JP4972921B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の太陽電池(光電変換素子)は、陽極と陰極との間に、正孔輸送層と、色素層と、電子輸送層とを介挿してなり、色素層で発生した正孔および電子を、それぞれ正孔輸送層および電子輸送層を介して取り出すよう構成されている。
このような太陽電池では、その特性(発電効率)の向上の観点から、色素層と、正孔輸送層や電子輸送層とが十分に接触していることが重要となる。
例えば、電子輸送層が多孔質である場合、その空孔内に正孔輸送層が十分に入り込んでいないと、色素層と正孔輸送層とが十分に接触せず、このため、色素層で発生した正孔が効率よく正孔輸送層に受け渡されないという問題が生じる。
かかる問題が生じた場合、太陽電池の発電効率が極端に低下してしまう。
本発明の光電変換素子の製造方法は、陽極と陰極との間に、電子輸送層と、色素層と、正孔輸送層とを介挿してなる光電変換素子を製造する方法であって、
前記電子輸送層を形成する第1の工程と、
前記電子輸送層に接触するように、前記色素層を形成する第2の工程と、
前記色素層に接触するように、前記正孔輸送層を形成する第3の工程とを有し、
前記第3の工程では、前記正孔輸送層を、前記電子輸送層の前記陰極と反対側から、第1の半導体材料を含有する第1の液状材料をスピンコート法にて供給した後、第2の半導体材料を含有し、前記第1の液状材料より常温での粘度が高い第2の液状材料をインクジェット法にて供給することにより形成することを特徴とする。
これにより、光電変換効率に優れる光電変換素子を製造し得る。また、大掛かりな設備を必要とせず、容易かつ安価にキャリア輸送層を形成することができる。また、光電変換効率により優れる光電変換素子を製造し得る。
これにより、第2の液状材料として比較的粘度の高いものを用いた場合でも、色素層と正孔輸送層との接触面積を十分に確保することができる。
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記第1の液状材料の常温での粘度は、1〜5cPであることが好ましい。
これにより、第1の液状材料が電子輸送層の空孔の深い部分にまでより確実に到達するようになり、得られる光電変換素子は、その光電変換効率がより向上する。
これにより、第1の液状材料が電子輸送層の空孔の深い部分にまでより確実に到達するようになり、得られる光電変換素子の光電変換効率の向上効果がより顕著に発揮されるようになる。
これにより、第1の液状材料を電子輸送層の空孔の深い部分にまでより容易に到達させることができるようになる。
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記第1の液状材料は、その第1の半導体材料の濃度上昇に伴う粘度上昇率が、前記第2の液状材料の前記第2の半導体材料の濃度上昇に伴う粘度上昇率より低いものであることが好ましい。
これにより、正孔輸送層を形成する際に、第1の液状材料中から溶媒が徐々に揮発しても、第1の液状材料の粘度を十分に低く保持することができ、第1の液状材料の取り扱いが容易となり、正孔輸送層をより容易かつ確実に形成することができる。
有機高分子は、正孔の輸送能力に優れる点、被覆性および成膜性に優れる点等で好ましい材料である。
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記第1の半導体材料と前記第2の半導体材料とは、同種の有機ポリマーであり、前記第1の半導体材料の重量平均分子量が前記第2の半導体材料の重量平均分子量より小さいことが好ましい。
これにより、正孔輸送層において界面が形成されないか、または、界面が形成された場合でも界面における2つの有機ポリマーの密着性が極めて高いものとなる。その結果、正孔輸送層全体における正孔の輸送がより円滑かつ確実に行われるようになる。
これにより、第1の液体材料中の第1の半導体材料の濃度を比較的高くした場合や、不本意に濃度が高くなった場合でも、第1の液状材料の粘度を低く維持することが可能となる。
このように分子量の大きい有機ポリマーは、特に、正孔の輸送能力に優れるものである。なお、前記上限値を超えて分子量が大きくなると、このものを溶解し得る溶媒の種類が極端に減少することから好ましくない。
これらの有機ポリマーは、比較的低分子量のものでも、正孔の輸送能力に優れるため、得られる正孔輸送層も、特に正孔の輸送能力に優れたものとなる。
これにより、正孔輸送層において界面が形成されないか、または、界面が形成された場合でも界面における2つの半導体材料の密着性が極めて高いものとなる。その結果、正孔輸送層全体における正孔の輸送がより円滑かつ確実に行われるようになる。
まず、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合を一例に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第1実施形態を示す部分断面図、図2は、図1に示す太陽電池の厚さ方向の中央部付近の断面を示す拡大図、図3は、電子輸送層および色素層の構成を示す模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
以下、各部の構成について説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
