JP4939138B2 - 質量分析装置用イオン光学系の設計方法 - Google Patents

質量分析装置用イオン光学系の設計方法 Download PDF

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Description

本発明は質量分析装置用イオン光学系の設計方法に関し、さらに詳しくは、多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置においてイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させるためのイオン光学系を設計する設計方法に関する。
一般に飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)では、一定のエネルギーで以て加速したイオンが質量に応じた飛行速度を持つことに基づき、一定距離を飛行するのに要する時間を計測することで、その飛行時間からイオンの質量を算出する。したがって、質量分解能を向上させるためには、飛行距離を伸ばすことが特に有効である。しかしながら、直線的に飛行距離を伸ばそうとすると装置が大形化することが避けられず実用的でないため、飛行距離を伸ばすために従来、多重周回飛行時間型質量分析装置と呼ばれる質量分析装置が開発されている(例えば特許文献1、非特許文献1など参照)。
こうした多重周回飛行時間型質量分析装置では、2乃至4個の扇形電場を用いて8の字状の閉じた周回軌道を形成し、この周回軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を実効的に長くしている。こうした構成によれば、飛行距離は装置サイズの制約を受けず、周回数を増す毎に質量分解能が向上することが示されている。
上述したような多重周回飛行時間型質量分析装置では、同一質量電荷比を持つイオンが周回中に時間的及び空間的に広がることで感度や分解能が低下しないようにする必要がある。そのため、周回軌道を形成するイオン光学系に与えられる条件としては、単に幾何学構造的に閉軌道を有するということだけでは不十分であり、周回後の飛行時間ピーク幅が増大しないことや周回後のイオンビームが発散しないことが要求される。
こうした要求に応えるため、例えば特許文献1に記載の多重周回飛行時間型質量分析装置では、時間収束条件として、周回後のイオンの飛行時間がイオンの初期位置、初期角度、初期エネルギーに依存しないことを要求し、さらに空間収束条件として、周回後のイオンの位置及び角度の状態がエネルギーに依らず周回前と同一の状態であることを要求している。即ち、これは、イオンの質量の相違による飛行時間の相違以外については、周回前と周回後とでイオンの位置や方向(角度)などを全く同一とするべく完全収束条件を満たすという要求である。これにより、周回軌道に導入されるイオンの初期エネルギーがばらつく場合でも、質量電荷比が同一でありさえすれば飛行時間は同一になり、高い質量分解能を達成することができる。
しかしながら、上記従来の多重周回飛行時間型質量分析装置において要求される完全収束条件を満たすようなイオン光学系を設計することは非常に困難である。一般に、こうしたイオン光学系の設計、つまりイオン光学系を構成する電極の形状や配置の決定は、上記のような収束条件を含む各種条件の制約の下に、入射するイオンに初期エネルギーや位置、角度などのばらつきを与えてイオン軌道をコンピュータでシミュレーションすることにより行われる。ところが、実際には上記の収束の制約条件が厳し過ぎるため、これを満たし、且つ物理的に実現可能なイオン光学系を見い出すことは難しく、しかも見い出されるイオン光学系の種類が少なく設計の自由度は殆どないのが現状である。さらにまた、こうして見い出されたイオン光学系は、電極の形状や配置の寸法の精度などの許容値が狭く、厳密に設計通りのイオン光学系を作らないと、質量分解能や感度などの性能が大きく低下する傾向にある。
上記従来の多重周回飛行時間型質量分析装置のイオン光学系における収束条件についてより詳細に説明する。まず、以降の説明に使用するイオンの軌道の表現方法について図6を参照しながら説明する。いま、イオンが入射面から入射し、扇形電場などを含む任意のイオン光学系により輸送されて出射面から出射する場合を想定する。(但し便宜上、図6ではイオンの中心軌道を直線的に描いている。)また、中心軌道を通る特定エネルギーを有し特定質量電荷比を持つイオンを基準イオンとして定める。位置、飛行方向(角度)及び運動エネルギーに関し、この基準イオンからずれた初期値を有して入射面を出発したイオンが、出射面において中心軌道を進んだイオンに対して持つ空間及び時間のずれは、周知のイオン光学系の理論より次のような一次近似式で表される。
x=(x|x)x+(x|α)α+(x|δ)δ …(1)
