JP4948678B2 - 銅合金板材、これを用いたコネクタ、並びにこれを製造する銅合金板材の製造方法 - Google Patents
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Description
鉱物資源の低減や、部品の軽量化を背景に、材料の薄肉化が進行しており、なおかつバネ接圧を保つために、従来よりも高強度な材料が使用されている。その際、一般的に曲げ加工性は強度とトレードオフの関係にあるため、高強度の材料を従来通りの曲げ半径で加工すると、クラックが発生する問題が生じる。特に、車載端子や電子機器用途のコネクタなどにはU字型に180°に曲げる設計が必要な場合が多いが、曲げ部外側に大きな応力が付与されるため、曲げ加工性に乏しい材料では、クラックが発生し、コネクタの接圧低下による導通障害が問題になる。対策として、180°曲げする内側に複数のノッチ加工を施したり、密着曲げの設計から内側曲げ半径を大きく取る設計変更などを行ったりする場合があるが、曲げ部品の設計がプレスコストの低減や電子機器部品の小型化と両立できないという問題が生じている。
また、使用環境の高温化が進行している。例えば自動車部品では、二酸化炭素発生量の低減のために、車体軽量化をはかっており、従来、ドアに設置していたような、エンジン制御用のECUなど、電子機器をエンジンルーム内やエンジン付近に設置し、電子機器とエンジンの間のワイヤーハーネスを短くする動きが進んでいる。また、電気自動車化に伴って高電流の用途が増加すると、ジュール熱が問題になる。コネクタに使用される接点材料が100℃以上の高温に長くされされた場合、弾性限内の変位が塑性変位となり、端子嵌合部の接触圧力が低下する問題がある。そこで、耐応力緩和特性に優れた銅合金板材の開発が望まれている。
上記のような問題を解決するため、耐応力緩和特性に優れ、かつ、曲げ加工性を向上させた銅合金材料が要望されている。
特許文献1では、Cu−Ni−Si系銅合金において、結晶粒径と、{311}、{220}、{200}面からのX線回折強度がある条件を満たす様な結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献2では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{200}面および{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献3では、Cu−Ni−Si系銅合金において、Cube方位{100}<001>の割合を適宜制御することによって曲げ加工性が優れることが見出されている。
また、耐応力緩和特性向上の要求に対して、一般的に結晶粒径が大きいほど応力緩和し難い特徴があるため、それを利用して、Cu−Ni−Si系銅合金において耐応力緩和特性と曲げ加工性を両立させることが特許文献4などに示されている。
(1)NiとCoの少なくとも1種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.2mass%含み、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金組成よりなる板材であって、電子後方散乱回折測定における結晶方位解析における、材料表層のCube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率をW0、材料の深さ位置で全体の1/4の位置でのCube方位面積率をW4としたときに、W0/W4の比が0.8以上1.5以下、W0が5〜48%、平均結晶粒径が12〜100μmであることを特徴とする、180°密着曲げ加工性と耐応力緩和特性に優れた銅合金板材。
(2)さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有する(1)に記載の銅合金板材。
(3)Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が20%以下であることを特徴とする、(1)または(2)記載の銅合金板材。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
(5)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材の製造方法であって、
(1)又は(2)に記載の組成を有する銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I、II、III、IV、及びVによる処理をその順で施した後、加工率5〜40%の仕上げ圧延を行うことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程I:1パス加工率を30%以下とし各パス間の保持時間を20〜30秒とした熱間圧延工程]
