JP4973873B2 - 残響抑圧の方法、装置及び残響抑圧用プログラム - Google Patents

残響抑圧の方法、装置及び残響抑圧用プログラム Download PDF

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Description

本発明は、所望の信号に重畳されている残響を抑圧するための残響抑圧の方法、装置及び残響抑圧用プログラムに関する。
残響抑圧システムは、所望の音声信号に重畳されている残響を抑圧するシステムである。残響は、原信号と信号源から観測地点までのインパルス応答の畳み込み演算によって発生する。従って、一般的に、残響の重畳された信号にインパルス応答の逆特性を畳み込むことによって、残響抑圧が達成される。しかしながら、前記インパルス応答またはその逆特性が未知であるので、これをどのようにして求めるかが問題となる。前記インパルス応答の逆特性を求めて、残響を含む信号と畳み込むことによって残響抑圧を行う一つの方法が、非特許文献1に開示されている。
開示されている方法では、まず、残響を含む入力音声を線形予測分析して隣接サンプル間の相関を除去する。次に、相関除去信号をフィルタ処理した出力の尖度(カートシス、kurtosis)を最大化するように、前記フィルタの係数を最小平均二乗法(LMSアルゴリズム)などを用いて更新する。このようにして得られたフィルタの係数を前記インパルス応答の逆特性として、残響を含む入力音声に畳み込むことで、残響を抑圧する。この方法は元々、複数の異なった空間的位置における入力信号に対して適用されているが、非特許文献2では一つの入力信号に適用する例が開示されている。
空間的に異なる複数の位置における信号を用いないために生じる性能の劣化をカバーするために、第1段と第2段の2段構成で、残響を抑圧する。第1段では、前記インパルス応答の逆特性を非特許文献1の方法で求めて、残響を含む入力音声に畳み込むことによって、早期反射を抑圧する。続いて、第2段では、雑音抑圧と同様な構成で後期反射を抑圧する。すなわち、第1段の出力に含まれる後期反射成分を推定し、これを第1段の出力から差し引くことで、後期反射成分を抑圧する。非特許文献2に開示されている方法のブロック図を、図20に示す。以下、図20を参照して、非特許文献2に開示された残響抑圧の方法について説明する。
入力端子1に供給された残響を含む信号、すなわち劣化音声は、線形予測(LP)分析部3に供給され、隣接サンプル間の相関を除去される。得られた線形予測誤差は逆フィルタ4に伝達され、フィルタ係数との畳込み結果を求めた後、結果が係数更新部5に供給される。係数更新部5では、逆フィルタ4の出力の尖度が最大化されるような係数更新成分をLMSアルゴリズムなどを用いて求める。係数更新成分は逆フィルタ4に帰還され、これを用いて係数更新が行われる。この係数更新を反復することによって、最終的に逆フィルタ4の特性は、信号源から観測地点までのインパルス応答の逆特性に等しくなる。一方、逆フィルタ4の特性は逆フィルタ2に逐次コピーされており、入力端子1に供給される劣化音声との畳み込み結果が、計算される。この畳み込み結果が、前記第1段の出力となる。逆フィルタ4の係数更新には、LMSアルゴリズムの他にも、正規化LMS(NLMS)アルゴリズム、LSアルゴリズム、アフィン射影アルゴリズムなどを用いることができる。また、逆フィルタ4と係数更新部5は、非特許文献3に開示されるような、周波数領域アルゴリズム、またはサブバンドアルゴリズムを用いて構成することが可能である。
第2段では、フレーム分割部6で、第1段の逆フィルタ2から供給された信号を特定数のサンプルを単位としたフレームに分割し、窓掛け処理部7へ伝達する。窓掛け処理部7は、フレームに分割された信号と窓関数を乗算し、その結果をフーリエ変換部8へ伝達する。窓がけ処理に用いられる窓関数は、フレーム端がフレーム中心よりも大きく抑圧され、隣接フレームへの遷移が滑らかに行うことができるような特性を有する。窓がけされた信号は、フーリエ変換部8で複数の周波数成分に分解され、さらに振幅と位相に分離される。フーリエ変換部8は、窓掛けされた信号にフーリエ変換を施して複数の周波数成分に分割し、振幅値を二乗してパワーを求め、残響推定部111へ供給する。位相は、逆フーリエ変換部15に供給される。残響推定部111では、レイリー分布関数を用いて、過去の劣化音声パワーから現在の残響パワーを推定する。推定された残響パワーを減算器141で前記窓がけされた信号のパワーから差し引くことによって、後期反射成分の除去が行われる。減算結果は、選択部121に伝達される。
一方、前記窓がけされた信号のパワーは定数乗算器20にも供給されており、定数乗算器20でε倍されてから、選択部121に供給される。選択部121は、減算器141の出力と定数乗算器20の出力のうち大きいほうを選択して、無音間隙減衰部19に伝達する。選択部121の動作により、減算結果の最低値を前記窓がけされた信号のε倍に制限することができ、過剰な残響抑圧を防止することができる。無音間隙減衰部19は、有音区間に挟まれた無音区間を検出し、パワーを予め定められた小さな値まで強制的に減衰させる。この操作によって、無音間隙が残響に埋もれることを防止する。無音間隙減衰部19の出力は、逆フーリエ変換部15に供給される。逆フーリエ変換部15は、無音間隙減衰部19から供給された残響抑圧音声パワーの平方根とフーリエ変換部8から供給された残響音声の位相を合わせて逆フーリエ変換を行い、残響抑圧音声信号サンプルとして、フレーム合成部17に供給する。フレーム合成部17では、隣接フレームの残響抑圧音声サンプルを用いて当該フレームの出力音声サンプルを合成し、出力端子18に供給する。
2001 年5月、アイ・イー・イー・イー・プロシーディングス・オブ・インターナショナル・カンファレンス・オン・アクースティクス・スピーチ・アンド・シグナル・プロセシング(IEEE PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON ACOUSTICS, SPEECH, AND SIGNAL PROCESSING, PP.3701-3704, MAY, 2001)、3701〜3704 ページ 2005 年3月、アイ・イー・イー・イー・プロシーディングス・オブ・インターナショナル・カンファレンス・オン・アクースティクス・スピーチ・アンド・シグナル・プロセシング(IEEE PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON ACOUSTICS, SPEECH, AND SIGNAL PROCESSING, PP.1085-1088, MAR, 2005)、1085〜1088 ページ 1992 年1月、アイ・イー・イー・イー・シグナル・プロセシング・マガジン(IEEE SIGNAL PROCESSING MAGAZINE, PP.15-36, JAN, 1992)、15〜36 ページ
残響推定部111では、レイリー分布関数を用いて、過去の劣化音声パワーから残響パワーを推定する。すなわち、信号源から観測地点までのインパルス応答の包絡線をレイリー分布関数で近似して、この包絡線と過去の劣化音声の畳み込み演算で、後期反射成分を推定している。しかし、残響推定部111ではその拡大縮小係数だけを最適化しているため、レイリー分布関数が前記インパルス応答の包絡線を十分な精度で近似せず、高音質な残響抑圧を行うことができなかった。
また、後期反射を抑圧するための第2段は、雑音抑圧装置と等価な構成であるにもかかわらず、雑音抑圧機能を有さない。このため、残響と雑音が混在する環境においては、さらに後処理として独立な雑音抑圧を行わなければならず、全体としての演算量が増大するという問題があった。
そこで、本発明は上記課題に鑑みて発明されたものであって、その目的は、少ない演算量で、雑音がある環境でも、高品質な残響抑圧信号を得ることのできる残響抑圧の方法、装置及びプログラムを提供することである。
上記課題を解決する第1の発明は、入力信号を周波数領域信号に変換し、該周波数領域信号を用いて雑音を推定し、信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定し、前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求め、該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定め、該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけすることによって、残響を抑圧することを特徴とする残響抑圧の方法である。
