JP4898656B2 - ポリウレタンフォームおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明はポリウレタンフォームおよびその製造方法に関し、更に詳細には、所要の物性において異なった値を発現する2つの発泡原料を使用し、異なった値の発現される2つの発泡体が一体的に混在し、かつその値の変化がポリウレタンフォームの高さ方向に沿って連続的に変化した構造となっているポリウレタンフォームおよびその製造方法に関するものである。
多様化した素材ニーズに対して、夫々異なる特性(物性)を発現する複数の素材を複合する、所謂複合材料の開発が行なわれている。殊に、例えば2つの素材がその配合割合を徐々に変動させた状態となっている、所謂傾斜材料が大きな注目を集めている。一般に傾斜材料とは、一つの材料の中で、組成や機能が連続的または段階的に変化している材料のことであり、例えば急激な温度勾配中等の過酷な熱環境による変形や破損を回避し得るように、熱伝導率、熱膨張率または耐熱性等の各物性が異なる2つの素材を用いた傾斜材料が知られている。
しかし前述の傾斜材料は、基本的にこの混合度合いが容易に調整可能または体積拡散等の手段により材料粒子が移動し得る無機系材料に限ってのことであり、一般的に有機材料においては傾斜材料は殆ど知られていなかった。一例として代表的な有機材料の1つであるポリウレタンフォームを使用した座席用のシート用パッドとして、下記の[特許文献1]に記載の発明「クッション材の製造方法」の如く、成形型内に物性の異なる2種類のポリウレタンフォームとなる2種類の発泡原料を異なる部位から夫々分けて注入し、これらから形成される異なる物性を有するポリウレタンフォームを一体的に発泡成形させて、傾斜材料的な要素を持たせるべく製造されるポリウレタンフォームが知られている。
特開2002−52550号公報
しかし、2種類の発泡原料が略同時に注入されるため工程に煩雑さはないが、注入後の発泡・硬化反応の進行過程において、一方の発泡体が他方の発泡体を覆うように制御することが必要とされる。そしてこのような制御を達成するためには、双方の発泡原料の反応速度および注入量等を緻密に調整する必要があるが、このような調整はその手順が煩雑で、かつ要因が多いため、好適な実施が困難である点と、連続的に物性が変化する好適な傾斜材料挙動を示すポリウレタンフォームとはならない点とが問題となっていた。
あった。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るポリウレタンフォームは、
泡・硬化反応の完了時に物性の数値が互いに異なる発泡体となる第1の発泡原料および第2の発泡原料から成形型で製造されるポリウレタンフォームであって、
三成分をその濃度が異なるように混合した前記第1の発泡原料および第2の発泡原料から夫々得られる発泡体が一体的に混在して、該発泡体自体が発現する物性数値が前記成形型の高さ方向に連続的に変化すると共に、前記第三成分に基づく機能の発現程度前記高さ方向に連続的に変化した構造となっていることを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、
発泡・硬化反応の完了時に物性の数値が互いに異なる発泡体となる第1の発泡原料および第2の発泡原料に、夫々濃度が異なるように設定された第三成分を予め混合し、
先に注入されて発泡・硬化反応が進行中の第1の発泡原料が存在する前記成形型内に、第2の発泡原料を注入することで、2つの発泡原料の反応進行中に発生する比重差によって、第2の発泡原料を第1の発泡原料の下側に位置させ、
前記成形型の内部で2つの発泡原料の反応を更に進行させることで、夫々の発泡原料から得られる発泡体を一体的に混在させて該発泡体自体が発現する物性の数値を成形型の高さ方向に連続的に変化させると共に、前記第三成分に基づく機能の発現程度を該高さ方向に連続的に変化させるようにしたことを特徴とする。
発明に係るポリウレタンフォームおよびその製造方法によれば、第1の発泡原料の発泡・硬化反応が進行する成形型内に、所要の物性において第1の発泡原料から得られる発泡体とは異なる値を発現する発泡体となる第2の発泡原料を注入することで、夫々違う値となる物性の発現された少なくとも2種類の発泡体が一体的に混在し、かつその物性がポリウレタンフォームの高さ方向に沿って連続的に変化して、所謂傾斜材料となっているポリウレタンフォームを製造し得る。またこのような構造を備えるポリウレタンフォームは、双方の発泡原料の反応進行中の比重差を利用することで達成されるため、製造の際に留意する条件は第2の発泡原料の注入タイミングだけであり、煩雑な調整は必要とされない。
次に本発明に係るポリウレタンフォームおよびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例においては、ポリウレタンフォームが好適に利用されるシート用パッドの場合を例に挙げると共に、連続的に変化させる所要の物性として硬度を用いた場合を説明する。実施例に係るポリウレタンフォーム10好適に使用されるシート用パッド12は、図1に示す如く、基本的に乗員が着座した直接接触する部位である前部サポート部34および後部サポート部36と、この両側に位置し、該乗員のサイドサポートにより姿勢を保持するサイドサポート部38,38とから構成されている。そして前部サポート部34および後部サポート部36においては、乗員の乗り心地、ホールド性、乗り降り容易性その他各種要望等の点から、硬度が裏側ほど大きく、また表面側ほど小さく、すなわち高い柔軟性を発現するようになっている。具体的には、硬度の異なる2種類の発泡体が一体的に混在した状態となり、かつその硬度が成形型50の高さ方向、すなわちポリウレタンフォーム10の高さ方向(シート用パッド12の厚さ方向)に沿って連続的に変化する、硬度に明確な境目のない、所謂傾斜材料的な特質を備えた状態となっている。またサイドサポート部38,38は、殊に本発明とは直接的に関連がないので詳細な記載を省略する。
そしてこのような構造を備えるポリウレタンフォーム10(シート用パッド12)の製造工程は、図2に示す如く、発泡原料準備工程S1、第1の発泡原料注入工程S2、第2の発泡原料注入工程S3、反応進行工程S4および最終工程S5から構成される。ここで発泡原料準備工程S1は、製造されるシート用パッド12の外部輪郭形状に合致する内部輪郭形状を備え、その底面部52aがシート用パッド12を成形する、例えば図3に示すような成形型50内に順序をもって注入され、発泡・硬化反応完了時(以下、単に反応完了時と云う)に高い硬度を発現する発泡体となる第1の発泡原料M1と、発泡・硬化反応(以下、単に反応と云う)完了時に低い硬度を発現する発泡体となる第2の発泡原料M2とを、夫々の硬度および比重を考慮してポリオールおよびイソシアネートと、各副原料とを適宜選択し、反応・硬化しない状態として準備する工程である。
ここで第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2としては、反応完了時における発泡体の比重が相互に異なるものが準備されている。本実施例においては、一方の第1の発泡原料M1は、反応完了時に得られる発泡体が高い硬度を発現するだけでなく、他方の第2の発泡原料M2の反応完了時に得られる発泡体に較べて小さい比重となるように設定されている。なお本実施例では、成形型50への注入で第1の発泡原料M1が上側に位置し、第2の発泡原料M2が下側に位置するように設定されているため、第1の発泡原料M1と第2の発泡原料M2とから得られる夫々の発泡体の比重は、前述の関係としているが、第1の発泡原料M1から得られる発泡体が、第2の発泡原料M2から得られる発泡体より比重が大きくなるように設定することも可能である。また一般的な発泡体の代表であるポリウレタンフォームの場合、その発泡原料は殆ど比重(密度)が1.05g/cm程度であり、比重の低下は、反応の進行に伴う発泡によってなされている。
第1の発泡原料注入工程S2は、第1の発泡原料M1を反応可能状態とすると共に、速やかに成形型50内に注入する工程である。そして第2の発泡原料注入工程S3は、先に注入して反応が進行して徐々に比重が軽くなりつつある第1の発泡原料M1に対して、その上から第2の発泡原料M2を注入する工程であり、反応進行工程S4は、成形型50内に注入された第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2が、発泡・硬化反応を進行させてその反応進行中に発生する比重差によって、徐々に一体的に混在した状態になっていき、最終的に成形型50内部が第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2から得られる発泡体で充填させる工程である。なお下型52に対する上型53の固定、すなわち成形型50の閉成は、第2の発泡原料注入工程S3の完了直後になされる。
