JP4973532B2 - 増幅回路とこれを有する無線通信装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
しかし、増幅器の線形性を高くするには、その飽和領域を高くする必要がある。すなわち、増幅器の入出力特性は、出力信号電圧が増幅器の電源電圧に近い範囲では、入力信号と出力信号との関係が線形とならず、入出力比が飽和する非線形領域となる。
この結果、線形性を確保できる動作領域は狭くなり、増幅器の使用電力(電源電力)に対する出力電力比(電力効率)が悪くなる。このように、増幅器における線形性の確保と電力効率の確保とはトレードオフの関係にある。
しかし、かかる従来手法では、ある特定のサンプル時刻に採取した入出力データのみに基づいて上記推定モデルを演算するようになっているので、その推定結果が、増幅器の出力信号に含まれるノイズ特性に非常に敏感に反応してしまい、その推定結果を増幅器の真の非線形特性に向かって安定的に収束することが非常に難しいという問題があった。
この場合、過去の推定結果において推定誤差が少ない入出力データが今回の推定モデルの演算に利用されることになるので、今回の推定モデルの演算に用いる過去の入出力データを無作為に抽出する場合に比べて、今回の推定モデルの推定精度をより向上させることができる。
そこで、今回の推定モデルの演算に使用する過去の前記増幅器に対する入出力データの数は、当該過去のすべての入出力データの数の50%以下に設定することが好ましい(請求項3)。
また、前記モデル推定部は、前記増幅器に対する入出力データから当該増幅器の逆歪特性の前記推定モデルを直接演算する演算部を備えたものであってもよい(請求項5)。
この後者のモデル推定部の場合、前者のものに比べて、行列変換部が削減された分だけ演算コストや実装コストを削減できるという利点がある。
本発明の無線通信装置(請求項6)は、前記増幅回路を送信信号の増幅又は受信信号の増幅のために備えた無線通信装置であって、当該増幅回路と同様の作用効果を奏するものである。
〔無線通信システム〕
図1は、本発明の増幅回路が好適に使用できる無線通信システムの全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、無線通信装置としての1つの無線基地局1aと、同じく無線通信装置としての複数のユーザ端末装置1b,1c,1dとを備えている。
低雑音増幅回路11aと電力増幅回路12aの基本的構成は同様であるので、以下においては、電力増幅回路12aを例にとって本実施形態の増幅回路を説明する。
図2は、電力増幅回路12aのハードウェア構成を示す回路ブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の電力増幅回路12aは、デジタル信号処理部(DSP)21、RF電力増幅器(以下、単に増幅器という)22、エンベロープ(包絡線)増幅器23などを備えている。
デジタル信号処理部21から増幅器22の入力端までの間には、DAコンバータ(DAC)24、ローパスフィルタ(LPF)25、アップコンバータ26、バンドパスフィルタ27、ドライバ28が設けられている。
更に、デジタル信号処理部21は、増幅器22に付与する電源電圧を示す信号(デジタル信号)をエンベロープ増幅器23に対して出力する。デジタル信号処理部21からエンベロープ増幅器23の入力端までの間には、DAコンバータ(DAC)24、ローパスフィルタ29dが設けられている。
図3は、デジタル信号処理部21のうち、増幅器22の駆動制御に関する部分を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、デジタル信号処理部21は、増幅器22に与える入力信号の歪補償を行うプリディストータ(歪補償部)30と、増幅器22に与える電源変調電圧(ドレイン電圧)を決定する電源変調部31と、プリディストータ30が使用する増幅器22の逆歪特性A−1を推定するモデル推定部32とを備えている。
この歪補償は、増幅器22の非線形の歪特性Aとは逆の逆歪特性A−1を、予め信号x(t)に付加することによって行われる。かかる歪補償が施されたプリディストータ30の出力信号u(t)を入力信号として増幅器22に与えることで、増幅器22からは歪みのない或いは少ない出力信号y(t)が得られる。
このように、電源変調部31が、入力信号u(t)に応じて電源変調電圧v(t)を決定することで、増幅器2の電力効率を向上させることができる。
