JP4981212B2 - Ni基系合金 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温用耐摩耗材として好適なNi基系合金に関し、さらに詳しくは、火力発電プラント等の高温摩耗環境で使用する、耐熱・耐摩耗性の優れた合金、並びに該合金を用いた部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電、製鉄、環境、化学工業等のプラントでは、ファンや動翼のように高温で、鉱物粒子や酸化スケール等が高速衝突する部材や、弁などのように高温で摺動やたたきが負荷される部材が多くあり、その使用環境は年々厳しくなっている。
従来、各種プラントの耐摩耗部材としては、成型性に富み複雑形状品を経済的に製造でき、セラミックスと比較して強靱性で衝撃力や大きな負荷に耐え得る等の特徴を有した高クロム鋳鉄に代表される合金白鋳鉄が広く利用されてきた。
しかしながら、近年の環境規制や効率向上の観点から,各種プラントの運転温度は上昇しており、鉄系ではその高温での耐久性、特に強度面での耐久性に限界があることから、より高温域で使用できる耐摩耗材が要求されている。
【0003】
また、近年では各種プラントでメンテナンスに要する費用削減と、連続運転による効率向上のため、耐摩耗性が維持できる時間が長い耐摩耗材料が必要とされている。この要望に対しても、従来の鉄系耐摩耗材料ではその寿命に限界があることから、より長時間使用可能な耐摩耗材料の開発が望まれている。
さらに、弁等の摺動とたたき力が負荷される用途では耐摩耗性とともに、靱性も要求される。つまり、耐摩耗性のみを追求した材料を適用すると、たたきによって割れるため、この用途では高温の耐摩耗性とともに、靱性もある程度必要である。なお、この靱性に関し、各種プラントは常に高温下にはなく、定期検査時等でプラントを停止している際には、低温状態にあるため、打撃等に対する信頼性を確保するためには、室温においてもある程度の靱性を有することが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、硬さ・高温強度・高温耐摩耗性等について、従来の鉄ベース材と比較して優れた高温用耐摩耗材を開発すべく、鋭意検討した。
先ず、従来の鉄ベースの合金は高温では基地の強度が大きく低下してしまうため、耐熱性を向上する目的で基地を鉄ベースからインコネル(Ni-Cr-Fe系)のようなNiべース耐熱合金組成(Ni-Cr-C)に改良することが研究された。しかし、この材料組成では硬さ・高温強度・高温耐摩耗性について、従来の鉄ベース材と比較して優れた点が見出されなかった。
そこで、Alを添加し、優れた高温強度を示すといわれる金属間化合物のガンマプライム相(Ni3Al)を分散させることで上記3性能が向上することを見出した。ここで、Alの添加によってM7C3炭化物(Cr系炭化物)の晶出量が変化するため、適切な材料設計を行う観点から、どのような変化が生じたのかカーボン量を変化させた試料を用いて熱分析試験を実施した。熱分析試験は、試料を一旦溶解した後、冷却し、初晶晶出温度や共晶温度を調査する試験である。
【0005】
その結果、上記合金系ではわずか3質量%Alの添加で、カーボンの共晶組成が約3質量%から約0.3質量%に大きく低炭素側に移行することを見出した。そのため、Al添加前は約3.0質量%以上のカーボンを添加しないと過共晶組織は得られないのに対し、上記合金系では約0.3質量%以上のカーボン量であれば過共晶組織となり、耐摩耗性が得られることが判明した。また、クロム量に関してはクロム炭化物晶出後の基地クロム量が、インコネル(Ni−Cr−Fe系)などの耐熱合金と同程度の20質量%Cr前後になるように配合すれば、優れた上記各特性が得られることを見出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄とコバルトの合計量:3〜20.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金を提供するものである。より好ましくは、鉄とコバルトの合計量:5.0〜15.0質量%Fe+cCoを含む場合が挙げられる。
