JP4905959B2 - 小分子rnaの検出方法および小分子rna検出用試薬 - Google Patents

小分子rnaの検出方法および小分子rna検出用試薬 Download PDF

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Description

本発明は、試料中の小分子RNAを容易に検出する方法、小分子RNA検出用試薬等に関する。
近年、siRNA(short interfering RNA)やmiRNA(micro RNA)等の小分子RNAの重要性が高まっている。ある遺伝子のmRNAと同じヌクレオチド配列を持つ二重鎖RNAを細胞へ導入するとその遺伝子が選択的に抑制される現象をRNA干渉(RNA interference;RNAi)という。実際には、比較的長い二重鎖RNAがダイサー(Dicer)と呼ばれる酵素によって20から30塩基までに分解され、得られた小分子RNAが複数のタンパク質と結合してRISC(RNA induced silencing complex)と呼ばれる複合体を形成して遺伝子の不活化に関わっていると考えられている。バイオテクノロジーの分野では、所望の小分子RNAを、細胞に導入して標的遺伝子を不活化する技術(RNAi法またはsiRNA法と呼ばれている)として利用されている。また、miRNAは、約22塩基からなる制御型RNAであり、たとえば、ショウジョウバエ等のmiRNAは、分化の過程で重要な遺伝子制御の役割を担っており、標的遺伝子のmRNAと塩基対を形成することによって、特異的に転写後の翻訳を抑制することから、注目されている。
単離されたDNAから転写されたRNAを、相補プローブとハイブリダイズすることにより該RNAを同定する方法としてのノザンブロット法は周知の方法である。しかしながら、siRNAやmiRNA等の、20から30塩基からなる小分子RNAについては、検出が容易ではなかった。例えば、ハミルトンらは、植物での転写後遺伝子サイレンシング(posttranscriptional gene silencing,PTGS)において25塩基の小分子アンチセンスRNAを同定した(ハミルトンら(Hamilton,A.J.et al.)、サイエンス(Science)、(米国)、第286巻、p.950−952、(1999年))。ここではRNAプローブを酸処理することにより、断片化しているが、きわめて高度な処理方法であり、関連する技術分野では広く採用されるに至っていない。また、オリゴRNAプローブも用いられているが、探査配列が限定され、配列選択での失敗が生じる。
本発明の目的は、siRNAやmiRNAなど、近年その重要性が高まってきている小分子RNAを容易に検出する方法および小分子RNA検出用試薬を提供することである。
本発明者は、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAを合成し、当該二重鎖RNAをRNaseにて消化して断片化し、得られた消化断片をプローブとして用いることにより、小分子RNAを容易に検出できること、また当該小分子RNAの検出用試薬を見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下のものを提供する:
[1]以下の工程を含む、対象遺伝子に由来する小分子RNAの検出方法;
(1)対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供する工程、
(2)得られた消化産物を用いて、該対象遺伝子に由来する小分子RNAを検出する工程、
[2]該二重鎖RNAの一方または両方の鎖が標識されている、上記[1]記載の方法、
[3]該RNaseはRNaseIIIである、上記[1]記載の方法、
[4]該小分子RNAはsiRNAまたはmiRNAである、上記[1]記載の方法、
[5]該小分子RNAの検出方法はノザンブロット法である、上記[1]記載の方法、
[6]対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物を含む、小分子RNA検出用試薬、
[7]以下の工程を含む、対象遺伝子に由来する小分子RNAの検出用プローブの調製方法;
(1)対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供する工程、
(2)得られた消化産物を用いて、該対象遺伝子に由来する小分子RNA検出用プローブを調製する工程、
[8]小分子RNA検出用試薬の製造のための、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物の使用、
