JP4906220B2 - 水性印刷インキとこれを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 - Google Patents

水性印刷インキとこれを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性印刷インキとこれを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、基材フィルムへの印刷に適した水性印刷インキとこれを用いたフィルム、前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種食品や薬品等を入れるための包装容器は、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する。)、ナイロン6(以下、「Ny6」と略称する。)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略称する。)等の熱可塑性フィルムを基材フィルムとして、この基材フィルムを成形加工することにより作製されている。これらの基材フィルムからなる包装容器により製品を包装して販売する際には、その商品名などを包装容器に印刷する必要がある。凹凸を有する成形品への印刷は困難であることから、通常は、印刷はフィルムの段階で施され、その後、真空成形などによる成形加工が施される。近年では、包装容器の多様化、高機能化に伴って、各種の基材フィルムにインキを印刷した後、印刷面にラミネート加工を施した積層フィルムからなる包装容器が用いられている。
【0003】
ラミネート加工には、基材フィルムにインキを印刷した後、印刷面にアンカーコート剤を塗布してこのアンカーコート層を接着層として溶融樹脂を積層する方法(以下、「押出しラミネート法」と称す。)や、前記のアンカーコート層を接着層としてこのアンカーコート層の上に各種のフィルムを貼り合せる方法(以下、「ドライラミネート法」と称す。)や、アンカーコート剤を使用せずに基材フィルムの印刷面に直接に溶融樹脂を積層する方法(以下、「ダイレクトラミネート法」と称す。)等がある。中でも、ダイレクトラミネート法が経済的、省資源的、環境的に有利である。
【0004】
ダイレクトラミネート法を行う際のダイレクトラミネート強力(ラミネート強度)は、インキに用いられるバインダー樹脂によって決まる。インキには、溶媒として有機溶剤を用いた油性インキと、溶媒として水性媒体を用いた水性インキとがあるが、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善などの立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、水性インキの使用が望まれている。
【0005】
水性インキに使用されるバインダー樹脂としては、ウレタン樹脂や塩素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。しかし、ウレタン樹脂を用いた水性インキは、上記した各種の基材フィルムとの密着性は良好であるものの、ダイレクトラミネート強力に劣るという問題がある。また、塩素化ポリオレフィン樹脂を用いた水性インキは、PPフィルムとの密着性は良好であるものの、PETフィルムやNy6フィルムへの密着性は不十分であり、使用できる基材フィルムが限られるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、各種の基材フィルムに良好な密着性を有し、ダイレクトラミネート強力に優れた水性印刷インキの提供と、この水性印刷インキを用いたフィルム、前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムとその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったものである。すなわち本発明は、ポリオレフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方と、塩基性化合物と、有機溶剤とを水性媒体中に含有し、前記ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体であり、前記特定の化合物は下記式(I)で示される化合物であり、前記共重合体における不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は質量比で0.01質量%以上5質量%未満であり、エチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/1(質量%)の範囲であり、前記水性媒体に分散しているポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.5μm以下であり、前記塩基性化合物の配合割合は前記ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であり、前記有機溶剤はポーリングの電気陰性度が3.0以上の原子を分子内に1個以上有しておりかつ20℃における水に対する溶解性が5g/L以上であことを特徴とする水性印刷インキを要旨とする。
【0008】
【化3】
Figure 0004906220
【0009】
この構成によると、特定組成のポリオレフィン樹脂をバインダーに用いることで、幅広い基材フィルムに良好な密着性を有し、かつダイレクトラミネート強力にも優れた水性印刷インキが得られる。
【0010】
また、本発明の水性印刷インキを用いて基材フィルムの少なくとも片面に印刷したフィルムあるいは前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムは、機械的強力や加工性に優れており、しかも基材フィルムとインキとの密着性に優れているため、包装容器の材料として好適に使用できる。
【0011】
また、本発明の積層フィルムの製造方法によると、本発明の積層フィルムを容易に実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における水性印刷インキは、特定のポリオレフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方を水性媒体中に含有し、これらのポリオレフィン樹脂、顔料、染料は水性媒体中に均一に分散もしくは溶解されており、特にポリオレフィン樹脂は数平均粒子径が0.5μm以下と微細な状態で分散している必要がある。なお、ポリオレフィン樹脂が数平均粒子径が0.5μm以下と微細な状態で分散している状態には、ポリオレフィン樹脂が溶解しているものも含まれる。また、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、後述する水溶性の有機溶剤を含有していてもよい。
【0013】
このように特定のポリオレフィン樹脂をバインダー樹脂として用いることで、水性媒体を用いてもポリオレフィン樹脂を微細な状態で良好に水性化(液状化)することができ、このポリオレフィン樹脂水性分散体に顔料等が均一に分散もしくは溶解されていることで、各種の基材フィルムとの密着性を有し、ダイレクトラミネート強力に優れた水性印刷インキを実現できる。
【0014】
本発明で使用するポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体を主体とする必要がある。不飽和カルボン酸またはその無水物は、樹脂に親水性を付与するものであり、エチレン系炭化水素は、ポリオレフィン樹脂としての性質を発現するものであり、特定の化合物は、不飽和カルボン酸またはその無水物だけでは十分に得られない親水性を補うためのものである。なお、ここでいう特定の化合物とは下記式(I)で示される化合物である。
【0015】
【化4】
Figure 0004906220
【0016】
