JP4971027B2 - 工作機械 - Google Patents

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Description

この発明は、工作機械,特にワークを支持する主軸を自身の軸線方向に移動させるようにした主軸移動型旋盤において具体化されることに適した工作機械に関するものである。
従来、この種の主軸移動型旋盤において、例えば特許文献1に開示される構成が提案されている。この特許文献1に記載の従来構成では、主軸を支持する主軸台はその下面においてベッドに載置状態で支持されている。ところで、ワークの加工時には、主軸の回転等によって主軸や主軸の軸受が発熱するとともに、刃物とワークとが位置する加工部においても切削によって熱が生じる。ここで、加工に際して主軸や主軸の軸受に生じる熱は、主軸側から主軸台の下面側を介してベッドに伝達される。従って、主軸台の上面側と下面側とでは、温度分布が異なることになり、このため、主軸が湾曲して加工精度が低下するおそれがある。
また、特許文献1の構成において、主軸の外周の通路を介して加工位置に対して切削油が供給されるように構成されている。従って、この切削油によって主軸やワークの加工位置が冷却されるが、切削油は主軸の外周の狭い通路を通って加工位置に流れるだけであるため、主軸の全周を均一に冷却することは困難である。しかも、切削油が加工位置に供給されるのみであるため、主軸と刃物台との温度を等しくすることも困難である。このため、主軸と刃物台等との間の温度差に起因した加工精度の低下は避けられない。
また、例えば特許文献2及び特許文献3に開示されるように、ガイドブッシュを省略して、長いワーク残材の発生を防止できるようにした主軸移動型旋盤も従来から提案されている。
この特許文献2及び特許文献3に記載の従来構成では、刃物台支持体に主軸を非接触状態で貫通させるための貫通孔が形成されている。そして、主軸の先端が貫通孔を貫通して刃物台支持体の前方に突出され、刃物台上の刃物により主軸に把持されたワークに対して加工が施される。
しかしながら、この特許文献2及び特許文献3に記載の従来構成においては、主軸を支持する主軸台と刃物支持台とは直接の接触状態にないため、主軸や主軸台の温度と刃物台支持体の温度とが異なり、このため、熱膨張量の相違によって加工精度が低下する。また、この特許文献2及び特許文献3においては、主軸台を主軸の軸線方向へ移動可能に案内支持するための案内部材が、刃物台支持体との干渉を避けるように、その刃物台支持体の後方に配置されている。このため、主軸台は片持ち状態になり、温度変化によって前記案内部材の先端側の部分が湾曲しやすい。このように主軸台が湾曲した場合には、加工精度が大きく低下することになる。
このような温度差の問題に対処するため、例えば特許文献4及び特許文献5に開示されるような冷却装置を備えた主軸移動型旋盤も従来から提案されている。特許文献4に記載の従来構成では、主軸を回転可能に支持する主軸台の複数の部位に、ヒートパイプを介して作動流体が供給されように構成されている。この構成により、主軸台の各部位に発生する温度差が低減され、主軸台の各部位間の温度差に起因する加工精度低下のおそれが抑制されるとしている。
また、特許文献5に記載の従来構成では、主軸台内にオイルジャケットが形成され、そのオイルジャケットにオイルクーラから冷却油が供給されて、主軸台が冷却される。それとともに、オイルクーラから刃物台に冷却油が供給されて、その刃物台が冷却されるように構成されている。
実公平3−40488号公報 特開2006−326732号公報 実用新案登録第2576956号公報 特公平6−20715号公報 特開平4−343639号公報
ところが、前記特許文献4及び特許文献5に記載の従来構成においては、次のような問題があった。
すなわち、特許文献4に記載の従来構成では、作動流体が主軸台のみに供給されて、刃物台には供給されない。このため、温度調整される主軸台と、温度調整されない刃物台支持体との間に大きな温度差が発生し、やはり加工精度の低下を招くというおそれがあった。
また、特許文献5に記載の従来構成では、冷却油がオイルクーラから別々の送油管を介して、主軸台内のオイルジャケット及び刃物台に供給されるように構成されている。このため、冷却油の送油管構成が複雑になるとともに、主軸台と刃物台とを同一温度に冷却することが困難であった。よって、やはり主軸台と刃物台との間に温度差が生じて、高い加工精度を得ることができない。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、冷却構成が簡単であるとともに、主軸台及び刃物台支持体を同一温度に冷却することができて、加工精度を向上させることができる工作機械を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明は、ベッドと、先端においてワークを把持する回転可能な主軸と、前記ワークを切削するための刃物が支持される刃物台とを備えた工作機械において、前記ベッド上に固定され、刃物台を支持する刃物台支持体には冷媒が貯留される冷却室を形成し、前記主軸を前記冷却室内の冷媒の位置を貫通するように前記刃物台支持体に支持し、その冷却室内の冷媒によって主軸及び刃物台支持体を冷却するようにしたことを特徴としている。
