以下、図を参照して本発明の実施例を具体的に説明する。
図1乃至図3に基づき本発明の基本構成について具体的に説明する。まず図3に示す
システムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作を説明する。
破線で囲まれた部分が高圧ポンプのポンプハウジング1を示し、この破線の中に示されている機構,部品は高圧ポンプのポンプハウジング1に一体に組み込まれていることを示す。
燃料タンク20の燃料はフィードポンプ21によって汲み上げられ、吸入配管28を通してポンプハウジング1の吸入ジョイント10aに送られる。その際ポンプハウジング1への吸入燃料はプレッシャ−レギュレータ22にて一定の圧力に調圧される。
吸入ジョイント10aを通過した燃料は圧力脈動低減機構9,吸入通路10c,10dを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁機構30の吸入ポート30aに至る。圧力脈動低減機構9については後で詳しく説明する。
電磁吸入弁機構30は電磁コイル30bを備え、この電磁コイル30bが通電されている状態では電磁プランジャ30cが図1の右方に移動した状態で、ばね33が圧縮された状態が維持される。
このとき電磁プランジャ30cの先端に取付けられた吸入弁体31が高圧ポンプの加圧室11につながる吸入口32を開く。
電磁コイル30bが通電されていない状態で、かつ吸入通路10d(吸入ポート30a)と加圧室11との間の流体差圧が無い時は、このばね33の付勢力により、吸入弁体31は閉弁方向に付勢され吸入口32は閉じられた状態となっている。
具体的には以下のように動作する。
後述するカムの回転により、プランジャ2が図1の下方に変位して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10d(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなると、吸入弁体31には燃料の流体差圧による開弁力(吸入弁体31を図1の右方に変位させる力)が発生する。
この流体差圧による開弁力により、吸入弁体31は、ばね33の付勢力に打ち勝って開弁し、吸入口32を開くように設定されている。
この状態にて、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bには電流が流れ、磁気付勢力により電磁プランジャ30cが図1の右方に移動し、ばね33が圧縮された状態が維持される。その結果、吸入弁体31が吸入口32を開いた状態が維持される。
電磁吸入弁機構30に入力電圧の印加状態を維持したまま、プランジャ2が吸入工程を終了し、圧縮工程へと移行した場合、プランジャ2が圧縮工程(図1の上方へ移動する状態)に移ると、電磁コイル30bへの通電状態を維持したままなので磁気付勢力は維持されたままであり、依然として吸入弁体31は開弁したままである。
加圧室11の容積は、プランジャ2の上昇運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁体31を通して吸入通路10d(吸入ポート30a)へと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称す。
この状態で、ECU27からの制御信号を解除して、電磁コイル30bへの通電を断つと、電磁プランジャ30cに働いている磁気付勢力は一定の時間後(磁気的,機械的遅れ時間後)に消去される。吸入弁体31にはばね33による付勢力が働いているので、電磁プランジャ30cに作用する電磁力が消滅すると吸入弁体31はばね33による付勢力で吸入口32を閉じる。吸入口32が閉じるとこのときから加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇する。
そして、加圧室11に残っている燃料が加圧され、加圧室11の燃料圧力が吐出口12の部分の圧力以上になると、吐出弁機構8、吐出口12を介して高圧配管29に吐出され、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称す。すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。
