JP4941693B2 - シリコンナノパーティクルのパターニング方法及びこの方法に用いる有機分子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の形状にシリコンナノパーティクルを吸着させる方法、すなわち、シリコンナノパーティクルのパターニング方法及びこの方法に用いる有機分子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のナノテクノロジーの気運の高まりとともに、ナノパーティクル、カーボンナノチューブ、自己組織化膜などのナノスケールの人工構造物を組み合わせ、より高次な機能を有する新規な分子素子、ナノデバイスを作製する手法の確立が必要とされている。
人工的にナノ構造物をアッセンブルする有望な手法として、ナノ構造自身を機能化し、発現する特異な化学的、電気的相互作用を人為的に制御することで、高次構造を構築することが考えられる。
特に、自己組織化単分子膜(SAM膜)は、末端基を様々に化学修飾することができ(機能化)、このような特質を生かした高次ナノ構造のデバイス等が出現することが期待されている。
例えば、シリコン(Si)ナノパーティクルは、量子閉じ込め効果、可視光発光といったバルク結晶では実現できない機能を有しており、Siナノパーティクルを使用したSET(Single Electron Transistor)、発光デバイスといったデバイスが模索されている。
【0003】
このようなデバイスの実現には、Siナノパーティクルの形成方法と共に、Siナノパーティクルから成る層または膜を任意の形状に加工する技術、すなわち、パターニング技術が必要とされる。
しかしながら、Siナノパーティクルはナノメーターサイズの粒子であるため、取り扱いが難しく、特に、蒸着などの手段でSiナノパーティクルを基板に堆積して用いる場合にはSiナノパーティクルと基板との結合力が弱いために、従来の半導体プロセス技術を用いてパターニングすることは難しかった。
また、Siナノパーティクル供給源と基板との間にマスクを配置して、供給源からのSiナノパーティクルを遮蔽してパターニングする方法もあるが、Siナノパーティクルの回り込みの問題があり、サブミクロンの精度を必要とするデバイスの作製には適用できない。
【0004】
また、自己組織化単分子膜は、界面が活性な有機分子の極性部分と基板表面との相互作用により有機分子が表面に吸着すると共に、非極性部分に働く分子間相互作用によって有機分子同士が集合して表面上に整然と並ぶことで形成される単分子膜であり、従って、自己組織化単分子膜は正確に一分子層の厚さを有し、また、種々の機能を有する有機物分子を、自己組織化単分子膜として用いることができる。自己組織化単分子膜の表面にSiナノパーティクルを選択吸着させることができれば、Siナノパーティクル層のパターニングのみならず、たとえば、特異な機能を有する有機分子からなる一分子層を、Siナノパーティクル層と基板で挟んだ任意形状の量子デバイスが可能になる。
しかしながら、従来技術では、自己組織化単分子膜の表面にSiナノパーティクルを選択的に吸着させることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑み、シリコンナノパーティクルをサブマイクロメーターの精度でパターニングする方法及びこの方法に用いる有機分子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルカンチオールに官能基を修飾することによって、アルカンチオールからなる自己組織化単分子膜の表面が、シリコンナノパーティクルを選択的に吸着、または、非吸着になることを見いだした。本発明者らは、この発見を基に本発明に到達したものである。
上記課題に鑑み、本発明のシリコンナノパーティクルのパターニング方法は、マイクロコンタクトプリンティング法により、パターニングされた自己組織化膜を基板上に形成し、基板上にシリコンナノパーティクルを供給し、自己組織化膜がシリコンナノパーティクルを吸着しないことを利用してパターニングすることを特徴とする。
また、自己組織化膜を構成する有機分子は、有機分子の一端に、ハロゲン基、カルボキシル基、オレフィン基、アンモニア基、または水酸基のいずれか一つの官能基を有するアルカンチオールであることを特徴とする。
また、ハロゲン基は、例えば、−CF3 である。
この構成によれば、マイクロコンタクトプリンティング法によって、基板上に所望の形状に、サブマイクロメーターの精度でパターニングされた自己組織化膜を形成し、シリコンナノパーティクルを基板上に供給すれば、自己組織化膜を構成する有機分子がシリコンナノパーティクルを吸着しないので、サブマイクロメーターの精度でパターニングされた自己組織化膜の存在しない領域に、シリコンナノパーティクル層を形成することができる。
【0007】
また、本発明のシリコンナノパーティクルのパターニング方法は、マイクロコンタクトプリンティング法により、サブマイクロメーターの精度でパターニングされた自己組織化膜を基板上に形成し、基板上にシリコンナノパーティクルを供給し、自己組織化膜がシリコンナノパーティクルを吸着することを利用してパターニングすることを特徴とする。
