JP4871114B2 - 流体圧シリンダのクッション構造 - Google Patents

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本発明は、シリンダのストロークエンドで発生する衝撃を緩和する流体圧シリンダのクッション構造に関する。
油、空気、水等を作動流体とする流体圧シリンダにおいては、ピストンがストロークエンドに達すると、振動、衝撃等が発生することがある。そこで、従来技術ではこのような衝撃を緩和するために、いわゆるクッション構造を設けている。
このクッション構造の一例として、例えば特許文献1では、図3の縦断面図に示すクッション構造30を提案している。
このクッション構造30は、シリンダ31のロッド側端部をシリンダヘッド32で閉塞し、そのシリンダ内部において、ピストン33がピストンロッド34とともに前記シリンダヘッド32内を貫通して進退運動をする基本的構造をした流体圧シリンダ30において、ピストンロッド34表面に、所定長さの小径部35と、その小径部35内に、さらに外径が小径部35の外径よりも小さい環状溝36とを形成したものである。
そして、この小径部35内に、長さが小径部の長さに略等しく、かつシリンダヘッド32の内周面側と小径部35の外周面側とにそれぞれ狭い環状隙間37、38を形成し得る内外周寸法を有するクッションリング39を設け、小径部35側の環状溝36内に、クッションリング39の内周面または環状溝36の外周面に摺動自在に当接するクッションシール40を設けたものである。
また、このクッションリング39には、その外周面にピストンロッド軸方向に沿って断面積が漸減するように切欠部41が形成され、また、両側面には上記環状隙間37、38に連通するスリット42が、さらに略中央部のピストン寄りには上記切欠部41と環状隙間38とに連通する通液孔43が設けられている。
そして、これら構造からなるクッションリング39がクッションポートであるシリンダヘッド32内に進入すると、クッションシール40により環状隙間38が図の位置で閉塞される。よって、クッションリング39の周囲には、図の矢印で示す、ロッド側液室44→環状隙間37(切欠部41)→流出入ポート45に至る排出流路によって排出する作動油を絞ることで、クッション効果を得て、ストロークエンドでの衝撃を緩和している。
また、さらに特許文献1では、前記排出流路に加え、ロッド側液室44→スリット42→環状隙間38→通液孔43→環状隙間37(切欠部41)→流出入ポート45に至るバイパス流路が形成され、このバイパス流路から高圧化したロッド側液室44の作動油を逃がして低圧化させることにより、クッション効果が効きすぎることによって発生する衝撃を緩和している。
特開平10−169614号公報(請求項1、図1)
しかし、クッションリング39は、環状隙間37、38の存在によりその半径方向に多少動くことができるので、クッション行程のたびにその内外周面がシリンダヘッド32の内周面とクッションシール40の外周面とに接触することとなり、クッションリング39の表面には摩滅や噛り付きの問題が生じる。
この問題を防止するため、従来技術では材質が通常、ダクタイル鋳鉄であるシリンダヘッド32に対し、クッションリング39側の材質を例えば、炭素鋼(S45C)などの調質鋼とし、その表面に高周波焼入れや膣化加工等の表面硬化加工が施されていた。
しかし、これら表面焼入れ等がされたクッションリング39の製造に要する時間とコストは、母材自体も調質した高価な鋼材を必要とするうえ、焼入れ、研磨、更には内外周面の精密加工と、複数の加工行程を経るために相当日数の製造期間を要し、したがって製造コストも高くなるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、従来技術のような焼入れ加工などの高価で精密加工を施したクッションリングを必要とせずとも、ストロークエンドにおいてスムーズなクッション効果を発揮し得る流体圧シリンダのクッション構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明の流体圧シリンダのクッション構造は、シリンダの軸方向にピストンと共に進退するピストンロッドにクッションリングが遊嵌され、前記ピストンのストロークエンドで前記クッションリングがクッションポート内に侵入することにより衝撃を緩和する流体圧シリンダのクッション構造であって、前記クッションリングは、前記ピストンロッドの軸方向に形成された小径部内に配設され、該小径部の外径よりも大きい内径を有するとともに、外周面にピストン方向に向かうに従い断面積が漸減する切欠部を有し、該クッションリングと前記シリンダとの間には、内周面が前記クッションリングよりも軟質材で構成された円筒状の滑り軸受が配設され、該滑り軸受は、ピストンロッド軸方向に延びる合口を有し、該合口がロッド側油室からピストンの流出入ポートに至る作動油流路の絞り流路を形成していることを特徴とする。
