JP4836772B2 - 評価データ作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、評価データ作成方法に関し、さらに詳しくは、大型設備等における潤滑対象部の潤滑状態を評価するための信頼性の高い評価データを作成できる評価データ作成方法に関する。
従来の潤滑状態評価方法として、自動車のエンジンオイルに含まれるスーツ(カーボン粒子)の粒子数の検出により粒径分布を算出し、この粒径分布に基づいてエンジンオイルの劣化状態、及びエンジンの摩耗状態を評価するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、発電機等の大型設備では、潤滑油が供給される潤滑対象部(例えば、軸受部、ギヤ部等)が多数あり、これら潤滑対象部毎で良好な潤滑状態であると考えられる粒径分布はそれぞれ異なっている。従って、この大型設備に上記従来の潤滑状態評価方法を適用しても、潤滑油の汚染度の管理は行えるが、粒径分布のみからでは各潤滑対象部の摩耗状態を正確に評価することが困難であった。
特開平10−19788号公報
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、大型設備等における潤滑対象部の潤滑状態を評価するための信頼性の高い評価データを作成できる評価データ作成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、摩擦現象で発生する摩耗粒子の数は、摩耗の程度を示す代表的なパラメータである「比摩耗量」や摩擦状態を示す代表的なパラメータである「摩擦係数」との間に一定の関係があることを知見し、これに基づいて、潤滑油中の摩耗粒子数の時間変化率を示す潤滑状態評価パラメータLpと上記「比摩耗量」及び/又は「摩擦係数」との間に一定の相関関係が見られ、この相関関係を利用すれば潤滑状態を正確に評価できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の通りである。
1.潤滑対象部の潤滑状態を評価するための評価データの作成方法であって、
すべり摩擦試験によって、粒子数測定器で潤滑油中の粒子数を測定して、その測定値から潤滑油中の粒子数の時間変化率を示す第1評価パラメータ(Lp)を算出すると共に、摩耗及び/又は摩擦の状態を示す第2評価パラメータを測定する工程と、
前記第1評価パラメータ(Lp)と前記第2評価パラメータとの相関関係に基づいて評価データを得る工程と、を備え
「Pc」を前記粒子数測定器で測定される粒子数とし、「k」を前記潤滑対象部の摺動面積に応じて決まる補正係数とし、「L」を前記潤滑対象部の摺動面積及び摺動時間から求まる摺動距離としたとき、前記第1評価パラメータ(Lp)を下記数式により算出することを特徴とする評価データ作成方法。
Lp=Pc/(k・L)
2.前記第1評価パラメータ(Lp)は、潤滑対象部の単位摺動距離当たりの粒子数を示す値である上記1.記載の評価データ作成方法。
3.前記第2評価パラメータは、摩擦係数及び/又は比摩耗量である上記1.又は2.に記載の評価データ作成方法。
4.前記粒子数測定器は、セル内を流れる潤滑油に光を照射する発光体と、該発光体による遮断光を受光する遮断光受光体と、該発光体による散乱光を受光する散乱光受光体と、前記遮断光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡又は微粒子の粒径を算出する粒径算出手段と、前記散乱光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別する識別手段と、前記粒径算出手段の算出結果及び前記識別手段の識別結果に基づいて所定の粒径毎の微粒子を計数する計数手段と、を備えている上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の評価データ作成方法。
本発明の評価データ作成方法によると、すべり摩擦試験によって、粒子数測定器で潤滑油中の粒子数が測定されて、その測定値から潤滑油中の粒子数の時間変化率を示す第1評価パラメータが算出されると共に、摩耗及び/又は摩擦の状態を示す第2評価パラメータが測定され、その後、第1評価パラメータと第2評価パラメータとの相関関係に基づいて評価データが得られる。そして、この評価データを用いれば、実際の潤滑対象部で測定される粒子数から求められる第1評価パラメータから第2評価パラメータを取得できる。その結果、この第2評価パラメータを用いて、大型設備等における潤滑対象部の潤滑状態を正確に評価できる。特に、潤滑油のサンプリング周期を短周期(例えば、数分オーダー等)にすれば、潤滑対象部の潤滑状態をより短時間で評価できる。
