ところが、上記の走行状況告知システムや情報提供装置では、運転者や同乗者の走行体験が車両に設けられた記録装置に記録されているので、過去に運転したことがある車両でしか過去の走行体験に基づいた走行状況の告知や情報提供などの運転支援が行われなかった。つまり、過去に運転したことがある車両以外の車両では、走行体験に基づく運転支援を受けることができなかった。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、運転者や同乗者が他の車両に乗車してもその運転者や同乗者の走行体験履歴に応じて、適切な運転情報の告知などの運転支援を行うシステムを提供することを目的とする。
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の車両用運転支援システムは、可搬式走行体験履歴記録手段、運転者特定手段、支援度決定手段及び制御手段を備えている。
可搬式走行体験履歴記録手段は、乗員の走行体験情報を取得するための走行体験情報取得手段で取得した各乗員の走行体験情報を乗員ごとに識別可能な走行体験履歴として記録する持ち運び可能に構成されている。また、運転者特定手段は、運転者を特定する。
そして、支援度決定手段は、可搬式走行体験履歴記録手段に記録された走行体験履歴のうち運転者特定手段により特定された運転者の走行体験履歴に基づいて、特定された運転者に対する運転支援度合いを決定する。例えば、走行している道路を運転者が過去何回走行したかという走行体験履歴に基づいて、運転支援度合いを決定したり、特定された運転者の走行体験履歴と走行体験情報取得手段により走行中に取得された走行体験情報とを随時比較しながら、その比較結果に基づいて、運転支援度合いを決定するのである。
さらに、制御手段は、支援度決定手段で決定された運転支援の度合いに基づいて、少なくとも、車両搭載機器又は車両走行装置の何れかの作動内容を制御する。
また、走行体験情報取得手段は、走行中の車両の乗員のうち少なくとも助手席の乗員の走行体験情報を取得可能に構成されている。
以上のように構成された車両用運転支援システムにおいては、車両に乗車している乗員の走行体験情報が乗員ごとに、持ち運びができる可搬式走行体験履歴記録手段に識別可能な走行体験履歴として記録される。
さらに、持ち運びできる可搬式走行体験履歴記録手段に記録された走行体験履歴のうち運転者特定手段により特定された運転者の走行体験履歴に基づいて、特定された運転者に対する運転支援の度合いが決定される。そして、決定された支援度合いに基づいて、少なくとも車両搭載機器又は車両走行装置の何れかの作動内容が制御される。
つまり、持ち運びができる可搬式走行体験履歴記録手段に記録された走行体験履歴に基づいて運転支援が行われるので、運転者が可搬式走行体験履歴記録手段を他の車両に持ち運べば、運転者は、過去に運転したことがない車両で過去の走行体験履歴に基づいた運転支援を受けることができる。
走行体験履歴に基づく運転支援としては、走行した道路の走行回数に基づくものがある。例えば、走行した道路の走行回数を記録し、車両が現在走行している道路が過去に所定の回数以上走行したことがある道路であり、かつ、運転者が覚醒した状態で運転している場合には、注意点の手前での告知を行わないようにすれば運転にとって煩わしさがなくなる。
一方、走行している道路が過去に所定の回数以上走行したことがある道路であっても、運転者が覚醒していない状態であれば、注意点から所定の距離の位置で危険告知を行うようにすれば、危険回避を行うことができる。
さらに、走行している道路が過去に所定の回数以下しか走行したことがない道路である場合には、運転者の覚醒度に拘りなく注意点から所定の距離以内になったときに、運転支援のための告知を行うようにすれば、運転者の注意度が高まるので、運転者は注意点を安全に通行できる。同様に、当該道路における現在の走行時刻と過去の走行時刻が同一であれば、その道路の渋滞状況によって運転支援の度合いを決定するようにしてもよい。
また、同乗者のうちでも助手席の乗員の乗車位置は運転者の乗車位置に近いので、乗員が覚醒状態にあれば、助手席の乗員の走行体験情報は、運転者の走行体験情報とは多少異なるものの、かなり近いものになる。
そこで、走行体験情報取得手段が、走行中の車両の乗員のうち少なくとも助手席の乗員の走行体験情報を取得可能に構成されているので、運転者の走行体験情報に近い走行体験情報を取得できるようになる。
なお、「乗員の走行体験情報」とは、乗員として乗車中の車両が走行した道路名称、その道路を走行した回数、その道路を走行した時刻など車両の走行履歴に関する情報、その道路を走行した時刻における当該道路の混雑状況など車両走行時の車両の周囲環境、車両走行時のアクセルペダル及びブレーキペダルの操作回数や各ペダルの踏み込み強さや踏み込み量、あるいは、ステアリングの操作量を時刻と共に記録したものなど運転者の運転操作情報などを意味している。
また、「道路の混雑状況」とは、VICSなどで取得した混雑情報や当該道路のある区間を走行するのに要した時間などを意味している。
また、「車両走行装置」とは、車両の走行に直接関わる装置であり、例えば、ブレーキ装置、ステアリング装置、エンジン制御装置などであり、「車両搭載機器」とは、車両に搭載されて作動する機器、例えば、カーナビゲーション装置、音響機器などである。
また、「運転支援の度合い」とは、運転者に対する運転支援の内容を意味している。例えば、車両搭載機器を介して運転者に告知をするか車両走行装置を制御するかであったり、告知をする場合であれば、その告知内容や告知の頻度、タイミングあるいは告知の強さ(音量や表示における表現内容など)であったり、車両走行装置を制御する場合であれば、制御対象となる装置の選択や選択した装置の制御タイミングや制御内容を意味している。
請求項2に記載の車両用運転支援システムは、外部走行体験履歴記録手段、運転者特定手段、送受信手段、支援度決定手段及び制御手段を備えている。
外部走行体験履歴記録手段は、車両外部に設けられ、乗員の走行体験情報を取得するための走行体験情報取得手段で取得した各乗員の走行体験履歴を乗員ごとに識別可能に記録するとともに、特定の乗員の走行体験履歴を送信する旨の送信指令に基づいて、記録した各乗員の走行体験履歴のうち送信指令で特定された乗員の走行体験履歴を送信する。また、運転者特定手段は、運転者を特定する。
そして、送受信手段は、運転者特定手段により特定された運転者の走行体験履歴を送信する旨の送信指令を外部走行体験履歴記録手段へ送信するとともに、その送信指令に基づいて外部走行体験履歴記録手段から送信される運転者の走行体験履歴を受信する。
また、支援度決定手段は、送受信手段により受信された運転者の走行体験履歴に基づいて、運転者に対する運転支援の度合いを決定する。
さらに、制御手段は、支援度決定手段により決定した運転支援の度合いに基づいて、少なくとも、車両搭載機器又は車両走行装置の何れかの作動内容を制御する。
また、走行体験情報取得手段は、走行中の車両の乗員のうち少なくとも助手席の乗員の走行体験情報を取得可能に構成されている。
以上のように構成された車両用運転支援システムにおいては、車両に乗車している乗員の走行体験情報が乗員ごとに識別可能な走行体験履歴として、車両外部に設けられた外部走行体験履歴記録手段に記録される。そして、特定の乗員の走行体験履歴を送信する旨の送信指令に基づいて、記録された各乗員の走行体験履歴のうち送信指令で特定された乗員の走行体験履歴が送信される。
また、特定された運転者の走行体験履歴を送信する旨の送信指令が送受信手段によって外部走行体験履歴記録手段へ送信され、その送信指令に基づいて外部走行体験履歴記録手段から送信される運転者の走行体験履歴が送受信手段によって受信される。
このように、外部走行体験履歴記録手段に記録された各乗員の走行体験履歴のうち、運転者特定手段により特定された運転者の運転履歴が送受信手段により受信され、受信された走行体験履歴に基づいて運転支援が行われる。したがって、本車両用運転支援システムが装備された車両であれば、運転者は、走行体験履歴を持ち運んだりしなくても、過去に運転したことがない車両(例えば、友人の車両やレンタカーなど)で過去の走行体験履歴に基づいた運転支援を受けることができる。
また、同乗者のうちでも助手席の乗員の乗車位置は運転者の乗車位置に近いので、乗員が覚醒状態にあれば、助手席の乗員の走行体験情報は、運転者の走行体験情報とは多少異なるものの、かなり近いものになる。
そこで、走行体験情報取得手段が、走行中の車両の乗員のうち少なくとも助手席の乗員の走行体験情報を取得可能に構成されているので、運転者の走行体験情報に近い走行体験情報を取得できるようになる。
なお、「車両外部に設けられ」とは、当該車両以外の場所に設けらていることであり、例えば、情報センタや警備会社の指揮センタなどに設置されていることを意味している。
ところで、外部走行体験履歴記録手段に各乗員の走行体験履歴を記録する方法としては、走行体験履歴を記録した記録媒体を外部走行体験履歴記録手段に接続して走行体験履歴を転送する方法など種々考えられる。それらの方法の中で、請求項3に記載のように走行体験情報取得手段で取得した各乗員の走行体験情報を乗員ごとに識別可能な走行体験履歴として外部走行体験履歴記録手段へ送信するための走行履歴送信手段を備え、外部走行体験履歴記録手段は、歴送信手段から送信される各乗員の走行体験履歴を受信する走行体験履歴受信手段を備えるようにするとよい。
このようにすると、走行体験情報取得手段で取得された走行体験情報が送受信されて走行体験履歴として外部走行体験履歴記録手段に記録される。したがって、走行体験履歴を記録する際に記録媒体などを外部記録装置に接続する必要がなくなるので乗員にとって使いやすい車両用運転支援システムとなる。
