JP4931418B2 - フェノール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【技術分野】
本発明は、熱伝導性と機械的強度に優れたフェノール樹脂組成物に関するものであり、特に、本発明は、熱伝導性と機械的強度に優れ、かつ作業性と成形性に優れたフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
従来、フェノール樹脂組成物は、耐熱性や機械的強度、寸法安定性などに優れていることから、電気電子部品や自動車用部品等に用いられている。こうした分野では、部品自体の発熱や高温雰囲気での使用によって性能が低下するという問題があり、材料の熱伝導率を高くすることが求められていた。
こうした問題に対し、充填材としてグラファイトやカーボン繊維を用いることで材料の熱伝導率を向上させるという方法が検討されていたが、これらの基材は導電性を有するため絶縁抵抗が大幅に低下してしまい電気電子部品には適用しにくいという問題があった。また、充填剤として、シリカ粉末やアルミナ粉末等の熱伝導率の高い基材を用いる場合もあったが、熱伝導率を高めるためにこれらの基材を多量に配合する必要があり、機械的強度が低下するという問題もあった(特開2002−220507号公報)。
また、従来樹脂組成物の機械的特性及び耐熱性を改善するために添加されていたガラス繊維をはじめとする繊維状フィラーは、成型時の流れ方向とそれに直行する方向とで得られた成型品の性質、特に線膨張係数に差が生ずる(異方性)という問題があったが、それらを解決するためにフィラーとして、外形サイズが0.5〜15μm(500nm〜15000nm)であり、アスペクト比10〜100であるベーマイトを用いること、およびその樹脂としてフェノール樹脂を用いること、が知られている(特開2001−261976号公報)。しかしながら、これらの組成物では熱伝導性、機械的強度、混練作業性、成形性が共に改善されているとは言えなかった。
一方、材料の流動性が低下し混練作業性、成形性を損なうという問題もあったため、従来の一般的なフェノール樹脂に比べ硬化前の溶融粘度が低く流動性が優れているベンゾオキサジン樹脂を用い、材料の流動性を確保する試みがなされてきた(特開平11−071498号公報及び特開2001−064480号公報)。しかしながら、ベンゾオキサジン樹脂を用いた場合には機械的強度が不十分であり、より優れた性能を有する樹脂組成物が求められていた。
【発明の開示】
本発明の目的は、熱伝導性と機械的強度に優れたフェノール樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、熱伝導性と機械的強度に優れ、かつ混練作業性、成形性が良いフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む(熱硬化性)樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を克服するために鋭意研究した結果、フェノール樹脂に対して特定の粒子径を有するベーマイトを配合することによって熱伝導性と機械的強度に優れたフェノール樹脂組成物が得られることを見出し、この知見をもとにして研究を重ね本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、上記フェノール樹脂組成物に関して、更にそれらの樹脂組成物の特性を改善するために鋭意研究した結果、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂の混合樹脂に対して特定の粒子径を有するベーマイトを配合することによって、熱伝導性と機械的強度に優れ、かつ、混練作業性、成形性が良好なフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物が得られることを見出し、この知見をもとにしてさらに研究を重ね、前記本発明の改良発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトを含有することを特徴とする。
また、特に、本発明のフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂とを質量比で95/5〜25/75の範囲で併用し、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂組成物は、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトを配合することによって、従来のフェノール樹脂組成物と比べて機械的強度と熱伝導率が向上しており、半導体封止材等の電気電子部品や自動車部品用の成形材料をはじめとして、機械部品や積層板、シート材料等の各種用途にも好適に用いられる。
また、本発明のフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物は、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂とを併用し、さらに平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトを配合することによって、高い機械的強度と熱伝導率を有するとともに作業性や成形性にも優れたものが得られるため、半導体封止材等の電気電子部品や自動車部品等の成形材料をはじめとして、機械部品や積層板、シート材料等の各種用途にも好適に用いられる。
本発明においては、フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂あるいはレゾール型フェノール樹脂が用いられ、これらはそれぞれ単独でもよくまた併用してもよい。なかでもノボラック型フェノール樹脂が好適に用いられ、この場合には硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンがノボラック樹脂100質量部に対し5〜40質量部程度配合される。
