JP4901182B2 - エアバッグ装置のカバー - Google Patents

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本発明は、収納されたエアバッグを覆うエアバッグ装置のカバーに関する。
従来、自動車のインストルメントパネルに配置される助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、箱状をなすリテーナを備え、このリテーナの内側に、折り畳まれたエアバッグと、このエアバッグを膨張させるガスを噴射するインフレータとを収納しているとともに、リテーナ上側の開口部は、インストルメントパネルに沿って取り付けられるカバー体により覆われている。そして、このカバー体には、平面略H字状や平面略C字状などの破断可能なテアラインが形成され、このテアラインに囲まれた部分が扉予定部として区画形成されている。そして、自動車の衝突時には、インフレータからガスを噴射してエアバッグを膨張させ、このエアバッグの膨張の圧力によりテアラインを破断してドア部を形成するとともに、テアラインを形成していない部分をヒンジとしてドア部に展開させて突出口を形成し、この突出口からエアバッグを膨張させ、乗員に加わる衝撃を緩和するようになっている。
このようなカバー体について、外観の向上などを図り、カバー体をインストルメントパネルと一体的に形成したいわゆるシームレスインパネが知られている。そして、このようなシームレスインパネについて、インストルメントパネルの裏面側に、樹脂成形品の取付ブラケットを溶着した構成が知られている。この取付ブラケットは、支持壁と、展開するドア部に溶着されるドアフラップと、これら支持壁とドアフラップとを連結するヒンジ部とが一体に形成されている。さらに、ヒンジ部は、インストルメントパネルの裏面側に形成したテアラインを跨ぐようにして、弧状に湾曲して形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−71924号公報(第4−5頁、図4)
ここで、インストルメントパネルは、常時上側からの押圧力に耐える必要がある。一方、エアバッグ装置の作動時には、インストルメントパネルに設けたテアラインに沿って容易に破断するとともに、ドアフラップを所望の方向に転回させるため、ヒンジ部が柔軟に変形する必要がある。そのため、インストルメントパネル及び取付ブラケットの材料の選定や、テアラインやヒンジ部の形状及び寸法などの調整が容易でなく、製造コストが上昇する問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の特性を容易に実現できるエアバッグ装置のカバーを提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグ装置のカバーは、収納されたエアバッグの膨出側を覆うとともに、このエアバッグの膨出時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバーであって、前記エアバッグの膨出側に配置された扉予定部と、この扉予定部を囲む外郭部と、これら扉予定部と外郭部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で展開可能な扉部を形成する扉予定線部と、前記膨出側の反対側に向かって前記扉予定線部から離間し、前記扉予定部と前記外郭部とを連結する変形可能なヒンジ部と、このヒンジ部の前記扉予定線部の前記膨出側の反対側に対向する中間位置を支持する支持部とを具備し、前記外郭部は、前記エアバッグの膨出側の反対側に突設された取付片部を備え、前記支持部は、前記ヒンジ部から、前記エアバッグの膨出側の反対側に突設され、前記ヒンジ部と前記取付片部との間に破断可能に連結されて前記ヒンジ部を支持するものである。
そして、この構成では、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力により、扉予定線部の一部あるいは全部が破断などして扉予定部の一部あるいは全部が外郭部から切り離され、扉部が形成されるとともに、扉部はヒンジ部などが支点となって回動し、エアバッグの突出口が形成される。ヒンジ部は、膨出側の反対側に向かって扉予定線部から離間しているため、低温時などにも扉部が容易に円滑に回動する。さらに、ヒンジ部は、支持部により中間位置が支持されるため、大きな温度変化があり、あるいは、膨出側から力が加わった場合などにも、扉予定部の変位が抑制され、扉予定線部に沿った変形が抑制されて、外観が向上する。このため、ヒンジ部に近接する扉予定線部の近傍部分について、より柔軟性を付与することが可能になり、薄肉化や材料の選択の自由度が向上が可能になる