また、走行体験履歴の送受信をリアルタイムで行えば、記録される走行体験履歴は常に最新のものとなる。つまり、常に最新の走行体験履歴に基づいて運転支援が行われるので、運転者はより適切な運転支援を受けることができるようになる。
ところで、運転者の運転操作、特に運転操作の慎重さの度合いなどは、運転者の年齢、家族構成、持病の有無などによって変わる。そこで、運転支援を行う場合、運転者の走行体験履歴だけでなく、請求項4に記載のように、運転操作に影響を与える個人情報を記録する個人情報記録手段を備え、運転支援度決定手段では、運転者特定手段により特定された運転者の個人情報を個人情報記録手段から取得し、取得した運転者の個人情報を加味して車両運転中の乗員の運転支援の度合いを決定するようにするとよい。
このようにすると、運転者の過去の走行体験履歴だけでなく、運転者の運転操作に影響を与える個人情報を加味して運転支援度合いを決定できるので、運転者にとってより適切な運転支援を行うことができる。
例えば、社宅などに居住しており、同じ職場に車両で通勤する者であれば、出勤時などに同じ道路を同じ時間帯に通行する場合があるので、同じような走行体験履歴を有していると考えられる場合ががある。ところが、そのように同じような走行体験履歴を有していても、その者が若者であるか熟年であるか、運転経験年数が多いか少ないか、独身であるか家族があるか、運転中に発作を起こすような持病があるかなど、つまり「運転操作に影響を与える個人情報」の差異によって、運転操作が異なる。
そこで、運転操作に影響を与える個人情報を加味して、運転中の告知の頻度や内容を変えたり、車両走行装置の制御の内容を変えるなど、運転支援の内容を変えるれば、運転者にとってより適切な運転支援を行うことができるのである。
ところで、個人情報を記録する方法には種々の方法が考えられる。例えば、個人情報の秘匿性を重視する場合には、システムが多少複雑になるが、請求項5に記載のように、個人情報記録手段を車両の外部に設けるとよい。
つまり、支援度決定手段からの指令を受け、個人情報記録手段に対して個人情報を出力する旨の個人情報出力指令を送信する個人情報出力指令送信手段と、個人情報記録手段から出力される個人情報を受信するための個人情報受信手段とを備えるようにする。
そして、個人情報記録手段を、個人情報を出力する旨の個人情報出力指令を受けたときに個人情報を走行体験履歴受信手段へ送信できるように構成する。さらに、支援度決定手段を、運転者特定手段により特定された運転者の個人情報を出力する旨の指令を個人情報出力指令送信手段に出力可能、かつ、個人情報を個人情報受信手段を介して取得可能に構成するのである。
このようにすると、運転者特定手段により特定された運転者の個人情報を電波などを用いて車両外部の個人情報記録手段から取得できるようになる。したがって、車両外部の個人情報記録手段のセキュリティを確保すれば、個人情報が外部に漏れるようなことがなくなるので、個人情報の秘匿性を向上させることができる。
逆に、システムを簡単にするためには、請求項6に記載のように個人情報記録手段を持ち運び可能に構成するとよい。具体的には、個人情報をメモリカードなどの記憶装置や携帯電話に記録しておき、支援度決定手段は、メモリカードなどの記憶装置や携帯電話などから個人情報を読み取るようにする。
このようにすると、メモリカードや携帯電話などを紛失などした場合に個人情報を支援度決定手段で読み取ることができなくなるので、若干不便になることが考えられるが、個人情報を持ち運びできるので、運転者にとっては使いやすくなる。また、非常に簡単なシステム構成で個人情報に基づいた運転支援を行うことができる。
なお、メモリカードなどの記憶装置や携帯電話などでは、それ単体で個人情報のセキュリティ性を確保するための対策を施すことが可能であるので、個人情報のセキュリティ性確保するという点での問題はない。
ところで、車両の走行中に取得される走行体験情報には2つのものがある。1つは運転者として車両を運転しているときに取得される走行体験情報(以下、運転時走行体験情報と呼ぶ。)であり、もう1つは、運転者以外の乗員としての走行体験情報(同乗時走行体験情報と呼ぶ。)である。
運転者は、乗車中に運転操作をするので、運転中は覚醒状態である。したがって、運転中の走行体験履歴を常時記録すれば、その記録が運転者の走行体験履歴となる。ところが、同乗者は、車両の走行中に眠っていたり、車外の景色を見ていたりして、運転者と同じ条件で走行体験情報を得ていない。したがって、運転者の走行体験履歴と同じように常時走行体験履歴を記録しても、記録された走行体験履歴がそのまま同乗者の走行体験履歴とはならない。
さらに具体的に説明すると、車両が走行し始めた直後に同乗者が眠ってしまい、目的地に到達したときに覚醒した場合、同乗者が実際に認識する走行体験履歴は、出発地点の位置と目的地の位置だけになる。つまり、走行中に渋滞などがあっても眠っている同乗者は渋滞を走行体験情報として認識しないのである。
そこで、走行体験情報を取得する場合、請求項7に記載のように、走行体験情報取得手段は、走行中の車両の乗員のうち少なくとも運転者の走行体験情報を取得可能に構成されていると、乗員のうち車両の走行中の走行体験情報を最も得る運転者の走行体験情報を取得できるので、運転支援度を決定するための走行体験履歴を最も多く記録できるようになる。
ところで、運転者は運転操作を行っているので、その走行体験情報を常に取得すればよいが、助手席の乗員は運転者と異なり、常に車両の走行状況を認識できる状態にあるわけではない。例えば、前述のように走行中の景色を見たり、居眠りをしている場合がある。そのように車両の走行状況を認識できない状態での走行体験情報を取得し、走行体験履歴として記録しても、記録された走行体験履歴を用いて有効な運転支援をすることができない
そこで、請求項8に記載のように、助手席の乗員が走行状況を認識できるか否かを判定するための認識状態判定手段を備え、走行体験取得手段は、認識状態判定手段によって助手席の乗員が走行状況を認識できると判定された場合のみ助手席の乗員の走行体験情報を取得可能に構成されているとよい。
このようにすれば、助手席の乗員が車両の走行状況を認識できる状態で助手席の乗員の走行体験履歴を記録できる。つまり、記録された走行体験履歴と助手席の乗員の認識した走行体験履歴とが一致するので、その走行体験履歴に基づき有効な運転支援を行うことができる。
ところで、運転支援の度合いを、運転者の走行体験履歴や個人情報、つまり、運転者に関する過去の情報に基づくだけでなく、運転者が実際に車両を運転している時点での運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態も考慮して決定すると、運転者の現在の心身の状態が加味された運転支援となり、より効果的な運転支援が可能となる。
そこで、請求項9に記載のように、運転時の運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態を推定する心身状態推定手段を備え、運転支援度決定手段は、心身状態推定手段により推定された運転者の心身の状態を加味して運転支援の度合いを決定するようにするとよい。
このようにすると、運転者の覚醒度が十分でなかったり、運転者が脇見運転をしている状態のときには、車両搭載機器を介して運転者への告知の強さを強くしたり、告知の頻度を上げたり、あるいは、車両走行装置の制御を行うようにしたりすれば、より適切に危険回避を行うことができる。
逆に、運転者が十分に覚醒しており、また、脇見運転もしていない状態、つまり、運転に集中している状態であれば、運転支援のための告知の強さを弱めたり、告知の頻度を下げたり、あるいは、運転支援のための制御を行わないようにしたりすれば、運転者が安全に運転できる状態を保ちつつ、運転者にとって煩わしくない運転支援を行うことができる。
ここで、「運転者の心身の状態」とは、運転者の覚醒度や運転への集中度を意味しており、例えば、運転者が居眠り状態にあるか否か、運転中に脇見をしているか否かなどを意味している。
また「運転時の運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態」とは、運転者の覚醒度や運転への集中度を意味しており、例えば、運転者が居眠り状態にあるか否か、運転中に脇見をしているか否かなどを意味している。
ところで、運転者の心身の状態を推定するには、運転者に関する情報を直接的に得る方法と間接的に得る方法とがある。このうち、直接的に得る方法としては、請求項10に記載のように運転者の生体情報に基づいて運転者の心身の状態を推定する方法がある。
この方法によれば、運転者の心身の状態を医学的又は心理学的に推定できるので危険回避を行うために、より適切な運転支援の度合いを決定できる。
ここで、「生体情報」とは、運転者の身体の心身の状態を直接測定するための情報であり、例えば、心拍数、脳波、まぶたの動きなどである。
また、「生体情報取得手段」とは、例えば、心拍数を計測するための心電図測定器、脳波を計測するための脳波計、まぶたや顔の表情を撮像する車載カメラなどである。
一方、運転者の心身の状態を間接的に推定する方法としては、請求項11に記載のように車両の走行状態に基づいて運転者の心身の状態を推定するようにする方法がある。つまり、運転者の覚醒度が落ちていたり、脇見運転をしていたりすると、運転者が運転している車両がふらついたり、ブレーキをかけるタイミングが遅かったりすることがある。そこで、例えば、走行中に車載カメラでセンターラインを含む映像を取得し、取得した画像から走行中の車両のセンターラインからのずれの変化率を算出して車両のふらつきを取得したり、カーナビゲーション装置で車両の進行方向にある注意点からの距離を取得し、その距離に対してブレーキを掛けるタイミングが遅いか否かを判定したりして運転者の心身の状態を推定するのである。
このように、車両の走行状態から運転者の心身の状態を推定すれば、運転者の心身の状態を推定できる。さらに、車両自体が危険な状態で走行していないか否かを判定することも可能となるので、より緊急性の高い運転支援の度合いを決定できる。