本実施形態の太陽電池1では、図1に示すように、基板2および後述する陰極3側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2および陰極3は、それぞれ、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到達させることができる。
基板2の平均厚さは、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のように設定することができる。
なお、基板2は、必要に応じて、省略することもできる。
陰極3の構成材料としては、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO2)のような金属酸化物材料、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような金属材料、黒鉛のような炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等として)用いることができる。
陰極3を金属酸化物材料(透明導電性金属酸化物材料)で構成する場合、その平均厚は、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、陰極3を金属材料や炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
また、陰極3は、このような櫛歯状の電極と、層状の電極とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることもできる。
電子輸送層4は、少なくとも色素層Dで発生した電子を輸送する機能を有するものである。
電子輸送層4の構成材料には、無機または有機の各種n型半導体材料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、無機のn型半導体材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO2)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)のような酸化物半導体材料が好適である。
また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、二酸化チタンを主材料とする電子輸送層4では、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
なお、ルチル型の二酸化チタンとアナターゼ型の二酸化チタンとを混合する場合、これらの混合比は、特に限定されないが、重量比で95:5〜5:95程度であるのが好ましく、80:20〜20:80程度であるのがより好ましい。
特に、チューブ状体を用いることにより、電子輸送層4における電子の伝搬スピードを向上させ、その結果、電子と正孔との再結合をより確実に防止または抑制することができる。また、電子輸送層4の比表面積をより増大させることができ、その結果、色素の結合量がより増大する。このようなことから、太陽電池1の発電効率をより向上させることができる。
また、電子輸送層4の外面および空孔41の内面には、色素層Dから受け取った電子が、再度、色素層Dに移行すること(逆電子移動)を防止または抑制する機能を有するコート層を形成するようにしてもよい。これにより、電子と正孔との再結合をより確実に防止または抑制することができる。
このような物質としては、n型半導体材料として二酸化チタンを主成分とするものを用いる場合、金属酸化物が好適であり、例えば、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化錫等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなコート層の平均厚さは、0.1〜10nm程度であるのが好ましい。
これは、例えば、電子輸送層4を形成した後に、粒状体やチューブ状体の表面付近を溶解した後、電子輸送層4を400〜500℃程度で再焼成すること等により行うことができる。
このような電子輸送層4の空孔率は、特に限定されないが、5〜90%程度であるのが好ましく、15〜50%程度であるのがより好ましく、20〜40%程度であるのがさらに好ましい。電子輸送層4の空孔率を、このような範囲に設定することにより、電子輸送層4の比表面積を十分大きくすることができる。これにより、電子輸送層4の外面および空孔41の内面に形成される色素層D(後述参照)の形成面積(形成領域)も十分に大きくすることができる。このため、色素層Dでは、十分な電子を発生させることができるとともに、この電子を効率よく電子輸送層4へ受け渡すことができる。その結果、太陽電池1の発電効率をより向上させることができる。
バリヤ層8は、電子輸送層4より空孔率が小さく設定されており、これにより、後述する正孔輸送層5(第1の半導体材料)と陰極3との接触を防止または抑制するよう機能する。これにより、漏れ電流の発生が増大するのを防止して、太陽電池1の発光効率の低下を防止することができる。
具体的には、バリヤ層8の空孔率Aは、20%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、2%以下であるのがさらに好ましい。すなわち、バリヤ層8は、緻密層であるのが好ましい。これにより、前記効果をより向上することができる。