α=(α|x)x+(α|α)α+(α|δ)δ …(2)
y=(y|y)y+(y|β)β …(3)
β=(β|y)y+(β|β)β …(4)
t=(t|x)x+(t|α)α+(t|δ)δ …(5)
ここで、x、αは入射面における周回軌道面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度(飛行方向)のずれ量である。y、βは入射面における周回軌道面に垂直な平面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度のずれ量である。x、αは出射面における周回軌道面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度の変位量である。y、βは出射面における周回軌道面に垂直な平面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度の変位量である。δは入射面におけるエネルギーのずれ量である。tは任意イオンの基準イオンに対する中心軌道に平行な方向への飛行距離のずれ(つまり進み又は遅れ)を表し、基準イオンに対する飛行時間のずれに対応するものである。そして、(x|x)、(x|α)、(x|δ)、(α|x)、(α|α)、(α|δ)、(y|y)、(y|β)、(β|y)、(β|β)、(t|x)、(t|α)、(t|δ)は、イオン光学系において()内の記号の要素により決まる定数であり、イオン光学系の特性を表す。
非特許文献2で提案されているような閉曲線の軌道(閉軌道)を持つ飛行時間型質量分析装置におけるイオン光学系について考えてみる。このようなイオン光学系では、理想的には入射点から出発したイオンは上記閉軌道を飛行した後、再びこの入射点に戻って来る。こうした閉軌道を持つイオン光学系が有すべき特性は、
(t|x)=0 …(6)
(t|α)=0 …(7)
(t|δ)=0 …(8)
であり、これが要求される時間収束条件となる。一方、空間的な特性は、
(x|x)=±1 …(9)
(x|α)=0 …(10)
(x|δ)=0 …(11)
(α|x)=0 …(12)
(α|α)=±1 …(13)
(α|δ)=0 …(14)
(y|y)=±1 …(15)
(y|β)=0 …(16)
(β|y)=0 …(17)
(β|β)=±1 …(18)
で与えられるから、これが要求される空間収束条件となる。上記時間収束条件及び空間収束条件が共に満たされれば、上記閉軌道を飛行するイオンの飛行時間は位置、角度及び運動エネルギーの影響を受けず、イオンの質量のみに依存したものとなる。
上記収束条件は理想的なものであるが、一般に(6)式〜(8)式の時間収束条件を満たすことは比較的容易であるものの、(9)式〜(18)式の空間収束条件の全てを満たすことは非常に困難である。また、特許文献1に記載のようにイオン光学系の幾何学的な構造に二重対称性を持たせることにより、上記(6)式〜(18)式の幾つかの条件を成立させることは比較的容易に実現できる。しかしながら、構造に二重対称性を持たせるという幾何学的条件は、イオン光学系の構成要素のパラメータ数を制約することになるため、設計の自由度が減じて適切なイオン光学系を解として見い出し得る可能性の向上は望めない。
また、上述したような問題は、イオンを周回軌道に沿って所定回数周回させた後に検出する構成のみならず、イオンを周回軌道に沿って周回させながらその途中でイオン非破壊型検出器(又はイオンの一部を分離して検出する検出器)により繰り返しイオン検出を行い、周回毎に得られる検出信号をフーリエ変換に供することでイオンの質量電荷比を算出する構成の、いわゆるフーリエ変換型質量分析装置でも同じである(例えば特許文献2参照)。
特開平11−195398号公報 特開2005−79037号公報 豊田岐聡ほか3名、「マルチターン・タイムオブフライト・マス・スペクトロメーターズ・ウィズ・エレクトロスタティック・セクターズ(Multi-turn time-of-flight mass spectrometers with electrostatic sectors)」、ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー(Journal of Mass Spectrometry)、2003, 38, p.1125-1142 ポシェンリエデール(W. P. Poshenrieder)、「マルチプル-フォーカシング・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメーターズ パートII TOFMS・ウィズ・イコール・エネルギー・アクセラレーション(Multiple-Focusing Time-Of-Flight Mass Spectrometers Part II TOFMS With Equal Energy Acceleration)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー・アンド・イオン・フィジックス(Int. J. Mass. Spectrom. Ion Phys.)、9(1972)
