.1、1、10、100μg/mLとした。反応は、4倍濃度のSDS−PAGEサンプル緩衝液10μLを添加するか、あるいは沸騰した湯浴中で5分間熱することにより終了させた。熱処理した混合物を室温で冷却し、変性したタンパク質を沈殿させるために15,000gで30分間遠心分離した後、上清に4倍濃度のSDS−PAGEサンプル用緩衝液10μLを混合した。リン酸化されたタンパク質を9%SDS−PAGE(6cm長)を用いて分離し、オートラジオグラフィーにより可視化した。
得られた結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0004768908
PKA:Aキナーゼ、PKC:Cキナーゼ、PTK:チロシンキナーゼ、
CAMK:カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIII
++:>70%阻害、+:40〜70%阻害、−:<40%阻害(阻害なし)
表1に示されるように、UMPC16は、濃度依存的に各種プロテインキナーゼ活性を阻害した。したがって、UMPC16をはじめ、本発明の式(I)で表されるヌクレオチド5’−アルキル誘導体は、プロテインキナーゼ阻害剤として有用であり、さらに制癌剤として有用な物質であると考えられる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、式(I)で表されるヌクレオチドアルキル誘導体を有効成分として用いることにより、新規なプロテインキナーゼ阻害剤が得られ、これは、制癌剤として有用である。

Claims (6)

  1. 式(I):
    Figure 0004768908
    (式中、Rは直鎖または分岐鎖状アルキル基を示す。)で表されるヌクレオチドアルキル誘導体を含み、Aキナーゼ、Cキナーゼ、チロシンキナーゼおよびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIIよりなる群から選択されるプロテインキナーゼの活性を阻害するプロテインキナーゼ阻害剤。
  2. Rが炭素数30を超えないアルキル基である、請求項1記載のプロテインキナーゼ阻害剤。
  3. Rが炭素数4〜24のアルキル基である、請求項2記載のプロテインキナーゼ阻害剤。
  4. Rが炭素数16のアルキル基である、請求項3記載のプロテインキナーゼ阻害剤。
  5. ヌクレオチドアルキル誘導体が、遊離形または、水和物もしくは塩の形で使用される、請求項1〜4のいずれか1つに記載のプロテインキナーゼ阻害剤。
  6. 制癌剤として使用するための、請求項1〜5のいずれか1つに記載のプロテインキナーゼ阻害剤。
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