そして、電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bへの通電を解除するタイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル30bへの通電を解除するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。
すなわち、吸入通路10d(吸入ポート30a)に戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、入力電圧を解除するタイミングを遅くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく、吐出工程の割合が小さい。
すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。
電磁コイル30bへの通電を解除するタイミングは、ECUからの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイル30bへの通電を解除するタイミングを制御することで、高圧に加圧されて吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することができる。
かくして、燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプハウジング1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、吐出口12からコモンレール23に圧送される。
コモンレール23には、インジェクタ24,圧力センサ26が装着されている。インジェクタ24は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、エンジンコントロールユニット(ECU)27の制御信号にしたがって開閉弁して、燃料をシリンダ内に噴射する。
コモンレール23の入口にはオリフィス25が設けられており、これによりコモンレール23内への圧力オーバーシュートの伝播が遮断され、インジェクタ24に安定した圧力の燃料を供給できる。
ポンプハウジング1にはさらに、吐出弁8bの下流側と吸入通路10cとを連通するリリーフ通路210,215が設けられている。
リリーフ通路210,215には燃料の流れを吐出通路から吸入通路10cへの一方向のみに制限するリリーフ弁202が設けられている。具体的構成は図2に基づき説明する。
リリーフ弁機構200はリリーフ弁シート201,リリーフ弁202,リリーフ押さえ203,リリーフばね204,リリーフばねアジャスタ205からなる。
ポンプハウジング1にリリーフ弁シート201を圧入固定し、オリフィスプレート214をポンプハウジング1とリリーフ弁シート201の間にはさみ込む形で固定する。リリーフ弁202はリリーフ押さえ203を介して、リリーフばね204の押付け力によってリリーフ弁シート201に圧着されている。リリーフ弁202の開弁圧力は、リリーフばね204にて発生する押付け力によって決定されるが、この押付け力は、リリーフばねアジャスタ205の外周に螺刻されたねじを、ポンプハウジング1に螺刻されたねじに組み込み、リリーフばね204の圧縮量を調整することによって決定する。燃料はOリング213により外部への燃料をシールしている。
以下リリーフ弁の動作について説明する。リリーフ弁202は、押付け力を発生するリリーフばね204によりリリーフ弁シート201に押し付けられており、吸入室内とリリーフ通路内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁202がリリーフ弁シート201から離れ、開弁するように設定している。オリフィスプレート214はリリーフ通路210の途中に設けられ、リリーフ通路210内の圧力の急変によってリリーフ弁202が過敏に開かないようにしている。
インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等に異常高圧が発生した場合、リリーフ通路210と吸入通路10cの差圧がリリーフ弁202の開弁圧力以上になると、リリーフ弁202が開弁し、異常高圧となった燃料はリリーフ通路210から吸入通路10cへと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
