JP4831453B2 - フォーミング用工具 - Google Patents

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本発明は、円柱部を有する被加工物に対して、円柱部の外周面に微細な凹部を多数形成するのに用いるフォーミング用工具に関し、より具体的には、自動車用エンジンやトランスミッション等の装置を構成する摺動部品に対して、その摺動面に低フリクション化を図るための微細な凹凸を形成するのに用いるフォーミング用工具に関するものである。
図7(a)は、円柱部を有する被加工物Wに対して、円柱部の外周面Sに微細な凹部を多数形成する装置を説明する図である。被加工物Wは、加工機において、一端部が主軸台101のチャッキング装置102に把持されている。フォーミング装置105は、チャッキング装置102で保持した被加工物Wの軸線方向(Z方向)に往復動可能であると共に、被加工物Wの方向(X方向)に向けて進退可能なシャフト107を備えており、このシャフト107の先端にフォーミング用工具150が取り付けてある。
フォーミング用工具150は、シャフト107に連結するリテーナ151と、リテーナ151に対して回転可能に装着した回転軸152と、回転軸152に装着したフォームローラ153を備えている。フォームローラ153は、その回転軸152が被加工物Wの回転軸と平行になるように配置してある。このフォームローラ153の外周部には、図7(b)にも示すように、凹部成形用の微細な凸部153aが円周方向と軸線方向にわたって所定間隔で多数設けてある。
そして、上記の装置は、被加工物Wの外周面Sにフォームローラ153を一定荷重で押し付けながら被加工物Wを回転させることにより、フォームローラ153を連れ回りさせて、円柱部の外周面Sに微細な凹部を多数形成し、この際、フォーミング用工具150を被加工物Wの軸線方向に移動させることで、外周面Sの全体に多数の凹部を形成する。
特開2002−361351号公報
ところで、例えば図6に示すように、被加工物がクランクシャフトCSであって、そのジャーナルJやクランクピンPである円柱部の外周面に対して、そのほぼ全体に多数の凹部を形成する場合、円柱部の近傍には半径方向にカウンタウエイトCWが張り出しているので、フォームローラを回転軸の軸線方向に移動させることが困難である。このため、円柱部の外周面に凹部を形成するには、回転軸の軸線方向への移動を行うことなく凹部を形成し得るフォームローラとして、多数の凸部を円周方向と軸線方向にわたって配列したフォームローラ(図7参照)を使用せざるを得なかった。
しかしながら、上記したようなフォームローラを備えた従来のフォーミング用工具にあっては、被加工物に対して、フォームローラの回転軸の軸線方向に並ぶ複数の凸部が同時に接触することから、その分押し付け荷重が増大し、これにより工具のみならずフォーミング装置全体が大型化するという問題点があり、また、被加工物の加工面のうねりや被加工物の位置決め誤差等によって加工面に傾きが生じている場合には、上記の複数の凸部を加工面に均一に接触させることが困難になるという問題点があることから、これらの問題点を解決することが課題であった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、円柱部を有する被加工物に対して、円柱部の外周面に微細な凹部を多数形成するフォーミング用工具において、とくに、被加工物が、円柱部の近傍にフォーミング用工具の軸線方向の移動を妨げる干渉部分を有している場合でも、被加工物の円柱部の外周面に対して、小さな押し付け荷重で多数の凹部を高精度に形成することができるフォーミング用工具を提供することを目的としている。
本発明のフォーミング用工具は、円柱部を有する被加工物に対して、円柱部の外周面に微細な凹部を多数形成するフォーミング用工具であって、外周部に凹部成形用の多数の凸部を配置したフォームローラを備え、多数の凸部が、フォームローラの一周のみにわたって連続する螺旋に沿って所定間隔で配置してある構成としており、このフォームローラを一定荷重で円柱部の外周面に接触させて、円柱部の軸線回りに被加工物を回転させることにより、フォームローラを連れ回りさせて円柱部の外周面に微細な凹部を形成する。そして、被加工物を複数回回転させることにより、円柱部の外周面のほぼ全体に多数の凹部を形成する。