図4は、デジタル信号処理部21のモデル推定部32の機能ブロック図である。
図4に示すように、モデル推定部32は、増幅器22に対する入出力データからその歪特性Aの推定モデルを演算する演算部33と、この演算部33で得られた歪特性の推定モデルAを逆行列変換してプリディストータ30が使用する逆歪特性A−1を演算する行列変換部34と、歪特性Aの推定モデルの演算結果とこれに用いた変数を一時的に記憶する記憶部35とを備えている。
まず、図4に示すように、ある時刻tにおける増幅器22の入力信号をu(t)とし、その時刻tにおけるu(t)に対応する増幅器22の出力信号をy(t)とする。
また、時刻tから所定期間の間にN個のバースト状のデータ列が増幅器22に入出力されているものとし、その所定期間t+1〜t+Nにおけるそのバースト状の入力データ列U(t)と出力データ列Y(t)を、それぞれ次のように定義する。
U(t)=〔u(t+1),u(t+2),……,u(t+N)〕
○ 所定期間t+1〜t+Nでの出力データ列
Y(t)=〔u(t+1),u(t+2),……,u(t+N)〕
そこで、本実施形態では、演算部33は、過去の推定モデルAkの演算に用いた入力データと出力データのセットである入出力データUtk,Ytkの一部を、それ以降の推定モデルAk+1の演算にも使用する繰り越し処理を行う。
すなわち、モデル推定部32の演算部33は、ある特定の演算時刻tkにおいて、|etk|2=εとなるAkを演算したあと、それ以降の演算時刻tk+1において|etk+1|2=εとなるAk+1を演算するに当たり、次のステップS1〜S5に従った繰り越し処理を行う。
演算時刻tkで用いた|etk|の中から、小さい順にp個のものを選ぶ。ただし、pは入出力データ列の数Nの50%以下の数とする。
(ステップS2)
ステップS1又は下記ステップS4で選択した、値が小さいp個のeiを与えるYiとUiの組をp組選び、これを記憶部35に記憶させる。なお、選択されたUiとYiのベクトルをY’とU’と記述する。
時刻tk+1における推定モデルAk+1の更新に際して、etk+1を次の式(4)のように定義して、過去の推定モデルAkの演算に用いた入出力データUtk,Ytkの一部であるp組のUi,Yiを付加し、|etk+1|2=εを満たすAk+1を演算する。
etk+1=〔Ytk+1,Y’〕−Ak+1・〔Utk+1,U’〕 ……(4)
(ステップS4)
(ステップS5)
k→k+1にインクリメントして、ステップS2に戻る。
このように、本実施形態の増幅回路12aによれば、モデル推定部32が、過去の推定モデルAkの演算に用いた入出力データUtk,Ytkのうちの一部のデータ U’,Y’を使用して、今回の推定モデルAk+1の演算を行う。
従って、特定のサンプル時刻tk+1に採取した入出力データUtk,Ytkのみに基づいて推定モデルAk+1を演算する場合に比べて、推定結果が増幅器22の出力信号に含まれるノイズ特性に敏感に反応するのが抑制され、その推定結果を増幅器22の真の非線形特性Aに向かって安定的に収束させることができる。
上記実施形態では、前記式(1)のベクトルfを、x(t)の複素べき級数と、その1階微分及びその2階微分とを並べたものであるとして定義したが、このベクトルfは、より広義には、次の式(5)のように定義することができる。
図5は、モデル推定部32の変形例を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、この変形例に係るモデル推定部32は、増幅器22に対する入出力データからその逆歪特性A−1の推定モデルを演算する演算部36と、逆歪特性A−1の推定モデルの演算結果とこれに用いた変数を一時的に記憶する記憶部37とを備えている。
すなわち、図5のモデル推定部32では、演算部36が、増幅器22の歪特性Aではなく、その逆歪特性A−1を直接演算するようになっているので、図4に示す行列変換部34が設けられていない。
そして、上記変形例に係るモデル推定部32の場合、増幅器22の非線形特性は、ベクトルAinv とベクトルfとを用いて、次の式(6)で表すことができる。
u(t)= Ainv *f(y(t)) ……(6)
しかし、増幅器22の動作を非線形関数で表現するという観点からすると、前記式(1)で得られたベクトルAを逆行列変換して逆歪特性とする解法と、上記式(6)から直接的に演算したベクトルAinv を逆歪特性とする解法とは原理的に同じであり、いずれの解法を用いても歪補償に関する効果は同等である。
