JP4968032B2 - コイル・ウェッジ挿入装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機固定子鉄心の磁極を構成する歯部へのコイル巻き線の高密度化の要請に対応して、同巻き線工程のひとつとして行われるスロット内に高密度に巻き回したコイルを挿入する際に、コイルと共に同スロット内に挿入するウェッジの挿入性の悪化を改善するためのコイル・ウェッジ挿入装置に関するものである。
電動機は、磁極の形成された固定子と可動子とで構成されている。その中で、固定子は、ヨーク部、及びその内周に形成された突起物である複数の歯部(ティース)で構成される鉄心と、隣り合う歯部間に形成されるスロットと呼ばれる空間を利用して各歯部に巻回されたコイルと、で構成されており、各コイルに通電することにより各歯部が磁極を形成する。
この歯部にコイルを巻回す方法は、通常、コイル・ウェッジ挿入装置と呼ばれる装置を使って固定子を構成する鉄心のスロット内にあらかじめ巻回されたコイルと、このコイルをスロット挿入単位毎に束ね周囲から絶縁するウェッジとを挿入するという方法に拠っている。
電動機の効率向上策のひとつに、コイル密度を上げてモータ損失を低減することによりモータ効率を上げる方法がある。しかし、コイル密度を上げることにより、コイルと同時にコイルと周囲との絶縁のためにスロット内に挿入されるウェッジ(絶縁紙)の挿入抵抗が増加し、ウェッジのスロット内への挿入性が悪化するという問題があった。ここでスロットとは、固定子鉄心の磁極を構成する歯部間に存在する空間のことで、その内周は鉄心を構成するヨーク部、及び、ヨーク部から周方向に所定間隔でない径方向に突出している歯部の鉄心軸方向に延伸する面で囲まれた空間になっている。なお、歯部は、その内径方向先端部が通常周方向に拡張された形状を有し、隣り合う歯部先端部間には上記軸方向にわたる隙間である開口部がある。また、ウェッジとは、固定子鉄心スロット内へ巻き回したコイルを挿入する際にコイルの各スロットへの挿入単位を束ね、固定子鉄心のヨーク部及び歯部の内表面と、スロットに挿入されるコイルとの間を絶縁し、スロット内に挿入されたコイルがスロット開口部からはみ出さないように開口部を塞ぐために前記巻き回したコイルの挿入と共にスロット内に挿入されるものである。
特許文献1には、「占積率が極めて高いコイルを損傷なくステータコアのスロット内に挿入しうるコイル挿入方法およびその装置」(特許文献1段落0012)に関する発明が記載されている。しかし、この文献には高占積率(すなわち高密度)コイルのスロット内挿入性に関する発明は開示されているが、コイルの高密度化にともなうスロット内へのウェッジの挿入性を改善する方策については何も開示されていない。
特開平5−236712
コイル・ウェッジ挿入装置では、コイルをスロット内に挿入するときに同時にウェッジをスロット内に挿入するが、このウェッジの挿入には通常ウェッジプッシャと呼ばれるものを使用する。すなわち、巻き回したコイルをスロット内に挿入する際に、併せてウェッジの一端をウェッジプッシャ先端部で押圧してスロット内に挿入する。このときスロットに未挿入のコイル部分とウェッジプッシャ先端部との物理的干渉によりコイル外表面に損傷が生じる恐れがある。特に、ある程度コイルがスロットに挿入されてからは、コイルの未挿入部分の長さは短くなり、その長さが短くなるにつれて未挿入部分に対して固定子内径方向に働く力は増大していく。そのため、ウェッジプッシャ先端部とコイル未挿入部分とが接触しコイルの被覆が損傷を受ける恐れがある。