前記共重合体における不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は、質量比で0.01質量%以上5質量%未満である必要がある。不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合が0.01質量%未満であると、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難になって良好な水性分散体が得られず、結果的に水性印刷インキが得られなくなる。一方、不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合が5質量%を超えると、ポリオレフィン樹脂の水性化は容易になるが、カルボキシル基量が増すためにポリオレフィン樹脂の極性が高くなり、得られた水性印刷インキは極性の低い基材フィルムとの密着性に劣るものとなる。従って、不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は、0.1質量%以上5質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%未満であることがさらに好ましく、1質量%以上4質量%以下であるのが最適である。
【0017】
前記共重合体におけるエチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/1(質量%)の範囲である必要がある。ポリオレフィン樹脂の主体となるエチレン系炭化水素は、ポリオレフィン樹脂としての性質を発現するものであり、様々な熱可塑性フィルムとの良好な密着性を付与するものである。従って、このエチレン系炭化水素の配合割合が55質量%よりも少なくなると、ポリオレフィン樹脂としての性質が十分に得られず、ダイレクトラミネート強力が低下する。エチレン系炭化水素の配合割合が99質量%を超えるとポリオレフィン樹脂の水性化が困難になって水性印刷インキを得ることが困難になるだけでなく、基材フィルムとの密着性が低下する。従って、エチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合物)=60/40〜97/3(質量%)であることが好ましく、65/35〜95/5(質量%)であることがより好ましく、75/25〜88/12(質量%)であることが特に好ましい。
【0018】
ポリオレフィン樹脂を構成する不飽和カルボン酸またはその無水物は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。また、フィルム飽和カルボン酸は塩、酸無水物で合っても良い。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸であることが好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸、メタクリル酸であることが好ましい。これらは単独で使用されても良く、また複数組み合わせて使用しても良い。また不飽和カルボン酸はポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
【0019】
本発明のポリオレフィン樹脂を構成するエチレン系炭化水素としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のオレフィン類が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のオレフィンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0020】
ポリオレフィン樹脂を構成する特定の化合物は、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和化合物であり、上記式(I)で示される化合物である必要がある。このような構造の特定の化合物を用いることで、ポリオレフィン樹脂に親水性が付与されて、上記のように親水性を有する不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合が5質量%未満であっても、乳化剤や保護コロイド作用を有する化合物などの不揮発性水性化助剤を添加することなしにポリオレフィン樹脂を微細に水性化することができる。
【0021】
上記式(I)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。上記式(I)で表される化合物は単独で使用しても良く、混合物として用いても良い。本発明においては、これらの中でも(メタ)アクリル酸メチルあるいは(メタ)アクリル酸エチルが特に好ましい。
【0022】
本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチレン−メタアクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、より具体的には、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタアクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体であることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸エステル単位は、後述する樹脂の水性化の際にエステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、これらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
【0023】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(以下、「MFR」と記載する。)が0.1〜500g/10分の範囲であることが好ましい。MFRが0.1/10分未満であると、樹脂の水性化が困難となって水性印刷インキを得ることが困難となるだけでなく、基材フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力に劣るものとなる。MFRが500g/10分を超えると、水性印刷インキを基材フィルムに印刷した際にインキの被膜が硬くてもろくなり、フィルムの機械的強力や加工性が低下する。従って、本発明におけるポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷重におけるMFRは、1〜500g/10分の範囲にあることが好ましく、0.1〜250g/10分の範囲にあることがより好ましく、2〜250g/10分の範囲にあることがさらに好ましく、2〜100g/10分の範囲にあるのが最適である。
【0024】
また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、この樹脂全体の20質量%以下で共重合されていても良い。その他のモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30のアルキルビニルエーテル類、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用する顔料または染料は特に限定されるものではなく、一般的に使用されているものをインキの種類によって適宜選択すれば良い。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系などの有機顔料が挙げられる。また、染料としては直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料などが挙げられる。上記の顔料または染料は単独もしくは2種類以上が含有されていても差し支えない。
【0026】
水性印刷インキへの顔料などの添加量は、上記のポリオレフィン樹脂の固形分100質量部に対して、5〜400質量部であることが好ましい。顔料などの添加量が5質量部未満であると、印刷性が低下し、400質量部を超えると、フィルムとの密着性が低下する。従って、顔料などの添加量は、10〜300質量部の範囲であることがより好ましく、20〜200質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0027】
