JP4975227B2 - 放射線検出器および放射線撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常フラットパネル型放射線検出器と呼ばれている放射線検出器と、この放射線検出器を採用した医療用あるいは工業用の放射線撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被検体の放射線透視画像を得るための放射線検出器として、従来からイメージインテンシファイア(Image Intensifier:I.I.)と撮像管あるいは固体撮像素子(例えば、Charge Coupled Device:CCD)とを組合せたものが用いられている。これは、被検体を透過したX線情報を光学情報に変換し、この光学情報をテレビカメラに取り込んで、テレビモニタに画像として表示したり、フィルムに焼き込んだりするものである。
このような、I.I.と撮像管あるいはCCDとを組合せた放射線検出器に対し、より繊細な欠陥や病変を検出したいという強いニーズに応える新しい放射線検出器として、近時、半導体技術を駆使したフラットパネル型放射線検出器(Flat Panel Detector:FPD)が開発されてきている。このFPDは、例えばガラス基板上に形成されるスイッチング素子や容量を、放射線を電荷などに変換する光導電膜などで覆うように形成した半導体アレイであり、高解像度、軽量・コンパクトで、画像歪みも少ないという特徴を備えている。
【0003】
そこで、このFPDの概要について、図10ないし図15を参照して説明する。なお、FPDには、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型と、放射線を一旦光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換型とがあるが、本発明は直接変換型のFPDに関するものなので、直接変換型のFPDについて説明するものとする。
図10は、FPDの一例の概略構成を示したブロック図である。FPDは、放射線を電荷に変換し、変換された電荷に応じた検出信号を読み出す放射線検出・読み出し部(以下、FPD本体という。)10と、このFPD本体10に高電圧を印加するバイアス電源9と、このバイアス電源9からFPD本体10へ印加する電圧を制御する高電圧制御部8と、この高電圧制御部8やFPD本体10の動作を制御するモジュールコントローラ7とを有している。
FPD本体10の一例の概略構成を図11に示してあるので、次に、これについて説明する。
FPD本体10は、表面が放射線を電荷に変換する変換膜で覆われた多数の画素1から成り、画素1がマトリックス状に配列されて1画面を形成している。各画素1には後述するように、入射した放射線に基づき変換された電荷を蓄積する容量と、この容量に蓄積された電荷を信号として取り出すためのスイッチング素子とが含まれている。そして、そのスイッチング素子を介して各画素1の電極がゲート線GLj(j=1〜m;mは2以上の整数)と信号線SLi(i=1〜n;nは2以上の整数)に接続されている。また、各ゲート線GLjは、ゲート線駆動回路2に接続されているとともに、信号線SLiは、信号読み出し回路3に接続されている。これらゲート線駆動回路2および信号読み出し回路3は、タイミング制御回路4によって制御される。
【0004】
ゲート線GLjは、テレビジョンの走査線に相当し、ゲート線駆動回路2が、あるゲート線GLjに駆動信号を供給すると、駆動信号の供給された当該ゲート線GLjに接続されている全ての画素1は、オン状態になるのに十分な励起状態に置かれることになる。なお、ゲート線駆動回路2は、ゲート線GL1、GL2、…GLmを順次走査するように、1画面分の全てのゲート線GLjに、所定のタイミングで順次駆動信号を供給するようにしてもよいし、あるいは、飛び越し走査として、奇数番目のゲート線GL1、GL3、…GLm−1に駆動信号を順次供給した後、偶数番目のゲート線GL2、GL4、…GLmに駆動信号を順次供給するようにしてもよい。
また、信号読み出し回路3は、各信号線SLiに対応して設けられ、例えば図12に示すように、電圧変換と入力信号の増幅を行うプリアンプPA1〜PAnと、各プリアンプPA1〜PAnからの出力を逐次スイッチングするマルチプレクサ5と、マルチプレクサ5からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器6とで構成されている。なお、各信号線SLiから得られる信号は、画像信号である。
【0005】
さて、FPDを構成する画素1の断面構造の一例を、図13に模式的に示し、その等価回路を図14に示してあるので、次に、これらの図を参照して画素1について説明する。
