JP4839979B2 - 多段遠心圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は多段遠心圧縮機に係り、特に、同一の軸に多数の遠心羽根車を取り付けた多段遠心圧縮機に関する。
従来の一軸多段遠心圧縮機の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載の遠心圧縮機では、内部のガス漏れがなくかつ軸推力がバランスするように、低圧段である第1群の羽根車の吸込み側の外側に推力バランス環を設けている。推力バランス環の外側にはバランス室を設け、このバランス室に第1群の吐出ガスをバランスラインを経由して導いている。したがって、推力バランス環の両面には、吐出圧と吸込み圧が作用し、この差圧が羽根車方向への推力となり、推力がバランスする。また、仕切り板にラビリンスを設けて、第2群の吸込みガスが第1群羽根車側に漏れるのを防止している。
特開平9−72292号公報
ところで上記特許文献1に記載の多段遠心圧縮機では、バランス室を均圧化してスラスト力を低減することについては考慮されているものの、起動時に中間ノズル圧力が負圧になってドライガスシールに逆圧がかかる事態、を回避することについては十分には考慮されていない。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、多段遠心圧縮機において、スラストバランスを維持しながらシールガス量を低減することにある。本発明の他の目的は、起動時のような過渡状態でも多段遠心圧縮機の信頼性を向上させることにある。
上記目的は、同一の回転軸に多数の遠心羽根車を取り付けた多段遠心圧縮機であって、各段の前記遠心羽根車ケーシングに収容されており、初段の前記遠心羽根車の吸込み側は吸込ラインに接続され、最終段を除く各段の前記遠心羽根車の下流側にその段の吐出流路であって次段への吸込み流路となる静止流路が連続して形成されており、最終段の前記遠心羽根車は吐き出し流路に接続されており、一つの前記吸込みラインから吸込んだガスだけを圧縮するようにした多段遠心圧縮機において、前記回転軸に取り付けた初段遠心羽根車の吸込み側位置および最終段遠心羽根車の吐出側位置に、それぞれ円筒状のバランスドラムを設け、各バランスドラムよりも軸端側にバランス空間を形成し、初段遠心羽根車の吸込み側位置に設けた前記バランス空間に、多段に形成された前記遠心羽根車の中で初段と最終段とを除く中間段の遠心羽根車の吐出側と連通する第1の連通手段(91)を接続し、前記最終段遠心羽根車の吐出側位置に設けた前記バランス空間には、前記第1の連通手段が接続された中間段よりさらに最終段側で最終段以外の段の遠心羽根車の吐出側と連通する第2の連通手段(92)を接続し、前記ケーシングの内周部であって、前記各バランスドラムの外周に対向する部分にラビリンスシールを設け、各前記バランス空間よりも軸端側にドライガスシール装置を設け、前記ドライガスシール装置と各前記バランス空間との間に第2のラビリンスシールを設け、この第2のラビリンスシール同士を連通する第3の連通手段(93)を設けたことにより達成される。
そしてこの特徴において、前記第1または第2の連通手段は、中間段遠心羽根車の下流に設けた中間ノズルとバランス空間とを接続する配管であってもよい。
本発明によれば、軸端部にバランスドラムを設け、このバランスドラムよりもさらに軸端側に形成したバランス室に中間段羽根車からの吐出ガスの一部を導くようにしたので、スラストバランスを維持しながらシールガス量を低減できる。また、起動時のような過渡状態でも多段遠心圧縮機の信頼性を向上できる。
本発明に係る多段遠心圧縮機80の一実施例を、図1を用いて説明する。図1は、多段遠心圧縮機80の模式図である。図示しない駆動機により駆動される回転軸11には、複数個の遠心羽根車1〜7が固定されて取り付けられている。回転軸11および遠心羽根車1〜7で構成されるロータは、静止部であるケーシング15内に保持されている。回転軸11の両端部には図示を省略した軸受装置が取り付けられており、回転軸11を回転自在にラジアル方向及びスラスト方向に支持する。