ここでこの2つの発泡原料M1およびM2の成形型50に対する注入から始まる反応の度合いおよび比重の状態の経時的な変動は、図4の如きグラフで表すことができる。すなわち、基本的に反応の度合いで表される反応性は第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2で差はなく、時間の経過と共に双方とも反応が進行し、この反応に伴う発泡によって2つの発泡原料M1およびM2共に比重が小さくなっている。そして第1の発泡原料M1と、第2の発泡原料M2とにおいては、注入開始の時点がずれているため、先に注入される第1の発泡原料M1の方が先に反応を開始して、第2の発泡原料M2に先んじて反応が進行し、これに伴って比重も小さくなる。また比重については、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2については、その配合に違いがあり、第1の発泡原料M1からは比重が小さい発泡体が得られ、第2の発泡原料M2からは比重が大きい発泡体が得られる。すなわち反応の進行に伴って、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の比重差はaからbへと大きくなり、最終的には第1の発泡原料M1から得られる発泡体の比重と、第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重との差に収束する。この反応途中の比重差によって、第2の発泡原料M2の第1の発泡原料M1下側への配置が可能となっている。なお第1の発泡原料M1から得られる発泡体の比重については30〜70kg/m、第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重については40〜100kg/m程度として、その比重差を少なくとも10kg/mとすることが好ましい。また図4においては、SGは第1の発泡原料M1から得られる発泡体の比重を、SGは第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重を、IJは第1の発泡原料M1注入開始時点を、IJは第2の発泡原料M2注入開始時点を夫々示し、またSGは発泡原料発泡前の比重を表している。
このような挙動を示す第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2を成形型50内に注入すると、第1の発泡原料M1の上から注入された第2の発泡原料M2が、その比重差故に反応途中の第1の発泡原料M1を通り抜けて下側の成形型50の底面部52aに沈降することになる。そして成形型50内で、第2の発泡原料M2は常に第1の発泡原料M1の下、すなわち底面部52a側に位置することになる。そしてその後、時間の経過と共に第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の双方の反応が進行し、これに伴ってその体積が増大し続けることになる。このとき、第1の発泡原料M1の下方に位置する第2の発泡原料M2は、その体積増大に係る力によって第1の発泡原料M1内に下方から徐々に入り込む(浸透する)ことになる。
ところでこの時の反応の度合いは、発泡原料の粘度としても捉えることが可能であり、成形型50内に注入された第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2は、時間の経過と共にその粘度が上昇している。そしてこの第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の双方の粘度を勘案した数値は、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の混合に係る容易性を示す指標として利用し得る。なおこの第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の混合に係る容易性を示す指標は、本実施例においては以後、相対粘度Rと呼称する。
そしてこの相対粘度Rは、図5に示す如く、反応の進行に伴ってほぼ直線的に増加する。すなわち第2の発泡原料M2の第1の発泡原料M1に対する浸透は、その反応の進行に伴って増加する粘度(粘度相対R)によって経時的に困難となり、徐々に抑制されることになる。その結果、成形型50において、その底面部52aでは第2の発泡原料M2が全体を占めているが、上に向かうに従って、第1の発泡原料M1の存在量が増加する状態、すなわち成形型50(ポリウレタンフォーム10)における各高さ位置において、第1の発泡原料M1と第2の発泡原料M2との存在割合が夫々異なった状態となっている。なお図5においては、IJは第1の発泡原料M1注入開始時点を、IJは第2の発泡原料M2注入開始時点を夫々示している。
