JP4786084B2 - 粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチに関するものであり、特にトーチヘッドを素管の内部に挿入して、素管の内周面に肉盛溶接を行う粉体プラズマ肉盛溶接用トーチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トーチヘッドと、電源等の溶接機本体とトーチヘッドとを接続するトーチボディとを具備して、素管の内周面に肉盛溶接を行う粉体プラズマ肉盛溶接用トーチが知られている。この溶接装置では、通常、トーチヘッドとトーチボディの一部とを素管の内部に挿入した状態で素管を回転させると共にトーチヘッドを素管内で移動させて、素管の内周面に螺旋状の肉盛部を形成する肉盛溶接を行っている。この種の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチは、石油反応管や射出成形シリンダ等の素管において、該素管内面に耐食、耐摩耗性を有する溶接材を肉盛溶接するために用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、素管の寸法、形状等に応じて、それぞれの種類の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを用いなければならず、使用が面倒であった。また、この種の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、トーチボディが剛性を有しているため、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ全体をコンパクト化できず、輸送が大掛かりになる。そのため、トーチヘッドに故障が生じた場合に、修理が大変であった。
【0004】
本発明の目的は、素管の寸法、形状等が異なっても容易に使用することができる粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、トーチヘッドに故障が生じても簡単に修理ができる粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、トーチヘッドの収束ノズルの開口部から素管の内周面への距離が変化するのを抑制でき、均等な大きさの肉盛部を形成できる粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、トーチボディに跳ねが生じるのを防止できる粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とする粉体プラズマ肉盛溶接用トーチは、長尺の素管の内部に挿入されて素管の内周面に肉盛溶接を行うトーチヘッドと、先端にトーチヘッドが装着された長尺のトーチボディとを具備している。そして、トーチヘッドをトーチボディに交換可能に連結する。本発明のように、トーチヘッドをトーチボディに交換可能に連結すれば、トーチヘッドを交換するだけで、素管の寸法、形状等に応じた溶接を行うことができ、従来のように、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ全体の交換を行う必要がなく、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの使用が簡単になる。また、トーチヘッドに故障が生じた場合には、トーチヘッドを交換して修理を行えばよく、トーチヘッドの修理が容易である。
【0009】
トーチヘッドまたはトーチボディには、溶接を行う際にトーチヘッドの収束ノズルの開口部と素管の内周面との距離をほぼ一定に維持できるように、内周面と当接する間隙形成用スペーサ部材を設けるのが好ましい。このように間隙形成用スペーサ部材を設ければ、トーチヘッドの重量やトーチボディの撓みでトーチヘッドの収束ノズルの開口部と素管の内周面との距離が縮まるのを抑制でき、均等な大きさの肉盛部を形成できる。
【0010】
また、トーチボディが長くなると、肉盛溶接の際にトーチボディの素管内で撓み易くなる。特に、間隙形成用スペーサ部材を設けると、間隙形成用スペーサ部材と素管の内周面との当接具合によっては、素管が回転される際にトーチボディに跳ねが生じて撓みが大きくなることがある。そこで、肉盛溶接の際におけるトーチボディの素管内での撓みを防止するように、素管の内周面と当接する1以上の撓み抑制用スペーサ部材をトーチボディに設けるのが好ましい。
【0011】
本発明の具体的な粉体プラズマ肉盛溶接用トーチは、長尺の素管の内部に挿入されて素管の内周面に肉盛溶接を行うトーチヘッドと、先端にトーチヘッドが装着された長尺のトーチボディとを具備している。そして、トーチボディは、接続管体と、接続管体内に配置されて冷却水,ガス等をそれぞれトーチヘッドに供給する複数のパイプとを有している。複数のパイプの内少なくとも2本のパイプは導電材料から形成されており、2本のパイプの一方のパイプは、直流電源の一方の極性の出力電極に接続されて第1の導電部を構成し、他方のパイプは、直流電源の他方の極性の出力電極に接続されて第2の導電部を構成している。トーチヘッドは、前述の棒状電極と、棒状電極を支持する導電材料製の電極支持部と、導電材料製の収束ノズルと、収束ノズルを支持する導電材料製のノズル支持部と、電極支持部とノズル支持部との間に配置されて両者の間の電気的な絶縁を図るヘッド側絶縁部材とを有している。ヘッド側絶縁部材は、電極支持部及びノズル支持部よりトーチボディ側に突出する突出部を有している。トーチボディの接続管体のトーチヘッド側の端部には、電気絶縁材料からなる絶縁フランジが固定されている。絶縁フランジには、突出部が間に嵌合される空隙部を形成するように配置された導電材料性製の第1及び第2の接続部材半部からなる接続部材が取り付けられている。一方のパイプは、絶縁フランジを貫通して第1の接続部材半部と接続されており、他方のパイプは、絶縁フランジを貫通して第2の接続部材半部と接続されている。電極支持部が第1の接続部材半部と接触し、ノズル支持部が第2の接続部材半部と接触している。そして、トーチヘッドと接続部材とを固定する複数のボルトによって、トーチヘッドがトーチボディに交換可能に連結されている。
【0012】
このような粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、ボルトの締め付け及び取り外しにより、接続部材とトーチヘッドとを容易に連結及び分離できる。これによりトーチヘッドがトーチボディにボルトを用いて交換可能に連結される。また、接続部材とトーチヘッドとが連結されることにより第1の接続部材半部と電極支持部とが接合して、第1の導電部を構成する一方のパイプ,第1の接続部材半部,電極支持部を介して電源(溶接機本体)の一方の極側から棒状電極に電流が通電されることになる。また、接続部材とトーチヘッドとが連結されることにより第2の接続部材半部とノズル支持部とが接合して、第2の導電部を構成する他方のパイプ,第2の接続部材半部,ノズル支持部を介して電源(溶接機本体)の他方の極側から収束ノズルに電流が通電されることになる。