上記課題を解決する第2の発明は、上記第1の発明において、前記過去の強調音声に代えて、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定することを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記周波数領域信号の帯域を統合して統合周波数領域信号を求め、該統合周波数領域信号を前記周波数領域信号に代えて用いることによって、前記抑圧係数を求めることを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、入力信号サンプル間の相関を除去して相関除去信号を求め、該相関除去信号を適応フィルタで処理して仮早期反響抑圧信号を求め、該仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記適応フィルタの係数を更新し、前記適応フィルタの係数と同一の係数を有する固定フィルタで前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求め、前記適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、参照信号を第一の適応フィルタで処理して擬似雑音を求め、該擬似雑音を入力信号から差し引いて雑音消去信号を求め、該雑音除去信号が最小となるように前記雑音除去信号と前記参照信号を用いて、前記第一の適応フィルタの係数を更新し、前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、前記雑音除去信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明は、第5の発明において、前記雑音除去信号のサンプル間相関を除去して相関除去信号を求め、該相関除去信号を第二の適応フィルタで処理して仮早期反響抑圧信号を求め、該仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記第二の適応フィルタの係数を更新し、前記第二の適応フィルタの係数と同一の係数を有する固定フィルタで前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求め、前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明は、入力信号を周波数領域信号に変換する変換部と、該周波数領域信号を用いて推定雑音を求める雑音推定部と、信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定する残響推定部と、前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める混合部と、該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める抑圧係数生成部と、該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする乗算部とを有することを特徴とする残響抑圧の装置である。
上記課題を解決する第8の発明は、第7の発明において、前記過去の強調音声に代えて、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定する残響推定部を有することを特徴とする。
上記課題を解決する第9の発明は、第7又は第8の発明において、前記周波数領域信号の帯域を統合して統合周波数領域信号を求める帯域統合部を有し、該統合周波数領域信号を前記周波数領域信号に代えて用いることによって、前記抑圧係数を求めることを特徴とする。
上記課題を解決する第10の発明は、第7から第9の発明のいずれかにおいて、入力信号サンプル間の相関を除去して相関除去信号を求める相関除去部と、該相関除去信号を処理して仮早期反響抑圧信号を求める適応フィルタと、前記適応フィルタの係数と同一の係数で前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求める固定フィルタと、前記適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部とを有し、前記仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記適応フィルタの係数を更新し、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第11の発明は、第7から第9の発明のいずれかにおいて、参照信号を処理して擬似雑音を求める第一の適応フィルタと、該擬似雑音を入力信号から差し引いて雑音消去信号を求める減算器と、前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部を有し、前記雑音除去信号が最小となるように前記雑音除去信号と前記参照信号を用いて、前記第一の適応フィルタの係数を更新し、前記雑音除去信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第12の発明は、第11の発明において、前記雑音除去信号のサンプル間相関を除去して相関除去信号を求める相関除去部と、該相関除去信号を処理して仮早期反響抑圧信号を求める第二の適応フィルタと、前記第二の適応フィルタの係数と同一の係数で前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求める固定フィルタと、前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部とを有し、前記仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記第二の適応フィルタの係数を更新し、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする。
上記課題を解決する第13の発明は、コンピュータに、入力信号を周波数領域信号に変換する処理と、該周波数領域信号を用いて雑音を推定する処理と、信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定する処理と、前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める処理と、該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める処理と、該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする処理とを実行させるための残響抑圧用プログラムである。
上記課題を解決する第14の発明は、コンピュータに、入力信号を周波数領域信号に変換する処理と、該周波数領域信号を用いて雑音を推定する処理と、信号源から観測地点までのインパルス応答と、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定する処理と、前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める処理と、該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める処理と、該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする処理とを実行させるための残響抑圧用プログラムである。
すなわち、本発明の残響抑圧の方法及び装置では、信号源から観測地点までのインパルス応答に関する情報を用いて、推定した後期反射成分と、入力信号を用いて推定した雑音とを、適切に混合してから入力信号において抑圧することを特徴とする。
より具体的には、信号源から観測地点までのインパルス応答に関する情報を用いて、後期反射成分を推定する残響推定部と、入力信号を用いて雑音を推定する雑音推定部と、推定残響と推定雑音を混合する混合部とを備えていることを特徴とする。
