JP4905936B2 - 誘導機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導機のトルク制御に関するもので、特に、複数台誘導機の一括トルク制御時の脱調状態を回避するものである。
図2は、一従来例を示すブロック図である。101、102、103、104は誘導機、2は電流検出器、3は電力変換器、4はトルク制御手段、5は磁束演算器、6は速度演算器である。
図2において、誘導機は4台しか示されていないが、複数台であれば、何台であっても良い。以下、誘導機は4台であるとして説明する。
電流検出器2は、電力変換器3につながる個々の誘導機に流れる電流の相毎の総和である総和電流iを検出する。
電圧系磁束演算器5は、総和電流iと電力変換器3に入力される電圧指令vから、誘導機磁束φを式(1)で演算する。
Figure 0004905936
ここで、R1は全誘導機の一次抵抗合成値、L2は二次自己インダクタンス合成値、Mは相互インダクタンス合成値、Lekは漏れインダクタンス合成値である。漏れインダクタンス合成値Lekは、
Figure 0004905936
で与えられる。ここで、L1は全誘導機の一次自己インダクタンス合成値である。
速度演算器6は、総和電流iと誘導機磁束φから、式(3)〜式(5)を用いて誘導機速度ωmを演算する。
Figure 0004905936
ここで、R2は全誘導機の二次抵抗合成値、FAとFBは誘導機磁束φの成分である。
式(5)で演算される誘導機速度ωmは、個々の誘導機速度の平均値となり、式(6)で示される値となる。
ωm=(ωm1+ωm2+ωm3+ωm4)/4 式(6)
ここで、ωm1は誘導機101の速度、ωm2は誘導機102の速度、ωm3は誘導機103の速度、ωm4は誘導機104の速度である。
トルク制御手段4は、運転指令NがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。運転指令NがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
電力変換器3は、電圧指令vを増幅し、負荷である誘導機101〜104に電力を供給する。
運転指令Nは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、運転指令NがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、運転指令NがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
以上の構成とすることにより、運転指令ONのときは、複数台誘導機のトータルトルクをトルク指令τ*に制御することができる。運転指令OFFにすれば、複数台誘導機を無制御状態にすることができる。
車両においては、台車制御、1車両制御が一般的であるため、複数台誘導機の一括トルク制御が多用されている。
特開平11−069895号公報
従来技術においては、以下に示す問題点がある。
車両において一括制御している一部車輪軸が空転し、例えば誘導機103の速度ωm3がωm1とωm2とωm4に比べて大きくなった場合、式(6)によれば、ωm1、ωm2、ωm3、ωm4に対する誘導機速度ωmの演算誤差が発生する。誘導機103の空転が大きく、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなれば、誘導機103が脱調状態となる。さらに、誘導機103の空転が大きくなれば、誘導機103だけでなく、誘導機101や誘導機102や誘導機104も脱調状態となる。
また、一部車輪軸の滑走が大きくなった場合も、空転時と同じく、誘導機が脱調状態になる可能性がある。
誘導機が脱調状態になると、トルク制御不能となり、最悪の場合、過電流や過電圧により、誘導機破壊、電力変換器素子破壊へとつながる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
前述の問題点を解決するために、請求項1においては、誘導機磁束φから誘導機磁束大きさφvolを演算する磁束量演算器7と、誘導機磁束大きさφvolと磁束基準値φnを入力し誤差率dφを出力する磁束誤差演算器8と、誤差率dφを積分し誤差時間Tφを出力する積分器9と、時間設定値Tnと誤差時間Tφを比較し検知信号Kを出力する比較器10と、運転指令Nと検知信号Kから制御指令NNを作成する運転論理器11を新たに追加し、運転指令Nの代わりに制御指令NNをトルク制御手段4に入力する。
請求項2〜4においては、磁束誤差演算器8の演算式を構成する。
請求項5においては、磁束指令φ*を入力とする基準値設定器12により磁束基準値φnを作成する。請求項6においては、磁束基準値φnを、磁束指令φ*と減衰率βとの積とする。
誘導機が脱調状態となる前に、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
一部車輪軸の空転、滑走の度合いにより、検知するまでの時間を変える事ができる。
磁束量演算器7と磁束誤差演算器8と積分器9と比較器10を新たに追加することにより、全誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることが検知できる。また、磁束誤差演算器8の演算内容により、一部車輪軸の空転、滑走の度合いに対して、検知するまでの時間を変える事ができる。検知した信号を運転論理器11にて処理して制御指令を作成し、トルク制御手段4に入力することにより、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図であり、7は磁束量演算器、8は磁束誤差演算器、9は積分器、10は比較器、11は運転論理器である。
磁束量演算器7は、誘導機磁束φを入力し、式(7)から誘導機磁束大きさφvolを演算する。
Figure 0004905936