また、自己組織化膜を構成する有機分子は、この有機分子の一端にアルキル基を有するアルカンチオールであることを特徴とする。
アルキル基は、例えば、−CH3 である。
この構成によれば、マイクロコンタクトプリンティング法によって、基板上に、所望の形状に、サブマイクロメーターの精度でパターニングされた自己組織化膜を形成し、シリコンナノパーティクルを基板上に供給すれば、自己組織化膜を構成する有機分子がシリコンナノパーティクルを選択的に吸着するので、自己組織化膜の表面にシリコンナノパーティクルをパターニングすることができる。
【0008】
また上記の、シリコンナノパーティクルのパターニング方法に用いる有機分子は、ハロゲン基、カルボキシル基、オレフィン基、アンモニア基及び水酸基のいずれか一つの官能基で修飾されシリコンナノパーティクルを吸着しないアルカンチオールであるか、又は、アルキル基を有しシリコンナノパーティクルを吸着するアルカンチールであることを特徴とする。この有機分子からなる自己組織化膜を用いれば、シリコンナノパーティクルを吸着したり、吸着しなかったりすることでシリコンナノパーティクルのパターニングができる。
【0009】
本発明によれば、シリコンナノパーティクル層を、サブマイクロメーターの精度の任意の形状に加工することができる。また、有機分子からなる一分子層をSiナノパーティクルと基板で挟んだサブマイクロメーター精度の任意形状の量子デバイスが形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のシリコンナノパーティクルのパターニング方法、及びシリコンナノパーティクルの選択吸着方法を示す図である。
始めに、図1(a),(b)に示すように、基板1上に、通常の半導体フォトリソグラフィ技術を用いてレジストパターン2を形成し、基板1上にPDMS(ポリジメチルシロキサン)を流し込んで固めてパターンを写し取ったPDMSフィルム3を作製する。
次に、図1(c)に示すように、PDMSフィルム3を、自己組織化膜を構成する有機分子を含む溶液に浸漬し、PDMSフィルム3に有機分子4を付着させる。
この際、シリコンナノパーティクルを自己組織化膜に吸着させないことを目的にする場合には、有機分子の一端を、ハロゲン基、カルボキシル基、アンモニア基、水酸基、またはオレフィン基のいずれか一つの官能基で修飾した有機分子を含む溶液を使用する。
また、シリコンナノパーティクルの吸着を目的とする場合には、有機分子の一端を、−CH3 等のアルキル基で修飾した有機分子を含む溶液に漬ける。
次に、有機分子4を付着させたPDMSフィルム3を、基板5に押しつけて、PDMSフィルム3の凸部分の有機分子4を基板5に転写し、レジストパターン2の反転パターンを有する自己組織化膜6を形成する。
【0011】
続いて、自己組織化膜6を形成した基板5上にシリコンナノパーティクル7を供給する。供給手段は、シリコンナノパーティクルを供給できる手段であれば、蒸着法でも、CVD(化学気相成長法)でも、その他の手段でも良い。
【0012】
シリコンナノパーティクルを吸着させない有機分子4を用いた場合には、図1(e)に示すように、シリコンナノパーティクルが自己組織化膜6上には吸着せず、また、基板5の表面がSiO2 等のシリコンナノパーティクル吸着物質で形成されていれば、自己組織化膜6の無い部分に吸着する。このようにして、シリコンナノパーティクルのパターニングができる。
【0013】
また、シリコンナノパーティクルの吸着する有機分子4を用いた場合には、図1(f)に示すように、シリコンナノパーティクルが自己組織化膜6上に吸着する。ここで、基板5の表面がSi等のシリコンナノパーティクル非吸着物質で形成されていれば、自己組織化膜6の無い部分には吸着しない。また、自己組織化膜6の無い部分にシリコンナノパーティクルを吸着しない自己組織化膜を埋め込んでおいても良い。このようにして、シリコンナノパーティクルのパターニングができる。
【0014】
なお、上記に説明した方法において、レジストパターンを形成し、このレジストパターンの反転パターンを有するPDMSフィルムを作製し、このフィルムに自己組織化膜を構成する有機分子を付着させ、この有機分子を転写してパターニングされた自己組織化膜を得る方法は、マイクロコンタクトプリンティング法と呼ばれており、サブマイクロメーターの精度でパターニングできる。
【0015】
自己組織化膜に用いる有機分子には、アルカン分子の一端をHS(チオール)で修飾した、すなわちアルカンチオールを用いることができる。以下に、用いることができるアルカンチオールの例を示す。HS(CHCH(Pentanthiol)、HS(CHOH(8−hydroxy−1−hexanthiol)、HS(CH10COOH(10−Carboxy−1−decanthiol)、HS(CHNH(8−Amino−1−hexanthiol)、HS(CF(CHCF(1,1,1,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−heptadecafluorodecanthiol)。
