JP4836407B2 - 計算機ホログラムおよびその作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホログラムの作成方法に関し、特に、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法に関する。
近年、レーザを利用してコヒーレント光を容易に得ることができるようになり、ホログラムの商業的な利用もかなり普及するに至っている。特に、金券やクレジットカードについては、偽造防止の観点から、媒体の一部にホログラムを形成するのが一般化してきている。
現在、商業的に利用されているホログラムの多くは、光学的な手法により、原画像を媒体上に干渉縞として記録したものである。すなわち、原画像を構成する物体を用意し、この物体からの光と参照光とを、レンズなどの光学系を用いて感光剤が塗布された記録面上に導き、この記録面上に干渉縞を形成させるという手法を採っている。この光学的な手法は、鮮明な再生像を得るために、かなり精度の高い光学系を必要とするが、ホログラムを得るための最も直接的な手法であり、産業上では最も広く普及している手法である。
一方、計算機を用いた演算により記録面上に干渉縞を形成させ、ホログラムを作成する手法も知られており、このような手法で作成されたホログラムは、一般に「計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )」、あるいは単に「計算機ホログラム」と呼ばれている。この計算機ホログラムは、いわば光学的な干渉縞の生成プロセスをコンピュータ上でシミュレーションすることにより得られるものであり、干渉縞パターンを生成する過程は、すべてコンピュータ上の演算として行われる。このような演算によって干渉縞パターンの画像データが得られたら、この画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な干渉縞が形成される。具体的には、たとえば、コンピュータによって作成された干渉縞パターンの画像データを電子線描画装置に与え、媒体上で電子線を走査することにより物理的な干渉縞を形成する方法が実用化されている。たとえば、下記の特許文献1には、階調をもった原画像をできるだけ忠実に再現することが可能な計算機ホログラムの作成方法が開示されている。
特開2000−214750号公報
上述したように、計算機ホログラムは、今後大きな需要が見込まれる分野であるが、現時点では、商業的な利用を図る上での解決すべき課題をいくつか抱えている。ひとつの大きな課題は、品質の高い階調画像を再現できるようにするという点である。従来の手法により作成された計算機ホログラムには、光学的ホログラムに比べて階調画像の再現品質が低下するという問題がある。
たとえば、前掲の特許文献1に開示されている方法を用いれば、階調をもった原画像をある程度の品質で再現することが可能になるが、再生像に不要なノイズ成分が重なる現象が見られ、光学的な手法で作成されたホログラムと比べると、階調画像の再現品質が低下することは否めない。特に、多数の光源が存在する実社会の照明環境では、再生像は、多数のノイズ成分が混入した状態で観察され、光学的ホログラムに比べると視認性が低下せざるを得ない。
そこで本発明は、観察時に発生する不要なノイズ成分をできるだけ低減して、できるだけ鮮明な再生像を得ることが可能な計算機ホログラムを作成する方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法において、
三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
一定の形状および大きさをもった単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、単位領域に対する第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率を有する二値パターンを割り付ける段階と、
記録面上に割り付けられた二値パターンの集合からなる二値画像に基づいて、電子線描画装置を用いた電子線描画を行い、媒体上に物理的な干渉縞を凹凸構造により作成する段階と、
を行い、
単位領域として矩形を用い、この単位領域の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形からなる第1の領域を、単位領域の横幅に関するほぼ中心位置に配置し、残りの部分を第2の領域とすることにより二値パターンを形成し、
記録面上に定義する演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下に設定するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法において、
三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、を定義する段階と、
記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光によって形成される干渉波の強度および位相を演算する段階と、
一定の形状および大きさをもった単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、単位領域に対する第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率を有する二次元二値パターンをもち、それぞれ各演算点についての干渉波位相に対応した位相変調が可能な三次元構造をもった三次元セルを割り付ける段階と、
記録面上に割り付けられた三次元セルの集合からなる物理的なホログラム記録媒体を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して作成する段階と、
を行い、
単位領域として矩形を用い、この単位領域の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形からなる第1の領域を、単位領域の横幅に関するほぼ中心位置に配置し、残りの部分を第2の領域とすることにより二値パターンを形成し、