画素1は、ガラス基板11の上に形成されるスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)12や蓄積容量13等を含んで構成されている。TFT12は、ゲート電極14と、ゲート電極14を覆うように形成されたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15上に形成されたソース電極16およびドレイン電極17とから成っている。そして、ゲート電極14はゲート線GLjに接続され、ソース電極16は信号線SLiに接続され、さらにドレイン電極17は、画素電極18に接続されている。
蓄積容量13は、画素電極18と後述するバイアス電源9の負端子と接続された下部共通電極20とが、絶縁膜21を介して対向して形成される構造となっている。また、ソース電極16、ドレイン電極17および画素電極18を覆うように、電荷阻止層22が形成されている。さらに、TFT12および蓄積容量13を覆うように、放射線を電荷に変換する変換膜23、誘電体層24、およびバイアス電源9の正端子に接続される上部共通電極25が順に形成されて画素容量Cpが構成される。なお、変換膜23用の材料としては、放射線を吸収して電荷に変換する効率の高い半導体材料、例えば、真空蒸着法によって数100〜1000μm程度の厚さに形成されるアモルファスセレニウム(a−Se)膜が用いられる。この半導体材料で形成された膜は、光導電膜とも称される。
【0006】
次に、上記のように構成されているFPD本体10の動作について説明する。
放射線が変換膜23に入射すると、この放射線が変換膜23中で吸収され、放射線量に応じた電荷に変換される。変換膜23と蓄積容量13とは、構造上電気的に直列に接続された容量を形成するので、バイアス電源9によって上部共通電極25と下部共通電極20との間に、バイアス電圧を印加することにより、発生した電荷(電子、正孔)は、それぞれ極性の異なる電極に移動し、これによって蓄積容量13には所定の電荷が蓄積される。よって、画素1毎に、被検体を透過した放射線を電荷に変換して蓄積するので、これを画像信号として取り出すことによって、放射線画像を形成することができる。
なお、バイアス電源9は、変換膜23へ高電圧を印加するために設けられているものであるが、変換膜23には、その厚みに応じた電圧を印加する必要があり、例えば変換膜23がアモルファスセレニウム膜の場合は、1μm当たり約10Vである。よって、変換膜23の厚みを1mmとすると、約10KVのバイアス電圧を印加することが必要となる。ただし、変換膜23へ急激に高電圧の印加を繰り返すと、変換膜23の寿命を短くするというリスクがあるので、時間をかけて徐々に電圧を上げていって、所定の電圧となるようにしている。このように、時間をかけて、徐々にバイアス電圧を印加するようにするために、高電圧制御部8が備えられている。
【0007】
次に、FPDから画像信号を取り出す方法について説明する。
蓄積容量13に蓄積された電荷は、TFT12をオン状態にするのに十分な電圧をゲート線GLjに与えることにより、信号線SLiを介して外部に取り出すことができる。従って、図11に示すように、ゲート線駆動回路2を用いて、ゲート線GLjに順次あるいは1本おきに駆動電圧を供給することにより、全画素1にわたって信号を読み出すことができる。そして、各画素1から取り出された信号は、信号線SLiの各列に接続された信号読み出し回路3によって、それぞれ電圧変換、増幅、A/D変換等がなされ、デジタル画像信号として放射線像の情報が検出されることになる。
このように、直接変換型のフラットパネル型放射線検出器(FPD)は、放射線を電荷量に変換して蓄積する画素1を、二次元状に多数配列して形成したFPD本体10を有し、I.I.とテレビカメラを組合せたものに比べて種々の特徴を備えている。例えば、解像度が高く歪みの少ない画像が得られ、さらに、放射線像の情報がデジタル画像信号として得られるので、画像処理が容易である。また、大幅な薄型化、軽量化が図られるので、放射線撮影装置への取付け構造が簡単となり、放射線撮影装置の操作範囲が広がったり、小型軽量化を実現したり、医療用の撮影装置に用いる場合には、患者への圧迫感を軽減することもできる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、FPDの心臓部とも言うべき、FPD本体10の放射線を電荷に変換するアモルファスセレニウム膜で形成されている変換膜23へ、急激に高電圧の印加を繰り返すと、前述のように、変換膜23の寿命を短くするなどの悪影響を及ぼすリスクがある。このようなリスクを軽減するために、高電圧制御部8の制御により、バイアス電源9の電圧を或る設定値を時間に比例させて、徐々に上げて、所定のバイアス電圧(定格電圧)となるようにしている。ここで、厚みが1mmの変換膜23に印加するバイアス電圧の定格値を10KVとすると、例えば、1秒当たり30Vづつ電圧を増加させるものとすると、定格の10KVに達するには、5分程度の時間がかかることになる。