第一実施例では、吐出弁機構8,電磁吸入弁機構30が加圧室11を挟んで同軸にシリーズに配置されており、リリーフ弁機構200は吐出弁機構8,電磁吸入弁機構30の取付け軸線に対して並行にポンプハウジングに形成されたリリーフ弁取付け穴に組みつけられている。
以下に高圧燃料ポンプの構成,動作を図1,図2を用いてさらに詳しく説明する。
ポンプハウジング1には中心に加圧室11としての凹部1Aが形成されており、この加圧室11の内周壁から吐出口12の間に吐出弁機構8装着用の凹所11Aが形成されている。さらに加圧室11に燃料を供給するための電磁吸入弁機構30を取付けるための孔30Aが吐出弁機構装着用の凹所11Aと同一軸線上で、ポンプハウジングの外側壁に設けられている。
加圧室11としての凹部1Aの中心軸線に対して、吐出弁機構8装着用の凹所11Aと電磁吸入弁機構30を取付けるための孔の軸線は直角に交わるように形成されている。
加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構8が設けられている。
また、プランジャ2の進退運動をガイドするシリンダ6が加圧室11に臨むようにして取り付けられている。
第一の実施例では吐出弁機構8装着用の凹所11Aと電磁吸入弁機構30を取付けるための孔30Aの軸線とが同一軸線になるように形成したが、これによれば、電磁吸入弁機構30を取付けるための孔30Aから吐出弁機構8の装着用の凹所11Aにまっすぐ組み付けることができる。あるいは、吐出弁機構8を圧入する際の力を電磁吸入弁機構30を取付けるための孔30Aから加えることができる。この場合、孔30Aの直径は最小径部において、吐出弁機構8の最大外径より大きく構成される必要がある。
しかし、これらの孔や凹所の軸線を周方向にあるいは上下方向にずらすこともできる。
この場合、吐出弁機構8はシリンダ6取付け用の開口1B側から組み付けることになる。
シリンダ6は外周がシリンダホルダ7で保持され、シリンダホルダ7の外周に刻設された雄ねじを、ポンプハウジング1に螺刻された雌ねじにねじ込むことによってポンプハウジング1に固定される。シリンダ6は加圧室11内で進退運動するプランジャ2をその進退運動方向に沿って摺動可能に保持する。
実施例では吐出弁機構8を凹所11Aに装着した後、シリンダ6を取付け用の開口1Bに装着する。
これによって、凹所11Aに装着された吐出弁機構8の内側端部に対面する位置までシリンダ6の先端部を挿入でき、これによって、加圧室11の燃料収容容積を小さくできるので、燃料の圧縮効率が向上することができる。
また、実施例ではシリンダ6の外周に形成されたフランジ状の環状面部とポンプハウジング1の開口1Bの端面との突合せ面S1で金属シール部を構成し、加圧室11を大気から隔離している。一般に、高圧燃料供給ポンプにおいては加圧室11内の圧力変動によって発生するキャビテーションによって突合せ面S1が侵食される虞があるが、このようにシリンダ6を加圧室内に突出させることで、シールのための突合せ面S1をキャビテーションの発生箇所から遠ざけることができ、浸食の可能性を低減できる。
実施例では、吐出弁機構8を装着後、筒状部材11Dを凹所1Aの底(図1では上端部)の内周に圧入して固定することで吐出弁機構8の抜け止めを構成している。
この筒状部材11Dは加圧室11の容積を小さくして燃料の圧縮効率を高める機能も持っている。なお、筒状部材11Dを装着しない場合はシリンダ6を吐出弁機構8の抜け止めに用いることができる。
この筒状部材11Dを設けた場合は、シリンダ6を抜け止めとして用いる必要がないので、シリンダ6の長さを短くして、吐出弁機構8の位置まで届かないように構成することもできる。
また、吐出弁機構8を凹所11Aに圧入後、たとえば加圧室側11周縁をポンプハウジングの内壁に加締め付けるなどして、吐出弁機構8自体に抜け止めを設けることもできる。この場合においては、筒状部材11Dは必要ない。また、シリンダ6の長さを短くして、吐出弁機構8の位置まで届かないように構成すれば、シリンダ6を先に固定し、その後吐出弁機構8を凹所11Aに装着することも可能である。
プランジャ2の下端には、エンジンのカムシャフトに取付けられたカム5の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット3が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット3に圧着されている。これによりカム5の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に進退(往復)運動させることができる。