[工程II:加工率80%〜99%の冷間圧延工程]
[工程III:300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程及びその後に行う加工率5〜50%の冷間圧延工程]
[工程IV:800〜1000℃で行う溶体化熱処理工程]
[工程V:350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理工程及び加工率5〜40%の仕上げ冷間圧延工程]
なお、本発明の銅合金板材は、その特性を圧延板の所定の方向における原子面の集積率で規定するものであるが、これは銅合金板材としてそのような特性を有していれば良いのであって、銅合金板材の形状は板材や条材に限定されるものではなく、本発明では、管材も板材として解釈して取り扱うことができるものとする。
材料の曲げ加工時のクラックが発生する原因を明らかにするために、本発明者らは、曲げ変形した後の断面の金属組織を電子顕微鏡及び電子後方散乱回折測定(以下、EBSDともいう)によって詳細に調査した。その結果、基体材料は均一に変形しているのではなく、特定の結晶方位の領域のみに変形が集中する、不均一な変形が進行することが観察された。そして、その不均一変形により、曲げ加工した後の基体材料表面には、数μmの深さのシワや、クラックが発生することが解った。
さらに、90°曲げ加工では歪みは板厚方向最表層に付与されるのに対し、180°曲げにおいては薄板の板厚方向最表層のみならず、板厚1/4位置まで大きく歪んでおり、表層から発達する局所変形領域に対し、表層近傍の結晶粒のみならず板厚1/4位置の深さまでの結晶粒が関与していることが解った。そして、その局所変形帯はCube方位粒にはあまり観察されず、Cube方位は不均一変形を抑制する効果があることが解った。その結果、板表面に発生するシワが低減され、クラックが抑制されることが解った。またBrass方位は曲げ変形後に局所変形が伴っていることが多く、曲げ性には悪影響を及ぼすことが解った。
板表層のBrass方位面積率は20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。Brass方位面積率を上記の範囲とすることが、同様に、高い曲げ加工性を実現し、これと材料強度との両立の観点から好ましい。
Cube方位とは、圧延面法線方向(ND)に(100)面を、圧延方向(RD)に(100)面を向いている状態であり、{0 0 1}<1 0 0>の指数で示される。
Brass方位とは、圧延面法線方向(ND)に(110)面を、圧延方向(RD)に(112)面を向いている状態であり、{1 1 0}<1 1 2>の指数で示される。
Cube方位及びBrass方位の面積率とは、各理想方位(上記Cube方位またはBrass方位)からのずれ角度が10°以内の領域の面積を、測定面積で割って算出したものである。
理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とした。図1に、Cube方位からのずれ角度が10°以内の方位の例を示した。ここでは、(100)及び(110)及び(111)の回転軸に関して、10°以内の方位を示しているが、あらゆる回転軸に関してCube方位との回転角度を計算した。回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用した。全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数第一位までを有効数字とし、Cube方位、Brass方位のそれぞれから10°以内の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、面積率とした。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。また、方位分布は板表面から測定した。
板厚1/4位置でEBSD測定にあたっては、電解研磨によって1/4位置までの表層部を溶解させた後、その面を鏡面研磨し、上記の板表層の場合と同様に測定した。
コネクタ用材料として好適に用いられる銅系材料は、純銅系と高強度銅系に分けられ、高強度銅系材料はさらに固溶型と析出型に分けられる。本発明においては、コネクタに要求される導電性、機械的強度および耐熱性を有する析出型銅合金が好ましい。特に、高強度と高導電性を両立させるためには、Cu−Ni−Si系、Cu−Ni−Co−Si系、Cu−Co−Si系合金が好ましい。
