JP4882779B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体層と電極層とが交互に積層された積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
例えば積層セラミックコンデンサに代表される積層セラミック電子部品は、通常、複数の誘電体層と電極層とが交互に積層されるとともに積層方向両側に外装誘電体層が配され、積層方向の両端面に一対の外部電極が設けられた構造とされている。近年の電子機器の小型化に伴い、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品においても小型化・大容量化が求められており、これに対応して、積層セラミック電子部品を構成する誘電体層や電極層にもさらなる薄層化及び多層化が求められている。
このような構造の積層セラミック電子部品は、例えば以下のような方法で製造される。すなわち、先ず、誘電体粉末、バインダ、有機溶剤等を含む塗料を準備し、この塗料をドクターブレード法等を用いてPETフィルム等の支持体上に塗布、乾燥させた後、PETフィルムを剥離して内装グリーンシートを得る。次に、導電材料を含む電極前駆体層を前記内装グリーンシート上に形成する。次に、電極前駆体層が形成された内装グリーンシートを積層するとともに、積層方向両側に外装誘電体層となる外装グリーンシートを積層し、チップ状に切断してグリーンチップとする。このグリーンチップを焼成した後、外部電極を形成することにより積層セラミック電子部品が製造される。電極層に含まれる導電材料としては、一般にPdやPd合金が用いられているが、Pdは高価であるため、近年では比較的安価なNiやNi合金等の卑金属が使用されるようになってきている。
しかしながら、Ni等の卑金属は、グリーンシートを構成する誘電体粉末よりも低い温度で焼結するという性質を有しているため、電極層に使用されると次のような理由により製品歩留まりの低下を引き起こす。すなわち、電極前駆体層に含まれるNiの影響により、電極前駆体層と内装グリーンシートとが交互に積層された部分(内装部)の焼結温度が、その周囲の電極前駆体層の形成されていない領域及び外装グリーンシート(外装部)に比較して低くなるため、内装部と外装部とで焼成時の収縮挙動に差を生じ、その結果、デラミネーション等の構造欠陥が発生するからである。
そこで、前記収縮挙動の差に起因する問題を解決するための手法が提案されている。例えば特許文献1においては、最外層に配される一対の保護層用のグリーンシートとして、焼成による収縮開始温度が内部セラミック層用のグリーンシートよりも低いグリーンシートを用いる積層セラミック電子部品の製造方法が開示されており、保護層用のグリーンシートの焼成による収縮開始温度を低くするために、保護層用のグリーンシートに焼結助剤を含有させたり、保護層用のグリーンシートの密度を高めるためにグリーンシートを作成するスラリーの粉砕時間・混合時間を長くしている。
また、特許文献2においては、外層セラミック層の焼成に際しての収縮率の変化率が最大となる温度と内部電極積層部のセラミック層の内部電極が形成された状態での焼成に際しての収縮率の変化率が最大となる温度との差が60℃以下となるようにする積層セラミック電子部品の製造方法が開示されており、内部電極積層部のセラミック層を構成するセラミックスのAサイトイオンのモル濃度AとBサイトイオンのモル濃度Bとの比A/Bに比べて、外層セラミック層におけるモル比A/Bを低くすることが開示されている。
さらに、特許文献3においては、保護層の表面から所定の深さまでを形成するセラミック粒子を内層のセラミック層を形成するセラミック粒子より小さくした積層セラミック電子部品が開示されている。
特開平9−97733号公報 特開2004−221268号公報 特開平11−354370号公報
しかしながら、前記特許文献1記載の発明のように、保護層用のグリーンシートを作成するスラリーの粉砕時間・混合時間を長くすると、製造時間が長くなるため製造効率の低下が問題となる。また、保護層用のグリーンシートに焼結助剤を含有させる場合、必要な材料数が増加するため材料コストの上昇を招き、さらには、保護層用のグリーンシートに添加した焼結助剤が内部セラミック層用のグリーンシートへ拡散し、特性や信頼性を低下させるおそれがある。
ところで、電極層に誘電体粉末(共材)を添加することにより前記収縮差を低減する技術が知られており、一定の効果を得ることができるとされる。しかしながら、本発明者らの検討の結果、誘電体層の薄層化及び多層化の進んだ積層セラミック電子部品においては、電極層に微細な共材を添加することによって、大きな焼結挙動の差を生じ、焼成過程で、内装部のコーナー部から外装誘電体層と内装誘電体層周囲の無電極領域との境界付近にかけてデラミネーションのような構造欠陥が発生することがわかった。前記収縮挙動差が生じる理由は、微細化された共材の焼結温度が電極層中の導電材(Ni)と同程度かそれより低くなるため、焼成の早い段階で電極層が収縮し、この影響を受けて内装部が外装部より先に収縮するからである。