本発明では、信号源から観測地点までのインパルス応答に関する情報を用いて、後期反射成分を推定し、入力信号を用いて雑音を推定し、これらを適切に混合してから抑圧するので、少ない演算量で高品質な残響抑圧と雑音抑圧を同時に達成することができる。
本発明の第1の実施の形態を示すブロック図。 本発明の第1の実施の形態に含まれる雑音推定部の構成を示すブロック図。 図2に含まれる推定雑音計算部の構成を示すブロック図。 図3に含まれる更新判定部の構成を示すブロック図。 図2に含まれる重み付き劣化音声計算部の構成を示すブロック図。 非線形処理部における非線形関数の一例を示す図。 図1に含まれる抑圧係数生成部の構成を示すブロック図。 図7に含まれる推定先天的SNR計算部の構成を示すブロック図。 図8に含まれる多重重み付き加算部の構成を示すブロック図。 図7に含まれる抑圧係数計算部の構成を示すブロック図。 図7に含まれる抑圧係数補正部の構成を示すブロック図。 本発明の第2の実施の形態を示すブロック図。 周波数サンプルの統合を説明する図。 本発明の第3の実施の形態に含まれる残響推定部の構成を示すブロック図。 本発明の第4の実施の形態を示すブロック図。 本発明の第4の実施の形態に含まれる残響推定部の構成を示すブロック図。 本発明の第5の実施の形態を示すブロック図。 本発明の第6の実施の形態を示すブロック図。 本発明の第7の実施の形態を示すブロック図。 従来の残響抑圧装置の構成例を示すブロック図。
符号の説明
1. 25 入力端子
2, 4 逆フィルタ
3 LP分析部
5 係数更新部
6 フレーム分割部
7, 16 窓がけ処理部
8 フーリエ変換部
9 帯域統合部
10 雑音推定部
12 混合部
13 抑圧係数生成部
14, 313, 1324, 1325, 1391, 1293, 1357 乗算器
15 逆フーリエ変換部
17 フレーム合成部
18 出力端子
19 無音間隙減衰部
20, 1395 定数乗算器
26 適応フィルタ
27, 1015, 1328, 1392, 1394 加算器
30, 31, 32, 40, 111 残響推定部
101 推定雑音計算部
102 重みつき劣化音声計算部
103, 1018 カウンタ
104 推定雑音補正部
121 選択部
131, 1022 周波数別SNR計算部
132 推定先天的SNR計算部
133, 1333 抑圧係数計算部
134 音声非存在確率記憶部
135 抑圧係数補正部
141、311 減算器
200 ノイズキャンセラ
312 指数関数計算部
921 瞬時推定SNR
922 過去の推定SNR
923 重み
924 推定先天的SNR
1000 コンピュータ
1010 更新判定部
1011 レジスタ長記憶部
1012, 1021 推定雑音記憶部
1013,1355 スイッチ
1014 シフトレジスタ
1016 最小値選択部
1017 除算部
1024 多重非線形処理部
1101 論理和計算部
1102, 1104,1354 比較部
1103, 1105, 1353 閾値記憶部
1106 閾値計算部
1321 多重値域限定処理部
1322 後天的SNR記憶部
1323 抑圧係数記憶部
1326 重み記憶部
1327 多重重みつき加算部
1331 MMSE STSA ゲイン関数値計算部
1332 一般化尤度比計算部
1351 最大値選択部
1352 抑圧係数下限値記憶部
1356 修正値記憶部
図1は、本発明の最良の実施の形態を示すブロック図である。図1は従来例である図20における残響推定部111、減算器141、定数乗算器20、選択部121、無音間隙減衰部19を、雑音推定部10、残響推定部30、混合部12、抑圧係数生成部13、乗算器14で置換した構成を有する。以下、これらの相違点を中心に詳細な動作を説明する。
推定雑音計算部10は、フーリエ変換部8から供給された複数の周波数成分それぞれに対して雑音を推定し、混合部12へ伝達する。雑音推定の方式の一例としては、過去の信号対雑音比で劣化音声を重み付けて雑音成分とする方式があり、その詳細は、例えば、特許文献1(特開2002−204175号)に記載されている。
残響推定部30は、後期反射を表すインパルス応答末尾の特性を求め、乗算器14から供給された過去の残響抑圧信号と畳み込むことによって、現在の残響を推定する。残響推定部30には逆フィルタ4からフィルタ係数に関する情報が供給されており、これを用いて後期反射成分を推定する。逆フィルタ4から供給されるフィルタ係数を用いて逆フィルタ4の逆特性を求めると、これは信号源から観測地点までのインパルス応答になる。このインパルス応答の末尾が後期反射を引き起こすので、末尾の係数値を用いて、残響成分を推定することができる。また、室内における音響空間のインパルス応答末尾が指数減衰関数で近似されることはよく知られているので、求めたインパルス応答の係数値をそのまま用いる代わりに、末尾を近似する指数関数を求めて、そのサンプル値を用いることもできる。末尾の係数値が指数減衰することが保証されるので、逆フィルタ4における演算で発生する可能性のある局所的な演算誤差を避け、正確な残響を推定することができる。末尾を近似する指数関数を求める際には、末尾のサンプル値の対数をとり、対数領域でこれらのサンプル値を直線近似し、得られた直線の傾きを指数として用いても良い。また、最低2点で唯一の指数関数を決定することができるので、上記で使用する係数の数は2以上であればいくつでもよい。さらに、逆フィルタにおける係数更新によって発生する係数値の微小な変化による影響を避けるために、逆フィルタから供給される係数を平均化してから、指数関数決定に使用することもできる。この平均化は、指数関数を用いずに係数値を直接用いて残響を推定する前記の実施例にも有効である。
このようにして推定された残響は、混合部12へ伝達される。混合部12は、供給された推定雑音と推定残響を混合して、抑圧係数生成部13へ伝達する。推定雑音と推定残響の混合のうち、最も簡単な処理は、いずれか一方の選択である。推定雑音と推定残響を比較し、どちらか大きい方を混合部12の出力として抑圧係数生成部13に供給する。これは、残響と雑音のうち支配的な方を優先して抑圧することになり、出力信号に含まれる雑音と残響が小さく、明瞭な音声を得ることができる。一方、推定雑音と推定残響のうち小さい方を、混合部12の出力として抑圧係数生成部13に供給することもできる。この場合には、大きい方を選択した場合と比較して、出力信号に残留する残響と雑音は大きくなる。しかし、反対に、音声に含まれる歪みを小さく保つことができる。これらの二つの例の中間的な処理が、推定雑音と推定残響の混合である。混合に際しては、両者をそのまま加算したり、加算した後にどちらか大きい方と同じ全帯域パワーになるように正規化したり、小さいほうと同じ全帯域パワーになるように正規化したり、両者の平均と同じ全帯域パワーになるように正規化したりすることができる。
抑圧係数生成部13では、入力信号に乗算することによって残響と雑音が抑圧された強調音声を求めるための、抑圧係数を複数の周波数成分それぞれに対して生成する。抑圧係数生成の一例としては、強調音声の平均二乗誤差の期待値を最小化する最小平均二乗短時間スペクトル振幅法が雑音抑圧において広く用いられており、その詳細は特許文献1に記載されている。雑音抑圧における抑圧係数の生成は推定雑音と劣化音声に基づいて行うが、本発明では、推定残響と推定雑音の混合信号と劣化音声に基づいて抑圧係数を生成する。
周波数別に生成した抑圧係数は、乗算器14に供給される。乗算器14は、フーリエ変換部8から供給された劣化音声と抑圧係数生成部13から供給された抑圧係数を、各周波数で独立に乗算し、その積を強調音声のパワーとして逆フーリエ変換部15に伝達する。逆フーリエ変換部15は、乗算器14から供給された強調音声パワーの平方根とフーリエ変換部3から供給された劣化音声の位相を合わせて逆フーリエ変換を行い、強調音声信号サンプルとして、窓がけ処理部16に供給する。窓がけ処理部16は、窓がけ処理部7と同じ動作で強調音声信号サンプルを処理し、フレーム合成部17に供給する。窓がけ処理部16は、フレーム境界における信号の連続性を改善し、滑らかな出力信号を得ることに貢献する。フレーム合成部17では、隣接フレームの強調音声サンプルを用いて当該フレームの出力音声サンプルを合成し、出力端子18に供給する。