また、シリンダホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13がシリンダ6の図中下端部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されており、燃料が外部に漏れることを防止する。同時にエンジンルーム内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプハウジング1の内部に流入するのを防止する。
ダンパカバー14には、ポンプ内で発生した圧力脈動の燃料配管28への波及を低減させる圧力脈動低減機構9が固定されている。
ダンパカバー14は、ポンプハウジング1に固定されており、低圧通路としての吸入通路は10a,10b,10cからなる。プランジャ2の往復運動に伴ってポンプ内で発生する圧力脈動の燃料配管28への波及を低減させる圧力脈動低減機構9は2組の金属ダイアフラム組体9A,9Bからなる。金属ダイアフラム組体9A,9Bはそれぞれ2枚の金属ダイアフラムがその外周部で溶接接合され、内部には不活性ガスが注入されている。ポンプハウジング1には吸入通路の一部を構成するダンパハウジング10Bが設けられており、このダンパハウジング10B内に2組の金属ダイアフラム組体9A,9Bが収納されている。2組の金属ダイアフラム組体9A,9Bは互いに特定の間隔を保つように周縁部に支持部材10A1,10A2が配置されている。ダンパハウジング10Bの内周に設けたねじ溝10Cにダンパカバー14の外周に刻設したねじを螺合し、シール部材10Dを押圧してシールすることで、ダンパ室が密閉される。これにより、吸入通路10内にダンパ室が画成され、圧力脈動低減機構9が形成される。ダンパカバー14と金属ダイアフラム組体9Aとの間、金属ダイアフラム組体9A,9Bとの間にも通路10Eによって吸入燃料が導かれ、4枚のダイアフラムには基本的に同じ圧力が作用する。
なお、この実施例では、ダンパカバー14をねじ止めによってポンプハウジングに固定したが、例えばP位置で全周を溶接することで固定することもできる。この場合は、溶接によってシールもできるので、第一実施例のシール部材10Dは廃止できる。
また、この場合、金属ダイアフラム組体を固定する力がなくなるので、金属ダイアフラム組体9A,9Bの固定はダンパカバー14の固定とは別に設けることが好ましい。
また、ねじ止めした後溶接することもできる。この場合、シール部材が廃止できると共に、本実施例と同じようにねじ止めの締め付けトルクで金属ダイアフラム組体9A,9Bを固定することが可能となる。
吐出口(吐出側配管接続部)12はポンプハウジング1に形成されており、吸入口10aから吐出口12に至る燃料通路の途中に、燃料を加圧する加圧室11が形成されている。加圧室11の入り口には電磁吸入弁機構30が設けられている。吸入弁体31は電磁吸入弁機構30内に設けられた吸入弁ばね33によって吸入口を閉じる方向に付勢力がかけられている。これにより電磁吸入弁機構30は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
具体的構成及び動作については上述したとおりである。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8はシート部材(シート部材)8a,吐出弁8b,吐出弁ばね8c,吐出弁ストッパとしての保持部材8dからなる。加圧室11と吐出口12との間に燃料の差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力でシート部材8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11内の燃料圧力が、吐出口12の燃料圧力よりも所定の値だけ大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに抗して開弁し、加圧室11内の燃料は吐出口12を経てコモンレール23へと吐出される。
