JP4962020B2 - 金属イオン測定方法および測定装置 - Google Patents

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本発明は、試料液中に含まれる微量金属イオンを濃縮して測定する金属イオン測定方法および測定装置に関する。
従来、試料液中に含まれる微量金属イオンを濃縮して測定する方法として、イオン交換樹脂、キレート樹脂等の吸着剤が充填された濃縮部に試料液を所定量流し、上記吸着剤に試料液中の金属イオンを吸着させた後、濃縮部に溶離液を流すことにより、吸着剤に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部から溶出させ、この濃縮部からの流出液中に含まれる金属イオンの濃度を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−40113号公報
前述した金属イオン測定方法では、濃縮部からの流出液の測定を管理する方法として、吸着剤に吸着された金属イオンをすべて回収し、かつ、試料液の濃縮率が常に一定となるように、溶離液を一定条件下で予め求めておいた回収に必要な時間、すなわち一定温度、一定圧力および一定流量下で一定時間流し、濃縮部からの流出液を全部回収して、これを例えば比色法等によって測定(定量)する方法がある。しかし、金属イオンの濃度が低い場合には、この方法では所定の感度が得られず、精度よく測定できないという問題があった。
そこで、所定の感度を得るための方法として、予め求めておいた流出時間を用いた時間管理により濃縮部からの流出液を分画して測定する方法、または、濃縮部からの流出液を一定量(一定流出時間)ごとに多数に分画し、それらのすべてを測定する方法を採用することができる。
しかし、前者の方法では、予め温度、圧力、流量を一定条件として、吸着剤に吸着された金属イオンの溶出開始時間、ピーク時間、溶出終了時間等を測定しておき、例えば、ピーク時間前後の短時間の流出液のみを回収して測定することにより、高い感度を得ることができるが、この方法は環境条件の厳しい自動分析装置に採用することは難しかった。
また、後者の方法では、連続して得られる流出液を一定量ごとに分取して測定する必要があり、また、確実にすべての金属イオンを回収するためには、前者の方法と同様に予め一定条件下で溶出終了時間を求めておき、これと同一条件下で溶出終了時間までに分取した回数だけ測定を繰り返す必要があるため、結局前者と同様の問題が生じることに加え、装置構成が複雑化するという問題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、濃縮部で試料液中の金属イオンを濃縮し、この金属イオンを溶離液により溶出させて測定する方法および装置であって、溶離液の温度、圧力、流量などの厳密な管理を不必要とし、低濃度の金属イオンであっても精度よく測定することができる方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために種々検討を行った結果、濃縮部で試料液中の金属イオンを濃縮し、この金属イオンを溶離液により溶出させて測定するに当たり、溶離液として酸溶液を用いた場合には、濃縮された金属イオンが濃縮部から多量に溶出する直前に濃縮部からの流出液のpHが急激に変化し、したがって濃縮部からの流出液のpHが急激に変化した時点から所定時間流出する流出液を測定部に導入することにより、測定に必要な金属イオン濃度を有する流出液のみを濃縮部から測定部に導入できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂が充填された濃縮部に試料液を所定量流し、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に試料液中の金属イオンを吸着させた後、前記濃縮部に溶離液として酸溶液を流すことにより、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部から流出させ、この濃縮部からの流出液を測定部に導入して試料液中の金属イオン濃度を測定する金属イオン測定方法において、前記濃縮部からの流出液のpHを連続的にモニターし、前記流出液のpHが急激に変化する時点を検出するとともに、前記流出液のpHが急激に変化する時点から所定時間流出する流出液を前記測定部に導入することを特徴とする金属イオン測定方法を提供する。本発明に係る金属イオン測定方法の一態様としては、後述する実施例に示すように、前記濃縮部はキレート樹脂が充填されたものであり、前記試料液中の金属イオンは鉛イオンであり、前記流出液のpHが急激に変化する時点はpHが急激に低下する時点である態様を挙げることができる。
