JP4895065B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン系難燃剤やアンチモン化合物を含有しなくても難燃性及び耐熱性に優れる硬化物を与え、しかもフィルム状に形成した場合、十分なフレキシビリティーを有するエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、最も一般的に使用されてきたエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。その他難燃剤としてはテトラブロモビスフェノールA及びそのエポキシ化物、或いはテトラブロモビスフェノールAにビスフェノールA型エポキシ樹脂を反応させた化合物などが一般的に知られている。またエポキシ樹脂の硬化剤としては酸無水物やアミン系化合物が知られているが電気・電子部品分野では耐熱性などの信頼性の面からフェノールノボラックが使用されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したような臭素を含有する化合物は、難燃性には優れているものの廃棄、焼却時に環境汚染の原因となる物質を発生させる可能性がある点が指摘されている。また難燃性助剤として使用されるアンチモン化合物も同様にその毒性が懸念されている。近年の環境保護意識の高まりからエポキシ樹脂組成物においてもハロゲンフリー、アンチモンフリーの要望が高まっている。また、フェノールノボラックによるエポキシ樹脂の硬化物は信頼性には優れているものの、その硬化物は剛直でフレキシビリティーに欠ける。近年の電気・電子部品の形態は従来の大型パッケージやガラス繊維を基材とした基板だけではなく、ポリイミドやPET(ポリエチレングリコールテレフタレート)フィルム、金属箔上にワニスの状態で塗布した後、溶剤を除去するシート状の成形物が開発されている。この様な場合使用される樹脂には十分なフレキシビリティーが要求される。また、電気・電子部品の信頼性という面からは硬化物の耐熱性が要求されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこうした実状に鑑み、難燃性、耐熱性に優れた硬化物を与え、シート状に成形しても十分なフレキシビリティーを有するエポキシ樹脂組成物を求めて鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
【0005】
すなわち本発明は
【0006】
(1)(a)エポキシ樹脂、
(b)下記式(1)
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、pは平均重合度であって5〜15の正数を表す。)
で表されGPCによる重量平均分子量が3000以上であるポリフェノール樹脂及び(c)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物。
(2)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂が下記式(2)
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4、z=5〜15、l+m=2〜200の正数を示し、m/(m+l)≧0.04である。)で表される上記(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)硬化促進剤を含有する上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)上記(1)または(3)に記載のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してなるワニス、
(5)平面状支持体の両面または片面に上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の組成物の層を有するシート、
(6)平面状支持体がポリイミドフィルムである上記(5)に記載のシート、
(7)平面状支持体が金属箔である上記(5)に記載のシート、
(6)平面状支持体が剥離フィルムである上記(5)に記載のシート、
(7)上記(1)乃至(8)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
前記式(1)で表される構造を有し、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量が3000以上であるポリフェノール樹脂の製造方法は特に限定はされない。例えば下記式(3)
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、Xは塩素原子、メトキシ基または水酸基を表す。)
で表される化合物1モルに対しフェノールを通常1.5〜10モル、好ましくは2〜8モルの割合で縮合反応(1段目縮合反応)させた後、未反応のフェノールを除去し、得られた化合物のフェノール性水酸基1当量に対して、前記式(3)におけるXが塩素原子である化合物を、水に対する溶解性が低い沸点が100℃以上の溶剤の存在下で0.01〜0.45モル、好ましくは0.05〜0.4モルの割合で縮合反応(2段目縮合反応)させ、反応終了後、系内の温度を70〜100℃に下げた後、系中に水を加え撹拌下で、溶剤中に残存する塩酸を水側に溶解せしめた後、再度100℃以上に加熱し塩酸を含む水を系外に留去することにより得ることができる。また、上記のような2段階反応ではなく、始めから前記式(3)で表される化合物1モルに対してフェノールを1.01〜1.5モル、好ましくは1.02〜1.45モル縮合反応させ反応が終了した後、過剰のフェノールを加えて反応液の粘度を下げ、水を加えて水洗を行い酸触媒を除去した後、油層からフェノールを除去することにより得ることも出来る。
【0014】
2段階反応により本発明におけるポリフェノール樹脂を得る場合、1段目の縮合反応において、Xが塩素の場合は触媒は特に必要ではないが、メトキシ基又は、水酸基の場合は酸触媒を用いる。用い得る酸触媒としては塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられるが、特にパラトルエンスルホン酸が好ましい。酸触媒の使用量としては前記式(3)で表される化合物1モルに対し通常0.001〜0.1重量部、好ましくは0.005〜0.05重量部である。
【0015】
1段目の縮合反応は無溶剤下でも溶剤の存在下でも行うことが出来る。溶剤を使用する場合、用い得る溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤の使用量としては前記式(3)で表される化合物とフェノールの合計重量に対して通常10〜300重量%、好ましくは20〜250重量%である。