この様子を図15に特性図として示してある。なお、図15の横軸は時間であり、縦軸は印加するバイアス電圧値である。すなわち、時刻0で電源を投入した場合、バイアス電源9によってFPD本体10の変換膜23に印加されるバイアス電圧は、高電圧制御部8の制御のもとで、所定の電圧上昇率に従って徐々に上昇し、時刻t1に定格電圧(V-Final)に達する。ここで、FPDは使用可能状態となる。このFPDが例えばX線撮影装置に搭載されている場合、0〜t1までの時間(例えば約5分)は、準備状態であり、X線撮影を実施することができず、時刻t1以降、X線撮影が可能な状態(FPDの使用が可能)となる。このように、FPDが使用可能状態となるまでに、ある待ち時間が必要となることは、FPDを搭載しているX線撮影装置などでは、不都合をきたすことがあった。
【0009】
例えば、X線撮影装置でのX線透視下で、カテーテル検査を実施していたような場合に、何らかの理由で、FPDをリセットしたり、一旦電源を落として再投入しなければならないような事態になったとする。すなわち、図15に示すように、時刻t1以降使用していたFPDについて、その電源を何らかの事情によって、時刻t2にオフとし、時刻t3に電源を再度オンしたものとすると、次にFPDが使用可能となる時刻t8まで待たなければ、透視画像を得ることはできない。なお、t3〜t8までの時間は、0〜t1までの時間と同じである。よって、この間、カテーテルの操作を中断せざるをえないという問題があった。このような検査の中断は極力避けなければならず、止む無く電源をオフにした場合には、短時間でFPDを使用可能な状態(すなわち、稼動状態)にする必要があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、放射線を電荷に変換する変換部材を有し、この変換部材によって変換された電荷に応じた検出信号を読み出す放射線検出・読み出し手段と、この放射線検出・読み出し手段の前記変換部材に高電圧を印加する高電圧発生手段と、この高電圧発生手段から前記変換部材へ印加する高電圧を、所定の電圧上昇率に基づき、徐々に定格値に達するように制御する高電圧制御手段と、前記高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときに、前記変換部材に印加されている高電圧を時定数に従って徐々に低下するように保持する電圧保持手段とを備え、前記電源供給が再開されたときに、前記高電圧制御手段は前記電圧保持手段によって急激な低下が抑制された電圧値またはその近傍の値から電圧上昇を開始させるように前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする。
【0011】
また、上述の課題を解決するため、被検体へ放射線を照射する放射線照射手段と、この放射線照射手段によって照射され、前記被検体を透過した放射線を電荷に変換する変換部材を有し、この変換部材によって変換された電荷に応じた検出信号を読み出す放射線検出・読み出し手段と、この放射線検出・読み出し手段から前記変換部材へ印加する高電圧を、所定の電圧上昇率に基づき、徐々に定格値に達するように制御する高電圧制御手段と、前記高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときに、前記変換部材に印加されている高電圧を時定数に従って徐々に低下するように保持する電圧保持手段とを備え、前記電源供給が再開されたときに、前記高電圧制御手段は前記電圧保持手段によって急激な低下が抑制された電圧値またはその近傍の値から電圧上昇を開始させるように前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする放射線検出器と、を具備することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る放射線検出器と、この放射線検出器を採用した放射線撮影装置の種々の実施の形態について、図1ないし図9を参照して詳細に説明する。なお、これらの図において、同一部分には同一符号を付してあるとともに、図10ないし図14との同一部分にも同一符号を付して示してある。
先ず、図1に示した系統図によって、本発明に係る放射線検出器を、医療用のX線撮影装置に適用した場合のX線撮影装置の概略構成について説明する。