記録面上に定義する演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下に設定するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
所定の解像度をもった描画装置を用いたビーム走査により、媒体上に物理的な二値パターンを形成するようにし、個々の二値パターンにおける第1の領域を構成する矩形の横幅寸法が、描画装置による描画が可能な範囲内で予め定められた所定の単位寸法Lの整数倍になるように設定したものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
単位領域を構成する矩形の横幅寸法が、単位寸法Lのn倍となるように設定し(nは整数)、第1の領域を構成する矩形の横幅寸法が、それぞれ単位寸法の0倍,1倍,2倍,…,n倍となるような(n+1)通りの二値パターンを用意し、これらの二値パターンを、(n+1)段階に区分けされた干渉波強度にそれぞれ対応づけて割り付け、描画装置の描画解像度に基づいて定まる描画最小寸法をhとしたときに、演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下、かつ、h×n以上に設定したものである。
(5) 本発明の第5の態様は、多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法において、
三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
記録面上に、縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで配列された多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
演算点の縦方向のピッチに等しい縦幅を有し、演算点の横方向のピッチに等しい横幅を有する矩形からなる単位領域を定義し、この単位領域の所定位置に基準点を定める段階と、
単位領域を、第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、単位領域に対する第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率を有する二値パターンを、基準点が演算点上に配置されるように割り付ける段階と、
記録面上に割り付けられた二値パターンの集合からなる二値画像に基づいて、電子線描画装置を用いた電子線描画を行い、媒体上に物理的な干渉縞を凹凸構造により作成する段階と、
を行い、
記録面上に定義する演算点の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方を、可視光の最短波長以下に設定するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法において、
三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、を定義する段階と、
記録面上に、縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで配列された多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光によって形成される干渉波の強度および位相を演算する段階と、
演算点の縦方向のピッチに等しい縦幅を有し、演算点の横方向のピッチに等しい横幅を有する矩形からなる単位領域を定義し、この単位領域の所定位置に基準点を定める段階と、
単位領域を、第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、単位領域に対する第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率を有し、基準点が演算点上に配置されるように割り付けられた二次元二値パターンをもち、それぞれ各演算点についての干渉波位相に対応した位相変調が可能な三次元構造をもった三次元セルを割り付ける段階と、
記録面上に割り付けられた三次元セルの集合からなる物理的なホログラム記録媒体を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して作成する段階と、
を行い、
記録面上に定義する演算点の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方を、可視光の最短波長以下に設定するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
可視光の最短波長を400nmとするようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1または第5の態様に係る計算機ホログラムの作成方法における二値画像の作成段階に至るまでの工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムを用意し、当該プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第7の態様に係る計算機ホログラムの作成方法によって計算機ホログラム媒体を作成するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察される媒体であって、計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上に三次元の原画像を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して凹凸構造をなす干渉縞として記録した計算機ホログラム媒体において、
媒体上に縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで多数の単位領域が配列されており、この媒体上の各単位領域はそれぞれが第1の領域と第2の領域とに分けられており、第1の領域と第2の領域とは、一方が凸部、他方が凹部をなす関係にあり、各単位領域に対する第1の領域の占有率によって当該単位領域の位置における干渉波強度が表現されており、各単位領域の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方が、400nm以下であるようにしたものである。