特に、積層セラミック電子部品の誘電体層の薄層化及び多層化が進むと、該積層セラミック電子部品に占める電極層の構成割合が大きくなるため、電極層に添加した共材の影響は大きくなる。前記特許文献2に記載される技術は、このように誘電体層の薄層化及び多層化が進んだ積層セラミック電子部品における共材の影響を軽減するには、充分なものではない。
また、誘電体層の薄層化を図るために誘電体層用の誘電体粉末を微細化した場合に、特許文献3に示すように誘電体層用の誘電体粉末(内層のセラミック層を形成するセラミック粒子)に比べて外装誘電体層用の誘電体粉末(保護層の表面から所定の深さまでを形成するセラミック粒子)の粒径を小さくすると、外装グリーンシートの通気性が低下して積層体の形成が困難となる。また、通気性を確保するために外装グリーンシートを内装グリーンシートと同程度に薄く形成すると、外装グリーンシートの使用枚数が増加する結果、歩留まり低下や積層工程時間の長時間化を引き起こし、製造効率の低下を招く。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、誘電体層の薄層化及び多層化が進んだ場合であっても、材料コストの上昇、製造効率の低下及び特性の低下を生じることなく、歩留まりの向上を図ることが可能な積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、誘電体粉末を含む内装グリーンシートと導電材料を含む電極前駆体層とを交互に積層して内装部を形成し、当該内装部の前記積層方向両側に外装グリーンシートを積層した後、焼成することにより誘電体層と電極層とが交互に積層された積層セラミック電子部品を製造するに際し、前記電極前駆体層に誘電体粉末を添加し、前記内装グリーンシートに含まれる誘電体粉末の平均粒径をRa、前記電極前駆体層に添加する誘電体粉末の平均粒径をRbとしたときに、Rb/Ra≦1/2となるように設定するとともに、平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rbである。)を有する誘電体粉末を前記外装グリーンシートに添加することを特徴とする。
誘電体層を薄層化及び多層化するために電極前駆体層に微細な共材(誘電体粉末)を添加する場合、すなわち、内装グリーンシートに含まれる誘電体粉末の平均粒径Raと電極前駆体層に添加する誘電体粉末の平均粒径Rbの比Rb/Raが1/2以下となるように設定した場合、電極前駆体層に添加した誘電体粉末の影響により、内装部と外装グリーンシートとの焼結挙動の差が大きくなる。そこで、以上のような製造方法においては、共材以下に微細化された誘電体粉末、すなわち、Rc≦Rbなる関係を満たす平均粒径Rcを有する誘電体粉末を、外装グリーンシートに添加することで、外装グリーンシートの収縮開始温度を低くして内装部との焼結挙動差の低減を図り、構造欠陥の発生を抑える。ここで、特性への影響の小さい領域である外装グリーンシートに前記誘電体粉末を添加するので、積層セラミック電子部品の特性低下を招くことはない。
以上のような積層セラミック電子部品の製造方法によれば、誘電体層の薄層化及び多層化が進んだ場合であっても、焼成過程で生じる構造欠陥の発生を抑え、歩留まりの向上を図ることができる。また、以上のような積層セラミック電子部品の製造方法によれば、良好な特性を維持しつつ前記歩留まり向上効果を得ることができる。
以下、本発明を適用した積層セラミック電子部品の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、製造対象となる積層セラミック電子部品について、図1を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、複数の誘電体層2と電極層3とを有する素子本体を有する。電極層3は、素子本体の対向する2端面に各側端面が交互に露出するように積層されており、素子本体の両側端部に配置された一対の外部電極(図示は省略する。)と各々導通するように形成される。素子本体においては、誘電体層2及び電極層3の積層方向の両外側端部に外装誘電体層4が配置されている。また、素子本体においては、外部電極の形成されない端面に、誘電体層からなる無電極領域5が形成されており、外装誘電体層4と無電極領域5とからなる外装部6が、誘電体層2と電極層3とが交互に積層されてなる内装部7を保護している。