[9]対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物を含む試薬、ならびに該試薬を小分子RNAの検出に使用し得ることまたは使用すべきであることを記載した記載物を含む商業的パッケージ。
図1は、分裂酵母のクローン解析でsiRNAの生成が知られていたセントロメア配列をプローブにしてノザンブロットを行い、細胞抽出液中にあるsiRNAの検出例を示す図である。レーン1は、ago1遺伝子破壊株、レーン2は、rdp1遺伝子破壊株、レーン3は、dcr1遺伝子破壊株、レーン4は、野生株(h)、レーン5は、野生株(h90)を示す。
本発明は、小分子RNAの検出を効率的に行う方法を提供する。すなわち、本発明の方法は、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供し、得られた消化産物を用いて小分子RNAを検出するものである。本発明はまた、該消化産物を含むプローブの調製方法も提供する。
本発明において検出される小分子RNAとは、例えば10−50塩基、好ましくは20−30塩基程度の大きさのRNAを示す。該RNAは一本鎖であっても二重鎖であってもよい。該RNAが二重鎖のとき、該二重鎖はオーバーハングを有していてもよい。また、該二重鎖はステムループ構造やヘアピン構造等を有していてもよく、該二重鎖がステムループ構造やヘアピン構造等を有している場合、「RNAの大きさ」とはループ等を含まない、相補対をなす部分の長さのことである。具体的には、例えば、RNAiに関与することが示唆されているsiRNA、miRNA、stRNA(small temporally regulated RNA)等が挙げられる。
本発明において対象遺伝子とは、小分子RNAを産物として有し得るか否かを調べたい所望のヌクレオチド配列領域(探査領域)を含む遺伝子を意味している。なお、本明細書中において「遺伝子」とは、「核酸」をも含む意とする。
「対象遺伝子のヌクレオチド配列」とは、対象遺伝子をコードする染色体DNAまたはmRNA(cDNA)のヌクレオチド配列等をいう。
「対象遺伝子のヌクレオチド配列の一部」の大きさは、特に限定されないが、小分子RNAを産物として有し得るのに充分な大きさであればよく、例えば100塩基以上である。
「対象遺伝子のヌクレオチド配列の一部」は、上記探査領域を含むことが好ましい。
「対象遺伝子に由来する小分子RNA」とは、対象遺伝子に直接由来する小分子RNAであっても、間接的に由来する小分子RNAであってもよいが、好ましくは直接由来する小分子RNAである。ここで「直接由来」とは、該遺伝子の転写産物が小分子RNA自体である場合や、転写産物自体は小分子RNAではないが(例えばtRNA、mRNA、rRNA等)、内在性の分解酵素(RNase等)により消化された結果、消化産物中に小分子RNAが含まれる場合を意味する。また、「間接的に由来」とは、対象遺伝子以外の遺伝子に由来する小分子RNAで、該小分子RNAが後述の対象遺伝子に由来する消化産物と同じ配列、若しくは、例えば後述のストリンジェントな条件でハイブリダイズし得る高い相同性(70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)を有するものも含む。
対象遺伝子の由来としては特に限定されず、目的に応じて任意の生物(例えば、動物・植物・菌類等)を適宜用いることができる。
本発明において用いられる対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAは、任意の方法を用いて調製することが可能である。例えば、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部のヌクレオチド配列を含む二重鎖DNAの順鎖及び逆鎖双方をRNA転写し、両産物を混合することにより調製することができる。
該二重鎖DNAは自体公知の方法で調製され、例えば、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部をベクターに挿入して調製する方法等が挙げられる。ベクターに挿入して調製する場合、該ヌクレオチド配列は、例えば、PCRにより増幅されることが好ましい。