本発明は、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、モリブデン:0.5〜10.0質量%、ニオブ:3.0〜10.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金、あるいは、アルミニウム:1.0〜10.0質量%, カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄とコバルトの合計量:3〜20.0質量%、ニオブ:3〜10.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金、を提供するものである。より好ましくは、ニオブ:5.0〜8.0質量%Nbを含む場合が挙げられる。また、このニオブに代えて、又は、さらに加えて、V(バナジウム)を加えることも可能である。
【0008】
上記本発明のNi基系合金は、発電、製鉄、環境、化学工業等のプラントのファンや動翼のように高温で、鉱物粒子や酸化スケール等が高速衝突する部材や、弁などのように高温で摺動やたたきが負荷される部材に好適に用いられる。このような部材に使用した場合、Ni基系合金の優れた耐久性により、従来の材料の数倍から数十倍の使用時間が得られると同時に、部材交換や補修等のメンテナンスによる負担が大幅に減少して、結果的にコスト的にも有利となる。
具体的には、例えばプラントに空気等を送風するための翼の部材等に、好適に用いられる。特に、翼の回転方向の端の部分には、空気中の粒子等が激しく衝突するので、劣化しやすい。また、例えばセメント用の送風ファンでは、セメントの硬い粉体がファンに衝突し、その部分が摩耗してしまいやすいので、翼の交換や補修といったメンテナンスの負担が大きい。従来、このような劣化しやすい部分には、鉄系材料の肉盛りやステライト合金の貼り付け等によって対応していたが、本発明のNi基系合金を部材に用いて補強すれば、翼の耐食性等の耐久性を格段に向上させることができ、メンテナンスの負担も軽減する。
また、上記のような材料には耐久性が必要である点では一致するが、さらにプラント毎や部材毎に要求される高性能化の要素は異なるために、各種特性を有する合金が必要とされており、例えば同じ翼内でも、部分々々によって、要求される剛性や靭性の値は微妙に異なっている。本発明のNi基系合金を用いれば、各部材毎の異なる高性能化の要求に対しても、個別に対応することが可能であり、優れた耐久性の基本性能をベースとして、各部材において一層の高性能化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般に、金属系耐摩耗材料はその基地の部分と硬化相の部分で形成されることから、高温での耐久性を向上させるためには、その各々の強化を考える必要がある。まず基地に関しては、上述したように鉄系材料では高温域における強度に限界があることは明白である。そこで本発明者らは、基地の耐熱性・高温強度を向上するために基地金属を鉄基から、一般的な耐熱合金において優れた高温特性を示すニッケル(Ni)系材料、特にNi3Al相(γ'相)が分布したNi基超合金に置換すればよいことを着想した。そして、硬質相に関しては、高温でもその硬度を維持できる炭化物を分散させればよいことを見出した。
本発明は以上の着想に基づいて発明したものであり、ニッケル系材料の内、Ni-Cr-Al-CよりなるNi系合金の耐摩耗材料である。
以下、本発明を実施の形態によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態によって何ら限定されるものではない。
【0010】
参考となる形態(その1)
参考となる形態の合金は、アルミニウム:1.0〜10.0質量%,カーボン:0.5〜5.0質量%,クロム:20.0〜50.0質量%、および、ニッケル:20.0〜80.0質量%好ましくは35.0〜78.5質量%、を含むものであり、他に不可避的な不純物を含有するものである。ここで各成分について、より好ましくは、アルミニウム:3.0〜8.0質量%A1、カーボン:2.0〜4.0質量%C、クロム:30.0〜45.0質量%Cr、ニッケル:35.0〜78.5質量%Ni、の範囲で含む場合が挙げられる。各元素は、以下のような特性を有する。
【0011】
アルミニウム: γ´相を生成し高温強度を向上させる働きを持つ。1質量%未満では添加効果はなく、10質量%を超える場合にはCrと結合した金属間化合物相を生成するため、靭性を低下させる。
カーボン: 炭化物を形成する成分である。この材料はアルミニウムの添加で炭化物の初晶領域が非常に低炭素側に移行するため、必要添加量は鉄系耐摩耗材料より少なくても良い。しかしながら、0.5質量%以上添加しなければ過共晶にならないため、0.5質量%以上は必要である。一方、5質量%を超えると多量に炭化物が生成するため靭性が低下してしまう。
クロム: カーボンと結合し炭化物を形成する成分である。20質量%未満ではあまり添加効果はない。また、50質量%を超えると多量の炭化物が生成するため靭性が低下してしまう。