また、前記第1評価パラメータが、潤滑対象部の単位摺動距離当たりの粒子数を示す値である場合は、より信頼性の高い評価データを作成できる。
また、前記第2評価パラメータが、摩擦係数及び/又は比摩耗量である場合は、より一般的な第2評価パラメータを用いて、より信頼性の高い評価データを作成できる。
また、前記粒子数測定器が、発光体と、遮断光受光体と、散乱光受光体と、粒径算出手段と、識別手段と、計数手段と、を備えている場合は、潤滑油中の気泡と微粒子とを高精度に識別して微粒子を計測でき、より信頼性の高い評価データを作成できる。
1.評価データ作成方法
本実施形態1.に係る評価データ作成方法は、以下に述べる測定工程及び評価データ取得工程を備える。
上記「測定工程」は、すべり摩擦試験によって、粒子数測定器で潤滑油中の粒子数を測定して、その測定値から第1評価パラメータを算出すると共に、摩耗及び/又は摩擦の状態を示す第2評価パラメータを測定する工程である限り、その測定形態、タイミング等は特に問わない。
上記すべり摩擦試験は、例えば、所定の供給量で潤滑油を供給した状態で、一対の試験片を、所定の荷重で接触させつつ所定のすべり速度で相対的にすべらせる試験であることができる。また、上記すべり摩擦試験は、通常、潤滑油の種類(例えば、粘度等)を変えて多数回行われる。そして、上記すべり摩擦試験において、潤滑油中の粒子数及びすべり距離(すべり時間)が測定されると共に、第2評価パラメータ(例えば、摩擦係数、比摩耗量等)が測定される。
上記「第1評価パラメータLp」は、潤滑油中の粒子数の時間変化率を示す値である限り、その種類等は特に問わない。
上記第1評価パラメータLpは、例えば、潤滑対象部の単位摺動距離当たりの粒子数を示す値であることができる。具体的には、下式により求めることができる。
Lp=Pc/(k・L)
ここで、Pcは、上記粒子数測定器で測定される粒子数(個/100ml)である。また、kは、潤滑対象部の摺動面積等に応じて決まる補正係数(例えば、0.1等)である。また、Lは、潤滑対象部の摺動面積及び摺動時間から求まる摺動距離(m)である。
上記「第2評価パラメータ」は、摩耗及び/又は摩擦の状態を示す値である限り、その種類、個数等は特に問わない。
上記第2評価パラメータとしては、例えば、比摩耗量Ws、摩擦係数μ等を挙げることができる。
上記「粒子数測定器」は、潤滑油中の粒子数を測定する限り、その測定形態、タイミング等は特に問わない。この粒子数測定器の測定形態としては、例えば、光散乱式、光遮断式、電気抵抗式等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
上記粒子数測定器は、例えば、セル内を流れる潤滑油に光を照射する発光体(例えば、レーザ発光体等)と、該発光体による遮断光を受光する遮断光受光体(例えば、フォトダイオード等)と、該発光体による散乱光を受光する散乱光受光体(例えば、フォトダイオード等)と、遮断光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡又は微粒子の粒径を算出する粒径算出手段と、散乱光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別する識別手段と、粒径算出手段の算出結果及び前記識別手段の識別結果に基づいて所定の粒径毎の微粒子を計数する計数手段と、を備えることができる。この粒子数測定器を用いれば、潤滑油中に含まれる比較的大径で広範囲に及ぶ微粒子と気泡とを光学的に識別して所定の粒径毎の微粒子を高精度に計数することができる。
上記粒子数測定器のより好ましい形態としては、例えば、下記(1)〜(3)形態を挙げることができる。
(1)上記遮断光受光体が、上記発光体からの光の光軸上でセルを介して発光体と反対側に配置され且つ潤滑油からの遮断光を受光して遮断光パルス信号に変換するものであり、上記散乱光受光体が、上記発光体からの光の光軸の外周側に配置され且つ潤滑油からの散乱光を受光して散乱光パルス信号に変換するものであり、上記粒径算出手段が、上記遮断光受光体による遮断光パルス信号のパルス高さに基づいて、潤滑油中に含まれる気泡又は微粒子の粒径を算出する手段であり、上記識別手段が、上記散乱光受光体による散乱光パルス信号のパルス高さに基づいて、潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別する手段である形態。