本発明において、銅(Cu)に添加する第1の添加元素群であるニッケル(Ni)とコバルト(Co)とケイ素(Si)について、それぞれの添加量を制御することにより、Ni−Si、Co−Si、Ni−Co−Siの化合物を析出させて銅合金の強度を向上させることができる。その添加量は、NiとCoのいずれか1種または2種を合計で、好ましくは0.5〜5.0mass%、さらに好ましくは0.6〜4.5mass%、より好ましくは0.8〜4.0mass%である。Siの含有量としては、好ましくは0.1〜1.5mass%、さらに好ましくは0.2〜1.2mass%である。これらの元素は多すぎると導電率を低下させやすく、また、少なすぎると強度が不足しやすい。なお、導電率を高めたい場合は、Coの添加を必須とすることが好ましく、その場合のCoの添加量は、0.4〜1.5mass%、より好ましくは0.6〜2.0mass%である。なお、Coは希少元素であるとともに、添加によって溶体化温度を高めるため、用途に応じて顕著に導電性を高める必要が無い場合は、添加しないことが好ましい。
平均結晶粒径は12〜100μmとする。小さすぎると耐応力緩和特性が劣り、また大きすぎる場合は曲げ加工性が劣るため、好ましくない。また、結晶粒径を12μmよりも小さい範囲に制御するためには、後述するように最終溶体化熱処理にて到達温度を比較的低温に制御する必要があるが、その場合、溶質元素の固溶が不十分となり、時効析出硬化の減少を伴う場合がある。その観点からも平均結晶粒径は12μm以上とする。更に好ましくは、22〜80μmである。
なお、本発明における平均結晶粒径は、JIS H 0501(切断法)に準じて測定したものをいう。
本発明の銅合金板材は、上記第1の添加元素群とともに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。この組成での平均結晶粒径とその好ましい範囲も上記と同じである。
添加効果を充分に発現させ、かつ導電率を低下させないためには、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素の含有量は、総量で0.005〜2.0mass%とし、好ましくは0.1〜1.5mass%、より好ましくは、0.7〜1.2mass%である。これらの添加元素が総量で多すぎると導電率を低下させる。少なすぎると、これらの元素を添加した効果がほとんど発揮されない。
次に、板厚表層付近及び板厚1/4位置のCube方位及びBrass方位の面積率を制御する方法について説明する。ここでは、析出型銅合金の板材(条材)を例に挙げて説明するが、固溶型合金材料、希薄系合金材料、純銅系材料に展開することが可能である。
一般に、析出型銅合金は、均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延と冷間圧延の各ステップで薄板化し、700〜1020℃の温度範囲で最終溶体化熱処理を行って溶質原子を再固溶させた後に、時効析出熱処理と仕上げ冷間圧延によって必要な強度を満足させるように製造される。時効析出熱処理と仕上げ冷間圧延の条件は、所望の強度及び導電性などの特性に応じて、調整される。集合組織は、この一連のステップにおける、最終溶体化熱処理中に起きる再結晶によってそのおおよそが決定し、仕上げ圧延中に起きる方位の回転により、最終的に決定される。
上記熱間圧延は、高温での低い変形抵抗と高い変形能を利用するためであり、冷間に比べて加工に必要なエネルギーを少なくする大きな利点がある。一方、析出硬化型合金においては、熱間圧延温度によっては析出が起きる場合があるが、この高温での析出物は一般的に粗大であるため、最終溶体化熱処理においても完全に固溶されず、結果として時効析出熱処理での析出硬化が不足する場合がある。もしくは、最終溶体化熱処理を高温化し、熱間圧延中の析出物を完全固溶させると結晶粒が粗大化し、今度は曲げ加工性が劣化する場合がある。この様な理由から、熱間圧延中には極力析出を抑制するために、1パス加工率を極力高めて総パス数を減少させ、パスとパスの間の保持は取らないことで、熱間圧延を高温短時間で終え、熱間圧延後は水冷などの方法によって急冷し、過飽和固溶体に近い状態に保つことが一般的な熱間圧延工程の設計指針である。
・ 工程条件I
一つ目に、熱間圧延は、1パス加工率は30%以下とし、リバース式圧延によって材料にとっての圧延方向が1パスごとに交互に変わる圧延が良い。これは、大きな剪断応力が付与される表層に対して1回毎の圧延において交互に圧延方向を変えることで、剪断歪みを打ち消し合って板表層の結晶の回転を制御し、圧縮応力が付与される内部とは異なる組織が形成されることを抑制する効果によると考えられる。上記の条件によって、板厚方向の組織の変動を軽減できる。また、パスとパスの間の保持時間は20秒〜100秒(好ましくは20〜50秒、より好ましくは20〜30秒)とし、パスとパスの間の温度低下は5〜100℃とするのが良い。このパスとパスの間の時間及び温度の制御によって材料中に静的な再結晶及び回復が起き、板厚方向の組織の変動を軽減にすることができる。パスとパスの間の温度は放射温度計や接触式熱電対温度計によって測定する。パスとパスの温度の制御にあたっては、バーナーなどによって加熱、及び空冷や水冷によって冷却する。
