JP4845836B2 - マグネトロンスパッタカソード - Google Patents

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本発明は、マグネトロンスパッタ装置に用いられるマグネトロンスパッタカソードに関する。
ウエハやガラス等の基板表面に薄膜を形成するための装置として、マグネトロンスパッタ装置が知られている。ターゲット(物質)にAr等の不活性物質を高速で衝突させると、ターゲットを構成している原子や分子が叩き出される現象をスパッタリングといい、この叩き出された原子や分子を基板上に付着させることで、薄膜を形成することができる。マグネトロンスパッタ装置は、この基板表面にターゲット材料により効率良く薄膜を形成させるのに用いられている。
かかる装置の先行技術として、特許文献1に開示されているマグネトロンスパッタ装置を挙げることができる。この特許文献1に開示されているマグネトロンスパッタ装置は、磁界発生用の磁気回路と、この磁気回路に近接して配置されるターゲットを支持するターゲット支持体とを備えている。磁気回路は、ターゲットに対して直交する方向に沿った磁場方向を有する中央側永久磁石、この中央側永久磁石を取り囲むように形成されると共に、中央側永久磁石とは発生する磁場方向が反対となるように、ターゲットに対して直交する方向に沿った磁場方向を有する外側永久磁石、及び中央側永久磁石の磁極と外側永久磁石の磁極との間に、ターゲット表面と平行になるように、ターゲット支持体に取り付けられる板状磁性部材を備えている。ターゲット表面において、磁気回路による磁場のターゲット表面に対して垂直な成分が、ゼロもしくはゼロ近傍でフラットとなる領域、あるいは、ゼロ点を3回交差するような領域が形成されるように、板状磁性部材は配置されている。
また、別の先行技術の例としては、特許文献2に開示されているように、中心磁石と、中心磁石の周囲に、中心磁石と異なる極性を有する周辺磁石とから成る第1の磁気回路、及び中心磁石と周辺磁石との間に設けられ、周辺磁石と相似な形状の一対の磁石から成る第2の磁気回路を有し、第2の磁気回路を昇降できるように構成したものがある。
さらに、別の先行技術の例としては、特許文献3に開示されているように、ヨークプレート上に、中央の円柱状永久磁石のまわりに、複数の円筒状永久磁石を同心的に配列したマグネトロンスパッタカソードも提案されている。
このような従来公知のマグネトロンスパッタ装置においては、中央側磁石の先端部と板状磁性部材との問、及び板状磁性部材と外側永久磁石の先端部との問に磁場が形成され、その磁場の一部はターゲット表面の近傍の空間において湾曲した磁力線となる。ターゲット表面の近傍の空間においては、湾曲した磁力線が形成されるため、プラズマ中の電子は磁力線に沿ってトロコイド運動を行い、湾曲した磁力線の頂部に集まって、そこに電子雲を形成するようになる。その結果、プラズマ中のArイオンはこの電子雲に引きよせられ、そして、ターゲットをスパッタするようになる。
特開2006−16634公報 特開平2−34780号公報 特開平6−93442号公報
上述したマグネトロンスパッタカソードでは、上記のようにターゲット表面の近傍の空間において湾曲した磁力線が形成されるが、ターゲット表面と垂直な方向の磁束密度Bvがほぼゼロガウスになる領域が充分広くないため、湾曲した磁力線の頂部に高密度の電子雲ができるようになる。その結果、ターゲットは磁束密度Bvがほぼゼロガウスになる領域だけがスパッタされ、ターデットに片掘れが起きるようになる・そのため、ターゲットは、その大半を残したまま寿命がつき、その使用効率が低下する等の問題を起こした。
そこで、本発明の目的は、先行技術における上記問題を解決して、ターゲットを均等にスパッタすることによって、ターゲットの寿命を長くして、その使用効率を向上することの出来るマグネトロンスパッタカソードを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のマグネトロンスパッタカソードは、
底部ヨークと、
ターゲットを表面に取り付けるバッキングプレートと、
底部ヨークの中央部に立設された中央部磁石と、
中央部磁石を周囲を取り囲むように底部ヨークに立設された周縁部磁石と、
中央部磁石と周縁部磁石との間で、これらの磁石に沿って底部ヨーク上に立設され、バッキングプレートに平行な面における垂直磁場成分が三度ゼロレベルを通る分布となる磁場を形成する補助磁石と
を有している。
中央部磁石、周縁部磁石及び補助磁石の各先端部における磁極の極性は隣接する磁石同士で異なるように配置される。