【0013】
特に本発明では、ヘッド側絶縁部材にトーチヘッド側に突出する突出部を形成しているので、第1及び第2の接続部材半部の間の空隙部に突出部を嵌合させることにより、トーチヘッドとトーチボディとの位置合わせが容易に行える。
【0014】
前述のトーチヘッドと接続部材とを固定するボルトにより、接続部材を絶縁フランジに取付けることができる。このようにすれば、少ない本数のボルトでトーチヘッドと接続部材と絶縁フランジとをまとめて固定できる。
【0015】
トーチヘッドと第1の接続部材半部とをボルトで固定する具体的な手段としては、第1及び第2の接続部材半部に複数の接続部材側ボルト貫通孔を形成し、絶縁フランジに複数の接続部材側ボルト貫通孔と整合するフランジ側ボルト貫通孔を形成する。このフランジ側ボルト貫通孔は、複数のボルトの頭部が配置される大径部と複数のボルトの軸部が配置される小径部とを有している。また、電極支持部及びノズル支持部に複数の接続部材側ボルト貫通孔と整合する複数の螺子孔を形成する。そして、トーチヘッドとトーチボディとは、複数のボルトを複数のフランジ側ボルト貫通孔及び複数の接続部材側ボルト貫通孔を貫通して複数の螺子孔に螺合して、脱着可能に連結する。このようにすれば、複数の接続部材側ボルト貫通孔及び複数のトーチボディ側ボルト貫通孔を貫通させてトーチヘッドの複数の螺子孔にボルトを螺合して締め付けることにより、接続部材とトーチヘッドとを連結することができ、ボルトを外すことにより接続部材とトーチヘッドとを分離することができる。
【0016】
絶縁フランジには、トーチボディの複数パイプが貫通するフランジ側貫通孔を形成し、接続部材には、フランジ側貫通孔と連通して複数のパイプの端部が嵌合される嵌合孔と、嵌合孔と連通してトーチヘッド側に開口する連通孔とを形成すればよい。そして、トーチヘッドには、連通孔と整合するヘッド内通路を形成し、トーチヘッドとトーチボディとは、連通孔とヘッド内通路とが連通するように連結すればよい。このようにすれば、接続部材とトーチヘッドとを連結すると、連通孔とヘッド内通路とがそれぞれ連通して、溶接機本体側から電流,冷却水,ガス等をトーチヘッド内に供給することができる。
【0017】
連通孔とヘッド内通路との連通部は、連通孔のトーチヘッド側の開口部またはヘッド内通路の接続部材側の開口部に配置されたオーリングによりシールドするのが好ましい。このようにすれば、連通孔とヘッド内通路との連通部の外周部はボルトを締め付けによって圧縮されたオーリングにより有効にシールドされる。
【0018】
このような具体的な粉体プラズマ肉盛溶接用トーチにおいても、トーチボディのトーチヘッド側の端部には、間隙形成用スペーサ部材を設け、トーチボディには、撓み抑制用スペーサ部材が設けるのが好ましい。
【0019】
間隙形成用スペーサ部材は種々の構造のものを採用することができる。例えば、組み合わされてトーチボディを周方向に囲む上側ヘッド支持半部と下側ヘッド支持半部とから間隙形成用スペーサ部材を構成することができる。この場合、下側ヘッド支持半部は、トーチボディの下方を周方向に囲む下側本体部と、該下側ヘッド支持半部から垂直方向に下方に突出して素管の内周面に当接する下側突出部とから構成し、上側ヘッド支持半部は、トーチボディの上方を周方向に囲む上側本体部と、該上側ヘッド支持半部から素管の径方向に突出して素管の内周面に当接する上側突出部とから構成し、上側突出部は、溶接を行う際にトーチヘッドの素管の内周面からの距離が変動しにくいように下側突出部との位置関係を設定すればよい。
【0020】
下側突出部は、例えば、下側ヘッド支持半部に螺合して結合される突出部本体と、突出部本体内に回転自在に支持されて素管の内周面と当接するボール部材とを有する構造を採用できる。このように下側突出部を構成すれば、ボール部材の回転により、下側突出部と素管の内周面との摩擦を少なくして、肉盛溶接の際のトーチボディの素管内での撓みを少なくすることができる。
【0021】
また、絶縁フランジを、円柱形の輪郭形状を有するように構成して、絶縁フランジを間隙形成用スペーサ部材として利用することもできる。この場合、絶縁フランジを素管の内周面と直接当接させればよい。このようにすれば、間隙形成用スペーサ部材を別個に設ける必要がない上、間隙形成用スペーサ部材を単純な構造で簡単に作ることができる。
【0022】
撓み抑制用スペーサ部材も種々の構造のものを採用することができる。例えば、組み合わされてトーチボディを周方向に囲む上側ボディ支持半部及び下側ボディ支持半部と、下側ボディ支持半部から垂直方向に下方に突出して素管の内周面に当接する当接部材とを有するように撓み抑制用スペーサ部材を構成し、当接部材は、素管の長手方向に延びる板形状に形成することができる。また、筒体形状により撓み抑制用スペーサ部材を構成することができる。この場合、筒体は組み合わされてトーチボディを周方向に囲む第1のボディ支持半部と第2のボディ支持半部とから形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを用いて素管の内周面に肉盛溶接を行う態様を示す図である。本図に示すように、本例の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ1は、トーチヘッド3と、長尺のトーチボディ5と、間隙形成用スペーサ部材7と、撓み抑制用スペーサ部材9とを有している。そして、トーチヘッド3及びトーチボディ5の一部を長尺の素管Pの内部に挿入して、素管Pを回転させると共にトーチヘッド3を素管P内で移動させて、素管Pの内周面に螺旋状の肉盛部Wを形成する肉盛溶接を行っている。本例では、素管Pは、120mmの内径寸法を有している。トーチボディ5は、図2に示すように、接続管体11と、接続管体11内に配置されて直流電流,ガス等が流動するパイプ13,15,17等とを有しており、図示しない溶接機本体からトーチヘッド3内に直流電流,ガス等を供給している。本例では、トーチボディ5は、略5mの長さ寸法を有している。なお、直流電流,ガス等を供給するパイプは全部で8本あるが、図2においては、3本のパイプ13,15,17だけを示しており、他のパイプについては、図示を省略している。接続管体11は、管本体11aと、管本体11aより小径で管本体11aに対してトーチヘッド3側に配置される小径端部11bとを有している。管本体11aは、外側部11cと内側部11dとを有する二重構造を有しており、外側部11cと内側部11dと間には、水路11eが形成されている。
【0024】
トーチヘッド3は、図2〜図5に示すように、後述する接続部材19を構成する第1の接続部材半部21及び第2の接続部材半部23並びに絶縁フランジ25を介して接続管体11と接続されており、棒状電極29と、棒状電極29を支持する電極支持部31と、収束ノズル33と、収束ノズル33を支持するノズル支持部35と、ヘッド側絶縁部材37とを有している。なお、図3〜図5は、トーチヘッド3の正面図、平面図及び背面図である。なお、図5は、図2のV−V線切断図でもある。棒状電極29は、棒状電極29の芯出しを調整するコレット39及びコレット押え41を介して電極支持部31に支持されている。