本発明の技術的範囲は冒頭の特許請求の範囲によって示され、その構成と均等なものは本発明の対象に含まれるものである。
11:受信機 11a:低雑音増幅回路 12:送信機 12a:電力増幅回路
13:処理部
21:デジタル信号処理部 22:RF電力増幅器 23:エンベロープ僧服器
24:DAコンバータ 25:ローパスフィルタ 26:アップコンバータ
27:バンドパスフィルタ 28:ドライバ 29a:ダウンコンバータ
29b:ローパスフィルタ 29c:ADコンバータ
30 歪補償部(プリディストータ) 31:電源変調部 32:モデル推定部
33:演算部 34:行列変換部 35:記憶部 36:演算部 37:記憶部
Claims (8)
- 増幅器と、この増幅器の逆歪特性を当該増幅器の入力信号に付加して歪補償を行う歪補償部と、前記歪補償部が使用する当該増幅器の逆歪特性を所定の推定モデルに基づいて推定するモデル推定部と、を備えた増幅回路であって、
前記モデル推定部は、過去の前記推定モデルの演算に用いた、前記増幅器に対する入力データとこれに対応する出力データのセットである入出力データの一部を、今回の前記推定モデルの演算にも使用することを特徴とする増幅回路。 - 増幅器と、この増幅器の逆歪特性を当該増幅器の入力信号に付加して歪補償を行う歪補償部と、前記歪補償部が使用する当該増幅器の逆歪特性を所定の推定モデルに基づいて推定するモデル推定部と、を備えた増幅回路であって、
前記モデル推定部は、過去の前記推定モデルの演算に用いた、前記増幅器に対する入出力データのうちの一部を、今回の前記推定モデルの演算にも使用するとともに、
今回の前記推定モデルの演算に使用する前記増幅器に対する過去の入出力データとして、当該過去のすべての入出力データの中から推定誤差がより少ない入出力データを選択することを特徴とする増幅回路。 - 今回の前記推定モデルの演算に使用する前記増幅器に対する過去の入出力データの数は、当該過去のすべての入出力データの数の50%以下である請求項1又は2に記載の増幅回路。
- 前記モデル推定部は、前記増幅器に対する入出力データから当該増幅器の歪特性の前記推定モデルを演算する演算部と、この演算部で得られた前記推定モデルを逆行列変換して前記歪補償部が使用する当該増幅器の逆歪特性を演算する行列変換部とを備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅回路。
- 前記モデル推定部は、前記増幅器に対する入出力データから当該増幅器の逆歪特性の前記推定モデルを直接演算する演算部を備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅回路。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記増幅回路を送信信号の増幅又は受信信号の増幅のために備えている無線通信装置。
- 増幅器の逆歪特性を当該増幅器の入力信号に付加して歪補償を行うステップと、
前記増幅器の逆歪特性を所定の推定モデルに基づいて推定するステップと、
過去の前記推定モデルの演算に用いた、前記増幅器に対する入力データとこれに対応する出力データのセットである入出力データの一部を、今回の前記推定モデルの演算にも使用するステップとを、
前記増幅器をデジタル信号で駆動制御するコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。 - 増幅器の逆歪特性を当該増幅器の入力信号に付加して歪補償を行うステップと、
前記増幅器の逆歪特性を所定の推定モデルに基づいて推定するステップと、
過去の前記推定モデルの演算に用いた、前記増幅器に対する入出力データのうちの一部を、今回の前記推定モデルの演算にも使用するステップと、
今回の前記推定モデルの演算に使用する前記増幅器に対する過去の入出力データとして、当該過去のすべての入出力データの中から推定誤差がより少ない入出力データを選択するステップとを、
前記増幅器をデジタル信号で駆動制御するコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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