図2は、雑音推定部10の構成を、特許文献1に記載された方式について表したブロック図である。便宜的に雑音を推定するものとして説明するが、実際は雑音の代わりに雑音と残響の混合信号を推定する。まず、雑音推定部10の入力である劣化音声は、推定雑音計算部101と重みつき劣化音声計算部102に供給される。重みつき劣化音声計算部102は、劣化音声パワースペクトルを用いて重みつき劣化音声パワースペクトルを計算し、推定雑音計算部101に伝達する。推定雑音計算部101は、劣化音声パワースペクトル、重みつき劣化音声パワースペクトル、及びカウンタ103から供給されるカウント値を用いて雑音のパワースペクトルを推定し、推定雑音パワースペクトルとして出力する。
図3は、図2に含まれる推定雑音計算部101の構成を示すブロック図である。推定雑音計算部101は、更新判定部1010、レジスタ長記憶部1011、推定雑音記憶部1012、スイッチ1013、シフトレジスタ1014、加算器1015、最小値選択部1016、除算部1017、カウンタ1018を有する。スイッチ1013には、図2の重みつき劣化音声計算部102から、周波数別重みつき劣化音声パワースペクトルが供給されている。スイッチ1013が回路を閉じたときに、周波数別重みつき劣化音声パワースペクトルは、シフトレジスタ1014に伝達される。シフトレジスタ1014は、更新判定部1010から供給される制御信号に応じて、内部レジスタの記憶値を隣接レジスタにシフトする。シフトレジスタ長は、後述するレジスタ長記憶部1011に記憶されている値に等しい。シフトレジスタ1014の全レジスタ出力は、加算器1015に供給される。加算器1015は、供給された全レジスタ出力を加算して、加算結果を除算部1017に伝達する。
一方、更新判定部1010には、カウント値、周波数別劣化音声パワースペクトル及び周波数別推定雑音パワースペクトルが供給されている。更新判定部1010は、カウント値が予め設定された値に到達するまでは常に``1''を、到達した後は入力された劣化音声信号が雑音であると判定されたときに``1''を、それ以外のときに``0''を出力し、カウンタ1018、スイッチ1013、及びシフトレジスタ1014に伝達する。スイッチ1013は、更新判定部から供給された信号が``1''のときに回路を閉じ、``0''のときに開く。カウンタ1018は、更新判定部から供給された信号が``1''のときにカウント値を増加し、``0''のときには変更しない。シフトレジスタ1014は、更新判定部から供給された信号が``1''のときにスイッチ1013から供給される信号サンプルを1サンプル取り込むと同時に、内部レジスタの記憶値を隣接レジスタにシフトする。最小値選択部1016には、カウンタ1018の出力とレジスタ長記憶部1011の出力が供給されている。
最小値選択部1016は、供給されたカウント値とレジスタ長のうち、小さい方を選択して、除算部1017に伝達する。除算部1017は、加算器1015から供給された周波数別劣化音声パワースペクトルの加算値をカウント値又はレジスタ長の小さい方の値で除算し、商を周波数別推定雑音パワースペクトルλn(k)として出力する。Bn(k)(n=0, 1, ..., N-1)をシフトレジスタ1014に保存されている劣化音声パワースペクトルのサンプル値とすると、λn(k)は、
Figure 0004973873
で与えられる。ただし、kは周波数番号、Nはカウント値とレジスタ長のうち、小さい方の値である。カウント値はゼロから始まって単調に増加するので、最初はカウント値で除算が行なわれ、後にはレジスタ長で除算が行なわれる。レジスタ長で除算が行なわれることは、シフトレジスタに格納された値の平均値を求めることになる。最初は、シフトレジスタ1014に十分多くの値が記憶されていないために、実際に値が記憶されているレジスタの数で除算する。実際に値が記憶されているレジスタの数は、カウント値がレジスタ長より小さいときはカウント値に等しく、カウント値がレジスタ長より大きくなると、レジスタ長と等しくなる。
図4は、図3に含まれる更新判定部1010の構成を示すブロック図である。更新判定部1010は、論理和計算部1101、比較部1102、1104、閾値記憶部1103、1105、閾値計算部1106を有する。図2のカウンタ103から供給されるカウント値は、比較部1102に伝達される。閾値記憶部1103の出力である閾値も、比較部1102に伝達される。比較部1102は、供給されたカウント値と閾値を比較し、カウント値が閾値より小さいときに``1''を、カウント値が閾値より大きいときに``0''を、論理和計算部1101に伝達する。一方、閾値計算部 1106 は、図3の推定雑音記憶部 1012 から供給される周波数別推定雑音パワースペクトルに応じた値を計算し、閾値として閾値記憶部 1105 に出力する。最も簡単な閾値の計算方法は、周波数別推定雑音パワースペクトルの定数倍である。その他に、高次多項式や非線形関数を用いて閾値を計算することも可能である。閾値記憶部1105 は、閾値計算部 1106 から出力された閾値を記憶し、1フレーム前に記憶された閾値を比較部 1104 へ出力する。比較部 1104 は、閾値記憶部 1105 から供給される閾値と図1のフーリエ変換部8から供給される周波数別劣化音声パワースペクトルを比較し、周波数別劣化音声パワースペクトルが閾値よりも小さければ``1''を、大きければ``0''を論理和計算部 1101に出力する。すなわち、推定雑音パワースペクトルの大きさをもとに、劣化音声信号が雑音であるか否かを判別している。論理和計算部1101 は、比較部 1103 の出力値と比較部 1104 の出力値との論理和を計算し、計算結果を図3のスイッチ1013、シフトレジスタ1014及びカウンタ1018に出力する。このように、初期状態や無音区間だけでなく、有音区間でも劣化音声パワーが小さい場合には、更新判定部1010 は``1''を出力する。すなわち、推定雑音の更新が行われる。閾値の計算は各周波数で独立に行われるため、各周波数で独立に推定雑音の更新を行うことができる。
図5は、図2の重みつき劣化音声計算部102の構成を示すブロック図である。重みつき劣化音声計算部102は、推定雑音記憶部1021、周波数別SNR計算部1022、多重非線形処理部1024、及び乗算器1023を有する。推定雑音記憶部1021は、図2の推定雑音計算部101から供給される推定雑音パワースペクトルを記憶し、1フレーム前に記憶された推定雑音パワースペクトルを周波数別SNR計算部1022へ出力する。周波数別SNR計算部1022は、推定雑音記憶部1021から供給される推定雑音パワースペクトルと劣化音声パワースペクトルを用いてSNRを各周波数帯域に対して求め、多重非線形処理部1024に出力する。具体的には、後者を前者で除した商を各周波数帯域で求め、SNRとする。多重非線形処理部1024は、周波数別SNR計算部 1022から供給されるSNRを用いて重み係数ベクトルを計算し、重み係数ベクトルを乗算器1023 に出力する。多重非線形処理部1024は、各周波数帯域に対応して、入力値に応じた実数値を出力する非線形関数を有する。
図6に、非線形関数の例を示す。f1 を入力値としたとき、図6に示される非線形関数の出力値 f2 は、
Figure 0004973873
で与えられる。但し、a と b は任意の実数である。
多重非線形処理部1024は、周波数帯域別SNRを非線形関数によって処理して重み係数を求め、乗算器1023に伝達する。すなわち、多重非線形処理部1024は、SNR に応じた1 から 0 までの重み係数を各周波数帯域で計算し、重み係数ベクトルとして乗算器1023に伝達する。SNRが小さい時は1 を、大きい時は 0 を出力する。
乗算器1023で劣化音声パワースペクトルと乗算される重み係数は、 SNR に応じた値になっており、SNR が大きい程、すなわち劣化音声に含まれる音声成分が大きい程、重み係数の値は小さくなる。推定雑音の更新には一般に劣化音声パワースペクトルが用いられるが、推定雑音の更新に用いる劣化音声パワースペクトルに対して、SNR に応じた重みづけを行うことで、劣化音声パワースペクトルに含まれる音声成分の影響を小さくすることができ、より精度の高い雑音推定を行うことができる。なお、重み係数の計算に非線形関数を用いた例を示したが、非線形関数以外にも線形関数や高次多項式など、他の形で表されるSNRの関数を用いる事も可能である。乗算器1023は、劣化音声パワースペクトルと、多重非線形処理部1024から供給される重み係数ベクトルの積を周波数帯域毎に計算し、重みつき劣化音声パワースペクトルを図2の推定雑音計算部101に出力する。