吐出弁8bは開弁した際、保持部材8dと接触し、動作を制限される。したがって、吐出弁8bのストロークは保持部材8dによって適切に決定せられる。もし、ストロークが大きすぎると、吐出弁8bの閉じ遅れにより、燃料吐出口12へ吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまうので、高圧ポンプとしての効率が低下してしまう。また、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁8bがストローク方向にのみ運動するように、保持部材8dにてガイドしている。以上のように構成することで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
戻し工程中に、吸入通路10dへ戻された燃料により吸入通路10には圧力脈動が発生する。この圧力脈動は金属ダイアフラム組体9A,9Bが膨張,収縮することで吸収低減される。戻し工程中、燃料は吸入通路10aから吸入配管28を通して僅かに逆流するのみであり、大部分は金属ダイアフラム組体9A,9Bの容積変化によって吸収される。
図2に戻って、本発明の参考例を説明する。リリーフ通路215は、吸入通路10cに接続されている。これにより、リリーフ弁202の出口は圧力脈動低減機構9と前記吸入弁32の間に接続される。
オリフィスプレート214には図5,図6に示すように1個、または2個以上のオリフィスが設けられている。
次に、高圧燃料供給ポンプによって、正常に燃料がコモンレール23へと高圧圧送されている場合について基本動作を説明する。
プランジャ2が上昇中すなわち圧縮工程中の、戻し工程から加圧工程に移行する瞬間から、直後にかけて加圧室11内では圧力オーバーシュートが発生する。加圧室11で発生した圧力オーバーシュートは吐出口12からリリーフ通路210,オリフィスプレート214へと伝播していく。オリフィスプレート214まで伝播してきた圧力オーバーシュートは、オリフィス214a,214b,214cによってリリーフ通路211への伝播を妨げられ、リリーフ通路211における圧力オーバーシュートはリリーフ弁201の開弁圧力以上にはならない。したがって、リリーフ弁の入口と出口との圧力差がリリーフ弁の開弁圧力以上にはならず、リリーフ弁が誤動作することはなく、高圧吐出される燃料の量の低下もない。
以上のポンプ構成において、吐出弁ストッパとしての保持部材8dは吐出弁8b,吐出弁ばね8cを入れた状態でシート部材8aに軽い圧入で嵌合されており、吐出弁機構8として、加圧室11側からポンプハウジング1に圧入によって組み付けられる。
これによって、組立性の向上をはかることができる。また、吐出弁機構8と吐出配管接続部12の間にリリーフバルブに至る燃料通路を接続することにより、容易にリリーフバルブをポンプに内蔵することができる。
ポンプハウジング1には吐出弁機構8のストッパ部を設け、加圧室11側にはシート部材8aの抜け止め部を設けたシリンダ6を設け、シート部材8aとシリンダ6にはシート部材8aとポンプハウジング1の圧入嵌合長より小さい隙間が設けてある。
これによって、シート部材とポンプハウジングの圧入嵌合力(圧入締代)を小さくしてもシート部材が抜け出すことがないので、圧入嵌合力(圧入締代)を大きくする必要がなく、圧入時のシート部の変形による弁シート性の悪化を防止することができる。従って、圧入嵌合力(圧入締代)の公差幅の管理をラフにでき、安価な加工ができる。
また、シート部材8aとシリンダ6の間に隙間があるため、組立時の各部の寸法公差による位置ずれを隙間で吸収でき、また、ポンプ動作時にシート部材8aが隙間分移動しても圧入嵌合部を確保できるため、圧入部のシール性を維持できる。
本実施例では、吐出側配管ジョイントがねじ込まれる吐出口12の内径は吐出弁機構8の外径の最も大きいシート部材8aの外径と同じかそれより小さくすることもできる。その結果、吐出口とジョイントとの間のシール部の面積が、小さくでき、シール部の受圧面積を小さくすることができるという効果が得られる。
シリンダ6は外周がシリンダホルダ7で保持されている。シリンダホルダ7はフランジホルダ40の内周に螺刻されたねじを、ポンプハウジング1に螺刻されたねじにねじ込むことによって推力を得、シリンダ6をポンプハウジング1に固定している。シリンダ6は加圧部材であるプランジャ2を上下に摺動可能に保持する。