また、本発明は、イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂が充填された濃縮部と、前記濃縮部に試料液を導入する試料液導入手段と、前記濃縮部に溶離液を導入する溶離液導入手段と、液中の金属イオン濃度を測定する測定部とを具備し、前記試料液導入手段により前記濃縮部に試料液を所定量流し、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に試料液中の金属イオンを吸着させた後、前記溶離液導入手段により前記濃縮部に溶離液として酸溶液を流すことにより、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部から流出させ、この濃縮部からの流出液を前記測定部に導入して試料液中の金属イオン濃度を測定する金属イオン測定装置において、前記濃縮部からの流出液のpHをモニターするpH測定手段を設け、前記pH測定手段により前記濃縮部からの流出液のpHを連続的にモニターし、前記流出液のpHが急激に変化する時点を検出するとともに、前記流出液のpHが急激に変化する時点から所定時間流出する流出液を前記測定部に導入することを特徴とする金属イオン測定装置を提供する。本発明に係る金属イオン測定装置の一態様としては、後述する実施例に示すように、前記濃縮部はキレート樹脂が充填されたものであり、前記試料液中の金属イオンは鉛イオンであり、前記流出液のpHが急激に変化する時点はpHが急激に低下する時点である態様を挙げることができる。
本発明では、濃縮部からの流出液のpHという相対値を用いて濃縮部からの流出液の測定を管理するので、溶離液の温度、圧力、流量などの厳密な管理を不必要とし、低濃度の金属イオンであっても精度よく測定することができる。したがって、本発明は、環境条件の厳しい自動分析装置に好適に使用することができる。
以下本発明につきさらに詳しく説明する。本発明において、濃縮部に充填するイオン交換樹脂および/またはキレート樹脂は、測定目的などに応じて適宜選定することができ、例えば、イオン交換樹脂としては、スルホン酸系の強酸性陽イオン官能基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。また、試料液中の塩濃度を下げる目的で、四級アンモニウム塩系の官能基を有する陰イオン交換樹脂を混合して用いてもよい。また、キレート樹脂としては、イミノジ酢酸基またはポリアミン基を有するキレート樹脂を使用することができる。
本発明においては、溶離液として酸溶液を使用する。上記酸溶液としては、例えば、0.01〜0.5mol/Lの硝酸溶液または塩酸溶液等の無機酸溶液を使用することができる。
本発明において、測定部における金属イオン濃度の測定方法としては、例えば、比色法、吸光光度法、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)、ポーラログラム、滴定法等を挙げることができる。
本発明において、濃縮部からの流出液のpHは、最初は緩やかに変化し、次いで急激に変化した後、緩やかに変化する。本発明において、流出液のpHが急激に変化する時点は、上記pH変化が緩やかな変化から急激な変化に切り替わる時点に検出される。このような流出液のpHが急激に変化する時点は、例えば、pH測定手段から一定間隔で制御部に取り込まれるpH値について、順次前回値との差を演算により求め、その差が一定時間(または一定回数)にわたり所定の範囲内(例えばpH値0.2以内)であった後、最初にその差が所定の値(例えばpH値0.5)以上になった時を検出ポイントとすることにより検出することができる。
本発明は、種々の金属イオンの測定に使用することができ、例えば、水道水中に含まれる鉛イオンなどの微量の重金属イオンの測定に使用することができる。
本発明によれば、濃縮部で試料液中の金属イオンを濃縮し、この金属イオンを溶離液により溶出させて測定するに当たり、溶離液の温度、圧力、流量などの厳密な管理を不必要とし、低濃度の金属イオンであっても精度よく測定することができる。
以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1は本発明に係る金属イオン測定装置の一実施形態を示すフロー図である。図1において、10はイオン交換樹脂および/またはキレート樹脂が充填された濃縮部、12は濃縮部10に試料液を導入する試料液導入手段、14は濃縮部10に溶離液を導入する溶離液導入手段、16は濃縮部10に標準液を導入する標準液導入手段、18は濃縮部10からの流出液のpHをモニターするpH測定手段、20は液中の金属イオン濃度を測定する測定部、22は濃縮部10からの流出液を測定部20またはドレン管24に流す流路切替手段、26は試料液導入手段12、溶離液導入手段14、標準液導入手段16、pH測定手段18、測定部20および流路切替手段22に接続された制御部を示す。
本例の金属イオン測定装置による試料液中の微量金属イオンの測定は、下記(1)〜(4)の手順で行われる。
(1)標準液導入手段16により濃縮部10に後述する試料液の測定と同じ条件で標準液を流し、キャリブレーションを行う。これにより、測定部20からの出力と液中のイオン濃度との関係が制御部26に記憶される。この場合、上記キャリブレーションは、下記(2)〜(4)と同様の手順で行う。
(2)試料液導入手段12により濃縮部10に試料液を所定条件で流し、濃縮部10のイオン交換樹脂および/またはキレート樹脂(以下、「吸着樹脂」という)に試料液中の金属イオンを吸着させる。