素子本体の形状は特に制限されるものではないが、通常、直方体状とされる。その寸法も特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法に設定すればよい。例えば、縦0.6mm〜5.6mm(好ましくは0.6mm〜3.2mm)×横0.3mm〜5.0mm(好ましくは0.3mm〜1.6mm)×厚み0.1mm〜1.9mm(好ましくは0.3mm〜1.6mm)程度である。
誘電体層2及び外装誘電体層4は、誘電体磁器組成物で構成される。誘電体磁器組成物としては、組成式ABO(式中、Aサイトは、Sr、Ca及びBaから選ばれる少なくとも1種の元素で構成される。Bサイトは、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素で構成される。)で表されるペロブスカイト型結晶構造を持つ誘電体酸化物を主成分として含有することが好ましい。ここで、酸素(O)量は、前記組成式の化学量論組成から若干偏倚してもよい。前記誘電体酸化物の中でも、AサイトをBaで主として構成し、BサイトをTiで主として構成し、チタン酸バリウムとすることが好ましい。より好ましくは、組成式BaTiO2+m(式中、0.995≦m≦1.010であり、0.995≦Ba/Ti≦1.010である。)で表されるチタン酸バリウムである。
誘電体磁器組成物中には、主成分の他、各種副成分が含まれていてもよい。副成分としては、Sr、Zr、Y、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、Cd、Ti、Sn、W、Ba、Ca、Mn、Mg、Cr、Si及びPの酸化物から選ばれる少なくとも1種が例示される。副成分を添加することにより、主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となる。また、誘電体層2を薄層化した場合の信頼性不良が低減し、長寿命化が可能となる。
内装部を構成する誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、用途等に応じ適宜決定すればよい。誘電体層2の厚みについては0.5μm〜50μm程度であり、好ましくは5μm以下である。積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化を図る観点では、誘電体層2の厚みは3μm以下であり、誘電体層2の積層数は150層以上とすることが好ましい。外装誘電体層4の厚みも、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば20μm〜数百μm程度である。
電極層3に含まれる導電材料は特に制限されないが、例えばNi、Cu、Ni合金又はCu合金等の卑金属を用いることができる。電極層3の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよく、例えば0.5μm〜5μm程度であり、好ましくは1.5μm以下である。
外部電極に含まれる導電材料は特に制限されないが、通常、Cu、Cu合金、Ni、Ni合金、Ag、Ag−Pd合金等が用いられる。Cu、Cu合金、Ni及びNi合金は、安価な材料なため有利である。外部電極の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよく、例えば10μm〜50μm程度である。
以下、積層セラミックコンデンサの製造方法の一例について、図2を参照しながら説明する。
先ず、図2(a)に示すように、焼成後に誘電体層2を構成する内装グリーンシート11、電極層3を構成する電極前駆体層12、及び外装誘電体層4を構成する外装グリーンシート13を準備する。次に、内装グリーンシート11を複数積層するとともに、その積層方向両側に外装グリーンシート13を単層又は複層で積層し、必要に応じて切断し、積層体14を形成する。
積層体14は、図2(b)に示すように、複数の電極前駆体層12と電極前駆体層12に挟まれた内装グリーンシート11とからなる内装部15と、外装グリーンシート13と内装グリーンシート11のうち電極前駆体層12の形成されていない部分である無電極領域とからなる外装部16とから構成されている。本実施形態では、外装部16を構成する外装グリーンシート13に、電極前駆体層12に共材として用いた誘電体粉末Bを添加する。
内装グリーンシート11は、誘電体層2の原料となる誘電体粉末を含むグリーンシート用塗料を調製し、ドクターブレード法等により支持体としてのキャリアシート上に前記グリーンシート用塗料を塗布し、乾燥させることにより得られる。グリーンシート用塗料は、誘電体層2の原料となる誘電体粉末と有機ビヒクル又は水系ビヒクルとを混練することにより調製される。