初段羽根車1として用いられる最左端の羽根車と軸受装置間、および最終段羽根車7として用いられる最右端の羽根車と軸受装置間には、この遠心圧縮機80の作動ガスであるプロセスガスが、遠心圧縮機80の外部に漏れるのを防止するために、ドライガスシールタイプの軸封装置61,62が設けられている。軸封装置61,62は、回転軸11に取り付けたドライガスシール回転環61A,62Aと、このドライガスシール回転環61A,62Aに対向し、ケーシング15に取り付けたドライガスシール静止環61B,62Bとを有している。
初段羽根車1よりも軸端側であってこの初段羽根車1に隣り合って、円筒状のバランスドラム21が回転軸11に取り付けられている。同様に、最終段羽根車7よりも軸端側であってこの最終段羽根車7に隣り合って、円筒状のバランスドラム22が回転軸11に取り付けられている。バランスドラム21,22に対向するケーシング15の壁面には、バランスラビリンス26,27が取り付けられている。バランスドラム21,22の背面側である軸端側には、シールラビリンス33,34とバランスラビリンス26,27で仕切られたバランス空間31,32が形成されている。
シールラビリンス33,34は、回転軸11との間で非接触シールとして作用し、それぞれ2段のシール33a,33b;34a,34bで形成されている。シールラビリンス33,34に隣り合って上述のドライガスシール61,62が配置されている。ドライガスシール61,62の軸方向前後側には、シールガス空間51,52およびドライガスシールリーク空間71,72が形成されている。
初段羽根車1の吸込み部には、吸込みライン41が接続されており、圧力Psでプロセスガスが吸込まれる。初段羽根車1から第6段羽根車6までは、各段の下流側にその段の吐出流路であって次段への吸込み流路となる静止流路42〜47が形成されている。この静止流路42〜47は、必要に応じて羽根付ディフューザや羽根無しディフューザ,リターンベーン等が配置されている。最終段羽根車7の下流側には吐出流路48が接続されており、最終段羽根車7で昇圧されたプロセスガスを集めて、圧縮機80外の需要元に供給する。
ここで、左右のシールガス空間51,52同士は、シールガスライン(配管)94で接続されており、シール用のドライガス49がこのシールガスライン94を経てシールガス空間51,52に元圧Pgで吹き込まれる。また、左右のドライガスシールリーク空間
71,72同士は、ドライガスリークライン(配管)95で接続されている。ドライガスシール61,62部でシールに使用されドライガスシールリーク空間71,72に流入したガスは、このドライガスリークライン95から、圧力Pfでリークガス50としてフレアに送られる。さらに、2段に形成したシールラビリンス33,34では、各々の中間にシールガス吹き込み空間33c,34cが形成されており、このシールガス吹き込み空間33c,34c同士を、シールラビリンス均圧ライン(配管)93で接続している。
本実施例で最も特徴的な構成は、左右のバランス空間31,32に中間段羽根車の吐出側を接続したことにある。具体的には、初段羽根車1側に設けたバランスドラム21に隣り合うバランス空間31と第3段羽根車3の吐出流路44とを第1バランス配管91で接続する。一方、最終段羽根車7側に設けたバランスドラム21に隣り合うバランス空間
32と第5段羽根車の吐出流路46とを第2バランス配管92で接続する。
このように構成した本実施例の多段遠心圧縮機80の動作を、以下に説明する。回転軸11が回転駆動されると、各段の羽根車1〜7は吸込みライン41または前段の吐出ライン42〜46から吸込まれたプロセスガスを圧縮し、昇圧して次段羽根車2〜7または吐出ライン48に送る。
その際、吸込み側のバランスドラム21には、圧縮機80の吸込み圧力Psと第3段羽根車3の吐出圧力P3dとの差圧が作用する。その結果、バランスドラム21には、図で白抜き矢印で示した右方向のスラスト力が発生する。吐出側のバランスドラム22には、最終段羽根車7の吐出圧力Pdと第5段羽根車5の吐出圧力P5dとの差圧が作用する。その結果、バランスドラム22には図で白抜き矢印で示した右方向のスラスト力が発生する。一方、各羽根車1〜7では、心板の背面に作用するガス圧と側板の背面に作用するガス圧の差に起因して、図で黒抜き矢印で示した左方向のスラスト力が発生する。そこで、2つのバランスドラム21,22の径を調整して、羽根車1〜7に作用するスラスト力に対抗させる。