【0025】
電極支持部31は、導電材料により形成されており、図4及び図5に示すように、内部に供給冷却水用ヘッド内通路31a,プラズマガス用ヘッド内通路31b,排出冷却水用ヘッド内通路31cが形成されている。供給冷却水用ヘッド内通路31a及び排出冷却水用ヘッド内通路31cは、第1の接続部材半部21の連通孔21dを介してトーチボディ5の図示しない第1の供給冷却水パイプ及び第1の排出冷却水パイプとそれぞれ連通している。これにより、溶接機本体側から第1の供給冷却水パイプ及び供給冷却水用ヘッド内通路31aを介して供給された冷却水は、棒状電極29の上方の周囲を冷却した後に排出冷却水用ヘッド内通路31c及び第1の排出冷却水パイプを介して溶接機本体側に戻される。また、供給冷却水用ヘッド内通路31aに接続されるトーチボディ5内の第1の供給冷却水パイプは、溶接機本体の直流電流の負極に電気的に接続された一方のパイプ即ち第1の導電部を構成している。そのため、第1の供給冷却水パイプ(第1の導電部),第1の接続部材半部21,電極支持部31,コレット押え41及びコレット39を介して棒状電極29には、電流が通電されることになる。プラズマガス用ヘッド内通路31bは、一方の端部が第1の接続部材半部21の連通孔21dを介してトーチボディ5のプラズマガスパイプ13と連通し、他方の端部が後述するヘッド側絶縁部材37の中央部の貫通孔37c及びノズル支持部35の中央部の貫通孔35aに連通している。これにより、溶接機本体側からをプラズマガスパイプ13及びプラズマガス用ヘッド内通路31bを介して供給されたプラズマガスは、該貫通孔37c,35aを通して棒状電極29の先端部周囲に供給される。
【0026】
収束ノズル33は、棒状電極29の先端に向かうに従って縮径する筒状を有しており、棒状電極29と所定の間隔を隔てて該棒状電極29を覆うようにしてノズル支持部35に支持されている。また、収束ノズル33の周囲には、シールドキャップ34がノズル支持部35に螺合された状態で配置されている。
【0027】
ノズル支持部35も電極支持部31と同様に導電材料により形成されており、中央部を貫通し内部に棒状電極29を部分的に配置する貫通孔35aを有している。また、ノズル支持部35の内部には、図4及び図5に示すように、第1のパウダ用ヘッド内通路35b,シールドガス用ヘッド内通路35c,第2のパウダ用ヘッド内通路35d,供給冷却水用ヘッド内通路35e及び排出冷却水用ヘッド内通路35fが形成されている。第1のパウダ用ヘッド内通路35b及び第2のパウダ用ヘッド内通路35dは、一方の端部が第2の接続部材半部23の連通孔23dを介してトーチボディ5の図示しない第1のパウダパイプ及び第2のパウダパイプとそれぞれ連通し、他方の端部がパウダ孔33bに連通している。これにより、溶接機本体側からパウダパイプ及びプラズマガス用ヘッド内通路35b,35dを介して供給されたパウダは、パウダ孔33bを通して、棒状電極29と素管Pとの間を放電するアーク柱内に供給される。シールドガス用ヘッド内通路35cは、一方の端部が第2の接続部材半部23の連通孔23dを介してトーチボディ5のシールドガスパイプ15と連通し、他方の端部がシールドガス孔33cに連通している。これにより、溶接機本体側からシールドガスパイプ15及びシールドガス用ヘッド内通路35cを介して供給されたシールドガスは、アーク柱の周囲に供給される。供給冷却水用ヘッド内通路35eは、第2の接続部材半部23の連通孔23dを介してトーチボディ5の図示しない第2の供給冷却水パイプと連通しており、排出冷却水用ヘッド内通路35fは、第2の接続部材半部23の連通孔23dを介してトーチボディ5の第2の排出冷却水パイプ17と連通しており、溶接機本体側から第2の供給冷却水パイプ及び供給冷却水用ヘッド内通路35eを介して供給された冷却水は、棒状電極29の下方の周囲を冷却した後に排出冷却水用ヘッド内通路35f及び第2の排出冷却水パイプ17を介して溶接機本体側に戻される。また、供給冷却水用ヘッド内通路35eに接続されるトーチボディ5の第2の供給冷却水パイプは、溶接機本体の直流電源の正極に電気的に接続された他方のパイプ即ち第2の導電部を構成している。これにより、第2の供給冷却水パイプ(第2の導電部),第2の接続部材半部23及びノズル支持部35を介して収束ノズル33には、電流が通電されることになる。そして、溶接時には、負極に電気的に接続された棒状電極29の先端と正極に電気的に接続された収束ノズル33との間にいわゆるパイロットアークが生じる。
【0028】
ヘッド側絶縁部材37は、板状形状を有するセラミックス等の絶縁材により形成されており、電極支持部31とノズル支持部35との間に配置されて両者の間の絶縁を図っている。また、ヘッド側絶縁部材37は、電極支持部31とノズル支持部35との間に配置される絶縁部37aと、絶縁部37aから後述する接続部材19側に突出する細長い長方形の突出部37bとを有している。絶縁部37aには、中央部において厚み方向に貫通する貫通孔37cが形成されており、内部には、棒状電極29が部分的に配置されている。また、図2及び図4に示すように、絶縁部37aには厚み方向に貫通するボルト貫通孔37c〜37iが形成されている。ボルト貫通孔37c〜37iの内、ボルト貫通孔37c〜37eには、図2に示すように、ヘッド側絶縁部材37から電極支持部31に延びるボルト43が貫通している。ボルト貫通孔37c〜37eは、ボルト43の頭部がノズル支持部35と接触しない形状に形成されており、ヘッド側絶縁部材37と電極支持部31とは、ボルト43がボルト貫通孔37c〜37eを貫通して、電極支持部31に形成された螺子孔31dに螺合されることにより固定されている。ボルト貫通孔37c〜37iの内、ボルト貫通孔37f〜37iには、図2に示すように、ヘッド側絶縁部材37からノズル支持部35に延びるボルト45が貫通している。ボルト貫通孔37f〜37iは、ボルト45の頭部が電極支持部31と接触しない形状に形成されており、ヘッド側絶縁部材37とノズル支持部35とは、ボルト45がボルト貫通孔37f〜37iを貫通して、ノズル支持部35に形成された螺子孔35gに螺合されることにより固定されている。また、電極支持部31のボルト貫通孔37f〜37iに整合する部分には、ボルト45を外部からドライバにより螺子止めできるように、厚み方向に貫通するドライバ挿入口31eがそれぞれ形成されている。
【0029】