また、アルカン分子の一端をシランで修飾した、HN(CHNHCHCHCHSi(OCH;(N−(2−Aminoethy)aminopropiltrimethylsilane)も使用することができる。
【0016】
次に、本発明の実施例1を示す。
自己組織化膜を構成する有機分子として、アルカンチオール(HS(CH2 5 CH3 )分子の一端を、−COOH、−OH、−CF3 及び−NH2 の官能基で修飾した4種類の有機分子を作製した。
Siナノパーティクルをパターニングする基板として、Si基板を用いた。なお、Si基板は表面にSiO2 の自然酸化膜を有している。
Siナノパーティクルの供給手段は、レーザーアブレーション法を用いた。レーザーアブレーション条件は、YAGレーザーエネルギー:50mJ、くり返し周波数:1Hz、レーザー照射回数:100回、雰囲気ガス種:Ar、ガス圧:5Torrである。この条件で形成されるSiナノパーティクルの平均粒径は8nmであった。
【0017】
次に、試料の作製手順を示す。
1.Siウェハーをピラハー溶液(H2 SO4 +H2 2 )で洗浄した。
2.図1に示した方法で、パターンを有するPDMSフィルムを作製した。
3.PDMSフィルムを上記の有機分子の溶液(1mモル濃度、エタノール溶媒)に浸積した。
4.有機分子の付着したPDMSフィルムをSi基板に押しつけ、Si基板上に有機分子からなるパターニングされた自己組織化膜を形成した。
5.パターニングされた自己組織化膜を有するSi基板をレーザーアブレーション装置に配置し、Siナノパーティクルを供給した。
上記手順で作製した試料表面をAFM(Atomic Force Microscopy)で観察した。
【0018】
上記試料の測定結果を示す。
図2は、自己組織化膜を構成する有機分子が−NH2 基によって修飾されている場合のSi基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
図中、NH2 と表示されている部分は自己組織化膜であり、SiO2 と表示されている部分は、自己組織化膜の無いSiO2 部分である。SiO2 上の白い斑点はSiナノパーティクルである。
図から明らかなように、Siナノパーティクルは、自己組織化膜上には吸着しておらず、SiO2 上のみに吸着している。また、他の官能基を有する有機分子を用いた場合も同様に、自己組織化膜上には吸着せず、SiO2 上のみに吸着した。
このことから、−COOH、−OH、−CF3 及び−NH2 の官能基で修飾したアルカンチオールはSiナノパーティクルを吸着しないことがわかる。
すなわち、これらのアルカンチオールを用いてパターニングすれば、所望の形状にSiナノパーティクルをパターニングすることができる。
【0019】
次に、実施例2を示す。
自己組織化膜を構成する有機分子として、アルカンチオール(HS(CHCH)分子の一端を、−CH3、−COOH、−OH及び−NHの官能基で修飾した4種類の有機分子を作製した。
自己組織化膜を形成する基板として、MICA(雲母)上にAuを50nm蒸着し、水素バーナーでアニールしたものを用いた。
この基板を、自己組織化膜を構成する有機分子の溶液(1mモル濃度、エタノール溶液)に1日浸漬して、基板上に自己組織化膜を形成した。
Siナノパーティクルの供給は、実施例1と同様にレーザーアブレーション法を用いた。
上記手順で作製した試料表面をSTM(Scanning Tunnel Microscope)で観察した。
【0020】
上記試料の測定結果を示す。
図3は、自己組織化膜を構成する有機分子が−CH3 基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
図中、白い斑点はSiナノパーティクルである。なお、黒い斑点は、自己組織化膜とAuとの相互作用によって生ずる自己組織化膜のエッチピットである。
図から明らかなように、Siナノパーティクルは、自己組織化膜上に吸着していることがわかる。
図4は、自己組織化膜を構成する有機分子が−COOH基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
自己組織化膜上にSiナノパーティクルが吸着していないことがわかる。
図5は、自己組織化膜を構成する有機分子が−OH基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
自己組織化膜上にSiナノパーティクルが吸着していないことがわかる。
図6は、自己組織化膜を構成する有機分子が−NH2 基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
自己組織化膜上にSiナノパーティクルが吸着していないことがわかる。