そしてこのような状態となって成形型50内に存在する第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2は、その反応完了と共に発泡体となる。すなわち成形型50の底面部52aにおいては第2の発泡原料M2が反応した硬度の低い発泡体だけが存在し、上方に行くほど第1の発泡原料M1が反応した硬度の高い発泡体の存在割合が増加して、最終的には発泡原料M1が反応した硬度の高い発泡体だけとなった構造を備えたシート用パッド12を形成する。またこのような構成となるポリウレタンフォーム10(シート用パッド12)の製造においては、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の注入のタイミング、比重の差および硬度の差等の諸条件の適正化が必要となるが、本実施例においては、後に注入される第2の発泡原料M2の注入時点は好適には、第1の発泡原料M1が注入後、反応を開始して発泡が始まって比重差が発現し易くなる、所謂クリームタイム経過後で、樹脂化反応が進み粘度増加が顕著に進む以前、具体的には5秒前後の経過後から、10〜20秒に達するまでの間に設定される。このように第2の発泡原料M2の注入タイミングだけを調整することで、双方の発泡原料M1およびM2の反応進行中の比重差を利用して、本発明に係る硬度差が厚さ方向に連続的に変化したポリウレタンフォーム10を容易に製造し得る。また硬度については、ポリウレタンフォーム10の高さ(シート用パッド12の厚さ)に対して直線的、すなわち比例的に変化させたり、または曲線的に、すなわち等差または等比級数的変化させたりするように設定することも可能である。なお硬度の連続的な変化の度合い、すなわち単位厚さ当たりの硬度の変化量は、双方の発泡原料M1およびM2の反応性(反応速度)、得られる発泡体の比重の設定および注入量等を変化させることでも制御可能である。
この他、発泡原料の発泡倍率等も考慮すべき要素であるが、基本的に注入された発泡原料が成形型50内における発泡予定部位に充分に拡がる程度の量および倍率であれば問題なく、これらは公知の経験的知見から導出されている。そしてここまでの工程S1〜S4を経ることで成形型50内に成形されたシート用パッド12は、最終工程S5で成形型50から脱型され、その後、公知の後処理および検査等の実施により完成品たるポリウレタンフォーム10(シート用パッド12)とされる。
なお本発明におけるポリウレタンフォームは、シート用パッドに限定されるものではなく、自動車内装材、住宅内装材または各種クッション材等の各種用途に利用可能であり、またその高さ方向に沿って連続的に変化する物性も硬度に限定されるものではなく、この他、反発弾性率またはセルの大きさ、すなわちセル径等や、これら各物性を二重、三重に併有するようにしたものも変化させる物性として採用し得る。例えば変化させる所要の物性として反発弾性率を選択した場合、加えられる力の大きさに拘わらず、常に一定の反発力を発現し得るポリウレタンフォームが製造可能となり、セル径を次第に変化させる場合、特定または一定範囲の周波数に対して好適な吸音特性を示すポリウレタンフォームが製造可能となり、tanδのピーク発現温度が夫々異なるようした場合には、広い温度域でエネルギー吸収特性が好適なスローリカバリー性を発現するポリウレタンフォームが製造可能となる。
第1の発泡原料M1または第2の発泡原料M2から夫々得られる各発泡体の物性は、ポリウレタンフォームの原料であるポリオール、イソシアネートおよびその他の各種副原料の配合組成を適宜設定することで、意図した数値に設定される。具体的に、所要の物性を硬度とした場合には(ポリマー)ポリオール、架橋剤またはイソシアネート等の種類または配合量を変化させることで、また反発弾性率とした場合にはポリオールの分子量や、イソシアネートの種類または配合量や、整泡剤によって調整される通気性を変化させることで、そしてセル径とした場合には整泡剤の種類または添加量を変化させることで、夫々の物性における値を異なる数値とし得る。
この他、反応完了後のポリウレタンフォームが発現する物性については、当該ポリウレタンフォーム自体が発現する物性だけでなく、その原料である第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2に対して、指定単位量当たりの混合量を異なる状態とした、すなわちその濃度を変えるようにした各種機能を発現する第三成分を混合している。このように調整された第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2を用いることで第三成分は、ポリウレタンフォーム10の高さ位置によって夫々異なった数値となる第1の発泡原料M1と第2の発泡原料M2との存在割合に比例して、ポリウレタンフォーム10の高さ方向に沿って連続的に変化(かつ常に一定値に向けて増大または減少)した状態となる。