ここで、「車両の走行状態」とは、運転者の運転状態によって変化する車両の走行中の状態のことであり、例えば、車両の進行方向に対する車両の横方向のふらつき度合いやブレーキをかけるタイミングなどである。
車両運転中には、例えば、交差点、道路の合流点あるいは分岐点など危険度の高い場所(注意点)を通過する場合がある。そこで、請求項12に記載のように、車両の現在位置から予め設定された車両進行方向の注意点までの距離を取得する距離取得手段を備え、支援度決定手段は、距離取得手段により取得した車両進行方向の注意点までの距離を加味して運転支援の度合いを決定するようにするとよい。
例えば、交差点からの距離が遠いところに車両がある場合には、告知の頻度を下げて、簡潔な告知を行い、交差点からの距離が近くなった場合には、告知の頻度を上げたり、音声での告知を行う場合には音量を上げたりする。そのようにすれば、告知を受けた運転者は、交差点において告知に基づいて安全に運転を行うことができる。
ここで、「距離取得手段」とは、例えば、車載装置がカーナビゲーション装置の場合には、カーナビゲーション装置から車両の進行方向前方にある注意点までの距離を取得する手段である。つまり、カーナビゲーション装置のGPS車載器では、車両の現在位置と車両の進行方向とを取得し、予め記憶したおいた道路地図上で車両の進行方向前方にある注意点を検索し、検索した注意点から車両の現在位置までの距離が算出される。したがって、算出された注意点から車両の現在位置までの距離を取得するのである。
ところで、車両を運転する際には、車両の周囲状況、例えば、天候状況、日照状況、道路面の状態などによって危険度が変わってくる。そこで、請求項13に記載のように、車両の周囲状況を取得するための周囲状況取得手段を備え、支援度決定手段は、周囲状況取得手段により取得した車両の周囲状況を加味して運転支援の度合いを決定するようにするとよい。
例えば、車両周辺の画像を撮像する車両周辺カメラによって車両周囲の見通しを把握したり、インターネットから気象情報を取得したりする。そして、車両進行方向の見通しが悪かったり、車両進行方面に対して雨や霧の発生が予報されていれば、運転支援の度合いを高める、つまり、告知の頻度を多くしたり、支援制御を行うようにする。また、照度計により車両周囲の照度を測定し、測定した照度が所定の値以下であれば車両周囲が暗く見通しが悪くなっていると考えられるので、運転支援の度合いを高めるようにしてもよい。
このようにすれば、車両の周囲状況を加味して運転支援の度合いを高めることができるので、運転者は安全運転ができるようになる。
ここで、「車両の周囲状況」とは、道路の見通し、晴れ、雨、霧といった車両の周囲の天候状況や昼間又は夜間といった日照状況、道路面の状態などを意味する。なお、車両の周囲状況は現在の状況だけでなく、気象予報など予報された状況も含んでいる。
また、「周囲状況取得手段」としては、道路の見通しや道路面の状態を取得するための車両周辺カメラ、無線通信装置によりインターネットから気象予報データを取得するものや車両周囲の照度を測定する照度計などがある。
ところで、車両を運転中の運転者にとって車両進行方向前方の注意点又はその近傍に人がいる状態は、危険回避のために最も注意しなければならない状態である。そこで、請求項14に記載のように、車両進行方向前方の注意点近傍の生体の有無を検知する生体検知手段を備え、支援度決定手段は、生体検知手段により検知した車両進行方向前方の注意点近傍の生体の有無を加味して運転支援の度合いを決定するようにするとよい。
例えば、赤外線カメラで注意点及び注意点近傍の赤外線画像を取得し、その中に人の体温に相当する熱源があるか否かを判定し、人の体温に相当する熱源があれば人がいると判定して、運転者の覚醒度に拘わらず、運転支援の度合いを高めて、注意点又は注意点近傍に人がいる旨の告知を行うようにする。
このようにすれば、人との衝突を避けるという重要な危険回避運転を支援することが可能となる。
ここで、「生体」とは、例えば、人であったり犬や猫などの動物を意味している。犬や猫の場合、その犬や猫がペットであった場合、その近傍にその飼い主である人がいる可能性が高いからである。
また、「生体検知手段」とは、例えば、可視カメラや赤外線カメラで撮像した画像を画像処理して、撮像した画像の中に生体がいるか否かを検知する装置など、生体反応を直接検知するものや、携帯電話など歩行者が持っている通信機器と通信可能な通信装置であって、歩行者の持っている通信機器と通信を行い、例えば、歩行者の個人識別データを受信することによって、生体の存在を間接的に検知するものなどである。
また、「注意点近傍」とは、例えば、人が交差点で信号待ちをしている場所など、その場所にいる人などが、現在の車速で車両が交差点に進入した場合に、交差点内で当該車両に衝突する可能性がある領域を意味している。
ところで、支援度決定手段にて決定した運転支援の度合いに基づいて車両搭載機器を制御する方法は、制御すべき車両搭載機器によって異なる。例えば、車両搭載機器が音響装置や表示装置あるいは表示灯などのような告知手段を有している場合には、請求項15に記載のように、制御手段により、車両搭載機器が備えている告知手段を制御して、運転者に対し運転支援の度合いに応じた告知を行うようにするとよい。
このようにすると、音響装置を備えている場合には、運転支援の度合いに応じた内容や音量の音声や警告音によって運転支援のための告知を行うことができる。また、表示装置を備えている場合には、運転支援の度合いに応じた内容の表示によって運転支援のための告知を行うことができる。さらに、表示灯を備えている場合には、運転支援の度合いに応じた表示灯の点灯・消灯のさせ方によって運転支援のための告知を行うことができる。
ところで、支援度決定手段にて決定した運転支援の度合いに基づいて車両走行装置を制御する方法は、制御すべき車両走行装置によって異なる。
例えば、請求項16に記載のように、車両走行装置がブレーキ装置である場合には、運転支援の度合いに基づき、例えば、ブレーキ装置を作動させるタイミングや作動の強さ、あるいは、作動のパターンを制御するようにすればよい。
また、請求項17のように、車両走行装置がエンジン制御装置の場合には、運転支援の度合いに基づき、エンジンの出力を絞るなどのエンジン制御を行うようにすればよい。
また、請求項18に記載のように、車両走行装置がステアリング装置の場合、走行中の道路の端に車を移動させるなどの制御を行うようにすればよい。なお、この場合、ブレーキ装置やエンジン制御装置と併用し、車速が遅くなったときにステアリング装置の制御を行うようにすると危険回避をより効果的に行うことができる。
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る車両用運転支援装置10が組み込まれた車両用運転支援システム1の概略構成を示すブロック図である。
車両用運転支援システム1は、車両用運転支援装置10、車両搭載装置50、車両走行装置30などから構成される。
車両用運転支援装置10は、室内カメラ12、車両周辺カメラ14、入出力部16、可搬式記録装置18、制御部20などから構成される。
室内カメラ12は、運転者の生体情報を取得するためのものであり、フロントガラスの上方に運転者の表情を撮像できるように車室内に向けて取り付けられている。この室内カメラ12は、可視光画像を取得する小型カメラであり、CCDカメラやピンホールカメラなどが用いられている。
車両周辺カメラ14は、車両の周囲状況を取得するためのものであり、車両の周囲を撮像できるように車室内又は車体に取り付けられている。この車両周辺カメラ14は、可視光画像を取得するカメラであり、車両周辺の画像が取得できるように複数のレンズや撮像素子(以下、光学系と称する。)を備え、車両の周辺を全方位にわたって撮像できるようにしたものや、1つの光学系を光学軸と直交する方向に回転させて車両の周辺を全方位のわたって撮像できるようにしたものなどがある。
入出力部16は、車両用運転支援装置10と車両搭載装置50及び車両走行装置30との間のデータの入出力を行うためのものであり、車両搭載装置50から車両の現在位置、車両の走行履歴、道路の周囲状況などのデータを入力し、制御部20へ出力したり、制御部20から出力される告知のためのデータを車両搭載装置50へ出力する。
また、入出力部16は、制御部20から出力される車両制御データを車両走行装置30の走行装置制御部32へ出力するとともに、ある時刻における、ブレーキ操作情報(ブレーキペダルの操作回数やブレーキペダルの踏み込み強さ)、エンジン操作情報(アクセルペダルの踏み込み量)、ステアリングの操作量などを走行装置制御部32から入力する。
なお、「車両の走行履歴」とは、走行した道路名称、その道路を走行した回数、その道路を走行した時刻、その時刻における当該道路の混雑状況などを意味している。また、「道路の周囲状況」とは、VICSなどで取得した道路の混雑情報や当該道路のある区間を走行するのに要した時間などを意味している。
また、「告知のためのデータ」とは、車両搭載装置50の表示装置56で表示させる告知用の表示データや音声出力装置58で告知用の音声出力を行うための音声データであり、「車両制御データ」とは、車両走行装置30のうちブレーキ制御装置34を制御するためのブレーキ力の強さやブレーキ作動時間などを指令するためのブレーキ制御データ、エンジン制御装置36を制御するためのエンジン出力を指令するエンジン制御データ、あるいは、ステアリング制御装置38を制御するためのステアリング角度を指示するステアリング制御データなどをいう。
可搬式記録装置18は、車両搭載装置50で取得した走行体験情報を走行体験履歴として記録するとともに、運転操作に影響を与える個人情報を記録するものであり、持ち運び可能に構成されている。