さらに、支持部は、ヒンジ部から、エアバッグの膨出側の反対側に突設されて前記ヒンジ部を支持するため、膨出側から加わる力を効果的に受け止め、外観が向上する。
さらに、外郭部は、エアバッグの膨出側の反対側に突設された取付片部を備え、支持部は、ヒンジ部と前記取付片部との間に破断可能に連結されたため、ヒンジ部を支持するとともにエアバッグの膨出時には支持を開放する支持部を簡略な構成で実現できる
請求項記載のエアバッグ装置のカバーは、請求項1記載のエアバッグ装置のカバーにおいて、エアバッグの膨出側に配置されたアウタ扉予定部、このアウタ扉予定部を囲むアウタ外郭部、及び、これら扉予定部とアウタ外郭部とを区画する扉予定線部を備えたアウタ部と、前記アウタ扉予定部に接合されて扉予定部を構成するインナ扉予定部、前記アウタ外郭部に接合されて外郭部を構成するインナ外郭部、前記インナ扉予定部と前記インナ外郭部とを連結するヒンジ部、及び、このヒンジ部の中間位置から突設された支持部を備えたインナ部とを具備するものである。
そして、この構成では、ヒンジ部を備えたインナ部と、扉予定線部を備えたアウタ部とを別体とすることにより、アウタ部は柔軟に変形する特性を備える必要がなく、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッグ装置以外の部材と一体に形成して、外観の向上が容易になる。また、支持部をヒンジ部と一体に形成することにより、構成が簡略化され製造コストが低減される。
本発明のエアバッグ装置のカバーによれば、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力により、扉予定線部の一部あるいは全部が破断などして扉予定部の一部あるいは全部が外郭部から切り離され、扉部が形成されるとともに、扉部はヒンジ部などが支点となって回動し、エアバッグの突出口を形成できる。ヒンジ部は、膨出側の反対側に向かって扉予定線部から離間しているため、低温時などにも扉部が容易に円滑に回動させることができる。さらに、ヒンジ部は、支持部により中間位置が支持されるため、大きな温度変化があり、あるいは、膨出側から力が加わった場合などにも、扉予定部の変位を抑制し、扉予定線部に沿った変形を抑制して、外観を向上できる。このため、ヒンジ部に近接する扉予定線部の近傍部分について、より柔軟性を付与することが可能になり、薄肉化や材料の選択の自由度の向上を実現できる。
以下、本発明のエアバッグ装置のカバーの一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置1は、自動車のインストルメントパネル部3に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置1を構成するものである。そして、インストルメントパネル部3は、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり設けられ、このインストルメントパネル部3の上方には、フロントウィンドウガラスが位置している。そして、このインストルメントパネル部3の内部には、助手席の乗員に対向して、エアバッグ装置1が設置されている。そして、このエアバッグ装置1は、被取付部材でありリテーナとも呼ばれるケース体4と、このケース体4の下部のリアクションキャニスタ内に収納された図示しないインフレータと、ケース体4の上部に折り畳んで収納されたエアバッグ6と、このケース体4の上部の開口部を覆うカバー11とを備えている。そして、このエアバッグ装置1は、ケース体4のリアクションキャニスタをブラケットを介して車体のリインフォースに固定して、車体に取り付けられている。また、ケース体4の上部とリアクションキャニスタとの間は、上下に連通するガス噴出口を設けたミッドリテーナで区画されている。さらに、ケース体4の上部の前面及び後面には、被取付部として断面略C字状などのフック4aが取り付けられている。また、インフレータは、燃焼タイプ(パイロタイプ)、あるいはガスを圧縮して貯留するストアードタイプなど、各種のインフレータが用いられる。