内装グリーンシート11に用いる誘電体粉末としては、前述の主成分や副成分の酸化物や複合酸化物を用いることができる。また、焼成により酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等からも適宜選択して用いることができる。
前記誘電体粉末の平均粒径が大きすぎると、内装グリーンシート11を薄く成膜することが難しくなるため誘電体層2の薄層化が難しくなり、逆に誘電体粉末の平均粒径が小さすぎると、誘電体粉末の比表面積が増大し、焼成時に異常粒成長するおそれがある。したがって、内装グリーンシート11に含まれる誘電体粉末の平均粒径は、0.1μm〜1.0μmであることが好ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に制限されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、有機ビヒクルに用いる有機溶剤も特に限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。水系ビヒクルとは、水溶性のバインダや分散剤を水中に溶解したものであり、水溶性バインダとしては特に制限されず、例えばポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂等を用いればよい。
また、前記内装グリーンシート11の所定領域に電極層3の原料を含む内部電極ペーストを印刷することにより、電極前駆体層12を形成する。内部電極ペーストは、前述した導電材料と共材と前述した有機ビヒクルとを混練することにより調製される。
前記電極前駆体層12には、共材として誘電体粉末を添加する。誘電体層2の厚みが3μm以下、誘電体層2の積層数が150層以上であるように、積層セラミックコンデンサ1の誘電体層2を薄層化及び多層化する場合、電極層3の厚みもこれに対応して例えば1.5μm以下に薄層化する必要があるが、電極層3の薄層化に対応するには、電極前駆体層12に用いる共材も微細化する必要がある。共材の微細化の程度は、共材として用いる誘電体粉末の平均粒径Rbと、誘電体層2となる内装グリーンシート11に含まれる誘電体粉末の平均粒径Raとの関係で表すことができる。本実施形態では、内装グリーンシート11に含まれる誘電体粉末Aの平均粒径をRa、電極前駆体層12に添加する誘電体粉末の平均粒径をRbとしたときに、Rb/Ra≦1/2である関係を満たすように、電極前駆体層12に添加する誘電体粉末は微細化されている。
電極前駆体層12における誘電体粉末の添加量は、5質量%〜30質量%であることが好ましい。前記範囲未満である場合、共材としての効果が不十分となり、前記範囲を上回る場合、内装部15と外装部16との焼結挙動の差が大きくなり、構造欠陥が増加するおそれがある。
電極前駆体層12に添加する誘電体粉末としては、前述の主成分や副成分の酸化物や複合酸化物を用いることができる。また、焼成により酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等からも適宜選択して用いることができる。
一方、外装誘電体層4を形成する外装グリーンシート13を準備する。外装グリーンシート13は、外装誘電体層4の原料となる誘電体粉末を含む外装グリーンシート用塗料を調製し、ドクターブレード法等により支持体としてのキャリアシート上に前記外装グリーンシート用塗料を塗布し、乾燥させることにより得られる。外装グリーンシート用塗料は、外装誘電体層4の原料となる誘電体粉末と有機ビヒクル又は水系ビヒクルとを混練することにより調製される。有機ビヒクル又は水系ビヒクルは、内装グリーンシート11の形成で使用可能なものを使用することができる。
本実施形態では、外装グリーンシート13に、平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rbである。)有する誘電体粉末を添加する。平均粒径Rb以下の誘電体粉末、すなわち、電極前駆体層12の共材以下に微細化された誘電体粉末を外装グリーンシートに添加することで、外装部16と内装部15との焼結挙動の差が低減するため、電極前駆体層12に添加した誘電体粉末に起因する構造欠陥の発生を抑えることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
外装グリーンシート13に添加する誘電体粉末の平均粒径Rcは、電極前駆体層12に添加した誘電体粉末の平均粒径Rb未満であることが好ましい。すなわち、Rc<Rbであることが好ましい。外装グリーンシート13により微細化された誘電体粉末を添加することで、外装部15と内装部16との焼結挙動差がさらに小さくなるため、構造欠陥の発生を防止するだけでなく、焼成後に得られる積層セラミックコンデンサ1の強度を高めることができる。積層セラミックコンデンサ1の強度が向上する結果、積層セラミックコンデンサ1をはんだ付けにより基板上に実装する場合等、積層セラミックコンデンサ1に外部応力が加わる際のクラック発生を抑制することができる。