対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を、PCRにより増幅する方法は、例えば次の通りである。対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部をテンプレートとし、該ヌクレオチド配列の両端に相補的なプライマーと耐熱性DNAポリメラーゼを用いてサイクル反応(二本鎖テンプレートの一本鎖への解離、プライマーと一本鎖テンプレートのアニーリング、プライマーに続くテンプレート相補鎖の合成による新たな二本鎖テンプレートの形成、の3工程を反復する連鎖的反応)を行うことにより、プライマーの3’末端に、鋳型の塩基配列に従ってヌクレオチドが添加され、順鎖および逆鎖が伸長する。この反応が繰り返されることで、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部が増幅される。
ベクターを用いる場合、クローニングベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例:pBR322、pBR325、pAT153、pUC8、pUC12、pUC13、pGEM);枯草菌由来のプラスミド(例:pUB110、pTP5、pC194);酵母由来プラスミド(例:pSH19、pSH15);λファージなどのバクテリオファージ;レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルス等を用いることができる。
対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部のプラスミドベクターへのクローン化は、一般的なクローニングで用いられる方法を適宜使用することができ、例えば制限酵素によって対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を切断して取り出しベクターとのライゲーションによってクローン化する方法などが挙げられる。該クローンニングベクターに含まれ得る、RNAポリメラーゼ(T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ等)の転写開始DNA配列の順鎖および逆鎖双下流に、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部の配列は挿入されていることが好ましい。
RNA順鎖及び逆鎖の転写は、自体公知の方法で行われる。該RNA転写は生体内・試験管内のいずれで行われてもよいが、好ましくは試験管内で行われる。
試験管内RNA転写は、自体公知の方法で行われる。具体的には、例えば、上記クローン化したプラスミドを鋳型として基質(リボヌクレオチド(ATP、GTP、UTP、CTP等)等)とRNAポリメラーゼを適切な緩衝液中に混合し、適切な温度(37℃等)で適当時間(1時間〜5時間程度)反応させることでRNAが転写される。この時、RNAの分解を避けるためにリボヌクレアーゼインビターの存在下で反応を行うことが好ましい。
RNA転写が適切な部位で終結するために、プラスミドはあらかじめ適切な制限酵素などにより線状にしておくことが好ましい。該制限酵素は、プラスミドに組み込んだ対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部の配列が切断されないように、適切なものが選択され得る。該制限酵素としては、例えば、BamHI、XbaI、SalI、AccI、HincII、PstI、SphI、HindIII、NotI等が挙げられる。
RNAポリメラーゼとしては、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ等が挙げられ、上記クローン化ベクターが有する転写開始DNA配列と対応したものが使用される。
鋳型となるDNAは、試験管内RNA転写後に除去されることが好ましい。該除去は、例えばDNase I等のDNA分解酵素による消化等により行われることが好ましい。
RNA順鎖及び逆鎖はまた、例えば、化学合成法によっても調製することができる。該化学合成法としては、例えば、ホスホルアミダイト法、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法等が挙げられる。該順鎖及び逆鎖は、限定されないが、DNAを鋳型にしたRNA転写で調製されることがより好ましい。
さらに、該RNA転写産物は精製されることが好ましい。該精製方法としては、例えばPAGE精製や簡易カラムを用いた精製、フェノール/クロロホルム抽出・エタノール沈殿等が挙げられる。