図3〜図6から明らかなように、自己組織化膜を構成する有機分子が−CH3 基によって修飾されている場合にのみSiナノパーティクルが吸着することがわかる。
【0021】
従って、Siナノパーティクルが吸着する官能基で修飾したアルカンチオールと、Siナノパーティクルが吸着しない官能基で修飾したアルカンチオールとを用いて、マイクロコンタクトプリンティング法を用いてパターニングすれば、マイクロメータの精度でSiナノパーティクル層をパターニングできる。また、任意の形状のSiナノパーティクルが吸着した自己組織化膜を得ることができ、例えば、有機分子からなる一分子層を、Siナノパーティクルと基板で挟んだ任意形状の量子デバイスを形成することができる。
【0022】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明の方法によれば、シリコンナノパーティクルをサブマイクロメーターの精度でパターニングすることができる。
また、本発明の方法によれば、自己組織化単分子膜の表面にSiナノパーティクルをサブマイクロメーターの精度で選択吸着させることができる。
また、本発明の有機分子は、シリコンナノパーティクルの吸着、または、非吸着が可能である。
したがって、本発明をSiナノパーティクルを用いるナノデバイスのパターニングに用いれば、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコンナノパーティクルのパターニング方法を示す図である。
【図2】自己組織化膜を構成する有機分子が−NH2 基によって修飾されている場合のSi基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
【図3】自己組織化膜を構成する有機分子が−CH3 基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
【図4】自己組織化膜を構成する有機分子が−COOH基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
【図5】自己組織化膜を構成する有機分子が−OH基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
【図6】自己組織化膜を構成する有機分子が−NH2 基によって修飾されている場合のAu基板上のSiナノパーティクルの分布を示す図である。
【符号の説明】
1 レジストパターンを形成する基板
2 レジストパターン
3 PDMSフィルム
4 有機分子
5 基板
6 自己組成化膜
7 シリコン(Si)ナノパーティクル

Claims (7)

  1. マイクロコンタクトプリンティング法により、パターニングされた自己組織化膜を基板上に形成し、この基板上にシリコンナノパーティクルを供給し、上記自己組織化膜がシリコンナノパーティクルを吸着しないことを利用してパターニングすることを特徴とする、シリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  2. 前記自己組織化膜を構成する有機分子は、この有機分子の一端に、ハロゲン基、カルボキシル基、オレフィン基、アンモニア基、または水酸基のいずれか一つの官能基を有するアルカンチオールであることを特徴とする、請求項1に記載のシリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  3. 前記ハロゲン基は、−CF3であることを特徴とする、請求項2に記載のシリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  4. マイクロコンタクトプリンティング法により、パターニングされた自己組織化膜を基板上に形成し、この基板上にシリコンナノパーティクルを供給し、上記自己組織化膜がシリコンナノパーティクルを吸着することを利用してパターニングすることを特徴とする、シリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  5. 前記自己組織化膜を構成する有機分子は、この有機分子の一端に、アルキル基を有するアルカンチオールであることを特徴とする、請求項4に記載のシリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  6. 前記アルキル基は、−CH3であることを特徴とする、請求項5に記載のシリコンナノパーティクルのパターニング方法。
  7. シリコンナノパーティクルのパターニング方法に用いる有機分子であって、
    上記有機分子は、
    ハロゲン基、カルボキシル基、オレフィン基、アンモニア基及び水酸基のいずれか一つの官能基で修飾されシリコンナノパーティクルを吸着しないアルカンチオール、又は、
    アルキル基を有しシリコンナノパーティクルを吸着するアルカンチオールであることを特徴とする、シリコンナノパーティクルのパターニング方法に用いる有機分子。
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