ところで、従来の木製窓は、ガラス板の重量を木製の障子で支持する構造なので、採光面積を確保するために大サイズのガラス板を採用しようとすると、その重量に耐えるために框が大型になるという欠点があった。又、縦框と横框とを接合する、ホゾ組の構造が複雑化するという欠点があった。更に、同様の理由により、木製窓が嵌め込まれる躯体の開口部に対して、框の占める面積が大きくなるため、前記開口部に対してガラス面の面積、すなわち、採光面積を大きく確保することができないという問題もあった。
このような問題を解消する窓として、框及び窓枠等の主要部分をアルミニウム製とし、表面部分を木で被覆したアルミニウムと木材の複合タイプの木製窓がある。しかしながら、この木製窓は、主要部材が木材からなる木製窓に比べて断熱性が低くなる等の問題があった。
又、主要部材を木材にした場合でも、木製窓の剛性を向上させるための金属製の部材の利用が多くなると、複合タイプの窓と同じく断熱性が損なわれ、窓全体の重量が増加するという欠点があった。又、金属製部材の構造が複雑になると、窓の組み立て性も損なわれるという問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、大サイズの透明板状体であっても木製の框を大型にすることなく保持することができ、又、簡単な構造で部品点数が少なく、窓の総重量の増加を抑制し、更に組み立てが簡単な障子及び木製窓を提供することを目的とする。
本発明者は、従来の障子の框が、透明板状体を支える機能と断熱及び気密機能の三つの機能を備えるのに対して、透明板状体を支える機能のうちその自重を支える機能を框から分離して、自重を透明板状体の4辺端部又は3辺端部に対して隔置した保持部材によって支持する構造を発明した。この構造によれば、透明板状体の自重を保持部材が支持するため、大サイズの透明板状体であっても木製の框を大型にすることなく保持できること、更に、この保持部材をフリクションステー用の金属製部材、又は丁番用の金属製部材に接合部材を介して固定することで、保持部材を前記金属製部材を介して窓枠に固定することになり、構造的に信頼性が高い木製窓を提供できることを見出した。なお、透明板状体を支える機能のうち透明板状体の面外方向を支える機能については、従来通り、主に框の押し縁による。
すなわち、本発明は、木製の框に矩形状の透明板状体が嵌め込まれる障子が窓枠に開閉自在に取り付けられた木製窓において、前記透明板状体の4辺端部と前記框の内縁部との間には保持部材が配置され、前記透明板状体は、前記保持部材と透明板状体との間の隙間の所定の位置に嵌装されたセッティングブロックを介して前記保持部材に保持され、前記保持部材は、前記障子を前記窓枠に対して開放させるための金属製部材に接合部材を介して固定されていることを特徴としている。
本発明によれば、保持部材が、透明板状体を保持する部材として、框の内縁部に沿って配置されているので、框が木製のため腐朽によって劣化、又は変形した場合にも框の状態によらず、透明板状体を保持する機能の変化が小さく、長期に亘って構造的な信頼性の高い障子を提供できる。又、保持部材が透明板状体を保持するので、框が元々有していた保持機能を分担する分、框の断面積を小さくできる。よって、躯体開口部に対する透明板状体の採光面積を大きくとることができる。更に、保持部材が框の内縁に沿って配置されるため、セッティングブロックを介して局所的に加わる透明板状体の自重による荷重を保持部材によって分散し、その力が框に伝わるので、框の局所的な変形を防止できる。又、セッティングブロックを介して透明板状体を保持部材に保持して、弾性的に支持しているので透明板状体の端部が傷つくことがなく、より構造的な信頼性の高い障子を提供できる。例えば、透明板状体がガラスの場合は、特に傷によってガラスが破損しやすくなる場合があるため効果がある。
本発明は、前記保持部材は、断面形状が略矩形状であって平面形状が略枠形状であり、前記框に前記保持部材が嵌入される溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、保持部材の断面が略矩形状で、その平面形状が略枠形状で、その保持部材が框に嵌入されるので、保持部材が框の内縁部の周辺に納まるため目立たず、又框の外周が大きくならないため、意匠性を損なうことのない木製障子を提供できる。