図7は、図1に含まれる抑圧係数生成部13の構成を示すブロック図である。抑圧係数生成部13は、周波数別SNR計算部131、推定先天的SNR計算部132、雑音抑圧係数計算部133、音声非存在確率記憶部134、抑圧係数補正部135を有する。周波数別SNR計算部6は、図1のフーリエ変換部8から入力された劣化音声パワースペクトルと図1の混合部12から入力された推定雑音と推定残響の混合パワースペクトルを用いて、周波数帯域別にSNRを計算し、後天的SNRとして推定先天的SNR計算部132と抑圧係数計算部133に供給する。推定先天的SNR計算部132は、入力された後天的SNR、及び抑圧係数補正部135から供給された補正抑圧係数を用いて先天的SNRを推定し、推定先天的SNRとして、抑圧係数計算部133に伝達する。抑圧係数計算部133は、入力として供給された後天的SNR、推定先天的SNR及び音声非存在確率記憶部134から供給される音声非存在確率を用いて抑圧係数を計算し、抑圧係数補正部135に伝達する。抑圧係数補正部135は、入力された推定先天的SNRと抑圧係数を用いて抑圧係数を補正し、補正抑圧係数Gn(k)バーとして図1の乗算器14に供給する。
図8は、図7に含まれる推定先天的SNR計算部132の構成を示すブロック図である。推定先天的SNR計算部132は、多重値域限定処理部1321、後天的SNR記憶部1322、抑圧係数記憶部1323、乗算器1324、1325、重み記憶部1326、多重重みつき加算部1327、加算器1328を有する。図7の周波数別SNR計算部131から供給される後天的SNRγn(k) (k=0, 1, ..., M-1)は、後天的SNR記憶部1322と加算器1328に伝達される。後天的SNR記憶部1322は、第nフレームにおける後天的SNRγn(k)を記憶すると共に、第n-1フレームにおける後天的SNRγn-1(k)を乗算器1325に伝達する。図7の抑圧係数補正部135から供給される補正抑圧係数Gn(k)バー (k=0, 1, ..., M-1)は、抑圧係数記憶部1323に伝達される。抑圧係数記憶部1323は、第nフレームにおける補正抑圧係数Gn(k)バーを記憶すると共に、第n-1フレームにおける補正抑圧係数Gn-1(k)バーを乗算器1324に伝達する。乗算器1324は、供給されたGn(k)バーを2乗してG2 n-1(k)バーを求め、乗算器1325に伝達する。乗算器1325は、G2 n-1(k)バーとγn-1(k)をk=0, 1,..., M-1に対して乗算してG2 n-1(k)バーγn-1 (k)を求め、結果を多重重み付き加算部1327に過去の推定SNR 922として伝達する。
加算器1328の他方の端子には−1が供給されており、加算結果γn(k)-1が多重値域限定処理部1321に伝達される。多重値域限定処理部1321は、加算器1328から供給された加算結果γn(k)-1に値域限定演算子P[・]による演算を施し、結果であるP[γn(k)-1]を多重重みつき加算部1327に瞬時推定SNR 921として伝達する。ただし、P[x]は次式で定められる。
Figure 0004973873
多重重みつき加算部1327には、また、重み記憶部1326から重み923が供給されている。多重重みつき加算部1327は、これらの供給された瞬時推定SNR 921、過去の推定SNR 922、重み923を用いて推定先天的SNR 924を求める。重み923をαとし、ξn(k)ハットを推定先天的SNR とすると、ξn(k)ハットは、次式によって計算される。
Figure 0004973873
ここに、G2 -1(k)γ-1(k)バー=1とする。
図9は、図8に含まれる重みつき加算部1327の構成を示すブロック図である。重みつき加算部1327は、乗算器1391、1393、定数乗算器1395、加算器1392、1394を有する。図8の多重値域限定処理部1321から周波数帯域別瞬時推定SNR921が、図8の乗算器1325から過去の周波数帯域別SNR922が、図8の重み記憶部1326から重み923が、それぞれ入力として供給される。値αを有する重み923は、定数乗算器1395と乗算器1393に伝達される。定数乗算器1395は入力信号を−1倍して得られた−αを、加算器1394に伝達する。加算器1394のもう一方の入力としては1が供給されており、加算器1394の出力は両者の和である1−αとなる。1−αは乗算器1391に供給されて、もう一方の入力である周波数帯域別瞬時推定SNR P[γn(k)−1] と乗算され、積である(1−α)P[γn(k)−1]が加算器1392に伝達される。一方、乗算器1393では、重み923として供給されたαと過去の推定SNR 922が乗算され、積であるαG2 n-1(k)バーγn-1(k)が加算器1392に伝達される。加算器1392は、(1−α)P[γn(k)−1]とαG2 n-1(k)バーγn-1(k)の和を、周波数帯域別推定先天的SNR 924として、出力する。
図10は、図7に含まれる抑圧係数生成部133を示すブロック図である。抑圧係数生成部133は、MMSE STSA ゲイン関数値計算部 1331、一般化尤度比計算部 1332、及び抑圧係数計算部 1333 を有する。以下、非特許文献4(1984 年12月、アイ・イー・イー・イー・トランザクションズ・オン・アクースティクス・スピーチ・アンド・シグナル・プロセシング、第32巻、第6号(IEEE TRANSACTIONS ON ACOUSTICS, SPEECH, AND SIGNAL PROCESSING,VOL.32, NO.6, PP.1109-1121, DEC, 1984)、1109〜1121 ページ)に記載されている計算式をもとに、抑圧係数の計算方法を説明する。
フレーム番号をn、周波数番号をkとし、γn(k) を図7の周波数別SNR 計算部131から供給される周波数別後天的SNR、ξn(k)ハットを図7の推定先天的SNR計算部132から供給される周波数別推定先天的SNR、q を図7の音声非存在確率記憶部134から供給される音声非存在確率とする。
また、ηn(k) = ξn(k)ハット/ (1-q)、vn(k) = (ηn(k)γn(k))/(1+ηn(k)) とする。
MMSE STSA ゲイン関数値計算部 1331は、図7の周波数別SNR計算部131から供給される後天的SNRγn(k)、図7の推定先天的SNR計算部132から供給される推定先天的SNR ξn(k)ハット及び図7の音声非存在確率記憶部134から供給される音声非存在確率 qをもとに、各周波数帯域で独立にMMSE STSAゲイン関数値を計算し、抑圧係数計算部1333に出力する。各周波数帯域のMMSE STSAゲイン関数値 Gn(k) は、
Figure 0004973873
で与えられる。ここに、I0(z) は0次変形ベッセル関数、I1(z) は1次変形ベッセル関数 である。変形ベッセル関数については、非特許文献5(1985年、数学辞典、岩波書店、374.Gページ)に記載されている。
一般化尤度比計算部 1332 は、図7の周波数別SNR計算部131から供給される後天的SNR γn(k)、図7の推定先天的SNR計算部132から供給される推定先天的SNR ξn(k) ハット及び図7の音声非存在確率記憶部134から供給される音声非存在確率qをもとに、周波数帯域毎に一般化尤度比を計算し、抑圧係数計算部1333に伝達する。周波数帯域毎の一般化尤度比Λn(k) は、
Figure 0004973873
で与えられる。
抑圧係数計算部1333は、MMSE STSA ゲイン関数値計算部1331から供給される MMSE STSA ゲイン関数値Gn(k)と一般化尤度比計算部1332から供給される一般化尤度比Λn(k)から周波数毎に抑圧係数を計算し、図7の抑圧係数補正部135へ出力する。周波数帯域毎の抑圧係数Gn(k)バーは、
Figure 0004973873
で与えられる。