このバリヤ層8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、電子輸送層4の主たる構成材料である酸化チタンの他、例えば、SrTiO3、ZnO、SiO2、Al2O3、SnO2、CdS、CdSe、TiC、Si3N4、SiC、B4N、BN等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この場合、電子輸送層4は、その厚さ方向に、密な部分と粗な部分とを有し、このうち、密な部分がバリヤ層8として機能する。
また、この場合、電子輸送層4は、密な部分で粗な部分を挟んだ部分を有する構成のものや、粗な部分で密な部分を挟んだ部分を有する構成のもの等であってもよい。
このような電子輸送層4には、色素を、例えば吸着、結合(共有結合、配位結合)等させることにより、色素層Dが接触して設けられている。
この色素層Dを構成する色素としては、顔料および染料を単独または混合して使用することができる。なお、経時的変質、劣化がより少ないという点で顔料を、電子輸送層4への吸着性(電子輸送層4との結合性)がより優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
正孔輸送層5は、全体として層状をなしているが、図2に示すように、電子輸送層4側では、その一部が電子輸送層4の空孔41内に入り込んでいる。これにより、色素層Dと正孔輸送層5との接触面積を増大することができ、色素層Dで発生した正孔(ホール)を、より効率よく正孔輸送層5へ受け渡すことができる。その結果、太陽電池1の発電効率をより向上させることができる。
また、正孔輸送層5の平均厚さ(空孔41内に入り込んだ部分を除く)は、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜30μm程度であるのがさらに好ましい。
この陽極6の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛のような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような太陽電池1では、光が入射すると、主に色素層Dにおいて、電子が励起され、電子(e−)と正孔(h+)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4へ、正孔は、正孔輸送層5へ移動し、陰極3と陽極6との間に、電位差(光起電力)が生じて、外部回路10に、電流(光励起電流)が流れる。
このような太陽電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1−1] まず、基板2を用意し、この基板2上に、陰極3を形成する。
この陰極3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成することができる。
このバリヤ層8は、例えば、ゾル・ゲル法、蒸着(真空蒸着)法、スパッタリング法(高周波スパッタリング、DCスパッタリング)、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法等により形成することができるが、これらの中でも、ゾル・ゲル法により形成するのが好ましい。
このMOD法によれば、バリヤ層形成用材料中において、バリヤ層8の構成材料の前駆体の反応(例えば、加水分解、重縮合等)が防止されるため、バリヤ層8をより容易かつ確実に(再現性よく)形成することができる。また、得られるバリヤ層8を、緻密な(前記範囲内の空孔率の)ものとすることができる。
バリヤ層8を二酸化チタンを主材料として構成する場合、その前駆体としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等の有機チタン化合物を用いることができる。
この電子輸送層4は、例えば、前述したような粒状体および/またはチューブ状体を含有する電子輸送層形成用材料を、バリヤ層8上に供給し、脱分散媒の後、焼成すること等により形成することができる。
電子輸送層形成用材料の供給方法としては、前述したような各種塗布法を用いることができる。
この色素層Dは、例えば、電子輸送層4に色素を含む液を接触させた後、脱溶媒(または脱分散媒)すること等により形成することができる。
これにより、色素が電子輸送層4の外面および空孔41の内面に、例えば吸着、結合等して、これらの面に沿って色素層Dが形成される。
色素を含む液を調製する溶媒(または分散媒)としては、例えば、各種水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、必要に応じて、積層体に対して、例えば60〜100℃程度の温度で、0.5〜2時間程度、熱処理を施してもよい。これにより、色素をより強固に電子輸送層4に吸着(結合)させることができる。
この正孔輸送層5は、色素層Dが形成された電子輸送層4の上側(電子輸送層4の陰極3と反対側)から、第1の半導体材料を含有する第1の液状材料を供給した後、第2の半導体材料を含有する第2の液状材料を供給して形成する。すなわち、正孔輸送層5を液相成膜法により形成する。液相成膜法を用いて正孔輸送層5を形成することにより、色素層Dと正孔輸送層5との接触面積を増大させることができ、色素層Dから正孔輸送層5へ効率よく正孔が受け渡されるようになり、正孔と電子との再結合を確実に防止することができる。このため、太陽電池1は、その発電効率(光電変換効率)が向上する。