本発明は、前記保持部材は、断面形状が略U字形状であって平面形状が略枠形状であり、前記框に前記保持部材が嵌入される溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、保持部材の断面形状が略U字形状のため断面形状が略矩形の場合に比べて透明板状体の端面と保持部材の底面との距離が大きくなり、そこを雨水の排水経路とした排水性のよい木製障子を提供できる。好ましくは、保持部材と框に排水性を向上させる貫通穴を設けることにより、更に排水性がよくなり、透明板状体や框の耐久性を向上させることもできる。例えば、透明板状体が複層ガラスの場合には、特にその耐久性を高める点で効果が高い。
本発明によれば、長期に亘って構造的な信頼性の高い木製窓を提供できる。
本発明によれば、保持部材を開放させるための金属製部材に接合部材を介して固定しているので、透明板状体の自重が直接框にかかることがなく、木製の框が腐朽による劣化、変形等により框の強度が低下した場合でも、透明板状体は保持部材及び接合部材を介して金属製部材に支持されているため、保持機能の変化がなく、より一層長期に亘って構造的な信頼性の高い木製窓を提供できる。
本発明の前記金属製部材は、フリクションステー用の金属製部材、又は丁番用の金属製部材であることを特徴とする。
本発明によれば、保持部材を開放させるための金属製部材は、特にフリクションステー用の金属製部材、又は丁番用の金属製部材とすることで得られるので、接合部材を追加するだけで、別途専用の金属製部材を設ける必要はない。
本発明のセッティングブロックは、透明板状体の自重を受ける位置、及び/又は透明板状体の自重による回転方向の荷重を受ける位置に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、障子のセッティングブロックが透明板状体の自重を受ける位置、及び/又は透明板状体の自重による回転方向の荷重を受ける位置に配置されるので、必要最小限の力の釣り合いを満足する位置にセッティングブロックを配置できる。
本発明は、前記障子の開放時に、該障子の重心位置が前記窓枠面の外側に移動する窓であることを特徴とする。
本発明によれば、障子の開放時に、障子の重心位置が窓枠面の外側に移動する窓において特に有効となる。
本発明の前記木製窓は、縦すべり出し窓、横すべり出し窓であることを特徴とする。
なお、縦すべり出し窓や横すべり出し窓と同様の開閉機構を有する勝手口ドアやテラス窓も、上記木窓に含まれる。木製窓は、開閉時に框の特に開閉のための金属製部材がある反対の上部コーナーに最も自重による荷重がかかる。このため、この部分の木製の框の構造は、一般的には、コーナー部をホゾ組として接着面積を大きくしてこの荷重に抗する。本発明では、前述の通り、保持部材が透明板状体を保持する機能を有しているので、この上部コーナーには大きな力は発生せず、その分、この部分の構造を簡素化できる。これによって、組み立ても簡素化できる。例えば、ホゾ組から、構造のみならず組み立ても簡単になる突合せ構造に変更でき、又従来接着材に要求していた性能の低減も可能となる。
本発明は、縦すべり出し窓であって、該窓の前記セッティングブロックが、前記保持部材と前記透明板状体との間の隙間のうち、少なくとも透明板状体の下辺端部の開閉のための前記金属製部材側の鉛直方向の隙間1個所と、少なくとも該個所と対角上の縦辺上端部の水平方向の隙間1個所とに配置されることを特徴とする。
本発明によれば、縦すべり出し窓において、自重を窓枠に固定した開閉のための金属製部材の近くで支持し、更に自重によって発生する回転モーメントを対向する縦辺のセッティングブロックで支持することによって、力の釣り合いが満足される。このため、最小限のセッティングブロックの位置を提供する。
本発明は、縦すべり出し窓であって、該窓の前記セッティングブロックが、前記保持部材と前記透明板状体との間の隙間のうち、該透明板状体の下辺端部の開閉のための前記金属製部材側の鉛直方向の隙間1個所及び水平方向の隙間1個所と、該個所と対角上の縦辺上端部の水平方向の隙間1個所及び鉛直方向の隙間1個所とに配置されることを特徴とする。
本発明によれば、縦すべり出し窓において、自重を窓枠に固定した開閉のための金属製部材の近くのコーナーの2個所で支持し、更に自重によって発生する回転モーメントを対角上のコーナーの2個所のセッティングブロックで支持することによって、より安定的に支持される。
本発明は、横すべり出し窓であって、該窓の前記セッティングブロックが、前記保持部材と前記透明板状体との間の隙間のうち、少なくとも透明板状体の前記金属製部材に対する対辺側である下辺端部の鉛直方向の隙間に2個所配置されることを特徴とする。