本発明に係る計算機ホログラムの作成方法によれば、観察時に発生する不要なノイズ成分を低減させることができるので、より鮮明な再生像を得ることが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.一般的なホログラムの作成方法 >>>
図1は、一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法が示されている。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録面20がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録面20の全面に向けて進行する。一方、記録面20には、参照光Rが照射されており、物体光Oと参照光Rとの干渉縞が記録面20上に記録されることになる。
記録面20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録面20、参照光Rを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録面20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Rが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録面20上には、所定ピッチで多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録面20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
このような強度分布を示す画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えるようにすればよい。
図3は、このような二値化処理を用いて干渉縞パターンを記録する方法の概念図である。上述した演算により、記録面20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度値、すなわち干渉波の振幅強度値が定義されることになる。たとえば、図3(a) に示す演算点Q(x,y)にも、所定の振幅強度値が定義される。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録面20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにする。したがって、図3(a) に示す演算点Q(x,y)には、「1」か「0」のいずれかの画素値が定義されることになる。そこで、図3(b) に示すように、この演算点Q(x,y)の位置に単位領域U(x,y)を定義し、この単位領域U(x,y)を「1」か「0」のいずれかの画素値をもった画素として取り扱うようにすれば、所定の二値画像を得ることができる。
この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。図4は、横方向に隣接配置された6個の演算点の位置に、それぞれ単位領域U1〜U6(画素)を定義して二値画像を形成し、この二値画像を用いてエンボス版30(図には側断面を示す)を形成した例を示している。図示の例では、単位領域U1,U3,U5,U6は画素値「1」を有し、エンボス版30上の対応位置には凹部が形成されており、単位領域U2,U4は画素値「0」を有し、エンボス版30上の対応位置には凸部が形成されている。このようなエンボス版30を用いたエンボス加工を行えば、凹凸の関係が逆になったホログラム記録媒体を量産することができる。
図4では、エンボス版30上の凹凸構造と、各単位領域に定義された画素値との関係を示す便宜上、6つの単位領域U1〜U6が一次元配列をなす単純な例を示したが、実際には、各単位領域は記録面20上で二次元配列をなしている。図5には、記録面20上に10行10列の形態で二次元配列された単位領域U00〜U99が示されている。この例では、いずれの単位領域も、記録面20上に、横方向ピッチPx、縦方向ピッチPyで、それぞれ配置された合計100個の演算点Q00〜Q99が中心位置となるように配置された矩形状の領域となっている。記録面20上に定義された演算点は、いわば干渉波強度のサンプル点としての機能を果たすことになる。なお、図5に示す例では、矩形状の単位領域の中心点が各演算点上に重なるように、個々の単位領域を個々の演算点上に配置しているが、単位領域と演算点との位置関係は、必ずしもこのとおりにする必要はない。たとえば、各単位領域の左上隅点を基準点として定め、この左上隅にある基準点が演算点上に重なるように、個々の単位領域を配置してもかまわない。
上述したように、この図5に示す各演算点Q00〜Q99には、それぞれ所定の干渉波強度値が演算される。そして、ここで述べる基本的な手法では、各強度値は、所定のしきい値に基づいて二値化され、「1」または「0」の画素値に変換される。そこで、たとえば、画素値「1」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを白画素、画素値「0」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを黒画素として取り扱えば、白黒の二値画像が得られることになる。この二値画像に基づいて、白画素の部分を凹部、黒画素の部分を凸部(あるいはその逆)とする物理的な凹凸構造を形成すれば、ホログラム媒体が得られることになる。
<<< §2.階調値を考慮した計算機ホログラムの作成方法 >>>
上述した計算機ホログラムの作成方法では、各単位領域に割り付けられるのは、白画素か黒画素かのいずれかに限定されることになるため、演算により求められた干渉波強度の階調値は失われてしまう。たとえば、図5に示すように、記録面上に100個の演算点を10行10列の二次元配列で定義し、各演算点位置における干渉波の強度値を、0〜6の7段階の階調値として求めた場合に、図6に示すような結果が得られたとしよう。前述した手法では、このような7段階の階調値を図7に示すように二値化し(たとえば、4以上を「1」、4未満を「0」とする)、「1」の部分には白画素を、「0」の部分には黒画素を、それぞれ割り付けることにより、図8に示すような二値画像を作成することになる。このような二値画像を用いて媒体上に物理的な凹凸構造を形成し、ホログラム記録媒体を作成した場合、そこから得られる再生像には、十分な階調表現がなされなくなる。これは、そのようなホログラム記録媒体には、干渉波強度の階調値が記録されていないためである。