また、高圧燃料供給ポンプのエンジンへの固定は、フランジホルダ40およびフランジ41により行われる。フランジホルダ40は、フランジ41を介して止めねじ42によりエンジンへ圧着固定される。フランジホルダ40は内周に螺刻されたねじにより、ポンプハウジング1に固定されているので、ポンプハウジングはこれによりエンジンへ固定される。
リリーフ通路215は、吸入通路10cを介して圧力脈動低減機構9が設けられた吸入通路10bに接続されている。これにより、リリーフ弁202の出口は圧力脈動低減機構9と前記吸入弁32の間に接続される。
参考例のオリフィスプレート214には1個、または2個以上のオリフィスが設けられている。
図5,図6に参考例のオリフィスプレート214の例を示す。図5に示すのは一つのオリフィス214aを設けた例である。図6は4個のオリフィス214b、さらには多数のオリフィス214cを設ける例である。この場合、複数個のオリフィスは燃料の粘性が影響するほどに小さな径とする。以下、この参考例としてのオリフィスの機能について説明する。
まず、高圧燃料供給ポンプによって、正常に燃料がコモンレール23へと高圧圧送されている場合について説明する。
高圧燃料供給ポンプが吐出工程中は、加圧室11内では圧力オーバーシュートが発生する。加圧室11で発生した圧力オーバーシュートは吐出口12からリリーフ通路210,オリフィスプレート214へと伝播していく。オリフィスプレート214まで伝播してきた圧力オーバーシュートは、オリフィス214a(214b,214c)によってリリーフ通路211への伝播を遮断され、リリーフ通路211における圧力オーバーシュートを小さくすることができる。これにより、リリーフ弁の誤動作をなくし、高圧吐出される燃料の低下量も低減できる。すなわち、高圧燃料供給ポンプとしての効率を高水準に維持できる。
なお、加圧室11で発生した圧力オーバーシュートは吐出口12を経て高圧配管29からコモンレール23へも伝播していく。コモンレール23の入口にはオリフィス25が設けられており、これによりコモンレール23内への圧力オーバーシュートの伝播が遮断され、インジェクタ24に安定した圧力の燃料を供給できる。
次に、インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等の高圧部に異常高圧が発生した場合について説明する。
図7は、高圧燃料供給ポンプから高圧吐出される燃料の量と、コモンレール23内の圧力の関係を示したものである。一般的に、リリーフ弁202の開弁圧力が同じでも、高圧吐出される燃料が多いほどコモンレール23内の燃料圧力は必ず高くなる。
一方、図2のように参考例のオリフィスプレート214等により、リリーフ弁202の入口にオリフィスを設けると、前述のように通路210で発生する圧力オーバーシュートによるリリーフ弁202の誤動作を低減することができる。しかし、圧力オーバーシュートのリリーフ弁202への伝播を遮断するには、オリフィス214aを非常に小さくしなくてはならない。異常高圧が発生した場合は、高圧燃料はこのオリフィス214aを通過してリリーフ通路215から、吸入通路10bへと戻されるが、オリフィス214で圧力損失が発生するので、結果としてコモンレール23等での燃料圧力がリリーフ弁202の開弁圧力よりも非常に大きくなってしまう。これでは高圧配管部の耐圧性やコストが問題になってしまう。
一方、図6のように燃料の粘性が影響する程に小さなオリフィス214b,214cを複数個設ければ、圧力オーバーシュートのリリーフ弁202への伝播を遮断することができ、かつ異常高圧発生時も、コモンレール23等の圧力の上昇を押さえることができる。
なぜならば、一つ一つのオリフィス214b,214cの通路面積は小さいが、これらの合計通路面積は十分大きくすることができ、オリフィス214部での圧力損失は発生しないからである。これにより、高圧配管部の耐圧性やコストが問題を回避できる。
また、異常高圧となった燃料が、吸入通路10bへと開放される際、燃料は急激に圧力が低下するので、これにより吸入通路10b内では非常に大きな圧力脈動が発生する。しかし、吸入通路10bには圧力脈動低減機構9が設けられており、これによりこの圧力脈動を十分に低減できるので、低圧配管28への圧力脈動伝播を防止することができ、配管の破損が防止される。
また、オリフィスプレート214の代りにメッシュ構造をもった焼結金属等を設けても同じ効果が得られる。