このX線撮影装置は、被検体Pを間にして対向配置されたX線発生器100およびフラットパネル型放射線検出器(FPD)200と、これらX線発生器100やFPD200をはじめとして、X線撮影装置全体を制御する中枢的な機能を果たすコンピュータやメモリ等を有する制御装置300と、制御装置300に対して操作者が適宜設定操作などを行う操作卓400と、FPD200から得られるデジタル画像信号に対して階調処理などを施こす画像処理装置500と、画像処理装置500からの出力信号を表示する表示装置600とを備えている。なお、FPD200における放射線検出・読み出し部としてのFPD本体10は、例えば図11ないし図14に示したものと同様である。
【0015】
このように構成されたX線撮影装置の一般的な動作は次のとおりである。
制御装置300の制御に基づき、FPD200に所定の高電圧(バイアス電圧)が印加された後、X線発生器100から照射されたX線は、被検体Pを透過してFPD200に入射し、FPD200では、入射したX線量に応じた電荷量分布に変換される。そして、FPD200上に形成された二次元的な電荷量分布は、これも制御装置300の制御下で、図11で説明したゲート線駆動回路2の動作に従い、ゲート線GLj毎に信号線SLiおよび信号読み出し回路3を介して、デジタル画像信号として順次読み出されて、画像処理装置500へ供給され、ここで階調処理などが施こされた後、表示装置600へ送られ、X線透視画像として表示される。
【0016】
次に、制御装置300の有する機能について説明する。
制御装置300は、X線発生器100に対して、X線を照射させたり、照射を停止させるオン/オフ制御するのはもとより、X線の照射条件として、例えば印加電圧や電流、X線照射時間、透視/撮影の切替えなどを制御する。また、FPD200に対しては、FPD本体10へ高電圧を印加するバイアス電源9のオン/オフや電圧上昇率を、モジュールコントローラ7を介して後述する高電圧制御部80により制御させたり、タイミング制御回路4によるFPD本体10からの画像信号の読み出しを制御するなど、X線撮影装置全体を制御する中枢的な機能を果たしており、そのためのコンピュータやメモリ等を有している。このメモリには、制御プログラムや演算プログラムなど、コンピュータを動作するのに必要となるプログラムや、各種の動作条件などを予め記憶させてあるとともに、制御や演算に伴ない得られる情報が記憶される。
また、制御装置300には操作卓400が接続されており、この操作卓400を操作者が操作して、制御装置300に対して動作条件などを適宜設定したり、FPD200のモジュールコントローラ7を介して高電圧制御部80へ、バイアス電源9の電圧上昇率を適宜設定したりするために、操作卓400には、キーボード、タッチパネル、各種ポインティングデバイス、表示器などが設けられている。
【0017】
次に、本発明に係る放射線検出器の第1の実施の形態について、図2ないし図4を参照して説明する。なお、図2は、本発明に係る放射線検出器の第1の実施の形態を示した系統図であり、図3は、バイアス電源9とこれを制御する高電圧制御部80の系統図であり、図4は、第1の実施の形態の作用を説明するために示した特性図である。
前述のように、本発明は、稼動状態にあるFPD200について、何らかの理由によって電源供給が断たれ、そのために、FPD本体10に対してバイアス電圧を供給しているバイアス電源9への電源供給が遮断された場合でも、バイアス電圧の急激な低下を抑制するように、ある程度の時間、バイアス電源9の出力電圧をある程度保持できるようにすることを一つの狙いとしている。よって、この実施の形態では、バイアス電源9の出力側(二次側)に電圧保持部201を設け、さらに、電源供給が再開されたときには、バイアス電源9の出力側(二次側)の電圧に応じて、バイアス電源9の電圧上昇を開始させることによって、バイアス電圧が定格値に達するまでの時間を短縮しようとするものである。
【0018】
すなわち、FPD本体10の変換膜23へ高電圧を印加するバイアス電源9の出力側に、電圧保持部201を設けるとともに、この電圧保持部201の電圧を検出する電圧検出器202を設け、電圧検出器202で検出した電圧値を高電圧制御部80へフィードバックすることによつて、この高電圧制御部80がバイアス電源9から所望のバイアス電圧を出力するように制御する。なお、電圧保持部201は、コンデンサなどの充電回路によって容易に構成される。
バイアス電源9と高電圧制御部80とは、例えば図3に示すように構成されている。バイアス電源9は、所謂スイッチング電源として構成されており、例えばDC12Vの入力電圧をインバータ回路部91でスイッチングし、その出力をトランス92を介して二次側昇圧整流平滑回路93に供給する。二次側昇圧整流平滑回路93は、例えば、周知のコッククロフト回路などで構成されており、入力を所望の直流高電圧に昇圧する。なお、二次側昇圧整流平滑回路93の出力電圧は、抵抗器などで構成される分圧器94によって、出力電圧に比例した低電圧に分圧され、インバータ駆動制御部95へ供給される。