【0016】
1段目の縮合反応は前記式(3)で表される化合物が完全に消失するまで行う。反応温度としては通常40〜150℃、反応時間としては通常1〜10時間である。
【0017】
縮合反応終了後、中和、水洗などにより酸触媒を除去し、次いで加熱減圧下で溶剤及び未反応のフェノールを除去する。
【0018】
こうして得られた縮合物は、ビフェニル分子とフェノール分子がメチレン結合を介して結合した構造を取り、その重量平均分子量は通常500〜1500となり、平均分子量によって異なり一概には言えないがその軟化点は通常50〜100℃程度となる。
次いで得られた縮合物と前記式(3)で表されXが塩素原子である化合物とを反応させ2段目の縮合反応を行う。
【0019】
2段目の縮合反応は生成物の分子量が大きくなるにつれ粘度も上昇するため溶剤を使用する。用い得る溶剤としては沸点が100℃以上、好ましくは100〜200℃で酸に対して不活性であり水との親和性が低く比重が水より小さいものが好ましい。具体的な例としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。溶剤は、生成物の重量に対して通常2〜200重量%、好ましくは3〜150重量%となるよう予め反応系に添加するか、適宜反応中に分割して添加する。
【0020】
反応は前記式(3)で表される化合物が完全に消失するまで行う。反応温度としては通常100〜180℃、反応時間としては通常1〜20時間である。
【0021】
尚、1段目、2段目の縮合反応とも式(3)のXが塩素原子である化合物を使用した場合、反応器の一方から窒素を吹き込み、他方から副反応物として生成する塩酸ガスをチューブなどで取り出す。取り出された塩酸は水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液中にバブリングしてトラップすることが好ましい。
【0022】
反応終了後、70〜100℃まで冷却を行う。この温度範囲において粘度が上昇し、撹拌が困難な場合は上記の溶剤の量を調節する。具体的な溶剤の量としては生成物の重量に対して10〜150重量%、好ましくは15〜100重量%である。
【0023】
系内を70〜100℃に保ち、撹拌下で温水を加える。温水の量としては生成物の重量に対し通常10〜300重量%であり、好ましくは20〜200重量%である。充分撹拌を行った後、100℃から溶剤の沸点まで昇温し分流管を用いて塩酸を含んだ水を系外に除去する。共沸により溶剤も同時に流出するが、分流管を用いて分液し、溶剤は系中に戻す。
【0024】
留去された水が中性に近くなるまで、上記の水洗工程を繰り返す。通常、必要な水洗回数は2〜10回である。水洗終了後、更に上記の溶剤か或いは別の溶剤を加えて常温での取り扱いが容易な溶液粘度に調節することも可能である。用いられる溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。溶媒は、得られた溶液中の固形分濃度が通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%となる範囲で使用する。こうして得られた溶液は、(a)及び(c)成分を加えてそのままワニスとして使用することができる。
である。
【0025】
また、1段のみの縮合反応で平均重量分子量が3000以上のポリフェノール樹脂を調製した場合も上記と同様の溶剤を用いてワニス化することが出来る。
【0026】
本発明で用いられるフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂は、ポリマー構造中にフェノール性水酸基を持つ芳香族ポリアミド樹脂で有れば良く、特に限定されない。フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂の合成方法については、例えば特開平8−143661号公報等に記載されている、水酸基を有する芳香族ジアミン及び/または芳香族ジカルボン酸を混入させて、芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分との縮重合を行うことにより製造することが出来る。
【0027】
さらに、可撓性、柔軟性、接着性を向上させるために、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂として、アミノアリール基を両末端とするフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端基にカルボキシル基を有するポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)共重合体を反応させて得られるブロック共重合体を用いることが好ましい。
ポリアミド樹脂の両末端基をアミノアリール基にするには、芳香族ジアミン成分を芳香族ジカルボン酸成分より過剰量で縮重合反応することにより、容易に達成することが出来る。
この重縮合は例えば特開平6−299133号公報等に記載されている、従来の公知の方法で行うことができる。
本発明において好ましいのは式(2)の構造で表されるブロック共重合体である。
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4、z=5〜15、l+m=2〜200の正数を示し、m/(m+l)≧0.04である。)
【0030】
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂を製造するために使用する芳香族ジアミンとしては、例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォキサイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ベンチジン、3,3’−ジメチルベンチジン、3,3’−ジメトキシベンチジン、3,3’−ジアミノビフェニル、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミン、2,2’−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3’−ビス(3−アミノフェノキシフ)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジプロピルフェニル)メタン等があるがこれらに限定されるものではない。これらは1種又は2種以上混合して用いても良い。