なお、パスとパスの保持時間が100秒を超える場合は、材料温度が下がり過ぎてしまうために、圧延中に面割れやエッジ割れを起こすため、好ましくない。
・工程条件II
二つ目に、熱間圧延とその後のスケール除去の後に行う冷間圧延は、加工率が90%〜99%で潤滑圧延が好ましい。90%未満では、熱間圧延で形成された表層と内部の組織変動の影響を受ける場合がある。また99%を超えるとエッヂ割れが発生する場合がある。
三つ目に、最終溶体化熱処理の前に、焼鈍熱処理(中間熱処理)とその後に低い加工率の冷間圧延を導入し、その後に最終溶体化熱処理を施すのが良い。この導入される焼鈍熱処理は300〜700℃の温度で10秒〜5時間が、その後の冷間圧延は、5〜50%の加工率が良い。
・工程条件IV
四つ目に、最終溶体化熱処理を平均結晶粒径が12〜100μmのサイズになるような比較的高い温度で行うのが良い。これは上記熱間圧延のパスとパスの間に発生した析出物と、最終溶体化熱処理の前の焼鈍熱処理に発生した析出物を固溶させるためである。上記の一般的な工程では、最終溶体化熱処理の温度を高めると結晶粒の粗大化により曲げ加工性が低下するが、本発明のようにCube方位面積率を高めた場合には、結晶方位の効果によって曲げ性の劣化は軽微である。平均結晶粒径を12〜100μmに制御するための温度は、合金成分によって異なるが、800℃〜1000℃の温度が良い。
本発明における新規の製法は、板厚方向の組織差低減という困難な課題を達成するために、工程条件Iの様にパス間の保持時間をあえて長くとり、一方でその間に起こる析出の対策として、工程条件IVのように積極的に高い温度を採用するものである。
表1−1及び表1−2の合金成分の欄の組成に示すように、Ni、Co、Siを含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造して鋳塊を得た。この状態を提供材とし、下記A〜Gのいずれかの工程にて、本発明例1−1〜1−12および比較例1−1〜1−8の銅合金板材の供試材を製造した。なお、表1−1及び表1−2にA〜Gのいずれの工程を用いたのかを示した。最終的な合金板材の厚さは特に断らない限り150μmとした。
なお、A〜Gには示していないが、パスとパスの保持時間が100秒を超える条件で試作した場合は、材料温度が下がり過ぎてしまい、圧延中に面割れやエッジ割れを起こしたため、試作を中止した。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が10〜30%のリバース式圧延を合計4〜12パス行い、パスとパスの間の保持時間は20〜100秒とした。その後に90〜99%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。その後に、800℃以上の温度に5秒以上保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が10〜30%のリバース式圧延を合計4〜12パス行い、パスとパスの間の保持時間は20〜100秒とした。その後に80〜89%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。その後に、800℃以上の温度に5秒以上保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が10〜30%のリバース式圧延を合計4〜12パス行い、パスとパスの間の保持時間は20〜100秒とした。その後に90〜99%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。その後に、800℃以上の温度に5秒以上保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、40〜50%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が30%を超えるタンデム式の1方向圧延を合計2〜8パス行い、パスとパスの間の保持時間は20秒未満とした。その後に80〜89%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。その後に、800℃以上の温度に5秒以上保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が30%を超えるタンデム式の1方向圧延を合計2〜8パス行い、パスとパスの間の保持時間は20秒未満とした。