図11は、図7に含まれる抑圧係数補正部135を示すブロック図である。抑圧係数補正部 135 は、最大値選択部1351、抑圧係数下限値記憶部1352、閾値記憶部1353、比較部1354、スイッチ1355、修正値記憶部1356 及び乗算器1357を各帯域に対して有する。比較部1354は、閾値記憶部1353から供給される閾値と、図7の推定先天的SNR計算部132から供給される周波数帯域別推定先天的 SNR を比較し、周波数帯域別推定先天的SNRが閾値よりも大きければ``0''を、小さければ``1''をスイッチ 1355に供給する。スイッチ 1355は、図7の抑圧係数計算部133から供給される周波数帯域別抑圧係数を、比較部1354 の出力値が``1''のときに乗算器 1357 に出力し、``0''のときに最大値選択部1351に出力する。すなわち、周波数帯域別推定先天的SNRが閾値よりも小さいときに、抑圧係数の補正が行われる。乗算器1357 は、スイッチ 1355 の出力値と修正値記憶部 1356 の出力値との積を計算し、最大値選択部1351に伝達する。
一方、抑圧係数下限値記憶部 1352 は、記憶している抑圧係数の下限値を、最大値選択部1351 に供給する。最大値選択部1351は、図7の抑圧係数計算部133から供給される周波数帯域別抑圧係数、又は乗算器 1357 で計算された積と、抑圧係数下限値記憶部1352から供給される抑圧係数下限値とを比較し、大きい方の値を図1の乗算器14に出力する。すなわち、抑圧係数は抑圧係数下限値記憶部1352が記憶する下限値より、必ず大きい値になる。
図1の構成では、残響推定部112で信号源から観測地点までのインパルス応答を逐次求めて、後期反射によって発生する残響を推定するので、高品質な残響抑圧信号を得ることができる。また、残響推定部112で残響を推定し、雑音推定部10で雑音を推定し、混合部で推定残響と推定雑音の混合信号を生成し、この混合信号に基づいて抑圧係数を生成するので、少ない演算量で高品質な雑音抑圧と残響抑圧を同時に達成することができる。
図12は、本発明の第二の実施の形態を示すブロック図である。第一の実施の形態を示す図1との違いは、帯域統合部9である。帯域統合部9は、複数の周波数成分に対応した信号サンプルを統合して総数を削減し、雑音推定部10、抑圧係数生成部13、及び乗算器14へ伝達する。統合に際しては、複数の信号サンプルを加算し、加算したサンプル数で除することによって、平均値を求める。
図13は、帯域統合部9において複数の周波数サンプルが統合される様子を説明するための図である。ここでは、8kHzサンプリング、すなわち帯域が4kHzである信号を、ブロック長Lでフーリエ変換する場合を示している。本発明の第一の実施の形態では、フーリエ変換された劣化音声信号サンプルは、フーリエ変換のブロック長Lと等しい数だけ生じる。しかし、このうち互いに独立なものは、その半分のL/2となる。本発明の第二の実施の形態では、これらL/2サンプルを部分的に統合し、独立な周波数成分の数を削減する。その際に、高周波領域でより多くのサンプルを一つのサンプルに統合する。すなわち、高域成分ほどたくさんの周波数成分を一つに統合することになり、不等分割されることになる。このような不等分割の例としては、低域側に向かって2のべき乗で帯域が狭くなるオクターブ分割、人間の聴覚特性に基づいて帯域分割された臨界帯域などが知られている。臨界帯域の詳細に関しては、非特許文献6(1992年、心理音響学、西村書店)を参照することができる。
特に、臨界帯域に従った帯域分割は、人間の聴覚特性と整合性が高いために、広く用いられている。4kHz帯域では、臨界帯域は全部で18の帯域から構成される。一方、図13に示すように、本発明の第二の実施の形態では、特に低域で臨界帯域よりも細分化することによって、音質の劣化を防ぐ。1156Hzより高い周波数から4kHzまでは、臨界帯域と同じ帯域分割を採用するが、それよりも低域ではさらに帯域を細分化することに特徴がある。図13には、L=256の例を示している。直流から13番目の周波数成分までは、統合せずにそのまま独立に取り扱う。これらに続く14成分は2成分ずつの7グループに統合する。さらに続く6成分は3成分ずつの2グループに統合する。この後、4成分で1グループと統合し、それ以上は臨界帯域に一致するように成分を統合する。このように周波数成分を統合することによって、独立な周波数成分の数を、128から32に低減することができる。フーリエ変換後の128周波数成分と統合後の32周波数成分の対応を表1に示す。周波数成分一つあたり4000/128=31.25Hzとなるので、これを用いて計算した対応周波数が一番右の欄に示されている。
帯域統合部9の動作においては、400Hz程度以下の周波数で周波数成分の統合を行わないことが重要である。この周波数領域で周波数成分の統合を行うと、分解能が低下し、音質の低下をもたらす。一方、1156Hz程度以上の周波数では、臨界帯域に従って周波数成分を統合してもよい。また、入力信号の帯域が広くなったときには、フーリエ変換のブロック長Lを長くして、音質を保つ必要がある。これは、上記400Hz以下の周波数成分の統合を行わない帯域で、一つの周波数成分あたりの帯域が増加し、分解能が劣化するためである。例えば、L=256、帯域4kHzを基準にすると、フーリエ変換のブロック長LをL>fs/31.25 で求めることによって、広帯域信号でも4kHz帯域のときと同程度の音質を維持することができる。この法則に従ってLを2のべき乗に選ぶと、8kHz<fs≦16kHzでL=512、16kHz<fs≦32kHzでL=1024、32kHz<fs≦64kHzでL=2048となる。表1に対応したfs=16kHzの例を表2に示す。表2は一例であり、帯域統合の境界が少しだけ異なるものは、同等の効果を有する。
帯域が統合された各周波数帯域に対する統合劣化音声パワースペクトルは、雑音推定部10、抑圧係数生成部13、及び乗算器14に供給される。残響推定部30でも、図13のパターンに統合した周波数帯域のそれぞれにおいて残響を推定し、混合部12に供給する。混合部12は、統合された帯域に対する推定雑音と推定残響を混合し、その結果を抑圧係数生成部13に供給する。抑圧係数生成部13は、統合された帯域における残響と雑音の混合信号に対して抑圧係数を計算し、乗算器14に供給する。乗算器14は、入力された劣化音声スペクトルと抑圧係数を乗算し、強調音声振幅スペクトルとして逆フーリエ変換部15へ伝達する。
本発明の第三の実施の形態として、第二の実施の形態を表す図12において、雑音推定部10を雑音推定部40で置換した構成が可能である。図14は、本発明の第三の実施の形態に含まれる雑音推定部40を示すブロック図である。第一及び第二の実施の形態に含まれる雑音推定部10との違いは、推定雑音補正部104である。推定雑音補正部104は、推定雑音計算部101から供給される推定雑音を補正して、これを推定雑音パワースペクトルとして図1の混合部12に伝達する。推定雑音補正部104における補正の最も基本的な動作は、全周波数成分に同じ定数を乗じることである。定数を周波数毎に異なったものとすることも可能である。この特殊な場合が、特定の周波数に対する定数を1.0に設定することであり、定数1.0が適用された周波数におけるデータには補正が行われず、それ以外の周波数のデータに対して補正が行われる。すなわち、周波数に対して選択的な補正が可能となる。このほかにも、周波数毎に異なった値を加算したり、非線形処理したりするなどの補正が可能である。このような補正を行うことによって、帯域統合によって生じた推定雑音値の真値からのずれを低減し、出力である強調音声の音質を高く保つことが可能となる。残響がゼロである場合に対しては、8kHzサンプリングにおいて、1000Hz相当以上の帯域の推定雑音に定数0.7を乗じることが適切であることが、非公式な主観評価によって明らかになっている。
Figure 0004973873
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図15は、本発明の第四の実施の形態を示すブロック図である。第一の実施の形態を示す図1との違いは、残響推定部31である。残響推定部31には、過去の強調音声に代えて、劣化音声と雑音推定部10の出力である推定雑音が供給されている。残響推定部31は、雑音推定部から供給された推定雑音を用いて劣化音声中の雑音の影響を軽減してから、残響の推定を行う。