本発明において用いられるベーマイトは、一般式AlO(OH)で表される水酸化酸化アルミニウムを少なくとも90%以上含有した無機化合物である。本発明においては、ベーマイトの平均粒子径(短径)が100nm以下という微細なものが用いられ、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは5〜50nm、最も好ましくは10〜20nmである。また、ベーマイトの形状は、入手のしやすさや機械的強度の向上といった観点から針状又は円筒状であり、さらに、アスペクト比{=平均粒子径(長径)/平均粒子径(短径)}が1〜100であることが好ましく、さらに、好ましくは5〜50のものが用いられる。尚、本発明においては、このような100ナノメートル以下の微細なサイズを有するベーマイトを以下「ナノアルミナ」と呼ぶこととする。
本発明におけるナノアルミナの配合量は、フェノール樹脂組成物の要求物性や用途に応じて適宜決められるが、フェノール樹脂100質量部に対して1〜150質量部配合されることが好ましく、さらに好ましくは5〜100質量部である。1質量部より少ないと機械的強度や熱伝導性といった性能が十分に発現されず、150質量部より多くなると、流動性が低下し混練や成形がしにくくなるため好ましくない。
本発明において更にベンゾオキサジン樹脂を含む場合は、ナノアルミナの配合量は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂とを含む樹脂組成物の要求物性や用途に応じて適宜決められるが、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂の合計量の100質量部に対して1〜150質量部配合されることが好ましく、さらに好ましくは5〜100質量部である。1質量部より少ないと機械的強度や熱伝導性といった性能が十分に発現されず、150質量部より多くなると、流動性が低下し混練や成形がしにくくなるため好ましくない。
本発明のフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物においては、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂とが質量比で95/5〜25/75の範囲で用いられる。好ましくは90/10〜30/70(質量比)である。フェノール樹脂がこの範囲より多くなると混練作業性が悪くなる傾向があり、この範囲より少なくなると機械的強度が低下する傾向がある。
また、本発明に用いられるベンゾオキサジン樹脂は、分子内にジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂であって、例えば、以下の一般式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004931418
(式中、Rはアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などが1置換、2置換、3置換、または4置換したものを示す。)
Figure 0004931418
(一般式(2)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは単結合、または置換基を有していてもよいアルキレン基、同じくアリーレン基、同じくアルケニレン基、同じくアルキニレン基、同じくアラルキレン基、またはカルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、シリレン基、シロキサン基、メチレンエーテル基、エステル基、スルホニル基などを示す。RおよびRは同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などが1置換、2置換、または3置換したものを示す。)
Figure 0004931418
(一般式(3)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などを示す。nは2〜200の整数である。)
Figure 0004931418
(一般式(4)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などを示す。mは0〜100の整数である。)
本発明においては、未硬化時流動性があり、硬化後の機械的物性に優れる上記一般式(2)で示される化合物が特に好ましい。
本発明のフェノール樹脂組成物(又は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物)には、さらに目的に応じて無機充填材や有機充填材など種々の充填材が配合される。
無機充填材としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、シリカ、パーライト、シラスバルーン、けいそう土、アルミナ系化合物、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維などが挙げられる。また、有機充填材としては、木粉、合板粉、熱硬化性樹脂硬化物粉末、アラミド繊維、粉砕布、パルプ、ゴム、カシューダスト等が挙げられる。
これらの中でも、本発明においてはアルミナ系化合物が好ましい。アルミナ系化合物としては、アルミナをはじめとして、カオリン、クレー、マイカ、ホウ酸アルミニウム、バーミキュライト、スメクタイト等のAl成分を含有するものが挙げられ、アルミナが特に好ましい。
これらの充填材の配合量は特に限定はされないが、フェノール樹脂100質量部に対して10〜500質量部を配合することが好ましく、さらに好ましくは100〜400質量部である。
本発明において更にベンゾオキサジン樹脂を含む場合は、充填材の配合量は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂の合計量の100質量部に対して10〜600質量部配合されることが好ましく、さらに好ましくは100〜500質量部である。
また、本発明のフェノール樹脂組成物においては、必要に応じてフェノール樹脂以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を併用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチック、ポリアミド、ABS樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂としては、ベンゾオキサジン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン含有樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