(3)溶離液導入手段14により濃縮部10に溶離液として酸溶液を所定条件で流し、吸着樹脂に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部10から流出させる。
(4)pH測定手段18により濃縮部10からの流出液のpHを連続的にモニターする。そして、流出液のpHが急激に変化する時点を制御部26により検出し、上記時点から所定時間流出する流出液を流路切替手段22の切替により測定部20に導入する。この場合、流出液のpHが急激に変化する時点より前、および上記時点から所定時間経過後は、濃縮部10からの流出液は流路切替手段22によりドレン管24に流して排出する。流路切替手段22の制御は、制御部26により行われる。
図1に示した装置を用い、前述した(1)〜(4)の手順で水道水中に含まれるppbレベルの微量鉛イオンの濃度を測定した。この場合、濃縮部10としては、ガラス製のカラムにキレート樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンCR11:商品名)を充填したものを用いた。溶離液としては、0.1M硝酸溶液(pHは約1)を用いた。測定部20としては、比色法によって鉛イオン濃度を測定するものを用いた。測定条件としては、試料液および溶離液の温度は293K、試料液の流量は6.3〜8.3ml/min、溶離液の流量は1.4〜1.5ml/minとした。
結果を図2に示す。図2より、濃縮部からの流出液のpHが急激に変化した時点Aの直後から多量の鉛イオンが濃縮部から流出することがわかる。したがって、本実験により、濃縮部からの流出液のpHを連続的にモニターし、濃縮部からの流出液のpHが急激に変化した時点から所定時間流出する流出液を測定部に導入することにより、測定に必要な金属イオン濃度を有する流出液のみを濃縮部から測定部に導入できることが確認された。
本発明に係る金属イオン測定装置の一実施形態を示すフロー図である。 実施例における測定結果を示すグラフである。
符号の説明
10 濃縮部
12 試料液導入手段
14 溶離液導入手段
16 標準液導入手段
18 pH測定手段
20 測定部
22 流路切替手段
24 ドレン管
26 制御部

Claims (4)

  1. イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂が充填された濃縮部に試料液を所定量流し、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に試料液中の金属イオンを吸着させた後、前記濃縮部に溶離液として酸溶液を流すことにより、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部から流出させ、この濃縮部からの流出液を測定部に導入して試料液中の金属イオン濃度を測定する金属イオン測定方法において、前記濃縮部からの流出液のpHを連続的にモニターし、前記流出液のpHが急激に変化する時点を検出するとともに、前記流出液のpHが急激に変化する時点から所定時間流出する流出液を前記測定部に導入することを特徴とする金属イオン測定方法。
  2. 前記濃縮部はキレート樹脂が充填されたものであり、前記試料液中の金属イオンは鉛イオンであり、前記流出液のpHが急激に変化する時点はpHが急激に低下する時点であることを特徴とする請求項1に記載の金属イオン測定方法。
  3. イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂が充填された濃縮部と、前記濃縮部に試料液を導入する試料液導入手段と、前記濃縮部に溶離液を導入する溶離液導入手段と、液中の金属イオン濃度を測定する測定部とを具備し、前記試料液導入手段により前記濃縮部に試料液を所定量流し、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に試料液中の金属イオンを吸着させた後、前記溶離液導入手段により前記濃縮部に溶離液として酸溶液を流すことにより、前記イオン交換樹脂および/またはキレート樹脂に吸着された金属イオンを溶離液とともに濃縮部から流出させ、この濃縮部からの流出液を前記測定部に導入して試料液中の金属イオン濃度を測定する金属イオン測定装置において、前記濃縮部からの流出液のpHをモニターするpH測定手段を設け、前記pH測定手段により前記濃縮部からの流出液のpHを連続的にモニターし、前記流出液のpHが急激に変化する時点を検出するとともに、前記流出液のpHが急激に変化する時点から所定時間流出する流出液を前記測定部に導入することを特徴とする金属イオン測定装置。
  4. 前記濃縮部はキレート樹脂が充填されたものであり、前記試料液中の金属イオンは鉛イオンであり、前記流出液のpHが急激に変化する時点はpHが急激に低下する時点であることを特徴とする請求項3に記載の金属イオン測定装置。
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