補助磁石は、第一の補助磁石と、第一の補助磁石の外周に沿って配設された第二の補助磁石とから構成されている。
中央部磁石の断面における幅W1、第一の補助磁石の断面における幅W2、第二の補助磁石の断面における幅W3及び周縁部磁石の断面における幅W4の比は、W1:W2:W3:W4=13:10:8.5:11である。
中央部磁石と第一の捕助磁石との間隔D1、第一の補助磁石と第二の補助磁石との間隔D2、第二の補助磁石と周縁部磁石との間隔D3、及び周縁部磁石の外周面とバッキングプレートの端面との間隔D4の比は、D1:D2:D3:D4=11.5:16.5:8:3である。
本発明のスパッタカソードにおいては、中央部磁石、周縁部磁制及び補助磁石の各先端部は同一高さに配置されることが好ましい。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、中央部磁石、周縁部磁石及び補助磁石の各先端部はバッキングプレートの裏面に接触していることが望ましい。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、ゼロレベルは、−10ガウス以上+10ガウス以下であることが好ましい。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、バッキングプレートに平行な面と一対の補助磁石の各先端部との距離は12mm(この距離はターゲットの厚さに相当)であることが好ましい。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、中央部磁石、周縁部磁石及び補助磁石はNd−Fe−B系磁石から構成することができる。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、中央部磁石、周縁部磁石及び補助磁石の高さは30mmでよい。
また、本発明のスパッタカソードにおいては、バッキングプレート表面と垂直な方向の垂直磁場成分がゼロレベルになる領域の幅L1とバッキングプレートの幅L2との比はL1:L2`17:75であることが好ましい。これにより「ゼロもしくはゼロ近傍でフラットとなる領域」や「ゼロ点を3回交差するような領域」を形成しやすくなる。
本発明のマグネトロンスパッタカソードによれば、上述のように構成したことにより、ターゲットを充分均等にスパッタすることができ、その結果、ターゲットの寿命を長くして、その使用効率を60%以上に向上することができるようになる。
また、本発明のスパッタカソードにおいて、中央部磁石、周縁部磁制及び補助磁石の各先端部を同一高さに配置した場合、或いは中央部磁石、周縁部磁石及び補助磁石の各先端部をバッキングプレートの裏面に接触させた場合には「ゼロもしくはゼロ近傍でフラットとなる領域」や「ゼロ点を3回交差するような領域」を形成しやすくなる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2には本発明によるマグネトロンスパッタカソードの一実施形態を示し、図示実施形態は矩形のスパッタターゲット用に構成されている。図示マグネトロンスパッタカソードでは、長方形の底部ヨーク1の中央部に中央部磁石2が立設されている。底部ヨーク1の周縁部には、中央部磁石2を周囲を取り囲むように周縁部磁石3が立設されている。また、中央部磁石2と周縁部磁石3との間において、底部ヨーク1上には、第一の補助磁石4と、第一の補助磁石4の外周に沿って配設された第二の補助磁石5とが立設されている。中央部磁石2、第一の補助磁石4、第二の補助磁石5及び周縁部磁石3は、隣接する磁石の各先端部における磁極の極性が互いに異なるように配置されている。そしてこれら磁石2〜5の先端部はバッキングプレート6の裏面にと当接するように構成されている。バッキングプレート6の表面にはターゲット7が取り付けられる。
また、第一の補助磁石4と第二の補助磁石5とから成る補助磁石は、バッキングプレート6に平行な面における垂直磁場成分が三度ゼロレベルを通る分布となる磁場を形成するようにされている。中央部磁石2、周縁部磁石3及び補助磁石4、5はNd−Fe−B系磁石から構成されている。ここで、ゼロレベルは一10ガウス以上+10ガウス以下である。
