JP4863192B2 - 高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物とその合成方法 - Google Patents

高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物とその合成方法 Download PDF

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本発明は、ハイドロタルサイトやハイドロカルマイト、パイロオーライトなどに代表される層状複水酸化物に関して、その陰イオン交換性と炭酸汚染し難い安定性を高めた合成法およびその合成法による高性能な層状複水酸化物を提案するものである。
層状複水酸化物とは、ハイドロタルサイトやハイドロカルマイト、パイロオーライトなどに代表されるような天然に産する鉱物の総称であり、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄など天然に豊富に存在する元素の水酸化物を主骨格としている。そして、例えば、ハイドロタルサイトは特許文献1、ハイドロカルサイトは特許文献2、パイロオーライトは特許文献3で示されているように、その合成も比較的容易に行うことができる。
また、これら層状複水酸化物は、陰イオン交換能を有していることが従来から知られている。そして、この陰イオン交換能によって、有害陰イオン(砒素、六価クロム、弗素、硼素など)を固定化することができれば、廃棄物の安全性向上技術、無害化環境技術において、汚染水の水質改善、有害物質の溶出防止、土壌改良などに寄与できるものと期待されている。
特公昭50−30039号公報 特開平4−154648号公報 特開2001−233619号公報 特公表平2001−524923号公報
しかし、従来の層状複水酸化物は合成時に陰イオンとして炭酸イオンを組み込み、安定化させたものや、上記特許文献4のように炭酸イオン以外のさまざまな陰イオンを層間に組み込むことができてもそれは安定性に乏しいものであり、空気中や水中の二酸化炭素の影響を受けるなど、上記の陰イオン交換能が炭酸イオン優位のイオン選択性により阻害されている。
そこで、本発明者等は上記問題点に鑑み検討と実験を重ね本発明を完成したものであって、高い陰イオン交換能を有し、二酸化炭素や炭酸イオンが存在する環境でも期待される陰イオン交換能を十分に発揮する層状複水酸化物とその合成方法を提供することに成功したものである。
すなわち、上記課題を解決するために、2価の金属陽イオン(M2+)および3価の金属陽イオン(M3+)ならびにn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(A)が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるようにA/M2+のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合する、もしくは2価の金属陽イオン(M2+)ならびにn価の陰イオンが存在する酸性水溶液と3価の金属陽イオン(M3+)ならびにアルカリ金属元素(A)が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるようにA/M2+のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合することで、高い陰イオン交換能を有し、二酸化炭素や炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオンなどが存在する環境でも期待される陰イオン交換能を発揮する層状複水酸化物が得られることを見出したものであり、より具体的には以下のごとくである。
本発明の請求項1記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびに下記のn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合することで得られる層状複水酸化物であって、
一般式[Mg 2+ 1−x Al 3+ (OH) ][An‐ x/n ・zH O](ここで、An−は、硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオン、0<x<1)で表されることを特徴とする高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物である。
本発明の請求項2記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに下記のn価の陰イオンが存在する酸性溶液と3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびにアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合することで得られる層状複水酸化物であって、
一般式[Mg 2+ 1−x Al 3+ (OH) ][An‐ x/n ・zH O](ここで、An−は、硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオン、0<x<1)で表されることを特徴とする高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物である。
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本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物において、有害陰イオンを含む水溶液に炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンの存在があっても効率的に有害陰イオンを固定することのできることを特徴とするものである。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物において、結晶子サイズが8〜12nmであることを特徴とするものである。
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本発明の請求項5記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項1記載の層状複水酸化物の合成方法である。
本発明の請求項6記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液と3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびにアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項2記載の層状複水酸化物の合成方法である。