本発明の水性印刷インキは、上記のポリオレフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方が水性媒体中に均一に分散もしくは溶解されてなる。顔料または染料は、水性媒体中に均一に分散もしくは溶解していれば良いが、ポリオレフィン樹脂は、数平均粒子径が0.5μm以下の状態で均一に分散もしくは溶解している必要がある。ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.5μmを超えると、水性印刷インキの保存安定性が低下するとともに、印刷性が低下する。従って、ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は、0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましく、0.1μm未満であるのが特に好ましい。同様の理由から、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径は0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。また、重量平均粒子径を数平均粒子径で除した値である粒子の分散度、(重量平均粒子径)/(数平均粒子径)は、水性印刷インキの保存安定性や印刷性の点から1〜3の範囲であることが好ましく、1〜2.5の範囲であることがより好ましく、1〜2の範囲であることが特に好ましい。なお、粒度分布については、特に限定されない。
【0028】
本発明の水性印刷インキには、水性分散体の安定化を図るために塩基性化合物を配合することが必要である。塩基性化合物を配合することで、ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基が中和され、中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気的反発力によって微粒子間の凝集を防ぐことができ、乳化剤や保護コロイド作用を有する化合物などの不揮発性水性化助剤を用いなくても、ポリオレフィン樹脂を数平均粒子径が0.5μm以下の状態で安定に維持することができる。
【0029】
水性印刷インキに含まれる塩基性化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが必要である。塩基性化合物の添加量が0.5倍当量未満であると塩基性化合物の添加効果が認められず、塩基性化合物の添加量が3.0倍当量を超えると被膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水分散液が着色する場合がある。従って、塩基性化合物の添加量は0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.0〜2.0倍当量が特に好ましい。
【0030】
なお、ポリオレフィン樹脂を構成する不飽和カルボン酸またはその無水物において、無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位は、樹脂の乾燥状態では隣接したカルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成している。しかし、塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部又は全部が開環してカルボン酸あるいはその塩の構造を取りやすくなる。従って、本発明においては、樹脂のカルボキシル基量を基準として塩基性化合物の量を規定する場合には、樹脂中の酸無水物基はすべて開環してカルボキシル基をなしていると仮定して算出する。
【0031】
塩基性化合物はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基を中和できるものであれば良いが、インキの耐水性を考慮すると、印刷時に揮発するLiOH、KOH、NaOH等の金属水酸化物のほか、アンモニア、有機アミン化合物などが好ましく、中でも有機アミン化合物がポリオレフィン樹脂の水性化を容易に行える点から特に好ましい。有機アミン化合物は、沸点が30〜250℃の範囲であることが好ましく、50〜200℃の範囲にあることがより好ましい。有機アミン化合物の沸点が30℃未満であると、ポリオレフィン樹脂を水性化する際に揮発する割合が多くなり、ポリオレフィン樹脂の水性化が完全に進行しない場合がある。有機アミン化合物の沸点が250℃を超えると、樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、印刷したインキの耐水性が悪化する場合がある。
【0032】
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
【0033】
本発明の水性印刷インキには、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進する目的と、ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径や重量平均粒子径などの分散粒子径を小さくする目的で、水性化の際に有機溶剤を添加することが必要である。水性化の際に用いる有機溶剤の添加量は水性分散体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましい。有機溶剤の添加量が20質量部を超える場合には、有機溶剤の一部または全てを系外へ除去(ストリッピング)により有機溶剤の含有量を低減させることが望ましいが、有機溶剤の添加量が40質量部を超えると、ストリッピングの時間が長くなる等の問題を生じる。また、有機溶剤の添加量が40質量部を超えると、実質的に水性媒体とはみなせなくなり環境保護の面から好ましくない。また、使用する有機溶剤によっては水性分散体の保存安定性が低下してしまう場合がある。また、有機溶剤の添加量が1質量部未満であると、樹脂の水性化が困難になったり、樹脂を水性化するために系内の温度を上げる必要があり、樹脂の主鎖が分解して分子量が低下する恐れがある。従って、水性媒体中の有機溶剤量は2〜30質量部の範囲にあることがより好ましく、3〜20質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0034】
また、本発明で使用する有機溶剤は、保存安定性の良好なポリオレフィン樹脂水性分散体を得るという点から、ポーリング(Pauling)の電気陰性度が3.0以上の原子、具体的には酸素、窒素、フッ素、塩素などの原子を分子内に1個以上有していることが必要である。かつ、20℃における水に対する溶解性が5g/L以上であることが必要であり、溶解性が10g/L以上のものであるとさらに好適に使用できる。
【0035】
本発明において使用される有機溶剤としては、ポリオレフィン樹脂の水性化促進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶剤を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用しても良い。
【0036】
本発明の水性印刷インキには、ダイレクトラミネート強力を向上させるために、ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂をさらに添加しても良い。ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂の添加量は、ポリオレフィン樹脂の固形分100質量部に対して0.1〜80質量部の範囲であることが好ましい。他の樹脂の添加量が80質量部を超えるとインキの密着性が低下してしまう恐れがあるため、他の樹脂の添加量は1〜50質量部の範囲であることがより好ましく、1〜30質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0037】
ポリオレフィン樹脂以外に添加できる他の樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂系樹脂、上記した特定のポリオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0038】
さらに、本発明の水性印刷インキには、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加することも可能である。また、水性印刷インキの保存安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を添加することも可能である。