外装グリーンシート13には、平均粒径Rcを有する誘電体粉末を0.05質量%〜15質量%添加することが好ましい。添加量が0.05質量%未満の場合には本発明の効果が充分に得られないおそれがあり、添加量が15質量%を上回る場合には外装グリーンシート13の通気性が悪化し、支持体からの剥離が困難となるおそれがある。
平均粒径Rcを有する誘電体粉末としては、前述の主成分や副成分の酸化物や複合酸化物を用いることができる。また、焼成により酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等からも適宜選択して用いることができる。平均粒径Rcを有する誘電体粉末としては、誘電体層が含む誘電体粉末や、電極前駆体層に添加する誘電体粉末と同じ組成の誘電体粉末を用いることもできる。
外装グリーンシート13は、当然ながら、前記添加用の誘電体粉末以外の誘電体粉末を含んでいる。平均粒径Rcを有する誘電体粉末以外に、外装グリーンシート13に含まれる誘電体粉末としては、前述の主成分や副成分の酸化物や複合酸化物、また、焼成により酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等を用いることができる。その粒径は、例えば0.1μm〜1.0μmとすることができる。
積層体14を形成した後、脱バインダ処理、焼成、並びに、誘電体層2及び外装誘電体層4を再酸化させるための熱処理を行い、焼結体(素子本体)を得る。脱バインダ処理、焼成及び再酸化のための熱処理は、これらを連続して行ってもよく、それぞれを独立に行ってもよい。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、電極層3の導電材にNi、Ni合金等の卑金属を用いる場合、下記の条件で行うことが好ましい。すなわち、昇温速度を5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間とし、保持温度を200〜400℃、特に250〜340℃とし、保持時間を0.5〜20時間、特に1〜10時間とし、雰囲気を加湿したNとHとの混合ガスとする。
焼成は下記の条件で行うことが好ましい。すなわち、昇温速度を50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間とし、保持温度を1100〜1350℃、特に1150〜1300℃とし、保持時間を0.5〜8時間、特に1〜3時間とし、雰囲気を加湿したNとHとの混合ガスとする。
焼成に際して、雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下とすることが好ましい。前記範囲を上回ると電極層3が酸化するおそれがある。ただし、酸素分圧が低すぎると、電極材料が異常焼結を起こし、電極層3が途切れる傾向にある。したがって、焼成雰囲気の酸素分圧は、10−2Pa〜10−8Paとすることが好ましい。
焼成後の熱処理は、保持温度又は最高温度を通常は1000℃以上、好ましくは1000℃〜1100℃として行う。前記範囲未満の場合、誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲を上回ると、電極層3中の導電材(Ni)が酸化し、積層セラミックコンデンサの容量や寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。
前記熱処理の雰囲気は焼成よりも高い酸素分圧とし、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2〜1Paである。前記範囲未満の場合には誘電体層の再酸化が困難となり、逆に前記範囲を上回ると電極層3が酸化するおそれがある。前記熱処理の条件は、保持時間を0〜6時間、特に2〜5時間とし、冷却速度を50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間とし、雰囲気を加湿したNガス等とする。
次に、得られた焼結体である素子本体に外部電極を形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサ1を得る。外部電極は、焼結体にバレル研磨、サンドブラスト等により端面研磨を施し、外部電極用塗料を焼き付けることにより形成すればよい。