そして、このエアバッグ装置1を備えた自動車が衝突などすると、インフレータから供給されるガスによりエアバッグ6が膨出し、この膨出する圧力により、カバー11を破断して図5に示す突出口12を形成し、膨出側である所定方向としての上方Aに向かってエアバッグ6が突出し、乗員の前方に膨張展開する。なお、以下、エアバッグ6の膨出側である所定方向を上方Aあるいは表面側とし、膨出側の反対側を下方Bあるいは裏面側として説明する。また、このエアバッグ装置1を自動車に取り付けた状態における前後方向及び両側方向を、前後方向及び両側方向として説明するが、エアバッグ装置1の取付状態は、この構成に限られず、例えば、膨出側が後側上方あるいは後方に向かう状態で取り付けることもできる。
そして、カバー11は、図1ないし図4に示すように、いわゆるインストルメントパネルを構成するアウタ部21と、このアウタ部21の裏面側に振動溶着などで取り付けられたインナ部22とを備え、インストルメントパネル部3に一体的に構成されるいわゆるシームレスリッドあるいはシームレスインパネと呼ばれる部材を構成している。
そして、アウタ部21は、アウター、表皮パネル、アウタパネル部、パネル体、リッドアウターなどととも呼ばれるもので、インストルメントパネル部3の表面側を一体的に覆って外部に露出し、すなわち、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり略板状に設けられている。そして、このアウタ部21は、熱可塑性の樹脂製で、例えば、ポリプロピレン樹脂による射出成形品で、いわば硬質の樹脂にて形成されている。なお、アウタ部21を構成する樹脂は、硬質な樹脂が好適で、ポリプロピレンの他、例えば、塩化ビニル、ABS、変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)、ポリカーボネート、あるいはこれらを組み合わせた複合樹脂などが使用できる。この複合樹脂としては、例えば、ポリカーボネートとABSの複合樹脂などを用いることができる。また、当該分野または関連分野にて通常使用される樹脂に利用される複合化技術、例えば、タルク、ウィスカー、チタンホワイトなど物性や色調を調整するための種々の添加剤を加えることもできる。また、アウタ部21の表面には、必要に応じて好ましい外観を得るための艶消しシボ加工が施されている。
そして、このアウタ部21の裏面側には、ケース体4の上部の開口部に略対向して、扉予定線部としての弱部であるテアライン24が形成され、非展開部であるアウタ外郭部25と、このアウタ外郭部25に囲まれた前後一対の平面長方形状のアウタ扉予定部26,26が区画形成されている。そして、このアウタ扉予定部26,26が、通常時に折り畳んで収納されたエアバッグ6の膨出側を覆っている。そして、テアライン24は、テア、テア溝、破断予定部、破断予定線、開裂予定溝あるいは破断部などとも呼ばれる破断可能及び変形容易な弱部であり、本実施の形態では、中央部を両側に延びる中央テアライン24aと、外郭を構成する外郭テアライン24bとを有した略「日」の字状で、閉ループ状である四角形枠状のテアラインを組み合わせた構成になっている。また、中央テアライン24aは、外郭テアライン24bよりも厚さ寸法が小さく、外郭テアライン24bよりも容易にすなわち迅速に破断するようになっている。また、このテアライン24は、アウタ部21の成形後に、射出成形により平坦に形成された平坦部分にフライス刃などの回転刃により彫刻して後加工した切削溝として形成されているが、このテアライン24は射出成形時に成形することもできる。
一方、インナ部22は、インナー、バッキング、バッキング部材、あるいはリッドインナーなどとも呼ばれるもので、アウタ部21を構成する材料よりも軟質の材料にて形成された軟質樹脂製で、アウタ扉予定部26を合わせた形状よりも大きい平面形状を有し、テアライン24の内側及び外側に位置してアウタ部21に溶着され、すなわち、アウタ部21の裏面のアウタ扉予定部26に結合されて扉予定部Cを形成するとともに、このアウタ扉予定部26の周囲のアウタ外郭部25に結合されて外郭部Dを形成している。そして、このインナ部22は、エラストマー系の樹脂で形成され、例えば、TPO樹脂(サーモプラスチックオレフィン 住友化学株式会社製、商品名 スミフレックスTPE)の射出成形品である。なお、インナ部22の材質としては、TPO樹脂の他にも、TPU(ウレタン系)、TPE(ポリエステル系)、SES、SEBS(スチレン系)等の略称で呼ばれる軟質の各種エラストマー樹脂が適用可能である。