【0039】
また、水性印刷インキの耐溶剤性などの性能、特に耐アルコール性をさらに向上させるために、架橋剤を配合しても良い。架橋剤の配合割合は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜20質量部の範囲であることがより好ましい。架橋剤の添加量が0.1質量部未満であると架橋剤の添加効果が小さく、架橋剤の添加量が30質量部を超えるとフィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力が低下する傾向になる。
【0040】
架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。これらの架橋剤は単独で使用しても良く、あるいは2種類以上を併用しても良い。
【0041】
上記のように構成された本発明の水性印刷インキは、溶媒として水性媒体を使用しているため、環境面や危険物規制などの点からも好適に使用できる。また、各種の基材と密着性の良い特定のポリオレフィン樹脂をバインダー樹脂として用いているため、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板などへの印刷に使用できるが、基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、基材との密着性に加えてさらにダイレクトラミネート強力も得られるため、特に好適に使用できる。また、本発明の水性印刷インキには、不揮発性水性化助剤が実質的に含まれていないため、さらに加えて耐水性、加工性、衛生性などにも優れたものとなる。ここで、「水性化助剤」とは、ポリオレフィン樹脂を水性分散体とする際に水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧で高沸点(例えば、300℃以上の沸点)であるか沸点を有さないことを指す。
【0042】
本発明においては、基材フィルムの少なくとも片面に本発明の水性印刷インキを印刷したフィルムのままで包装材料として使用しても良いが、このフィルムの印刷面にさらにラミネート層を設けて積層フィルムとしたものが包装材料としてより好適に使用できる。
【0043】
基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムあるいは熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にシリカ、アルミナ等の蒸着を施した熱可塑性樹脂フィルムを用い、この基材フィルムの少なくとも片面に本発明の水性印刷インキを印刷してなるフィルムは、基材フィルムとインキとの密着性が良いものである。また、このフィルムの印刷面は、ダイレクトラミネート強力にも優れているため、印刷面にラミネート層を形成した積層フィルムとすることもできる。
【0044】
本発明のフィルムまたは積層フィルムに使用する基材フィルムとしては、Ny6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ乳酸などのポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)などの脂肪族ポリエステル樹脂に代表される生分解性樹脂、PP、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物などの熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、PET、Ny6、PP、ポリエチレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1〜500μmの範囲であれば良い。
【0045】
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理などの表面処理を施していることが好ましい。
【0046】
ラミネート加工の方法としては、従来より行われている押出しラミネート法や、ドライラミネート法や、ダイレクトラミネート法が適用できるが、経済性や環境面などから、中でもダイレクトラミネート法が好ましく、特に、基材フィルムとしてポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンのうちのいずれかからなるフィルムを用い、溶融したポリエチレン樹脂あるいはポリプロピレン樹脂にてラミネート層を形成した積層フィルムが特に好ましい。
【0047】
ここで、ポリエチレン樹脂は、エチレン成分が主成分であればよく、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの2元以上の多元共重合体であってもよい。さらに、無水マレイン酸等で酸変性してあるポリエチレン樹脂でもよく、高温での酸化処理を施したポリエチレン樹脂でも良い。
【0048】
また、ポリプロピレン樹脂の立体構造は特に限定されないが、例えば、アイソタクチックまたはシンジオタクチックおよび種々の程度の立体規則性を有するポリプロピレン樹脂単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。これらの共重合体は、2元以上の多元共重合体であってもよく、ランダム共重合体、ブロック共重合体であっても良い。さらに、無水マレイン酸等で酸変性してあるポリプロピレン樹脂でも良く、高温での酸化処理を施したポリプロピレン樹脂でも良い。これらは単独で使用しても良く、あるいは複数を混合して用いても良い。
【0049】
また、上記説明では、基材フィルムの印刷面に直接に水性印刷インキを印刷した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を設け、この易接着層に本発明の水性印刷インキを印刷したフィルムとしても良い。易接着層とは、基材フィルムや印刷インキとの優れた接着性を有している層のことであり、このような易接着層を設けることで、ダイレクトラミネート強力の向上が図れる。易接着層の厚みは0.01〜10μmの範囲であることが好ましい。易接着層の厚みが0.01μm未満であると、ダイレクトラミネート強力の向上効果が小さく、易接着層の厚みが10μmを超えると、性能面では特に問題はないが、均一なコートが困難になる傾向にある。従って、本発明においては、易接着層の厚みが0.03〜5μmの範囲であることがより好ましい。
【0050】
易接着層を構成する材料は特に限定されないが、ダイレクトラミネート強力の向上を図る点から、本発明の水性印刷インキのバインダー樹脂である特定のポリオレフィン樹脂が含有されていることが好ましく、中でも、エチレン、アクリル酸メチルあるいはアクリル酸エチル、無水マレイン酸からなる三元共重合体が最も好ましい。
【0051】
次に、本発明の水性印刷インキの製造方法について説明する。
本発明で使用する特定のポリオレフィン樹脂の合成法は特に限定されないが、後述のようにポリオレフィン樹脂を水性分散体とするためには、ポリオレフィン樹脂の合成時には乳化剤や保護コロイドなどの不揮発性水性化助剤を用いない方が好ましい。このようなポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合することで得られる。なお、不飽和カルボン酸あるいはその無水物は、グラフト共重合(グラフト変性)されていても良い。
【0052】
このポリオレフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方を水性媒体に分散させて水性印刷インキを得るための方法は特に限定されないが、例えば、特定組成のポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、有機溶剤を含む水性媒体を密閉可能な容器中で加熱、攪拌してポリオレフィン樹脂水性分散体を作製し、このポリオレフィン樹脂水性分散体に顔料または染料の少なくとも一方と他の添加剤とを混合・攪拌する方法を採用することができる。この方法によれば、不揮発性水性化助剤を実質的に添加しなくとも、ポリオレフィン樹脂を数平均粒子径が0.5μm以下の状態で良好に分散したポリオレフィン樹脂水性分散体を容易に得ることができ、このポリオレフィン樹脂水性分散体に顔料などを分散させることで、保存安定性に優れた本発明の水性印刷インキを得ることができる。