(2)上記散乱光受光体が、上記発光体からの光の光軸方向に複数配置されており、複数の散乱光受光体による各散乱光パルス信号の各パルス高さより散乱パターンを算出するパターン算出手段をさらに備え、上記識別手段が、パターン算出手段により算出された散乱パターンに基づいて、潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別可能である形態。
(3)上記散乱光受光体が、上記発光体からの光の光軸を中心として回転対称位置に配置される少なくとも第1散乱光受光体及び第2散乱光受光体からなり、上記識別手段が、第1散乱光受光体及び第2散乱光受光体の各散乱光パルス信号の各パルス高さの比較に基づいて、潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別可能である形態。
上記「評価データ取得工程」は、上記第1評価パラメータと上記第2評価パラメータとの相関関係に基づいて評価データを得る工程である限り、その取得形態、タイミング等は特に問わない。
上記評価データ取得工程は、例えば、縦横軸のうち一方の軸に第1評価パラメータをとり、他方の軸に第2評価パラメータをとって、上記評価データ(検量線)を得る工程であることができる。
尚、上記潤滑対象部としては、例えば、すべり軸受部、転がり軸受部、ギヤ部、摺動部等を挙げることができる。上記摺動部は、例えば、変圧器における接点切換機構の摺動部であることができる。また、上記潤滑対象部を備える設備としては、例えば、各種発電機、変圧器、工作機械等の固定設備、車両、航空機、船舶等の移動設備などを挙げることができる。また、上記潤滑油としては、例えば、石油系潤滑油であるスピンドル油、マシン油、ダイナモ油、タービン油等を挙げることができる。さらに、上記粒子としては、例えば、潤滑対象部で生じる摩耗粒子、潤滑対象部の外部から侵入する粒子等を挙げることができる。
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)評価データの作成方法
本実施例に係る第1評価データQ1(図4参照)及び第2評価データQ2(図5参照)は、すべり摩擦試験により求められる。このすべり摩擦試験では、所定の表面粗さ(例えば、Ra:0.2μm)のブロック試験片と所定の表面粗さ(例えば、Ra:0.5±0.2μm)のディスク試験片とを、所定の荷重(例えば、400N)で接触させつつ所定のすべり速度(例えば、2.2m/s)で相対的にすべらせる。その際に、平均摩擦係数μ(図1参照)及び比摩耗量Ws等が測定される。また、後述の粒子数測定器で潤滑油中の複数の粒径範囲(例えば、5〜15μm、15〜25μm、25〜50μm等)の粒子数が測定される(図2参照)。
上記すべり摩擦試験を、粘度(即ち、油膜厚さ)の異なる潤滑油(例えば、油供給量4.2L)で繰り返し行うと、図3に示すように、試験番号1〜7における各摩擦係数μ、比摩耗量Ws(mm3/Nm)、すべり距離L(m)、及び発生粒子数Pc(個/100ml)が測定される。これらの測定結果によって潤滑状態評価パラメータLp(Lp=Pc/(k・L)、本発明に係る「第1評価パラメータ」として例示する。)が求められる。そして、図4に示すように、縦軸に摩擦係数μ(本発明に係る「第2評価パラメータ」として例示する。)をとり、横軸に潤滑状態評価パラメータLpをとると第1評価データQ1(検量線)が作成される。また、図5に示すように、縦軸に比摩耗量Ws(本発明に係る「第2評価パラメータ」として例示する。)をとり、横軸に潤滑状態評価パラメータLpをとると第2評価データQ2(検量線)が作成される。これら第1及び第2評価データQ1,Q2は、発生粒子数の複数の粒径範囲毎に応じて複数作成される。
なお、上記kは、潤滑対象部の摺動面積等に応じて決まる補正係数(例えば、0.1等)である。また、上記すべり摩擦試験1〜4は混合潤滑の初期状態であり、上記すべり摩擦試験5は混合潤滑の中期状態であり、上記すべり摩擦試験6は混合潤滑の後期状態であり、上記すべり摩擦試験7は境界潤滑の状態である。
(2)粒子数測定器の構成
次に、上記すべり摩擦試験で用いられる粒子数測定器2の構成について説明する。
上記粒子数測定器2は、図6に示すように、セル5、1つの半導体レーザ6(本発明に係る「発光体」として例示する。)、1つの遮断光用フォトダイオード7(本発明に係る「遮断光受光体」として例示する。)、多数の第1及び第2散乱光用フォトダイオード8,9(本発明に係る「散乱光受光体」として例示する。)及びコンピュータ(図示せず)を備えている。