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本発明の請求項1および請求項2記載の層状複水酸化物は、中性条件下で反応を進めることができ、空気中もしくは水中の二酸化炭素や炭酸イオンによる炭酸汚染が起こり難く、期待された有害な陰イオン吸着能力を長期間に亘り維持でき、安定性に優れていることで、例えば、除去率80%以上のホウ素吸着能を2ヶ月以上に亘って維持する性能を持つという顕著な効果を奏する。
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本発明の請求項3記載の層状複水酸化物は、請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物において、有害陰イオンを含む廃液などの水溶液に炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンなどの存在があっても効率的に有害陰イオンを固定することのできることで、従来層状複水酸化物では有効に処理することのできなかった各種廃液などについても適切な無害化処理等を行うことができるようになるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4記載の層状複水酸化物は、請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物において、結晶子サイズが8〜12nmとなり、所望の結晶子サイズの高機能層状複水酸化物を得ることが可能となるというさらなる顕著な効果を奏する
本発明の請求項5記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項1記載の層状複水酸化物の合成方法であり、
中性条件下で反応を進めることができ、空気中もしくは水中の二酸化炭素や炭酸イオンによる炭酸汚染が起こり難く、期待された有害な陰イオン吸着能力を長期間に亘り維持でき、安定性に優れていることで、例えば、除去率80%以上のホウ素吸着能を2ヶ月以上に亘って維持する性能を持つという顕著な効果を奏する。
本発明の請求項6記載の発明は、2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液と3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびにアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項2記載の層状複水酸化物の合成方法であり、
適切な中性条件下で反応を進めることができ、空気中もしくは水中の二酸化炭素や炭酸イオンによる炭酸汚染が起こり難く、期待された有害な陰イオン吸着能力を長期間に亘り維持でき、安定性に優れていることで、例えば、除去率80%以上のホウ素吸着能を2ヶ月以上に亘って維持する性能を持つという顕著な効果を奏する。
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上記においては、反応系を常にpH8以下とすることを条件としているが、より好ましい発明効果を実現するためにはpH6〜7となるように調整することが望ましい。
上記のような本発明の具体的な実施の形態を、本発明独自の層状複水酸化物の合成方法、保存安定性ならびに有害陰イオン吸着性能について添付図面および各実施例の記載を解して説明する。
(実施例1)
Na/Mgモル比3.0
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として硝酸マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として硝酸アルミニウム九水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.0molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは6.4であり、酸とアルカリの完全な中和が起こって得られたスラリーである。
このスラリーをろ過・洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が8.94Åであって結晶子サイズが11.2nmであることを確認した。
図1は、このような合成工程を示したチャート図である。
(実施例2)
上記実施例1による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が8.16Åであって結晶子サイズが7.7nmであることを確認した。なお、この実施例は炭酸汚染された場合の影響について検証するために行ったものである。
(比較例1)
Na/Mgモル比3.5
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として硝酸マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として硝酸アルミニウム九水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.5molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。
この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは13.5でアルカリが過剰に残留している。
このスラリーをろ過・洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.89Åであって結晶子サイズが8.8nmであることを確認した。
この比較例1における層状複水酸化物を得るための工程をチャート図としたのが図2である。
(比較例2)
上記比較例1による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が7.79Åであって結晶子サイズが8.6nmであることを確認した。
(分析1)
上記実施例1〜2および比較例1〜2で作成された粉末を用いて、CHNレコーダーによる炭素含有量分析を行った。
この分析結果を下記する表1に示す。
下記の表1の分析結果から、実施例1が最も炭素含有量が少なく、実施例2は炭酸に汚染され、炭素含有量が増えていることが理解される。
また、比較例1は実施例1についで炭素含有量が少ないが、比較例2は炭酸にかなり汚染され、実施例2を上回る炭素含有量となっていることが理解される。
(試験1)
上記実施例1〜2および比較例1〜2で作成された粉末を用いて、六価クロム、ホウ素、フッ素の吸着効果について試験を行った。
なお、ここでの比較例3としては、有害陰イオン物質の除去、不溶性化、無毒化を目的として市販されているハイドロタルサイト粉末を用いた。
試験方法としては、所定の濃度の六価クロム、ホウ素およびフッ素の標準溶液100mlを複数のビーカーに分取し、これに上記実施例1〜4で作成された粉末または比較例の市販品について、それぞれ別々に1g加え、常温でマグネチックスターラーで1時間攪拌した。その後、ろ過し、ろ液中の六価クロム、ホウ素およびフッ素の濃度を分光光度計にて測定した。