磁束誤差演算器8は、誘導機磁束大きさφvolと磁束基準値φnを入力し、誤差率dφを出力する。磁束誤差演算器8内では、以下の3点を満たすような誤差率dφを誘導機磁束大きさφvolから演算する。
・dφは無次元の単位となるようにする。
・φvol=φnにてdφ=0とする。
・φvol<φnではdφ≧0とする。特に、φvol=0ではdφ>0とする。
積分器9は、誤差率dφを積分して、誤差時間Tφとする。ただし、誤差時間Tφは0以上とし、0未満は0とする。比較器10は、誤差時間Tφと時間設定値Tnを入力し、Tφ<Tnでは検知信号KをON、Tφ>Tnでは検知信号KをOFFとする。
磁束誤差演算器8、積分器9、比較器10を組み合わせることにより、磁束大きさφvolが磁束基準値φnより小さくなると、時間設定値Tnに依存した時間経過後、検知信号KがONからOFFへと切り替わる。
運転論理器11は、運転指令Nと検知信号Kの論理積を行い、制御指令NNを出力する。運転指令Nと検知信号KのどちらかがOFFであれば、制御指令NNはOFFとなる。
トルク制御手段4は、制御指令NNがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。制御指令NNがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
制御指令NNは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、制御指令NNがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、制御指令NNがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
誘導機101〜104の中で誘導機103だけが空転し、ωm1、ωm2、ωm4に対して、ωm3が大きくなったとする。式(6)により、速度演算誤差は、ωm>ωm1、ωm>ωm2、ωm>ωm4、ωm<ωm3となる。その結果、トルク指令τ*、磁束指令φ*から予定されるすべり指令ωsに対して、誘導機101、102、104の実すべりは大きくなり、誘導機103の実すべりは小さくなる。
この状態で、総和電流iを一定となるようにトルク制御手段4でトルク制御を実施すると、トータルトルクはトルク指令τ*に一致するが、個々の誘導機磁束大きさは磁束指令φ*と異なる。誘導機101、102、104の磁束大きさは、磁束指令φ*より小さくなる。誘導機103の磁束大きさは、空転の度合いによるが、空転が大きければ、磁束指令φ*より小さくなる。空転が大きければ、磁束大きさφvolは小さくなる。上記経緯で誘導機磁束大きさφvolが磁束指令φ*より小さくなることを利用し、磁束基準値φnと時間設定値Tnを用いて、検知信号Kを作成している。ここでは空転を例としたが、滑走の場合も同様である。
以上の構成とすることにより、誘導機磁束大きさφvolが磁束基準値φnより小さくなり時間設定値Tnに依存した時間が経過した後、検知信号KがOFFとなる。その結果、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
図5は、磁束基準値φnの一作成例を示す図であり、基準値設定器12にて、磁束指令φ*を基に磁束基準値φnを作成する。例えば、磁束基準値φnを、磁束指令φ*と減衰率βとの積として演算する。減衰率βは、0から1の値とする。
図5を構成することにより、誘導機磁束大きさφvolが磁束指令φ*より小さくなり減衰率βと時間設定値Tnに依存した時間が経過した後、検知信号KがOFFとなる。φn=β・φ*ならば、φvol<β・φ*より小さくなり時間設定値Tnに依存した時間が経過した後、検知信号KがOFFとなる。その結果、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、本発明は有効である。
図3は磁束誤差演算器8の一実施例を示す図であり、φvol>φnで誤差率dφを0、φvol<φnで誤差率dφを1とする。誤差率dφは積分器9に入力される。
以下、積分器9、比較器10、運転論理器11、トルク制御手段4、電力変換器3については、実施例1と同じ動作となる。
以上の構成とすることにより、φvol<φnの状態が合計時間でTn存在すると検知信号KがOFFとなる。その結果、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
ところで、積分器9の出力である誤差時間Tφを誘導機トルク制御停止状態で0にすれば、検知信号KはONとなり、再度のトルク制御開始可能となる。そのとき、同様に一部車軸の空転、滑走が大きくなれば、再度、本発明の検知が初期状態から行われ、条件を満たせば誘導機のトルク制御が停止する。
また、積分器9の出力である誤差時間Tφをφvol>φnで0にすれば、時間Tn経過以前にφvol>φnとなった時、検知は初期状態に戻る。よって、φvol<φnの状態が時間Tn継続した時に検知信号KがOFFとなる。
図4は磁束誤差演算器8の一実施例を示す図であり、演算ゲインαを用いて、式(8)にて誤差率dφを演算している。
dφ=(φn−φvol)/[(1−α)・φn] 式(8)
演算ゲインαの値により、誘導機磁束大きさφvolに対する誤差率dφのレベルが異なってくる。演算ゲインαは1未満の値とする。特に、α=0の場合、式(9)となり、φvol=0にてdφ=1となる。
dφ=(φn−φvol)/φn 式(9)
誤差率dφは積分器9に入力される。
以下、積分器9、比較器10、運転論理器11、トルク制御手段4、電力変換器3については、実施例1と同じ動作となる。
磁束誤差演算器8、積分器9、比較器10の構成により、φvolに寄与した時間で検知信号KがOFFとなる。例えば、φvol=α・φnの状態が時間Tn継続すると検知信号KがOFFとなる。また別例では、φvol=0の状態が時間Tn/(1−α)継続すると検知信号KがOFFとなる。さらに別例で、φvol≧φnの状態ならば検知信号KはOFFしない。このように、誘導機磁束大きさφvolによって、検知信号KがOFFするまでの時間は変化する。