図16は、残響推定部31の実施の形態を示すブロック図である。残響推定部31は、減算器311、指数関数計算部312、乗算器313を含む。図15の雑音推定部10から供給された推定雑音は、減算器311に供給される。減算器311は、図15のフーリエ変換部8から劣化音声パワースペクトルも供給されており、推定雑音パワースペクトルを差し引いた結果が乗算器313に伝達される。一方、逆フィルタ4から供給されたフィルタ係数は、指数関数計算部312に供給される。指数関数計算部312は、逆フィルタ4から供給されたフィルタ係数に関する情報を用いて後期反射成分に対応する指数関数を推定する。指数関数計算部312はさらに、予め定めされたサンプル数だけ、得られた指数関数をシフトして、シフトされた指数関数を乗算器313に伝達する。乗算器313は、減算器311の出力とシフトされた指数関数の積を、推定残響パワースペクトルとして求める。求めた推定残響パワースペクトルは、図15の混合部12に供給される。指数関数計算部312と乗算器313における残響の推定は、非特許文献7(2005 年3月、アイ・イー・イー・イー・プロシーディングス・オブ・インターナショナル・カンファレンス・オン・アクースティクス・スピーチ・アンド・シグナル・プロセシング(IEEE PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON ACOUSTICS, SPEECH, AND SIGNAL PROCESSING, PP.173-176, MAR, 2005)、173〜176 ページ)に詳細に示されている。
第四の実施の形態では、残響推定部31で推定雑音の影響を排除した劣化音声パワースペクトルを用いて残響の推定を行うので、正確な残響の推定が可能となり、強調音声の品質を改善することができる。
図17は、本発明の第五の実施の形態を示すブロック図である。第四の実施の形態と第五の実施の形態の関係は、第一の実施の形態と第二の実施の形態の関係に等しく、帯域統合部9の存在が相違点となる。帯域統合部9の動作については、第二の実施の形態の説明において説明したので、省略する。
図18は、本発明の第六の実施の形態を示すブロック図である。第六の実施の形態は第一の実施の形態の入力側に2入力ノイズキャンセラ200が縦続接続されている。2入力ノイズキャンセラ200の主要構成要素である適応フィルタ26の係数は、残響推定部32に供給される。残響推定部32は、このインパルス応答を用いて、残響推定部30と同様の手順によって、残響を推定する。2入力ノイズキャンセラ200は、少なくとも、適応フィルタ26と減算器27を含む。第二の入力端子25には、第一の入力端子1に供給される劣化音声に含まれる雑音成分と相関のある信号が供給される。入力端子25に供給された信号は、適応フィルタ26に伝達され、適応フィルタ26は係数と畳込み演算を行った結果を出力する。出力された畳込み結果は減算器27に供給される。一方、減算器27の他方の入力には前記劣化音声が供給されている。減算器27は、前記劣化音声から適応フィルタ26の出力を減算して、その結果を雑音消去信号として出力する。適応フィルタ26の係数は、減算器27の出力信号が何らかの基準で最小化されるように、減算器27の出力を用いて更新される。前記最小化の基準として平均二乗瞬時パワーを用いるものがLMSアルゴリズムとして、累積二乗パワーを用いるものがLSアルゴリズムとして知られている。このようにして最適化した適応フィルタ26の係数は、入力端子25に供給される信号の観測地点から入力端子1に供給される信号の観測地点に至るインパルス応答を近似することが知られている。従って、適応フィルタ26の出力は入力端子1に供給される信号に含まれる雑音成分を近似しており、減算器27の出力には雑音の消去された信号が得られる。以上の説明から明らかなように、適応フィルタ26の係数は本発明の残響抑圧装置が使用される環境のインパルス応答を近似しており、これらを用いて残響推定部32において残響を推定することができる。
第一の実施の形態では、逆フィルタ4から供給された信号源から観測地点に至るインパルス応答の逆特性に基づいて、残響推定部30が前記インパルス応答を求めていた。第六の実施の形態では、2入力ノイズキャンセラ200の主要構成要素である適応フィルタ26から前記インパルス応答自体が直接、残響推定部32に供給される。残響推定部32は、このインパルス応答を用いて、残響推定部30と同様の手順によって、残響を推定する。また、第一の実施の形態で説明したように、利用する係数の数は2以上であればいくつでもよく、係数平均化も、有効である。なお、2入力ノイズキャンセラ200に代えて、音響エコーキャンセラを用いることもできる。これは、音響エコーキャンセラが、スピーカからマイクロフォンに至る音響特性を同定する適応フィルタを内部に含むからである。この適応フィルタの係数を残響推定部32に供給することにより、2入力ノイズキャンセラの場合と全く同様の手順で、残響を推定することができる。同様の理由で、2入力ノイズキャンセラ200に代えて、マイクロフォンアレイの多入力キャンセラ部の適応フィルタ係数の一部、全部、またはこれらの平均値を用いることによって、同様の効果を得ることができる。
第六の実施の形態では、2入力ノイズキャンセラと第一の実施の形態の縦続接続について説明したが、2入力ノイズキャンセラと第二から第五の実施の形態の縦続接続も、同様の効果を有する。また、2入力ノイズキャンセラに代えて、音響エコーキャンセラやマイクロフォンアレイを利用できることも同様である。
これまで説明した全ての実施の形態では、抑圧係数生成部13を主な構成要素とする抑圧部として、最小平均2乗誤差短時間スペクトル振幅法を仮定してきたが、 その他の方法も適用することができる。このような方法の例として、 非特許文献8(1979 年12 月、プロシーディングス・オブ・ザ・アイ・イー・イー・イー、第67 巻、第12 号 (PROCEEDINGS OF THE IEEE, VOL.67, NO.12, PP.1586-1604, DEC, 1979)、1586 〜1604 ページ)に開示されているウィーナーフィルタ法や、非特許文献9(1979 年4 月、アイ・イー・イー・イー・トランザクションズ・オン・アクースティクス・スピーチ・アンド・シグナル・プロセシング、第27巻、第2号(IEEE TRANSACTIONS ON ACOUSTICS, SPEECH, AND SIGNAL PROCESSING, VOL.27, NO.2, PP.113-120, APR, 1979)、113〜120 ページ)に開示されているスペクトル減算法などがあるが、これらの詳細な構成例については説明を省略する。
図19は、本発明の第七の実施の形態を示すブロック図である。本発明の第七の実施の形態は、プログラム制御により動作するコンピュータ(中央処理装置;プロセッサ;データ処理装置)1000と、入力端子1及び25、及び出力端子18とから構成されている。
コンピュータ(中央処理装置;プロセッサ;データ処理装置)1000は、雑音推定部10、残響推定部30、混合部12、抑圧係数生成部13、乗算器14、ノイズキャンセラ200を含む。残響推定部30に代えて、残響推定部31または32のいずれかを含んでもよいし、雑音推定部10に代えて雑音推定部40を含んでもよい。
入力端子1及び25に供給された劣化音声は、コンピュータ1000内のノイズキャンセラに供給され、雑音が消去される。雑音が消去された信号を用いて、含まれる残響が残響推定部30で、消去し切れなかった雑音が雑音推定部10で推定される。残響の推定に際しては、ノイズキャンセラ200の内部に含まれる適応フィルタ26の係数値を用いる。これらの推定信号は、混合部12で混合され、抑圧係数生成部13に供給される。抑圧係数生成部は、供給された推定雑音と推定残響の混合信号から適切な抑圧係数を生成する。生成された抑圧係数を用いて、乗算器14は残響と前記消去し切れなかった雑音の抑圧を行い、出力端子18に供給する。なお、ノイズキャンセラ200を用いずに、入力端子1から供給された劣化音声の線形予測残差の尖度を最大化するような逆フィルタを用いる構成も可能である。その際には、入力端子25は不要となる。また、ノイズキャンセラ200に代えて、エコーキャンセラやマイクロフォンアレイと組み合わせる構成も可能である。
本発明では、残響推定に信号源から観測地点までのインパルス応答を用いるように構成されているため、正確な残響推定が可能となり、効果的な残響抑圧を行うことができる。また、残響と雑音の推定を行い、これらを適切に混合してから抑圧するように構成されているため、少ない演算量で残響と雑音の抑圧を同時に行うことができる。

Claims (14)

  1. 入力信号を周波数領域信号に変換し、
    該周波数領域信号を用いて雑音を推定し、
    信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定し、