そこで、前掲の特許文献1には、干渉波強度の階調値を記録するための手法が開示されている。この手法では、各単位領域に割り付ける画素として、階調をもった複数の画素を予め用意しておき、干渉波強度の値に応じて、特定の階調をもった画素を割り付けるようにすることにより、干渉波強度の階調値を記録することになる。ただし、電子線描画装置などにより物理的な描画を行う上では、各単位領域に割り付けるパターンは、あくまでも二値パターンにする必要がある。そこで、前掲の特許文献1に開示された手法では、単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、「単位領域に対する第1の領域の占有率」を変えることにより複数通り用意しておき、各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率(「単位領域に対する第1の領域の占有率」)を有する二値パターンを割り付けるようにしている。
これを具体例で示そう。たとえば、図9に示すように、7種類の二値パターンD0〜D6を予め用意しておく。いずれの二値パターンも、同一サイズの矩形状単位領域内のパターンであり、第1の画素値「1」をもった第1の領域(図ではハッチングが施された部分)と、第2の画素値「0」をもった第2の領域(図では白い部分)とによって構成されている。もっとも、二値パターンD0には第1の領域のみしか含まれておらず、二値パターンD6には第2の領域のみしか含まれていないが、これは便宜上、他方の領域の面積が0である特別な場合と考えることにする。ここで、「単位領域(矩形全体)に対する第1の領域(ハッチング部分)の占有率」に着目すると、二値パターンD0,D1,D2,D3,D4,D5,D6についての当該占有率は、それぞれ6/6,5/6,4/6,3/6,2/6,1/6,0/6となる。
いずれの二値パターンにおいても、図示のとおり、第1の領域(ハッチング部分)は、単位領域(矩形全体)の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形から構成されており、しかもこの第1の領域を構成する矩形は、単位領域の横幅に関する中心位置に配置されている。そして、単位領域内の第1の領域が配置された残りの部分が第2の領域(白い部分)となっている。
さて、こうして用意された7種類の二値パターンD0〜D6を、記録面上の各演算点位置に選択的に割り付けることにより、各演算点における干渉波強度を7段階の階調によって表現することが可能になる。図6に示す例では、各演算点における干渉波強度は、0〜6の7段階の強度値として与えられている。この7段階の強度値に、7種類の二値パターンD0〜D6を割り当てるためには、たとえば、図9に示すように、強度値0〜6のそれぞれに対して、二値パターンD0〜D6を対応させればよい(逆に、強度値0〜6のそれぞれに対して、二値パターンD6〜D0を対応させるようにしてもよい)。図10は、上述の対応関係に基づいて、図6に示す各強度値に対応する二値パターンを割り付けて得られる二値画像の一例を示す図である。図8に示す二値画像と比較すると、いずれも二値画像であることに変わりはないものの、各演算点における干渉波強度値が階調情報をもったまま表現されていることがわかる。
この図10に示すような二値画像が得られたら、この二値画像に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を形成すれば、階調をもった画像を再現することが可能な計算機ホログラム媒体が得られる。具体的には、図10における白い部分を凸部、ハッチング部分を凹部(またはその逆)とするエンボス構造を媒体上に形成すればよい。実際には、このような二値画像の形成は、電子線描画装置を用いた電子ビーム走査によって行うのが好ましい。もちろん、図10に示すような二値画像を得るまでの工程は、所定のプログラムを組み込んだコンピュータによって行われ、このコンピュータによって作成された二値画像データを電子線描画装置に与えることにより、実際の物理的な描画処理が行われることになる。
<<< §3.ノイズ成分が観察される原因およびその排除方法 >>>
以上、特許文献1に開示されている方法により、階調をもった原画像を再現することが可能なホログラムを作成する具体的な手順を説明した。しかしながら、実際に、この手法で作成された計算機ホログラムには、再生像に不要なノイズ成分が重なる現象が生じ、光学的な手法で作成されたホログラムと比べると、階調画像の再現品質の低下が見られた。本願発明者は、このノイズ成分が観察される原因を追究することにより、次のような理論的解析結果を得ることができた。
まず、図10に示すような二値画像が表現されているホログラム媒体をマクロ的に観察してみる。すると、図11に示すように、縦方向に細長く伸びた黒いストライプパターンと白いストライプパターンとが交互に重なりあっている様子が観察できるであろう。ここで、黒いストライプパターンの横方向の周期Pxおよび白いストライプパターンの横方向の周期Pxは等しく、両者は位相が180度だけずれている。結局、図10に示す二値画像は、マクロ的に見れば、図12に示すような白黒のストライプパターンに近い光学的性質を有していることなり、周期Pxの回折格子として機能することになる。ここで、周期Pxは、図5に示すように、記録面20上に定義された多数の演算点Qの横方向のピッチに他ならない。
図8に示す二値画像と図10に示す二値画像とを比較すると、前者は原画像10の階調情報を含まない干渉縞パターンであるのに対し、後者は原画像10の階調情報を含む干渉縞パターンとなっている。しかしながら、階調情報を二値画像として疑似的に表現する手法をとったため、後者は、演算点Qの横方向ピッチPxに等しい周期をもった回折格子としての機能をもってしまっていることになる。図10に示すような二値画像が表現されているホログラム媒体を観察したときに、ノイズ成分が重なって見えるのは、このホログラム媒体が、周期Pxをもった回折格子として機能し、意図していない回折光が混じってしまうためである。