実施例1で述べたように、空転、滑走の度合いが大きく、磁束基準値φnより誘導機磁束大きさφvolが極めて少ない状態でほぼ0であるならば、誤差率dφは大きくなり、検知信号Kは早期にOFFすることになる。逆に、空転、滑走の度合いが小さく、磁束基準値φnより誘導機磁束大きさφvolが少々少ない状態ならば、誤差率dφは小さくなり、検知信号KはなかなかOFFしない。空転、滑走の度合いにより、検知信号KがOFFするまでの時間が変化する。
以上の構成とすることにより、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。誘導機のトルク制御を停止させるまでの時間は、空転、滑走の度合いによって変化させることができる。
ところで、積分器9の出力である誤差時間Tφを誘導機トルク制御停止状態で0にすれば、検知信号KはONとなり、再度のトルク制御開始可能となる。そのとき、同様に一部車軸の空転、滑走が大きくなれば、再度、本発明の検知が初期状態から行われ、条件を満たせば誘導機のトルク制御が停止する。
また、磁束誤差演算器8の式(8)や式(9)の演算結果0以下を0に下限リミットすれば、φvol>φnであっても誤差時間Tφは減少しない。これにより、φvolがφnを境として振動していたとしても、検知信号KはそのうちにOFFとなる。逆に、磁束誤差演算器8の式(8)や式(9)の演算結果0以下を0に下限リミットしなければ、φvolがφnを境として振動しているときは、検知信号KはOFFとなり難くなる。
また、積分器9の出力である誤差時間Tφをφvol>φnで0にすれば、φvol<φnの状態が時間設定値Tnに依存した時間継続した時に検知信号KがOFFとなる。
車両のような複数台誘導機制御において、一部車輪軸の空転、滑走を検知することができる。さらに、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなることにより発生する誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
磁束誤差演算器8の演算の仕方により、一部車輪軸の空転、滑走の度合いで検知するまでの時間を変えることができる。例えば、一部車輪軸の空転、滑走の度合いが少なければ、検知するまでの時間を長くすることができる。一部車輪軸の空転、滑走の度合いが大きければ、検知するまでの時間を短くすることができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
誘導機制御を停止することにより、誘導機脱調状態が原因である過電流や過電圧による誘導機破壊、電力変換器3の素子破壊を防止することができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。 図2は、一従来例を示すブロック図である。 図3は、磁束誤差演算器の一実施例を示す図である。 図4は、磁束誤差演算器の一実施例を示す図である。 図5は、磁束基準値の一作成例を示す図である。
符号の説明
101、102、103、104 誘導機
2 電流検出器
3 電力変換器
4 トルク制御手段
5 磁束演算器
6 速度演算器
7 磁束量演算器
8 磁束誤差演算器
9 積分器
10 比較器
11 運転論理器
12 基準値設定器

i 総和電流
v 電圧指令
τ* トルク指令
φ* 磁束指令
ωm 誘導機速度
φ 誘導機磁束
N 運転指令
Φvol 誘導機磁束大きさ
Φn 磁束基準値
α 演算ゲイン
β 減衰率
dφ 誤差率
Tφ 誤差時間
Tn 時間設定値
K 検知信号
NN 制御指令

Claims (6)

  1. 複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から誘導機速度を演算する速度演算器を有し、前記総和電流と前記誘導機速度と磁束指令とトルク指令と運転指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、
    該誘導機磁束から誘導機磁束大きさを演算する磁束量演算器と、前記誘導機磁束大きさと磁束基準値を入力し誤差率を出力する磁束誤差演算器と、該誤差率を積分し誤差時間を出力する積分器と、時間設定値と該誤差時間を比較し検知信号を出力する比較器と、該運転指令と該検知信号から制御指令を作成する運転論理器を新たに追加し、前記運転指令の代わりに該制御指令を該トルク制御手段に入力することを特徴とする誘導機制御装置。
  2. 前記磁束誤差演算器において、
    前記誘導機磁束大きさφvolと前記磁束基準値φnを比較して、φvol>φnで前記誤差率を0、φvol<φnで前記誤差率を1とすることを特徴とする請求項1記載の誘導機制御装置。
  3. 前記磁束誤差演算器において、
    前記誘導機磁束大きさφvolと前記磁束基準値φnから前記誤差率dφを
    dφ=(φn−φvol)/φn
    で演算することを特徴とする請求項1記載の誘導機制御装置。
  4. 前記磁束誤差演算器において、
    前記誘導機磁束大きさφvolと前記磁束基準値φnと演算ゲインαから前記誤差率dφを
    dφ=(φn−φvol)/[(1−α)・φn]
    で演算することを特徴とする請求項1記載の誘導機制御装置。
  5. 前記磁束指令φ*を入力とする基準値設定器により前記磁束基準値φnを作成することを特徴とする請求1記載の誘導機制御装置。
  6. 前記磁束基準値φnを、前記磁束指令φ*と減衰率βとの積とすることを特徴とする請求1記載の誘導機制御装置。

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