上記セル5は、無色透明のプラスチック製であり、縦寸法0.5mm、横寸法1mmの矩形管状に形成されている。このセル5には、上記すべり摩擦試験で使用される潤滑油が所定の流速で流される。
上記半導体レーザ6は、セル5内を流れる潤滑油に所定の波長(例えば、650nm等)のレーザ光を照射する。
上記遮断光用フォトダイオード7は、半導体レーザ6からのレーザ光の光軸上でセル5を介して半導体レーザ6と反対側に配設されている。このフォトダイオード7は、潤滑油中の気泡又は微粒子により遮断された遮断光を受光して、所定の遮断光パルス信号に変換する。この遮断光パルス信号のパルス高さは、気泡又は微粒子の粒径に比例した値を示す。
多数(図中7個ずつ)の上記第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gのそれぞれは、半導体レーザ6からのレーザ光の光軸の外周側であって、その光軸に対して平行な直線に沿って隣接して配置されている。各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gは、セル5を介して反対側であり且つ回転対象位置に配置されている。各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gは、潤滑油中の気泡又は微粒子により散乱された散乱光を受光して、所定の散乱光パルス信号に変換する。また、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gの前面側には、各フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gに対向する集光レンズ15a〜15gが配設されている。
上記コンピュータは、制御プログラムに従って微粒子の計数に係る各種処理動作を実行するようになっている。即ち、図8に示すように、ステップS1では、上述の各フォトダイオード7,8,9からのパルス信号の入力処理を行う。また、ステップS2では、各パルス信号に基づいて、気泡又は微粒子の粒径と共に散乱パターンP1,P1’,P2、P2’(図7参照)の算出処理を行う。また、ステップS3及びS4では、その算出された散乱パターンP1,P1’,P2,P2’と、予め設定された微粒子の基準散乱パターンSP(図7参照)とを比較して、気泡と微粒子との識別処理を行う。また、ステップS5では、所定の粒径毎の微粒子のカウント処理を行う。
なお、上記散乱パターンP1,P1’,P2,P2’は、図7に示すように、横軸に、レーザ光の光軸方向に対する各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gの配設位置をとり、縦軸に、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gの各散乱光パルス信号の各パルス高さの値をとり、さらに各パルス高さの値を補間してなるグラフである。
ここで、上記ステップS2によって、本発明に係る「粒径算出手段」及び「パターン算出手段」が構成されていると言える。また、上記ステップS3及びS4によって、本発明に係る「識別手段」が構成されていると言える。また、上記ステップS5によって、本発明に係る「計数手段」が構成されていると言える。
(3)粒子数測定器の作用
次に、上記粒子数測定器2の作用について説明する。
先ず、セル5内を流れる潤滑油に半導体レーザ6からレーザ光が照射される。このとき、レーザ光の光軸上を潤滑油に含まれる気泡又は微粒子が通過すると、その気泡又は微粒子により遮断された遮断光が遮断光用フォトダイオード7で受光され、その受光と略同期して、その気泡又は微粒子により散乱された散乱光が各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gで受光される。
次に、コンピュータに、遮断光用フォトダイオード7から遮断光パルス信号が入力されると共に、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gから各散乱光パルス信号が入力される(図8のステップS1)。次いで、その遮断光パルス信号のパルス高さに基づいて気泡又は微粒子の粒径が算出されると共に、各散乱光パルス信号の各パルス高さに基づいて気泡又は微粒子の散乱パターンP1,P1’,P2,P2’(図7参照)が算出される(ステップS2)。