具体的には、USBメモリスティックのように制御部20に容易に装着可能であり、かつ、持ち運びができるようになっているものである。メモリスティック以外にも、制御部20にコネクタ接続などにより容易に装着可能になっていれば、不揮発性メモリ、小型耐震式のハードディスク装置でもよい。また、通信により走行体験情報を入出力できる携帯電話などでもよい。
制御部20は、室内カメラ12、車両周辺カメラ14、入出力部16、可搬式記録装置18を制御するためのものであり、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどから構成されている。
また、制御部20は、運転時の運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態を推定する心身状態推定処理と推定された運転者の心身の状態に応じて運転支援の度合いを決定する支援度決定処理とを行う。そして、決定された支援度に基づいて、車両搭載装置50や車両走行装置30に入出力部16を介して制御データを出力することによって車両搭載装置50や車両走行装置30を制御する。
心身状態推定処理は、運転時の運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態を推定する処理であり、室内カメラ12で撮像した運転者の表情、特にまぶたの動きに基づいて画像処理を行い、運転者の心身の状態を推定する。
例えば、室内カメラ12で撮像した運転者の表情から画像処理により運転者の眼の部分の領域を抽出する。次に、抽出した眼の部分の領域におけるまぶたの動きを検出する。そして、まぶたが所定時間以上閉じたままになっていたり、まぶたが閉じて開くまでの間隔が次第に長くなったり、まぶたを閉じる速さが次第に遅くなったりした場合などに運転者が覚醒状態でないと推定する。
支援度決定処理は、心身状態推定処理により推定された運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態に応じて運転支援の度合いを決定するものであり、後述するように、心身状態推定処理により得られた運転者の心身の状態に、車両搭載装置50のGPS車載器54により取得した進行方向前方の注意点までの距離、可搬式記録装置18に記録された走行体験履歴とGPS車載器54から取得された走行体験履歴との比較結果、あるいは、運転者の個人情報を加味して運転支援の度合いを決定する。
さらに、制御部20は、USBコネクタなど可搬式記録装置18を装着できるコネクタなどを備えている。また、可搬式記録装置18が携帯電話のように通信により走行体験情報を入出力できるようになっている場合には、それと通信できる送受信機能を有している。
車両搭載装置50は、GPS車載器54、表示装置56、音声出力装置58、車両搭載装置制御部52などから構成されている。
GPS車載器54は、少なくとも4つのGPS衛星からの電波を受信して車両の現在位置を検出し、その時々刻々の現在値を現在走行中の道路名称やその道路を走行した回数、その道路を走行した時刻とともに走行体験履歴として、車両搭載装置制御部52を介して、車両用運転支援装置10へ出力する。
また、GPS車載器54は、所定の地点、例えば、進行方向前方にある注意点までの距離などを算出して、車両搭載装置制御部52を介して、車両用運転支援装置10へ出力する。また、GPS車載器54は、VICS機能を有しており、VICS機能により取得した現在走行中の道路の混雑情報や当該道路のある区間を走行するために要した時間を道路の周囲状況として車両搭載装置制御部52を介して車両用運転支援装置10へ出力する。
表示装置56は、地図表示を行いGPS車載器で取得した車両の現在位置を地図上に表示したり、地図上で目的地までの経路を表示したり、その他種々の情報を表示するための装置である。具体的には、液晶パネル、CRT、HUD(Head Up Displayの略)、HMD(Head Mounted Display又はHelmet Mounted Displayの略)などである。また、音声出力装置58は、経路案内その他種々の情報を音声出力するための装置である。
車両搭載装置制御部52は、車両用運転支援装置10からの告知のためのデータを入力してGPS車載器54、表示装置56、音声出力装置58を制御するとともに、車両用運転支援装置10の入出力部16へ車両の現在位置、車両の走行履歴、道路の周囲状況などのデータを出力する。
車両走行装置30は、ブレーキ制御装置34、エンジン制御装置36,ステアリング制御装置38、走行装置制御部32などから構成されている。
ブレーキ制御装置34は、走行装置制御部32を介して車両用運転支援装置10から入力されるブレーキ制御データのブレーキ力の強さやブレーキ作動時間に基づいて、図示しないブレーキの作動力や作動時間を制御して車両の制動を行う。また、ブレーキ制御装置34は、図示しないポテンショメータや圧力センサにより、運転者がブレーキを踏んだ回数やブレーキペダルの踏み込み強さなどのブレーキ操作情報を取得し走行装置制御部32を介して入出力部16へ出力する。
エンジン制御装置36は、走行装置制御部32を介して車両用運転支援装置10から入力されるエンジン制御データのエンジン出力に基づいてエンジンの出力制御を行う。また、エンジン制御装置36は、図示しないポテンショメータなどのセンサによって、運転者がアクセルを操作したときのアクセル踏み込み量などのエンジン制御情報を取得し、走行装置制御部32を介して入出力部16へ出力する。
ステアリング制御装置38は、走行装置制御部32を介して車両用運転支援装置10から入力されるステアリング制御データのステアリング角度に基づいて、図示しないステアリングの角度を制御する。また、ステアリング制御装置38は、図示しない角度センサなどのセンサにより、運転者がステアリングを操作したときのステアリング角度などのステアリング操作情報を取得し、走行装置制御部32を介して入出力部16へ出力する。
走行装置制御部32は、車両用運転支援装置10の入出力部16から出力されるブレーキ制御データ、エンジン制御データ、ステアリング制御データをブレーキ制御装置34、エンジン制御装置36,ステアリング制御装置38に出力する。
また、走行装置制御部32は、ブレーキ制御装置34からブレーキ操作情報を入力し、エンジン制御装置36からエンジン制御情報を入力し、ステアリング制御装置38からステアリング操作情報を入力し、入力した各制御情報を入出力部16へ出力する。
(支援度決定処理)
次に、図2〜図6に基づいて車両用運転支援装置10の制御部20で実行される支援度決定処理について説明する。
図2は、支援度決定処理の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、支援度を決定するための要因とその関連を示した図である。図4は、支援度を決定するための要因と支援内容との関連を示した図である。図5は、支援度を決定するための要因と個人情報と各警告ポイントにおける支援内容との関連を示す図である。図6は、車両60の進行方向前方にある交差点62(注意点)までの警告ポイントを示す図である。
図2に示すようにS100では、室内カメラ12で取得された室内画像が入力され、続くS105では、S100において入力された室内画像から運転者が特定される。つまり、入力された室内画像から画像処理によって運転者の顔画像が抽出され、抽出された運転者の顔画像から画像処理により運転者が誰であるのかが特定される。
そして、続くS110では、S105において抽出された運転者の顔画像に基づいて運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態が推定される。
具体的には、運転者の顔画像から画像処理により運転者の眼の部分の領域が抽出される。次に、抽出された眼の部分の領域におけるまぶたの動きが検出される。そして、まぶたが所定時間以上閉したままになっていたら運転者が居眠り状態であると推定され、まぶたが閉じて開くまでの間隔が次第に長くなっていったり、まぶたを開閉する速さが次第に遅くなったりした場合には、運転者が居眠り状態に入りかけていると推定される。このように、運転者が居眠り状態や居眠り状態に入りかけていると推定されると運転者の心身の状態が「悪」と推定される。
逆に、運転者のまぶたが一定時間以上開いていたり、まぶたを開いている時間がまぶたを閉じている時間よりも長かったり、まぶたが一定以上の速さで開閉されている状態であれば、運転者は覚醒状態であり、運転者の心身の状態は「良」と推定される。
続くS115では、走行装置制御部32を介して車両操作情報が入力される。具体的には、走行装置制御部32を介して、ブレーキ制御装置34から、運転者がブレーキを踏んだ回数やブレーキペダルの踏み込み強さなどのブレーキ操作情報、エンジン制御装置36から、運転者がアクセルを操作したときのアクセル踏み込み量などのエンジン制御情報、ステアリング制御装置38から、運転者がスてアリングを操作したときのステアリング角度などのステアリング操作情報が入力される。
続くS120では、GPS車載器54を介して(さらに、車両搭載装置制御部52を介して)情報センタから送信されている各種情報が入力される。具体的には、VICSや情報センタから事故多発地点情報、例えば、交差点、スクールゾーン、踏切、道路の合流点などの位置情報が取得される。
また、S125では、GPS車載器54を介して車両の現在位置が入力される。このとき、今回入力された車両の現在位置と前回入力された車両の現在位置及び今回車両の現在位置が入力された時刻と前回車両の現在位置が入力された時刻との差に基づいて、車両の速度が算出される。
続くS130では、車両周辺カメラ14で取得された車両の周辺画像が入力され、続くS135では、S130において取得された車両の周辺画像から車両周辺状況が判定される。