なお、この実施例ではリリーフ通路の出口を吸入(低圧)通路に接続したものを説明したが、リリーフ弁を加圧室に近い位置、好適には加圧室内に設けることができて、圧縮効率が低下しさえしなければリリーフ通路の出口を加圧室に接続し、異常高圧時に燃料を加圧室に戻すこともできる。
次に、図1及び図8ないし図18に基づき第一の実施例を説明する。
まず、図8ないし図10を用いてリリーフ弁機構B200の具体的構造について説明する。
リリーフ弁機構B200は、リリーフ弁シートB201と一体であるリリーフ弁ハウジングB206,リリーフ弁B202,リリーフ押さえB203,リリーフばねB204,リリーフばねアジャスタB205からなる。リリーフ弁機構B200は、サブアセンブリとしてポンプハウジング1の外部で組立て、その後にポンプハウジング1に圧入によって固定する。
まず、リリーフ弁ハウジングB206に、リリーフ弁B202,リリーフ押さえB203,リリーフばねB204の順に順次挿入し、リリーフばねアジャスタB205をリリーフ弁ハウジングB206に圧入固定する。このリリーフばねアジャスタB205の固定位置によって、リリーフばねB204のセット荷重を決定する。リリーフ弁B202の開弁圧力は、このリリーフばねB204のセット荷重によって決定せられる。こうしてできたリリーフ弁機構B200を、ポンプハウジング1に圧入固定する。第二実施例では、リリーフ通路211はシリンダ6に対して並行にポンプハウジング1に一体形成されている。
次いで、図11,図12,図13を用いて吐出弁機構8の機能について説明する。加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a,吐出弁8b,吐出弁ばね8c,吐出弁ホルダ8dからなり、吐出弁8bは吐出弁ホルダ8dによって摺動可能に保持され、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、ストローク方向にのみ運動するよう吐出弁ホルダ8dにてガイドしている。また、吐出弁8bは開弁した際、吐出弁ホルダ8dの接触部8d3にて接触し、動作を制限させられる。こうすることで、吐出弁8bの閉じ遅れにより、吐出口12へ高圧吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまい、高圧ポンプとしての効率低下してしまうことはない。
吐出弁ホルダ8dには吐出口8d1、およびリリーフ口8d2,戻し口8d4が開けられている。リリーフ口8d2はリリーフ通路211と連通されている。高圧燃料供給ポンプが吐出工程にあるときは、図12のように吐出弁8bが開弁状態にある。吐出弁8bは吐出弁ホルダ8dと、接触部8d3にて接触し、この部分で燃料をシールしているので、吐出口12とリリーフ通路211は遮断され、非連通となる。
一方、高圧燃料供給ポンプが吸入および戻し工程にあるときは、図13のように吐出弁8bが閉弁状態にある。吐出弁8bは吐出弁シート8a上のシート部8a3にて吐出通路12と加圧室11を遮断する。これにより、加圧室内11内の圧力がプランジャ2の運動により低圧になっても、吐出通路12内の高圧燃料が加圧室11へと逆流することはない。また、接触部8d3では、吐出弁8bと吐出弁ホルダ8dの間に吐出弁8bのストローク分だけの隙間が生じ、この隙間を通して吐出口12とリリーフ通路211が連通されるようになっている。すなわち、吐出工程時は吐出口12とリリーフ通路211は非連通となり、吸入工程および戻し工程時は、吐出口12とリリーフ通路211は連通となる。
つぎに、高圧燃料供給ポンプによって、正常に燃料がコモンレール23へと高圧圧送されている場合について説明する。
吐出工程の間には、加圧室11で高圧に加圧された燃料は、図12のように吐出口12を介して、高圧配管29によりコモンレール23へと供給される。
このとき、加圧室11内では圧力オーバーシュートが発生する。加圧室11で発生した圧力オーバーシュートは吐出口12へと伝わっていくが、この時に吐出弁8bは開弁状態である。すなわち上記の如く、吐出口12とリリーフ通路211は非連通となっているので、この圧力オーバーシュートはリリーフ通路211には伝播しない。
したがって、加圧室11で圧力オーバーシュートが発生しても、リリーフ弁B202は誤動作しない。このことは、高圧燃料供給ポンプからコモンレール23へと吐出される流量が低下しないことを意味する。