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂を製造するために使用するジカルボン酸類としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−、メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルフォニル二安息香酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸等があるがこれらに限定されるものではない。
【0031】
更に、芳香族ポリアミド樹脂にフェノール性水酸基を導入するために使用する水酸基含有芳香族ジカルボン酸又は水酸基含有芳香族ジアミンとしては、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアニリン、2,2−ビス(3’−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,5−ジアミノベンゼン、5−ヒドロキシ−1,3−ジアミノベンゼン等を使用することが出来る。しかし、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物において(c)成分であるフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂の占める割合は(b)成分であるポリフェノール樹脂に対して通常1〜50重量%であり、より好ましくは2〜40重量%である。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用い得るエポキシ樹脂としては1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限はない。具体的にはノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール縮合型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。 これらのエポキシ樹脂は2種以上を併用することも出来る。
【0034】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤としては、式(1)で表されるポリフェノール樹脂以外に他の硬化剤を併用しても良い。併用し得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、トリフェニルメタン及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらを併用する場合、式(1)で表されるポリフェノール樹脂が全硬化剤中に占める割合としては通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0036】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
【0037】
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有する。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂組成物のワニスは、上記に説明したエポキシ樹脂、硬化剤、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂を溶剤に溶解して得られる。用いられる溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。得られたワニス中の固形分濃度は通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
【0039】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いたシートは上記のワニスをそれ自体公知のグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により平面状支持体上に乾燥後の厚さが所定の厚さ、例えば5〜100μmになるように塗布後乾燥して得られるが、どの塗工法を用いるかは基材の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。基材としては、例えばポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種高分子及び/またはその共重合体から作られるフィルム、或いは銅箔等の金属箔であり、特に好ましくは、ポリイミド又は金属箔である。また更に加熱することによりシート状の硬化物を得ることが出来る。
【0040】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
【0041】
【実施例】
次に本発明を更に実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。またGPCの測定条件は以下の通りである。
【0042】
合成例1
重量平均分子量が3000以上であるポリフェノール樹脂の合成
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら下記式(4)
【0043】
【化7】
【0044】
で表される化合物121部、フェノール188部を仕込み撹拌下で130℃まで昇温し、溶解させた。次いでパラトルエンスルホン酸0.5部を添加し、その後、生成するメタノールを分留管を用いて系外に除去しながら時間反応を行った。反応終了後メチルイソブチルケトン260部を加え3回水洗を行った後、油層からエバポレーターを用いて加熱減圧下、メチルイソブチルケトン及び未反応のフェノールを除去することにより化合物(A)168部を得た。得られた化合物(A)の軟化点は70℃、150℃における溶融粘度は0.8Pa・s、水酸基当量は203g/eqであった。またGPCを用いて重量平均分子量を測定したところ960であった。
【0045】
温度計、分留管、冷却管、撹拌器、冷却管の先端に容器内に発生した塩酸ガスを系外に追い出せるようシリコンチューブを取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、得られた化合物(A)101.5部、下記式(5)
【0046】
【化8】
【0047】
で表される化合物31.4部、プロピレングリコールモノブチルエーテル12.4部を仕込んだ。次いで、撹拌下で165℃まで昇温させ還流下で脱塩酸反応を行った。発生した塩酸ガスはシリコンチューブを通じて系外に除去した。GPC分析により反応を追跡し式(5)で表される化合物が反応開始後3時間で完全に消失したことを確認した後、更に3時間撹拌を続け反応を終了させた。系内の温度を140℃まで冷却したところでプロピレングリコールモノブチルエーテル37.1部を更に追加し溶液粘度を下げた。系内の温度を90℃まで冷却し70℃の温水を60部加え、90℃で30分撹拌した。その後165℃まで昇温し、共沸脱水により塩酸を含む水とプロピレングリコールモノブチルエーテルの一部を系外に留去した。更に分留管を用いて分液を行い塩酸を含む水は除去しプロピレングリコールモノブチルエーテルは系内に戻した。その後、同様に系内の温度を90℃まで下げ、70℃の温水60部を再び加えて水洗を行った。この水洗工程を4回行った。各水洗工程において留去された水中の塩素量を硝酸銀滴定により測定したところ、表1のような結果となった。