本発明によれば、横すべり出し窓において、窓枠に固定した金属製部材の2点で保持部材が安定的に支えられるその下辺2点で、自重を支持することによって力の釣り合いが満足されるため、最小限のセッティングブロックの位置を提供する。
本発明全体として、保持部材の使用による部品点数の増加は少なく、施工性及びコスト面での影響が少ない。又、透明板状体の保持の信頼性が高まるので、従来の木製窓に必要な保守の頻度を少なくできる。更に、框の断面積を小さくできることは、框の軽量化と低コスト化も可能となる。
又、前記セッティングブロックと前記保持部材との間に空間が空くように保持部材を形成すれば、その空間を排水用通路として利用でき、更に、下部の保持部材の所定の位置に開口部と、これに連通する貫通孔を框に形成することにより、排水用通路に流れた雨水等を障子から外部に排水できる。
本発明においては、框の劣化によらず、透明板状体を把持する機能を長期に亘って維持し、構造的な長期信頼性が得られる。
又、本発明においては、保持部材を開閉機能のために設けた窓枠に固定した金属部材に接合する構造により、框の劣化によらず、透明板状体を把持する機能をより長期に亘って維持し、構造的なより高い長期信頼性が得られる。更に、保持部材が嵌入される溝が框に形成されているので、保持部材が目立たず、納まり、組み立て性の向上が得られる。更に又、保持部材の断面形状が略U字形状であるので、雨水の排水経路とした排水性のよい木製障子を提供できる。
以上の効果から、木製窓に必要な保守の頻度を少なくできる。又、この構造によれば、框にかかる透明板状体の自重を分散することができるので、框の部分的な変形も防止できる。更に、本発明に関わる部品点数も少なく、組み立ても簡単にできる。
以下、添付図面(図1〜図10)に従って、本発明に係る障子及び木製窓の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、実施の形態の縦すべり出し窓10の障子12が開放された状態を示す外観図であり、図2は、縦すべり出し窓10の構造を模式的に示した正面図である。この縦すべり出し窓10は、木製の縦框26、26と横框28、28とを接合して構成される障子12と、障子12を図2に示す上下一対のフリクションステー(金属製部材)18、18を介して開閉自在に支持する矩形の窓枠20とからなるサッシに、矩形の複層ガラス(透明板状体)16が障子12に嵌め込まれることにより構成される。ただし、図2は、各部材の位置関係の概略を示すもので、実際には後述するフラットバー(保持部材)32、セッティングブロック30A〜30D、ボルト40(接合部材)、フリクションステー18、及び複層ガラス16の一部は縦框26、26と横框28、28に隠れている。
なお、実施の形態では、透明板状体として図3に示す複層ガラス16を例示したが、これに限定されるものではなく、単板ガラス、合わせガラス、透明のポリカーボネート板、及びこれらの透明板状体の組み合わせであってもよい。又、窓枠20は、躯体開口部に嵌め込まれる本体の外枠22は金属製でも木製でもよく、躯体開口部に沿って露出する枠体24は障子12と同様に木製で、縦すべり出し窓10全体として木製の意匠性が高められている。
障子12で複層ガラス16を除く部分は、図1、図2の如く、木製の縦框26、26と横框28、28とをホゾ組等の接合構造により、矩形の枠状に組み付けることにより構成される。そして、障子12の内縁部には、複層ガラス16をセッティングブロック30A〜30Dを介して保持するためのフラットバー32が設けられている。
かかる構成から障子12の複層ガラス16は、フラットバー32と複層ガラス16との間の隙間の所定の位置に嵌装されたセッティングブロック30A〜30Dを介してフラットバー32に保持される。これにより、複層ガラス16の自重及びその回転モーメントによる荷重に対してフラットバー32が抗する。
フラットバー32は、図3に示すように断面が略矩形状であって、その平面形状が図2の如く複層ガラス16の4辺端部に沿った略枠形状であり、障子12の内縁部に形成された凹状の溝部15(図3参照)に嵌合されている。又、このフラットバー32に縦框26、26と横框28、28が皿形の木ねじ34によって固定されている。なお、図3の符号36は、複層ガラス16を保持させる押し縁であり、これも又木ねじ38によって縦框26、26と横框28、28に固定されている。
