JP4875563B2 - トロコイド歯車および減速機 - Google Patents
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Description
なお、「エピトロコイド」とは、図7(の上部)のように基円の外側を滑らずに転がる円上の一点が描く軌跡をいう。また、後述の「ハイポトロコイド」とは、図7(の下部)のように基円の内側を滑らずに転がる円上の一点が描く軌跡をいう。
イ) 外歯車が、歯先部は円弧曲線であり歯元部はエピトロコイド曲線であって、これら二つの曲線が共通接線にて滑らかに連結された歯形を有していること、および、
ロ) 内歯車が、歯先部は円弧曲線であり歯元部はハイポトロコイド曲線であって、これら二つの曲線が共通接線にて滑らかに連結された歯形を有していること
を特徴とする。
ところで、(a)・(b)いずれの歯車も、すべての歯が相手歯車と噛み合っている。ここで、噛み合いの状態を詳細に観察すると、以下がわかる。
○ (a)の外歯車は、右側で歯底部が、左側で歯先部が相手歯車と噛み合っている。
○ (a)の内歯車は、全周に渡って、歯先部が相手歯車と噛み合っている。
○ (b)の外歯車は、全周に渡って、歯先部が相手歯車と噛み合っている。
○ (b)の内歯車は、右側で歯底部が、左側で歯先部が相手歯車と噛み合っている。
このことから、歯底部がエピトロコイド曲線で、歯先部が円弧曲線の外歯車と、歯底部がハイポトロコイド曲線で、歯先部が円弧曲線の内歯車を噛み合わせれば、トルク伝達に大きく寄与する範囲(図の略右側)では、歯底部と歯先部の両方が相手歯車と噛み合い、トルク伝達にあまり寄与しない範囲(図の略左側)では、噛み合いが生じない歯車が成立すると考えられる。
そこで、上記イ)ロ)のように形成した内外歯車を噛み合わせた絵を図1に示す。この図に示されるように、両歯車の噛み合う領域において、外歯車の歯元部(エピトロコイド曲線の部分)と内歯車の歯先部(円弧曲線の部分)とが接触する(図中の小さな丸で示す接触部4a)とともに、外歯車の歯先部(円弧曲線の部分)と内歯車の歯元部(ハイポトロコイド曲線の部分)とが接触する(図中の大きな丸で示す接触部4b)。しかも、こうして外歯車と内歯車とが噛み合うのは、トルク伝達に大きく寄与する、すべり速度の小さい領域(図中の楕円で囲まれた部分等)においてのみである。これらの点から、この歯車では、トルク伝達の際の面圧が小さく、歯面の摩耗や伝達効率、焼き付き等のトラブル発生等、種々の点で利点がもたらされるといえる。
前述した特許文献3・4の歯車と比べると、外歯車の歯形を全域でエピトロコイド曲線とするのではなく、歯先部分を円弧曲線にした点で相違する。外歯車が円弧曲線であるとき、その包絡曲線はハイポトロコイド曲線となる。そのため、この発明によると、内歯車・外歯車の各歯形を数学的に定式化することができ、歯形設計が容易になる。エピトロコイド噛み合い、ハイポトロコイド噛み合いは、いずれも、歯車理論が確立された周知の事実であり、より熟考を施した設計が可能となる。なお、発明のトロコイド歯車は、引用文献3・4の歯車と同様に、図8(a)に示す遊星歯車減速機(そのb−b断面の部分)やギヤポンプ本体(図示せず)等に採用することができる。
二つの歯車が噛み合うときのトロコイド曲線と円弧との接触点は噛み合い運動によって変化し、接触点が歯先点から最も離れたとき、内外歯車間でのトルクの伝達効率は最大となる。すなわち、内外歯車間が噛み合う領域内のうち最も端にある接触点(図1における符号Xの部分)がトルク伝達効率の最大点である。上記各二つの曲線の連結部分を、エピトロコイド曲線またはハイポトロコイド曲線のうちこうしたトルク伝達効率最大点付近に一致させると、相手側歯車における接触点が円弧曲線の範囲内のみでの変化にとどまり、ハイポトロコイド曲線またはエピトロコイド曲線の範囲にまでは移動しない。そのため、この歯車によれば、外歯車と内歯車との噛み合いがとくに安定的になるという効果が得られる。
つまり、図1のように、トルク伝達に大きく寄与する領域(図中の楕円で囲まれた部分等)のほかに、その領域の中央部分から180°離れた部分(図中の符号Yの部分)でも外歯車と内歯車との凸点同士が接するように、内・外歯車間の偏心量や、内・外歯車のPCD、円弧径、歯数を定めるのである。外歯車と内歯車とは、トルク伝達に寄与する上記の領域と、符号Yの部分の一点とのみで接触する。この場合、歯形の設計と製作がとくに簡単化され容易になる点で有利である。