具体的には、入力された周辺画像のうち車両前方の画像から車両前方に障害物がなく、交差点信号機等が運転者から見なくなっているか否かや、天候の悪化(霧、雨等)により信号機等が見えなくなったか否かが判定される。例えば、信号機等が見えなくなっているか否か次にように判定される。
車両が走行中であれば、画像中で車両の進行方向前方に対して車両の近い方にある物体ほど画像中で大きくなる割合が早いので、今回入力された画像と前回入力された画像とが比較されることにより、どの物体が交差点62よりも手前にあるのかが判定される。そして、交差点62よりも手前にある物体により交差点62にある信号機等がが遮られるか否かにより車両周囲の見通しが良好であるか否かが判定されるのである。
また、天候が悪化し、霧や雨が発生している場合には、霧や雨により交差点62に設置されている信号の像がぼやける。したがって、画像処理により信号機の輪郭の抽出を行うと、信号機の輪郭がはっきり抽出できないので、抽出した信号機の輪郭がぼやける。そして、信号機の輪郭のぼやけ度合いが所定の値以上の場合には、見通しが悪くなっていると判定され、ぼやけ度合いが所定の値未満であれば見通しは良いと判定されるのである。
また、見通し以外に車両周辺の危険対象物が抽出される。すなわち、S130において入力された車両の周辺画像から、車両の前方に、例えば、歩行者、他車両、自動二輪車、ベビーカー等、車両が危険を加える対象となるものや、工事現場や道路の陥没といった車両自体が危険になるものなどの危険対象物が画像処理により抽出される。
そして、危険対象物が抽出されるとともに、抽出された危険対象物が車両前方のどの位置にあるかが算出される。なお、この画像処理は、一般的な手法を用いれば実現できるため、画像処理の説明は省略する。
続くS140では、S105において特定された運転者に関する運転操作に影響を与える個人情報が可搬式記録装置18から入力され、続くS145では、S105において特定された運転者に関する走行体験履歴情報が可搬式記録装置18から入力される。
そして、続くS150において、運転支援の支援度を決定するための要因の有無及び要因がある場合にはその度合いが決定される。支援度を決定するための要因とは、危険度、精通度、熟練度、高齢度である。各々の要因は、図3に示すように以下の(ア)〜(エ)に示すように決定される。
(ア)危険度
危険度とは、現在運転者がどれくらい危険(運転者自身が危険である状態な状態にあるかを意味するものであり、S110において推定された運転者の運転に影響を与える心身の状態、S120において入力された天候情報、渋滞情報、事故多発地点情報、S125において入力された車両位置情報、及び、S135において判定された車両周辺状況などから決定される。
具体的には、まず、S135において抽出された危険対象物の画像の移動距離と画像処理速度とから車両方向に対する危険対象物の移動速度が算出される。つまり、まず、前回取得された画像と今回取得された画像とから同じ危険対象物が抽出される。そして、抽出された危険対象物の移動距離が前回の画像処理から今回の画像処理までにかかる時間で除されることにより移動対象物の移動速度が算出される。
次に、算出された危険対象物の車両方向への速度とS125で算出された車両の速度とから車両と危険対象物との相対速度が算出され、算出された相対速度とS125において入力された車両の現在位置と危険対象物との距離とから、車両が危険対象物へ到達する時間が算出される。そして、その到達時間が大きい場合、危険度は小、到達時間が小さい場合、危険度は大、到達時間が大と小の中間程度であれば、危険度は中と決定される。
これを、図6を用いて、さらに具体的に説明する。図6においては、説明を簡単にするため、車両60の速度は一定とする。図6に示すように、交差点62までの距離が大きい場合(本実施形態では700m)、つまり、交差点62までの到達時間が大きい場合には、危険度は「小」と決定され(図6の警告ポイントA参照)、交差点62までの到達時間が小さい場合(本実施形態では30m)には、危険度は「大」と決定され(図6の警告ポイントB参照)、交差点62を通過した直後の場合には、危険度は「中」と決定される(図6の警告ポイントC参照)。
(イ)精通度
精通度とは、その道に対して運転者がどれだけ精通しているかを意味するものであり、S145において入力された、運転者(S105において特定された運転者)の走行体験履歴から決定される。
具体的には、走行体験履歴から現在走行中の道路を走行した回数により決定される。例えば、その道を10回以上走行したことがあれば、その道路の精通度は高いと決定される。
(ウ)熟練度
熟練度とは、運転にどれだけ慣れているかを意味するものであり、S140及びS145において入力された、運転者(S105において特定された運転者)の個人情報及び走行体験履歴から決定される。
具体的には、運転者の個人情報のうち車両の運転経験がどれくらいあるのかを示す運転歴、独身なのか家族があるのか、家族がある場合、自分はどの位置の構成員なのか(祖父、祖母、父親、母親、長男、長女など)を示す家族構成などから決定される。
例えば、運転歴が20年以上あり、家族構成上父親である場合には、熟練度は高く、運転歴が1年未満であれば、家族構成に関わりなく熟練度は低いと決定される。
(エ)高齢度
高齢度とは、ある事象に対する反応速度、記憶力といった高齢化特性がどれくらい現れれいるかを意味するものであり、S145において入力された個人情報から決定される。具体的には、個人情報のうち年齢によって決定される。例えば、年齢が50歳以上であれば高齢度は高く、50歳未満30歳以上であれば高齢度は中であり、30歳未満であれば高齢度は低いと決定される。
以上のようにして運転支援の支援度を決定するための要因の有無と度合いが決定され、その結果、運転支援要因が存在すると決定されたら(S150:Yes)、続くS155及びS160において、S150で決定された各要因の有無によって告知内容が決定され、運転支援要因が存在しないと決定されたら(S150:No)、S165にて告知処理を停止し(告知処理が行われていなければ何も処理をせず)、S100へ処理が移行されて運転支援度決定処理が繰返される。
S155及びS160においては、図4に示すように、危険度の要因の有無により、告知の有無、告知のタイミング、告知の内容が決定され、精通度の要因の有無により、告知の有無が決定される。また、熟練度の要因の有無により、告知のタイミングが決定され、高齢度の要因の有無により、告知のタイミングと告知の内容が決定される。
そして、各要因の有無によって、告知を行うと決定された場合、各要因の度合いによって告知の内容が決定される。
具体的に例示する。図5のa欄に示すように、父親が運転しており、危険度が「低」、精通度が「高」、熟練度が「高」、高齢度が「中」である場合であって、図6に示すように車両60の位置が警告ポイントAの場合を考える。この場合は、交差点62からの距離が大きく、危険度も低く、精通度及び熟練度が高いので、高齢度が中であっても告知を行わない。
図6に示すように車両60の位置が警告ポイントBの場合は、要因に関して同じ条件であっても、交差点62からの距離が近くなるので、表示装置56による表示と音声出力装置58による音声出力とにより普通のタイミングで告知を行う。
図6に示すように車両60の位置が警告ポイントCの場合、つまり、車両が交差点62に到達している場合には、危険度が低いので告知を行わない。
また、図4のc欄に示すように、祖母が運転しており、危険度が「低」、精通度が「低」、熟練度が「低」、高齢度が「高」である場合、図6に示すように車両60の位置が警告ポイントAに場合には、交差点62からの距離か大きいが、危険度が高く、精通度及び熟練度が低いので、高齢度が低くても早いタイミングで表示装置56による表示で告知を行う。
図6に示すように車両60の位置が警告ポイントBの場合には、要因に関して同じ条件であっても、交差点62からの距離が近くなるので、表示装置56による表示と音声出力装置58による音声出力とにより普通のタイミングで告知を行う。また、告知の際、表示を点滅させたり音声出力の音量を大きくしたりすることによって、告知を強調して行う。
図6に示すように車両60の位置が警告ポイントCの場合、つまり、車両が交差点62に到達している場合には、危険度が低いので告知を行わない。
以上に例示したようにして、車両搭載装置50によって告知を行った後、処理がS100に移行され、処理が繰返される。
(走行体験履歴記録処理)
次に、可搬式記録装置18に走行体験履歴を記録するための処理について図7に基づき説明する。図7は、走行体験履歴処理の処理内容を表すフローチャートである。
走行体験履歴処理では、S200において、GPS車載器54から車両の走行時刻と走行位置とが入力され、続くS205では、走行装置制御部32から車両操作情報(ブレーキ操作情報、エンジン制御情報、ステアリング操作情報)が入力される。
続くS210では、運転者の走行体験履歴を記録するのか助手席の乗員(以下、助手席者と呼ぶ。)の走行体験履歴を記録するのかが判定される。なお、運転者と助手席者のうちどちらの走行体験を取得するかは、予め可搬式記録装置18に記憶されていたものを読み出して判定してもよいし。予め車両ごとに決められて、図示しないROMに記憶されていたものを読み出して判定するようにしてもよい。
そして、運転者の走行体験履歴を記録すると判定された場合(S210:運転者)続くS215で運転者のIDと共に運転者の走行体験履歴を可搬式記録装置に記録する。なお、「ID」とは、運転者や助手席者を識別可能にするために運転者や助手席者ごとに付けられる符号などであり、運転者や助手席者を識別できるのもであればどのような形式のものでもよい。IDの例としては、運転者や助手席者の氏名、ニックネーム、暗証番号、誕生日などである。