本発明のフォーミング用工具によれば、被加工物が、円柱部の近傍にフォーミング用工具の軸線方向の移動を妨げる干渉部分を有している場合でも、フォームローラを回転軸の軸線方向に移動させることなく、円柱部の外周面のほぼ全体に多数の凹部を形成することができ、この際、被加工物の円柱部の外周面における一箇所にごく一部の凸部だけが接触するので、押し付け荷重が小さいものとなり、これにより工具並びにフォーミング装置全体の小型化を図ることができると共に、例え被加工物の加工面が傾いている場合でも、加工面における一箇所にごく一部の凸部だけが接触するので、加工面の傾きの影響を殆ど受けることなく凹部を高精度に形成することができ、全ての凹部を均一に高精度に形成することができる。
図1は、本発明に係わるフォーミング用工具の一実施例を説明する図である。当該フォーミング用工具が対象とする被加工物は、とくに限定されることはないが、円柱部の近傍にフォーミング用工具の軸線方向の移動を妨げる干渉部分を有する被加工物、すなわち図6に示すクランクシャフトCSを挙げることができ、この場合、クランクピンPやジャーナルJが円柱部であり、カウンタウエイトCWが干渉部分に相当する。
図1(a)及び(b)に示すフォーミング用工具1は、フォーミング装置105のシャフト107に連結したリテーナ2と、リテーナ2に対して回転可能に設けた回転軸3と、回転軸3に装着したフォームローラ4を備えており、図1(c)に示すクランクシャフトCSに対してフォームローラ4が進退し得るように保持されている。このとき、フォーミング装置105は、フォームローラ4の回転軸3とクランクピンPの回転軸とが平行になるようにフォーミング用工具1を保持している。
フォームローラ4は、材料がとくに限定されることはないが、例えば、超硬、ハイス又はこれ以外の硬質金属やアルミナ、窒化珪素等のセラミックスなどを材料としており、図7にも示すように、クランクシャフトCSのカウンタウエイトCWの間にリテーナ2とともに入り込んで、クランクピンPに対応する幅寸法を有するものである。
フォームローラ4は、外周部に、凹部成形用の凸部4aが所定間隔で螺旋状に配置してあり、この実施例では、フォームローラ4の凸部4aが、同ローラ4の一周にわたって連続する螺旋に沿って配置してある。この螺旋は、フォームローラ4の一方の端面から他方の端面に至るものである。凸部4aの高さは、例えば100μm程度である。これらの凸部4aは、フォームローラ4の回転軸方向から見て連続的な凹凸を形成するように並んでいるため、回転軸方向から研削やワイヤカットを行うことにより、複雑な形状ながらも比較的簡単に形成することができる
さらに、フォームローラ4は、図2に示すように、回転中心から凸部4aの先端部に至る半径Rが、クランクピンPの中心から表面に形成される凹部底面までの距離rに対して非整数倍の大きさであり、さらに、図3に示すように、凸部4aの先端が、同ローラ4の回転軸3を含む断面において円弧状を成している。なお、フォームローラ4とクランクピンPの寸法関係は、フォームローラ4の半径Rに対して、クランクピンPの中心から表面に形成される凹部底面までの距離rが非整数倍の大きさになることもあり得る。
ここで、フォーミング装置105は、クランクピンPに接触したフォームローラ4に対して荷重を付与する手段や、その荷重を検出する手段を内蔵した構成とし、クランクピンPに対するフォームローラ4の荷重が常に一定になるように制御して、各凹部の深さのさらなる均一化を図ることができる。
上記構成を備えたフォーミング用工具を用いて、クランクシャフトCSにおけるクランクピンPの外周面に多数の微細な凹部を形成するには、図示しない保持手段によりクランクシャフトCSを回転可能に保持し、この際、クランクシャフトCSがクランクピンPの回転軸の軸線回りに回転するように保持する。そして、クランクピンPの外周面にフォームローラ4を一定荷重で接触させて、クランクシャフトCSを回転させることにより、フォームローラ4を連れ回りさせてクランクピンPの外周面に微細な凹部を形成する。凹部の深さは例えば1μm程度である。