従って、この発明の工作機械においては、刃物台支持体に冷却室を形成しただけの構成によって冷却室内の冷媒により主軸台及び刃物台支持体を同時に冷却することができる。よって、冷却構成を簡略化することができる。しかも、主軸台及び刃物台支持体を冷却室内の冷媒により同一温度に冷却することができて、それらの間に温度差が発生することで、加工精度が低下するおそれを抑制することができる。
前記の構成において、前記主軸を主軸台に支持し、その主軸台を前記冷却室の冷媒の位置を貫通した状態で前記刃物台支持体に主軸の軸線方向に移動可能に支持するとよい。このようにすれば、位置精度の高い主軸が備えられた主軸移動型旋盤を実施できる。
前記の構成において、前記刃物台支持体には、主軸台を主軸の軸線方向へ移動可能に支持するための複数の案内部材を設けるとよい。このように構成した場合には、主軸の先端部に近い位置,すなわち加工位置に近い位置で、案内部材を介して主軸台を刃物台支持体に移動可能に支持することができる。よって、加工時において主軸台の高い支持剛性を確保することができて、加工精度を一層向上させることができる。
前記の構成において、前記冷却室が前記複数の案内部材間に位置するように構成するとよい。このように構成すれば、各案内部材を同じ温度になるように冷却できる。このため、主軸の位置精度を確保できるとともに、主軸台の移動に際してこじれを回避できる。
前記の構成において、前記主軸台は、少なくとも冷却室内の部分が円筒状をなすように構成するとよい。このようにすれば、主軸をその外周から均等に冷却できる。
前記の構成において、前記刃物台支持体は、前記刃物台を主軸の軸線に対する直角の方向に案内するように構成することが好ましい。
さらに、前記の構成において、前記冷却室と対応する位置において、主軸台の内部に主軸を回転させるためのビルトインモータを設けるとよい。このようにすれば、モータの発熱を効果的に冷却して、そのモータ発熱による悪影響を抑制できる。
以上のように、この発明によれば、冷却構成が簡単であるとともに、主軸台及び刃物台支持体を同一温度に冷却することができて、加工精度を向上させることができるという効果を発揮する。
以下に、この発明を具体化した工作機械としての主軸移動型旋盤の一実施形態を図1及び図2の図面に基づいて説明する。
この工作機械においては、ベッド11上に刃物台支持体12が立設されて固定されている。刃物台支持体12にはY軸移動体13がアリ状のガイド部14を介して、後述する主軸30の軸線方向であるZ軸方向と直角をなすY軸方向へ移動可能に支持されている。このY軸移動体13は、図示しないY軸移動用モータの回転により、ボールネジ送り機構15を介して前記Y軸方向へ往復移動される。Y軸移動体13には刃物台16が前記Z軸方向及びY軸方向と直角をなすX軸方向へ移動可能に支持され、X軸移動用モータ17により、図示しないボールネジ送り機構を介して同X軸方向へ往復移動される。刃物台16上には後述するワークWに切削等の加工を施すために選択使用される複数の刃物18が支持されている。
前記刃物台支持体12には上面の開口を蓋板20によって閉鎖した冷却室19が形成されている。冷却室19の周壁下部にはインレット21が形成されるとともに、冷却室19の周壁上部にはアウトレット22が形成されている。ベッド11上であって刃物台支持体12の奥側(図面裏面側)には、冷媒である冷却用流体Fを冷却するための図示しない循環冷却装置が刃物台支持体12とは別体で設けられている。冷却用流体Fは、この循環冷却装置によって冷却されてインレット21を介して冷却室19に送り込まれる。また冷却室19内において冷却に供されて温度上昇した冷却用流体Fがアウトレット22から前記循環冷却装置に戻されて、温度低下された後、再び冷却室19に送り込まれる。前記冷却用流体Fとしては、オイルが用いられる。
また、前記刃物18により後述する主軸30の先端のワークWに対して切削等の加工が施される際に、図示しない切削油供給装置からワークWの加工部に切削油が供給される。
