図1は本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aの動力を変速して駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して接続された駆動軸36に出力する変速機60と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には動力軸としてのリングギヤ軸32aがそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aから変速機60,駆動軸36,デファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
駆動軸36には、駆動軸36上のパーキングギヤ92と、パーキングギヤ92と噛み合ってその回転駆動を停止した状態でロックするパーキングロックポール94とからなるパーキングロック機構90が取り付けられている。パーキングロックポール94は、シフトレバー81の他のポジションから駐車ポジション(Pポジション)への操作信号またはPポジションから他のポジションへの操作信号を入力したハイブリッド用電子制御ユニット70により図示しないアクチュエータが駆動制御されることによって作動し、パーキングギヤ92との噛合およびその解除によりパーキングロックおよびその解除を行なう。
モータMG1,MG2は、図1および図2に示すように、いずれも永久磁石が取り付けられたロータ45a,46aと三相コイルが巻回されたステータ45b,46bとを有して発電機として駆動できると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42は、いずれも6個のトランジスタT1〜T6,T7〜T12とこのトランジスタT1〜T6,T7〜T12に逆並列接続された6個のダイオードD1〜D6,D7〜D12とにより構成されている。各6個のトランジスタT1〜T6,T7〜T12は、バッテリ50の正極が接続された正極母線とバッテリ50の負極が接続された負極母線とに対してソース側とシンク側とになるよう2個ずつペアで配置され、その接続点にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、対をなすトランジスタT1〜T6,T7〜T12のオン時間の割合を調節することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。このモータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2のロータ45a,46aに取り付けられた回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2のロータ45a,46aの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の三相コイルのU相,V相に流れる相電流を検出する電流センサ47U,47V,48U,48Vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT1〜T6,T7〜T12へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
変速機60は、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動軸36との間の変速段の変更を伴う動力の伝達およびリングギヤ軸32aと駆動軸36との接続の解除を行なうことができるように構成されている。変速機60の構成の一例を図3に示す。図示するように、変速機60は、シングルピニオンの遊星歯車機構62,64,66と二つのクラッチC1,C2と三つのブレーキB1,B2,B3とにより構成されている。遊星歯車機構62は、外歯歯車のサンギヤ62sと、このサンギヤ62sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62rと、サンギヤ62sに噛合すると共にリングギヤ62rに噛合する複数のピニオンギヤ62pと、複数のピニオンギヤ62pを自転かつ公転自在に保持するキャリア62cとを備えており、サンギヤ62sはクラッチC2のオンオフによりリングギヤ軸32aに接続または接続の解除ができるようになっていると共にブレーキB1のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっており、キャリア62cはブレーキB2のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっている。遊星歯車機構64は、外歯歯車のサンギヤ64sと、このサンギヤ64sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ64rと、サンギヤ64sに噛合すると共にリングギヤ64rに噛合する複数のピニオンギヤ64pと、複数のピニオンギヤ64pを自転かつ公転自在に保持するキャリア64cとを備えており、サンギヤ64sは遊星歯車機構62のサンギヤ62sに接続され、リングギヤ64rはクラッチC1のオンオフによりリングギヤ軸32aに接続またはその解除ができるようになっており、キャリア64cは遊星歯車機構62の
リングギヤ62rに接続されている。遊星歯車機構66は、外歯歯車のサンギヤ66sと、このサンギヤ66sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66rと、サンギヤ66sに噛合すると共にリングギヤ66rに噛合する複数のピニオンギヤ66pと、複数のピニオンギヤ66pを自転かつ公転自在に保持するキャリア66cとを備えており、サンギヤ66sは遊星歯車機構64のリングギヤ64rに接続され、リングギヤ66rはブレーキB3のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっており、キャリア66cは遊星歯車機構62のリングギヤ62rと遊星歯車機構64のキャリア64cと駆動軸36とに接続されている。変速機60は、クラッチC1,C2とブレーキB1,B2,B3とを全てオフにすることによりリングギヤ軸32aと駆動軸36とを切り離すことができ、クラッチC1とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B2とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を比較的大きな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を1速の状態という)、クラッチC1とブレーキB2とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B3とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を1速より小さな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を2速の状態という)、クラッチC1とクラッチB1とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB2,B3とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を2速より小さな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を3速の状態という)、クラッチC1,C2をオンとすると共にクラッチB1,B2,B3をオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転をそのまま駆動軸36に伝達する(以下、この状態を4速の状態という)。