特に、多数の光源が存在する実社会の照明環境では、観察対象となる媒体に対して、種々の方向から照明光が照射されることになり、再生像は、多数のノイズ成分が混入した状態で観察され、光学的ホログラムに比べると視認性が低下せざるを得ない。たとえば、図13に示すように、ホログラム媒体40を、その記録面に立てた法線方向から観察する場合を考えてみよう。このホログラム媒体40が、回折格子として機能し、図のように入射角θの方向から照射された入射光Iが、法線方向へと回折したとすると、この回折光は、不要なノイズ成分として観察されることになる。
したがって、観察時に、不要なノイズ成分をできるだけ低減して、できるだけ鮮明な再生像を得ることができるようにするためには、意図しない回折光が観察方向に向かうことがないような条件設定を行えばよいことになる。本願発明者は、次のような前提の下に、このような条件を考えてみた。
まず、観察方向については、図13に示す例のように、ホログラム媒体40の記録面に立てた法線方向という前提をおく。もちろん、ホログラム媒体40をどの方向から観察するかは、観察者の自由であるが、実用上、この法線方向から観察するケースが最も一般的であり、法線方向から観察することを前提としてホログラム媒体40を作成することは、最も合理的な方法である。
一般に、回折格子による回折現象は、次の式で表される。
d(sin θ1−sin θ2)=mλ
ここで、dは回折格子の格子ピッチ、θ1は入射角、θ2は回折角、mは回折光の回折次数(m=1,2,3,…)、λは入射光の波長である。上述の前提により、記録面の法線方向から観察することを考えると、回折角θ2=0°となるような回折光が存在しないような条件(すなわち、意図しない回折光が観察方向へと向かうことがないような条件)が満足されればよいことになる。したがって、求める条件は、
d(sin θ1−sin 0)=mλ
なる式が成立しないような条件ということになる。sin 0=0であるから、この式を整理すると、
sin θ1=mλ/d
のような形になり、このような式が成立しないような条件として、
1<mλ/d
なる式が導かれる(θ1が実数である限り、sin θ1≦1であるので、上式は、sin θ1>1となる状態、すなわち、θ1が虚数になる条件を示している)。ここで、λとdが定数であるならば、m=1で上式が満足されれば、m=2,3,…でも同様に上式は満足されることになるので、m=1の場合についてのみ考えれば十分である。したがって、求める条件は、
d<λ
なる単純な式で表されることになる。ここで、臨界条件について、若干の検討を加えておくと、d=λの場合は、記録面に平行な方向(θ1=90°)から入射光Iがきた場合に、回折光が法線方向に向かう状態(回折角θ2=0°)を示すことになるが、物理的なホログラム媒体40の構造(物理的な三次元凹凸構造)を考慮すると、記録面に平行な方向から入射した光が法線方向に回折することは不可能である。したがって、実際には、上式は等号を含め、
d≦λ
として問題はない。
以上、回折光の回折次数mが、正の整数1,2,3,…である場合について検討したが、ここでは念のため、回折次数mが0の場合と、負の整数−1,−2,−3,…である場合についても検討しておく。まず、m=0の場合は、入射光そのものが観察者の目に到達する特別な場合であり、現実的には考慮する必要はない。たとえば、反射型のホログラムの場合、0次回折光を観察者の目に到達させるためには、観察者の目の方向から入射光を照射する必要があり、現実的にはありえない照明環境ということになる。一方、mが負の整数−1,−2,−3,…になる場合については、入射角θ1の符号を反転したケースとして取り扱えば、前述の検討内容に含まれることになるので、mが負になる場合を別個に検討する必要はない。たとえば、m=−1,θ1=30°のケースは、それぞれの符号を反転したm=1,θ1=−30°のケースと同等になるので、あらためて検討する必要はない。
さて、ここで、λは、入射光の波長であるが、実際に、ホログラム媒体40を観察するときの照明環境には、様々な波長の光が含まれている。しかしながら、観察者の目にノイズ成分として影響を与える光は、人間の目にとっての可視光に限られる。結局、回折格子の格子ピッチdが、可視光の最短波長以下に設定されていれば、d≦λなる上式が満足されることになり、可視域にあるどのような波長の光がどのような方向からホログラム媒体40の記録面に入射したとしても、当該入射光が法線方向(観察方向)へと回折することはない。
結局、図5において、演算点Qの横方向のピッチPxが、可視光の最短波長以下に設定されていれば、図10に示されるような二値画像が意図しない回折格子としての性質を示したとしても、当該回折格子の格子ピッチdは、可視光の波長λに対して、常にd≦λなる条件を満たすことになるので、可視光からなるノイズ成分が法線方向から観察している観察者の目に触れることはなくなる。
前掲の特許公報1に示されている実施例には、演算点Qの横方向のピッチPxを600nm程度に設定する例が示されている。この600nmという演算点ピッチは、原画像10を忠実に再現する上での解像度を与えるのには十分に細かな数値である。しかしながら、上述した理論的考察により、演算点ピッチPxを600nmに設定して得られたホログラム媒体は、格子ピッチd=600nmの回折格子としての性質をもつため、不要な回折光が観察者の目に届いてしまうことがわかる。特許文献1に開示されている方法により作成されたホログラム媒体を観察すると、ノイズ成分の重なりにより再現品質の低下が見られた原因は、正にこの点にある。
このノイズ成分が観察される原因を排除するには、演算点Qの横方向のピッチPxを、可視光の最短波長以下に設定すればよい。一般に、短波長域では、人間の比視感度が極端に低下することが知られており、本願発明を実施する上での可視光の最短波長としては、400nmなる波長値を用いるのが適切である。すなわち、図5において、演算点Qの横方向のピッチPxを400nm以下に設定すれば、ノイズ成分の影響を受けない鮮明な像を再生することが可能なホログラム媒体を作成することができる。
<<< §4.用意すべき二値パターンの構成例 >>>