【0048】
表1
水洗回数 水洗水中の塩素量(ppm)
1回目 1420
2回目 230
3回目 130
4回目 40
【0049】
4回目の水洗を行った後、系中の温度を80℃まで下げ、シクロペンタノン62部を加えて希釈し前記式(1)で表されるポリフェノール樹脂の溶液232.7部を得た。得られた式(1)で表される化合物はGPCを用いて重量平均分子量を測定したところ12800であった。また、水酸基当量は245g/eqであった。この溶液中に含まれる全塩素量と溶剤を蒸発させた固形分中の塩素量とを試料燃焼装置及びイオンクロマトグラフィーを用いて測定した。その結果溶液中に含まれる全塩素量は90ppm、固形分中に含まれる全塩素量は140ppmであった。この結果から換算すると溶液の溶剤中に含まれる塩素量は20ppmと計算される。
【0050】
合成例2
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体(式(2)で示される共重合体の一例、以下BPAM)の合成
イソフタル酸19.93g(120ミリモル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル30.63g(153ミリモル)、5−ヒドロキシイソフタル酸3.64g(20ミリモル)、塩化リチウム3.9g、塩化カルシウム12.1g、N−メチル−2−ピロリドン240ml、ピリジン54mlを1リットルの4ツ口丸底フラスコの中に入れ、攪拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル74gを加えて、90℃で4時間反応させて、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミドオリゴマー体を生成させた。これに両末端にカルボキシル基を持つポリ(ブタジエンアクリロニトリル)共重合体(Hycar CTBN、BF Goodrich 製。ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)部に含有するアクリロニトリル成分が17モル%で、分子量が約3600)48gを240mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解した液を加えて、更に4時間反応させた後、室温に冷却、この反応液をメタノール20リットルに投入して本発明に使用するポリ(ブタジエンアクリロニトリル)共重合体部の含有量が50重量%であり、フェノール性水酸基を約14モル%含有する芳香族ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)ブロック共重合体を析出させた。この析出ポリマーを更にメタノールで洗浄とメタノール還流して精製した。このポリマーの固有粘度は0.85dl/g(ジメチルアセトアミド、30℃)であった。ポリマー粉末を拡散反射法により赤外スペクトルを測定したところ、1674cm-1にアミドカルボニル基を、2856−2975cm-1にブタジエン部分のC−H結合に基づく吸収を、2245cm-1にニトリル基に基づく吸収を認めた。
【0051】
実施例1
合成例1で得られたポリフェノール樹脂の溶液232.7部に合成例2で得られたフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂12.3部を添加し、完溶させ前記式(1)で表されるポリフェノール樹脂が50重量%、前記式(2)で表されるフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂が5重量%の溶液を調製した。この溶液100部に対しエポキシ樹脂として下記式(5)
【0052】
【化9】
【0053】
で表される化合物NC−3000P(日本化薬株式会社製、エポキシ当量270g/eq、軟化点58℃、q=2.5(平均値))を55部、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)0.55部を加えて本発明のワニスを得た。この様にして得たワニスをアプリケータを用いて、乾燥後の厚さが25μmになるようにポリイミドに塗布した。この試験片を150℃で3時間加熱することにより硬化物を得た。
得られたポリイミド上の硬化物はポリイミドを丸めてもひび割れすることが無く、十分なフィルム形成能を有していた。この硬化物をUL94−VTMに従って難燃性の試験を行ったところ、VTM−0をクリアすることが確認された。
【0054】
実施例2
本発明のワニスをPETフィルム上に乾燥後の厚さが100μになるように塗布し150℃で5分間加熱して溶剤を除去したところ、Bステージ状態において折り曲げてもひび割れることはなかった。これを更に150℃で3時間加熱することにより硬化せしめ、PETフィルムを除去してDMA(Differential Mechanical Analysis)によりガラス転移温度を測定したところ160℃であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、薄膜状に成形した場合、従来一般的に使用されてきたエポキシ樹脂組成物と比較して、Bステージ状態でも、硬化物でも十分なフレキシビリティーを有し、しかもその硬化物は難燃性、耐熱性に優れているため、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である。
Claims (9)
- 硬化促進剤を含有する請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してなるワニス。
- 平面状支持体の両面または片面に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物の層を有するシート。
- 平面状支持体がポリイミドフィルムである請求項5に記載のシート。
- 平面状支持体が金属箔である請求項5に記載のシート。
- 平面状支持体が剥離フィルムである請求項6に記載のシート。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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