【0019】
そして、インバータ駆動制御部95では、二次側昇圧整流平滑回路93の分圧された出力と、高電圧制御部80からの設定値とを比較しながら、インバータ回路部91を制御して、二次側昇圧整流平滑回路93の出力を所望のバイアス電圧となるようにする。よって、所定のバイアス電圧がFPD本体10の変換膜23へ印加されることになる。
なお、高電圧制御部80は、所定の電圧上昇率に従ってバイアス電圧が徐々に上昇するように、バイアス電源9へ設定値を出力してバイアス電源9を制御する。そのため、マイクロコントローラ81において、モジュールコントローラ7から供給される電圧上昇率の設定値と、電圧検出器202によって検出された電圧保持部201の出力電圧がA/Dコンバータ82で変換されたフィードバック値とをもとにして、このときのバイアス電源9への設定値を定め、これをD/Aコンバータ83を介してバイアス電源9のインバータ駆動制御部95へ供給している。
【0020】
図4は、図2に示した実施の形態において、バイアス電圧の印加状況を示した特性図であり、図15と同様に横軸は時間であり、縦軸は印加するバイアス電圧値である。すなわち、時刻0で電源を投入した場合、FPD本体10の変換膜23に印加されるバイアス電圧は、所定の電圧上昇率(例えば、30V/sec)に従って徐々に上昇し、時刻t1に定格電圧(V-Final)に達し、FPD本体10は使用可能状態となる。このような状態にあるときに、時刻t2にFPD200への電源供給が断たれたものとすると、高電圧制御部80やバイアス電源9への電源供給も遮断される。そのため、バイアス電源9の出力すなわち、変換膜23に印加されるバイアス電圧は、従来であれば、ほぼ瞬時にゼロとなるところ、本発明では、電圧保持部201の作用によって、バイアス電圧は電圧保持部201の有する時定数に従って徐々に低下する。
その後、時刻t3にて、FPD200への電源供給が再開されたとすると、このとき高電圧制御部80は、電圧検出器202で検出された電圧保持部201の出力電圧値V1か、またはその近傍の値から、電圧上昇を開始させるように、バイアス電源9を制御する。このときの電圧上昇率は、時刻0で電源を投入した場合と同じであり、時刻t5に定格電圧(V-Final)に達する。従って、従来は、図4に破線で示すように、時刻t8でなければ定格電圧(V-Final)に達しなかったものが、それよりもずっと早い時刻t5に定格電圧に達し、FPD200を使用可能な状態にすることができる。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、バイアス電源9の出力側(二次側)に電圧保持部201を設けたが、図5に示すように、バイアス電源9の入力側(一次側)に電圧保持部201を設けるようにしても、同様に、バイアス電圧の急激な低下を抑制する効果を得ることができる。
すなわち、図5に示す実施の形態では、バイアス電源9の入力側(一次側)に電圧保持部201を設ける。この場合の電圧保持部201は、例えば、FPD本体10の変換膜23に、バイアス電圧を一時的に印加することを可能とするバイアス電源9への供給電源として機能するものであり、充電可能なバッテリのような二次電池でよい。そして、この実施の形態における電圧保持部201は、高電圧制御部80へも電源遮断時の制御用電源として供給される。また、電圧検出器202はバイアス電源9の出力電圧を検出するように設け、電圧検出器202で検出したバイアス電源9の出力電圧を高電圧制御部80へフィードバックしている。
この実施の形態における、FPD本体10の変換膜23へのバイアス電圧の印加状況は、図4と同様となる。すなわち、時刻t2にFPD200への電源供給が断たれたものとすると、高電圧制御部80やバイアス電源9への電源供給も遮断される。ただしこのとき、高電圧制御部80とバイアス電源9には、電圧保持部201から電力が供給されており、従って、バイアス電源9の出力電圧は急激に低下することなく、電圧保持部201が有する電力に支えられながら徐々に低下する。
【0022】
その後、時刻t3にて、FPD200への電源供給が再開されると、このとき高電圧制御部80は、電圧検出器202で検出されたバイアス電源9の出力電圧値V1か、またはその近傍の値から、電圧上昇を開始させるように、バイアス電源9を制御することになり、時刻t5にバイアス電源9の出力を、定格電圧(V-Final)にすることが可能となる。よって、図4に破線で示した、通常の場合の時刻t8よりも早い時刻t5に、FPD200を使用可能な状態にすることができる。