接続部材19は、トーチボディ5のトーチヘッド3側の端部に設けられており、板状の導電材料からなる第1の接続部材半部21と第2の接続部材半部23とから構成されている。第1の接続部材半部21及び第2の接続部材半部23は、空隙部を隔てて配置されており、この空隙部には、ヘッド側絶縁部材37の突出部37bが嵌合されている。言い換えるならば、第1の接続部材半部21及び第2の接続部材半部23は、ヘッド側絶縁部材37の突出部37bを間に挟んで相互に絶縁された状態で配置されている。第1の接続部材半部21は、図2及び図6に示すように、電極支持部31と接合しており、厚み方向に貫通する3つの供給孔21a…と2つの接続部材側ボルト貫通孔21b,21bとを有している。供給孔21a…は、第1の接続部材半部21の中央部下方に形成されており、トーチボディ5側に位置する嵌合孔21cと、トーチヘッド3側に位置し且つ嵌合孔21cより小径の連通孔21dとを有している。嵌合孔21cには、トーチボディの3本のパイプ(13…)がそれぞれ嵌合しており、連通孔21dは、パイプ(13…)と電極支持部31のヘッド内通路31a〜31cとにそれぞれ連通している。第2の接続部材半部23は、図2及び図7に示すように、ノズル支持部35と接合しており、厚み方向に貫通する6個の供給孔23a…と2つの接続部材側ボルト貫通孔23b,23bとを有している。供給孔23a…は、第2の接続部材半部23の中央部に形成されており、トーチボディ5側に位置する嵌合孔23cと、トーチヘッド3側に位置し且つ嵌合孔23cより小径の連通孔23dとを有している。嵌合孔23cには、トーチボディの6本のパイプ(15,17…)がそれぞれ嵌合しており、連通孔23dは、パイプ(15,17…)とノズル支持部35のヘッド内通路35b〜35fとにそれぞれ連通している。
【0030】
絶縁フランジ25は、図2及び図8に示すように、セラミックスにより板状に形成されており、接続部材19とトーチボディ5との間(トーチボディ5のトーチヘッド3側の端部)に設けられている。なお、図8はトーチボディ5側から見た絶縁フランジ25の平面図である。この絶縁フランジ25には、厚み方向に貫通するように、8個のフランジ側貫通孔25a…と、3個の固定ボルト貫通孔25b…と、4個のフランジ側ボルト貫通孔25c…とが形成されている。フランジ側貫通孔25a…は、絶縁フランジ25の中央部寄りに形成されており、トーチボディの8本のパイプ(13,15,17…)が貫通している。固定ボルト貫通孔25bは、トーチヘッド3側に位置する大径部25dとトーチボディ5側に位置する小径部25eとを有している。絶縁フランジ25とトーチボディ5とは、固定ボルト貫通孔25b内からトーチボディ5内に延びてトーチボディ5内の螺子孔11fに螺合するボルト47により固定されている。より具体的には、ボルト47は、小径部25eを貫通して大径部25d内に頭部が配置された状態で螺子孔11fに螺合している。フランジ側ボルト貫通孔25c…は、接続部材19の接続部材側ボルト貫通孔21b…と整合するように絶縁フランジ25の縁部に分散して形成されており、トーチボディ5側の開口部がトーチボディ5の小径端部11bの外側において外部に露出している。このフランジ側ボルト貫通孔25c…は、トーチボディ5側に位置する大径部25fとトーチヘッド3側に位置する小径部25gとを有している。絶縁フランジ25と第1の接続部材半部21及び電極支持部31とは、図8に向って上方の2つのフランジ側ボルト貫通孔25c内から第1の接続部材半部21及び電極支持部31内に延びて電極支持部31内の螺子孔31fに螺合するボルト49により固定されている。より具体的には、ボルト49は、小径部25g及び第1の接続部材半部21の接続部材側ボルト貫通孔21bを貫通して大径部25f内に頭部が配置された状態で螺子孔31fに螺合している。また、絶縁フランジ25と第2の接続部材半部23及びノズル支持部35とは、図8に向って下方の2つのフランジ側ボルト貫通孔25c内から第2の接続部材半部23及びノズル支持部35内に延びて電極支持部31内の図示しない螺子孔に螺合するボルトにより固定されている。これにより、連通孔21d…とヘッド内通路31a〜31cとがそれぞれ連通し、連通孔23d…とヘッド内通路35b〜35fとがそれぞれ連通して、接続部材19とトーチヘッド3とが連結し、ボルト49を外すことにより接続部材19とトーチヘッド3とが分離する。このように、ボルト49によって、トーチヘッド3はトーチボディ5に交換可能に連結されることになる。そのため、トーチヘッドの交換が容易になり、トーチヘッドを交換するだけで、素管の寸法、形状等に応じた溶接を行うことができ、従来のように、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ全体を変える必要なく、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの使用が簡単になる。また、トーチヘッドに故障が生じた場合には、トーチヘッドを交換して修理を行えばよく、トーチヘッドの修理が容易になる。また、ヘッド内通路31a〜31c,35b〜35fの接続部材19側の開口部の周縁部には、オーリング51…が配置されており、連通孔21d…,23d…とヘッド内通路31a〜31c,35b〜35fとの連通部の周縁部はボルト49を締め付けによって圧縮されたオーリング51…によりシールされる。
【0031】
間隙形成用スペーサ部材7は、図1及び図9〜図11に示すように、組み合わされてトーチボディ5を周方向に囲む上側ヘッド支持半部53と下側ヘッド支持半部55とを有している。なお、図9及び図10は、間隙形成用スペーサ部材7の平面図及び側面図であり、図11は、図10のXI−XI線断面図である。上側ヘッド支持半部53は、真鍮により形成されており、上側本体部57と上側突出部59とを有している。上側本体部57は、トーチボディ5の上方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、溝部57aと、2つの貫通螺子孔57b,57bと、4つのボルト頭部配置用溝57c…と、4つのボルト貫通孔57d…とを有している。溝部57aは、トーチボディ5が延びる方向と直交する方向に延びて上方に開口するように形成されている。貫通螺子孔57b,57bは、溝部57aの底部に開口するように上側本体部57を貫通して形成されている。ボルト貫通孔57dは、ボルト頭部配置用溝57cの内部と下側ヘッド支持半部55側とに開口するように形成されている。
【0032】
上側突出部59は、所定の角度で折り曲げられた細長い板形状を有しており、被支持部59aと、当接部59bと、被支持部59aと当接部59bとを連結する連結部59cとを有している。被支持部59aは、上側本体部57の溝部57a内に配置されており、厚み方向に貫通する細長い貫通孔59dを有している。上側突出部59は、この貫通孔59dを貫通し上側本体部57の貫通螺子孔57b,57bに螺合する2つのボルト61,61により、上側本体部57に固定されている。貫通孔59dは、2つのボルト61,61の間の距離よりも長く延びるように形成されているので、2つのボルト61,61に対する貫通孔59dの位置をずらすことにより、上側本体部57に対する上側突出部59の位置を適宜に変更することができる。当接部59bの端部は、素管Pの内周面に当接するように配置されている。
【0033】