ここで、気泡は略球形であるため、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8,9に対する散乱光量は大きくなり、また同じ光量の散乱光を受光することとなる。従って、気泡による散乱パターンP1,P1’(図7参照)は、比較的大きなピークを示し、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8,9の間で略同じパターンを示している。
これに対して、微粒子はセル内を回転しながら通過するため、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8,9に対する散乱光量は極少量となり、また同じ光量の散乱光を受光する確立が低くなる。従って、微粒子による散乱パターンP2,P2’(図7参照)は、比較的小さなピークを示し、各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8,9の間で異なるパターンを示している。
その後、その算出された散乱パターンP1,P1’,P2,P2’と微粒子の基準散乱パターンSP(図7参照)とがパターン認識されて比較される(ステップS3)。その結果、両パターンが類似しており、微粒子であると識別されると(ステップS4でYES判定)、微粒子数がカウントされることとなる(ステップS5)。一方、両パターンが大きく相違しており、微粒子でない(気泡である)と識別されると(ステップS5でNO判定)、微粒子数はカウントされない。その後、コンピュータは、上記ステップS1〜S5を所定回数(又は所定時間)繰り返し行って、一連の測定処理が終了されることとなる。
(3)実施例の効果
本実施例の評価データ作成方法によると、すべり摩擦試験によって、粒子数測定器で潤滑油中の粒子数が測定されて、その測定値から潤滑対象部の単位すべり距離当たりの粒子数を示す潤滑状態評価パラメータLpが算出されると共に、摩擦係数μ及び比摩耗量Wsが測定され、その後、潤滑状態評価パラメータLpと摩擦係数μとの相関関係に基づいて第1評価データQ1が得られると共に、潤滑状態評価パラメータLpと比摩耗量Wsとの相関関係に基づいて第2評価データQ2が得られる。そして、これら第1及び第2評価データQ1,Q2を用いれば、実際の潤滑対象部で測定される粒子数から求められる潤滑状態評価パラメータLpから摩擦係数μ及び比摩耗量Wsを取得できる。その結果、これらの一般的な評価パラメータである摩擦係数μ及び比摩耗量Wsを用いて、大型設備等における潤滑対象部の潤滑状態を正確に評価できる。特に、潤滑油のサンプリング周期を短周期(例えば、数分オーダー等)にすれば、潤滑対象部の潤滑状態をより短時間で評価できる。
また、本実施例では、1つの半導体レーザ6と、1つの遮断光用フォトダイオード7と、多数の第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gと、コンピュータとを備えて粒子数測定器2を構成したので、コンピュータによって、遮断光用フォトダイオード7の遮断光パルス信号に基づいて気泡又は微粒子の粒径が算出され、多数の第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gの各散乱光用パルス信号に基づいて散乱パターンP1,P2が算出され、その散乱パターンP1,P2と基準散乱パターンSPとのパターン認識による比較に基づいて気泡と微粒子とが識別され、所定の粒径毎の粒子数のみがカウントされる。このように、微粒子の粒径を光遮断式で測定するようにしたので、潤滑油に含まれる微粒子の比較的大径で広範囲に及ぶ粒径(1μm〜500μm)に対応して微粒子数を計測することができる。さらに、多数の各第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gから得られる散乱パターンP1,P1’,P2,P2’に基づいて気泡と微粒子とを識別するようにしたので、極めて高精度に両者を識別できる。その結果、この粒子数測定器を用いて上記すべり摩擦試験を行えば、より信頼性の高い第1及び第2評価データQ1,Q2を作成できる。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、第2評価パラメータとして摩擦係数μ及び比摩耗量Wsを例示したが、これに限定されず、例えば、摩擦係数μ及び/又は比摩耗量Wsに準ずる評価パラメータ(例えば、摩耗率、摩耗速度等)を採用してもよい。