このとき、本実施形態では、第1の液状材料として、第2の液状材料より常温での粘度が低いものを用いる。これにより、第1の液状材料(第1の半導体材料)が電子輸送層4の空孔41の深い部分、すなわち、バリヤ層8またはその近傍にまで到達するようになる。その結果、色素層Dと正孔輸送層5との接触面積をより増大させることができ、色素層Dから正孔輸送層5へより効率よく正孔が受け渡されるようになり、正孔と電子との再結合をより確実に防止することができる。このため、太陽電池1は、その発電効率(光電変換効率)がより向上する。
第1の半導体材料の供給量は、任意であるが、第1の半導体材料は、電子輸送層4の空孔41を埋めるように充填するのが好ましい。これにより、第2の液状材料として比較的粘度の高いものを用いた場合でも、色素層Dと正孔輸送層5との接触面積を十分に確保することができる。
この振動を与える方法としては、例えば、基板2(電子輸送層4)に超音波を与える方法や、超音波を与えた液滴(第1の液状材料)を塗布(供給)する方法のように超音波を用いる方法、機械的に衝撃を与える方法等が挙げられるが、特に、超音波を用いる方法が好ましい。これにより、第1の液状材料を電子輸送層4の空孔41の深い部分にまでより容易に到達させることができるようになる。
一例としては、例えば、I:第1の半導体材料および第2の半導体材料として、同種の有機ポリマーを用い、かつ、第1の半導体材料の重量平均分子量が第2の半導体材料の重量平均分子量より小さいものを選択する方法、II:第1の半導体材料としてデンドリマーを選択し、第2の半導体材料として有機ポリマーを選択する方法等が挙げられるが、特に、Iの方法を用いるのが好ましい。
また、Iの場合、第1の半導体材料の重量平均分子量は、10000以下であるのが好ましく、1000〜8000程度であるのがより好ましい。これにより、第1の液体材料中の第1の半導体材料の濃度を比較的高くした場合や、不本意に濃度が高くなった場合でも、第1の液状材料の粘度を低く維持することが可能となる。
なお、第1の半導体材料および第2の半導体材料として、それぞれ、前述したような有機ポリマーを用いる場合には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンのような芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼンのようなハロゲン化溶媒、クロロホルム等が挙げられ、これらを単独または混合して用いるのが好適である。
また、第1の液状材料および第2の液状材料を供給した後、これらには、必要に応じて乾燥を行うようにしてもよい。
また、第1の液状材料および第2の液状材料は、それぞれ、複数回繰り返して供給するようにしてもよい。
なお、第1の半導体材料および第2の半導体材料の双方に無機材料を用いる場合も、同種のものを用いるのが好ましい。
また、第2の半導体材料を含有する第2の液状材料を供給した後、さらに、第3の半導体材料を含有する第3の液状材料を供給するようにしてもよい。
この陽極6は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等を用いることにより、形成することができる。
[5] 次に、陰極3と陽極6とに、それぞれ、外部回路10の端部を接続する。
以上のような工程を経て、第1実施形態の太陽電池(本発明の光電変換素子)1が製造される。
なお、目的とする層を形成するのに先立って、第2実施形態で説明するように、当該層の形状を規定するバンクを形成するようにしてもよい。
次に、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第2実施形態を示す縦断面図、図5は、図4に示す太陽電池の厚さ方向の中央部付近の断面を示す拡大図である。なお、以下では、説明の都合上、図4および図5中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図4に示す太陽電池1’は、基板2’上に、陽極3’と、正孔輸送層(第1のキャリア輸送層)4’と、色素層D’と、電子輸送層(第2のキャリア輸送層)5’と、陰極6’とが、この順で積層されて構成されている。
以下、各部の構成について説明する。
本実施形態の太陽電池1’では、図4に示すように、陰極6’側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2’および陽極3’には、特に、透明性は要求されない。
基板2’を硬質材料で構成する場合、その平均厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好ましく、0.8〜1.2mm程度であるのがより好ましい。また、基板2’を可撓性材料で構成する場合、その平均厚さは、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、10〜75μm程度であるのがより好ましい。
なお、基板2’は、必要に応じて、省略することもできる。