図示実施形態では、中央部磁石2の断面における幅W1は13mmであり、第一の補助磁石4の断面における幅W2は10mmであり、第二の補助磁石5の断面における幅W3は8.5mmであり、また周縁部磁石3の断面における幅W4は11mmである。中央部磁石2と第一の捕助磁石4との間隔D1は11.5mmであり、第一の補助磁石4と第二の補助磁石5との間隔D2は16.5mmであり、第二の補助磁石5と周縁部磁石3との間隔D3は8mmであり、周縁部磁石3の外周面とバッキングプレート6の端面との間隔D4は3mmである。また、底部ヨーク1、バッキングプレート6及びターゲット7の幅はそれぞれ150mmであり、中央部磁石2、周縁部磁石3及び補助磁石4、5の高さは30mmである。また、ターゲット7の厚さは図示例では12mmである。
図3には、このように構成した磁気回路により得られたターゲット7上における水平磁場成分H及び垂直磁場成分Vの分布状態を示している。図3から分かるように、水平磁場成分Hの二つのピークの大きさはほぼ同じであり、中央部磁石2の中心軸線から位置P1、P2を通り、また水平磁場成分Hのボトムは中央部磁石2の中心軸線から位置P3を通っている。そしてこの中央部磁石2の中心軸線から位置P3はターゲット7の幅の半分のほぼ中央、言い換えれば中央部磁石2の中心軸線とターゲット7の周縁部までの距離のほぼ中央に位置している。また水平磁場成分Hはターゲット7の周縁部では磁場の強さがゼロ以下となっている。
垂直磁場成分Vは、中央部磁石2の中心軸線から位置P3を挟んでゼロレベルを三度通り、中央のゼロゼロレベルは中央部磁石2の中心軸線から位置P3をほぼ通っている。ゼロレベルを三度通る垂直磁場成分Vの領域の幅はL1で表され、図示例では17mmである。バッキングプレート6の中心軸線から周縁部までの距離をL2とすると、その比はがL1:L2=17:75である。
このように磁気回路を構成することにより、本発明によれば、図4に示すように、ターゲット7のエロージョン形状が台形となり、使用効率が60%以上となる。実際に、ターゲット7は12mmの内8mm程しかぼっていないが使用効率は約60%であり、最後まで使用すれば70%を越える。また、ターゲットの厚さを20mm程度と厚くしても従来の数倍の使用寿命を達成することができる。
すなわち、上記で先行技術として挙げた特許文献1に記載されているように、単に水平磁場成分が広くなるような磁石の構成や、ゼロをただ3回通るだけではターゲットの高使用効率を達成できない。また特許文献1に記載されているように、ゼロもしくはゼロ近傍でフラットとなるように、あるいはゼロ点を小さく3回交差するように垂直磁場成分を形成すると、ターゲットのエロージョンは広くなるが、しかしゼロ点クロスの中央位置がターゲット中心からかなり外側に寄っているために、図4に示すようなエロージョンとはならず使用効率も60%以上は到達できない。その結果、ターゲットの中央が残り、ターゲット中央と端を上底とする台形には掘れていない。
これに対して、本発明では、垂直磁場成分がゼロレベルを3回通りしかもそのレベル通過領域がターゲット7の中心からそれの周縁部まで距離の中央部を中心として広がっているため、プラズマが位置P3を中心として広がって形成され、その結果、ターゲット7は図4のような台形に掘れる。
また、垂直磁場成分がゼロレベルを通る点中央がターゲット7の中心から端までの中心を通過していること及びピークのバランスが取れていることにより、ターゲットが厚くなった場合でも、エロージョンの進行につれて磁場が水平磁場成分の大きく変化するのを抑えて、ターゲットの内と外でエロージョンの進行速度を実質的に変えずに片掘れ(ターゲットの内と外のエロージョンの深さに差が出ること)を避けることができ、その結果、10mm以上の厚いターゲットにもそのターゲットの使用効率を下げることなく使用できる。
また、図4に示す台形のエロージョン形態を得るためには、ターゲット端での水平磁場成分ゼロ以下になっているのが望ましく、これにより、ターゲットの外側までも電子にローレンツ力が働くのを避け、プラズマがアースシールドまで広がりプラズマが外に寄るのを防ぐことができる。つまり意図的にターゲットの端での水平磁場成分をゼロ以下にすることで、電子にかかるローレンツカが進行方向と逆方向にかかり、ターゲットの端部では放電が起ない。その結果プラズマはアースシールドに寄らず、P3を中心としてプラズマが広がるためにエロージョンがきれいに台形の形になる。
上記例のように、ターゲット表面において図3に示すような磁場プロファイルをもつ磁場を形成できる磁気回路を備えた本発明のマグネトロンスパッタカソードによれば、磁気回路を構成する磁石の材質、磁石の距離、磁気回路の構造に関わらずターゲットの使用効率を60%以上と高くすることができる。