このとき、フォーミング用工具1は、フォームローラ4の外周部における凸部4aが、同ローラ4の一周に及ぶ一本の螺旋に沿って一列に配置してあるので、図1(c)に示すように、ごく一部の凸部4aだけがクランクピンPの外周面に当接することとなる。これにより、回転軸の軸線方向にも複数の凸部を配列した従来のフォームローラ(図7参照)に比べて、フォームローラ4の押し付け荷重が小さいものとなり、これにより工具並びにフォーミング装置の小型化を図ることができる。なお、クランクピンPの外周面に接触する凸部4aの数は、フォームローラ4の大きさ等によって異なるが、例えば1〜3個程度であり、上記従来のフォームローラに比べて明らかに少ない。
また、フォーミング用工具1は、フォームローラ4の半径Rが、クランクピンPの中心から表面に形成される凹部底面までの距離rに対して非整数倍の大きさであるから、クランクピンPが一回転した時点、又はフォームローラ4が一回転した時点で、既に形成した凹部に凸部4aが対応することはなく、クランクピンPの回転を継続することで未形成の部分に凹部を順次形成する。さらに、フォームローラ4の荷重等を制御して凹部深さを所定の値とし、フォームローラ4の半径Rが、クランクピンPの中心から表面に形成される凹部底面までの距離rに対して非整数倍となるように凹部を形成するという方法も可能である。
このようにして、当該フォーミング用工具1は、クランクピンPの両側に横移動の妨げとなるカウンタウエイトCWがある場合でも、クランクピンPを複数回回転させることにより、フォームローラ4を回転軸3の軸線方向に移動させることなく、クランクピンPの外周面のほぼ全体に微細な凹部を多数形成することができる。
さらに、フォーミング用工具1は、クランクピンPのうねりやクランクシャフトCSの位置決め誤差等によって加工面に傾きが生じたとしても、上記の如くクランクピンPの外周面にごく一部の凸部4aだけが接触するので、加工面の傾きの影響を殆ど受けることなく凹部を高精度に形成することができ、しかも、凸部4aの先端を円弧状にすることにより、加工面に凸部4aを垂直に押し付けて凹部をより高精度に形成することができ、全ての凹部を均一に形成し得るものとなる。
なお、本実施例のように被加工物がクランクシャフトCSである場合には、クランクピンPの外周面に凹部を形成するのに加えて、ジャーナルJの外周面にも同様に凹部を形成することができる。また、フォームローラ4の押し付け荷重が小さいということは、被加工物がクランクシャフトCSのように長尺物である場合に、加工中のクランクシャフトCSが撓むのを防止することができ、これによっても凹部のさらなる高精度化を実現することができる。さらに、凸部4aの先端を円弧状にすることで、凸部4aが欠け難いものとなり、フォーミング用工具の長寿命化を実現することができる。
図4は、本発明に係わるフォーミング用工具の他の実施例を説明する図である。
図示のフォーミングローラ14は、全体で同ローラ14の一周分に対応し且つ互いに非連続である複数の螺旋に沿って凸部14aが配置してある。この実施例では、フォームローラ14の半周分に設けた一方の螺旋と、同ローラ14の残りの半周分に設けた他方の螺旋に沿って、凹部成形用の凸部14aが所定間隔で設けてある。各螺旋は、いずれもフォームローラ14の一方の端面から他方の端面に至ると共に、互いに非連続である。
上記のフォームローラ14を備えたフォーミング用工具にあっても、先の実施例と同様に、押し付け荷重を小さくして、加工中における被加工物の撓み防止や、工具並びにフォーミング装置の小型化を実現すると共に、加工面に傾きが生じている場合でも、その傾きの影響を殆ど受けることなく凹部を高精度に形成して、全ての凹部を均一に形成し得るものとなる。
図5は、本発明に係わるフォーミング用工具のさらに他の実施例を説明する図である。
図示のフォーミングローラ24,34は、回転軸3の軸線方向に配列した二条の螺旋に沿って凸部24a,34aを配置したものである。なお、各螺旋は、図示の如くローラ一周にわたって連続している。図5(a)に示す実施例では、フォームローラ24は、捩れ方向が同一の二条の螺旋に沿って凹部成形用の凸部24aを所定間隔で配置したものとなっている。また、図5(b)に示す実施例では、フォームローラ34は、軸線方向の半分に設けた一方の螺旋と、残りの半分に設けた他方の螺旋に沿って、凹部成形用の凸部34aを所定間隔で配置したものとなっており、一方及び他方の螺旋は互いに逆ねじ状を成している。