この陽極3’の構成材料としては、例えば、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛のような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極3’上には、正孔輸送層4’が設けられている。
正孔輸送層4’は、少なくとも色素層D’で発生した正孔を捕捉し、輸送する機能を有するものである。
これらの中でも、正孔輸送層4’は、有機ポリマーを主材料として構成するのが好ましい。有機ポリマーは、正孔の輸送能力に優れることから好ましい。また、有機ポリマーは、比較的耐薬品性(耐溶剤性)に優れることから、後述するように、色素層D’を液相成膜法により形成する場合には、色素層形成用材料の調製に用いる液剤(溶媒または分散媒)の選択の幅が広がる。また、この液剤の選択の幅が広がることにより、色素層D’に用いる色素の選択の幅も広がる。
このような正孔輸送層4’に接触して、色素層D’が設けられている。
この色素層D’は、受光により、電子と正孔とを発生する受光層(感光層)である。
そして、色素層D’と正孔輸送層4’とは、図4に示すように、巨視的には、その界面が、陽極3’とほぼ平行となっており、図5に示すように、微視的には、その界面において、互いに凹凸状に入り込んだ(重なり合った)状態となっているのが好ましい。
これにより、色素層D’と正孔輸送層4’との接触面積が増大し、色素層D’で発生した正孔を効率よく正孔輸送層4’に受け渡すことができる。
この色素層D’を構成する色素としては、顔料および染料を単独または混合して使用することができる。
このような色素層D’に接触して、電子輸送層5’が設けられている。
この電子輸送層5’は、色素層D’で発生した電子を捕捉し、輸送する機能を有するものである。
電子輸送層5’の構成材料には、各種n型無機半導体材料および各種n型有機半導体材料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電子輸送層5’の平均厚さは、特に限定されないが、1〜50μm程度であるのが好ましく、5〜30μm程度であるのがより好ましい。
電子輸送層5’上には、陽極3’に対向する陰極6’が設けられている。
陰極6’を金属酸化物材料(透明導電性金属酸化物材料)で構成する場合、その平均厚は、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、陰極6’を金属材料や炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
また、陰極6’は、このような櫛歯状の電極と、層状の電極とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることもできる。
このような太陽電池1’は、例えば、次のようにして製造することができる。
以下、本発明の光電変換素子の製造方法を適用した太陽電池1’の製造方法について説明する。
ここで、太陽電池を本実施形態とは逆に、電子輸送層から順に積層して製造する場合、
すなわち、電子輸送層を形成した後、さらに、色素層、正孔輸送層、陽極を形成する場合、電子輸送層の構成材料としては、色素層、正孔輸送層、陽極の成膜条件等に耐え得る材料を選択する。
これに対して、本実施形態では、電子輸送層5’を形成した後、陰極6’を形成すれば、太陽電池1’が完成する。
したがって、電子輸送層5’の構成材料の選択に際しては、陰極6’の成膜条件を考慮するだけでよいか、または、陰極6’をシート材の接合等により設ける場合には、陰極6’の成膜条件をも考慮する必要がなくなるという利点がある。
図6は、図4に示す太陽電池の製造工程を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の都合上、図6中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
この陽極3’は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法のような気相成膜法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法のような液相成膜法、シート材の接合等を用いて形成することができる。
本実施形態では、正孔輸送層4’および色素層D’を液相成膜法により形成するため、バンク7’の高さは、正孔輸送層4’および色素層D’の合計の厚さとほぼ等しいか、または、若干大きくなるように設定される。
バンク7’は、例えば、陽極3’上にレジスト材料を供給(塗布)した後、露光・現像してパターニングすること等により得ることができる。
用いるレジスト材料は、光照射部分が硬化するネガタイプ、光照射部分が溶解するポジタイプのいずれであってもよい。
また、照射する光としては、例えば、紫外線(g線、i線)、電子線等が挙げられる。
なお、ネガ型のレジスト材料を各種印刷法により、形成すべきバンク7’に対応する形状となるように、陽極3’上に選択的に供給することにより、前記現像工程を省略することができる。
液相成膜法によれば、大掛かりな設備を必要とせず、容易かつ安価に正孔輸送層4’を形成することができる。
まず、前述したようなp型半導体材料を含有する液状材料(溶液または分散液)を調製する。
次に、この液状材料を陽極3’上に供給して、液状被膜を形成する。