そうすれば、トルク伝達に寄与する上記の領域以外の部分において歯先の干渉を回避することができる。トルク伝達に全く寄与しない凸点同士の噛み合いを回避できるので、無駄な摩耗や伝達効率のロスを削減することができる。図5はその例を示している。
上述したトロコイド歯車にこうした特徴を付加すると、歯面の摩耗や伝達効率の低下といった前述の課題がさらに解消される。内外各歯車におけるそれぞれの歯を歯元部と歯先部との両方で相手歯車と接触させることで噛み合い時の面圧を減らすとともに、各歯車の表面にこうして自己潤滑性をもたせることにより摩擦を低減させると、摩耗の程度等は相乗的に減少するからである。
なお、以上に示したトロコイド歯車は、減速機に組み込んで使用するのが好ましい。
外歯車および内歯車において、各二つの曲線の連結部分をトルク伝達効率の最大点付近に一致するようにすると外歯車と内歯車との噛み合いがとくに安定する。
そうしたうえで、歯先の負転位または歯先の面取りによって当該凸点同士が接することがないように構成すると、歯形の設計・製作が容易になるとともに簡便な方法で歯先の干渉を回避でき、もって無駄な摩耗や伝達効率のロスを削減できる。
外歯車と内歯車とのうち少なくとも一方を、潤滑油を含浸されたダクタイル鋳鉄で形成し、または、表面にダイヤモンドライクカーボン皮膜を形成すると、歯面の摩耗や伝達効率の低下といった前述の課題がさらに解消されやすくなる。
上記のトロコイド歯車を組み込んだ減速機においても、上記の各特徴に基づく利点がもたらされる。
このトロコイド係数αが大きいと、歯元部のすべり速度が小さくなって効率のよいトルク伝達が行えるが、同係数αが大きすぎると、二つの曲線の連結点がトルク伝達効率最大点を追い越してしまい、両歯の噛み合いが不安定になる。また、図3(a)・(b)および図4(a)・(b)に示すように(図3の例ではトロコイド係数が0.96、図4の例では同係数が0.74。歯数はいずれも80)同係数αが大きいと噛み合い領域も狭くなる(図3の例では同領域が8°で、図4の例の35°よりもかなり狭い)。そのため、適度な噛み合い領域を有するとともに連結点がちょうどトルク伝達効率最大点に一致するよう、トロコイド係数αおよび偏心量ecを設定するのが好ましい。
cev={cex,cey};
ここで、cexはエピトロコイド中心曲線のx座標、ceyはそのy座標である。
cex=ec Cos[q]+ae Cos[q/n1]; cey=ec Sin[q]+ae Sin[q/n1];
ae : 内歯円弧中心のPCD、ec : 外歯車の中心偏心量、re : 内歯円弧の半径、q : 媒介変数(q=2Pin1で一周期)。なお、Piはπを表す。
n0 : 外歯の歯数、n1 : 内歯の歯数(ここでは、n1=n0+1)
内歯車と噛み合わせるため、この曲線を中心方向に内歯円弧径分オフセットさせると、外歯車の歯形曲線が成立する。
sev={sex,sey};
ここで、sexは平行曲線のx座標、seyはそのy座標である。
sev=cev+re*{{Cos[Pi/2],-Sin[Pi/2]},{Sin[Pi/2],Cos[Pi/2]}}.{dex,dey}/der;
der=Sqrt[dex^2+dey^2]; dex=D[cex,q]; dey=D[cey,q];
初期点(歯先凸点)の座標は、sev(0)={ae+ec-re,0}である。
なお、D[f(q),q]は、f(q)のqによる微分を示す。
chv={chx,chy};
ここで、chxはハイポトロコイド中心曲線のx座標、chyはそのy座標である。
chx=-ec Cos[q]+ah Cos[q/n1]; chy=+ec Sin[q]+ah Sin[q/n1];
ah : 外歯円弧中心のPCD、ec : 外歯車の中心偏心量、rh : 外歯円弧の半径、q : 媒介変数(q=2Pin1で一周期)
n1 : 外歯の歯数、n2 : 内歯の歯数(ここでは、n2=n0+2)
shv={shx,shy};
ここで、shxは平行曲線のx座標、shyはそのy座標である。
shv=chv+rh*{{Cos[Pi/2],Sin[Pi/2]},{-Sin[Pi/2],Cos[Pi/2]}}.{dhx,dhy}/dhr;
dhr=Sqrt[dhx^2+dhy^2]; dhx=D[chx,q]; dhy=D[chy,q];
エピ トロコイドのトルク伝達効率最大点 : qem=Pi n1/n0-n1/n0 ArcCos[(ec n1)/aa];
ハイポトロコイドのトルク伝達効率最大点 : qhm=Pi n1/n2-n1/n2 ArcCos[(ec n1)/aa];