ニッケル: 開発合金の基本成分であると同時に、高温強度と靭性ならびに多くの合金元素の固溶が可能なため高温でも組織安定性に寄与する。
【0012】
参考となる形態(その2)
上記参考となる形態(その1)の合金でも高温域での耐熱性と耐摩耗性が向上した合金を得ることができる。この合金はそのままの状態でも実際の機器に使用可能であるが、高温強度・耐摩耗性をさらに一層向上させることは、石炭ガス化炉等の高温エロージョン摩耗を受ける部材については、寿命、信頼性の向上を可能とするため、実用上非常に意義がある。
参考となる合金において、高温強度を向上するためには、炭素量、クロム量の増大により炭化物量を増大させることやアルミ量の増大でγ´量を増大させることなどが考えられるが、上述した通り、これらの元素は増大させすぎると靭性の低下をもたらすため望ましくない。そこで、本発明者らは上記弊害をもたらさない方策を検討した結果、新たな添加成分としてモリブデンを添加することで、靱性の大幅低下をもたらさず、高温強度・耐摩耗性の向上が可能であることを見いだした。モリブデンの作用とその適正範囲は、下記の通りである。
【0013】
すなわち本参考となる形態の合金は、以上示したモリブデンの作用とその適正範囲から開発されたものであり、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、モリブデン:0.5〜10.0質量%好ましくは2.0〜8.0質量%Mo、および、ニッケル:20.0〜80.0質量%好ましくは25.0〜78.0質量%、を含み、他に不可避的な不純物を含有するものであり、参考となる形態(その1)と同様の方法で製造できる。ここで、モリブデンは以下のような特性を有する。
モリブデン:母合金に固溶し、高温強度の向上をもたらす成分である。0.5質量%未満では効果がなく、10.0質量%を超えると靭性が非常に低下してしまう。
【0014】
実施の形態(その1)
上記参考となる形態で述べたとおり、本発明によって高温域での耐熱性と耐摩耗性が向上した合金を得ることができる。これらの合金はそのままの状態でも実際の機器に使用可能であるが、高温弁等の用途を考えた場合、たたきが負荷されることから、靭性をさらに一層向上させることは、信頼性の観点で実用上非常に意義がある。
この靱性向上を可能とする成分を探索した結果、本発明者らは新たな添加成分として鉄・コバルトを添加することで大きく耐摩耗性を低下させることなく靭性向上が可能であることを見いだした。鉄・コバルトの作用と適正範囲は下記の通りである。
【0015】
本実施の形態の合金は、以上示した鉄、コバルトの作用とその適正範囲から開発したものであり、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄+コバルト:3〜20.0質量%、および、ニッケル:20.0〜80.0質量%好ましくは20.0〜75.5質量%、を含み、他に不可避的な不純物を含有するものであり、参考となる形態(その1)と同様の方法で製造できる。ここで、鉄およびコバルトは以下のような特性を有する。
鉄: 基地組織に固溶し、靭性の向上をもたらす成分である。3%未満では添加効果はなく、20%を超えると非常に高温強度・耐摩耗性が低下してしまう。
コバルト: 鉄と同様の作用を有する。
【0016】
実施の形態(その2)
上記実施の形態で述べたとおり、本発明によって高温域での耐熱性と耐摩耗性が向上した合金を得ることができる。この合金はそのままの状態でも実際の機器に使用可能であるが、靱性やコストを多少犠牲にしても、高温域での耐摩耗性をさらに向上させることは、実用上意義がある場合がある。即ち、耐摩耗部性の向上によって、部材の薄肉化が可能となるため、その機器の運転効率等の向上有効である。このさらなる耐摩耗性向上を可能とする添加成分を検討した結果、本発明者らは、参考となる形態(その2)の成分に新たな添加成分としてニオブを添加することで、著しく靭性を阻害しない程度において、高温耐摩耗性を向上させることが可能なことを見いだした。ニオブの作用ならびに適正範囲は、下記の通りである。
【0017】
本実施の形態の合金は、以上示した参考となる形態(その2)を基本に、ニオブの作用とその適正範囲から開発したものであり、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、モリブデン:0.5〜10.0質量%、ニオブ:3.0〜10.0質量%好ましくは5.0〜8.0質量%Nb、および、ニッケル:20.0〜80.0質量%好ましくは20.0〜75.0質量%、を含み、他に不可避的な不純物を含有するものであり、参考となる形態(その1)と同様の方法で製造できる。ここで、ニオブは以下のような特性を有する。