図9に、本発明で利用できる7種類の二値パターンD0〜D6の一構成例を示した。ここでは、図14〜図16を参照しながら、二値パターンのいくつかのバリエーションを示す。図14〜図16に示す二値パターンの構成例は、いずれも正方形状の単位領域を第1の画素値をもった第1の領域(白い部分)と第2の画素値をもった第2の領域(ハッチングを施した部分)とに分割することにより定義される二値パターン群であり、この点においては、図9に示す二値パターンの構成とほぼ同様である(図示の便宜上、図9では、第1の領域をハッチング部分として示してあるが、図14〜図16では、第1の領域を白い部分として示してある。)。なお、これらの二値パターンでは、単位領域全体に対する第1の領域の占有率は、D0:0%,D1:25%,D2:50%,D3:75%,D4:100%となっている。
図9に示す二値パターンを用いて作成された二値画像は、既に述べたとおり、横方向に周期性を帯びるため、たとえば、図12に示すような回折格子としての性質を呈することになる。これに対して、図14〜図16に示す二値パターンを利用した場合、横方向だけでなく縦方向にも周期性を帯びることになるため、横方向だけでなく、縦方向に関しても回折格子としての性質を呈することになる。そのため、この図14〜図16に示す二値パターンを利用する場合は、演算点Qの横方向のピッチPxだけでなく、縦方向のピッチPyについても、可視光の最短波長以下(400nm以下)にする設定を行う必要がある。
もっとも、実用上は、図9に示すような形態の二値パターンを用いるのが最も好ましい。この図9に示す二値パターンでは、第1の領域の形状は変化するものの、その中心位置は常に単位領域全体の中心位置に等しくなり、矩形の一辺は常に所定の単位寸法の整数倍となるため、電子線描画装置による描画処理も容易に行うことができる。図9に示す二値パターンの構成例を一般論として表現すると、単位領域として矩形を用い、この単位領域の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率(6/6,5/6,4/6,3/6,2/6,1/6,0/6)に応じた横幅を有する矩形からなる第1の領域(ハッチング部分)を、単位領域の横幅に関する中心位置に配置し、残りの部分を第2の領域(白い部分)とすることにより二値パターンを形成する、ということになる。
このような7種類の二値パターンを、電子線描画装置を用いたビーム走査によって物理的な媒体上に形成する際には、所定の単位寸法Lを定め、この単位寸法Lの整数倍の単位で描画を行えばよい。図17は、図9に示す二値パターン構成例の寸法を比較して示す平面図であり、図9に示す各二値パターンにおけるハッチング部分の左端をそろえて比較して示したものである。ハッチング部分の横方向の寸法が、単位寸法Lの整数倍のステップで変化していることがわかる。第1の領域を構成する矩形の横幅寸法は、いずれもこの単位寸法Lの整数倍となっているため、描画処理は非常に容易になる。
一般論としては、単位領域を構成する矩形の横幅寸法が、単位寸法Lのn倍となるように設定し(nは整数:図示の例では、n=6)、第1の領域を構成する矩形の横幅寸法が、それぞれ単位寸法の0倍,1倍,2倍,…,n倍となるような(n+1)通りの二値パターンを用意し、これらの二値パターンを、(n+1)段階に区分けされた干渉波強度にそれぞれ対応づけて割り付けるようにすると、非常に合理的な作業が可能になる。この場合、演算点Qの横方向のピッチは、Px=L×nとなるように設定することになる。
なお、単位寸法Lは、描画装置の描画解像度に基づいて定まる描画最小寸法hより小さくすることはできない。したがって、図9に示す二値パターン構成例を用いる場合、演算点Qの横方向のピッチは、Px=h×nが下限ということになる。現在、一般的に利用されている電子線描画装置における電子ビームのスポット径は50nm程度で、その走査精度は10nm程度であるから、現時点では、実用上、描画最小寸法h=10nmということになる。したがって、図9に示す二値パターン構成例を用いる場合、演算点Qの横方向のピッチは、400nm以下、かつ、60nm以上という範囲内で設定すればよい。
<<< §5.参照光を用いない手法への適用 >>>
これまで述べた実施形態は、図2に示すように、物体光と参照光との干渉波強度を、記録面20上に定義された各演算点Qごとに演算する手法をとっていたが、計算機ホログラムの演算手法には、参照光を用いない手法も存在する。たとえば、特開2002−72837号公報には、参照光を定義せずに、物体光のみによる干渉波を記録面に記録する計算機ホログラムの手法が開示されている。この手法では、個々の演算点ごとに、干渉波の振幅強度と位相とを演算し、各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率を有する二次元二値パターンをもち、それぞれ各演算点についての干渉波位相に対応した位相変調が可能な三次元構造をもった三次元セルを割り付け、記録面上に割り付けられた三次元セルの集合からなる物理的なホログラム媒体を作成することになる。
図18は、このような手法に利用される三次元セルの一例を示す斜視図である。各三次元セルには、中央部分に凹状の溝が設けられており、この凹状の溝の底面積が各演算点で求められた振幅に対応し、深さが位相に対応する。このような三次元セルを用いてホログラム媒体を作成する原理や具体的な方法については、上述の特開2002−72837号公報に詳述されているため、ここでは詳しい説明は省略するが、本発明に係る計算機ホログラムの作成方法は、このような三次元セルを用いた手法にも同様に適用可能である。すなわち、この三次元セルを用いた手法では、各演算点に、当該演算点について求められた振幅と位相の値に対応させて、所定の三次元セルを配置してゆくことになるが、このような手法においても、演算点のピッチを可視光の最短波長以下に設定することにより、ノイズ成分のない鮮明な像を再生することが可能なホログラム媒体を作成することが可能になる。