下側ヘッド支持半部55も上側ヘッド支持半部53と同材質により形成されており、下側本体部63と下側突出部65とを有している。下側本体部63は、トーチボディ5の下方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、下方螺子孔63aと、4つの上方螺子孔63b…とを有している。下方螺子孔63aは、下側本体部63の中央部真下に開口するように下側本体部63を貫通している。上方螺子孔63b…は、上側ヘッド支持半部53のボルト貫通孔57d…とそれぞれ整合するように上側ヘッド支持半部53側に開口している。下側ヘッド支持半部55は、ボルト貫通孔57d…を貫通して上方螺子孔63b…に螺合する4つのボルト67…により上側ヘッド支持半部53に固定されている。
【0034】
下側突出部65は、突出部本体65aとボール部材65bとを有している。突出部本体65aは、外周部に螺子が形成された螺子部65cと、螺子部65cの下方に形成された締付部65dと、締付部65dの下方に形成されたボール部材保持部65eとを有している。突出部本体65aは、螺子部65cが下側本体部63の下方螺子孔63aに螺合されて下側本体部63から垂直方向に下方に突出するように下側本体部63に固定されている。締付部65dは、スパナ等の道具を用いて螺子部65cを下方螺子孔63aに螺合できるように、6角の横断面形状を有している。ボール部材保持部65eには、下側に開口する半球状の凹部65fが形成されており、凹部65f内には、部分的に外部に露出するように、ボール部材65bが回転自在に支持されている。下側突出部65は、ボール部材65bが素管Pの内周面と当接するように配置されている。また、螺子部65cの下方螺子孔63aへの螺合の程度を調整することにより、下側本体部63に対するボール部材65bの位置を適宜に変更することができる。本例では、上側突出部59の当接部59b及び下側突出部65のボール部材65bのそれぞれの素管Pの内周面に対する当接位置は、溶接を行う際にトーチヘッド3と素管Pの内周面との距離が変動しにくいように設定されている。本例のように間隙形成用スペーサ部材7を設ければ、トーチヘッド3の重量やトーチボディ5の撓みでトーチヘッド3の収束ノズル33の開口部33aから素管Pの内周面への距離が縮むのを抑制でき、均等な大きさの肉盛部Wを形成できる。
【0035】
撓み抑制用スペーサ部材9は、真鍮により形成されており、図1及び図12〜図14に示すように、組み合わされてトーチボディ5を周方向に囲む上側ボディ支持半部69と下側ボディ支持半部71と当接部材73とを有している。なお、図12及び図13は、間隙形成用スペーサ部材7の側面図及び底面図であり、図14は、図12のXIV−XIV線断面図である。上側ボディ支持半部69は、トーチボディ5の上方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、4つのボルト頭部配置用溝69a…と、4つのボルト貫通孔69b…とを有している。ボルト貫通孔69bは、ボルト頭部配置用溝69aの内部と下側ボディ支持半部71側とに開口するように形成されている。
【0036】
下側ボディ支持半部71は、トーチボディ5の下方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、溝部71aと、2つの下方螺子孔71b,71bと、4つの上方螺子孔71c…とを有している。溝部71aは、トーチボディ5が延びる方向に延びて下方に開口するように形成されている。下方螺子孔71bは、溝部71aの底部に開口するように下側ボディ支持半部71を貫通して形成されている。上方螺子孔71c…は、上側ボディ支持半部69のボルト貫通孔69b…とそれぞれ整合するように上側ボディ支持半部69側に開口している。下側ボディ支持半部71は、ボルト貫通孔69b…を貫通して上方螺子孔71c…に螺合する4つのボルト75…により上側ボディ支持半部69に固定されている。当接部材73は、素管Pの長手方向に延びる半円に近い板形状を有しており、下側ボディ支持半部71の溝部71aに嵌合された状態で、下側ボディ支持半部71から垂直方向下方に突出して素管Pの内周面に当接している。また、当接部材73は、下方に開口する2つのボルト頭部配置用溝73a,73aと、2つのボルト貫通孔73b,73bとを有している。ボルト貫通孔73b,73bは、ボルト頭部配置用溝73aの内部に開口し且つ下側ボディ支持半部71の下方螺子孔71b,71bとそれぞれ整合するように下側ボディ支持半部71側に開口している。当接部材73は、ボルト貫通孔73b,73bを貫通して下方螺子孔71b,71bに螺合する2つのボルト77,77により下側ボディ支持半部71に固定されている。本例のように、撓み抑制用スペーサ部材9を設ければ、肉盛溶接の際にトーチボディ5が素管P内でいわゆる跳ねが生じるのを防止することができる。
【0037】
図15〜図17は、本発明の他の実施の形態の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッド近傍を示す平面図,一部破断側面図及び底面図である。なお、図16には、肉盛溶接を行う素管P´も併せて描いている。本例の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、トーチヘッド側から挿入するボルトにより、トーチヘッドを接続部材に連結及び分離して、トーチヘッドをトーチボディに交換可能に連結している。また、本例の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、絶縁フランジが間隙形成用スペーサ部材を構成している。本例の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ101も基本的には、図1及び図2に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチと類似した構造を有しており、トーチヘッド103と、図示しない溶接機本体とトーチヘッド103とを接続するトーチボディ105とを有している。そして、トーチヘッド103及びトーチボディ105の一部を素管P´の内部に挿入して、素管P´を回転させると共にトーチヘッド103を素管P内で移動させて、素管P´の内周面に螺旋状の肉盛部W´を形成する肉盛溶接を行っている。本例では、素管P´は、38mmの内径寸法を有している。トーチボディ105は、図16に示すように、接続管体111と、接続管体111内に配置されて直流電流,ガス等が流動するパイプ113,115,117等とを有している。本例では、トーチボディ105は、略4mの長さ寸法を有している。また、トーチヘッド103は、接続部材119を構成する第1の接続部材半部121及び第2の接続部材半部123並びに絶縁フランジ125を介して接続管体111と接続されており、図示しない棒状電極を支持する電極支持部131と、収束ノズル133と、収束ノズル133を支持するノズル支持部135と、ヘッド側絶縁部材137とを有している。電極支持部131の内部には、プラズマガス用ヘッド内通路131b等の複数のヘッド内通路が形成されている。これらの複数のヘッド内通路は、第1の接続部材半部121の連通孔121d等を介してトーチボディ105内のプラズマガスパイプ113等の複数のパイプとそれぞれ連通している。また、複数のパイプに含まれる図示しない第1の供給冷却水パイプは、溶接機本体の直流電源の負極に電気的に接続された一方のパイプ即ち第1の導電部を構成している。そのため、第1の供給冷却水パイプ(第1の導電部),第1の接続部材半部121等を介して電極支持部131内の棒状電極には、負極の電流が通電されることになる。