フラットバー32は、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属製であるが、縦框26、26と横框28、28の内部が腐朽するとアルカリ性になり、鉄やステンレスは腐食する可能性が高いため、アルミニウム製が好ましい。又、フラットバー32の構成は、一本のバー材を折り曲げ、端部を接合(溶接、ビス、リベット)して構成してもよく、又、4本のバー材をコーナー4点で接合(溶接、ビス、リベット)して構成してもよい。更に、L字状に折り曲げられた2本のバー材をコーナー2点で接合(溶接、ビス、リベット)して構成してもよい。1本で製作すると、曲げ工程は増えるが接合個所は1個所で済む。又、4本のバー材で製作すれば、曲げ工程は必要ないが接合個所が4個所となる。溶接を選択すると、ビス留めの工程が減り、量産時には施工性が向上する。又、ビス留めは、現場での微調整も可能で、木材の伸縮を考えると好ましい。
ところで、フラットバー32の上部及び下部は、図2に示すようにアルミニウム製、又は鉄製のボルト40、40を介して上下のフリクションステー18、18に固定されている。これにより、フラットバー32が窓枠20に安定的に固定されることになる。この構造により、複層ガラス16は障子12に直接支持される訳ではなく、セッティングブロック30A〜30D、フラットバー32、ボルト40、40、及びフリクションステー18、18を介して窓枠20に安定的に支持されることになる。
又、この木製窓は、縦すべり出し窓10なので、すなわち、障子12の開放時に、障子12の重心位置が窓枠20の面の外側に移動する窓であるので、セッティングブロック30A〜30Dのうち下側の一対のセッティングブロック30A、30Cは、複層ガラス16の自重を受ける位置に配置され、上側の一対のセッティングブロック30B、30Dは、複層ガラス16の回転方向の荷重を受ける位置に配置されている。即ち、この場合は本発明でのセッティングブロックの配置に対応する。なお、複層ガラス16の回転方向とは、複層ガラス16の自重を受ける下側の一対のセッティングブロック30A、30Cの近傍に位置する軸を中心に、複層ガラス16が複層ガラス16の面に沿って回転する(傾く)方向を指している。要するに、セッティングブロック30A〜30Dは、フラットバー32と複層ガラス16との間の隙間のうち、少なくとも複層ガラス16の下辺端部の回転軸(フリクションステー18)側の鉛直方向の隙間1個所の30Aと、少なくとも複層ガラス16の非回転軸側の縦辺上端部の水平方向の隙間1個所の30Bとに配置されればよい。このようなセッティングブロック30A〜30Dの配置は、勝手口ドア、テラス窓においても同様である。
次に、前記の如く構成された障子12及び木製窓10の効果について説明する。
まず、実施の形態の障子12によれば、フラットバー32が、複層ガラス16を保持する部材として、障子12の内縁部に沿って配置されているので、障子12(縦框26、26と横框28、28)が木製のため腐朽によって劣化、又は変形する可能性があるが、障子12の状態によらず、複層ガラス16を保持する機能の変化が小さく、長期に亘って構造的な信頼性の高い障子12を提供できる。又、フラットバー32が複層ガラス16を保持するので、障子12が元々有していた保持機能をフラットバー32が分担する分、縦框26、26と横框28、28の断面積を小さくできる。よって、複層ガラス16の採光面積を躯体開口部に対して大きくとることができる。更に、フラットバー32の効果により、縦框26と横框28とを接合する複雑形状のホゾ組を単なる突合せ接合構造に変更することができ、障子12の組み立てが簡単になる。更に又、フラットバー32が障子12の内縁部に沿って配置されるため、セッティングブロック30A〜30Dを介して局所的に加わる複層ガラス16の自重による荷重をフラットバー32によって分散するので、縦框26、26と横框28、28の局所的な変形を防止できる。
又、セッティングブロック30A〜30Dを介して複層ガラス16をフラットバー32に保持して、弾性的に支持しているので複層ガラス16の端部が傷つくことがなく、より構造的な信頼性の高い障子12を提供できる。フラットバー32の断面が略矩形状で、その平面形状が略枠形状で、図3に示すようにそのフラットバー32が縦框26、26と横框28、28の凹部15に嵌入される場合には、フラットバー32が縦框26、26と横框28、28の内縁部の周辺に納まるため目立たず、又縦框26、26と横框28、28の外周が大きくならないため、意匠性を損なうことのない木製の障子12を提供できる。