内装グリーンシート11に含まれる誘電体粉末の平均粒径Raと電極前駆体層12に共材として添加した誘電体粉末の平均粒径Rbとが、Rb/Ra≦1/2となるように設定した場合、内装部と外装部との焼結挙動の差が大きくなり、焼成過程でデラミネーション等の構造欠陥が発生する。前記構造欠陥は、内装グリーンシート11の面積よりも電極前駆体層12の面積を小とし、焼成後の積層セラミックコンデンサ1において周囲に無電極領域5が形成されるようにした場合、内装部7のコーナー部から無電極領域5と外装誘電体層4との境界に沿って多く発生する。
そこで、以上のように、平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rb)を有する誘電体粉末を外装グリーンシート13に添加することで、焼結挙動の差を解消し、前記構造欠陥を低減し、歩留まりの向上を図ることができる。このとき、焼成後に外装部16となる部分に前記誘電体粉末を添加するため、積層セラミックコンデンサ1の特性には影響を及ぼさない。したがって、積層セラミックコンデンサの特性低下を招くことなく、前記歩留まり向上効果を得ることができる。特に、外装グリーンシート13に添加する誘電体粉末の平均粒径Rcが、電極前駆体層12に添加する誘電体粉末の平均粒径Rb未満であるとき、より高い効果を得ることができる。
また、本発明は、焼成後の積層セラミックコンデンサ1における誘電体層2の厚みが3μm以下であり、電極層3の厚みが1.5μm以下であり、誘電体層2の積層数が150層以上である場合、特に効果が大きい。これは、積層セラミックコンデンサ1の誘電体層2の薄層化及び多層化が進むと電極層3の構成割合が大きくなり、結果として電極層3に用いた共材の影響による歩留まり低下が著しくなるからである。
なお、前述の実施形態では、平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rb)を有する誘電体粉末を外装グリーンシート13に添加する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、内装グリーンシート11の面積よりも電極前駆体層12の面積を小とした場合、電極前駆体層12のうち外部電極と接続されない辺の周囲に内装グリーンシート11のうち電極前駆体層12が形成されていない無電極領域が形成されるが、この無電極領域と外装グリーンシート13との両方、すなわち、外装部16全体に、前記誘電体粉末を添加してもよい。外装部16全体に平均粒径Rcを有する誘電体粉末を添加することで、より高い効果が得られる。ただしこの場合、特性への影響を避ける観点から、内装グリーンシート11においては、外装部16に対応する無電極領域のみに前記誘電体粉末を添加し、内装部15に対応する電極形成領域には前記誘電体粉末を添加しないことが好ましい。
また、本発明は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品全般に適用可能であることは言うまでもない。
実験1
本実験では、平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rb)を有する誘電体粉末を外装グリーンシートへの添加したときの効果について検討した。
<サンプル1>
先ず、内装グリーンシート用塗料を準備した。原料誘電体粉末をボールミルを用いて混合、解砕し、内装グリーンシート用塗料を得た。原料誘電体粉末としては、誘電体粉末A、MgCO、MnCO、Y、V、及び(Ba,Ca)SiOを用いた。ここで用いた誘電体粉末AはBaTiO粉末であり、その平均粒径Raは0.35μmであった。
次に、内部電極ペーストを準備した。平均粒径0.20μmのNi粉末と、誘電体粉末B(共材)と、有機ビヒクルとを3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極ペーストを得た。前記Ni粉末の平均粒径は0.20μmであった。ここで、共材に用いた誘電体粉末BはBaTiO粉末であり、その平均粒径Rbは0.1μmであった。
前記内装グリーンシート用塗料を使用して、PETフィルム上に乾燥後の厚みが2.4μmとなるように内装グリーンシートを形成した。この内装グリーンシート上に、前記内部電極ペーストを使用して電極前駆体層を印刷した後、PETフィルムからシートを剥離した。
一方、外装グリーンシートを準備した。原料誘電体粉末をボールミルを用いて混合、解砕し、外装グリーンシート用塗料を得た。原料誘電体粉末としては、BaTiO(平均粒径0.35μm)、MgCO、MnCO、Y、及びV、(Ba,Ca)SiOを用いた。前記外装グリーンシート用塗料を使用してPETフィルム上に乾燥後の厚みが8μmとなるように成膜した後、PETフィルムからシートを剥離し、外装グリーンシートを得た。サンプル1では、誘電体粉末Cとして、平均粒径Rcが0.05μmであるBaTiO粉末を外装グリーンシートに添加した。誘電体粉末Cの添加量は0.01質量%とした。すなわち、前記原料誘電体粉末A(BaTiO(平均粒径0.35μm))100質量部に対し、誘電体粉末Cを0.01質量部添加した。