一方、S210において、助手席者の走行体験履歴を記録すると判定された場合(S120:助手席者)、S220において、室内カメラ12から室内カメラ画像が入力される。そして、続くS225において助手席者が覚醒状態であるか否かが推定される。
具体的には、室内カメラ12で撮像された室内画像から画像処理によって、助手席者の顔画像が抽出される。そして、抽出された助手席者の顔画像から助手席者の眼の部分の領域が抽出される。
次に、抽出された眼の部分の領域におけるまぶたの動きが検出される。そして、まぶたが所定時間以上閉したままになっていたら運転者が居眠り状態であると推定され、まぶたが閉じて開くまでの間隔が次第に長くなっていったり、まぶたを開閉する速さが次第に遅くなったりした場合には、運転者が居眠り状態に入りかけている、つまり覚醒状態ではないと推定される。
逆に、運転者のまぶたが一定時間以上開いていたり、まぶたを開いている時間がまぶたを閉じている時間よりも長かったり、まぶたが一定以上の速さで開閉されている状態であれば、運転者は覚醒状態であると推定される。
そして、覚醒状態であると推定された場合(S225:Yes)、S230において、助手席者の顔向きが判定される。具体的には、S220において抽出された助手席者の顔画像から助手席者が車両前方を向いているのか車両側方を向いているのかが判定される。そして、助手席者の顔が車両前方を向いていると判定されたら(S230:前方)、S215において助手席者のIDと共に走行体験履歴が可搬式記録装置に記録され、車両側方を向いていると判定された場合(S230:側方)には、処理がS235に移行され、走行体験履歴が記録されず、S200へ処理が移行され、走行体験履歴処理が繰返される。
一方、S225において、助手席者が覚醒状態ではないと推定された場合(S225:No)、S235において走行体験履歴の記録が停止され(記録処理が行われていなければ何も処理をせず)、S200へ処理が移行されて走行体験履歴記録処理が繰返される。
(車両用運転支援システム1の特徴)
以上のように構成された車両用運転支援システム1では、車両に乗車している乗員の走行体験情報が乗員ごとにIDとともに走行体験履歴として、可搬式記録装置18に記録される。
さらに、可搬式記録装置18に記録された走行体験履歴のうち室内カメラ12から入力された室内画像から特定された運転者の走行体験履歴に基づいて、特定された運転者に対する運転支援の度合いが決定される。そして、決定された支援度合いに基づいて、車両搭載装置50による運転支援のための告知が行われる。
つまり、持ち運びができる可搬式記録装置18に記録された走行体験履歴に基づいて運転支援が行われるので、運転者が可搬式記録装置18を他の車両に持ち運べば、運転者は、過去に運転したことがない車両で過去の走行体験履歴に基づいた運転支援を受けることができる。
また、可搬式記録装置18には、運転操作に影響を与える個人情報(運転者の年齢、家族構成、持病の有無など)が記録される。そして、運転者の過去の走行体験履歴記録に、記録された個人情報が加味されて運転支援の度合いが決定されるので、運転者にとってより適切な運転支援が行われる。
また、個人情報が記録されている可搬式記録装置18は、持ち運び可能に構成されているので、運転者が持ち運びできる。したがって、運転者にとっては使いやすくなる。また、非常に簡単なシステム構成で個人情報に基づいた運転支援を行うことができる。
さらに、走行体験履歴記録処理によって、運転者と助手席者の走行体験情報が取得されるようになっている。そして、運転者と助手席者の走行体験履歴取得の際、運転者の走行体験履歴は、運転操作の間常に取得され、助手席者の走行体験履歴は助手席者の覚醒度や顔向きによって、走行体験履歴として意味のあるもの、つまり、助手席者が走行体験履歴として認識しているものだけが走行体験履歴として取得される。つまり、乗員に応じて最適な走行体験履歴を取得することができる。
また、室内カメラ12から入力した運転者の顔画像、つまり、運転者の生体情報から運転時の運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態が推定され、推定された運転者の心身の状態を加味して運転支援の度合いが決定される。そして、運転者の覚醒度が十分でなかったり、運転者が脇見運転をしている状態のときには、車両搭載装置50の表示装置56や音声出力装置58により運転者への運転操作支援のための告知がなされるので、運転者はより適切に危険回避を行うことができる。
逆に、運転者が十分に覚醒しており、また、脇見運転もしていない状態、つまり、運転に集中している状態であれば、運転支援のための告知の強さが弱められたり、告知の頻度が下げれられたりするので、運転者が安全に運転できる状態を保ちつつ、運転者にとって煩わしくない運転支援を行うことができる。
また、車両の現在位置から予め設定された車両進行方向の交差点(注意点)までの距離を加味して運転支援の度合いを決定し、運転支援のための告知の頻度を増減したり告知の内容や告知のタイミングを変化させているので、告知を受けた運転者は、交差点において告知に基づいて安全に運転を行うことができる。
また、車両周辺カメラ14から入力した車両の周囲状況を加味して運転支援の度合いを決定し、運転支援のための告知の内容や告知のタイミングを変化させているので、運転者は安全運転ができるようになる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態として、車両用運転支援システム2について図8に基づき説明する。図8は、車両用運転支援システム2の概略構成を示すブロック図である。
車両用運転支援システム2の構成及び走行体験履歴記録処理は、第1実施形態における車両用運転支援システム1の構成(図1参照)、支援度決定処理(図2参照)及び走行体験履歴処理(図7参照)に類似しているので、同じ構成要素及び同じ処理には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
車両用運転支援システム2は、図8に示すように、第1実施形態における車両用運転支援システム1の可搬式記録装置18(図1参照)に代えて外部記録装置18を備え、送受信機24が加えられている。
外部記録装置18は、車両外部に設けられており、乗員の走行体験情報を取得するための車両搭載装置50で取得した各乗員の走行体験履歴を乗員ごとに識別可能に記録するとともに、特定の乗員の走行体験履歴を送信する旨の送信指令に基づいて、記録した各乗員の走行体験履歴のうち送信指令で特定された乗員の走行体験履歴を送信するものである。
具体的には、図示しない送受信機、ハードディスクなどの記憶装置及び制御装置などで構成されており、情報センタなどに設置されている。そして、乗員の走行体験履歴を乗員ごとに識別するIDとともに記録する。
さらに、特定の乗員の走行体験履歴を送信する旨の送信指令を図示しない送受信部で受信、つまり、特定の乗員のIDを含んだ送信指令を受信すると、記録された走行体験履歴のうちから受信したIDに合致する乗員の走行体験履歴を図示しない送受信部を介して送信する。
送受信機24は、室内カメラ12から入力された室内画像に基づいて特定された運転者の走行体験履歴を送信する旨の送信指令を外部記録装置18へ送信するとともに、その送信指令に基づいて外部記録装置18から送信される運転者の走行体験履歴を受信するものである。また、送受信機24は、車両搭載装置50でで取得した各乗員の走行体験情報を乗員ごとに識別可能な走行体験履歴として外部記録装置18へ送信する。
(支援度決定処理)
車両用運転支援システム2における支援度決定処理は、図2に示す第1実施形態における車両用運転支援システム1の支援度決定処理に対しS140において個人情報を取得するときの処理内容が異なる。
具体的には、S105において特定した運転者のIDを送受信機24を介して外部記録装置18へ送信する。そして、そのIDを受信した外部記録装置18から送信される運転者の個人情報を送受信機24を介して入力する。
(走行体験履歴記録処理)
車両用運転支援システム2における走行体験履歴記録処理は、第1実施形態における車両用運転支援システム1の走行体験履歴記録処理に対しS215における走行体験履歴を記録する際の処理内容が異なる。
具体的には、S200において取得された走行時刻と走行位置及びS205において取得された車両操作情報とが乗員のIDと共に送受信機24を介して外部記録装置18へ送信される。
なお、外部記録装置18では、送受信機24から送信された走行体験履歴が図示しない送受信部で受信されてハードディスクなどへ記録される。
(車両用運転支援システム2の特徴)
以上のように構成された車両用運転支援システム2では、車両に乗車している乗員の走行体験情報が乗員ごとにIDと共に走行体験履歴として、車両外部に設けられた外部記録装置18に記録される。そして、IDで特定される乗員の走行体験履歴を送信する旨の送信指令に基づいて、記録された各乗員の走行体験履歴のうちIDで特定された乗員の走行体験履歴が送信される。
また、IDで特定された運転者の走行体験履歴を送信する旨の送信指令が送受信機24によって外部記録装置18へ送信されるとともに、その送信指令に基づいて外部記録装置18から送信される運転者の走行体験履歴が送受信機24によって受信される。
このように、外部記録装置18に記録された各乗員の走行体験履歴のうち、IDにより特定された運転者の運転履歴が送受信機24により受信され、受信された走行体験履歴に基づいて運転支援が行われる。したがって、車両用運転支援システム2が装備された車両であれば、運転者は、走行体験履歴を持ち運んだりしなくても、過去に運転したことがない車両(例えば、友人の車両やレンタカーなど)で過去の走行体験履歴に基づいた運転支援を受けることができる。
また、車両搭載装置50で取得された各乗員の走行体験情報が乗員ごとにIDと共に走行体験履歴として外部記録装置18へ送信される。したがって、走行体験履歴を記録する際に記録媒体などを外部記録装置に接続する必要がなくなるので乗員にとって使いやすい車両用運転支援システムとなる。