【0038】
収束ノズル133は、棒状電極の先端に向かうに従って縮径する筒状を有しており、棒状電極と所定の間隔を隔てて該棒状電極を覆うようにしてノズル支持部135に支持されている。また、収束ノズル133の周囲には、シールドキャップ134がノズル支持部135に螺合された状態で配置されている。
【0039】
ノズル支持部135の内部には、シールドガス用ヘッド内通路135c及び排出冷却水用ヘッド内通路135f等の複数のヘッド内通路が形成されている。シールドガス用ヘッド内通路135cは、第2の接続部材半部123の連通孔123dを介してトーチボディ105のシールドガスパイプ115と連通している。排出冷却水用ヘッド内通路135fは、第2の接続部材半部123の連通孔123dを介してトーチボディ105の第2の排出冷却水パイプ117と連通している。また、複数のパイプに含まれる図示しない第2の供給冷却水パイプは、溶接機本体の直流電源の正極に電気的に接続された他方のパイプ即ち第2の導電部を構成している。そのため、第2の供給冷却水パイプ(第2の導電部),第2の接続部材半部123,ノズル支持部135等を介して収束ノズル133には、電流が通電されることになる。
【0040】
接続部材119は、第1の接続部材半部121と第2の接続部材半部123とから構成されている。第1の接続部材半部121及び第2の接続部材半部123の間の空隙部には、ヘッド側絶縁部材137の突出部137bが嵌合されている。第1の接続部材半部121は、電極支持部131と接合しており、厚み方向に貫通する複数の供給孔121a…と2つの螺子孔121b,121b(図15)とを有している。供給孔121aは、トーチボディ105側に位置する嵌合孔121cと、トーチヘッド103側に位置し且つ嵌合孔121cより小径の連通孔121dとを有している。嵌合孔121c…には、トーチボディの複数のパイプ(113…)がそれぞれ嵌合しており、連通孔121dは、パイプ(113…)と電極支持部131のヘッド内通路131b等にそれぞれ連通している。第2の接続部材半部123は、ノズル支持部135と接合しており、厚み方向に貫通する複数の供給孔123a…と2つの螺子孔123b,123b(図17)とを有している。供給孔123aは、トーチボディ105側に位置する嵌合孔123cと、トーチヘッド103側に位置し且つ嵌合孔123cより小径の連通孔123dとを有している。嵌合孔123cには、トーチボディの複数のパイプ(115,117…)がそれぞれ嵌合しており、連通孔123dは、パイプ(115,117…)とノズル支持部135のヘッド内通路135c,135f等とにそれぞれ連通している。
【0041】
本例の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチでは、図15に示すように、トーチヘッド103の電極支持部131に粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの前方(図15に向かって左側)に面する平面131gと、平面131gに開口する2つのボルト貫通孔131h,131hをそれぞれ形成している。そして、ボルト貫通孔131h,131hをそれぞれ貫通して、第1の接続部材半部121の螺子孔121b,121bにそれぞれ螺合するボルト149A,149Aにより、トーチヘッド103の電極支持部131が接続部材119の第1の接続部材半部121に固定されている。また、図17に示すように、トーチヘッド103のノズル支持部135に粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの前方(図17に向かって左側)に面する平面133bと、平面133bに開口する2つのボルト貫通孔133c,133cがそれぞれ形成されている。そして、ボルト貫通孔133c,133cをそれぞれ貫通して、第2の接続部材半部123の螺子孔123b,123bにそれぞれ螺合するボルト149B,149Bにより、トーチヘッド103のノズル支持部135が接続部材119の第2の接続部材半部123に固定されている。このような電極支持部131と第1の接続部材半部121との固定及びノズル支持部135と第2の接続部材半部123との固定により、トーチヘッド103と接続部材119とが固定されている。
【0042】
絶縁フランジ125は、図15〜図18に示すように、素管P´の内径(38mm)を下回る径寸法(36mm)を有する円柱形の輪郭形状を有している。なお、図18は、絶縁フランジ125をトーチボディ105側から見た平面図である。絶縁フランジ125の下端部は、素管P´の内周面に当接している。これにより、絶縁フランジが間隙形成用スペーサ部材の役割を果たしている。絶縁フランジ125は、複数のパイプ(113,115,117…)が内部に配置される中央貫通孔125aを有している。中央貫通孔125aは、大径部125bと、大径部125bより小径の小径部125cとを有しており、大径部125bと小径部125との間には、段差面125dが形成されている。大径部125b内には、トーチボディ105の接続管体111が嵌合されている。
【0043】
また、絶縁フランジ125には、段差面125dに開口する3つの第1のボルト貫通孔125e…及び4つの第2のボルト貫通孔125f…が形成されている。第1のボルト貫通孔125eは、図15及び図17に示すように、トーチヘッド103側に位置する大径部125gと、トーチボディ105側に位置する小径部125hとを有している。そして、絶縁フランジ125とトーチボディ105とは、第1のボルト貫通孔125e…内からトーチボディ105内に延びてトーチボディ105内の螺子孔111f…にそれぞれ螺合するボルト147A…により固定されている。より具体的には、ボルト147Aは、第1のボルト貫通孔125eの小径部125hを貫通して大径部125g内に頭部が配置された状態で螺子孔111fに螺合している。
【0044】
第2のボルト貫通孔125fは、トーチボディ105側に位置する大径部125iと、トーチヘッド103側に位置する小径部125jとを有している。そして、図15に示すように、絶縁フランジ125と接続部材119の第1の接続部材半部121とは、絶縁フランジ125の上方に位置する第2のボルト貫通孔125f,125f内から第1の接続部材半部121内に延びて第1の接続部材半部121内の螺子孔121e,121eにそれぞれ螺合するボルト147B,147Bにより固定されている。より具体的には、ボルト147Bは、第2のボルト貫通孔125fの小径部125jを貫通して大径部125i内に頭部が配置された状態で螺子孔121eに螺合している。また、図17に示すように、絶縁フランジ125と接続部材119の第2の接続部材半部123とは、絶縁フランジ125の下方に位置する第2のボルト貫通孔125f,125f内から第2の接続部材半部123内に延びて第2の接続部材半部123内の螺子孔121f,121fにそれぞれ螺合するボルト147C,147Cにより固定されている。より具体的には、ボルト147Cは、第2のボルト貫通孔125fの小径部125jを貫通して大径部125i内に頭部が配置された状態で螺子孔121fに螺合している。このような絶縁フランジ125と第1の接続部材半部121との固定及び絶縁フランジ125と第2の接続部材半部123との固定により、絶縁フランジ125と接続部材119とが固定されている。