一方、吸入工程、および戻し工程時は、吐出口12とリリーフ通路211は連通となるが圧力オーバーシュートは存在しないので、リリーフ弁B202は誤動作しない。すなわち、高圧燃料供給ポンプからコモンレール23へと吐出される流量が低下しない。
さらに、インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等の高圧部に異常高圧が発生した場合について説明する。
吐出工程時は、上述の如く吐出通路12とリリーフ通路211は非連通であるので、異常高圧となった燃料は、リリーフ弁B202に到達することができない。
吸入工程及び戻し工程時は、上述の如く吐出口12とリリーフ通路211は連通となる。
したがって、異常高圧になった燃料は吐出口12からリリーフ通路211を通して、リリーフ弁B202へと達する。そして、リリーフ弁B202を通過した燃料は、リリーフばねアジャスタB205にあけられた逃がし通路B205aを通って低圧部である吸入通路10bへ開放される。これにより、コモンレール23等の高圧部の保護がなされる。
また、異常高圧となった燃料が、吸入通路10bへと開放される際、燃料は急激に圧力が低下するので、これにより吸入通路10b内では非常に大きな圧力脈動が発生する。しかし、吸入通路10bの更に上流には圧力脈動低減機構9が設けられており、これによりこの圧力脈動は十分に低減できるので、低圧配管28への圧力脈動伝播を防止することができ、配管の破損を防止することができる。
次に、図14,図15,図16,図17,図18を用いて、上述のような機能を持った吐出弁機構8の構造について説明する。
吐出弁機構8は、ポンプハウジング1に組み込まれる前に、ポンプハウジング1の外でサブアセンブリとして組立てる。吐出弁ホルダ8dに、吐出弁ばね8c,吐出弁8b,吐出弁シート8aの順に順時挿入し、吐出弁シート8aを吐出弁ホルダ8dに圧入部8a1にて圧入固定する。
こうしてできた吐出弁機構8をポンプハウジングに圧入固定する。圧入箇所は、吐出弁シート8aの側面部である圧入部8a2と、吐出弁ホルダ8dの側面である圧入部8d5である。吐出弁ホルダ8dの側面は、円筒形状上に平行な2面の平面8d6をカットした形状とする。すなわち、吐出弁ホルダ8dの側面は円筒形の圧入部8d5、および平面部8d6からなる。
2つの吐出口8d1はこの2つの平面部8d6に接続するよう加工する。2つのリリーフ口8d2は円筒形状の圧入部8d5に接続するよう加工する。そうして、吐出弁機構8をポンプハウジング1に圧入する際には、吐出弁ホルダ8dに加工されたリリーフ口8d2と、ポンプハウジング1に加工されたリリーフ通路211とが重なるように圧入固定する。なお、ポンプハウジングの圧入部は円筒形状に加工されている。
吐出工程時は、図15および図17のように、加圧室11で加圧された燃料は吐出口8d1から、吐出弁ホルダ8dの側面に加工された平面部8d6とポンプハウジング1の隙間を通って吐出通路12へと吐出されていく。この時、リリーフ通路211と吐出通路12は、吐出弁ホルダ8d上の接触部8d3によって遮断され非連通となっている。したがって、加圧室11内で発生した圧力オーバーシュートは、リリーフ弁B202へと伝播しない。
また、インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等の高圧部に異常高圧が発生した場合は、図16および図18のように、接触部8d3では、吐出弁8bと吐出弁ホルダ8dの間に吐出弁8bのストローク分だけの隙間が生じ、この隙間を通して吐出口12とリリーフ通路211が吐出弁ホルダ8dに設けられた連通口8d4およびリリーフ口8d2を介して連通されるようになっている。
したがって、異常高圧となった燃料はリリーフ弁B202へと達することができ、リリーフばねアジャスタB205にあけられた逃がし通路B205aを通って低圧部である吸入通路10bへ開放される。
また、ポンプハウジング1の外で組立てられた吐出弁機構8は、吐出弁ホルダ8dの圧入部8d5および吐出弁シート8a2でポンプハウジング1との間で圧入固定される。特に8d5とポンプハウジング1との圧入部は、これにより吐出通路12とリリーフ通路211の間を遮断する構造となっている。
この圧入部8d5とポンプハウジング1の間を、燃料の粘性が影響するほどに微小なクリアランスとしても良い。これにより、上記効果と同じ効果を得ながら、吐出弁機構8のポンプハウジング8への圧入荷重を低減することができ、高圧燃料供給ポンプの組立て性が向上する。