また、請求項2に係る本発明の流体圧シリンダのクッション構造は、請求項1に記載の流体圧シリンダのクッション構造において、前記滑り軸受の合口は、前記シリンダ側が互いに突き合わされているとともに前記クッションリング側に面取りが軸方向に施されているものであるか、又は、隙間分だけ互いに離間しているものであることを特徴とする。
また、請求項3に係る本発明の流体圧シリンダのクッション構造は、請求項1または2に記載の流体圧シリンダのクッション構造において、前記滑り軸受の内周面側材質は、4フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る流体圧シリンダのクッション構造によれば、シリンダヘッドとクッションリングとの間に、素材が市販されているために容易に入手できる円筒状の滑り軸受が配設されているので、クッションリングの素材及び表面加工としては従来の高周波焼入れ等を施した高価で納期のかかるものは全く不要となる。よって、製造期間と製造コストの問題を解消することができる。
また、クッション行程において、従来は軸受機能に乏しいシリンダヘッドがクッションリングと直接接触していたために、クッションリングの上記磨耗等の問題を助長していたが、本発明においてはクッションリングよりも軟質材で構成された滑り軸受がシリンダヘッド側に装着され、作動油を潤滑材としてクッションリングを直接、摺動自在に支持するので、従来以上の優れたクッション効果を発揮することができる。
さらに、前記滑り軸受が、ピストンロッド軸方向に延びる合口を有し、該合口がロッド側油室からピストンの流出入ポートに至る作動油流路の絞り流路を形成するので、滑り軸受のシリンダ側への装着が容易であることは勿論、ストロークエンド時にスムーズなクッション効果を発揮させることができる。
本発明の請求項2に係る流体圧シリンダのクッション構造によれば、前記滑り軸受の合口は、前記シリンダ側が互いに突き合わされているとともに前記クッションリング側に面取りが軸方向に施されているものであるか、又は、隙間分だけ互いに離間しているものであるので、これらの面取り又は隙間がロッド側油室からの作動油に対して絞り作用を与え、ピストンの進入速度は適度に減速され、より一層ストロークエンド時にスムーズなクッション効果を発揮させることができる。
本発明の請求項3に係る流体圧シリンダのクッション構造によれば、前記滑り軸受の内周面側材質は、4フッ化エチレン樹脂であるので、ストロークエンドにおいてクッションリングが直接、接触しても、より一層スムーズな摺動効果とクッション効果とを発揮させることができる。
また、かかるライニング加工が施された滑り軸受においても、従来の焼入れが施された高価で納期のかかるクッションリングとは異なり、市販されているものであるから、容易かつ安価に入手可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施例)を、図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明に係る流体圧シリンダのクッション構造1の一実施例に係る縦断面図、図1(b)は、図1(a)のクッション構造1のA−A矢視断面図である。
図において、シリンダ2は、ストロークエンド付近に油、空気、水等の作動流体の流出入ポート3を有している。また、シリンダ2の左端部は、シリンダヘッド4で閉塞されているとともに、シリンダ2の内周面がオイルシール5a、5bで液密状態に封止されている。
シリンダヘッド4のロッド側油室6側には、ピストン7のストロークエンド時においてピストン7の当り面8aとなるハウジング8がシリンダ2の内周面にオイルシール9により液密状態に固定されている。
また、この当り面8aには、クッション行程において、ロッド側油室6内の作動油の排出流路となるスリット10が形成されている。
ピストン7は、ピストンロッド14の端部においてナット15で固定されているとともに、シリンダ容積をロッド側油室6側とピストン側油室11側とに画成し、また、外周面にピストンリング12、オイルシール13が装着されて、前記流出入ポート3及びピストン側油室11側からの作動油の流出入により、進退が可能にされている。
ピストンロッド14は、前記シリンダヘッド4を貫通し、シリンダヘッド内周面に装着されたオイルシール16a〜16cにより、ロッド側油室6内の高圧の作動油を液密状態に封止している。
また、シリンダヘッド4のオイルシール手前位置には、ロッド14の芯ブレを防ぐために、円筒状の滑り軸受17がスナップリング18により装着されている。
さらに、ピストンロッド14のピストン7位置手前には、ロッド軸方向の長さLを有する小径部19が形成されており、この小径部19には、さらにこの小径部19の外径よりも大きい内径を有するクッションリング20が遊嵌されている。