更に、複層ガラス16がセッティングブロック30、フラットバー32、ボルト40、40、及びフリクションステー18,18を介して窓枠20に安定的に支持されることになるので、障子12(縦框26、26と横框28、28)においては、複層ガラス16の全荷重を受ける従来の障子と比較して、それほどまでの強度を必要とせず、縦框26、26と横框28、28の断面積を小さくでき、障子12を小型化できる。ただし、耐風圧機能に支障が無い範囲で小型化することは言うまでもない。
図4は、フラットバー32の他の実施の形態を示した障子12の断面図であり、図3に示した障子12と同一又は類似の部材については同一の符号を付して説明する。
図4に示すフラットバー32は、断面形状が略U字形状に形成され、前述のように縦框26、26と横框28、28側の凹部15に嵌入されている。又、図示していないが、図4のフラットバー32も平面形状が略枠形状である。更に、フラットバー32には図5(A)で示す丸孔の排水口42、又は図5(B)で示す矩形状の排水口44が形成される。そして、これらの排水口42、又は44に連通する複数の貫通孔46が下側の横框28に所定の間隔をもって形成されている。
このように構成された障子12によれば、フラットバー32の断面形状が略U字形状のため、複層ガラス16の端面とフラットバー32との間に、雨水の排水経路となる空間33が形成される。これにより、排水性のよい木製障子を提供できる。又、フラットバー32と下側の横框28に排水性を向上させる排水口42、又は44、貫通穴46を形成しているため、更に排水性がよくなり、複層ガラス16や縦框26、26と横框28、28の耐久性が向上する。透明板状体が複層ガラス16の場合には、特にその耐久性を高める点で効果が高い。
図6は、図2に示した例とは一部異なる木製の開き窓50の構造を模式的に示した正面図であり、図2に示した縦すべり出し窓10と同一又は類似の部材については同一の符号を付して説明する。なお、図6は、図2と同様に各部材の位置関係の概略を示すもので、実際にはフラットバー32、セッティングブロック30A〜30D、ボルト40、丁番52、フリクションストッパー54、及び複層ガラス16の一部は縦框26、26と横框28、28に隠れている。図6においても、図示されたように複層ガラス16の左下コーナー部に設けられたセッティングブロック30A、30Cと、右上コーナー部に設けられたセッティングブロック30B、30Dとは、対角位置関係となっている。
図6の開き窓50は、窓枠20の縦枠に設けられた金属製の丁番52、52を介して木製の障子12が窓枠20に開閉自在に取り付けられた窓である。又、障子12は、窓枠20の上下の横枠に設けられたフリクションストッパー54、54を介して窓枠20に取り付けられるとともに、フリクションストッパー54、54によってその開放角度が規制されている。
そして、セッティングブロック30A〜30Dを介して複層ガラス16を保持するフラットバー32は、図7の如く、丁番裏56と縦框26とで挟持されるようにボルト40を介して丁番52に固定されている。
図6に示す開き窓50によれば、図1に示した縦すべり出し窓10と開放形態が異なるだけであり、前述した縦すべり出し窓10と同様の効果を得ることができる。なお、実施の形態の開き窓50はフリクションストッパー54を備えているが、フリクションストッパー54を備えていない開き窓の場合も適用できる。
図8は、木製の横すべり出し窓60の構造を模式的に示した正面図であり、図2に示した縦すべり出し窓10と同一又は類似の部材については同一の符号を付して説明する。なお、図8は、図2及び図6と同様に各部材の位置関係の概略を示すもので、実際にはフラットバー32、セッティングブロック30、ボルト40、フリクションステー18、及び複層ガラス16の一部は縦框26、26と横框28、28に隠れている。
図8の横すべり出し窓60に設けられるフラットバー32は、平面形状が略凹形状(略コ字形状)であり、図示していないが、断面は略矩形状(図3参照)又は略U字形状(図4参照)に形成されている。又、同様に縦框26、26と横框28、28側にはフラットバー32を嵌合する溝が形成されている。更に、このフラットバー32は、その両上端部がボルト40、40(接合部材)を介してフリクションステー18、18に固定されている。