    前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求め、
    該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定め、
    該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけすることによって、残響を抑圧することを特徴とする残響抑圧の方法。
  2. 前記過去の強調音声に代えて、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定することを特徴とする請求項1に記載の雑音抑圧の方法。
  3. 前記周波数領域信号の帯域を統合して統合周波数領域信号を求め、該統合周波数領域信号を前記周波数領域信号に代えて用いることによって、前記抑圧係数を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雑音抑圧の方法。
  4. 入力信号サンプル間の相関を除去して相関除去信号を求め、
    該相関除去信号を適応フィルタで処理して仮早期反響抑圧信号を求め、
    該仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記適応フィルタの係数を更新し、
    前記適応フィルタの係数と同一の係数を有する固定フィルタで前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求め、
    前記適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、
    前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の雑音抑圧の方法。
  5. 参照信号を第一の適応フィルタで処理して擬似雑音を求め、
    該擬似雑音を入力信号から差し引いて雑音消去信号を求め、
    該雑音除去信号が最小となるように前記雑音除去信号と前記参照信号を用いて、前記第一の適応フィルタの係数を更新し、
    前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、
    前記雑音除去信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の雑音抑圧の方法。
  6. 前記雑音除去信号のサンプル間相関を除去して相関除去信号を求め、
    該相関除去信号を第二の適応フィルタで処理して仮早期反響抑圧信号を求め、
    該仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記第二の適応フィルタの係数を更新し、
    前記第二の適応フィルタの係数と同一の係数を有する固定フィルタで前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求め、
    前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求め、
    前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項5に記載の雑音抑圧の方法。
  7. 入力信号を周波数領域信号に変換する変換部と、
    該周波数領域信号を用いて推定雑音を求める雑音推定部と、
    信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定する残響推定部と、
    前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める混合部と、
    該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める抑圧係数生成部と、
    該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする乗算部と、
    を有することを特徴とする残響抑圧の装置。
  8. 前記過去の強調音声に代えて、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定する残響推定部を有することを特徴とする請求項7に記載の雑音抑圧の装置。
  9. 前記周波数領域信号の帯域を統合して統合周波数領域信号を求める帯域統合部を有し、
    該統合周波数領域信号を前記周波数領域信号に代えて用いることによって、前記抑圧係数を求めることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の雑音抑圧の装置。
  10. 入力信号サンプル間の相関を除去して相関除去信号を求める相関除去部と、
    該相関除去信号を処理して仮早期反響抑圧信号を求める適応フィルタと、
    前記適応フィルタの係数と同一の係数で前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求める固定フィルタと、
    前記適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部と
    を有し、
    前記仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記適応フィルタの係数を更新し、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の雑音抑圧の装置。
  11. 参照信号を処理して擬似雑音を求める第一の適応フィルタと、
    該擬似雑音を入力信号から差し引いて雑音消去信号を求める減算器と、
    前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部を有し、
    前記雑音除去信号が最小となるように前記雑音除去信号と前記参照信号を用いて、前記第一の適応フィルタの係数を更新し、前記雑音除去信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の雑音抑圧の装置。
  12. 前記雑音除去信号のサンプル間相関を除去して相関除去信号を求める相関除去部と、
    該相関除去信号を処理して仮早期反響抑圧信号を求める第二の適応フィルタと、
    前記第二の適応フィルタの係数と同一の係数で前記入力信号を処理して早期反響除去信号を求める固定フィルタと、
    前記第一の適応フィルタの係数を用いて前記インパルス応答を求める残響推定部と
    を有し、
    前記仮早期反響抑圧信号の尖度を最大化するように前記第二の適応フィルタの係数を更新し、前記早期反響抑圧信号を前記入力信号として用いることを特徴とする請求項11に記載の雑音抑圧の装置。
  13. コンピュータに、
    入力信号を周波数領域信号に変換する処理と、
    該周波数領域信号を用いて雑音を推定する処理と、
    信号源から観測地点までのインパルス応答と過去の強調音声を用いて残響を推定する処理と、
    前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める処理と、
    該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める処理と、
    該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする処理と
    を実行させるための残響抑圧用プログラム。
  14. コンピュータに、
    入力信号を周波数領域信号に変換する処理と、
    該周波数領域信号を用いて雑音を推定する処理と、
    信号源から観測地点までのインパルス応答と、前記推定残響から前記推定雑音の影響を取り除いたものと、前記周波数領域信号とを用いて残響を推定する処理と、
    前記推定雑音と前記推定残響を混合して混合信号を求める処理と、
    該混合信号と前記周波数領域信号を用いて抑圧係数を定める処理と、
    該抑圧係数で前記周波数領域信号を重みづけする処理と
    を実行させるための残響抑圧用プログラム。
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