なお、バイアス電源9からFPD本体10の変換膜23に印加されるバイアス電圧の電圧上昇率は、適宜変更することが可能である。例えば、操作者が操作卓400に設けられているキーボードなどを操作することによって、制御装置300およびモジュールコントローラ7を介して、高電圧制御部80へ電圧上昇率の変更を指示したり、変更した電圧上昇率をそのまま設定値とすることもできる。さらに、状況に応じて電圧上昇率を変更できるように、高電圧制御部80に電圧上昇率の変更機能をもたせることも可能である。
【0023】
図6は、電源供給が断たれたときに、その時間を計数して、電源供給の断たれていた時間が短ければ、電圧上昇率を通常より高めることにより、短い時間でFPD200を使用可能状態にしようとする実施の形態を示したものである。
すなわち、FPD本体10の変換膜23に印加されているバイアス電圧が、短時間だけ遮断されたような場合に、再度バイアス電圧を印加する際、変換膜23に及ぼすリスクが軽微な範囲内において、通常の電圧上昇率よりも高い上昇率でバイアス電圧を印加し、可能な限り早くFPD200または放射線撮影装置を使用可能な状態に復帰させることも必要である。
そのため、電源供給が断たれても機能するリアルタイムクロック203と不揮発性メモリ204を、FPD200に設けている。そして、リアルタイムクロック203の内容を、モジュールコントローラ7を介して、ある時間間隔で不揮発性メモリ204に記録しておく。ここで、電源供給が断たれると、モジュールコントローラ7は、不揮発性メモリ204に記録されている電源が遮断した直前の時刻と、その後電源が投入されたときの時刻とから、電源が遮断されていた時間を見極め、それがある時間以内であれば、高電圧制御部80へ電圧上昇率の上昇を指示し、高電圧制御部80は通常よりも高い電圧上昇率で、バイアス電源9からFPD本体10の変換膜23へバイアス電圧を印加し、短時間に定格電圧に到達させる。なお、この実施の形態において高電圧制御部80は、図3に示した構成からA/Dコンバータ82を省略したものであってもよい。
【0024】
この実施の形態におけるバイアス電圧の印加の様子を図7に、図15と同様の特性図として示してある。すなわち、稼動状態にあったFPD200への電源供給が時刻t2で遮断され、バイアス電圧が印加されなくなったところまでは図15と同様である。そして、時刻t3で電源が再投入されると、バイアス電圧が上昇し始めることになるが、このとき、電源の遮断されていた時間(t3−t2)がある時間以内であれば、バイアス電源9から変換膜23へ、高い電圧上昇率でのバイアス電圧の印加を開始する。よって、時刻t6に定格電圧(V-Final)に達する。この時刻t6は、破線で示す通常の場合の電圧上昇率によって定格電圧に達する時刻t8よりも十分短い時間とすることができる。
なお、本実施の形態では、リアルタイムクロック203や不揮発性メモリ204を、FPD200に設けるものとして説明したが、これらに相当するものを制御装置300に設けて、同様に機能させてもよいことは言うまでもない。
【0025】
続いて、図8に示す実施の形態について説明する。
図8は、FPD200への電源供給系統を、高電圧制御部80とバイアス電源9とのバイアス電源系と、モジュールコントローラ7とFPD本体10との、FPD本体10から検出信号を読み出す信号読み出し系とに、放射線撮影装置側において分離して、供給するようにした実施の形態を示したものである。
すなわち、従来は、これら各系統とも放射線撮影装置側からの電源供給は同じ一つの系統で供給されており、例えばモジュールコントローラ7において、システムロックなどの障害が発生した場合に、モジュールコントローラ7の電源を一旦オフにしてシステムをクリアーし、再度電源をオンにしてシステムを立上げようとすると、必然的に高電圧制御部80やバイアス電源9への電源供給も遮断されてしまい、再度電源をオンにした場合に、バイアス電源9の出力が定格値に達するまでの間は、放射線撮影装置での撮影動作をストップさせなければならなかった。
そこで本実施の形態では、FPD200への電源供給系統を、高電圧制御部80とバイアス電源9とのバイアス電源系の電源供給ラインAと、モジュールコントローラ7とFPD本体10とのFPD本体10から検出信号を読み出す信号読み出し系の電源供給ラインBとに、分離したものである。よって、モジュールコントローラ7のシステムロックなどを解除するためには、電源供給ラインBを遮断すればよく、このとき電源供給ラインAは活きているので、バイアス電源9からFPD本体10へのバイアス電圧を供給し続けられる。従って、電源供給ラインBの遮断を解除して、モジュールコントローラ7の電源を再度オンにすることによって、システムを再立上げすると、放射線撮影装置での撮影動作を即座に再開させることができる。
【0026】