また、本発明のフェノール樹脂(またはフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂)組成物には、所望により従来のフェノール樹脂組成物において用いられている各種添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛のような離型剤もしくは滑剤、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやアミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、およびカーボンブラック等の着色剤などを添加することができる。
本発明にあってはフェノール樹脂とナノアルミナ、さらに目的に応じて充填材、添加剤等を所定量配合し、又は、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びナノアルミナを所定量配合し、さらに目的に応じて充填材、添加剤等を配合し、それらを加圧ニーダー、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、ミキシング熱ロール等で加熱混練した後、粉砕あるいはペレット化することによってそれぞれのフェノール樹脂とナノアルミナを含む樹脂組成物、又はフェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びナノアルミナを含む樹脂組成物として製造することができる。特に、本発明においては、それらのフェノール樹脂を含む樹脂組成物の物性を十分に発現させるために、あらかじめ溶融したフェノール樹脂にナノアルミナを添加するか、あるいはフェノール樹脂とナノアルミナを混合した後溶融するなどの方法によってナノアルミナを均一に分散させた後、充填材や添加剤を配合して加熱混練することが好ましい。こうして得られたフェノール樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形など各種の成形方法を用いて所望の成形品を製造することができる。更にベンゾオキサジン樹脂を組成分とする熱硬化性樹脂組成物を成形材料とする場合には、上記工程中、充填材、添加剤等と共に添加混合することができる。
本発明のフェノール樹脂組成物が優れた熱伝導性や機械的強度を発現する理由は定かではないが、フェノール樹脂とナノアルミナが溶融混合もしくは加熱混練されることによってナノアルミナが樹脂組成物中に均一に分散され、さらに一部のナノアルミナがフェノール樹脂のフェノール性水酸基と化学結合し、特にアルミナ系の無機充填材を配合した場合に、ナノアルミナとアルミナがカップリング剤的な相互作用を及ぼす状態になっているためではないかと推測される。
特に、本発明に関してフェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含み、更にナノアルミナを含む熱硬化性樹脂組成物が優れた熱伝導性や機械的強度を発現する理由は定かではないが、下記一般式(5)で表させる反応が起きているためと推測される。
Figure 0004931418
(一般式(5)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。)
また特にベンゾオキサジン樹脂を更に加える場合の機能については、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びナノアルミナが加熱混練されることによって、ナノアルミナが樹脂組成物中に均一に分散され、さらにナノアルミナ表面の反応性が大きいため一部のナノアルミナがフェノール樹脂のフェノール性水酸基とベンゾオキサジン樹脂の開環反応によって生成するフェノール性水酸基と化学結合することにより、本発明の樹脂組成物が優れた熱伝導性と機械的強度を有するものと思われる。一方、短径が100nmより大きなベーマイトを用いた場合には、一部のベーマイトはフェノール樹脂のフェノール性水酸基とベンゾオキサジン樹脂の開環反応によって生成するフェノール性水酸基と化学結合するものの、反応性が低くナノアルミナの場合ほど化学結合していないのではないかと考えられる。
また、特にアルミナ系の無機充填材を配合した場合には、ナノアルミナとアルミナがカップリング剤的な相互作用を及ぼす状態になっており、フェノール樹脂とナノアルミナが強固に結びついているため、機械的強度に優れた樹脂組成物が得られると推測される。
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、得られたフェノール樹脂組成物(又は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物)の性能は以下に示す方法に従って評価した。
(1)熱伝導率
プローブ法によって測定した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
JISK6911に準拠し、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(3)混練作業性
フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含む樹脂組成物のミキシング熱ロール表面への付着の有無を目視で確認した。
(4)成形性
得られた成形品のムラの有無を目視で確認した。
以下の実施例においては、本発明の主な実施態様であるフェノール樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下のベーマイトを含有することを主たる特徴とするフェノール樹脂組成物、とフェノール樹脂及びベンゾオキサジン樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下のベーマイトを含有することを主たる特徴とするフェノール樹脂組成物(熱硬化性樹脂)に関して順次説明する。