次に、内部電極パターンを形成した内装グリーンシートを複数積層するとともに、この積層方向の両側に外装グリーンシートを複数積層し、加圧して積層体を作製した。得られた積層体を所定サイズに切断してグリーンチップを得た後、脱バインダ処理、焼成及びアニールを行って、焼結体を得た。得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、焼結体の長手方向端面に外部電極を形成し、積層セラミックコンデンサ試料を得た。本実施例では、外装グリーンシートの種類を変えることにより、サンプル1の積層セラミックコンデンサ試料を得た。
得られた積層セラミックコンデンサの寸法は、1.0mm×0.5mm×0.5mmであり、内装部を構成する誘電体層の積層数は160であり、1層あたりの前記誘電体層の厚みは1.6μm、電極層の厚みは1.0μm、外装誘電体層の厚みは45μmであった。内装部の誘電体層の厚みは、次のように求めた。すなわち、積層セラミックコンデンサを積層方向に沿って切断し、切断面を研磨した後、研磨面を金属顕微鏡により観察し、観察した画像についてデジタル処理を行うことにより、誘電体層の平均厚みを求め、これを前記内装部の誘電体層の厚みとした。
<サンプル2〜12>
サンプル2〜7では、外装グリーンシートへの誘電体粉末Cの添加量を表1に示すように変化させ、その他はサンプル1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。サンプル8〜10では、Rb/Ra及びRcを表1に示すように変化させ、その他はサンプル4と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。また、比較例として、外装グリーンシートに誘電体粉末Cを添加せずに積層セラミックコンデンサを作製した(サンプル11)。さらに、比較例として、Rb/Ra>1/2となるように設定して積層セラミックコンデンサを作製した(サンプル12)。
<評価>
各種サンプルを100個作製したときの欠陥数を求めた。外部電極を形成する前の焼成済みの積層セラミックコンデンサ試料について図1に示すような方向でサンプルを切断し、切断面を研磨し、研磨面を顕微鏡観察したときに、デラミネーション等の構造欠陥が確認されたものを欠陥有りとした。
また、各種サンプルについて熱衝撃試験を行った。すなわち外部電極を形成した後の積層セラミックコンデンサ試料について、320℃のはんだ浴中への浸漬を行い、その後、図1に示すような方向でサンプルを切断し、切断面を研磨し、研磨面を顕微鏡観察し、クラックの有無を確認した。クラックの有無の確認は、50個のサンプルについて行った。
Figure 0004882779
表1から、通常の外装グリーンシートを用いたサンプル11では多数の構造欠陥が発生しているのに対し、共材の平均粒径Rb以下である平均粒径Rcを有する誘電体粉末Cを外装グリーンシートに添加したサンプルでは、構造欠陥の発生数が減少することが確認された。また、熱衝撃試験後にクラックも発生しなかった。特に、誘電体粉末Cの添加量を0.05質量%以上とすることで、構造欠陥を確実に抑えることができた。ただし、外装グリーンシートへの誘電体粉末Cの添加量を多くしたサンプル7では、外装グリーンシートの通気性が低下し、PETフィルムから剥離するときに外装グリーンシートに破損が生じたため、積層体の作製が不可能であった。したがって、外装グリーンシートにおける誘電体粉末Cの添加量は、0.05質量%〜15質量%とすることが好適であることがわかる。
また、サンプル9〜サンプル11の結果から明らかなように、Rb/Ra≦1/2とすることで、構造欠陥の発生が抑えられている。一方、サンプル12の結果より、Rb/Ra>1/2となるように設定している積層セラミックコンデンサにおいては、誘電体粉末Cが添加されてない外装グリーンシートを用いた場合であっても構造欠陥の発生頻度は低かった。しかしながら、Rb/Ra>1/2となるような条件では、誘電体層を薄層化及び多層化することができず、小型且つ大容量の積層セラミックコンデンサを得ることが難しい。したがって、Rb/Ra≦1/2となるように電極前駆体層中の共材を微細化し、且つ、外装グリーンシートに共材の平均粒径以下の誘電体粉末Cを添加することによって、積層セラミックコンデンサの薄層化及び多層化による小型化大容量化と構造欠陥の発生抑制とを両立可能であることが確認された。
実験2
本実験では、外装グリーンシートへ添加する誘電体粉末Cの平均粒径Rcと共材(誘電体粉末B)の平均粒径Rbとの関係について検討した。
<サンプル13,14>