バランス空間31,32よりも軸端側に設けたシールラビリンス33,34では、シールガス吹込み空間33c,34c同士を、シールラビリンス均圧ライン93で接続しているので、2つのシールガス吹き込み空間33c,34cは均圧化される。さらに、シールガス吹き込み空間33c,34cはラビリンス33b,34aを介してバランス空間31,32に隣り合っているから、シールラビリンス33,34は、バランス空間31,32の中間の圧力で均圧される。
つまり、第5段羽根車5の吐出圧力P5dと第3段羽根車3の吐出圧力P3dとの間の圧力で、均圧化される。シールラビリンス33,34部に作用する圧力を均圧化したので、シールガス吹込みライン(配管)94からシールガス空間51,52に吹き込むシールガスの圧力Pgを、同一圧力とすることができる。その結果、両側の軸封装置61,62を同一のものとすることができる。
ところで、プロセス用の多段遠心圧縮機80では、構成が比較的簡単で信頼性が高いので、軸封装置61,62にドライガスシールを多く用いる。本実施例でもドライガスシール61,62を回転軸11の両端部に配置している。ドライガスシール61,62ではシールガスの供給が不可欠である。シールガスとしては、圧縮機80から吐出されるプロセスガスを用いるのが最も容易である。
そこで、図示しないシールガス供給装置がプロセスガスの一部を必要圧力であるPgまで減圧して、シールガス空間51,52に吹き込む。シールガスのうちの微小量は、軸封装置61,62の回転環61A,62Aと静止環61B,62Bの間を通り抜けてフレアとして排出される。大部分のシールガスは、シールラビリンス33,34の隙間を通って圧縮機80の吸込み側へ戻る。
ドライガスシール61,62では、シールガス空間51,52とフレアに連通するシールリーク空間71,72の間が逆圧にならないよう、シールガス圧力Pgをフレア圧力
Pfより高圧に保つ必要がある(Pg>Pf)。逆圧が作用すると、ドライガスシール
61,62は破損に至るおそれがある。そこで、フレア圧力Pfが高い場合には、シールガス圧力Pgも高くせざるを得ない。通常シールガス圧力Pgは圧縮機80の吸込み圧力よりも10kPa程度だけ高くする。このようにフレア圧力Pfを設定すると、シールラビリンス41,42に作用する差圧が小さくなり、シールガス量を低減できる。
しかしながら、本発明を冷凍機系圧縮機に適用した場合には、フレア圧力Pfが高くなり、しかも圧縮機80の吸込み圧力がほぼ大気圧となる。そこで、ドライガスシール61,62に逆圧が作用しないように、圧縮機80の吸込み圧力Psよりも高圧のシールガスを供給する必要がある。
たとえば、フレア圧力Pfが0.3MPa のエチレン冷凍圧縮機80のシールガス圧力Pgは、0.31MPa以上必要である。このときの圧縮機80の吸込み圧力Psが0.155MPaであれば、従来方法によるシールラビリンス部33,34の差圧は、0.16MPaにもなり、シールガスの洩れ量が増大する。
ここで、エチレン冷凍圧縮機80を例にとり本発明を説明すると、その圧縮比は10.5で、吸込み圧力は上述したように、0.155MPa である。また、吸込み側のバランス空間31が第3段羽根車3の吐出ライン44に連通し、吐出側のバランス空間32が第5段羽根車5の吐出ライン46に連通している。これらの圧力は、第3段羽根車3の吐出圧力が0.535MPa、第5段羽根車5の吐出圧力が0.98MPaである。
このとき、シールラビリンス部33,34の圧力は0.535〜0.980MPaの間の圧力となる。したがって、フレア圧力Pfが0.30MPa と高くなっても、シールガス圧力Pgをシールラビリンス部33,34の圧力より10kPa程度高くすればよい。すなわち、シールラビリンス部33,34の差圧が10kPa程度であるから、従来技術で必要であった160kPa程度に比べて、シールガス圧の差圧が低下し、シールガス吹込み量を低減できる。
バランス空間31,32は、それぞれ第3段および第5段羽根車3,5の吐出ライン