そして、このインナ部22は、アウタ部21のアウタ外郭部25の裏面側に固着された四角板枠状のインナ外郭部31と、このインナ外郭部31の内周側の端部から下方に突設された四角筒状の取付片部32と、インナ外郭部31の内周側に位置して各アウタ扉予定部26,26の裏面側に固着された四角板状のインナ扉予定部33,33と、これらインナ扉予定部33,33をインナ外郭部31に連結する複数のヒンジ部34と、各ヒンジ部34と取付片部32とを連結する支持部35とが一体に形成されている。また、各アウタ扉予定部26,26同士の間、及び各アウタ扉予定部26,26の両端の短辺の部分に沿って、すなわち、外郭テアライン24bの短辺と中央テアライン24aに対向する位置に沿って、小さい幅の切り溝状あるいは凹溝状の切断部38が平面略H字形に形成されている。
また、各インナ扉予定部33は、各扉予定部26よりも若干面積が小さく、図3に示すように、中央テアライン24aに沿った位置から、取付片部32から若干離間した位置まで形成されている。
そして、インナ外郭部31及び各インナ扉予定部33の接合面すなわち上面には、図示しない複数の溶着リブが形成され、振動溶着機を用いた振動溶着によりこれら溶着リブが溶融し、インナ外郭部31がアウタ外郭部25に溶着して接合され、インナ扉予定部33,33がアウタ扉予定部26,26に溶着して接合されている。
また、取付片部32は、立ち壁、あるいはリテーナ取付用縦壁とも呼びうるもので、アウタ部21の外郭テアライン24bのほぼ直下に沿って、すなわち、外郭テアライン24bの位置に内周面を沿わせるようにして、いわば突出口12に沿った四角筒状に形成されている。また、取付片部32の上端部は、インナ外郭部31はアウタ外郭部25に当接せず、若干の間隙が設けられた棚部32aとなっている。そして、この取付片部32の長手となる前後に対向する面部には、それぞれ取付部であり四角状の角孔である取付孔39が複数形成され、これら取付孔39に、ケース体4に設けたフック4aがそれぞれ係止され、カバー11とケース体4とが連結されている。また、取付片部32の前後の面部には、四角状の角孔である開口部41が形成されている。各開口部41は、トンネル部とも呼び得るもので、各取付孔39の上方Aに離間して位置し、インナ外郭部31を切り欠いて上方Aに連通するように形成されている。なお、取付片部32の前後の面部には、取付孔39と開口部41との間に位置し、外周側に突出する補強用のビード部を一体に形成することもできる。このビード部は、開口部41の下方Bの端部に沿って、長手方向の全長にわたって形成することができる。
さらに、各ヒンジ部34は、外郭部Dと扉予定部Cとを変形可能に連結するものであり、一部のテアライン24に対向する部位に沿って、本実施の形態では、前後のテアライン24に対向する部位に沿って、これらテアライン24を跨ぎ、開口部41を介して、インナ外郭部31とインナ扉予定部33とを可撓的に連結している。そして、このヒンジ部34は、一端部がインナ扉予定部33の端部の角部に連結され、他端部がインナ外郭部31の端部の角部に連結され、下方Bすなわち収納されたエアバッグ6側に膨出する底部34aを平板状とした断面略コの字状の連結部となっている。
さらに、各支持部35は、展開制御用リブとも呼び得るもので、各ヒンジ部34の中間位置すなわち外郭部Dのインナ外郭部31と扉予定部Cのインナ扉予定部33とに連結された点同士の間の中間位置と、外郭部Dを構成する取付片部32とを連結するリブ状で、本実施の形態では、各ヒンジ部34の底部34aの長手方向の略中央部と、取付片部32の開口部41に臨む部分の上面とを連結している。すなわち、この支持部35は、取付片部32より厚さ寸法の小さい垂直な板状で、取付片部32の扉予定部Cの面に沿って形成され、言い換えれば、各ヒンジ部34の下面から下方に垂直に突設されている。また、このヒンジ部34は、垂直な上方からの力に対しては、座屈しにくく形状を保持するが、エアバッグ6の展開時に上方に向かう力などが加わった際は、適宜変形及び破断し、展開時の扉軌跡制御を行うようになっている。
すなわち、この支持部35を設けたことにより、ヒンジ部34と支持部35とからなる構造が、常時、ヒンジ部34の一端に設けた第1の支え点と、ヒンジ部34の他端に設けた第2の支え点と、いわばヒンジ部34内に設けた第3の支え点との3点で、インナ扉予定部33を支持するとともに、エアバッグ装置1の作動時には、この第3の支え点による支えが解除され、扉部を所望の方向に展開できるようになっている。