また、走行体験履歴がリアルタイムで外部記録装置18に記録される。したがって、外部記録装置18に記録される走行体験履歴は常に最新のものとなる。つまり、常に最新の走行体験履歴に基づいて運転支援が行われるので、運転者はより適切な運転支援を受けることができるようになる。
また、送受信機24により個人情報及び走行体験履歴が外部記録装置18に記録されるので、車両外部の情報センタなどに設置された外部記録装置18のセキュリティを確保すれば、個人情報が外部に漏れるようなことがなくなるので、個人情報の秘匿性を向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態として、運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態を車両の走行状態から間接的に推定し、さらに、注意点(交差点)からの距離を加味して支援度を決定するようにした車両用運転支援システム3について説明する。
システムの構成や支援度決定処理は上記第1実施形態及び第2実施形態と同じであるので説明は省略する。
(支援度決定処理)
図9に車両用運転支援システム3の支援度決定処理のフローを示す。図9に示す支援度決定処理では、図10に示すように車両60が歩行者64が居る交差点62に向けて進行する際の支援度を決定するケースのフローを示している。なお、図10に示すケースでは、運転者は、父親(つまり、熟練度は高)とする。
第3実施形態における支援度決定処理におけるS110の運転者の心理状態を推定する処理では、車両周辺カメラ14によって車両走行中に連続的に取得した画像から、画像処理によってセンターラインを抽出し、抽出したセンターラインからの車両横方向へのずれ変化率を算出する。算出した変化率が周期的に変化していたり、不規則に変化している場合に車両がふらついていると判定し、運転者が居眠り状態にある、つまり、運転者が覚醒状態ではないと推定する。
そして、S145において走行体験履歴が入力された後、S300では、GPS車載器54を介して、VICSや情報センタから事故多発地点情報、例えば、交差点、スクールゾーン、踏切、道路の合流点などの位置情報が取得され、続くS305で、S300において取得された事故多発地点情報から、車両の走行方向前方に事故多発地点があるか否かが決定される。そして、車両の前方に事故多発地点がある場合には、GPS車載器54を介して、車両の現在値からその事故多発地点までの距離と車両の速度とが取得される。
続くS310では、危険の可能性がある要因が存在するか否かが判定される。具体的には、S135で危険対象物がある場合、又は、S305で事故多発地点がある場合に危険の可能性がある要因が存在すると判定される。そして、危険の可能性がある要因が存在すると判定された場合(S310:Yes)、S315が実行され、危険の可能性がある要因が存在しない場合(S310:No)、S335にて告知処理や車両支援制御を停止し(告知処理や車両支援制御が行われていなければ何も行わず)、S100へ戻って本処理が繰り返される。
S315では、S135にて算出された危険対象物の位置と車両の位置とから車両と危険対象物までの距離が算出され、続くS320では、S315において算出された車両と危険対象物までの距離と危険対象物とに応じて危険度が決定される。
具体的には、まず、S135において抽出された危険対象物の画像の移動距離と画像処理速度とから車両方向に対する危険対象物の移動速度が算出される。つまり、前回取得した画像から抽出された危険対象物と今回取得した画像から抽出された同じ危険対象物の移動距離が前回の画像処理から今回の画像処理までにかかる時間で除されることにより移動対象物の移動速度が算出される。
次に、算出された危険対象物の車両方向への速度とS125で取得された車両の速度とから車両と危険対象物との相対速度が算出され、算出された相対速度とS315において算出された車両と危険対象物との距離とから、車両が危険対象物へ到達する時間が算出される。そして、その到達時間が大きい場合、危険度は小、到達時間が小さい場合、危険度は大、到達時間が大と小の中間程度であれば、危険度は中と決定される。
これを、図10を用いて、さらに具体的に説明する。図10においては、説明を簡単にするため、車両60の速度は一定であり、歩行者は止まっている、つまり、車両60と歩行者64との相対速度は一定とする。図10に示すように、交差点62にいる歩行者64までの距離が大きい場合(本実施形態では700m)、つまり、歩行者までの到達時間が大きい場合には、危険度は「小」と決定され(図10のシーンI参照)、歩行者64までの距離が中の場合(本実施形態では300m)、つまり、歩行者64までの到達時間が中の場合には、危険度も「中」と決定され(図10のシーンII参照)、歩行者64までの距離が小さい場合(本実施形態では30m)、つまり、歩行者64までの到達時間が小さい場合には、危険度は「大」と決定される(図10のシーンIII参照)。
次に、S325では、S320において決定された危険度、S140において入力された運転者の個人情報、S145において入力された走行体験履歴情報とS110において推定された、運転操作に及ぼす運転者の心身の状態とに応じて運転支援内容が決定される。
具体的には、図11(a)に示すように、渋滞情報があった場合には、他の条件に拘わらず、危険度ごと、つまり、危険度の大、中、小に応じて以下のように運転支援内容が決定される
(ア)危険度:小の場合には、運転支援が行われない。すなわち、車両搭載装置50の表示装置56及び音声出力装置58での告知も行われず、車両走行装置30における運転支援制御も行われない。
(イ)危険度:中の場合には、注意喚起、つまり、表示装置56での注意喚起表示や音声出力装置58での注意喚起音声出力が行われる。
(ウ)危険度が大の場合には、車両制御支援が行われる。
(エ)車両が交差点62に入った場合(図10のシーンIV)には、車両が停止される。
ドライバの状態:「悪」の場合、つまり、運転者が覚醒状態にない場合には、他の条件に拘わらず、危険度:小で告知が行われ、危険度:中で注意喚起が行われ、危険度大で車両制御支援が行われる。
また、運転者の心身の状態が「良」の場合、つまり、運転者が覚醒状態にあり、かつ、渋滞情報がない場合には、危険度:中で注意喚起が行われ、危険度:大で車両制御支援が行われる。さらに、その時間帯での走行体験がα回未満の場合(熟練度:低)には、危険度:小でも告知が行われ、その時間帯での走行体験がα回以上の場合(熟練度:大)には危険度:小では告知が行われない。
このようにして、支援内容が決定された後、さらに、S320にて決定された危険度に応じた支援内容に基づき以下のように告知するか車両支援制御をするかの判定が行われ、S160における告知やS330における車両制御支援が行われる。
具体的には、図11(b)の(1)に示すように、(エ)運転者の状態:「悪」で周囲の見通し:「悪」の場合、以下のようになる。
(エ)危険度:小の場合、早いタイミングで告知が行われる。つまり、交差点62からの距離が700mになったら即刻告知が行われる。また、告知の内容も、例えば、警告表示が点滅するとともに警告音が鳴り、かつ、「この先に信号のある交差点62があります。」という音声が出力されるというように告知内容が強調されたものとなる。
(オ)危険度:中の場合、告知のタイミングは早く、交差点62からの距離が300mになったら即刻告知が行われる。また、より速いテンポで警告音が鳴り、「もうすぐ交差点62です注意して走行してください。」というように、危険度:小の場合に比べ、危険度をより強調する表現の警告音と音声出力内容とがなされる。さらに、音声出力の音量も危険度:小の場合に比べ大きくなり、運転者の覚醒を促すようになっている。
(カ)危険度:大の場合、告知のタイミングは早く、交差点62からの距離が30mになったら即刻告知車両制御支援が行われる。つまり、交差点62からの距離が30mになったら、エンジン制御装置36にエンジン出力を絞る旨のエンジン制御データが出力され、車両の速度を低下させる。
(キ)その状態でもドライバが覚醒せず、車両が交差点62に入った場合(この状態を図9のシーンIVで「遅く」と称している。)には、ブレーキ制御装置34にブレーキを作動させる旨のブレーキ作動データを出力して車両を停止させる。
次に、図11(b)の(2)に示すように、運転者の状態:「悪」で周囲の見通し:良の場合、危険度:小であっても図11(b)の(1)の場合と同様に早いタイミングで告知が行われる。ただし、告知の内容が図11(b)の(1)の場合とは異なり、通常の告知、例えば、「交差点62に近づきます。」が点滅せずに表示され、「交差点62に近づきます。」という音声出力が1回だけなされるというような告知となる。危険度:中及び危険度:大の場合には、図11(b)の(1)の場合と同様の告知がなされる。
そして、図11(b)の(3)に示すように、運転者の状態:「良」で周囲の見通し:「悪」の場合には、危険度:小及び危険度:中のときは、上記図11(b)の(2)の場合と同様のタイミングで同様の告知がなされる。また、危険度:大のときには、通常のタイミング、つまり、交差点62からの距離が30mとなったら、車速に応じ、例えば、車速が小さい場合にはタイムラグを持たせて車両制御支援を行う。このときの車両制御支援の内容は、上記(1)の場合と同じである。
また、図11(b)の(4)に示すように、運転者の状態:「良」で周囲の見通し:「良」の場合には、危険度:小、中、大いずれのときも通常のタイミングで告知、注意喚起及び車両制御支援が行われる。
以上のように、告知や車両運転制御支援が行われた後、S100へ戻って処理が繰り返される。
(車両用運転支援システム3の特徴)