【0053】
なお、ポリオレフィン樹脂水性分散体に顔料などを混合・攪拌する際には、必要に応じてさらにジェット粉砕処理を行ってもよい。ここでいうジェット粉砕処理とは、水性分散体のような流体を、高圧下でノズルやスリットのような細孔より噴出させ、樹脂粒子同士や樹脂粒子と衝突板等とを衝突させて、機械的なエネルギーによって樹脂粒子をさらに細粒化することであり、そのための装置の具体例としては、A.P.V.A.GAULIN社製ホモジナイザー、みずほ工業社製マイクロフルイタイザーM−110E/H等が挙げられる。
【0054】
上記のようにして作製された本発明の水性印刷インキは、ポリオレフィン樹脂と顔料などが水性媒体中に分散又は溶解され、均一な液状に調製されている。ここで、水性印刷インキが均一な液状であるとは、目視で水性印刷インキを観察したときに、水性印刷インキ中に沈殿や相分離あるいは皮張りといった固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態をいう。
【0055】
水性印刷インキの固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水やアルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)により希釈したりする方法が挙げられる。
【0056】
本発明の水性印刷インキを基材フィルムに印刷する方法は特に限定されるものではないが、フレキソ印刷方式やグラビア印刷方式などが採用できる。
このような印刷方式により印刷が施されたフィルムの印刷面にラミネートを形成して積層フィルムとする場合には、ラミネート層を押出しラミネート法、ドライラミネート法、ダイレクトラミネート法により形成する。例えば、押出しラミネート法では、基材フィルムに水性印刷インキを印刷した後、印刷面にイミン系、イソシアネート系、チタネート系などのアンカーコート剤を塗布して、溶融ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を積層することで積層フィルムが得られる。ドライラミネート法では、基材フィルムの印刷面にウレタン樹脂などの接着剤を塗布して、熱可塑性フィルムを貼り合せることで積層フィルムが得られる。さらに、ダイレクトラミネート法では、基材フィルムに水性印刷インキを印刷した後、印刷面に直接に溶融したポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を積層する、あるいは、印刷面にポリエチレンまたはポリプロピレンからなるフィルムを積層してラミネート層を形成することで、積層フィルムが得られる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。なお、各種の物性については以下の方法によって測定又は評価した。
【0058】
(1)MFR(g/10分):JIS−6730に記載の方法に準じて190℃、2160g荷重の条件下で測定した。
【0059】
(2)融点(℃):示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製;DSC−7型)を用いて、試料質量を5mg、昇温速度を20℃/分として測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
【0060】
(3)ポリオレフィン樹脂の組成:オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、300MHzの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン社製)を用いて測定した。
【0061】
(4)水性化収率(%):水性化後の水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。
【0062】
(5)エステル基残存率(%):水性化後のポリオレフィン水性分散体を150℃で乾燥した後、オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、300MHzの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン社製)を用いて、水性化前のアクリル酸エステルのエステル基量を100としてエステル基の残存率(%)を求めた。
【0063】
(6)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度(質量%):ポリオレフィン水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
【0064】
(7)ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度(mPa・s):DVL−BII型デジタル粘度計(トキメック社製、B型粘度計)を用い、温度20℃における水性分散体の回転粘度を測定した。
【0065】
(8)ポリオレフィン樹脂粒子の粒子径(μm)および分散度:マイクロトラック粒度分布計UPA150(日機装社製、MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を求め、合わせて粒子の分散度(mw/mn)を求めた。
【0066】
(9)水性分散体の外観:水性分散体の色調を目視観察により評価した。
【0067】
(10)ポットライフ:ポリオレフィン樹脂水性分散体を室温で90日放置したときの外観を、次の3段階で評価した。
【0068】
○:外観に変化がなかった
△:増粘がみられた
×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られた
【0069】
(11)耐水性評価:厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)のコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校正機で印刷し、150℃で乾燥した後、得られたフィルムを室温で1日放置した。その後、水で濡らした布でフィルムの印刷面を数回擦り、印刷面の状態を目視で観察して下記のように評価した。
【0070】
○:外観に変化がなかった
△:印刷したインキがくもった
×:印刷したインキが完全に溶解した
【0071】
(12)耐アルコール性評価:厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)のコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校正機で印刷し、150℃で乾燥した後、得られたフィルムを室温で1日放置した。その後、イソプロパノールで濡らした布でフィルムの印刷面を数回擦り、印刷面の状態を目視で観察して下記のように評価した。
【0072】
○:外観に変化がなかった
△:印刷したインキがくもった
×:印刷したインキが完全に溶解した
【0073】
(13)水性化後のMFR(MFR):ポリオレフィン水性分散体をガラスシャーレに取り、100℃で6時間乾燥した。得られたポリオレフィン樹脂のMFRを、190℃、2160g荷重の条件下でJIS−6730に記載の方法に準じて測定した。
【0074】
(14)密着性評価:基材フィルムのコロナ処理面にグラビア校正機で水性印刷インキを印刷し、150℃で乾燥した後、印刷面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。印刷面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
【0075】
○:全く剥がれがなかった
△:一部に剥がれが生じた
×:全て剥がれた
なお、基材フィルムには、厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)、厚み15μmの2軸延伸Ny6フィルム(ユニチカ社製、エンブレム)、厚み20μmの延伸PPフィルム(東セロ社製、OP U−1)を用いた。
【0076】