また、この変速機60は、クラッチC2とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC1とブレーキB1,B2とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を反転かつ減速して駆動軸36に伝達する(以下、この状態をリバースの状態という)。クラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3のオンオフは、図示しない油圧式のアクチュエータの駆動により行なわれる。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60のクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3の図示しないアクチュエータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
なお、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションセンサ82により検出するシフトレバー81のポジションとしては、駐車ポジション(Pポジション)や中立ポジション(Nポジション),ドライブポジション(Dポジション),リバースポジション(Rポジション)などがある。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、シフトレバー81の他のポジションからPポジションへ操作信号をシフトポジションセンサ82から入力すると、パーキングロック機構90のパーキングロックを行なうと共に変速機60の二つのクラッチC1,C2および三つのブレーキB1,B2,B3の全てをオフとしてリングギヤ軸32aと駆動軸36とを切り離す。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクを計算し、要求トルクと車速Vとに応じた変速段となるよう変速機60が制御され、要求トルクと変速機60の変速段とに応じたトルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、シフトレバー81が駐車ポジション(Pポジション)のときの動作について説明する。図4は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時運転制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がPポジションとされると共にエンジン22が運転されているときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,モータロック許否判定フラグF1など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2のロータ45a,46aの回転位置θm1,θm2に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、モータロック許否判定フラグF1は、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックが許可されるか否かを判定するためにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図5に例示するモータロック許否判定ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。ここで、図5のモータロック許否判定ルーチンでは、シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPやモータMG2の回転数Nm2,モータMG2の異常判定フラグF2を入力し(ステップS200)、入力したシフトポジションSPが駐車ポジション(Pポジション)であるか否か、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が所定回転数Nm2ref未満か否か、モータMG2やインバータ42が正常か否かを判定し(ステップS210〜S230)、これらの全てが肯定的な判定のときにはモータMG2によるリングギヤ軸32aのロックを許可するためにモータロック許否判定フラグF1に値1をセットし(ステップS240)、これらの判定のいずれかが否定的な判定のときにはモータMG2によるリングギヤ軸32aのロックを禁止するためにモータロック許否判定フラグF1に値0をセットして(ステップS250)、本ルーチンを終了する。ここで、モータMG2の異常判定フラグF2は、モータECU40により実行される図示しない異常判定ルーチンにより設定されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。なお、異常判定フラグF2は、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックを行なうことができないモータMG2やインバータ42の異常を判定するためのフラグであり、例えばモータMG2やインバータ42の周辺に取り付けられた図示しない温度センサにより検出されるモータ温度やインバータ温度がその上限温度を超えたときや電流センサ48U,48Vにより検出される相電流Iu2,Iv2が通常取りうる範囲を超えたときなどに値1がセットされる。また、所定回転数Nm2refは、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックが可能なモータMG2の回転数Nm2(リングギヤ軸32aの回転数Nr)の上限として予め設定されている。
こうしてデータを入力すると、入力したモータロック許否判定フラグF1の値を調べ(ステップS110)、モータロック許否判定フラグF1が値1のときには、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックが許可されていると判断し、モータロック指令をモータECU40に送信する(ステップS120)。モータロック指令を受信したモータECU40は、モータMG2のロータ46aをロックすることによりリングギヤ軸32aがロックされるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。モータMG2のロータ46aをロックする様子の一例を図6に示す。図示するように、モータMG2のU相,V相,W相のうちの二相に直流電流を印加することにより、この二相で各々形成される磁界(図中、破線矢印で示す磁界)を合成した固定磁界がステータ46bに形成され、この固定磁界に永久磁石が取り付けられたロータ46aが引きつけられてロックされる。
続いて、エンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*を設定し(ステップS130)、設定したエンジン要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*を設定する(ステップS140)。エンジン要求パワーPe*は、アクセル開度Accや残容量SOCなどから設定されるバッテリ50に要求される充電要求パワーPb*に基づいて設定される。また、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*の設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインとエンジン要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図7に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