上記のフォームローラ24,34を備えたフォーミング用工具にあっても、先の各実施例と同様の効果を得ることができ、この際、二条の螺旋に沿って凸部24a,34aが配置してあるので、先の各実施例に比べて加工面に接触する凸部24a,34aの数が増えることになるが、それでも従来のフォームローラ(図7参照)に比べてフォームローラ24,34の押し付け荷重を充分に小さくすることができ、しかも、被加工物の回転数を少なくして、短時間で全ての凹部を形成することができる。
なお、本発明に係わるフォーミング用工具は、その詳細な構成が上記各実施例に限定されるものではない。また、当該フォーミング用工具は、フォームローラの外周部に、その一周のみにわたって連続する螺旋に沿って凹部成形用の凸部を配置しているので、フォームローラの円周方向及び軸線方向にわたって多数の凸部を配置した従来のものに比べて、凸部の数が大幅に少ないものとなり、これによりフォームローラの製造が容易になり、低コスト化なども実現することができる。
さらに、当該フォーミング用工具が対象とする被加工物は、実施例で説明したクランクシャフトCS以外に、自動車用エンジンやトランスミッションを構成する各種部品を挙げることができ、これらの部品の摺動部分に微細な凹部を多数形成することにより、安価に油溜りを設けることができると共に、摺動部分の低フリクション化を実現し、ひいては自動車用エンジンやトランスミッションの機能向上に貢献することができる。
本発明に係わるフォーミング用工具の一実施例を説明する側面図(a)、正面図(b)及び加工中の状態を示す正面図(c)である。 フォームローラとジャーナルとの寸法関係を示す説明図である。 凸部の先端を説明する断面図である。 本発明に係わるフォーミング用工具の他の実施例におけるフォームローラを説明する正面図(a)及び側面図(b)である。 本発明に係わるフォーミング用工具のさらに他の実施例におけるフォームローラの二例を説明する各々正面図(a)(b)である。 被加工物の一列としてクランクシャフトを示す説明図である。 従来のフォーミング用工具を示す説明図(a)及びフォームローラの斜視図(b)である。
符号の説明
1 フォーミング用工具
4 フォームローラ
4a 凸部
14 フォームローラ
14a 凸部
24 フォームローラ
24a 凸部
34 フォームローラ
34a 凸部
CS クランクシャフト(被加工物)
J ジャーナル(円柱部)
P クランクピン(円柱部)

Claims (6)

  1. 円柱部を有する被加工物に対して、円柱部の外周面に微細な凹部を多数形成するフォーミング用工具であって、外周部に凹部成形用の多数の凸部を配置したフォームローラを備え、多数の凸部が、フォームローラの一周のみにわたって連続する螺旋に沿って所定間隔で配置してあることを特徴とするフォーミング用工具。
  2. フォームローラの凸部の先端が、同ローラの回転軸を含む断面において円弧状を成していることを特徴とする請求項1に記載のフォーミング用工具。
  3. フォームローラの半径が、被加工物の円柱部中心から外周面に形成される凹部の底部までの距離に対して非整数倍の大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォーミング用工具。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォーミング用工具を用いて凹部を形成したことを特徴とする自動車用エンジン又はトランスミッションの部品。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォーミング用工具を用いて凹部を形成したことを特徴とするクランクシャフト。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォーミング用工具を用いて被加工物に対して凹部を形成する凹部形成方法であって、フォームローラの半径が、被加工物の円柱部中心からその表面に形成される凹部の底部までの距離に対して非整数倍になるように凹部深さを制御することを特徴とする凹部形成方法。
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