なお、ArcCos[x]は、xの逆余弦関数である。
円弧半径をrh、円弧中心位置を(ae+ec-re+dela-rh,0)とするとき、エピ曲線と円弧曲線の逸脱長delreは以下で求められる。
delre=(sex-(ae+ec-re+dela-rh))^2+sey^2-rh^2
二つの曲線の連結点qcで、二つ曲線は接するので、{delre(qc)=0, D[delre,q](qc)=0}の二式から、二曲線が滑らかに連結するための条件qcとrhが求められる。
ここで、de1a=0のとき、円弧はエピ曲線の凸点とも接する。外歯と内歯が全周に渡って干渉しないためには、de1a≧0の条件がある。de1aは、外・内歯先間のクリアランスに相当する。
また、qcで円弧rhとエピ平行曲線sevが接するので、qcに限り、delreはエピ中心曲線で書き換えることができる。
delre=(cex-(ae+ec+de1a-re-rh))^2+cey^2-(re+rh)^2
=(cex-(ae+ec+dela-rw))^2+cey^2-rw^2 where rw=re+rh
方程式の求解には、こちらを利用する方が、計算負荷低減に有利である。
得られたrwからrh=rw-reにより、ハイポ曲線の外歯円弧径が定まる。また、ah=ae+ec-rw-de1aにより、外歯円弧中心のPCDが定まる。すなわち、エピ曲線の歯形パラメータae,ec,re,n0と歯先間クリアランスde1aを定めればこのエピ曲線と噛み合う、ハイポ曲線の歯形パラメータah,ec,rh,noが、自動的に求められる。
卜ロコイド係数が大きければ、歯元部のすべり速度が小さくなり、効率の良いトルク伝達が行える。
しかし、トロコイド係数が大きくなると、二つの曲線の連結点がトルク伝達効率最大点を追い越してしまい、両歯の噛み合いが不安定になる。また、噛み合い領域も狭くなる。
そのため、連結点がちょうどトルク伝達効率最大点に一致するよう、偏心量ecを設定する設計が効果的である。
また、二つの円弧径re,rhは、rw=re+rhの条件式より、大小の配分に自由度がある。よって、どちらか一方が極端に小さい設計よりも、両者をほぼ同等値にした設計、すなわち、面圧過大により、エピ歯面が劣化するときには、同時に、ハイポ歯面も劣化することを狙った設計が、有劾である。
2 外歯車
3 内歯車
10 遊星歯車減速機
Claims (6)
- 外歯車と内歯車とが噛み合うトロコイド歯車であって、
外歯車が、歯先部は円弧曲線であり歯元部はエピトロコイド曲線であって、これら二つの曲線が共通接線にて滑らかに連結された歯形を有していて、
内歯車が、歯先部は円弧曲線であり歯元部はハイポトロコイド曲線であって、これら二つの曲線が共通接線にて滑らかに連結された歯形を有していること
を特徴とするトロコイド歯車。 - 外歯車および内歯車において、上記各二つの曲線の連結部分が、エピトロコイド曲線またはハイポトロコイド曲線のうちトルク伝達効率の最大点付近に一致することを特徴とする請求項1に記載のトロコイド歯車。
- 外歯車と内歯車とが噛み合う領域の中央部分から180°離れた部分において、外歯車と内歯車との凸点同士が接するように寸法および歯数が定められていることを特徴とする請求項1または2に記載のトロコイド歯車。
- 外歯車と内歯車とが噛み合う領域の中央部分から180°離れた部分において、外歯車と内歯車との凸点同士が接するように寸法および歯数が定められたうえ、歯先の面取りによって、当該凸点同士が接することがないようにされていることを特徴とする請求項3に記載のトロコイド歯車。
- 外歯車と内歯車とのうち少なくとも一方が、潤滑油を含浸されたダクタイル鋳鉄で形成され、または、表面にダイヤモンドライクカーボン皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトロコイド歯車。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のトロコイド歯車を有することを特徴とする減速機。
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| JP2007191020A JP4875563B2 (ja) | 2007-07-23 | 2007-07-23 | トロコイド歯車および減速機 |
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