(15)ダイレクトラミネート強力(mN/15mm):基材フィルムとして2軸延伸PETフィルムを用い、この基材フィルムのコロナ処理面に調整した水性塗料をグラビア校正機で印刷して、乾燥した。次いで、フィルムの印刷面上にエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製、VE−40)を用いて300℃の溶融したポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンL211、MFR:12(g/10分))を厚み30μmとなるように積層して積層フィルムを作製した。この積層フィルムから試験片を15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製、インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度でラミネート層と印刷面との間の剥離強度を測定することで、ダイレクトラミネート強力(mN/15mm)を評価した。
【0077】
以下の実施例、比較例において使用したポリオレフィン樹脂の組成や物性を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004906220
【0079】
実施例1
水性印刷インキを製造するに際し、まず、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の作製を行った。容積が1リットルで、密閉可能に構成されたヒーター付きの耐圧性ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、このガラス容器に、ポリオレフィン樹脂(A)(ボンダインHX−8290、住友化学工業社製)60.0gと、有機溶剤としてイソプロパノール(以下、「IPA」と略称する。)60.0gと、塩基性化合物としてトリエチルアミン(以下、「TEA」と略称する。)3.0gと、蒸留水177.0gを仕込んだ。なお、TEA3.0gは、樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量に相当する。
【0080】
そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。なお、エステル基残存率は100%であり、室温で90日間放置した後でも変化せず100%であった。
【0081】
このポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、水100質量部と、顔料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR−50)を100質量部と、ガラスビーズ250質量部とを添加し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散させた後、ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ−1を得た。
【0082】
得られた水性印刷インキJ−1を各種基材フィルムに印刷して乾燥した後、耐水性、密着性、ダイレクトラミネート強力、耐アルコール性の評価を行った。
まず、基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)のコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校正機で印刷して乾燥した後、室温で1日放置し、得られたフィルムの耐水性および耐アルコール性を評価した。
【0083】
また、基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)、厚み15μmの2軸延伸Ny6フィルム(ユニチカ社製、エンブレム)、厚み20μmの延伸PPフィルム(東セロ社製、OP U−1)とを用い、それぞれの基材フィルムのコロナ処理面にグラビア校正機で水性印刷インキを印刷して乾燥した後、基材フィルムと水性印刷インキとの密着性を評価した。
【0084】
また、基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)を用い、この基材フィルムのコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校正機で印刷して、乾燥した。次いで、印刷面に260℃で溶融したMFRが12(g/10分)のポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンL211)を厚み30μmとなるように積層して積層フィルムを作製し、積層フィルムのダイレクトラミネート強力を評価した。
【0085】
得られた測定結果等を表2に示す。
【0086】
【表2】
Figure 0004906220
【0087】
実施例2
ポリオレフィン樹脂として本発明の構成であるポリオレフィン樹脂(B)(ボンダインHX−8210、住友化学社製)を用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。なお、水性化後の樹脂組成を分析したところ、アクリル酸エチル単位の1%が加水分解されてアクリル酸に変化していた。すなわちエステル基残存率は99%であった。
【0088】
このポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は実施例1と同様にして、水性印刷インキJ−2を作製し、各種物性の評価を行った。
得られた測定結果等を表2に示す。
【0089】
実施例3
ポリオレフィン樹脂として本発明の構成であるポリオレフィン樹脂(C)(ボンダインTX−8030、住友化学社製)を用い、有機溶剤の添加量を28質量%とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
【0090】
このポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を用いた以外は実施例1と同様にして水性印刷インキJ−3を作製し、各種物性の評価を行った。
得られた測定結果等を表2に示す。
【0091】
実施例4
実施例1で作製した水性分散体E−1を250gと、蒸留水85gとを1Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置してフラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約90gの水性媒体を留去したところで加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、20.5質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整した水性分散体をE−4とした。
【0092】
このポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を用いた以外は実施例1と同様にして水性印刷インキJ−4を作製し、各種物性の評価を行った。
得られた測定結果等を表2に示す。
【0093】
実施例5
実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、顔料としてカーボンブラックを含有する水性分散体(ライオン社製、ライオンペーストW−376R)の固形分を100質量部を混合し、プロペラ攪拌機で30分間攪拌して水性印刷インキJ−5を作製し、各種物性の評価を行った。
【0094】
得られた測定結果等を表2に示す。
【0095】
実施例1〜5は、本発明の構成であるポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて水性印刷インキを作製したため、耐水性に優れ、基材フィルムの種類にかかわらず基材フィルムとの密着性に優れ、ダイレクトラミネート強力の良いものが得られた。なお、実施例2は、他の実施例のものに比べて若干ダイレクトラミネート強力に劣るものであったが、実使用上は問題のないものであった。
【0096】
比較例1