そして、エンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて次式(2)によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を計算する(ステップS150)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。シフトレバー81がPポジションでエンジン22からパワーを出力しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図8に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、モータMG2の回転数Nm2を値0と考えてこの共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクを示す。このように、エンジン22からパワーを出力している状態でモータMG1からトルクTm1を出力すると、リングギヤ軸32aにトルク(−Tm1/ρ)が作用するが、このリングギヤ軸32aに取り付けられたロータ46aがモータMG2によってロックされているから、リングギヤ軸32aは回転しない。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ (1)
Tm1*=-ρ/(1+ρ)・Te*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1のトルク指令Tm1*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS160)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、モータMG2の制御については、上述したように、モータロック指令を受信したモータECU40が、モータMG2のロータ46aをロックするためにモータMG2の各相のうちの二相に直流電流が印加するようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。したがって、シフトレバー81がPポジションのときには、変速機60によって駆動軸36から切り離されたリングギヤ軸32aをモータMG2によってロックすると共にこの状態でエンジン22とモータMG1とを制御する。
ステップS110でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されたときには、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックは禁止されていると判断し、モータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*に値0を設定し(ステップS170)、エンジン22の目標回転数Ne*に所定回転数(例えば800rpmや1000rpmなどのアイドリング回転数)Nidleを設定すると共に所定回転数Nidleでエンジン22が自立運転するよう自立運転指令をエンジンECU24に送信し(ステップS180)、リングギヤ軸32aが回転しないようにエンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて前述した式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて次式(3)によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を計算し(ステップS190)、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。なお、自立運転指令を受信したエンジンECU24は、所定回転数Nidleでエンジン22が自立運転するよう燃料噴射制御や点火制御を行なう。また、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にモータMG2からトルクが出力されないようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。エンジン22を所定回転数Nidleで自立運転している状態でリングギヤ軸32aが回転しないようにモータMG1を制御する際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図9に示す。図示するように、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようモータMG1を制御することにより、リングギヤ軸32aが回転しないようにすることができる。式(3)は、エンジン22を所定回転数Nidleで自立運転している状態でリングギヤ軸32aが回転しないようにモータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第1項の「k3」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k4」は積分項のゲインである。
Tm1*=k3(Nm1*-Nm1)+k4∫(Nm1*-Nm1)dt (3)
次に、シフトレバー81が(駐車ポジション)Pポジションのときにエンジン22の始動要求がなされたときの実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図10は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時始動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がPポジションでエンジン22の始動要求がなされたときに実行される。
駐車ポジション時始動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、図5のモータロック許否判定ルーチンにより設定されたモータロック許否判定フラグF1を入力して(ステップS300)、入力したモータロック許否判定フラグF1の値を調べる(ステップS310)。モータロック許否判定フラグF1が値1のときには、モータMG2によってリングギヤ軸32aがロックされるようモータロック指令をモータECU40に送信し(ステップS320)、エンジン22の回転数Neを入力し(ステップS330)、始動時のトルクマップとエンジン22の始動開始からの経過時間tとに基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共に設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS340)。エンジン22の始動時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neの変化の様子の一例とを図11に示す。実施例のトルクマップは、エンジン22の始動指示がなされた時間t11の直後からレート処理を用いて比較的大きなトルクをトルク指令Tm1*に設定してエンジン22の回転数Neを迅速に増加させる。エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過したか共振回転数帯を通過するのに必要な時間以降の時間t12にエンジン22を安定して回転数Nref以上でクランキングすることができるトルクをトルク指令Tm1*に設定し、電力消費や駆動軸としてのリングギヤ軸32aにおける反力を小さくする。そして、エンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至った時間t13からレート処理を用いてトルク指令Tm1*を値0とし、エンジン22の完爆が判定された時間t15から発電用のトルクをトルク指令Tm1*に設定する。ここで、回転数Nrefは、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を開始する回転数である。モータMG1でエンジン22をクランキングする際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図12に示す。図示するように、エンジン22をクランキングするためにモータMG1からトルクTm1を出力すると、動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aにトルク(−Tm1/ρ)が作用するが、リングギヤ軸32aはモータMG2によってロックされているから、エンジン22をクランキングする際にモータMG1からのトルクTm1によってリングギヤ軸32aが回転することはない。
そして、エンジン22の回転数Neが燃料噴射制御や点火制御を開始する回転数Nref以上か否かを判定する(ステップS350)。エンジン22のクランキングを開始した直後は、否定的な判定がなされ、次にエンジン22が完爆したか否かを判定する(ステップS370)。エンジン22をクランキングした直後はここでも否定的な判定がなされてステップS300に戻る。エンジン22がクランキングされて回転数Neが回転数Nref以上となると、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御の指示をエンジンECU24に送信する(ステップS360)。燃料噴射制御や点火制御の開始指示を受信したエンジンECU24は、エンジン22における燃料噴射制御や点火制御を実行する。そして、ステップS300〜S360の処理が繰り返し実行されて、エンジン22が完爆したときに(ステップS370)、本ルーチンを終了する。
ステップS310でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されたときには、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックは禁止されていると判断し、モータMG2によってリングギヤ軸32aがロックされている最中のときにはこのロックが解除されるようモータロック解除指令をモータECU40に送信する(ステップS380,S390)。モータロック解除指令を受けたモータECU40は、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックを解除する。そして、エンジン22の回転数Neを入力し(ステップS400)、入力したエンジン22の回転数Neが値0か否かを判定し(ステップS410)、エンジン22の回転数Neが値0のときにはそのまま本ルーチンを終了する。エンジン22のクランキングを開始する前にステップS310でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されたときには始動要求に拘わらず何もせずに本ルーチンを終了することになる。これは、前述したように、エンジン22をクランキングするためにモータMG1からトルクTm1を出力すると、動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aにトルク(−Tm1/ρ)が作用するが(図12参照)、モータロック許否判定フラグF1が値0のときにはモータMG2でリングギヤ軸32aに作用するトルクを受け止めることができなくなることに基づく。
一方、ステップS410でエンジン22の回転数Neが値0でないと判定、即ちエンジン22をクランキングしている最中にステップS310でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されたときには、エンジン22をクランキングしている最中にリングギヤ軸32aのロックを維持することができなくなったと判断し、入力したエンジン22の回転数Neと動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて次式(4)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて前述した式(3)によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を計算してこのトルク指令Tm1*をモータECU40に送信し(ステップS420)、ステップS360で既に燃料噴射制御や点火制御の開始指示をエンジンECU24に送信しているときには(ステップS430)、フューエルカット指令をエンジンECU24に送信して(ステップS440)、ステップS400に戻って処理を繰り返し、エンジン22の回転数Neが値0となったときに(ステップS410)本ルーチンを終了する。モータMG1によりエンジン22をクランキングしている最中にモータMG2によるリングギヤ軸32aのロックを維持することができなくなった際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図13に示す。図示するように、エンジン22をクランキングしている最中にリングギヤ軸32aのロックを維持することができなくなったときには、モータMG1によるエンジン22のクランキングを中止し、エンジン22の回転数Neに基づいてリングギヤ軸32aが回転しないようモータMG1の目標回転数Nm1*を設定してこの目標回転数Nm1*でモータMG1が回転するよう制御するのである。エンジン22のクランキングを中止すると、エンジン22の回転数はフリクションによって値0に向けて変化するが、モータMG1の目標回転数Nm1*はエンジン22の回転数Neに基づいて式(4)を用いて計算されるから、エンジン22のクランキングが中止されてからエンジン22が停止されるまでのエンジン22の回転数Neが変化する間でもリングギヤ軸32aの回転は抑制される。
Nm1*=Ne・(1+ρ)/ρ (4)
なお、駐車ポジション時始動制御ルーチンのステップS310でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されてエンジン22が始動されなかったときには、エンジン22の始動要求がなされている間はステップS300,S310,S380,S410の処理を繰り返し実行、即ち何もせずにこのルーチンを終了し、モータMG2でリングギヤ軸32aをロックすることができる状態に至って図5のモータロック許否判定ルーチンでモータロック許否判定フラグF1に値1がセットされたときに、改めてエンジン22の始動処理が開始されることになる。また、駐車ポジション時始動制御ルーチンの実行によってエンジン22が始動されたときには、エンジン22が運転されている状態と判断されて次回からシフトレバー81が駐車ポジションから他のポジションへ操作されたりエンジン22の運転が停止されるまでの間に亘って図4の駐車ポジション時運転制御ルーチンが実行されることになる。