一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法が示されている。 図1に示す原理に基づいて、記録面上の任意の演算点Q(x,y)における干渉波の強度を演算する方法を示す図である。 演算によって得られた干渉波の強度分布画像に基づいて、二値画像を得る過程を示す概念図である。 単位領域U1〜U6にそれぞれ二値画素値を定義し、この画素値に基づいて凹凸構造をもったエンボス版30を作成した状態を示す平面図および側断面図である。 記録面20上に格子状に配列された演算点Q00〜Q99の位置に、それぞれ単位領域U00〜U99を定義した状態を示す平面図である。 10×10の行列上に配置された100個の演算点について求まった干渉波強度値の一例を示す図表である。 図6に示す干渉波強度値を二値化した状態を示す図表である。 図7に示す二値化データに基づいて得られる二値画像を示す平面図である。 本発明において用いられる二値パターンの構成例を示す平面図である。 図6に示す干渉波強度値データに対応させて、図9に示す二値パターンのいずれかを割り付けることにより得られる二値画像を示す平面図である。 図10に示されている二値画像に現れる周期性パターンを示す平面図である。 図11に示す周期性パターンと同等の機能を果たす回折格子パターンを示す平面図である。 ホログラム媒体の観察時にノイズ成分が現れる現象を説明する側断面図である。 図9に示す二値パターン構成例の第1のバリエーションを示す平面図である。 図9に示す二値パターン構成例の第2のバリエーションを示す平面図である。 図9に示す二値パターン構成例の第3のバリエーションを示す平面図である。 図9に示す二値パターン構成例の寸法を比較して示す平面図である。 本発明の実施に利用される三次元セルの集合例を示す斜視図である。
符号の説明
10…原画像
20…記録面
30…エンボス版
40…ホログラム媒体
D0〜D6…二値パターン
I…入射光
L…単位寸法
O,O1,Oi,ON…物体光
P,P1,Pi,PN…点光源
Px…演算点の横方向ピッチ
Py…演算点の縦方向ピッチ
Q,Q(x,y)…演算点
Q00〜Q99…演算点
R…参照光
U(x,y)…単位領域
U1〜U6…単位領域
U00〜U99…単位領域
V1〜V4…三次元セル群の行
W1〜W7…三次元セル群の列
θ…入射角

Claims (10)

  1. 多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法であって、
    三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
    前記記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
    一定の形状および大きさをもった単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、前記単位領域に対する前記第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
    前記各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した前記占有率を有する二値パターンを割り付ける段階と、
    前記記録面上に割り付けられた二値パターンの集合からなる二値画像に基づいて、電子線描画装置を用いた電子線描画を行い、媒体上に物理的な干渉縞を凹凸構造により作成する段階と、
    を有し、
    前記単位領域として矩形を用い、前記単位領域の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形からなる第1の領域を、前記単位領域の横幅に関するほぼ中心位置に配置し、残りの部分を第2の領域とすることにより二値パターンを形成し、
    前記記録面上に定義する演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下に設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  2. 多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法であって、
    三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、を定義する段階と、
    前記記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光によって形成される干渉波の強度および位相を演算する段階と、
    一定の形状および大きさをもった単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、前記単位領域に対する前記第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
    前記各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した前記占有率を有する二次元二値パターンをもち、それぞれ各演算点についての干渉波位相に対応した位相変調が可能な三次元構造をもった三次元セルを割り付ける段階と、
    前記記録面上に割り付けられた三次元セルの集合からなる物理的なホログラム記録媒体を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して作成する段階と、
    を有し、
    前記単位領域として矩形を用い、前記単位領域の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形からなる第1の領域を、前記単位領域の横幅に関するほぼ中心位置に配置し、残りの部分を第2の領域とすることにより二値パターンを形成し、
    前記記録面上に定義する演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下に設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  3. 請求項1または2に記載の作成方法において、
    所定の解像度をもった描画装置を用いたビーム走査により、媒体上に物理的な二値パターンを形成するようにし、個々の二値パターンにおける第1の領域を構成する矩形の横幅寸法が、前記描画装置による描画が可能な範囲内で予め定められた所定の単位寸法Lの整数倍になるように設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  4. 請求項3に記載の作成方法において、