以上に説明した車両用運転支援システム3では、車両搭載装置50のGPS車載器54から取得した車両の現在位置から車両の進行方向前方にある交差点62までの距離に応じて危険度を決定し、その危険度に応じて、告知、注意喚起、車両制御支援、車両停止制御などを行っている。
また、車両周辺カメラ14で撮像した画像を用い、心身状態推定処理により運転者の覚醒度や運転への集中度などの運転操作に影響を及ぼすような運転者の心身の状態を推定し、推定した運転者の心身の状態によって、運転支援の度合いを決定する。そして、決定した運転支援の度合いに基づいて車両搭載装置50の表示装置56や音声出力装置58を介して運転者に運転支援のための告知をしたり、車両走行装置30を制御したりして運転支援を行ったりする。
したがって、例えば、運転者の覚醒度が十分でない状態のときには、交差点62からの距離に応じて、車両搭載装置50を介して運転者へ告知、注意喚起が行われたり、車両走行装置30を介して車両制御支援が行われるので、より適切に危険回避を行うことができる。
逆に、運転者が十分に覚醒している状態、つまり、運転に集中している状態であれば、運転支援のための告知を行わなかったり、注意喚起のタイミングを遅らせたりしているので、運転者が安全に運転できる状態を保ちつつ、運転者にとって煩わしくない運転支援を行うことができる。
また、走行した道路の走行回数を記録し、車両が現在走行している道路が過去に所定の回数(本実施形態ではα回:ただしαは10)以上走行したことがある道路(つまり、熟練度が高い道路)であり、かつ、運転者が覚醒した状態で運転している場合には、交差点62の手前での告知を行わないようにしている(図11(a)の(3)に示す場合)ので運転にとって煩わしさがなくなる。
一方、走行している道路が過去にα回以上走行したことがある道路(つまり、熟練度が高い道路)であっても、運転者が覚醒していない状態であれば、交差点62から所定の距離の位置で危険告知を行う(図11(a)の(4)に示す場合)ので、危険回避を行うことができる。
さらに、走行している道路が過去にα回未満しか走行したことがない道路(つまり、熟練度が低い道路)である場合には、運転者の覚醒度に拘りなく交差点62から所定の距離以内になったときに、運転支援のための告知を行うようにすれば、運転者の注意度が高まるので、運転者は交差点62を安全に通行することができる。
また、車両周辺カメラ14で車両周囲の見通しを測定し、車両周囲の見通しが悪くなっている場合、運転支援の度合いを高める、つまり、告知を強調したり、支援制御を行うようにしたりしているので、運転者は安全運転ができるようになる。
また、運転支援の度合いに基づき、車両走行装置30のブレーキ制御装置34やエンジン制御装置36やステアリング制御装置38の制御を行うようにしているので、危険回避をより効果的に行うことができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態として、赤外線カメラ22を用いて、危険対象物として交差点62近傍の人を検知して運転支援を行う車両用運転支援システム4について図12及び図13に基づき説明する。
車両用運転支援システム4の構成及び支援度決定処理は、図12に示すように赤外線カメラ22を備えること及び赤外線カメラ22を備えたことによる処理の追加以外は第1実施形態の車両用運転支援システム1と同じであるので、同じ構成要素及び処理には同じ符号を付して、説明を省略し、異なる部分について説明する。
赤外線カメラ22は、車両進行方向前方にある交差点62及び交差点62近傍の生体の有無を検知するものであり、車両の前方の生体を撮像できるように車室内又は車体の前部に車両前方に向けて取り付けられている。この赤外線カメラ22は、人体や犬などの生体の発する熱を赤外線画像として取得するカメラであり、室内カメラ12に比べて比較的広い範囲の画像が取得できるようになっている。
制御部20は、第1実施形態で説明した支援度決定処理の内容に加え、赤外線カメラ22で取得した画像中に人の体温に相当する熱源があるか否かを判定し、それに基づいて告知や車両制御支援を行う。
具体的には、図13に示すように、第3実施形態の支援度決定処理と同様にS100〜S305が実行され、S305において事故多発地点の有無が決定された後、S400において、赤外線カメラ22で取得された赤外線画像が入力される。
次に、S405では、S400において入力された赤外線画像から交差点に居る人の温度に相当する熱源があるか否かが判定される。
続くS410では、人の体温に相当する熱源があれば画像中に人が居る、つまり、車両前方の交差点62又は交差点62近傍に人が居ると判定されれば(S410:Yes)、処理がS415へ移行され、熱源がなければ人は居ないと判定され(S410:No)、処理がS310へ移行される。
そして、S310〜S325では第3実施形態の支援度決定処理と同様に支援内容が決定され、S160とS330とで第3実施形態の支援度決定処理と同様に告知、又は、車両支援制御が行われ、S335では告知が行われず、S100へ処理が移行される。
一方、S415では、車両の交差点62までの距離が小以下であるか否かが判定され、距離が小以下(S415:Yes)であれば、処理がS425へ移行され、距離が小より大きければ(S415:No)、処理がS420へ移行される。
S420では、車両搭載装置50の表示装置56に「交差点62に人が居ます。」との点滅表示を行わせる指令が出力されるとともに、音声出力装置58に「交差点62に人がいます。注意してください。」との音声出力を行わせる指令が出力された後、S100へ戻って処理が繰り返される。
S425では、交差点62までの距離が短いので、車両走行装置30のエンジン制御装置36にエンジン出力を絞る旨の指令が出力されるとともに、ブレーキ制御装置34にブレーキを掛ける旨の指令が出力された後、S100へ戻って処理が繰り返される。
以上のように、車両用運転支援システム4では、赤外線カメラ22により取得した赤外線画像により交差点62又は交差点62近傍に人がいる旨の告知や車両制御支援が行われるので、人との衝突を避けるという重要な危険回避運転を支援することが可能となる。
[その他の実施形態]
(1)上記各実施形態では、運転者の心身の状態を直接推定するために、室内カメラ12を用いていたが、心電図測定器を用いて運転者の心拍数を計測し、心拍数が下がったら覚醒度が下がっていると推定してもよいし、脳波計を用いて脳波を計測し、覚醒度を推定するようにしてもよい。
(2)また、運転者の心身の状態を間接的に推定するために、室内カメラ12を用いる代りに、車両搭載装置50で車両の進行方向前方にある交差点62からの距離を取得し、その距離に対してブレーキを掛けるタイミングが遅いか否かを判定して運転者の心身の状態を推定してもよい。
(3)また、道路の混雑状況を取得するために、VICS情報の代りに、走行中の道路のある区間を走行するのに要した時間を計測し、過去の所要時間と比較して道路の混雑状況を取得するようにしてもよい。
(4)また、道路の周囲状態は、交差点62までの見通し以外に、インターネットで配信される気象予報等で取得した晴れ、雨、霧といった車両の周囲の天候状況、照度計で昼間又は夜間といった日照状況、車両周辺カメラ14で取得した道路面の状態などであってもよい。
(5)また、赤外線カメラ22で取得する熱画像(つまり、危険対象物)は人だけでなく、例えば、犬や猫などの動物であってもよい。なぜならば、犬や猫の場合、その犬や猫がペットであった場合、その近傍にその飼い主である人がいる可能性が高いからである。
(6)また、室内カメラ12によって取得した画像から人のまぶたの動きを抽出する代りに、取得した画像から運転者の顔画像を抽出し、運転者が前方を見ているか否か、つまり、運転者が脇見運転をしている状態であるか否かを推定するようにしてもよい。
(7)事故多発地点は、GPS車載器54の地図データ中に予め事故多発地点データとして設定されている場合には、その事故多発地点データを用いてもよい。
(8)生体検知手段としては、赤外線カメラ22のように生体反応を直接検知するもの以外に、携帯電話など歩行者が持っている通信機器と通信可能な通信装置を設け、歩行者の持っている通信機器と通信を行い、例えば、歩行者の個人識別データを受信することによって、生体の存在を間接的に検知するものなどを用いてもよい。
(9)また、事故多発地点としては、交差点62以外に、スクールゾーン、踏切、道路の合流点などであってもよい。
(10)運転支援の支援度を決定するための要因として、危険度、精通度、熟練度、高齢度以外の要因を用いてもよい。
なお、本明細書において、制御部20が制御手段、心身状態推定手段及び支援度決定手段に相当する。
また、車両搭載装置50が車両搭載機器に、ブレーキ制御装置34、エンジン制御装置36、ステアリング制御装置38が車両走行装置に各々相当し、室内カメラ12が生体情報取得手段に、入出力部16が距離取得手段及び走行体験履歴取得手段に、可搬式記録装置18が可搬式走行体験履歴記録手段に、外部記録装置18が外部走行体験履歴記録手段に各々相当する。
また、送受信機24が送受信手段、走行体験履歴送信手段、個人情報出力指令送信手段及び個人情報受信手段に相当し、車両周辺カメラ14及び入出力部16が周囲状況取得手段に、赤外線カメラ22が生体検知手段に、表示装置56及び音声出力装置58が告知手段に各々相当する。
1,2,3,4…車両用運転支援システム、10…車両用運転支援装置、12…室内カメラ、14…車両周辺カメラ、16…入出力部、18…可搬式記録装置、外部記録装置、20…制御部、22…赤外線カメラ、24…送受信機、30…車両走行装置、32…走行装置制御部、34…ブレーキ制御装置、36…エンジン制御装置、38…ステアリング制御装置、50…車両搭載装置、52…車両搭載装置制御部、54…GPS車載器、56…表示装置、58…音声出力装置、60…車両、62…交差点、64…歩行者。