【0045】
図19及び図20は、本発明の他の例の撓み抑制用スペーサ部材109の平面図及び側面図であり、図21は、図20のXXI−XXI線断面図である。各図に示すように、撓み抑制用スペーサ部材109は、組み合わされてトーチボディを周方向に囲む第1のボディ支持半部169と第2のボディ支持半部171とを有しており、中央部が膨出するいわゆる俵形の輪郭を備えた円筒形を有している。中央部の膨出する部分は、素管の内径を下回る外径寸法を有しており、内径は、トーチボディときつく嵌合できる寸法を有している。第1のボディ支持半部169は、トーチボディの上方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、4つのボルト頭部配置用溝169a…と、4つのボルト貫通孔169b…とを有している。ボルト貫通孔169bは、ボルト頭部配置用溝169aの内部と第2のボディ支持半部171側とに開口するように形成されている。
【0046】
第2のボディ支持半部171は、トーチボディの下方を周方向に囲む半円の断面形状を有しており、4つの螺子孔171cを有している。螺子孔171c…は、第1のボディ支持半部169のボルト貫通孔169b…とそれぞれ整合するように第1のボディ支持半部169側に開口している。第2のボディ支持半部171は、ボルト貫通孔169b…を貫通して上方螺子孔171c…に螺合する4つのボルト175…により第1のボディ支持半部169に固定されている。この撓み抑制用スペーサ部材109では、第2のボディ支持半部171の下端部が素管の内周面に当接してトーチボディの跳ねを防止する。図15〜図18に示される絶縁フランジ125からなる間隙形成用スペーサ部材及び図19〜図21に示される撓み抑制用スペーサ部材109は、比較的内径寸法の小さい素管(約40mm以下)の内周面を肉盛溶接する粉体プラズマ肉盛溶接用トーチにおいて好適に使用される。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、トーチヘッドをトーチボディに交換可能に連結するので、トーチヘッドを交換するだけで、素管の寸法、形状等に応じた溶接を行うことができ、従来のように、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ全体を変える必要なく、粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの使用が簡単になる。また、トーチヘッドに故障が生じた場合には、トーチヘッドを交換して修理を行えばよく、トーチヘッドの修理が容易である。
【0048】
また間隙形成用スペーサ部材を設けるので、トーチヘッドの重量やトーチボディの撓みでトーチヘッドの収束ノズルの開口部から素管の内周面への距離が変化するのを抑制でき、均等な大きさの肉盛部を形成できる。
【0049】
更に、撓み抑制用スペーサ部材を設けるのでトーチボディに跳ねが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチを用いて素管の内周面に肉盛溶接を行う態様を示す図である。
【図2】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッド近傍を示す断面図である。
【図3】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッドの正面図である。
【図4】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッドの平面図である。
【図5】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッドの背面図である。
【図6】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの第1の接続部材をトーチボディ側から見た平面図である。
【図7】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの第2の接続部材をトーチボディ側から見た平面図である。
【図8】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの絶縁フランジをトーチボディ側から見た平面図である。
【図9】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの間隙形成用スペーサ部材の平面図である。
【図10】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの間隙形成用スペーサ部材の側面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの撓み抑制用スペーサ部材の側面図である。
【図13】図1に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの撓み抑制用スペーサ部材の底面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッド近傍を示す平面図である。
【図16】図15に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッド近傍を示す一部破断側面図である。
【図17】図15に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチのトーチヘッド近傍を示す底面図である。
【図18】図15に示す粉体プラズマ肉盛溶接用トーチの絶縁フランジをトーチボディ側から見た平面図である。
【図19】本発明の他の例の撓み抑制用スペーサ部材の平面図である。
【図20】本発明の他の例の撓み抑制用スペーサ部材の側面図である。
【図21】図20のXXI−XXI線断面図である。
【符号の説明】
1 粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ
3 トーチヘッド
5 トーチボディ
7 間隙形成用スペーサ部材
9 撓み抑制用スペーサ部材
11 接続管体
13,15,17 パイプ
19 接続部材
21 第1の接続部材半部
23 第2の接続部材半部
25 絶縁フランジ
29 棒状電極
31 電極支持部
33 収束ノズル
35 ノズル支持部
37 ヘッド側絶縁部材
37b 突出部
53 上側ヘッド支持半部
55 下側ヘッド支持半部
59 上側突出部
65 下側突出部
69 上側ボディ支持半部
71 下側ボディ支持半部
73 当接部材