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、条件に則したイオン光学系を見い出し易くすることにより設計の煩雑さを解消するとともに設計の自由度を広げることができる質量分析装置用イオン光学系の設計方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明者は従来とは別のアプローチとして、周期境界条件を持つ力学系に対する軌道の安定条件の観点から空間収束条件を考察した。これは、例えば電場によりイオンを捕捉するイオントラップ等において、捕捉されたイオンの軌道の安定性を評価するために利用される、マチウ(Mathieu)方程式の解の安定条件に相当するものである(特開2003−16991号公報など参照)。その場合、マチウ方程式の解の安定条件は安定領域図で表すことができ、不安定領域(発散領域)と明確に区分される安定領域内にイオンの挙動が収まるように条件が設定されるが、これと同様に、周回軌道を飛行するイオンが安定領域図の安定領域に含まれるようにイオン光学系の空間収束条件を設定するものとする。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、複数の扇形電場を含む電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることで該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型質量分析装置のイオン光学系を設計する設計方法であって、
間収束条件として、
(t|x)=(t|α)=(t|δ)=0 …(19)
を満たし、空間収束条件として、
−2<(x|x)+(α|α)<2 …(20)
−2<(y|y)+(β|β)<2 …(21)
を満たすように、前記周回軌道を形成するためのイオン光学系を設計することを特徴としている。
なお、イオン光学系におけるイオン軌道の表現方法は上記説明の通りとする。
本発明に係る質量分析装置用イオン光学系の設計方法において、イオン光学系における時間収束条件である(19)式は、従来の時間収束条件である(6)、(7)、(8)式と同じである。一方、空間収束条件は、従来の時間収束条件である(9)〜(18)式に比べて条件の数が大幅に軽減され緩くなっている。上記(20)、(21)式で規定される条件が上述したようにマチウ方程式の解の安定条件を表す安定領域に入る条件に相当するものである。従来の完全収束を意図した条件は、この安定領域においては不安定領域との境界線上に位置する、非常に厳しい条件を課したものとみることができる。そのため、条件自体が厳しいのみならず、イオン光学系の実装上の誤差などによりイオンの挙動は不安定領域に入り易く、それが電極の形状や配置の寸法の精度などの許容値が狭い原因であると考えられる。
これに対し、本発明に係る質量分析装置用イオン光学系の設計方法により設計されたイオン光学系によれば、従来と比べて周回軌道の安定条件が大幅に緩和されているので、条件に則したイオン光学系を見い出し易くなり、軌道設計が容易になるとともに設計の自由度が広がって、装置全体サイズ等の仕様に適合したイオン光学系を提供し易くなる。また、イオン光学系を構成する電極の寸法精度や取付位置精度などの許容値を広げても性能の低下を回避できるため、製造上のコストの低減に有利である。
[第1実施例]
本発明に係る設計方法により設計されたイオン光学系を備える、一実施例(第1実施例)である多重周回飛行時間型質量分析装置について図面を参照して説明する。本実施例の質量分析装置におけるイオン光学系を設計するにあたっては、時間収束条件として
(t|x)=(t|α)=(t|δ)=0 …(19)
を満たし、空間収束条件として、
−2<(x|x)+(α|α)<2 …(20)
−2<(y|y)+(β|β)<2 …(21)
を設定した。そして、周回軌道を第1乃至第4なる4つのトロイダル扇形電場で形成するようにし、且つ幾何学的な構造に二重対称性を持たせるように第1トロイダル扇形電場と第3トロイダル扇形電場とを同一形状とし、第2トロイダル扇形電場と第4トロイダル扇形電場とを同一形状とするようにした上で、各電場を構成するパラメータを探索した。