その後に80〜89%の加工率の冷間圧延を行い、800℃以上の温度に5秒以上保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が10〜30%のリバース式圧延を合計4〜12パス行い、パスとパスの間の保持時間は20〜100秒とした。その後に90〜99%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。650〜750℃の温度に2時間保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、熱間加工を行った後に水冷し、酸化スケール除去のために面削を行った。その熱間圧延は、1パス加工率が10〜30%のリバース式圧延を合計4〜12パス行い、パスとパスの間の保持時間は20〜100秒とした。その後に80〜89%の加工率の冷間圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜5時間の熱処理を行い、5〜50%の加工率の冷間圧延を行った。730〜770℃の温度に5〜30秒保持する溶体化熱処理を行い、350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理を行い、5〜40%の仕上げ圧延を行い、300〜700℃の温度で10秒〜2時間保持する調質焼鈍を行った。
冷間圧延の間の中間熱処理(300〜700℃の温度で10秒〜5時間)を行わなかった以外、工程Aと同じ条件を採用した。
a.Cube方位の面積率 [W0、W0/W4]:
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。測定面積は結晶粒を200個以上含むことを基準として調整した。 上述したように、理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とした。あらゆる回転軸に関してCube方位との回転角度を計算した。回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用した。全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数第一位までを有効数字とし、Cube方位から10°以内の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、面積率を算出した。W0は板表面からの測定結果、W4は板厚方向1/4深さ位置の測定結果であり、W0/W4はこれらの比である。
上述のCube方位の面積率と同様に、板表面から測定した。
c.平均結晶粒径 [GS]:
JIS H 0501(切断法)に基づき測定した。圧延方向に対して平行の断面と、垂直の断面において測定し、その両者の平均をとった。金属組織の観察は、鏡面研磨した材料面を化学エッジングし、光学顕微鏡観察により行った。
圧延方向に垂直に幅1mm、長さ25mmにプレスで打ち抜き、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とした。JIS Z 2248に準じて曲げ加工を行った。0.4mmRの90°曲げ金型を使用して予備曲げを行った後に、圧縮試験機によって密着曲げを行った。曲げ部外側における割れの有無を50倍の光学顕微鏡で目視観察によりその曲げ加工部位を観察し、割れの有無を調査した。曲げ加工部にクラックがなく、シワも軽微なものを◎、クラックがないがシワが大きいものを○、クラックのあるものを×と判定した。
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。ここでは、YSの値が550MPa以上であるものを、強度に優れているものとした。
f:導電率 [EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。ここでは、ECの値が35%IACS以上であるものを、導電性に優れているものとした。
g.応力緩和率 [SR]:
日本伸銅協会の仮規格である、JCBA T309:2001(旧日本電子材料工業会標準規格 EMAS−3003に相当)に準じ、以下に示すように、150℃で1000時間保持後の条件で測定した。片持ち梁法により耐力の80%の初期応力を負荷した。ここでは、SRの値が30%以下であるものを、耐応力緩和性に優れているものとした。