ここで、「遊嵌」とは、ピストンロッド14の半径及び軸方向の双方に若干の移動が可能であることを指す。したがって、クッションリング20は、その内径が小径部19の外径よりも大きい内径を有することにより、小径部19との間に円筒状の環状隙間21を形成する他、軸方向の全長も小径部19の長さLよりも若干短かいために、ピストン7の側面と、小径部19の左側面との間にリング状隙間22を形成する。
また、クッションリング20のピストン側端面には前記環状隙間21への作動油の流路となるスリット23が適当な位置に形成されている。更に、クッションリング20の外周には、ストロークエンドにおいてクッションリング20周辺の作動油を逃がし、低圧化させるための前述した切欠部24がロッド軸方向に複数形成されている。この切欠部24は、種々の態様のものとすることができるが、本実施例においては半径方向の深さがピストン7方向に向かうに従って漸減するスリットとして形成されている。
さらに、前述したようにクッションリング20は、ピストンロッド14の半径方向に若干の移動が可能であるから、クッションリング20の外周面と後述する滑り軸受25の内周面との間には作動油の流路である狭い環状隙間27が形成されている。
クッションリング20の好ましい材質としては、機械構造用炭素鋼や工具鋼(S45C)などの鋼材の他、軸受鋼、ダクタイル鋳鉄等が挙げられる。
ところで、本発明のクッション構造1においては、クッションリング20とハウジング8との間に円筒状の滑り軸受25(別名:クッションベアリング)が配設されている点に特徴を有する。
本発明のクッション構造1における滑り軸受25は、クッション行程の途中乃至は最終行程において、滑り軸受25の内周面にクッションリング20の外周面が接触した場合においても滑り軸受としての摺動作用により、ピストンロッド14にスムーズな直進運動とクッション効果とを与えるものである。なお、図3で前述したクッションシール40や通液孔43は設けなくても十分クッション効果を発揮できるが、設けても構わない。
このような滑り軸受25としては、滑り軸受25の表面硬度がクッションリング20の表面硬度よりも柔らかい軟質材であれば、その目的を達成することができる。
滑り軸受25の材質としては、上記クッションリング20との接触時においてクッションリング20のスムーズな摺動運動が実現できるものならば特に制限はなく、例えば鉛合金、銅合金、錫合金、アルミニューム合金、もしくはこれら合金を母材に含む焼結金属を挙げることができる。これら合金類は従来から滑り軸受用金属として市販されているもので、容易に入手でき、しかも高周波焼入れ等の特殊加工を施す必要のない安価なものである。
また、滑り軸受25の他の材質としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂や、いわゆるエンジニアリングプラスチック、或いは4フッ化エチレン樹脂等の合成樹脂であってもよく、例えば多孔質の銅−錫合金が焼結され、さらにその内周面に4フッ化エチレン樹脂(PTFE)をライニングした滑り軸受は好適な滑り軸受材である。
また、クッションリング20の外周面と滑り軸受25の内周面との間の隙間は、クッション行程において、適度なクッションスピードと、クッション圧力とを確保するために適宜の値に設計することができる。
なお、滑り軸受25の長さと肉厚としては、特に制限はなく、クッションリング20のクッションポートへの侵入時の衝撃により割れ、亀裂等が発生することなくスムーズに摺動運動できるものであれば特に制限はない。
これら滑り軸受材は、その全体を上記素材で構成しても良いが、クッション行程時の振動等による割れ、亀裂等の発生を防止するために、機械構造用炭素鋼や工具鋼などの鋼材を裏金とし、上記滑り軸受材をライニングしたものを用いるのが好ましい。
図2(a)の拡大斜視図に示すように、滑り軸受25は、ロッド軸方向に延びる切断面である合口26を有しており、この合口26によりハウジング8の内周面よりも内径が大きな環状溝8b内に装着可能である。
図2(b)は、図2(a)の滑り軸受25が装着された図1(a)のクッション構造1のP部の部分拡大図である。なお、スリット10の図示は省略している。
図2(a)に示すものは、合口26が互いに突き合わされており、ハウジング8の内周面位置を頂点とする面取り26aが軸方向に施されている例のものである。
一方、図2(c)は、合口26の他例の側面図であり、合口26Aが隙間S分だけ離間している例のものであり、このように合口は種々の形状のものとすることができる。
次に、再び図1及び図2を参照して、本発明の作用を説明する。
図1(a)に示すように、クッションリング20がクッションポートである滑り軸受25内に進入すると、クッションリング20はピストンロッド14に遊嵌されているため、滑り軸受25内周面において自動調芯されつつ、滑り軸受25内に進入する。