なお本発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、さらに種々の形態で実施できることは言うまでもない。
例えば、制御装置300あるいは操作卓400から、FPD200のモジュールコントローラ7に対してリセット信号が発せられたような場合に、モジュールコントローラ7をリセットするものの、高電圧制御部80はリセットせず、よってバイアス電源9をリセットしないようにしてもよい。この場合は、モジュールコントローラ7はリセットされても、バイアス電圧は、FPD本体10の変換膜23へ印加し続けられるので、モジュールコントローラ7を復旧させた場合、即座にFPD本体10からの検出信号の読み出しが可能となる。
また、図9に図7と同様の特性図を示したように、時刻t3にて電源供給を再開したときに、再開初期には、通常の電圧上昇率でバイアス電圧を印加するように、高電圧制御部80からバイアス電源9を制御していたものを、途中の時刻t4において、操作卓400から制御装置300およびモジュールコントローラ7を介して、高電圧制御部80へ電圧上昇率を高めるように指示してもよい。このようにすれば、通常の場合よりも早い時刻t7に、バイアス電圧を定格値とすることができ、例えばX線透視下でカテーテル検査をしていたときのように、緊急事態に対しては、FPD200側のリスクを犠牲にしても、早く画像収集を可能にすることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、発明の実施の形態によれば、高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときでも、その出力電圧を或る程度の値に保持することができるので、電源供給を再開したときに、短時間で変換部へ定格のバイアス電圧を印加することが可能となり、すみやかに稼動状態に復旧させることのできる放射線検出器を提供することができる。
また、高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときでも、その出力電圧を或る程度の値に保持することができるので、電源供給を再開したときに、短時間で変換部へ定格電圧を印加することが可能となり、放射線検出器をすみやかに稼動状態に復旧させて、早期に画像収集を再開することのできる放射線撮影装置が提供される。
さらに、標準的な電圧上昇率にとらわれず、状況に応じて例えば高い電圧上昇率に設定して、短時間で放射線検出器を使用可能な状態にすることが可能となる。
なおさらに、制御系のシステムロックなどの障害を復旧する際に、制御系の電源遮断の影響を受けずに放射線検出器へバイアス電圧を供給し続けることができ、制御系の障害の復旧に合わせて即座に撮影動作の再開を可能とする放射線撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射線検出器を備えたX線撮影装置の概略構成を示した系統図である。
【図2】本発明に係る放射線検出器の一実施の形態を示した系統図である。
【図3】図2に示した実施の形態におけるバイアス電源と高電圧制御部との具体的な構成の一例を示した系統図である。
【図4】図2に示した実施の形態の作用を説明するために示した特性図である。
【図5】本発明に係る放射線検出器の他の実施の形態を示した系統図である。
【図6】本発明に係る放射線検出器のさらに他の実施の形態を示した系統図である。
【図7】図6に示した実施の形態の作用を説明するために示した特性図である。
【図8】本発明に係る放射線撮影装置の一実施の形態の要部を示した系統図である。
【図9】本発明に係る放射線撮影装置の他の実施の形態の作用を説明するために示した特性図である。
【図10】公知のフラットパネル型X線検出器の概略構成を示した系統図である。
【図11】公知のフラットパネル型X線検出器の一例の概略構成を示した説明図である。
【図12】図10に示したフラットパネル型X線検出器の信号読み出し回路の説明図である。
【図13】公知のフラットパネル型X線検出器を構成する画素の断面構造の一例を模式的に示した説明図である。
【図14】図13に示したフラットパネル型X線検出器を構成する画素の等価回路の説明図である。
【図15】フラットパネル型X線検出器におけるバイアス電圧の供給について説明するために示した特性図である。
【符号の説明】
1 画素
2 ゲート線駆動回路
3 信号読み出し回路
4 タイミング制御回路
7 モジュールコントローラ
8 高電圧制御部
9 バイアス電源
10 放射線検出・読み出し部(FPD本体)
23 変換膜
80 高電圧制御部
100 X線発生器
200 フラットパネル型X線検出器
201 電圧保持部
202 電圧検出器
300 制御装置
400 操作卓