すなわち、比較例1−1は、NiとCoの総量が少ないために、析出硬化に寄与する析出物の密度が低下し強度が劣った。また、NiまたはCoと化合物を形成しないSiが金属組織中に過剰に固溶し導電率が劣った。また、耐応力緩和性も劣った。比較例1−2は、NiとCoの総量が多いために、導電率が劣った。比較例1−3は、Siが少ないために強度が劣った。比較例1−4は、Siが多いために導電率が劣った。
比較例1−5はW0/W4が低く、180°密着曲げ加工性が劣った。比較例1−6はW0/W4及びW0が低く、180°密着曲げ加工性が劣った。比較例1−7はW0と平均結晶粒径が高く、180°密着曲げ加工性が劣った。比較例1−8は平均結晶粒径が小さく、耐応力緩和特性が劣った。
これに対し、表1−1に示すように、本発明例1−1〜1−12は、180°密着曲げ加工性、耐力、導電率、応力緩和特性のいずれにおいても優れていた。特に、表層のBrass方位面積率が20%以下の本発明例1−1、1−2、1−4、1−6、1−7、1−8、1−9、1−11、1−12では、GW、BWの少なくとも一方においてクラックがなく、シワも軽微なものであるという極めて優れた曲げ加工性を示した。
表2の合金成分の欄に示す組成で、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金について、実施例1と同様にして、本発明例2−1〜2−8、比較例2−1〜2−3の銅合金板材の供試材を製造し、実施例1と同様に各特性を測定、評価した。結果を表2に示す。
本発明例1−1の合金組成を採用し、工程Hを介して銅合金板材を作製した。これについて、上記各実施例と同様の評価を行った結果が下記のとおりである。
これに対し、本発明例2−1〜本発明例2−8は、曲げ加工性、耐力、導電率、応力緩和特性のいずれにも優れていた。
このように、本発明の銅合金板材は、コネクタ材に適した優れた特性を有する。
上記本発明例1−1と同様の金属元素を配合し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して鋳塊を得た。これを900〜1020℃で3分から10時間の保持後、熱間加工を行った後に水焼き入れを行い、酸化スケール除去のために面削を行った。この後の工程は、次に記載する工程A−3,B−3の処理を施すことによって銅合金c01を製造した。なお、上記熱間加工については、上記公報からは詳細な条件が明らかではなく、本願出願当時に一般的な条件であった温度:800〜1020℃、1パス加工率35〜40%、各パス間の保持時間:3〜7秒という条件を採用して行った。
製造工程には、1回または2回以上の溶体化熱処理を含み、ここでは、その中の最後の溶体化熱処理の前後で工程を分類し、中間溶体化までの工程でA−3工程とし、中間溶体化より後の工程でB−3工程とした。
工程B−3:断面減少率が50%以下の冷間加工を施し、400〜700℃で5分〜10時間の熱処理を施し、断面減少率が30%以下の冷間加工を施し、200〜550℃で5秒〜10時間の調質焼鈍を施す。
上記本発明例1−1と同じ組成の銅合金を高周波溶解炉にて熔解し、DC法により厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊に鋳造した。次にこれらの鋳塊を1000℃に加熱し、この温度に1時間保持後、厚さ12mmに熱間圧延し、速やかに冷却した。なお、熱間圧延の条件は、同公報の段落[0027]を参照し、温度を900〜1000℃の範囲で、熱間圧延後の冷間圧延を加工率90%以上とした。1パスの加工率及び各パス間の保持時間は、本願出願当時に一般的な条件であった35〜40%及び3〜7秒間という条件を採用して行った。
次いで熱間圧延板を両面各1.5mmずつ切削して酸化皮膜を除去した後、冷間圧延(イ)により厚さ0.15〜0.25mmに加工し、次いで溶体化処理温度を825〜925℃の温度範囲で変化させ15秒間熱処理し、その後直ちに15℃/秒以上の冷却速度で冷却した。次に不活性ガス雰囲気中で475℃で2時間の時効処理を施し、次いで最終塑性加工である冷間圧延(ハ)を行い、最終的な板厚を揃えた。前記最終塑性加工後、引き続き375℃で2時間の低温焼鈍を施して銅合金板材(試料c02)を製造した。
上記本発明例1−1と同じ成分組成の銅合金を、クリプトル炉にて木炭被覆下で大気溶解し、ブックモールドに鋳造し、50mm×80mm×200mmの鋳塊を作製した。この鋳塊を930℃に加熱して厚さ15mmまで熱間圧延後、直ちに水中急冷した。この熱延材の表面の酸化スケールを除去するため、表面をグラインダで切削した。これを冷間圧延した後、750℃で20秒の熱処理、30%の冷間圧延、480℃で2時間の析出焼鈍を施し、板厚を調整した材料を得て、試験に供した(c02)。なお、熱間圧延において、1パスの加工率及び各パス間の保持時間は、本願出願当時に一般的な条件であった1パス加工率35〜40%、各パス間の保持時間:3〜7秒という条件を採用して行った。