双方の発泡原料M1,M2に混合される第三成分としては、制電性物質、導電性物質または超電導物質、磁性物質,抗菌物質、抗菌・防臭物質、消臭物質、形態安定・形状記憶物質、透湿・吸水物質、透湿抑制・防水物質、感温・保温・蓄熟・発熱・吸収物質、発光・蛍光物質或いは撥水・吸油物質等が挙げられ、発現させる機能に応じて適宜選択される。また形状としては、発泡原料M1,M2に混合できるものであれば何れのものでも採用可能である。例えばこの第三成分として、フェライト、カーボンまたは導電性フィラーその他の導電性物質が使用された場合には、静電気防止除去、通電または電磁遮蔽可能な、所謂電磁波シールド性がその高さ方向に沿って連続的に変化するように発現されるポリウレタンフォームや、所要の導電性がその高さ方向に沿って連続的に変化するように発現されるポリウレタンフォームが得られる。またエチレンオキサイドのように水酸基を含有する界面活性剤等の吸水性を発現する吸水物質が使用された場合には、ポリウレタンフォームが有している保水性を更に向上させ、液晶表面やCRP(プリント基板)等のデリケートな作業が必要とされる部材の表面研磨作業や、パチンコ機のパチンコ玉やコイン洗浄等に好適に使用され、かつ機能がその高さ方向に沿って連続的に変化している吸水性を発現するポリウレタンフォームが得られる。
(別の実施例)
前述の実施例においては、成形型50に先ず第1の発泡原料M1を注入した後に、その上から第2の発泡原料M2を注入する方法を述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば成形型50の底面部52a近傍(図3(b)参照)に直接的に第2の発泡原料M2の注入をなし得る注入手段を設け、ここを介して第2の発泡原料M2を成形型50内に注入するようにしてもよい。なお、この場合も第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の反応に伴う比重差によって、本発明に係るポリウレタンフォームの構造が発現されるため、第2の発泡原料M2の注入時期は、第1の発泡原料M1の比重が小さくなり始めた後、すなわち反応開始後に設定される。
(変更例)
前述の実施例にように、第1の発泡原料M1から得られる発泡体の比重および第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重を異なるものとせず、同一または近い数値関係としてポリウレタンフォーム10を製造することも可能である。この場合、経過時間と、反応の度合い(粘度)および比重との関係は、図6に示す挙動を示すが、この図から明らかな通り、第1の発泡原料M1と第2の発泡原料M2とにおいて、何れもその比重が経時的には同様に推移する(経過時間BおよびCにおける比重差bおよび比重差c参照)ため、第2の発泡原料M2が第1の発泡原料M1の下側に回り込むだけの比重差が発生している。このとき第2の発泡原料M2の注入時前後(経過時間Aにおける比重差a参照)と、第1の発泡原料M1の反応完了時前後(経過時間Dにおける比重差d参照)については、比重差が小さくなっているが、前者については反応が殆ど進行しておらず2つの発泡原料M1およびM2の流動性が高いため比重差が小さくても問題はなく、後者については殆ど硬化によって樹脂化が完了しているため比重差は関係がない状態となっているため問題はない。この場合、比重に差違を与える配合組成を考慮しなくてもよいため、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の配合設計がより容易となる利点がある。なお図6おいては、SGは第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重を、IJは第1の発泡原料M1注入開始時点を、IJは第2の発泡原料M2注入開始時点を夫々示し、またSGは発泡原料発泡前の比重を表している。
(別の変更例)
更にこれに対して、反応進行中における比重差が問題となる場合には、例えばポリオールの末端基を変更するまたは増減させる、イソシアネートの反応性を変更する或いは触媒として反応性の高いものまたは低いものを採用するといった公知の方法によって、図7に示す如く、第1の発泡原料M1の反応性を向上と、第2の発泡原料M2の反応性を低下との何れか一方または双方をなすことで、発泡に伴う経過時間に対する比重の変動量を制御して、発泡時における第1の発泡原料M1と第2の発泡原料M2との比重差をより大きく確保する方法も採用し得る。この場合、経過時間AおよびBにおける比重差aおよび比重差bは、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の反応性が同一の場合に比較して何れも拡大する。このため相対粘度Rの連続的な硬化変化の度合いの設定や、第2の発泡原料M2注入時のより早い時点での設定が可能となる。なお図7おいては、SGは第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2から得られる発泡体の比重を、IJは第1の発泡原料M1注入開始時点を、IJは第2の発泡原料M2注入開始時点を、RUは反応性の向上を、RDは反応性の低下を夫々示し、またSGは発泡原料発泡前の比重を表している。