そして、エアバッグ装置1が作動していない状態では、図1に示すように、支持部35及びヒンジ部34が扉予定部Cを支えているため、例えば、高温から低温まで温度変化の大きい車内に長時間配置されている場合、いわゆる自動車内での冷熱サイクル下においても、扉予定部Cが熱により落ち込むように変形することが抑制され、テアライン24の部分が変形して表面に露出しあるいはテアライン24に沿って段部が生じることを抑制できる。また、カバー11の表面に乗員が手を突くなどして扉予定部Cが押圧された場合にも、第3の支え点である支持部35により扉予定部Cを安定して支えることができる。
次に、エアバッグ装置1が作動した際のカバー11の展開挙動を説明する。
図1に示す状態から、エアバッグ6にガスが流入して膨張展開すると、エアバッグ6はケース体4内で膨張し、その膨張力により、インナ部22の前後のインナ扉予定部33,33を介してアウタ部21の前後のアウタ扉予定部26,26を押し上げる。そして、この力により、図5(a)に示すように、外郭テアライン24bあるいは中央テアライン24aが破断し、さらに、アウタ部21の弱部であるテアライン24が全長にわたり破断して扉予定部26がアウタ部21の他の部分から切り離され、扉予定部26が扉部46として回動すなわち展開を開始する。なお、エアバッグ6の展開時には、中央テアライン24aは全長にわたり破断するが、外郭テアライン24bは、全長にわたって破断する場合のほか、温度条件などによっては、両側の短手側のみ破断し、ヒンジ部34に沿った部分の一部あるいは全部は、破断せずに容易に屈曲するヒンジとして機能する場合もある。
ここで、ヒンジ部34は支持部35により取付片部32に連結されているため、展開初期においては、ヒンジ部34の支持部35に連結された部分より扉部46側に位置する部分が伸びきった状態で、中央テアライン24aの付近が外側に回動する傾向が付与される。そして、扉部46が展開する勢い(エネルギー)により、図5(b)に示すように、支持部35が破断し、ヒンジ部34の変形の自由度が一気に上昇し、図5(c)及び(d)に示すように、扉部46が円滑かつ迅速に展開して突出口12を形成し、エアバッグ6を円滑に展開できる。
このように、本実施の形態によれば、自動車の助手席乗員用のエアバッグ装置1の突出口を覆うカバー11について、テアライン24を介して互いに区画された扉予定部Cと外郭部Dとに連結されたヒンジ部34について、支持部35を一体に突設して取付片部32に連結したため、この支持部35によりヒンジ部34を介して扉予定部Cを安定して支持することができる。そこで、大きな温度変化があり、あるいは、力が加わった場合に、扉予定部Cの変位を抑制し、テアライン24などに沿った変形を抑制して、外観を向上できる。特に、支持部35をヒンジ部34の下方に設けたため、エアバッグ装置1の上側から加わる力を効果的に受け止め、外観を容易に維持できる。このため、ヒンジ部34に対向するアウタ部21のテアライン24の近傍部分について、より柔軟性を付与することが可能になり、薄肉化や材料の選択の自由度の向上を実現できる。
また、この支持部35は、エアバッグ6の展開時には、展開の最初期には、展開する扉部46の支点となるヒンジ部34の変形を規制し、その後所定の段階で破断してヒンジ部34を開放し自由に変形させることにより、扉部46の展開方向すなわち展開軌跡を容易に制御することができる。例えば、展開の最初期にヒンジ部34の変形を規制することにより、扉部46の縁部が外郭部Dに乗り上げるような挙動を抑制でき、扉部46がヒンジ部34近傍を支点として回動して展開する好ましい挙動で展開させて突出口を形成し、エアバッグ6を円滑迅速に展開させることができる。
また、ヒンジ部34は、テアライン24から離間して形成されているため、低温時などにも扉部46を容易に円滑に回動させることができる。
そして、支持部35は、ヒンジ部34と取付片部32との間に薄肉に形成したため、ヒンジ部34を支持するとともにエアバッグ6の膨出時には支持を開放する支持部35を簡略な構成で実現できる。
また、ヒンジ部34を備えたインナ部22と、テアライン24を備えたアウタ部21とを別体とすることにより、アウタ部21は柔軟に変形する特性を備える必要がなく、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッグ装置1以外の部材であるインストルメントパネル部3と一体に形成して、外観の向上が容易になる。また、支持部35をヒンジ部34及び取付片部32と一体に形成することが可能になり、構成が簡略化され製造コストが低減される。また、カバー11は、それぞれ樹脂にて形成したアウタ部21とインナ部22とを接合して形成したため、容易にインストルメントパネル部3と一体的に構成できるとともに、インストルメントパネル部3に用いられる樹脂とは線膨張係数が大きく異なる金属を用いる構成に比べて、広い範囲の温度条件で熱変形を生じにくく外観の良好なカバー11を提供できる。