二重鎖RNAの形成は、一般に核酸の二重鎖形成に用いられる方法であれば特に制限されない。例えば一本のテストチューブに順鎖RNAと逆鎖RNAを約等モル量(例えば、1:0.8〜1.2モル量)加えて高温加熱した後、ゆっくり低温に戻す方法が使われる。高温加熱の条件としては、特に制限されないが、70℃〜100℃で3分〜5分間の条件が好ましい。加熱処理温度は他の反応の条件などにより適宜設定することができ、例えば、RNA転写産物の精製において、カラムからのRNA溶出に水を用いた場合、塩等を含まない水中での熱処理はRNAを不安定性にするため、該加熱処理は約75℃で行うことができる。また、加熱した後は室温まで戻すのが好ましい。なお、後述の方法で一方の鎖のみを標識する場合、非標識鎖が過剰にあると、後の標的サンプルへの標識鎖のハイブリダイズを妨げることとなる。従って、標識鎖と非標識鎖の二重鎖RNAの形成は、非標識鎖が過剰モルにならないことが好ましい。
次に、このようにして形成された二重鎖RNAがRNase消化に供される。本発明で用いられるRNaseは、特に制限されないが、二重鎖RNA切断活性を有するダイサー(Dicer)などのRNaseIIIファミリー蛋白質が好ましい。該RNaseIIIファミリー蛋白質としては、ヒト等哺乳動物由来のダイサー、大腸菌、低温菌等由来のRNaseIII等が挙げられ、特に限定されないが、大腸菌由来のRNaseIIIが好ましい。
RNase処理条件は、使用するRNaseにより異なるため特に限定されないが、例えば大腸菌由来のRNaseIIIを使用した場合は、約37℃で約30分〜1時間などが挙げられる。
RNase処理により得られる二重鎖RNAの断片の大きさは、特に限定されないが、10−30塩基が好ましく、さらに好ましくは12−30塩基である。また、3’末端に2−3塩基のオーバーハングを有してもよく、好ましくは2塩基のオーバーハングを有する。
本発明において該消化産物は、検出・定量感度を高めるためにその一方または両方の鎖が標識されていてもよい。当該標識としては特に限定されないが、例えば、蛍光(FITC、ローダミン、テキサスレッド、6−カルボキシ−フルオレッセイン(FAM)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレッセイン(TET)、2,7−ジメトキシ−4,5−ジクロロ−6−カルボキシフルオレッセイン(JOE)、ヘキソクロロ−6−カルボキシフルオレッセイン(HEX)、6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン(TAMRA)等)標識、ビオチン標識、ジゴキシゲニン標識、放射線同位体(32P、H等)標識等が挙げられる。
本発明において該消化産物を標識するタイミングは特に限定されず、RNA転写時であっても、RNase消化後であってもよい。RNA転写時に標識する場合、例えば試験管内でRNAを転写する際、試験管内に放射線標識されたリボヌクレオチド(例えば、[α−32P]UTP等)を基質として混合しておく。該転写反応でそれらの放射線標識リボヌクレオチドはRNAに取り込まれ、標識されたRNAを得ることができる。なお、二重鎖RNAは、一方の鎖のみが標識されていてもよいし、両方の鎖が標識されていてもよい。
該消化産物は、小分子RNAを検出する方法に用いることができる。具体的には、該消化産物を小分子RNAの検出用プローブとして使用することができる。
本発明において該消化産物を用いて小分子RNAを検出する方法としては、特に限定されないが、例えばin situハイブリダイゼーション、ノザンブロット法等が使用でき、特にノザンブロット法が好ましく使用される。
ノザンブロット法は、自体公知の方法により行うことができる。具体的には、例えば、試料中のRNA(小分子RNAを含む)を、アガロースゲル電気泳動あるいは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などに供する。次にニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜等の適切な膜にトランスファーし、固相化される。固相化された小分子RNAと本発明に係る消化断片からなるプローブをストリンジェントな条件でハイブリダイズさせ、当該ハイブリダイゼーションの有無・強度により、対象遺伝子に由来する小分子RNAの有無を検出あるいは定量する。
「ストリンジェントな条件」とは、その条件下で、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、その標的配列にハイブリダイズするが、その他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。即ち、本発明において「ストリンジェントな条件」とは、対象遺伝子に由来する小分子RNAと、該消化断片からなるプローブとの特異的かつ検出可能なハイブリダイズを可能とする条件である。