ニオブ: ニオブ炭化物を微細分散させることで、耐摩耗性を向上させる成分。本合金系では8%程度の添加で適度にNbC炭化物が分布する。3.0質量%未満では効果がなく、10.0質量%を超えると靭性が非常に低下してしまう。
【0018】
実施の形態(その3)
上記実施の形態で述べたとおり、本発明によって高温域での耐摩耗性ならびに靱性が向上した合金を得ることができる。この合金はそのままの状態でも実際の機器に使用可能であるが、高温域での耐摩耗性と靭性をさらに一層向上させることは、実用上非常に意義がある。即ち、実施の形態(その)に述べた高温弁などの部材が薄肉化できるため、設計の裕度が広がり、より効率的な装置設計が可能である。これを可能とするためには、上記そのの形態に比べ、さらに高温強度・高温耐摩耗性を向上させる必要がある。この観点から各種添加成分を検討したところ、本発明者らは、上記実施の形態(その)の成分に新たな添加成分としてニオブを添加することで、靭性を大幅に阻害しない程度に高温強度・高温耐摩耗性の向上が可能であることを見いだした。ニオブの作用と適正範囲は下記の通りである。
【0019】
本実施の形態の合金は、以上示したニオブの作用とその適正範囲から開発したものであり、アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄+コバルト:3〜20.0質量%、ニオブ:3〜10.0質量%好ましくは5.0〜8.0質量%Nb、および、ニッケル:20.0〜80.0質量%好ましくは20.0〜72.5質量%、を含み、他に不可避的な不純物を含有するものであり、参考となる形態(その1)と同様の方法で製造できる。ここで、ニオブは以下のような特性を有する。
ニオブ:耐摩耗性を向上させる成分である。本合金系では8%程度の添加で適度にNbC炭化物が分布する。3.0%未満では効果がなく、10.0%を超えると靭性が非常に低下してしまう。
【0020】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものでない。
【0021】
参考例1
参考例は、参考となる形態(その1)における、本参考合金および比較合金の参考例であり、合金組成を下記表1に示す。
まず、大気溶解によって表1に示す5種類の合金を作成した。溶解量は1合金あたり約1kgであり、砂型に鋳造した鋳造まま状態の材料を供試材とした。特性評価内容は以下に示す通りであり、各合金の高温強度や耐エロージョン性、靭性の差異を評価した。
φ3×t8mmの試験片を用い、800℃で高温圧縮試験を行い破壊までの最大応力を測定した。次に、室温において荷重50kgfでのビッカース硬さ試験を行い、硬さを評価した。また、10×10×55mmの通常の試験片を用い、室温で2mmVノッチシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーを評価した。さらに、タイル状試験片(□20×t8)を用い、図1に示す遠心式高温エロージョン試験機を用いて800℃にて8.6時間の耐摩耗試験を行い、試験後の最大摩耗深さを測定した。粉体衝突速度は約80m/s、粉体衝突角度は約75°、総粉体供給量は約18kgである。以下、この最大摩耗深さを摩耗量と定義する。
【0022】
試験結果を、下記表1に併せて示す。参考合金である本参考材1は、室温のビッカース硬さは370HV,800℃の高温圧縮強度は800MPa、室温のシャルピー吸収エネルギー値は11J、摩耗量は60μmであり、高温での強度、耐摩耗性ならびに靱性はいずれも良好な値を有している。
比較材1は鉄系高Cr鋳鉄である。室温のビッカース硬さは528HVと高いが、800℃の高温圧縮強度は280MPaと本参考材1よりは大幅に低い。また,摩耗量は130μmと非常に大きい。つまり、鉄系材料では当初予想したように、基地の部分の耐熱性が不十分なため、高温強度と耐摩耗性が不十分なことが明らかとなった。
比較材2は本参考合金に比べ、カーボン量が低いものである。カーボン量が0.1質量%と低く,亜共晶組織であるためシャルピー吸収エネルギー値が20Jと靭性は良好である、硬さ・高温強度・耐摩耗性は低い。また、比較材3は本参考合金に比べアルミ量が11質量%と高いため、硬さならびに800℃高温圧縮強度は高いが、シャルピー吸収エネルギー値が4Jと非常に低い。比較材4も本参考合金に比べ、カーボン・クロム量が高すぎることから、硬さ・高温圧縮強度・耐摩耗性は高いが非常に靱性が低い。