実施例1〜6においては、フェノール樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下のベーマイトを含有することを主たる特徴とするフェノール樹脂組成物に係る本発明についての実施例を説明する。又、それらの樹脂組成物により得られる特性と、本発明の構成を満たさない比較例1〜3のフェノール樹脂組成物により得られる特性とを対比して本発明により得られる作用効果を明らかにしている。
実施例7〜14においては、フェノール樹脂及びベンゾオキサジン樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下のベーマイトを含有することを主たる特徴とするフェノール樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)に係る本願発明についての実施例を説明する。又、それらの樹脂組成物により得られる特性と、本発明の構成を満たさない比較例4〜8のフェノール樹脂組成物により得られる特性とを対比して、本発明に関して、特に樹脂成分としてフェノール樹脂及びベンゾオキサジン樹脂とを含む樹脂組成物により得られる作用効果を明らかにしている。
上記実施例と比較例に関して、留意すべき事項として、比較例4は、本発明のフェノール樹脂と平均粒子径(短径)が100nm以下のベーマイトを含有することを主たる特徴とするフェノール樹脂組成物に係るものの「実施例」に該当するが、ここでは、本発明の別の態様である、更にベンゾオキサジン樹脂を含む実施例と対比する意味で「比較例」と称している。
[実施例1]
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業(株)製、CP504)100質量部を180℃に加熱して溶融状態としたところに、ベーマイト{サンゴバン社製CAM9010、平均粒子径(短径)10nm、平均粒子径(長径)90nm、アスペクト比9}5.4質量部を添加し2時間溶融混合した後、さらにアルミナ(日本軽金属(株)製A−21、平均粒子径80μm)362質量部、ヘキサメチレンテトラミン10質量部、ステアリン酸1質量部を配合したものをミキシング熱ロールで混練後、粉砕してフェノール樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、金型温度180℃、硬化時間15分、型締め圧力5tの成形条件で圧縮成形し、JIS曲げ試験片(80×10×4mm)を得た。
さらに得られた試験片について200℃×8時間のアフターキュアを行い、熱伝導率、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
配合割合を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し試験片を得た後、性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業(株)製、CP504)100質量部、ベーマイト{サンゴバン社製、CAM9010、平均粒子径(短径)10nm、平均粒子径(長径)90nm、アスペクト比9}13.6質量部、アルミナ(日本軽金属(株)製、A−21、平均粒子径80μm)352質量部、ヘキサメチレンテトラミン10質量部、ステアリン酸1質量部を配合したものをミキシング熱ロールで混練後、粉砕してフェノール樹脂組成物を得た。その後、実施例1と同様にして試験片を作成し性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4〜6]
表1に示すような割合で配合した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物及び試験片を得、性能を評価した。結果を表1に示す。尚、表中のベンジルエーテル型レゾール樹脂は旭有機材工業(株)製CP701改、アンモニアレゾール樹脂は旭有機材工業(株)製SP456A、アルミナ(平均粒子径4μm)は住友化学工業(株)製AM−21を用いた。
比較例1〜3
表1に示すような割合で配合した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物及び試験片を得、性能を評価した。結果を表1に示す。なお、比較例2では、ベーマイトとして、河合石灰工業(株)製セラシュールBMB{平均粒子径(短径)1μm、アスペクト比2}を用いた。比較例1および2では、ベーマイトを用いなかった。また、比較例3においては、ガラス繊維として、セントラル硝子(株)製チョップドストランドECS03−167Sを用いた。
Figure 0004931418
[実施例7]
フェノールノボラック樹脂(旭有機材工業(株)製、CP506FB)81質量部、ヘキサメチレンテトラミン9質量部、ベンゾオキサジン樹脂(四国化成工業(株)製、F−a型)10質量部、ベーマイト{サンゴバン社製、CAM9010、平均粒子径(短径)10nm、平均粒子径(長径)90nm、アスペクト比9}30質量部、アルミナ(日本軽金属(株)製、A−21、平均粒子径80μm)453質量部配合したものをミキシング熱ロールで混練後、粉砕して熱硬化性樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、金型温度180℃、硬化時間15分、型締め圧力3.5tの成形条件で圧縮成形し、JIS曲げ試験片(80×10×4mm)を得た。
さらに得られた試験片について180℃×4時間のアフターキュアを行い、熱伝導率、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。これらの結果を表2に示す。
[実施例8〜14]
表2に示すような割合で配合した以外は実施例7と同様にして樹脂組成物および試験片を得、性能を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004931418
比較例4〜8
表3に示すような割合で配合した以外は実施例7と同様にして樹脂組成物および試験片を得、性能を評価した。結果を表3に示す。尚、比較例6では、ベーマイトとして河合石灰工業(株)製セラシュールBMB{平均粒子径(短径)1μm、アスペクト比2}を用い、比較例8ではガラス繊維としてセントラル硝子(株)製チョップドストランドECS03−167Sを用いた。