    単位領域を構成する矩形の横幅寸法が、単位寸法Lのn倍となるように設定し(nは整数)、第1の領域を構成する矩形の横幅寸法が、それぞれ単位寸法の0倍,1倍,2倍,…,n倍となるような(n+1)通りの二値パターンを用意し、これらの二値パターンを、(n+1)段階に区分けされた干渉波強度にそれぞれ対応づけて割り付け、描画装置の描画解像度に基づいて定まる描画最小寸法をhとしたときに、演算点の横方向のピッチを、可視光の最短波長以下、かつ、h×n以上に設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  5. 多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法であって、
    三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
    前記記録面上に、縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで配列された多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
    前記演算点の縦方向のピッチに等しい縦幅を有し、前記演算点の横方向のピッチに等しい横幅を有する矩形からなる単位領域を定義し、この単位領域の所定位置に基準点を定める段階と、
    前記単位領域を、第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、前記単位領域に対する前記第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
    前記各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した前記占有率を有する二値パターンを、前記基準点が前記演算点上に配置されるように割り付ける段階と、
    前記記録面上に割り付けられた二値パターンの集合からなる二値画像に基づいて、電子線描画装置を用いた電子線描画を行い、媒体上に物理的な干渉縞を凹凸構造により作成する段階と、
    を有し、
    前記記録面上に定義する演算点の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方を、可視光の最短波長以下に設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  6. 多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察され、所定の記録面上に干渉縞を形成してなるホログラムを、計算機を用いた演算により作成する方法であって、
    三次元座標系上に、所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、を定義する段階と、
    前記記録面上に、縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで配列された多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光によって形成される干渉波の強度および位相を演算する段階と、
    前記演算点の縦方向のピッチに等しい縦幅を有し、前記演算点の横方向のピッチに等しい横幅を有する矩形からなる単位領域を定義し、この単位領域の所定位置に基準点を定める段階と、
    前記単位領域を、第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、前記単位領域に対する前記第1の領域の占有率を変えることにより複数通り定義する段階と、
    前記各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した前記占有率を有し、前記基準点が前記演算点上に配置されるように割り付けられた二次元二値パターンをもち、それぞれ各演算点についての干渉波位相に対応した位相変調が可能な三次元構造をもった三次元セルを割り付ける段階と、
    前記記録面上に割り付けられた三次元セルの集合からなる物理的なホログラム記録媒体を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して作成する段階と、
    を有し、
    前記記録面上に定義する演算点の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方を、可視光の最短波長以下に設定したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の作成方法において、
    可視光の最短波長を400nmとすることを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  8. 請求項1または5に記載の計算機ホログラムの作成方法における二値画像の作成段階に至るまでの工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムもしくは当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の作成方法によって作成された計算機ホログラムを記録してなる計算機ホログラム媒体。
  10. 多数の光源が存在する実社会の照明環境で観察される媒体であって、計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上に三次元の原画像を電子線描画装置を用いた電子線描画を利用して凹凸構造をなす干渉縞として記録した計算機ホログラム媒体において、
    媒体上に縦方向および横方向にそれぞれ所定ピッチで多数の単位領域が配列されており、この媒体上の各単位領域はそれぞれが第1の領域と第2の領域とに分けられており、前記第1の領域と前記第2の領域とは、一方が凸部、他方が凹部をなす関係にあり、各単位領域に対する前記第1の領域の占有率によって当該単位領域の位置における干渉波強度が表現されており、各単位領域の縦方向のピッチと横方向のピッチとの双方が、400nm以下であることを特徴とする計算機ホログラム媒体。
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