P 素管
Claims (13)
- 長尺の素管の内部に挿入されて前記素管の内周面に肉盛溶接を行うトーチヘッドと、
先端に前記トーチヘッドが装着された長尺のトーチボディとを具備し、
前記トーチボディが、接続管体と、前記接続管体内に配置されて冷却水,ガス等をそれぞれ前記トーチヘッドに供給する複数のパイプとを有し、
前記複数のパイプの内少なくとも2本のパイプは導電材料から形成されており、
前記少なくとも2本のパイプの一方のパイプは、直流電源の一方の極性の出力電極に接続されて第1の導電部を構成し、他方のパイプは、前記直流電源の他方の極性の出力電極に接続されて第2の導電部を構成しており、
前記トーチヘッドが、棒状電極と、前記棒状電極を支持する導電材料製の電極支持部と、導電材料製の収束ノズルと、前記収束ノズルを支持する導電材料製のノズル支持部と、前記電極支持部と前記ノズル支持部との間に配置されて両者の間の電気的な絶縁を図るヘッド側絶縁部材とを有し、
前記ヘッド側絶縁部材は、前記電極支持部及び前記ノズル支持部より前記トーチボディ側に突出する突出部を有しており、
前記トーチボディの前記接続管体の前記トーチヘッド側の端部には、電気絶縁材料からなる絶縁フランジが固定されており、
前記絶縁フランジには、前記突出部が間に嵌合される空隙部を形成するように配置された導電材料製の第1及び第2の接続部材半部からなる接続部材が取り付けられており、
前記一方のパイプは、前記絶縁フランジを貫通して前記第1の接続部材半部と接続されており、
前記他方のパイプは、前記絶縁フランジを貫通して前記第2の接続部材半部と接続されており、
前記電極支持部が前記第1の接続部材半部と接触し、
前記ノズル支持部が前記第2の接続部材半部と接触し、
前記トーチヘッドと前記接続部材とを固定する複数のボルトによって、前記トーチヘッドが前記トーチボディに交換可能に連結されていることを特徴とする粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。 - 前記トーチヘッドと前記接続部材とを固定する前記ボルトにより、前記接続部材が前記絶縁フランジに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記第1及び第2の接続部材半部には、複数の接続部材側ボルト貫通孔が形成されており、
前記絶縁フランジには、前記複数の接続部材側ボルト貫通孔と整合するフランジ側ボルト貫通孔が形成されており、
前記フランジ側ボルト貫通孔は、前記複数のボルトの頭部が配置される大径部と前記複数のボルトの軸部が配置される小径部とを有しており、
前記電極支持部及び前記ノズル支持部には、前記複数の接続部材側ボルト貫通孔と整合する複数の螺子孔が形成されており、
前記複数のボルトが前記複数のフランジ側ボルト貫通孔及び前記複数の接続部材側ボルト貫通孔を貫通して前記複数の螺子孔に螺合されて、前記トーチヘッドが前記トーチボディに交換可能に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。 - 前記絶縁フランジには、前記トーチボディの前記複数パイプが貫通するフランジ側貫通孔が形成されており、
前記接続部材には、前記フランジ側貫通孔と連通して前記複数のパイプの端部が嵌合される嵌合孔と、前記嵌合孔と連通して前記トーチヘッド側に開口する連通孔とが形成されており、
前記トーチヘッドには、前記連通孔と整合するヘッド内通路が形成されており、
前記連通孔と前記ヘッド内通路とが連通するように、前記トーチヘッドが前記トーチボディに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。 - 前記連通孔と前記ヘッド内通路との連通部は、前記連通孔の前記トーチヘッド側の開口部または前記ヘッド内通路の前記接続部材側の開口部に配置されたオーリングによりシールドされていることを特徴とする請求項4に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記トーチボディの前記トーチヘッド側の端部には、溶接を行う際に前記トーチヘッドの収束ノズルの開口部と前記素管の内周面との距離をほぼ一定に維持できるように、前記内周面と当接する間隙形成用スペーサ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記間隙形成用スペーサ部材は、組み合わされて前記トーチボディを周方向に囲む上側ヘッド支持半部と下側ヘッド支持半部とからなり、
前記下側ヘッド支持半部は、前記トーチボディの下方を周方向に囲む下側本体部と、前記下側本体部から垂直方向に下方に突出して前記素管の前記内周面に当接する下側突出部とを有しており、
前記上側ヘッド支持半部には、前記トーチボディの上方を周方向に囲む上側本体部と、前記上側本体部から前記素管の径方向に突出して前記素管の前記内周面に当接する上側突出部とを有しており、
前記上側突出部は、溶接を行う際に前記トーチヘッドの前記素管の前記内周面からの距離が変動しにくいように前記下側突出部との位置関係が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。 - 前記下側突出部は、前記下側ヘッド支持半部に螺合して結合される突出部本体と、突出部本体内に回転自在に支持されて前記素管の前記内周面と当接するボール部材とを有している請求項7に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記絶縁フランジは、円柱形の輪郭形状を有しており、
前記絶縁フランジが前記間隙形成用スペーサ部材を構成していることを特徴とする請求項1に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。 - 前記トーチボディには、前記肉盛溶接の際における前記トーチボディの前記素管内での撓みを防止するように、前記素管の前記内周面と当接する1以上の撓み抑制用スペーサ部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記撓み抑制用スペーサ部材は、組み合わされて前記トーチボディを周方向に囲む上側ボディ支持半部及び下側ボディ支持半部と、前記下側ボディ支持半部から垂直方向に下方に突出して前記素管の前記内周面に当接する当接部材とを有していることを特徴とする請求項10に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記当接部材は、前記素管の長手方向に延びる板形状を有していることを特徴とする請求項11に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
- 前記撓み抑制用スペーサ部材は、筒体からなり、
前記筒体は、組み合わされて前記トーチボディを周方向に囲む第1のボディ支持半部と第2のボディ支持半部とを有していることを特徴とする請求項10に記載の粉体プラズマ肉盛溶接用トーチ。
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