この試験結果を表1に示す。
Figure 0004863192
実施例の粉末すべてにおいて比較例よりも高い吸着効果を示している。また、炭酸による汚染で吸着効果が低くなっているが、実施例1と比較例1とを比べると、実施例1は炭酸による汚染が起こりにくく、例え実施例2のように汚染されても依然として高い吸着効果を示していることが理解される。
(対照1)
上記実施例1および比較例1の粉末において、陰イオン吸着能力の径時変化の対照確認をおこなった。その結果を添付する図3に示す。
図示から明らかなように、本発明の実施例1は合成から2ヶ月経ってもホウ素吸着能力に変化がないのに対し、比較例1は大幅にその性能が落ちていることが理解される。
(実施例3)
Na/Mgモル比3.0
2価の金属陽イオンとしてマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として塩化アルミニウム六水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.0molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは6.97であり、酸とアルカリの完全な中和が起こって得られたスラリーである。
このスラリーをろ過・洗浄・乾燥・粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.79Åであって結晶子サイズが10.4nmであることを確認した。
(実施例4)
上記実施例3による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が7.70Åであって結晶子サイズが10.4nmであることを確認した。なお、この実施例は炭酸汚染された場合の影響について検証するために行ったものである。
(実施例5)
Na/Mgモル比2.5
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム5水和物1molと、アルミニウム源として塩化アンモニウム6水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム2.5molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。この酸性溶液とアルカリ性溶液とを一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは6.31であった。
このスラリーをろ過・洗浄・乾燥・粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.83Åであって結晶子サイズが9.5nmであることを確認した。
(実施例6)
上記実施例5による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が7.72Åであって結晶子サイズが8.4nmであることを確認した。なお、この実施例は炭酸汚染された場合の影響について検証するために行ったものである。
(比較例4)
Na/Mgモル比3.2
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として塩化アルミニウム六水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.2molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。
この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは9.07でアルカリが過剰に残留している。
このスラリーをろ過・洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.78Åであって結晶子サイズが10.8nmであることを確認した。
(比較例5)
上記比較例4による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が7.71Åであって結晶子サイズが10.5nmであることを確認した。
(比較例6)
Na/Mgモル比3.3
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として塩化アルミニウム六水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.3molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。
この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは11.38でアルカリが過剰に残留している。
このスラリーをろ過・洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。得られた粉末はX線回折装置による分析により、面間隔が7.79Åであって結晶子サイズが11.0nmであることを確認した。
(比較例7)
上記比較例6による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.73Åであって結晶子サイズが11.4nmであることを確認した。
(比較例8)
Na/Mgモル比3.5
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてのアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として塩化アルミニウム六水和物0.5mol.を1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム3.5molを1Lの水に溶かしてアルカリ水溶液を作成した。この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物が生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは12.66でアルカリが過剰に残留している。
このスラリーをろ過・洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。
得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.76Åであって結晶子サイズが12.0nmであることを確認した。
(比較例9)
上記比較例8による合成の層状風水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.71Åであって結晶子サイズが12.2nmであることを確認した。
(比較例10)
Na/Mgモル比2.0
2価の金属陽イオンとしてのマグネシウムイオン、3価の金属陽イオンとしてアルミニウムイオンを用いた。マグネシウム源として塩化マグネシウム六水和物1molと、アルミニウム源として塩化アルミニウム六水和物0.5molを1Lの水に溶かして酸性溶液を調整した。