「ストリンジェントな条件」はハイブリダイズし得る当該ヌクレオチドの配列中のグアニン(G)及びシトシン(C)の割合(GCコンテント)、大きさ、ハイブリダイゼーションバッファーの組成(塩濃度、ホルムアルデヒド濃度)、温度、その他公知の条件によって適宜選択することが可能である。即ち、ハイブリダイズし得る当該ヌクレオチドのGCコンテントが高く、大きさが大きくなるほど、安定にハイブリダイズするため、ハイブリダイゼーションバッファーの組成中の塩濃度を減じ、有機溶媒濃度を増加させる、又はハイブリダイゼーション温度を上昇させることによりストリンジェンシーを増加させる。
本発明において該ハイブリダイゼーションは、低いストリンジェンシー条件下(例えば、30℃−50℃および10−20×SSC(Sodium chloride−Sodium citrate buffer:Gillespie and Spiegelman,J Mol Biol.(1965)12:829−42、Sambrook et al.,Molecular Cloning,2nd Ed.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)等)のハイブリダイゼーションにより検出され、そして30℃−50℃で1−2×SSC中での洗浄に供された場合に、結合されたままであることが好ましい。特に限定されないが、例えば、42℃および20×SSCのハイブリダイゼーションにより検出され、42℃で2×SSC中での洗浄に供されても、結合されたままであることが好ましい。
ハイブリダイゼーションの検出は自体公知の方法により行うことができ、該消化断片からなるプローブの標識の種類によって異なるが、例えばオートラジオグラフィーなどによって検出できる。
該検出方法により特異的バンドが検出された場合、該特異的バンドは小分子RNAが存在することを示している。小分子RNAはRNAiに関与していることが示唆されているので、該特異的バンドの出現はまた、対象遺伝子がインビボにおいて小分子RNAによるRNAi等の発現調節機構に関与している可能性を示す。
また、例えばRNAiに関与する遺伝子の変異種(例えば、ago1遺伝子変異株、rdp1遺伝子変異株、dcr1遺伝子変異株等)と野生種を比較することにより、該小分子RNAがインビボにおけるRNAiに関与する遺伝子に依存したものかどうかの検証等もできる。具体的には、該特異的バンドが野生種でのみ検出され、変異種では検出されない場合、該小分子RNAはインビボにおけるRNAiに関与する遺伝子に依存したメカニズムで産出された小分子RNAであるといえる。
さらに、二重鎖RNAの一方の鎖のみを標識し調製したプローブを用いた場合、対象遺伝子のヌクレオチド配列の順鎖・逆鎖どちらの配列に由来する小分子RNAが存在するのかを同定することも可能となる。具体的には、順鎖標識プローブまたは逆鎖標識プローブを使用し、どちらか一方のみに特異的バンドが検出され、他方では検出されない場合、標識された鎖に相補的な鎖に由来する小分子RNAが存在するといえる。
本発明はまた、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物をプローブとして含む、小分子RNA検出用試薬も提供する。該試薬にはプローブの他、緩衝液、標準溶液等が含まれていてもよい。
該検出用試薬を用いれば、特に限定されないが、例えば上記検出方法により容易に小分子RNAを検出することができる。
また、本発明は対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物等を含む、該対象遺伝子に由来する小分子RNA検出キットを提供することもできる。該キットには、具体的に、小分子RNA検出用試薬、RNase消化産物調製用試薬、調製プロトコールを記載した指示書等を含めることができる。これらの要素は、必要に応じて予め混合しておくこともできる。該キットを使用することにより、小分子RNAの検出が簡便となる。小分子RNAはRNAiに関与するため、該キットはRNAi法を応用した医療技術などでの効果確認・実験手法として非常に有用である。また、該消化産物を含むノザンブロットキットとすることも可能である。
本発明の方法は、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供し、得られた消化産物をプローブとして用いるため、RNAプローブの酸処理のような難しい技術は含まれず、またオリゴRNAプローブのように領域限定の要求や配列選択での失敗が存在しない。また、一方の鎖のみを標識したRNAプローブを調製することも可能であるため、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部の順鎖・逆鎖どちらの配列に由来する小分子RNAが存在しているのかを見分けることも容易である。以上の事より、本発明の方法は、実験精度・検出感度が非常に高く、その上操作が容易であるため、有用性の極めて高い方法である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれらに限定されない。