次に、液状被膜中から溶媒または分散媒を除去する。これにより、正孔輸送層4’が得られる。
溶媒または分散媒を除去する方法としては、例えば、大気圧下や減圧下での放置、加熱、不活性ガスの吹付け等が挙げられる。
なお、正孔輸送層4’は、前記第1実施形態で説明したような第1の液状材料および第2の液状材料を用いて形成するようにしてもよい。
液相成膜法によれば、大掛かりな設備を必要とせず、容易かつ安価に色素層D’を形成することができる。
この色素層D’も、前記正孔輸送層4’と同様に形成することができる。
すなわち、色素層D’を形成する液相成膜法としても、インクジェット印刷法(液滴吐出法)を用いるのが好ましい。インクジェット印刷法を用いることにより、液状材料を無駄にすることなく、液状被膜を寸法精度よく形成することができる。
なお、バンク7’は、前記工程[3]の後、一旦除去した後、改めて新たなものを形成するようにしてもよい。
この電子輸送層5’は、前記陽極3’と同様にして形成することができる。
[6] 次に、図6(f)に示すように、電子輸送層5’上に、陰極6’を形成する。
この陰極6’も、前記陽極3’と同様にして形成することができる。
なお、電子輸送層5’および/または陰極6’を液相成膜法を用いて形成する場合には、それに応じて、形成するバンク7’の高さを設定するようにすればよい。
また、バンク7’は、太陽電池1’の完成品において、除去することなくそのまま残してもよいし、除去するようにしてもよい。
以上のような工程を経て、第2実施形態の太陽電池(本発明の光電変換素子)1’が製造される。
なお、本実施形態では、正孔輸送層4’および色素層D’を液相成膜法により形成する場合について説明したが、本発明では、これらのうちのいずれか一方または双方を液相成膜法以外の方法、例えば、気相成膜法により形成するようにしてもよい。
以下、図7および図8に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図7は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図8は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図7に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および太陽電池設置部104とを備えている。
図7に示す構成では、太陽電池設置部104には、太陽電池1(または1’)が5つ直列に接続されて配置されている。
図8に示す構成では、太陽電池設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして、太陽電池1(または1’)が複数、直列に接続されて配置されている。
例えば、光電変換素子および電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、例えば、本発明の光電変換素子の製造方法では、前記第1および第2実施形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
なお、本発明の光電変換素子は、太陽電池のみならず、例えば、光センサー、光スイッチのような、光を受光して電気エネルギーに変換する各種素子(受光素子)に適用することができるものである。
また、本発明の光電変換素子では、光の入射方向は、図示のものとは異なり、逆方向からであってもよい。すなわち、光の入射方向は、任意である。
1.太陽電池(光電変換素子)の製造
(実施例1)
次のようにして、図1に示す太陽電池を製造した。
−1− まず、寸法:縦30mm×横35mm×厚さ1.0mmのソーダガラス基板を用意した。
そして、このソーダガラス基板を85℃の洗浄液(硫酸と過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その表面を清浄化した。
−3− 次に、FTO電極上に、縦30mm×横30mmの領域に、バリヤ層を形成した。これは、次のようにして行った。
まず、チタンテトライソプロポキシドを、2−n−ブトキシエタノールに0.5mol/Lとなるように溶解した。次いで、この溶液に、ジエタノールアミンを添加した。これにより、バリヤ層形成用材料を得た。
このバリヤ層形成用材料をスピンコートにより塗布し、塗膜を得た。なお、このスピンコートは、回転数を1500rpmで行った。
この乾燥および有機成分の除去を1サイクルとして、10サイクル繰り返して行った。
これにより、空孔率が1%未満のバリヤ層を得た。なお、このバリヤ層の平均厚さは、0.9μmであった。
まず、ルチル型の二酸化チタン粉末と、アナターゼ型の二酸化チタン粉末とを混合して、二酸化チタン粉末を用意した。
なお、二酸化チタン粉末の平均粒径は、40nmであり、ルチル型の二酸化チタン粉末とアナターゼ型の二酸化チタン粉末との配合比は、60:40(重量比)とした。
なお、酢酸とチタンテトライソプロポキシドとの配合比は、1:1(モル比)となるように、また、蒸留水とチタンテトライソプロポキシドとの配合比は、1:1(モル比)となるようにした。
そして、FTO電極およびバリヤ層を形成したソーダガラス基板を、140℃に加熱したホットプレート上に設置し、バリヤ層上に、電子輸送層形成用材料を滴下し、乾燥した。この操作を1サイクルとして、7サイクル繰り返し行った。