このようにして、自動車のエアバッグ装置1のカバー11に好適な構成を提供でき、特に、インストルメントパネルと一体的に構成される助手席乗員用のエアバッグ装置1のカバー11に好適な構成を提供できる。
さらに、各支持部35の厚さ寸法、長さ寸法、幅寸法、あるいは形状などを調整し、支持部35が破断するタイミングを調整することで、扉部46の展開軌跡すなわち展開軌跡を容易に制御できる。
例えば、図6及び図7に示すように、各支持部35について、他の部分より薄肉な弱部51を設けることにより、エアバッグ6の展開時に迅速に支持部35を破断させるなどの展開の制御が可能になる。なお、この実施の形態では、弱部51は、支持部35のヒンジ部34側の端部を外郭部D側からノッチ状に凹設して形成したため、カバー11のインナ体22を形成する金型で比較的に容易に形成できるが、金型の形状などに応じて、適宜の位置を凹設して弱部51を形成することもできる。
さらに、各支持部35は、インナ部22を形成する金型の都合などに応じて、適宜の構成とすることができる。例えば、薄板状の他、複数のリブを並立した形状とすることもできる。また、取付片部32に沿って開口部41の内側に配置する他、開口部41の扉予定部C側あるいは外郭部D側に突出して形成することもできる。
また、各支持部35が連結されるヒンジ部34の形状についても、種々の構成を採り、扉部46の展開特性を調整することができる。例えば、ヒンジ部34は、上記の断面コの字状の他、下方Bに向かう頂点を有する断面略V字状、あるいは、下方Bに向かって滑らかに湾曲した断面略U字状などに形成することができる。例えば、ヒンジ部34を略U字状に湾曲させることにより、低温などの条件で樹脂の伸びが小さい場合にも、広い温度域で扉部46を安定して円滑に展開させることができる。
また、ヒンジ部34に一端を連結した支持部35の他端は、取付片部32など他の部材に一体に連結させるほか、他の部材に当接あるいは係合などする構成とすることもできる。例えば、ヒンジ部34から突設した支持部35の先端部を、エアバッグ装置1を構成するケース体4などに当接して、ヒンジ部34を支持することもできる。
また、支持部35は、全てのヒンジ部34に対してそれぞれ形成する他、一部のヒンジ部34に対してのみ形成することもできる。例えば、後側すなわち乗員側に近い側のヒンジ部34に対してのみ支持部35を形成して、エアバッグ6の前後方向の展開特性を調整することもできる。
また、上記の実施の形態では、ヒンジ部34の下側に支持部35を配置したが、この構成に限られず、ヒンジ部34の側方あるいは上方などに支持部35を配置して、すなわち、ヒンジ部34の中間位置から側方あるいは上方に支持部35を突設してヒンジ部34を支持することもできる。
例えば、図8及び図9に示す構成では、各ヒンジ部34は、頂部34bを有する断面略V字状に形成されている。そして、インナ部22のインナ外郭部31の、ヒンジ部34を形成した部分同士の間に位置し、取付片部32の上端部である棚部32aから、それぞれ両側下方かつ扉予定部C側に向かって傾斜した一対の支持部58が突設されており、各支持部58の先端部である下端部が、各ヒンジ部34の頂部34bの両面の上面部に一体に連結されている。なお、図8には、振動溶着溶のリブ60が図示されている。
そして、このように、支持部58を、ヒンジ部34から、エアバッグ6の膨出側である上側に突設して外郭部D側に連結することにより、エアバッグ6の展開時に、支持部58が扉部46の展開に与える影響を抑制し、扉部46を所望の方向に容易に展開させることができる。
さらに、上記の各実施の形態では、ヒンジ部34は、取付片部32に形成したいわばトンネル部である開口部41を通過するように形成したが、この構成に限られず、外郭部Dを構成する取付片部32の上側の基端部あるいはこの基端部より下側の中間位置と、扉予定部C側とを連結することもできる。