(実験例)
以下に本発明に係る方法により製造したポリウレタンフォームについて、所要の物性を測定した実験例を示す。なお本発明は、この実験例に限定されるものではない。
(実験1:硬度が異なる発泡体となる発泡原料を使用した場合)
表1に記載する配合組成を使用して、硬度が245N/314cm、密度50kg/mの発泡体となる第1の発泡原料と、硬度が118N/314cm、密度60kg/mの発泡体となる第2の発泡原料を夫々調整(硬度および密度は、夫々表1中に併記)し、先ず第1の発泡原料を所要形状(縦400mm×横400mm×高さ80mm)の成形型内に注入し、樹脂化反応が進み粘度増加が顕著に進む以前である7秒後に第2の発泡原料を注入して、当該形状を備える直方体形状のポリウレタンフォームを製造した。そして製造されたポリウレタンフォームを成形型より脱型し、厚さ方向を20mmの間隔で切断し、切り分けられた各シート状物の全体としての硬度を測定した。なお配合に使用した各原料および硬度の測定方法は下に記す。
(使用した原料)
・ポリオールA:ポリエーテルポリオール(商品名 EL−828;旭硝子製)
・ポリオールB:ポリマーポリオール(商品名 FA−728R;三洋化成工業製)
・イソシアネート:汎用のTDI:汎用のMDI=80:20で混合したもの
・架橋剤:商品名 IR−94;三井武田ケミカル製
・触媒A:商品名 LV−33;中京油脂製
・触媒B:商品名 BL−11;エアプロダクツ製
・整泡剤:商品名 L−5309;東レダウコーニングシリコーン製
・発泡剤:水
(測定方法)
・硬度:JASO B 408に準じて測定した。
Figure 0004898656
(実験1の結果)
製造されたポリウレタンフォームのから切断された各シート状物の硬度(単位:N/314cm)を測定した。その結果、その数値は、ポリウレタンフォームの上面から下面に向かって、245、192、151、118と、その硬度が徐々に小さくなっていることが確認された。
(実験2:反発弾性率が異なる発泡体となる発泡原料を使用した場合)
表2に記載する配合組成を使用して、反発弾性率65%、密度50kg/mの発泡体となる第1の発泡原料と、反発弾性率45%、密度60kg/mの発泡体となる第2の発泡原料を夫々調整(反発弾性率および密度は、夫々表2中に併記)し、先ず第1の発泡原料を所要形状(縦400mm×横400mm×高さ80mm)の成形型内に注入し、樹脂化反応が進み粘度増加が顕著に進む以前である7秒後に第2の発泡原料を注入して、当該形状を備える直方体形状のポリウレタンフォームを製造した。そして製造されたポリウレタンフォームを成形型より脱型し、厚さ方向を20mmの間隔で切断し、切り分けられた各シート状物の全体としての反発弾性率を測定した。なお配合に使用した各原料および反発弾性率の測定方法は下に記す。
(使用した原料)
・ポリオールAおよびB:実験1と同じ
・ポリオールC:ポリエーテルポリオール(商品名 IT−34;三井武田ケミカル製)
・イソシアネート:汎用のMDI
・架橋剤:ジエタノールアミン
・触媒AおよびB:実験1と同じ
・整泡剤:商品名 SZ−1313;東レダウコーニングシリコーン製
・発泡剤:水
(測定方法)
・反発弾性率:JASO B 408に準じて測定した。
Figure 0004898656
(実験2の結果)
製造されたポリウレタンフォームから切断された各シート状物の反発弾性率(%)を測定した。その結果、その数値は、ポリウレタンフォームの上面から下面に向かって、65、58、51、45と、その反発弾性率が徐々に小さくなっていることが確認された。
材料の物性や、特性が材料内部で予め設計された勾配をもって、連続的に変化し得る傾斜的な性質を発現するポリウレタンフォームおよびその製造方法は、ポリウレタンフォームが使用される各物品全てについて広く適用が可能である。
本発明の好適な実施例に係るポリウレタンフォーム(シート用パッド)の内部構造を示す縦断正面図である。 実施例に係るポリウレタンフォーム(シート用パッド)を好適に製造する工程の一例を示す工程図である。 一般的なシート用パッドを成形する成形型の概略図であって、(a)は下型を平面状態で示す図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。 実施例に係るポリウレタンフォーム(シート用パッド)の製造時の反応の度合いおよび比重差の経時的な変化を示すグラフ図である。 実施例に係るポリウレタンフォーム(シート用パッド)をなす第1の発泡原料および第2の発泡原料の粘度の変化を概略的に示すグラフ図である。 変更例に係るポリウレタンフォームの製造時の反応の度合いおよび比重差の経時的な変化を示すグラフ図である。 別の変更例に係るポリウレタンフォームの製造時の反応の度合いおよび比重差の経時的な変化を示すグラフ図である。