分裂酵母遺伝子のセントロメア配列のPCR断片(Nakasekoら、EMBO Journal、第5巻、p.1011−1021、(1986年)参照)をpGEM−T(Promega社)に双方向にクローン化した。それら2種類のプラスミドをNotI制限酵素処理などによって転写終了部位で直線化した後、[α−32P]UTP存在下でT7 RNAポリメラーゼによる試験管内転写を行った。(MAXIscript T7 kit,Ambion社)。DNase I処理の後、転写産物をWizard SV Gel and PCR Clean−up System(Promega社)により精製した。精製産物それぞれの等モル量とRNase IIIバッファー(Ambion社)を混合し、75℃で5分間処理した後ゆっくりと室温に戻して二重鎖RNA形成を促した。そこにRNase III(大腸菌由来;Ambion社)を加えて37℃で1時間消化し、20塩基程度の短いRNA分子を作製した。この反応液を95℃で3分間処理してRNAを1本鎖にし、プローブとして用いた。
分裂酵母のRNA小分子はmirVana miRNA Isolation Kit(Ambion社)を用いて精製、濃縮し、8M尿素を含む15%ポリアクリルアミドTBEゲル電気泳動によって分離した。ゲルはナイロンメンブレン(Hybond−XL,Amersham社)へ電気的転写を行い、UVクロスリンクによりRNA分子を固定した。メチレンブルー染色によりマーカーやtRNA分子を可視化後、興味のメンブレン領域を切り出してUltrahyb−Oligo(Ambion社)によるハイブリダイゼーションを進めた。RNAプローブとのハイブリダイゼーションは42℃で16時間以上反応させて行った。2×SSC 0.5%SDSによる42℃での洗浄を30分間2度繰り返した後、Typhoon 9200(Amersham社)によってメンブレン上のシグナルを検出した。
図1は、分裂酵母のクローン解析でsiRNAの生成が知られていたセントロメア配列をプローブにしてノザンブロットを行い、細胞抽出液中にあるsiRNAの検出例を示す。レーン4、5に見られる25ヌクレオチド前後のシグナルはRNAi機構の変異(レーン1、2、3)で失われたことから、RNAi機構に依存したsiRNAシグナルであることを意味する。
本発明により、従来検出が困難であった小分子RNAを正確に、再現性よく、かつ高感度に検出することが可能となる。
本発明の方法によれば、従来検出が困難であった小分子RNAを正確に、再現性よく、かつ高感度に検出することが可能となる。さらに本発明の方法によれば、小分子RNAの関与するRNAiの検出が簡便となり、RNAi法を応用した医療技術などでの効果確認・実験手法として非常に有用である。
本出願は、日本で出願された特願2005−013338(出願日:2005年1月20日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (7)

  1. 以下の工程を含む、対象遺伝子に由来する小分子RNAの検出方法;
    (1)対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供する工程、
    (2)得られた消化産物をプローブとして用いて、該対象遺伝子に由来する小分子RNAを検出する工程。
  2. 該二重鎖RNAの一方または両方の鎖が標識されている、請求項1記載の方法。
  3. 該RNaseはRNaseIIIである、請求項1記載の方法。
  4. 該小分子RNAはsiRNAまたはmiRNAである、請求項1記載の方法。
  5. 該小分子RNAの検出方法はノザンブロット法である、請求項1記載の方法。
  6. 以下の工程を含む、対象遺伝子に由来する小分子RNAの検出用プローブの調製方法;
    (1)対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAをRNase消化に供する工程、
    (2)得られた消化産物を用いて、該対象遺伝子に由来する小分子RNA検出用プローブを調製する工程。
  7. 小分子RNA検出用試薬の製造のための、対象遺伝子のヌクレオチド配列の全長またはその一部を含む二重鎖RNAのRNase消化産物の使用。
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