図8はこれを防止するための工夫をした従来型のウェッジプッシャを示すもので、ウェッジプッシャのコイルと対向する面の先端部の肉厚を傾斜面にした例を示している。図8において、9はウェッジプッシャ、91はウェッジプッシャ9の先端部にある肉厚傾斜面、92はウェッジプッシャ9の先端部のウェッジを押圧するウェッジ押圧面である。図9は鉄心スロット内へのコイル挿入にあわせて図8に示す従来型のウェッジプッシャ9を使ってウェッジをスロット内に挿入するときの様子を示したものである。図9において1は鉄心、2はコイル、8はウェッジで、他の番号については図8と同じである。ウェッジ8はその端部(以下ではウェッジ受圧端面と呼ぶ。)をウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92で押されることにより図9の上方にウェッジ8が移動し、鉄心1のスロット内に挿入される。このときウェッジプッシャ9はその先端部が極力コイルから離れた状態にあるようにすると共に、接触してもコイルが損傷を受けにくいように滑らかな肉厚傾斜面91にしてある。しかし、このように先端部を肉厚傾斜面91にしたことからウェッジ受圧端面を押圧する面は、その固定子径方向に幅が小さいものとなっている。既に述べたように、高密度コイル2のスロット内への挿入に伴い、ウェッジ8のスロット内への挿入時には挿入抵抗が増加することから、ウェッジ8のたわみ等により、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92上で、ウェッジ8の位置ずれが生じやすくなる。このようなウェッジ8の位置ずれが生じると、ウェッジ押圧面92からウェッジ8が外れて、スロット内へのウェッジ8の挿入不良が起こりやすくなっていた。
本発明に係るコイル・ウェッジ挿入装置は、巻き回されたコイルを電動機の固定子鉄心内周上に配置された複数の歯部に装着するために、前記鉄心の周方向に隣り合う歯部間の空間であるスロット内に、前記コイルと、前記コイルの各スロットへの挿入単位を束ね、前記スロットの周囲に位置する前記鉄心との間を絶縁するとともに前記スロットの径方向内側開口部を塞ぐためのウェッジとを挿入するコイル・ウェッジ挿入装置であって、
前記歯部位置に対応して円周上に配置された、前記巻き回されたコイルを掛けるためのブレードと、前記各ブレードに掛けられた前記コイルを押圧するための、前記ブレードと共に所定方向に可動のストリッパと、前記ストリッパと同方向に可動の前記ウェッジ押圧用ウェッジプッシャと、前記ウェッジプッシャ配置位置に対応して、前記ウェッジおよび前記ウェッジプッシャのガイド用に円周上に複数配置されたウェッジガイドと、を備え、前記ウェッジプッシャは、前記ウェッジを押圧する先端部に前記ウェッジの位置ズレ防止用構造を備えたものである。
ウェッジプッシャ先端部の位置ズレ防止用構造によりウェッジ受圧端面の位置が拘束され、ウェッジプッシャ先端部から外れにくくなるため、高密度コイルのスロット内への挿入に際しても、同スロット内へのウェッジの挿入性が改善される。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるコイル・ウェッジ挿入装置と、この装置を使って電動機等の固定子鉄心のスロット内に巻き回したコイルとウェッジとを挿入完了したときの状態を示す側面断面図である。図において、1は電動機などの固定子鉄心で、図示していない固定鉄心支持部により支持されている。2は固定子鉄心のスロット内に挿入された巻き回したコイル、3は巻き回したコイル2をスロット内に挿入するために当該コイルを掛けるためのブレードで、固定子鉄心1の歯部の配置に対応して円周上に複数個配置されている。4はブレード3を保持し、固定子鉄心1の軸方向にブレード3を駆動するブレードホルダ、5はブレードホルダを介してブレード3を固定子鉄心軸方向に駆動するためのブレードホルダ駆動軸、6は、ブレード3に掛けられたコイル2を支持し、ブレード3と共に固定子鉄心1の軸方向の孔に挿入することによりスロット内にコイル2を挿入するためのストリッパ、7はストリッパ6を固定子鉄心1の軸方向の孔に挿入するためにストリッパ6を当該軸方向に駆動するストリッパ駆動軸、8はスロット内に挿入されたコイル2に対してスロット開口部を塞ぐとともにコイル2を束ね、当該コイル2とスロットの内壁面との間を絶縁するウェッジ、9はウェッジ8の受圧端面を押圧してスロット内に挿入するウェッジプッシャ、10はウェッジ8がその受圧端面をウェッジプッシャ9先端部のウェッジ押圧面で押圧されることにより、スロット内に挿入される時にウェッジ8をスロットの方へガイドするウェッジガイド、11はウェッジ8を保持しておくウェッジマガジンである。