図1は本実施例の質量分析装置におけるイオン光学系1の概略上面図、図2はこのイオン光学系1において初期位置や角度などの相違するイオンの飛行軌道をシミュレーションにより描出した上面図である。イオン光学系1において、第1トロイダル扇形電場E1は、外側電極11a、内側電極11bを組とする第1電極11により形成され、第2トロイダル扇形電場E2は、外側電極12a、内側電極12bを組とする第2電極12により形成され、第3トロイダル扇形電場E3は、外側電極13a、内側電極13bを組とする第3電極13により形成され、第4トロイダル扇形電場E4は、外側電極14a、内側電極14bを組とする第4電極14により形成され、4つの電場E1〜E4により周回軌道(中心軌道)Cが形成される。なお、図示しないが、周回軌道Cに沿って適宜の位置に入射ゲート電極と出射ゲート電極とが配設され、外部で生成されたイオンは入射ゲート電極により周回軌道Cに載せられ、他方、周回軌道Cに沿って周回したイオンは出射ゲート電極により周回軌道Cを外れてイオン検出器(図示しない)に導かれる。
第1、第3トロイダル扇形電場E1、E3は、中心軌道半径:50mm、偏向角:25.8°、C値:0.0274であり、第2、第4トロイダル扇形電場E2、E4は、中心軌道半径:50mm、偏向角:156.2°、C値:0.0274である。また、第4トロイダル扇形電場E4と第1トロイダル扇形電場E1との間の自由飛行空間の距離D1は32.1mm、第1トロイダル扇形電場E1と第2トロイダル扇形電場E2との間の自由飛行空間の距離D2は51.6mmであり、周回軌道Cの1周の飛行距離は64.9cm。なお、C値とは、中心軌道半径をrとし、中心軌道に直交する平面内での等電位面の曲率半径をRとしたとき、C=r/R、で定義される値である。
このイオン光学系1における1周回後のイオン光学特性を表す定数は次のようになっている。即ち、(19)式に基づく時間収束条件と(20)、(21)式に基づく空間収束条件とは共に満たされている。一方、(9)〜(18)式に示した従来の空間収束条件に照らしてみると、これらの条件を満たしておらず、従来のイオン光学系の設計方法によれば見い出されることのない(つまりは条件に適合しないとして除外されるような)イオン光学系であることが分かる。
(x|x)=0.5175
(α|α)=1.1046
(x|x)+(α|α)=1.6221
(x|δ)=0
(y|y)=0.1626
(β|β)=−0.0239
(y|y)+(β|β)=0.1387
(t|x)=0.0004
(t|α)=0.0000
(t|δ)=0.0001
図3は本実施例のイオン光学系1において、x方向(水平面内)、y方向(垂直方向)での1次近似のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。y方向の軌道の広がりは±5mm程度に抑えられていることが分かる。図4は10周周回時におけるx方向、y方向の3次近似でのビームの包絡線のシミュレーション結果を示す図であり、1000粒子のイオン軌道をトレースしたものである。図5はこのときのTOFピークのシミュレーション結果を示す図である。このような10周周回時においても殆どのイオンは電極に衝突することなく、99%以上のイオン透過率が達成されている。また、初期パケット幅10n秒に対し、10周回後の飛行時間ピーク幅は11n秒、質量分解能は5880であり、ピーク幅の増大を抑制する効果が十分に高いことが分かる。
以上のように、本実施例に係るイオン光学系では、従来に比べて大幅に緩和された空間収束条件の下で設計されたにも拘わらず、高いイオン透過効率を達成し、ピーク幅の増大も有効に抑制できることが分かる。
[第2実施例]
次に、本発明の他の実施例(第2実施例)について図面を参照して説明する。この実施例は第1実施例で説明したイオン光学系1をフーリエ変換型質量分析装置に適用したものである。図7は本実施例の質量分析装置におけるイオン光学系1の概略上面図、図8は本装置で作成される飛行時間スペクトルの一例を示す図である。
このフーリエ変換型質量分析装置では、図7に示すように、周回軌道Cの途中にイオン非破壊型の検出器2が設けられている。この検出器2は例えば電磁誘導作用などを利用して荷電粒子であるイオンの通過量に対応した電気信号を出力するものである。いま、周回軌道Cに沿ってイオンをN回周回させる場合を考えると、イオンは周回軌道Cを1周する毎に検出器2を通過するから、例えば或る特定の質量を持つイオンについて検出器2による検出信号に基づいて図8(a)に示すように、1周回毎にピークが現れる飛行時間スペクトルを作成することができる。
このイオン光学系1では、同一質量のイオンについて例えば運動エネルギーの初期的なばらつきがあっても飛行時間のばらつきは収束されるため、図8(a)の飛行時間スペクトルにおいて各ピークの発生間隔(つまり1周回当たりの飛行時間ΔTOF1)はほぼ同一になる。したがって、これは或る1つの周波数fを持つ信号波形であるとみることができ、飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換することにより時間軸を波長軸に変換すれば周波数fを求めることができる。そして、例えば特許文献2に開示されているような手法を用いることにより、周波数fからそのイオンの質量電荷比を算出することができる。