水性印刷インキを製造するに際し、まず、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の作製を行った。容積が1リットルで、密閉可能に構成されたヒーター付きの耐圧性ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、このガラス容器に、本発明の構成とは異なるポリオレフィン樹脂(D)(プリマコール5980I、アクリル酸20質量%共重合体、ダウ・ケミカル社製)45.0gと、塩基性化合物としてTEA15.2gと、蒸留水239.8gとを仕込んだ。なお、TEA15.2gは、樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量に相当する。
【0097】
そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、得られた微白色の水性分散体をE−5とした。なお、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
【0098】
この水性分散体E−5を用いた以外は実施例1と同様にして水性印刷インキH−1を作製し、各種物性の評価を行った。
得られた測定結果等を表2に示す。
【0099】
比較例1は、本発明の構成の範囲外であるポリオレフィン樹脂を配合した水性分散体を用いて水性印刷インキを作製したため、得られた水性印刷インキは顔料の混合安定性に劣るものとなった。また、この水性印刷インキは、基材フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力に劣るものであった。
【0100】
比較例2、3
本発明の水性印刷インキを構成するためのポリオレフィン樹脂に代えて、比較例2ではウレタン系エマルジョン(旭電化工業社製、アデカボンタイターHUX−380)を用い、比較例3では塩素化オレフィン系エマルジョン(日本製紙社製、E−723)を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、水性印刷インキH−2、H−3をそれぞれ作製し、各種物性の評価を行った。得られた測定結果等を表2に示すが、これらのインキはダイレクトラミネート強力に劣るものであった。
【0101】
実施例6
実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、水100質量部と、顔料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR−50)を100質量部と、他の樹脂としてポリエステル樹脂エマルション(ユニチカ社製、KA−5034)を固形分として20質量部と、ガラスビーズ250質量部とを添加し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散させた後、ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ−6を作製した。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、各種物性の評価を行った。
【0102】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0103】
【表3】
Figure 0004906220
【0104】
実施例7
他の樹脂としてウレタン系エマルション(旭電化工業社製、アデカボンタイターHUX−380)を用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−7を作製し、各種物性の評価を行った。
【0105】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0106】
実施例8
他の樹脂として塩素化オレフィン系エマルション(日本製紙社製、E−723)を用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−8を作製し、各種物性の評価を行った。
【0107】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0108】
実施例9
他の樹脂としてロジン系エマルション(荒川化学工業社製、スーパーエステルE−720)を用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−9を作製し、各種物性の評価を行った。
【0109】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0110】
実施例10
他の樹脂としてテルペン系エマルション(荒川化学工業社製、タノマルE−100)を用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−10を作製し、各種物性の評価を行った。
【0111】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0112】
実施例11
他の樹脂として比較例1で作製した水性分散体E−5を用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−11を作製し、各種物性の評価を行った。
【0113】
得られた測定結果等を表3に示す。
【0114】
実施例6〜11は、いずれも本発明の構成であるポリオレフィン樹脂水性分散体を用いていたため、耐水性や基材フィルムとの密着性に優れたものであった。また、本発明の構成であるポリオレフィン樹脂水性分散体にさらに加えて他の樹脂が本発明の好適な範囲で配合されていたため、他の樹脂が配合されていない以外は同様の構成である実施例1に比べてダイレクトラミネート強力がさらに向上ていた。
【0115】
実施例12
実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、水100質量部と、顔料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR−50)を100質量部と、架橋剤としてメラミン樹脂(三井サイテック社製、サイメル327)を固形分として10質量部と、ガラスビーズ250質量部とを添加し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散させた後、ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ−12を得た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして各種物性の測定を行った。
【0116】
得られた測定結果等を表4に示す。
【0117】
【表4】
Figure 0004906220
【0118】
実施例13
架橋剤としてエポキシ化合物(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−313)を用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−13を作製し、各種物性の評価を行った。
【0119】
得られた測定結果等を表4に示す。
【0120】
実施例14
架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物(日本触媒社製、エポクロスWS−700)を用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−14を作製し、各種物性の評価を行った。
【0121】
得られた測定結果等を表4に示す。
【0122】
実施例15
架橋剤としてイソシアネート化合物(第一工業製薬社製、エラストロン BN−11)を用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−15を作製し、各種物性の評価を行った。
【0123】
得られた測定結果等を表4に示す。
【0124】
実施例16
架橋剤としてカルボジイミド化合物(日清紡社製、カルボジライト E−02)を用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−16を作製し、各種物性の評価を行った。
【0125】
得られた測定結果等を表4に示す。
【0126】