44,46に連通しているので、圧縮機80を起動するとすぐに各羽根車3,5の吐出圧力が上昇する。したがって、吸込み圧力Psが負圧となり、さらにシールガスの供給が瞬間的に間に合わなくても、シールガス空間51,52にはバランス空間31,32およびシールラビリンス均圧ライン93を通じて、第3段および第5段羽根車3,5で圧縮された吐出ガスが流れ込み、シールガス空間51,52が負圧になるのを防止できる。このように、ドライガスシール61,62に逆圧がかからず、圧縮機80の信頼性が向上する。
本実施例では、バランス空間31を第3段羽根車3の吐出ライン44に、バランス空間32を第5段羽根車5の吐出ライン46に連通させているが、バランス空間31,32が連通する羽根車の吐出ラインは、これに限るものではなく、必要に応じて他の段の吐出ラインに変えることができる。ただし、シールラビリンス部33,34の圧力は、それぞれ連通させる段の圧力範囲で均圧されるので、フレア圧力Pfより高い圧力となるように連通する吐出ラインを選択する。
また、バランス空間31,32を図示しない中間ノズルに接続してもよい。ただし、中間ノズルが吸込用のノズルのときには、起動時に中間ノズル圧力が負圧になるおそれがあるので、ドライガスシールに逆圧が付加されないように保護手段を設ける必要がある。
本実施例によれば、圧縮機80の吸込み圧力Psが低く、フレア圧力Pfが高い場合でも、従来に比べシールガス量を低減できる。シールガス量を低減したので、シールガスを圧縮機に供給するシールガス供給装置をコンパクト化でき、圧縮機システムのコストを低減できる。さらに、起動時のような過渡状態でも、軸封装置に逆圧が負荷されず、圧縮機の信頼性が向上する。
本発明に係る多段遠心圧縮機の一実施例の模式図である。
符号の説明
1〜7…羽根車、11…回転軸、15…ケーシング、21,22…バランスドラム、
26,27…バランスラビリンス、31,32…バランス空間、33,34…シールラビリンス、51,52…シールガス空間、61,62…軸封装置(ドライガスシール)、
61A,62A…ドライガスシール回転環、61B,62B…ドライガスシール静止環、71,72…ドライガスシールリーク空間、80…多段遠心圧縮機、91〜95…配管、Pg…シールガス圧力、Ps…圧縮機吸込み圧力、Pd…圧縮機吐出圧力、Pf…フレア圧力。

Claims (2)

  1. 同一の回転軸に多数の遠心羽根車を取り付けた多段遠心圧縮機であって、各段の前記遠心羽根車ケーシングに収容されており、初段の前記遠心羽根車の吸込み側は吸込ラインに接続され、最終段を除く各段の前記遠心羽根車の下流側にその段の吐出流路であって次段への吸込み流路となる静止流路が連続して形成されており、最終段の前記遠心羽根車は吐き出し流路に接続されており、一つの前記吸込みラインから吸込んだガスだけを圧縮するようにした多段遠心圧縮機において、前記回転軸に取り付けた初段遠心羽根車の吸込み側位置および最終段遠心羽根車の吐出側位置に、それぞれ円筒状のバランスドラムを設け、各バランスドラムよりも軸端側にバランス空間を形成し、初段遠心羽根車の吸込み側位置に設けた前記バランス空間に、多段に形成された前記遠心羽根車の中で初段と最終段とを除く中間段の遠心羽根車の吐出側と連通する第1の連通手段(91)を接続し、前記最終段遠心羽根車の吐出側位置に設けた前記バランス空間には、前記第1の連通手段が接続された中間段よりさらに最終段側で最終段以外の段の遠心羽根車の吐出側と連通する第2の連通手段(92)を接続し、前記ケーシングの内周部であって、前記各バランスドラムの外周に対向する部分にラビリンスシールを設け、各前記バランス空間よりも軸端側にドライガスシール装置を設け、前記ドライガスシール装置と各前記バランス空間との間に第2のラビリンスシールを設け、この第2のラビリンスシール同士を連通する第3の連通手段(93)を設けたことを特徴とする多段遠心圧縮機。
  2. 前記第1または第2の連通手段は、中間段遠心羽根車の下流に設けた中間ノズルとバランス空間とを接続する配管であることを特徴とする請求項1に記載の多段遠心圧縮機。
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