前記冷却室19の両側壁には、一対の円筒状の案内部材23,24がZ軸方向へ相互間隔をおいた状態で設けられている。冷却室19内を貫通して延びるように、両案内部材23,24には主軸台25がZ軸方向へ滑り案内状態で移動可能に挿通支持されている。この主軸台25は、円筒状の主軸筒26と、その主軸筒26の後端に取り付けられたブラケット部27とから構成されている。そして、主軸筒26の両端が両案内部材23,24によって案内されるとともに、中間部が冷却室19内の冷却用流体F内にその全周が浸されている。両案内部材23,24における冷却室19側の内周端部には、冷却室19内からの冷却用流体Fの漏出を防止するための封止シール28が設けられている。前方(図面の右方)側の案内部材23における冷却室19と反対側(右側)の内周端部には、案内部材23内への切り屑等の進入を抑制するためのダストシール29が取り付けられている。
前記主軸台25の主軸筒26内の軸心位置には、主軸30が複数の軸受31を介してZ軸方向に延びる軸線の周りで回転可能に支持されている。主軸30の先端中心部には、棒状のワークWを着脱可能に把持するためのコレット32が取り付けられている。主軸台25の前記ブラケット部27内には、コレット32を開閉するための図示しないコレット開閉機構が収容されている。
前記軸受31間において、主軸筒26内には主軸30を回転させるためのビルトインモータよりなる主軸回転用モータ33が組み込まれている。従って、主軸回転用モータ33は冷却室19に対応したところに位置している。
前記刃物台支持体12の後側面には、ガイドロッド34が主軸30の軸線と平行に延びるように突出されている。主軸台25のブラケット部27には、ガイドロッド34を案内するための案内部材としてのガイド筒35が固定されている。そして、このガイドロッド34がガイド筒35に沿って摺動されることにより、主軸台25のZ軸回りの回転を抑制して刃物台支持体12に対する主軸台25のZ軸方向への移動が案内される。
前記ベッド11上にはZ軸移動用モータ36が配設されている。主軸30の軸線を挟んでその軸線と直交する方向に離間して前記ガイドロッド34と対称位置に配置されるように、ベッド11上にはボールネジ37が回転可能に支持されている。このボールネジ37は、カップリング38を介してZ軸移動用モータ36のモータ軸に連結されている。主軸台25のブラケット部27には、ボールネジ37に螺合され、ボールネジ37とともに連結部を構成するナット39が取り付けられている。ここで、前記Z軸移動用モータ36,ボールネジ37及びナット39により駆動機構が構成されている。そして、Z軸移動用モータ36の回転により、ボールネジ37及びナット39を介して主軸台25がZ軸方向に移動される。
次に、前記のように構成された工作機械の動作を説明する。
さて、この工作機械において、棒状のワークWに切削等の加工を施す場合には、図1及び図2に示すように、ワークWをコレット32により主軸30の先端部に装着する。この状態で、工作機械を運転させると、主軸回転用モータ33により主軸30が自身の軸線を中心に回転されて、ワークWが主軸30と一体に回転される。このとき、必要に応じてZ軸移動用モータ36により主軸台25がZ軸方向に移動されるとともに、同じく必要に応じて図示しないY軸移動用モータ及びX軸移動用モータ17により刃物台16がY軸及びX軸方向に移動される。これらの移動により、刃物台16上の刃物18がワークW上の所定加工位置に対応配置されて、その刃物18によりワークWに切削等の加工が施される。
そして、このワークWの加工時においては、所定温度に冷却された冷却用流体Fが、図示しない循環冷却装置からインレット21を介して冷却室19内に送り込まれるとともに、アウトレット22から循環冷却装置に戻されて循環されて、定温状態が維持される。このため、冷却室19内の冷却用流体Fにて、主軸台25の主軸筒26が外周面全体から均一に冷却される。それとともに、刃物台支持体12の刃物台16を支持する側壁部分が、主軸台25と同時に冷却される。
従って、主軸30の回転にともなう同主軸30の温度上昇や、切削熱による刃物台16の温度上昇に対して、同一の冷却用流体Fにより温度差が生じることなく、同じ温度に冷却することができる。
従って、この実施形態においては以下の効果を得ることができる。
(1) 冷却室19内の冷却用流体Fにより主軸筒26の全周が均一に冷却されるため、主軸筒26や主軸30の湾曲を防止でき、高精度加工が可能となる。
(2) 冷却室19内の冷却用流体Fにより、主軸30及び刃物台16を同時に冷却できるため、その主軸30と刃物台16との間の温度差を解消できる。このため、熱膨張量の相違に起因する加工精度低下を抑制することができて、高精度の加工を行うことができる。
(3) 主軸30を回転させるための主軸回転用モータ33が冷却室19と対応する位置に配置されている。このようにすれば、同モータ33の発熱を効果的に冷却して、そのモータ33の発熱による悪影響を抑制できる。