そして、水酸化ナトリウム2.0molを1Lの水に溶かしてアルカリ性溶液を作成した。
この酸性溶液とアルカリ性溶液を一気に混合、攪拌すると、即座にゲル状の沈殿物は生成し、スラリーが得られた。このスラリーを固液分離すると、そのろ液のpHは6.62である。
このスラリーをろ過、洗浄、乾燥、粉砕することで層状複水酸化物粉末が得られた。
得られた粉末はX線回折装置による分析により、その面間隔が7.82Åであって結晶子サイズが9.1nmであることを確認した。また、目的物以外にギブサイト(水酸化アルミニウム)が生成していることが確認された。
(比較例11)
上記比較例10による合成の層状複水酸化物粉末10gを市販の炭酸水(飲料用)100mlに添加して1時間攪拌し、ろ過、乾燥し、炭酸汚染された層状複水酸化物粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折装置による分析により、その面間隔が7.69Åであって結晶子サイズが9.2nmであることを確認した。
(分析1)
上記実施例3〜6および比較例4〜9で作成された粉末を用いて、CHNレコーダーによる炭素含有量分析を行った。
この分析結果を下記する表2に示す。
下記の表2の分析結果から、実施例3が最も炭素含有量が少なく、実施例4は炭酸汚に汚染され、炭素含有量が増えていることが理解される。
また、実施例5は実施例3に次いで炭素含有量が少なく、実施例6は炭酸に汚染され、炭素含有量が増えていることが理解される。
比較例4〜9は実施例3〜6より炭素含有量が多く、合成時のNa/Mgモル比の増加に伴って炭素含有量が増えていることが理解できる。
(試験1)
上記実施例3〜6および比較例4〜9で作成された粉末を用いて、ホウ素、フッ素の吸着効果について試験を行った。
試験方法としては、10mmol /Lの濃度のホウ素(108ppm)およびフッ素(190ppm)の標準溶液100mlを複数のビーカーに分取し、こりに上記実施例3〜6および比較例4〜9で作成された粉末について、それぞれ別々に1g加え、常温でマグネチックスターラーで所定の時間攪拌した。その後、ろ過し、ろ液中のホウ素およびフッ素の濃度を分光光度計にて測定した。
この試験結果を表2および図4に示す。
Figure 0004863192
実施例の粉末すべてにおいて比較例よりも高い吸着効果を示している。また、炭酸による汚染で吸着効果が低くなっているが、実施例3および5と比較例とを比べると、実施例は炭酸による汚染が起こりにくく、例え実施例4および6のように汚染されても依然として高い吸着効果を示していることが理解される。
(対照2)
上記実施例3および比較例8の粉末において、陰イオン吸着能力の経時変化の対照確認を行った。その結果を添付する図5に示す。
図示から明らかな用に、本発明の実施例3は合成から90日経ってもホウ素吸着能力の低下率13.9%に対し、比較例8は45.1%と大幅に落ちていることが理解される。
上記したような本発明によるときは、その優れた陰イオン交換能によって、有害陰イオン(砒素、六価クロム、弗素、硼素など)を効率的に固定化することができ、各種廃棄物の安全性向上技術、無害化環境技術において長期間に亘って安定的に効果を発揮することができる。
また、同様に各種の汚染水の水質改善、有害物質の溶出防止、土壌改良などに寄与することが期待でき、多くの分野において応用することが可能である。
したがって、本発明の層状複水酸化物とその合成方法は産業上の利用可能性において非常に優れたものであると理解されるべきものである。
実施例1における合成工程を示したチャート図である。 比較例1における合成工程を示したチャート図である。 実施例1と比較例1の粉末について陰イオン吸着能力の径時変化の対照確認をおこなった結果のグラフである。 Na/Mgモル比と吸着率との関係を示すグラフ図である。 合成からの経過時間と吸着率との関係を示すグラフ図である。

Claims (6)

  1. 2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびに下記のn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合することで得られる層状複水酸化物であって、
    一般式[Mg 2+ 1−x Al 3+ (OH) ][An‐ x/n ・zH O](ここで、An−は、硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオン、0<x<1)で表されることを特徴とする高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物。
  2. 2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに下記のn価の陰イオンが存在する酸性溶液と3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびにアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合することで得られる層状複水酸化物であって、
    一般式[Mg 2+ 1−x Al 3+ (OH) ][An‐ x/n ・zH O](ここで、An−は、硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオン、0<x<1)で表されることを特徴とする高い陰イオン交換能を有する炭酸汚染し難い安定性に優れた層状複水酸化物。
  3. 有害陰イオンを含む水溶液に炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンの存在があっても効率的に有害陰イオンを固定することのできることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物。
  4. 結晶子サイズが8〜12nmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の層状複水酸化物。
  5. 2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液とアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項1記載の層状複水酸化物の合成方法。
  6. 2価の金属陽イオン(Mg 2+ )ならびに硝酸イオン、塩酸イオンもしくは硫酸イオンからなるn価の陰イオンが存在する酸性溶液と3価の金属陽イオン(Al 3+ )ならびにアルカリ金属元素(Na )が存在するアルカリ性水溶液とを反応系が常にpH8以下となるように(Na )/(Mg 2+ )のモル比を2.5〜3.0の範囲に調整して一気に混合して合成することを特徴とする請求項2記載の層状複水酸化物の合成方法。
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