次に、図4の駐車ポジション時運転制御ルーチンが実行されている最中にエンジン22の停止要求がなされた際の実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図14は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駐車ポジション時停止制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がPポジションでエンジン22の停止要求がなされたときに実行される。
駐車ポジション時停止制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、フューエルカット指令をエンジンECU24に送信する(ステップS500)。フューエルカット指令を受信したエンジンECU24は、エンジン22の図示しない燃料噴射弁の燃料噴射を停止する。そして、モータロック許否判定フラグF1を入力し(ステップS510)、入力したモータロック許否判定フラグF1の値を調べ(ステップS520)、モータロック許否判定フラグF1が値1のときには、モータMG2によるリングギヤ軸32aのロックが許可されていると判断し、モータロック指令をモータECU40に送信し(ステップS530)、エンジン22の回転数Neを入力し(ステップS540)、入力したエンジン22の回転数Neに基づいてエンジン22の回転を停止させるためにモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を設定すると共に設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS550)。ここで、トルク指令Tm1*は、実施例では、図15のエンジン22の運転を停止する際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neとの関係の一例に示すように、エンジン22の回転数Neが停止直前回転数Nstpに達するまでエンジン22の回転を抑制するトルクをトルク指令Tm1*に設定し、回転数Neが停止直前回転数Nstpに達したタイミング(時刻t21)でピストンを保持するトルクに切り替わるよう設定されている。モータMG1からのトルクによりエンジン22の回転を停止させる際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図16に示す。図示するように、モータMG1から図中S軸の下向きのトルクTm1を出力することにより、エンジン22の回転を引き下げることができる。モータMG1からトルクTm1を出力すると、動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aにトルク(−Tm1/ρ)が作用するが、リングギヤ軸32aはモータMG2によってロックされているから、モータMG1から出力されるトルクTm1によってリングギヤ軸32aが回転することはない。
そして、エンジン22の回転数Neが値0か否かを判定する(ステップS560)。エンジン22の回転を停止させるためのモータMG1のトルクTm1が出力された直後は、エンジン22の回転数Neは値0でないと判定されてステップS510に戻って処理を繰り返す。エンジン22の回転が停止してエンジン22の回転数Neが値0となったときには(ステップS560)、これで本ルーチンを終了する。
ステップS520でモータロック許否判定フラグF1が値0と判定されたときには、モータMG2によってリングギヤ軸32aがロックされている最中のときにはこのロックが解除されるようモータロック解除指令をモータECU40に送信する(ステップS570,S580)。そして、エンジン22の回転数Neを入力し、入力したエンジン22の回転数Neと動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて前述した式(4)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて前述した式(3)によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を計算してこのトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する処理をエンジン22の回転数Neが値0となるまで繰り返し実行して本ルーチンを終了する(ステップS590〜S610)。エンジン22の運転を停止する際にモータMG2によってリングギヤ軸32aをロックできなくなった際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図17に示す。図示するように、エンジン22の回転を停止するためのモータMG1からのトルクTm1の出力を中止し、エンジン22の回転数Neに基づいてリングギヤ軸32aが回転しないようモータMG1の目標回転数Nm1*を設定してこの目標回転数Nm1*で回転するようモータMG1を制御するのである。この場合、エンジン22の回転数はフリクションによって値0に向けて変化するが、モータMG1の目標回転数Nm1*はエンジン22の回転数Neに基づいて式(4)を用いて計算されるから、エンジン22の回転を停止させるためのモータMG1のトルクTm1の出力が中止されてからエンジン22が停止されるまでのエンジン22の回転数Neが変化する間でもリングギヤ軸32aの回転は抑制される。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、シフトレバー81が駐車ポジション(Pポジション)とされると共にエンジン22が運転されているときには、モータロック許否判定フラグF1が値1のときにはモータMG2でリングギヤ軸32aがロックされるようモータMG2を制御し、モータロック許否判定フラグF1が値0でモータMG2によりリングギヤ軸32aをロックすることができないときにはエンジン22が所定回転数Nidleで自立運転すると共にリングギヤ軸32aが回転しないようモータMG1を制御するから、エンジン22を運転している最中にモータMG2でリングギヤ軸32aでロックすることができない状態に至ったときでもこれに適切に対処することができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、シフトレバー81が駐車ポジション(Pポジション)とされると共にエンジン22の始動要求がなされたときには、モータロック許否判定フラグF1が値1のときにはモータMG2でリングギヤ軸32aをロックした状態でモータMG1によりエンジン22がクランキングされるようモータMG1,MG2を制御し、モータロック許否判定フラグF1が値0でモータMG2によりリングギヤ軸32aをロックすることができないときにはモータMG1によるエンジン22のクランキングを中止すると共にエンジン22の回転数Neに基づいてリングギヤ軸32aが回転しないようモータMG1を制御するから、エンジン22の始動要求がなされたときにモータMG2でリングギヤ軸32aでロックすることができない状態に至ったときでもこれに適切に対処することができる。
さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、シフトレバー81が駐車ポジション(Pポジション)とされると共に運転しているエンジン22の停止要求がなされたときには、モータロック許否判定フラグF1が値1のときにはモータMG2でリングギヤ軸32aをロックした状態でモータMG1からのトルクによりエンジン22の回転が停止するようモータMG1を制御し、モータロック許否判定フラグF1が値0のときにはエンジン22の回転を停止するためのモータMG1のトルクTm1の出力を中止すると共にエンジン22の回転数Neに基づいてリングギヤ軸32aが回転しないようモータMG1を制御するから、エンジン22の停止要求がなされたときにモータMG2でリングギヤ軸32aでロックすることができない状態に至ったときでもこれに適切に対処することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、図4の駐車ポジション時運転制御ルーチンのステップS190でエンジン22の目標回転数Ne*に基づいて式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算するものとしたが、エンジン22の現在の回転数Neに基づいて式(4)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の各相のうちの二相に直流電流を印加することによりモータMG2でリングギヤ軸32aをロックするものとしたが、これに限られず、リングギヤ軸32aが回転しないよう(モータMG2の回転数Nm2と値0近傍の回転数との偏差が打ち消されるよう)モータMG2を制御するものであれば、例えば、次式(5)を用いてトルク指令Tm2*を設定すると共にこのトルク指令Tm2*でモータMG2を制御するなどとしてもよい。
Tm2*=Tm1*/ρ+k5(0-Nm2)+k6∫(0-Nm2)dt (5)
実施例のハイブリッド自動車20では、図4の駐車ポジション時運転制御ルーチンのステップS190や図10の駐車ポジション時始動制御ルーチンのステップS420,図14の駐車ポジション時停止制御ルーチンのステップS600で、比例項と積分項とを用いたフィードバック制御によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしたが、比例項だけを用いたフィードバック制御によりトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよいし、比例項と微分項とを用いたフィードバック制御によりトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよいし、比例項と微分項と積分項とを用いたフィードバック制御によりトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、4段の変速段を切替可能な変速機60を用いるものとしたが、切替可能な変速段は4段に限られるものではなく、2段や3段であってもよいし、5段以上であっても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36との間で変速段の変更を伴って動力を伝達する変速機60を備えるものとしたが、シフトレバーが駐車ポジションのときにリングギヤ軸32aと駆動軸36との動力の伝達と遮断とが可能なものであれば、変速機60に限られず、例えば両軸をクラッチなどにより接続するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して動力軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図18の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ132と動力軸32bに接続されたアウターロータ134とを有し、エンジン22の動力の一部を動力軸32bに伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機130を備えるものとしてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、動力分配統合機構30とモータMG1との組み合わせや対ロータ電動機130が「電力動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、変速機60が「動力伝達手段」に相当し、シフトレバー81が駐車ポジション(Pポジション)のとき、モータロック許否判定フラグF1が値1のときにはモータMG2よるロータ46aのロックによりリングギヤ軸32aがロックされるようモータMG2を制御し、モータロック許否判定フラグF1が値0でモータMG2によりリングギヤ軸32aをロックすることができないときにはモータMG1によりリングギヤ軸32aが回転しないようエンジン22の回転数Neに基づいてフィードバック制御によりモータMG1を制御するハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、回転位置検出センサ44と、この回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2のロータ46aの回転位置θm2に基づいてモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤ軸32aの回転数Nrを演算するモータECU40とが「回転数検出手段」に相当する。また、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電力動力入出力手段」としては、動力分配統合機構30とモータMG1とを組み合わせたものや対ロータ電動機130に限定されるされるものではなく、車軸に連結された駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され、電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、シフトレバー81がPポジションのとき、モータロック許否判定フラグF1が値1のときにはモータMG2よるロータ46aのロックによりリングギヤ軸32aがロックされるようモータMG2を制御し、モータロック許否判定フラグF1が値0でモータMG2によりリングギヤ軸32aをロックすることができないときにはモータMG1によりリングギヤ軸32aが回転しないようエンジン22の回転数Neに基づいてフィードバック制御によりモータMG1を制御するものに限定されるものではなく、駐車ポジションにシフト操作されて動力軸と車軸側との動力の伝達が解除されているとき、通常時には電動機によって動力軸の回転が抑制されるよう電動機を制御し、電動機によって動力軸の回転を抑制することができない非通常時には電力動力入出力手段からの動力の入出力を伴って動力軸の回転が抑制されるよう電力動力入出力手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれかに軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両の形態としてもよいし、車両の制御方法の形態としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45a,46a ロータ、45b,46b ステータ、47U,47V,48U,48V 電流センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、62,64,66 遊星歯車機構、62s,64s,66s サンギヤ、62c,64c,66c キャリア、62r,64r,66r リングギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 パーキングロック機構、92 パーキングギヤ、94 パーキングロックポール、130 対ロータ電動機、132 インナーロータ、134 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、T1〜T12 トランジスタ、D1〜D12 ダイオード、C1,C2 クラッチ、B1,B2,B3 ブレーキ。