クッションリング20の進入とともにロッド側油室6の作動油には、ピストン側油室11に流入した作動油によるピストン7を介しての圧力が加わるので、クッションリング20はロッド側方向(図の左側方向)に移動し、その左端面が小径部19の中の左端面に当接し、ロッド側油室6からスリット23を経て環状隙間21に至るロッド側流路が閉塞される。
ロッド側油室6の作動油は、滑り軸受25の面取り26a間の隙間(または合口26Aの隙間S)及びクッションリング20の環状隙間27及び切欠部24を経て、流出入ポート3から系外に排出されるが、合口26の上記隙間及び切欠部24が作動油に対して絞り作用を与えるので、クッションリング20すなわちピストン7の進入速度は適度に減速され、スムーズなクッション効果が得られる。また、クッションリング20外周面に形成されている切欠部24は、作動油圧力が下がり過ぎないように軸方向断面積が漸減されているので、クッション作用を適度に維持する。
逆に、ピストンロッド14が収縮行程の場合は、流出入ポート3から流入した作動油の圧力により、クッションリング20はピストン7側に押され、そのピストン側端面がピストン側面に当接する。
これにより、一部の作動油はクッションリング20外周面の切欠部24からハウジング8端面のスリット10を経由してロッド側油室6に至り、ピストン7の移動を助けるが、一方でクッションリング20のロッド側リング状隙間22から環状隙間21及びスリット23を経てロッド側油室6に至るバイパス流路が形成されるので、この流路を経由してのロッド側油室6に流入した作動油の圧力により、上記ピストンロッド14の伸長行程時よりも早い速度での収縮動作が行われる。なお、本実施例は図3で説明した従来のクッションシール40を設けない実施例を説明したが、特許文献1の場合と同じように設けても同様の機能を発揮する。
以上に述べたクッション行程中において、仮にクッションリング20が滑り軸受25に直接接触しても、滑り軸受25内周面はクッションリング20内周面よりも軟質材で構成され、滑り軸受25としての本来の機能により、クッションリング20のスムーズな摺動運動が確保される。
したがって、本発明のクッション構造1は、クッションリングとして用いなければならなかった従来の高価で製造期間のかかる表面硬化加工は全く不要であり、市販の容易に入手できる素材で十分所望のクッション効果を発揮することができ、前述した製造期間と製造コストの問題を解消することができる。
また、滑り軸受25は、図3の従来のクッションリング39のような高い加工精度は不要であり、上記製造期間と製造コストの問題の解消に貢献することができる。
図1(a)は、本発明に係る流体圧シリンダのクッション構造の一実施例に係る縦断面図、図1(b)は、図1(a)のクッション構造のA−A矢視断面図である。 図2(a)は、図1(a)の滑り軸受の拡大斜視図、図2(b)は、図2(a)のP部の部分拡大図、図2(c)は、滑り軸受の合口の他例の部分側面図である。 図3は、従来の流体圧シリンダのクッション構造の要部縦断面図である。
1 クッション構造
2 シリンダ
3 流出入ポート
4 ハウジング
6 ロッド側油室
7 ピストン
8 ハウジング
10 スリット
11 シリンダ側油室
14 ピストンロッド
19 小径部
20 クッションリング
21 環状隙間
22 リング状隙間
23 スリット
24 切欠部
25 滑り軸受
26 合口
26a 面取り
27 環状隙間
S隙間

Claims (3)

  1. シリンダの軸方向にピストンと共に進退するピストンロッドにクッションリングが遊嵌され、前記ピストンのストロークエンドで前記クッションリングがクッションポート内に侵入することにより衝撃を緩和する流体圧シリンダのクッション構造であって、
    前記クッションリングは、前記ピストンロッドの軸方向に形成された小径部内に配設され、該小径部の外径よりも大きい内径を有するとともに、外周面にピストン方向に向かうに従い断面積が漸減する切欠部を有し、
    該クッションリングと前記シリンダとの間には、内周面が前記クッションリングよりも軟質材で構成された円筒状の滑り軸受が配設され
    該滑り軸受は、ピストンロッド軸方向に延びる合口を有し、該合口がロッド側油室からピストンの流出入ポートに至る作動油流路の絞り流路を形成していることを特徴とする流体圧シリンダのクッション構造。
  2. 前記滑り軸受の合口は、前記シリンダ側が互いに突き合わされているとともに前記クッションリング側に面取りが軸方向に施されているものであるか、又は、隙間分だけ互いに離間しているものであることを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダのクッション構造。
  3. 前記滑り軸受の内周面側材質は、4フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体圧シリンダのクッション構造。
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