なお、ブレードホルダ4を駆動してブレードを固定子鉄心1の軸方向孔内に挿入するブレードホルダ駆動部、ストリッパ駆動軸7を駆動してストリッパ6を固定子鉄心1の軸方向孔内に挿入するためのストリッパ駆動部、及びウェッジプッシャ9を固定子鉄心1の軸方向に駆動し、ウェッジをスロット内に挿入するためのウェッジプッシャ駆動部が存在するが、図1ではこれを省略した。すなわちコイル・ウェッジ挿入装置は、図示していない鉄心支持部、ブレード3、ブレードホルダ4、ブレードホルダ駆動軸5、ストリッパ6、ストリッパ駆動軸7、ウェッジプッシャ9、ウェッジガイド10、ウェッジマガジン11、及び図示していないブレードホルダ駆動部、ストリッパ駆動部、ウェッジプッシャ駆動部を備えている。
図2はこの発明の実施の形態1によるウェッジプッシャ8の先端部近傍の形状を示す斜視図である。図においてウェッジプッシャ9はその上面が先端部に対応しており、91はコイルに対向する面で、先端部に行くに従って斜めに肉厚が傾斜した肉厚傾斜面である。92はウェッジプッシャ9先端部にあるウェッジ押圧面で、93はウェッジ押圧面92に設けられた突起である。この例では突起93は前記肉厚傾斜面91に近い方と遠い方にそれぞれ設けられている。図3はウェッジプッシャ9を図1で示すコイル・ウェッジ挿入装置に用いた場合について、ウェッジプッシャ9でウェッジ8の下端面(すなわち受圧端面)を押圧しているところを図2に示された矢印方向から見たときの図である。図3の各番号の意味するところは、図1、図2と同じである。図3に示すように、ウェッジ8の受圧端面がウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92にある両突起93の間に入った状態でウェッジ押圧面92により押圧されることにより、ウェッジ8は図の上方に移動していく。本実施の形態に示すウェッジプッシャ9を用いれば、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92に設けた突起93により、ウェッジ8の受圧端面近傍がはさまれることとなるので、ウェッジ8がウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92から外れることを防止することが出来る。
なお、図2、図3では突起93がウェッジ8を挟むように2個ある場合について説明したが、それぞれが複数の突起に分割されていてもよい。また、突起ではなくウェッジ押圧面92に溝が形成されたものであっても、ウェッジ8の受圧端面がこの溝に入り込むことにより、同様の効果を奏することができる。
実施の形態2
本実施の形態は、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92に設けられた突起93がウェッジ受圧端面を挟むのではなく、肉厚傾斜面91側にのみ設けられたことを特徴としたものである。
図4、図5はその例を示すものである。図4は、突起93がウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92の肉厚傾斜面91側に設けられているウェッジプシャ9の斜視図を示す。
図5は図4に示すウェッジプッシャ9を用いてウェッジ8をスロット内に挿入している状態を、図4の矢印の方向から見たときの図を示す。このように突起93を肉厚傾斜面91の側にのみ設けるのは、例えば鉄心スロット内のコイル密度が高いという範疇であっても、それほど高くはない場合が考えられる。このような場合は、ウェッジ8はコイル2からの押圧力が高くないのでスロットの中でコイル2と対向する側、すなわち肉厚傾斜面91方向に動きやすくなる。従って、突起93をウェッジ8に対し肉厚傾斜面91側に設けることで、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92からウェッジ8が脱落することを防止することが出来る。
実施の形態3