また、上記実施例では、レーザ光の光軸に対して平行な直線上に沿って第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gを複数配置してなる粒子数測定器2を例示したが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、レーザ光の光軸上にあり且つセル5の流れ中心軸上にある点を中心として描かれる円弧上に沿って第1及び第2散乱光用フォトダイオード8a〜8g,9a〜9gを複数配置するようにしてもよい。
また、上記実施例では、散乱パターンP1,P1’,P2P2’と基準散乱パターンSPとがパターン認識により類似している場合に微粒子であることを識別する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、ステップS3にて、散乱パターンP1,P1’,P2,P2’と基準散乱パターンSPとがパターン認識により類似しており、且つ、ステップS’(図中仮想線で示す)にて、第1散乱光用フォトダイオード8a〜8gから得られる第1散乱パターンP1,P2と、第2散乱光用フォトダイオード9a〜9gから得られる第2散乱パターンP1’,P2’と、がパターン認識により類似していない場合に、ステップS4にて微粒子であることを識別するようにしてもよい。なお、上記ステップS3とステップS’との順序を入れ替えてもよい。さらに、ステップS3の替わりにステップS’のみを備える構成としてもよい。
潤滑対象部の潤滑状態を評価するための評価データを作成する技術として広く利用される。特に、大型設備の潤滑状態を評価するための評価データを作成する技術として好適に利用される。
本実施例に係るすべり摩擦試験を説明するための説明図である。 上記すべり摩擦試験を説明するための説明図である。 上記すべり摩擦試験を説明するための説明図である。 本実施例に係る第1評価パラメータの作成方法を説明するための説明図である。 本実施例に係る第2評価パラメータの作成方法を説明するための説明図である。 本実施例に係る粒子数測定器を説明するための説明図である。 散乱パターンを説明するための説明図である。 上記粒子数測定器による測定処理を説明するためのフローチャート図である。 粒子数測定器の他の形態を説明するための説明図である。
符号の説明
2;粒子数測定器、5;セル、6;半導体レーザ、7;遮断光用フォトダイオード、8;第1散乱光用フォトダイオード、9;第2散乱光用フォトダイオード、Lp;潤滑状態評価パラメータ、μ;摩擦係数、Ws;比摩耗量、Q1;第1評価データ、Q2;第2評価データ。

Claims (4)

  1. 潤滑対象部の潤滑状態を評価するための評価データの作成方法であって、
    すべり摩擦試験によって、粒子数測定器で潤滑油中の粒子数を測定して、その測定値から潤滑油中の粒子数の時間変化率を示す第1評価パラメータ(Lp)を算出すると共に、摩耗及び/又は摩擦の状態を示す第2評価パラメータを測定する工程と、
    前記第1評価パラメータ(Lp)と前記第2評価パラメータとの相関関係に基づいて評価データを得る工程と、を備え
    「Pc」を前記粒子数測定器で測定される粒子数とし、「k」を前記潤滑対象部の摺動面積に応じて決まる補正係数とし、「L」を前記潤滑対象部の摺動面積及び摺動時間から求まる摺動距離としたとき、前記第1評価パラメータ(Lp)を下記数式により算出することを特徴とする評価データ作成方法。
    Lp=Pc/(k・L)
  2. 前記第1評価パラメータ(Lp)は、潤滑対象部の単位摺動距離当たりの粒子数を示す値である請求項1記載の評価データ作成方法。
  3. 前記第2評価パラメータは、摩擦係数及び/又は比摩耗量である請求項1又は2に記載の評価データ作成方法。
  4. 前記粒子数測定器は、セル内を流れる潤滑油に光を照射する発光体と、該発光体による遮断光を受光する遮断光受光体と、該発光体による散乱光を受光する散乱光受光体と、前記遮断光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡又は微粒子の粒径を算出する粒径算出手段と、前記散乱光受光体の受光により潤滑油中に含まれる気泡と微粒子とを識別する識別手段と、前記粒径算出手段の算出結果及び前記識別手段の識別結果に基づいて所定の粒径毎の微粒子を計数する計数手段と、を備えている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の評価データ作成方法。
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