実施例12〜16は、本発明の構成であるポリオレフィン樹脂水性分散体を用いていたため、耐水性や基材フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力に優れたものであった。また、前記ポリオレフィン樹脂水性分散体にさらに加えて架橋剤が配合されていたため、架橋剤が配合されていない実施例1〜11に比べてインキの耐アルコール性が向上していた。
【0127】
実施例17、18
基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)を用い、この基材フィルムのコロナ処理面に実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の膜厚が2μmとなるようにマイヤーバーで塗布して乾燥し、易接着層を形成した。次いで、易接着層上に実施例1及び5で作製した水性印刷インキJ−1及びJ−5をグラビア校正機で印刷して乾燥した。その後、上記(15)と同様にポリエチレン樹脂を積層してラミネート層を形成し、積層フィルムを得た。そして(15)の測定方法に従い、ダイレクトラミネート強力の評価を行った。
【0128】
得られた積層フィルムの物性などを表5に示す。
【0129】
【表5】
Figure 0004906220
【0130】
実施例19、20
易接着層の厚みを0.1μmとした。そしてそれ以外は実施例17、18と同様にして積層フィルムを作製し、ダイレクトラミネート強力の評価を行った。
【0131】
得られた積層フィルムの物性などを表5に示す。
【0132】
実施例17〜20は、基材フィルムの印刷面に易接着層を形成したため、易接着層を形成せずに印刷した実施例1、5に比べダイレクトラミネート強力が著しく向上していた。
【0133】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のポリオレフィン樹脂と、顔料あるいは染料の少なくとも一方を水性媒体中に均一に分散させたインキとすることで、各種の基材フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力に優れた水性印刷インキが得られる。
【0134】
また、この水性印刷インキを基材フィルムの少なくとも一方の面に印刷したフィルムあるいは前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムは、本発明の水性印刷インキを用いているため基材フィルムとインキとの密着性が良いものが得られる。また、基材フィルムとして機械的強力や加工性に優れた各種の熱可塑性フィルムを用いることができるため、包装容器などの用途に好適に使用できる。なお、基材フィルムに易接着層を設け、この易接着層の上に水性印刷インキにて印刷したフィルムおよび積層フィルムについても同様の効果が得られる。

Claims (15)

  1. ポリオレフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方と、塩基性化合物と、有機溶剤とを水性媒体中に含有し、前記ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体であり、前記特定の化合物は下記式(I)で示される化合物であり、前記共重合体における不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は質量比で0.01質量%以上5質量%未満であり、エチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/1(質量%)の範囲であり、前記水性媒体に分散しているポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.5μm以下であり、前記塩基性化合物の配合割合は前記ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であり、前記有機溶剤はポーリングの電気陰性度が3.0以上の原子を分子内に1個以上有しておりかつ20℃における水に対する溶解性が5g/L以上であることを特徴とする水性印刷インキ。
    Figure 0004906220
  2. ポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜1000g/10分であることを特徴とする請求項1記載の水性印刷インキ。
  3. 不飽和カルボン酸またはその無水物成分が、無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の水性印刷インキ。
  4. ポリオレフィン樹脂が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の水性印刷インキ。
  5. ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂をさらに含み、前記他の樹脂はポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜80質量部配合されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の水性印刷インキ。
  6. ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂系樹脂、請求項1記載のポリオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の水性印刷インキ。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載の水性印刷インキを基材フィルムの少なくとも片面に印刷したことを特徴とするフィルム。
  8. 基材フィルムの少なくとも片面に厚み0.01〜10μmの易接着層を設け、前記易接着層に請求項1から6までのいずれか1項記載の水性印刷インキを印刷したことを特徴とするフィルム。
  9. 易接着層に、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体であり、前記特定の化合物は下記式(I)で示される化合物であり、前記共重合体における不飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は質量比で0.01質量%以上5質量%未満であり、エチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/1(質量%)の範囲であるポリオレフィン樹脂が含有されていることを特徴とする請求項8記載のフィルム。
    Figure 0004906220
  10. 請求項7から9までのいずれか1項記載のフィルムの印刷面にラミネート層を設けたことを特徴とする積層フィルム。
  11. 基材フィルムが、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかであることを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項記載のフィルム。
  12. 基材フィルムが、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかであることを特徴とする請求項10記載の積層フィルム。
  13. ラミネート層がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項10記載の積層フィルム。
  14. 基材フィルムの少なくとも片面に請求項1から6までのいずれか1項記載の水性印刷インキを印刷して乾燥し、前記印刷面に溶融したポリエチレンまたはポリプロピレンを積層することでラミネート層を形成することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  15. 基材フィルムの少なくとも片面に請求項1から6までのいずれか1項記載の水性印刷インキを印刷して乾燥し、前記印刷面にポリエチレンまたはポリプロピレンからなるフィルムを積層してラミネート層を形成することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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