これにより、空孔率が34%の電子輸送層を得た。なお、この電子輸送層の平均厚さは、7.2μmであった。
なお、バリヤ層と電子輸送層との全体における厚さ方向の抵抗値は、1kΩ/cm2以上であった。
まず、第1の半導体材料としてポリフェニルアミン(重量平均分子量:2000)を、1重量%となるようにトルエンに溶解して第1の液状材料を調製した。また、第2の半導体材料としてポリフェニルアミン(重量平均分子量:20000)を、1重量%となるようにキシレンに溶解して第2の液状材料を調製した。
そして、まず、電子輸送層に超音波振動を与えつつ、電子輸送層のFTO電極と反対側から、第1の液状材料をスピンコート法(1000rpm×30秒)により、電子輸送層の空孔を埋めるように供給し、乾燥した。次いで、第2の液状材料をインクジェット法により供給し、乾燥した。
なお、得られた正孔輸送層の平均厚さ(電子輸送層の空孔に入り込んだ部分を除く)は、20μmであった。
−7− 次に、正孔輸送層上に、蒸着法により、寸法:縦30mm×横30mm×厚さ0.1mmの白金電極(陽極:第2の電極)を形成した。
−8− 次に、FTO電極と白金電極とに、それぞれ、外部回路の端部を接続して、太陽電池を完成した。
第2の液状材料を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、太陽電池を製造した。
(実施例3)
第1の液状材料を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、太陽電池を製造した。
各実施例で得られた太陽電池に、それぞれ、条件:AM1.5の擬似太陽光を照射して、光電変換効率を求めた。
その結果、実施例2の太陽電池における光電変換効率を「1」とした場合、実施例1の太陽電池における発電効率は約2倍であり、実施例3の太陽電池における発電効率は約0.7倍であった。
Claims (12)
- 陽極と陰極との間に、電子輸送層と、色素層と、正孔輸送層とを介挿してなる光電変換素子を製造する方法であって、
前記電子輸送層を形成する第1の工程と、
前記電子輸送層に接触するように、前記色素層を形成する第2の工程と、
前記色素層に接触するように、前記正孔輸送層を形成する第3の工程とを有し、
前記第3の工程では、前記正孔輸送層を、前記電子輸送層の前記陰極と反対側から、第1の半導体材料を含有する第1の液状材料をスピンコート法にて供給した後、第2の半導体材料を含有し、前記第1の液状材料より常温での粘度が高い第2の液状材料をインクジェット法にて供給することにより形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 前記第3の工程において、前記第1の半導体材料を、前記電子輸送層の空孔を埋めるように充填する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の液状材料の常温での粘度は、1〜5cPである請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第3の工程において、前記電子輸送層および/または前記第1の液状材料に対して振動を与えつつ、前記第1の液状材料を供給する請求項1ないし3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記振動を、超音波を用いて与える請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の液状材料は、その第1の半導体材料の濃度上昇に伴う粘度上昇率が、前記第2の液状材料の前記第2の半導体材料の濃度上昇に伴う粘度上昇率より低いものである請求項1ないし5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の半導体材料および前記第2の半導体材料は、いずれも、有機高分子である請求項1ないし6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の半導体材料と前記第2の半導体材料とは、同種の有機ポリマーであり、前記第1の半導体材料の重量平均分子量が前記第2の半導体材料の重量平均分子量より小さい請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の半導体材料の重量平均分子量は、10000以下である請求項8に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第2の半導体材料の重量平均分子量は、15000以上である請求項8または9に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記有機ポリマーは、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体またはこれらの誘導体である請求項8ないし10のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記第1の半導体材料と前記第2の半導体材料は、同種のものである請求項1ないし11のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
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