上記本発明例1−1の組成の銅合金を、電気炉により大気中にて木炭被覆下で溶解し、鋳造可否を判断した。溶製した鋳塊を熱間圧延し、厚さ15mmに仕上げた。つづいてこの熱間圧延材に対し、冷間圧延及び熱処理(冷間圧延1→溶体化連続焼鈍→冷間圧延2→時効処理→冷間圧延3→短時間焼鈍)を施し、所定の厚さの銅合金薄板(c04)を製造した。なお、溶体化は同公報の段落[0027]を参照し、実体温度800〜950℃で30秒以下保持する条件とした。熱間圧延については詳細な開示はなく、本願出願当時に一般的な条件であった 1パス加工率を35〜40%、各パス間の保持時間を3〜7秒という条件を採用して行った。
上記本発明例1−1の組成をもつ合金について、クリプトル炉において大気中で木炭被覆下で溶解し、鋳鉄製ブックモールドに鋳造し、厚さが50mm、幅が75mm、長さが180mmの鋳塊を得た。そして、鋳塊の表面を面削した後、950℃の温度で厚さが15mmになるまで熱間圧延し、750℃以上の温度から水中に急冷した。次に、酸化スケールを除去した後、冷間圧延を行い、所定の厚さの板を得た。なお、熱間圧延において、1パスの加工率及び各パス間の保持時間は、本願出願当時に一般的な条件であった1パス加工率を35〜40%、各パス間の保持時間を3〜7秒という条件を採用して行った。
溶体化処理温度: 900℃
人工時効硬化処理温度×時間: 450℃×4時間
板厚: 0.6mm
実施例1に示す銅合金を溶製し、縦型連続鋳造機を用いて鋳造した。得られた鋳片(厚さ180mm)から厚さ50mmの試料を切り出し、これを950℃に加熱したのち抽出して、熱間圧延を開始した。その際、950℃〜700℃の温度域での圧延率が60%以上となり、かつ700℃未満の温度域でも圧延が行われるようにパススケジュールを設定した。熱間圧延の最終パス温度は600℃〜400℃の間にある。鋳片からのトータルの熱間圧延率は約90%である。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。なお、熱間圧延において、各パス間の保持時間は、本願出願当時に一般的な条件であった3〜7秒とした。
700℃未満〜400℃での熱間圧延率: 17%(1パス)
溶体化処理前 冷間圧延率: 90%
中間冷間圧延 冷間圧延率: 20%
仕上げ冷間圧延 冷間圧延率: 30%
100℃から700℃までの昇温時間: 10秒
2 負荷を除いた後の試験片
3 応力を負荷しなかった場合の試験片
4 試験台
Claims (5)
- NiとCoの少なくとも1種を合計で0.5〜5.0mass%、Siを0.1〜1.2mass%含み、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金組成よりなる板材であって、電子後方散乱回折測定における結晶方位解析における、材料表層のCube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率をW0、材料の深さ位置で全体の1/4の位置でのCube方位面積率をW4としたときに、W0/W4の比が0.8以上1.5以下、W0が5〜48%、平均結晶粒径が12〜100μmであることを特徴とする、180°密着曲げ加工性と耐応力緩和特性に優れた銅合金板材。
- さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有する請求項1に記載の銅合金板材。
- Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が20%以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の銅合金板材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板材の製造方法であって、
請求項1又は2に記載の組成を有する銅合金鋳塊に対し、少なくとも下記の工程I、II、III、IV、及びVによる処理をその順で施した後、加工率5〜40%の仕上げ圧延を行うことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
[工程I:1パス加工率を30%以下とし各パス間の保持時間を20〜30秒とした熱間圧延工程]
[工程II:加工率80%〜99%の冷間圧延工程]
[工程III:300〜700℃の温度で10秒〜5時間の中間熱処理工程及びその後に行う加工率5〜50%の冷間圧延工程]
[工程IV:800〜1000℃で行う溶体化熱処理工程]
[工程V:350〜600℃の温度で5分間〜20時間の時効析出熱処理工程及び加工率5〜40%の仕上げ冷間圧延工程]
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