符号の説明
10 ポリウレタンフォーム
12 シート用パッド
12a 表面
34 前部サポート部
36 後部サポート部
38 サイドサポート部
52a 底面部
50 成形型
M1 第1の発泡原料
M2 第2の発泡原料

Claims (7)

  1. 泡・硬化反応の完了時に物性の数値が互いに異なる発泡体となる第1の発泡原料(M1)および第2の発泡原料(M2)から成形型(50)で製造されるポリウレタンフォームであって、
    三成分をその濃度が異なるように混合した前記第1の発泡原料(M1)および第2の発泡原料(M2)から夫々得られる発泡体が一体的に混在して、該発泡体自体が発現する物性数値が前記成形型(50)の高さ方向に連続的に変化すると共に、前記第三成分に基づく機能の発現程度前記高さ方向に連続的に変化した構造となっている
    ことを特徴とするポリウレタンフォーム。
  2. 前記物性として、硬度、反発弾性率または/およびセル径が選択されている請求項1記載のポリウレタンフォーム。
  3. 乗員が着座して直接接触する前部サポート部(34)および後部サポート部(36)と、この両側に位置し、該乗員のサイドサポートにより姿勢を保持するサイドサポート部(38,38)とから構成されるシート用パッド(12)をなし、
    なくとも該前部サポート部(34)または後部サポート部(36)をなす部分は、その一部または全体に硬度の異なる2種類の発泡体が一体的に混在し前記シート用パッド(12)の表面(12a)側の硬度が低くなるよう、該シート用パッド(12)の厚さ方向となる前記高さ方向度が連続的に変化している請求項1記載のポリウレタンフォーム。
  4. 発泡・硬化反応の完了時に物性の数値が互いに異なる発泡体となる第1の発泡原料(M1)および第2の発泡原料(M2)に、夫々濃度が異なるように設定された第三成分を予め混合し、
    先に注入されて発泡・硬化反応が進行中の第1の発泡原料(M1)が存在する前記成形型(50)内に、第2の発泡原料(M2)を注入することで、2つの発泡原料(M1,M2)の反応進行中に発生する比重差によって、第2の発泡原料(M2)を第1の発泡原料(M1)の下側に位置させ、
    前記成形型(50)の内部で2つの発泡原料(M1,M2)の反応を更に進行させることで、夫々の発泡原料(M1,M2)から得られる発泡体を一体的に混在させて該発泡体自体が発現する物性の数値を成形型(50)の高さ方向に連続的に変化させると共に、前記第三成分に基づく機能の発現程度を該高さ方向に連続的に変化させるようにした
    ことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記第2の発泡原料(M2)は、前記成形型(50)に先に注入されて発泡・硬化反応の進行中の第1の発泡原料(M1)の上から注入される請求項4記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記第1の発泡原料(M1)は、第2の発泡原料(M2)よりもその反応性が低く設定されている請求項4または5記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 乗員が着座して直接接触する前部サポート部(34)および後部サポート部(36)と、この両側に位置し、該乗員のサイドサポートにより姿勢を保持するサイドサポート部(38,38)とから構成されるシート用パッド(12)の外部輪郭形状に合致する内部輪郭形状を備え、その底面部(52a)がシート用パッド(12)の表面(12a)を形成する成形型(50)が使用され、前記第1の発泡原料(M1)として高い硬度を発現する発泡体となる原料が使用されると共に、第2の発泡原料(M2)として該第1の発泡原料(M1)から得られる発泡体より低い硬度を発現する発泡体となる原料が使用され、その硬度シート用パッド(12)の厚さ方向となる前記高さ方向に連続的に変化させて、該シート用パッド(12)の表面(12a)側の硬度が低くなるよう形成した請求項4〜6の何れか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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