500 画像処理装置
600 表示装置
Claims (11)
- 放射線を電荷に変換する変換部材を有し、この変換部材によって変換された電荷に応じた検出信号を読み出す放射線検出・読み出し手段と、
この放射線検出・読み出し手段の前記変換部材に高電圧を印加する高電圧発生手段と、
この高電圧発生手段から前記変換部材へ印加する高電圧を、所定の電圧上昇率に基づき、徐々に定格値に達するように制御する高電圧制御手段と、
前記高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときに、前記変換部材に印加されている高電圧を時定数に従って徐々に低下するように保持する電圧保持手段とを備え、
前記電源供給が再開されたときに、前記高電圧制御手段は前記電圧保持手段によって急激な低下が抑制された電圧値またはその近傍の値から電圧上昇を開始させるように前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする放射線検出器。 - 前記変換部材に印加する前記高電圧発生手段の出力電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記高電圧制御手段は、前記高電圧発生手段から前記変換部材へ印加する高電圧を、前記電圧検出手段によって検出された電圧値の近傍から、前記所定の電圧上昇率に基づき、定格値に達するように制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。 - 前記電圧保持手段は、前記高電圧発生手段の一次側に設けられていることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記高電圧発生手段の一次側に設けられている前記電圧保持手段は、充電可能な二次電池であることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出器。
- 前記電圧保持手段は、前記高電圧発生手段の二次側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記高電圧発生手段の二次側に設けられている前記電圧保持手段は、充電回路で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
- 被検体へ放射線を照射する放射線照射手段と、
この放射線照射手段によって照射され、前記被検体を透過した放射線を電荷に変換する変換部材を有し、この変換部材によって変換された電荷に応じた検出信号を読み出す放射線検出・読み出し手段と、
この放射線検出・読み出し手段から前記変換部材へ印加する高電圧を、所定の電圧上昇率に基づき、徐々に定格値に達するように制御する高電圧制御手段と、
前記高電圧発生手段への電源供給が遮断されたときに、前記変換部材に印加されている高電圧を時定数に従って徐々に低下するように保持する電圧保持手段とを備え、
前記電源供給が再開されたときに、前記高電圧制御手段は前記電圧保持手段によって急激な低下が抑制された電圧値またはその近傍の値から電圧上昇を開始させるように前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする放射線検出器と、
を具備することを特徴とする放射線撮影装置。 - 前記放射線検出器の前記高電圧制御手段に対して、前記高電圧発生手段から前記変換部材へ印加する高電圧の電圧上昇率を、任意に設定する設定手段を具備することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
- 前記放射線検出器の前記高電圧発生手段への電源供給が遮断されていた時間を計数する時間計数手段を備え、
前記設定手段は、この時間計数手段によって計数された時間に応じて、前記電圧上昇率を設定することを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影装置。 - 前記放射線検出器の前記放射線検出・読み出し手段への電源供給と、同じく、前記放射線検出器の前記高電圧発生手段への電源供給とを、分離して各別に行う電源供給手段を具備することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
- 前記放射線検出器の前記高電圧発生手段から前記変換部材への高電圧の印加を停止させずに、前記放射線検出・読み出し手段から検出信号を読み出す動作をリセットするリセット手段を具備することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
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