本実施の形態は、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92に設けられた突起93がウェッジ受圧端面を挟むのではなく、肉厚傾斜面91とは反対側に設けられたことを特徴としたものである。図6、図7はその例を示すものである。図6は、突起93がウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92の肉厚傾斜面91とは反対側に設けられているウェッジプシャ9の斜視図を示す。
図7は図6に示すウェッジプッシャ9を用いてウェッジ8をスロット内に挿入している状態を、図6の矢印の方向から見たときの図を示す。このように突起93を肉厚傾斜面91とは反対側にのみ設けるのは、例えば鉄心スロット内のコイル密度が特に高い場合が考えられる。このような場合は、ウェッジ8はコイル2に押されてスロットの中でコイル2とは反対側、すなわち肉厚傾斜面91とは反対側に動きやすくなる。従って、突起93をウェッジ8に対し肉厚傾斜面91とは反対側に設けることで、ウェッジプッシャ9のウェッジ押圧面92からウェッジ8が脱落することを防止することが出来る。
実施の形態4
本実施の形態はウェッジプッシャ9の押圧面92を粗面化するというものである。これによりウェッジ8が押圧面92上で滑りにくくすることによりウェッジ8が当該面から脱落することを防止することが出来る。
本願発明は、電動機等磁極に高密度で巻き線することにより、高効率モータを実現するために利用することができる。
この発明の実施の形態1によるコイル・ウェッジ挿入装置を示す側面断面図である。 実施の形態1によるウェッジプッシャの形状を示す斜視図である。 実施の形態1によるウェッジプッシャによるウェッジのスロット内挿入を示す図である。 実施の形態2によるウェッジプッシャの形状を示す斜視図である。 実施の形態2によるウェッジプッシャによるウェッジのスロット内挿入を示す図である。 実施の形態3によるウェッジプッシャの形状を示す斜視図である。 実施の形態3によるウェッジプッシャによるウェッジのスロット内挿入を示す図である。 従来のウェッジプッシャの形状を示す斜視図である。 従来のウェッジプッシャによるウェッジのスロット内挿入を示す図である。
符号の説明
1 固定子鉄心、2 コイル、3 ブレード、4 ブレードホルダ、5 ブレードホルダ駆動軸、6 ストリッパ、7 ストリッパ駆動軸、8 ウェッジ、9 ウェッジプッシャ、10 ウェッジガイド、11 ウェッジマガジン、91 肉厚傾斜面、92 ウェッジ押圧面、93 突起

Claims (4)

  1. 巻き回されたコイルを電動機の固定子鉄心内周上に配置された複数の歯部に装着するために、前記鉄心の周方向に隣り合う歯部間の空間であるスロット内に、前記コイルと、前記コイルの各スロットへの挿入単位を束ね、前記スロットの周囲に位置する前記鉄心との間を絶縁するとともに前記スロットの径方向内側開口部を塞ぐためのウェッジとを挿入するコイル・ウェッジ挿入装置であって、
    前記歯部位置に対応して円周上に配置された、前記巻き回されたコイルを掛けるためのブレードと、前記各ブレードに掛けられた前記コイルを押圧するための、前記ブレードと共に所定方向に可動のストリッパと、前記ストリッパと同方向に可動の前記ウェッジ押圧用ウェッジプッシャと、前記ウェッジプッシャ配置位置に対応して、前記ウェッジおよび前記ウェッジプッシャのガイド用に円周上に複数配置されたウェッジガイドと、を備え、前記ウェッジプッシャは、前記ウェッジを押圧する先端部に前記ウェッジの位置ズレ防止用構造を備えたコイル・ウェッジ挿入装置。
  2. ウェッジプッシャ先端部のウェッジ位置ずれ防止用構造は、径方向内側と外側の少なくとも一方に突起を設けたものであることを特徴とする請求項1に記載のコイル・ウェッジ挿入装置。
  3. ウェッジプッシャ先端部のウェッジ位置ずれ防止用構造は、当該先端部のウェッジ押圧面に溝部を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のコイル・ウェッジ挿入装置。
  4. ウェッジプッシャ先端部のウェッジ位置ずれ防止用構造は、当該先端部のウェッジ押圧面を粗面化したものであることを特徴とする請求項1に記載のコイル・ウェッジ挿入装置。
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