図5には、本発明の別の実施形態を示し、この場合には、円形の底部ヨーク11の中央部に円柱状の中央部磁石12が立設されている。円形の底部ヨーク11の周縁部には、円柱状の中央部磁石12の周囲を同心状に取り囲んで円筒状の周縁部磁石13が立設されている。また、円柱状の中央部磁石12と円筒状の周縁部磁石13との間において、円形の底部ヨーク11上には、円筒状の第一の補助磁石14と、円筒状の第一の補助磁石14の外周に沿って配設された円筒状の第二の補助磁石15とが立設されている。円柱状の中央部磁石12、円筒状の第一の補助磁石14、円筒状の第二の補助磁石15及び円筒状の周縁部磁石13は、隣接する磁石の各先端部における磁極の極性が互いに異なるように配置されている。その他の構成及び各要素の寸法、各要素間の寸法は、図1及び図2に示すものと同じである。
本発明によるマグネトロンスパッタカソードの一実施形態を示す要部の概略横断面図。 図1に示すマグネトロンスパッタカソードの磁石の配列を示す水平断面図。 図1に示すマグネトロンスパッタカソードによって形成される磁場の垂直成分及び水平成分の分布を示す概略図。 図1に示すマグネトロンスパッタカソードによるターゲットのエロージョン形態を示す横断面図。 本発明によるマグネトロンスパッタカソードの別の実施形態における磁石の配列を示す水平断面図。
符号の説明
1:底部ヨーク
2:中央部磁石
3:周縁部磁石
4:第一の補助磁石
5:第二の補助磁石
6:バッキングプレート
7:ターゲット
11:円形の底部ヨーク
12:円柱状の中央部磁石
13:円筒状の周縁部磁石
14:円筒状の第一の補助磁石
15:円筒状の第二の補助磁石

Claims (8)

  1. 底部ヨークと、
    ターゲットを表面に取り付けるバッキングプレートと、
    前記底部ヨークの中央部に立設された中央部磁石と、
    前記中央部磁石を周囲を取り囲むように前記底部ヨークに立設された周縁部磁石と、
    前記中央部磁石と前記周縁部磁石との間で、これらの磁石に沿って前記底部ヨーク上に立設され、前記バッキングプレートに平行な面における垂直磁場成分が三度ゼロレベルを通る分布となる磁場を形成する補助磁石と
    を有し、
    前記中央部磁石、前記周縁部磁石及び補助磁石の各先端部における磁極の極性が隣接する磁石同士で異なるように配置され、
    前記補助磁石が、第一の補助磁石と、第一の補助磁石の外周に沿って配設された第二の補助磁石とから構成され、
    前記中央部磁石の断面における幅W1、前記第一の補助磁石の断面における幅W2、前記第二の補助磁石の断面における幅W3及び前記周縁部磁石の断面における幅W4の比がW1:W2:W3:W4=13:10:8.5:11であり、
    前記中央部磁石と前記第一の捕助磁石との間隔D1、前記第一の補助磁石と前記第二の補助磁石との間隔D2、前記第二の補助磁石と前記周縁部磁石との間隔D3、及び前記周縁部磁石の外周面とバッキングプレートの端面との間隔D4の比がD1:D2:D3:D4=11.5:16.5:8:3であることを特徴とするマグネトロンスパッタカソード。
  2. 前記中央部磁石、前記周縁部磁石及び前記補助磁石の各先端部が同一高さに配置されたことを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタカソード。
  3. 前記中央部磁石、前記周縁部磁石及び前記補助磁石の各先端部が前記バッキングプレートの裏面に接触していることを特徴とする請求項1又は2記載のマグネトロンスパッタカソード。
  4. 前記ゼロレベルが一10ガウス以上+10ガウス以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のマグネトロンスパッタカソード。
  5. 前記パッキングプレートに平行な面と前記第一、第二の補助磁石の各先端部との距離が12mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタカソード。
  6. 前記中央部磁石、前記周縁部磁石及び前記補助磁石がNd−Fe−B系磁石から構成されている請求項1〜5のいずれか一項記載のマグネトロンスパッタカソード。
  7. 前記中央部磁石、前記周縁部磁石及び前記補助磁石の高さが30mmである請求項1〜6のいずれか一項記載のマグネトロンスパッタカソード。
  8. 前記バッキングプレート表面と垂直な方向の垂直磁場成分がゼロレベルになる領域の幅L1と前記バッキングプレートの幅L2との比がL1:L2=17:75であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のマグネトロンスパッタカソード。
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