(4) そして、主軸回転用モータ33を効果的に冷却できるために、同モータ33を主軸30の中間位置に配置できる。このため、装置全体を小形化できる。
(5) 主軸30及び刃物台16を冷却するための構成は、刃物台支持体12に冷却室19を設けただけであるから、部品点数の増加を抑制できて、構成を簡単にすることができる。
(6) 主軸台25が刃物台支持体12の前端位置において案内部材23によって支持されるため、その主軸筒26の案内位置が刃物18による加工位置に近接し、主軸30の支持剛性を高くすることができる。従って、前記のように高精度加工に有効である。
(7) ワークWの加工時には、主軸台25が一対の案内部材23,24により、主軸30の先端部に近い位置及びそこから離間した位置の2箇所において、刃物台支持体12に対して安定に支持された状態で、主軸30の軸線方向に移動される。従って、主軸30の高い位置精度を得ることができ、高精度加工に有効である。
(8) 冷却室19が案内部材23,24間に位置するため、案内部材23,24を同一温度に冷却できる。このため、案内部材23,24が異なる膨張量で変形するようなことを防止できて、主軸30の高い位置精度を得ることができるとともに、主軸筒26をこじれることなく円滑に案内できる。
(9) 主軸台25の移動時には、主軸30の軸線を挟んでボールネジ37と対称位置に配置されたガイドロッド34がガイド筒35に沿って摺動されることにより、主軸台25の移動が案内される。よって、主軸台25を主軸30の軸線方向へ正確に移動させることができて、ワークWの加工精度をより一層高めることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態においては、主軸台25を支持するための案内部材23,24が円筒状に形成されているが、これらの案内部材23,24を多角形筒状等の他の形状に形成してもよい。この場合、主軸台25の被案内部も同様に多角形筒状等に形成されるが、少なくとも冷却室19の部分は、均等冷却のための円筒状が好ましい。
・ 前記実施形態においては、案内部材23,24が滑り案内にて主軸第25を支持するように構成されているが、案内部材23,24がボールブッシュ等の転がり案内にて主軸台25を支持するように構成してもよい。
・ この発明を、主軸移動型旋盤以外の工作機械,例えば主軸固定型旋盤において具体化すること。
この発明を具体化した工作機械の一実施形態を示す断面図。 図1の一部を拡大して示す部分断面図。
符号の説明
11…ベッド、12…刃物台支持体、16…刃物台、18…刃物、19…冷却室、23,24…案内部材、25…主軸台、30…主軸、33…主軸回転用モータ、36…Z軸移動用モータ、W…ワーク、F…冷媒としての冷却用流体。

Claims (7)

  1. ベッドと、
    先端においてワークを把持する回転可能な主軸と、
    前記ワークを切削するための刃物が支持される刃物台と
    を備えた工作機械において、
    前記ベッド上に固定され、刃物台を支持する刃物台支持体には冷媒が貯留される冷却室を形成し、
    前記主軸を前記冷却室内の冷媒の位置を貫通するように前記刃物台支持体に支持し、
    その冷却室内の冷媒によって主軸及び刃物台支持体を冷却するようにしたことを特徴とする工作機械。
  2. 前記主軸を主軸台に支持し、その主軸台を前記冷却室の冷媒の位置を貫通した状態で前記刃物台支持体に主軸の軸線方向に移動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記刃物台支持体には、主軸台を主軸の軸線方向へ移動可能に支持するための複数の案内部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の工作機械。
  4. 前記冷却室が前記複数の案内部材間に位置することを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
  5. 前記主軸台は、少なくとも冷却室内の部分が円筒状をなしていることを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか一項に記載の工作機械。
  6. 前記刃物台支持体は、前記刃物台を主軸の軸線に対する直角の方向に案内することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の工作機械。
  7. 前記冷却室と対応する位置において、主軸台の内部に主軸を回転させるためのビルトインモータを設けたことを特徴とする請求項2〜6のうちのいずれか一項に記載の工作機械。
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