また、互いに異なる質量電荷比を有する2種のイオンが混在した状態で測定を行うと図8(b)に示すような飛行時間スペクトルとなり、異なる発生間隔(ΔTOF1、ΔTOF2)を持つピークの一部が重なり合うが、この場合でも、飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換することにより、それぞれのイオン種に対応した周波数にピークが現れるので、その周波数から質量電荷比を容易に算出することができる。
なお、フーリエ変換型質量分析装置において検出器2は完全にイオン非破壊型でなくてもよく、イオンが通過する度に一部のイオンを分離して(消費して)検出する検出器でもよい。この場合、周回軌道Cに沿って飛行するイオンの量は徐々に減少するために周回数には限界があるが、フーリエ変換演算の精度的に十分な周回数が得られさえすれば問題はない。
また、上記実施例はいずれも本発明の一実施例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例による多重周回飛行時間型質量分析装置のイオン光学系の概略上面図。 本実施例のイオン光学系において初期位置や角度などの相違するイオンの飛行軌道をシミュレーションにより描出した上面図。 本実施例のイオン光学系においてx方向、y方向での1次近似のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図。 10周周回時におけるx方向、y方向の3次近似でのビームの包絡線のシミュレーション結果を示す図。 10周周回時におけるTOFピークのシミュレーション結果を示す図。 イオン光学系の表現方法の説明図。 本発明の他の実施例によるフーリエ変換型質量分析装置のイオン光学系の概略上面図。 図7の装置で作成される飛行時間スペクトルの一例を示す図。
符号の説明
1…イオン光学系
E1、E2、E3、E4…トロイダル扇形電場
2…イオン非破壊型検出器
C…周回軌道

Claims (1)

  1. 複数の扇形電場を含む電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることで該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型質量分析装置のイオン光学系を設計する設計方法であって、
    間収束条件として、
    (t|x)=(t|α)=(t|δ)=0
    を満たし、空間収束条件として、
    −2<(x|x)+(α|α)<2
    −2<(y|y)+(β|β)<2
    を満たすように、前記周回軌道を形成するためのイオン光学系を設計することを特徴とする質量分析装置用イオン光学系の設計方法
    但し、前記イオン光学系におけるイオン軌道の表現方法は次の通りとする。即ち、イオンが入射面から入射し任意のイオン光学系により輸送されて出射面から出射する場合に、基準となる特定エネルギーを持つイオンの軌道を中心軌道としたとき、該基準イオンからずれた初期値を持って入射面から入射したイオンの、出射面において中心軌道に対する変位を次のような一次近似式で表すものとする。
    x=(x|x)x+(x|α)α+(x|δ)δ
    α=(α|x)x+(α|α)α+(α|δ)δ
    y=(y|y)y+(y|β)β
    β=(β|y)y+(β|β)β
    t=(t|x)x+(t|α)α+(t|δ)δ
    ここで、x、αは入射面における周回軌道面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度(飛行方向)のずれ量である。y、βは入射面における周回軌道面に垂直な平面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度のずれ量である。x、αは出射面における周回軌道面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度の変位量である。y、βは出射面における周回軌道面に垂直な平面内で中心軌道に直交する方向の位置及び中心軌道に対する角度の変位量である。δは入射面におけるエネルギーのずれ量である。tは任意イオンの基準イオンに対する中心軌道に平行な方向への飛行距離のずれを表し、基準イオンに対する飛行時間のずれに対応するものである。そして、(x|x)、(x|α)、(x|δ)、(α|x)、(α|α)、(α|δ)、(y|y)、(y|β)、(β|y)、(β|β)、(t|x)、(t|α)、(t|δ)は、イオン光学系において()内の記号の要素により決まる定数であり、イオン光学系の特性を表す。
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