電極前駆体層に共材として添加する誘電体粉末Bの平均粒径Rbと、外装グリーンシートに添加する誘電体粉末Cの平均粒径Rcを表2に示すように変化させ、その他はサンプル1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。また、得られた積層セラミックコンデンサについて、前記評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004882779
表2から明らかなように、電極前駆体層に添加した誘電体粉末Bと、外装グリーンシートに添加した誘電体粉末Cとで平均粒径を等しくしたサンプル13では、焼成過程での構造欠陥の発生は抑えられたものの、実装の際に加わる熱衝撃によりクラックが発生したものがあった。これに対し、誘電体粉末Cの平均粒径Rcを誘電体粉末Bの平均粒径Rb未満としたサンプル14では、クラックの発生が確実に抑えられた。
実験3
本実験では、外装グリーンシートへの誘電体粉末Cの添加の効果について検討した。
<サンプル15>
サンプル15では、外装グリーンシートへの誘電体粉末Cの添加量を表3に示すように設定することにより、外装グリーンシート中の誘電体粉末全体の平均粒径が0.3μmとなるように調整した。すなわち、サンプル15では、組成は同じだが粒度分布が異なる2種類の誘電体粉末を外装グリーンシートに用いた。その他はサンプル1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
<サンプル16>
サンプル16では、前記誘電体粉末Cを添加せず、予め平均粒径0.3μmのBaTiO粉末を用いて外装グリーンシートを作製した。その他はサンプル1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
各積層セラミックコンデンサについて前記評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004882779
以上の結果から、外装グリーンシート中の誘電体粉末全体の粒子サイズを小さくするのではなく、外装グリーンシートに微細な誘電体粉末を添加することで、本発明の効果を得られることが確認された。
本発明により製造される積層セラミックコンデンサの一例を示す要部断面図である。 焼成前のグリーンシート及び外装グリーンシートの積層状態の一例であり、(a)は一部分解した状態を示す要部断面図、(b)は積層体を示す要部断面図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ、2 誘電体層、3 電極層、4 外装誘電体層、5 無電極領域、6 外装部、7 内装部、11 グリーンシート、12 電極前駆体層、13 外装グリーンシート、14 積層体、15 内装部、16 外装部

Claims (5)

  1. 誘電体粉末を含む内装グリーンシートと導電材料を含む電極前駆体層とを交互に積層して内装部を形成し、当該内装部の前記積層方向両側に外装グリーンシートを積層した後、焼成することにより誘電体層と電極層とが交互に積層された積層セラミック電子部品を製造するに際し、
    前記電極前駆体層に誘電体粉末を添加し、前記内装グリーンシートに含まれる誘電体粉末の平均粒径をRa、前記電極前駆体層に添加する誘電体粉末の平均粒径をRbとしたときに、Rb/Ra≦1/2となるように設定するとともに、
    平均粒径Rc(ただし、Rc≦Rbである。)を有する誘電体粉末を前記外装グリーンシートに添加することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. Rc<Rbであることを特徴とする請求項1記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記外装グリーンシートに平均粒径Rcを有する誘電体粉末を0.05質量%〜15質量%添加することを特徴とする請求項1又は2記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 焼成後の積層セラミック電子部品において、前記誘電体層の積層数を150層以上とし、前記誘電体層の厚みを3μm以下とし、且つ、前記電極層の厚みを1.5μm以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記内装グリーンシートの面積よりも前記電極前駆体層の面積を小とし、焼成後の積層セラミック電子部品において、周囲に無電極領域が形成されるようにすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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