Figure 0004931418
実施例7と比較例4とを比較すると、実施例7ではベンゾオキサジン樹脂を10部添加していることにより混練作業性、成形性、機械的強度に優れた樹脂組成物であるが、比較例4では、ベンゾオキサジン樹脂を添加していないため、機械的強度は優れているが、混練作業性、成形性が困難な樹脂組成物である。
実施例11と比較例5を比較すると、実施例11ではベンゾオキサジン樹脂を70部添加していることにより混練作業性、成形性、機械的強度に優れた樹脂組成物であるが、比較例5では、ベンゾオキサジン樹脂を90部添加していることにより混練作業性、成形性は優れているが、機械的強度に優れていない樹脂組成物である。
実施例10と比較例6を比較すると、実施例10では平均粒子径(短径)が10nmのベーマイトを用いることにより混練作業性、成形性、機械的強度に優れた樹脂組成物であるが、比較例6では、平均粒子径(短径)が1μmのベーマイトを用いることにより混練作業性、成形性は優れているが、機械的強度に優れていない樹脂組成物である。
実施例10と比較例7を比較すると、実施例10では平均粒子径(短径)が10nmのベーマイトを用いることにより混練作業性、成形性、機械的強度に優れた樹脂組成物であるが、比較例7では、ベーマイトを用いていないことにより混練作業性、成形性は優れているが、機械的強度に優れていない樹脂組成物である。
実施例11と比較例8を比較すると、実施例11では平均粒子径(短径)が10nmのベーマイトを用いることにより混練作業性、成形性、機械的強度、熱伝導率に優れた樹脂組成物であるが、比較例8では、ガラス繊維を用いることにより混練作業性、成形性、機械的強度に優れているが熱伝導率が優れていない樹脂組成物である。
【産業上の利用可能性】
本発明のフェノール樹脂組成物は、半導体封止材等の電気電子部品や自動車部品等の成形材料をはじめとして、機械部品や積層板、シート材料等の各種用途にも好適に用いられる。

Claims (13)

  1. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトとを含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  2. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトとを含有し、又そのベーマイトのアスペクト比が〜100であることを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  3. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトと、さらに充填材としてアルミナ系化合物とを含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  4. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトと、さらに充填材としてアルミナ系化合物とを含有し、又そのベーマイトのアスペクト比が〜100であることを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  5. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトとを、フェノール樹脂100質量部に対してベーマイト1〜150質量部となる割合で含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  6. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下の針状又は円筒状のベーマイトとを、フェノール樹脂100質量部に対してベーマイト1〜150質量部となる割合で含有し、さらに充填材としてアルミナ系化合物を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  7. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下であり、又アスペクト比が〜100である針状又は円筒状のベーマイトとを、フェノール樹脂100質量部に対してベーマイト1〜150質量部となる割合で含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  8. フェノール樹脂と、平均粒子径(短径)が100nm以下であり、又アスペクト比が〜100である針状又は円筒状のベーマイトとを、フェノール樹脂100質量部に対してベーマイト1〜150質量部となる割合で含有し、さらに充填材としてアルミナ系化合物を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  9. 熱硬化性を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物。
  10. 更に、ベンゾオキサジン樹脂を、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂との質量比が95/5〜25/75となる範囲内で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物。
  11. 更に、ベンゾオキサジン樹脂を、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂との質量比が95/5〜25/75となる範囲内で含む(但し、ベーマイト1〜150質量部の含量は、フェノール樹脂とベンゾオキサジン樹脂の合計量の100質量部に対する割合とする。)、請求項5〜8のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物。
  12. 熱硬化性を有する、請求項10に記載のフェノール樹脂組成物。
  13. 熱硬化性を有する、請求項11に記載のフェノール樹脂組成物。
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