また、上記の各実施の形態では、ヒンジ部34は支持部35と一体に形成したが、この構成に限られず、別体に形成して互いに接合し、あるいは、別体に形成して単に当接した状態とすることもできる。例えば、インナ部22の天板部分すなわちヒンジ部34を含むインナ外郭部31及びインナ扉予定部33と、インナ部22の支持部58を含む取付片部32とを別体で形成し、これら天板部分と取付片部32とを振動溶着などして互いに一体化することもできる。
また、上記の各実施の形態では、前後一対の扉予定部26,26を備え、前後に観音開き状に展開するいわゆるダブルフラップの構成を示したが、この構成に限られず、例えば、略四角状の破断予定部により区画形成された1個の扉予定部を備え、破断予定部の破断により形成された扉部を例えば前方向に展開させるいわゆるシングルフラップの構成とすることもできる。
そして、上記の各実施の形態では、インストルメントパネル部3の助手席乗員用のエアバッグ装置1のカバー11について説明したが、自動車の内装パネルとして他の場所に設置されるエアバッグ装置のカバーに適用することもできる。
また、破断予定部としてのテアライン24の断面は、断面略三角状の他、適宜の形状を採りうるもので、例えば、断面略台形状とすることもできる。
また、カバー11は、インストルメントパネル部3に一体に形成される構成について説明したが、この構成に限られず、インストルメントパネル部3に形成された開口部に嵌め合わされる別体のカバーとすることもできる。
さらに、カバー11は、別体に形成したアウタ部21とインナ部22とを接合した構成に限られず、これらアウタ部21とインナ部22とを一体に形成することもできる。
本発明は、例えば、自動車の助手席乗員用のエアバッグ装置のカバーに適用できる。
本発明のエアバッグ装置のカバーの一実施の形態を示す一部の断面図である。 同上カバーの下方から見た斜視図である。 同上カバーの底面図である。 同上カバーの図2の一部を拡大した斜視図である。 同上カバーの扉部の展開過程を示す説明図である。 本発明のエアバッグ装置のカバーの他の実施の形態を示す一部の断面図である。 同上カバーの図6の一部を拡大した断面図である。 本発明のエアバッグ装置のカバーのさらに他の実施の形態を示す一部の斜視図である。 同上カバーの図8のI−I断面図である。
1 エアバッグ装置
6 エアバッグ
11 カバー
12 突出口
21 アウタ部
22 インナ部
24 扉予定線部としてのテアライン
25 アウタ外郭部
26 アウタ扉予定部
31 インナ外郭部
32 取付片部
33 インナ扉予定部
34 ヒンジ部
35 支持部
58 支持部
A 膨出側としての上方
B 反対側としての下方
C 扉予定部
D 外郭部

Claims (2)

  1. 収納されたエアバッグの膨出側を覆うとともに、このエアバッグの膨出時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバーであって、
    前記エアバッグの膨出側に配置された扉予定部と、
    この扉予定部を囲む外郭部と、
    これら扉予定部と外郭部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で展開可能な扉部を形成する扉予定線部と、
    前記膨出側の反対側に向かって前記扉予定線部から離間し、前記扉予定部と前記外郭部とを連結する変形可能なヒンジ部と、
    このヒンジ部の前記扉予定線部の前記膨出側の反対側に対向する中間位置を支持する支持部とを具備し、
    前記外郭部は、前記エアバッグの膨出側の反対側に突設された取付片部を備え、
    前記支持部は、前記ヒンジ部から、前記エアバッグの膨出側の反対側に突設され、前記ヒンジ部と前記取付片部との間に破断可能に連結されて前記ヒンジ部を支持する
    ことを特徴とするエアバッグ装置のカバー。
  2. エアバッグの膨出側に配置されたアウタ扉予定部、このアウタ扉予定部を囲むアウタ外郭部、及び、これら扉予定部とアウタ外郭部とを区画する扉予定線部を備えたアウタ部と、
    前記アウタ扉予定部に接合されて扉予定部を構成するインナ扉予定部、前記アウタ外郭部に接合されて外郭部を構成するインナ外郭部、前記インナ扉予定部と前記インナ外郭部とを連結するヒンジ部、及び、このヒンジ部の中間位置から突設された支持部を備えたインナ部と
    を具備することを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置のカバー。
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