一方、横すべり出し窓60のセッティングブロック30、30は、フラットバー32と複層ガラス16との間の隙間のうち、少なくとも複層ガラス16の非回転軸側の下辺端部の鉛直方向の隙間に2個所嵌装配置されている。
このように構成された横すべり出し窓60によれば、前述した縦すべり出し窓10と同様の効果の他、窓枠20に固定したフリクションステー18、18の上部2点でフラットバー32が安定的に支えられるその下辺2点で、自重を支持することにより力の釣り合いが満足されるため、最小限のセッティングブロックの位置を提供する。
図9は、木製の勝手口ドア70の構造を模式的に示した正面図であり、図1〜8に示した実施の形態と同一又は類似の部材については同一の符号を付して説明する。なお、図9は、図2、図6、及び図8と同様に各部材の位置関係の概略を示すもので、実際にはフラットバー32A、32B、セッティングブロック30、ボルト40、ボルト72、丁番52、及び複層ガラス16A、16Bの一部は縦框26、26と横框28、28に隠れている。
この勝手口ドア70は、2枚の複層ガラス16A、16Bが支持された障子12が、3個の丁番52、52、52を介して窓枠20に開閉自在に取り付けられることにより構成されている。なお、下側の複層ガラス16Bは、透明板状体でなくてもよく、目隠しとして利用する場合もある。
又、上側の複層ガラス16Aをセッティングブロック30、30…を介して保持する略枠形状のフラットバー32Aは、2本のボルト40、40を介して2個の丁番52、52に固定され、下側の複層ガラス16Bをセッティングブロック30、30…を介して保持する略枠形状のフラットバー32Bは、2本のボルト72、72を介して上側のフラットバー32Aに吊り下げられるように支持されている。
複層ガラス16Aにおけるセッティングブロック30、30…の配置の考えは、図2に示した縦すべり出し窓10のセッティングブロック30A〜30Dと同様であり、複層ガラス16Bにおけるセッティングブロック30、30…の配置の考えは、図8に示した横すべり出し窓60のセッティングブロック30、30…と同様である。これにより、少ない部材で効率的に構成、組み立てが可能となる。
なお、上記実施の形態では、フラットバー32の断面を略矩形状、略U字形状とした例のみ説明したが、これに限定されるものではない。例えば、フラットバー32に、複層ガラス16の面外方向の把持をする部材を少なくとも2個所を設けてもよい。具体的には、透明板状体の端部を囲うようなU字の部材、あるいは、透明板状体の端部の2側面を別々の2枚の板で把持する等の形態でも適用できる。
又、縦すべり出し窓、開き窓、勝手口ドア、テラスドア等で利用するフラットバー32の枠形状として、図10(A)、(B)で示すように略L字形状であって、その両先端が更にL字状に屈曲した屈曲端部(保持部材)32A、32Bを有する構造とすることもできる。この場合、保持部材は開放端を有するが透明板状体の4辺を支持する構造となる。図10(A)は、フラットバー32をフリクションステー18に固定した例、図10(B)は、フラットバー32を丁番52に固定した例である。下側のセッティングブロック30Aは、複層ガラス16の自重を受けるため、そのセッティングブロック30Aの取付位置においては、図示の矢印の如く複層ガラス16の自重による回転モーメントがかかる。又、上側のセッティングブロック30Bは、複層ガラス16の回転方向の荷重を受けるため、そのセッティングブロック30Bの取付位置においては、図示の矢印の如く複層ガラス16の回転によるモーメントがかかる。なお、複層ガラス16の回転方向とは、複層ガラス16の自重を受ける下側のセッティングブロック30A近傍に位置する軸O(仮想軸)を中心に、複層ガラス16が複層ガラス16の面に沿って回転する方向を指している。
10…縦すべり出し窓、12…障子、15…凹状の溝部、16…複層ガラス(透明板状体)、18…フリクションステー(金属製部材)、20…窓枠、26…縦框、28…横框、30…セッティングブロック、30A…セッティングブロック、30B…セッティングブロック、30C…セッティングブロック、30D…セッティングブロック、32…フラットバー(保持部材)、32A…屈曲端部(保持部材)、32B…屈曲端部(保持部材)、40…ボルト(接合部材)、50…開き窓、52…丁番(金属製部材)、54…フリクションストッパー、60…横すべり出し窓、70…勝手口ドア、72…ボルト