【0023】
【表1】
Figure 0004981212
【0024】
参考例2
参考例は、参考となる形態(その2)における、本参考合金および比較合金の参考例であり、合金組成を下記表2に示す。
まず、大気溶解によって、表2に示す4種類の合金を作製した。本参考材2,3および比較材5は基本成分を上記表1の本参考材1と同様とし、モリブデンの添加量を変化させたものである。供試材作製手順および評価方法は、参考例1と同じである。
試験結果を、下記表2に併せて示す。
【0025】
Moを3質量%添加した合金である本参考材2のシャルピー吸収エネルギー値は、8Jと合金元素添加前より多少靭性は低下したが, 高温圧縮強度は1000MPaとMo添加前より300MPaも向上した。ビッカース硬さMo添加前より370HVから580HVと大きく向上した。摩耗量もMo添加前より60μmから50μmと若干の向上が認められる。
Moを5質量%添加した本参考材3も上記2と同様に多少靭性は低下したが、硬さ・高温強度が大きく向上した。摩耗量も低下している。
Moを1%添加した本参考材4は硬さ・高温強度では、添加前と比べて顕著な向上効果はないものの、靭性面では優れている。
これらに対し、Moを11質量%添加した比較材5では添加前と比べ、 硬さ・高温強度が大きく向上したが, シャルピー吸収エネルギー値は3Jと非常に靭性が低下した。また、Moを5質量%添加した本参考材3と比べると硬さ・高温強度に大きな差異がないことから、Moの効果は飽和していると考えられる。
【0026】
【表2】
Figure 0004981212
【0027】
実施例1
本実施例は、実施の形態(その)における、本発明合金および比較合金の実施例であり、合金組成を下記表3に示す。
まず、大気溶解によって、表3に示す5種類の合金を作製した。本発明材5〜7および比較材6,7は基本成分を表1の本参考材1と同様とし、鉄・コバルトの添加量を変化させたものである。供試材作製手順および評価方法は、参考例1と同じである。
試験結果を、下記表3に併せて示す。
【0028】
コバルトを6%添加した本発明材5のシャルピー吸収エネルギー値は16Jであることから、無添加の場合のシャルピー吸収エネルギー値11Jと比べて靭性の向上が認められる。なお、ビッカース硬さ・高温強度はほとんど変化がないが、摩耗量は110μmと若干低下した。
鉄を6%添加した本発明材6のシャルピー吸収エネルギー値も19Jと無添加の場合と比べて靭性の向上が認められる。なお、本発明材6では摩耗量は若干低下したが、ビッカース硬さ・高温強度は顕著な差異は認められない。
コバルト・鉄を4%ずつ添加した本発明材7のシャルピー吸収エネルギー値も、20Jと無添加の場合と比べて靭性の向上が認められる。なお、本発明材7でも摩耗量は若干低下したが、ビッカース硬さ・高温強度は顕著な差異は認められない。
【0029】
コバルト・鉄を1%ずつ添加した比較材6のシャルピー吸収エネルギー値は12Jとコバルト・鉄添加前のシャルピー吸収エネルギー値11Jと比べてほとんど変化はない。なお、ビッカース硬さ・高温強度もほとんど差異はないが、摩耗量は75μmと多少低下した。
コバルト・鉄を12%添加した比較材7のシャルピー吸収エネルギー値は22 Jと無添加の場合と比べて大きく向上した。しかし、このシャルピー吸収エネルギー値は、コバルト・鉄を4%ずつ添加した本発明材7とほとんど変化がないことから、コバルト・鉄の効果は飽和していると考えられる。なお、比較材7ではビッカース硬さ・高温強度・摩耗量の低下が認められる。
【0030】
【表3】
Figure 0004981212
【0031】
実施例2
本実施例は、実施の形態(その)における、本発明合金および比較合金の実施例であり、合金組成を下記表4に示す。
まず、大気溶解によって、表4に示す4種類の合金を作製した。本発明材8,9および比較材8,9は基本成分を表1の本参考材1と同様とし、ニオブの添加量を変化させたものである。供試材作製手順および評価方法は、参考例1と同じである。
試験結果を、下記表4に併せて示す。
【0032】
ニオブを5%添加した本発明材8の摩耗量は22μmであり、ニオブ添加前の材料の摩耗量は45μmであることから耐摩耗性の向上が認められる。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上,靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを8%添加した本発明材9の摩耗量は18μmとなり、ニオブ添加前の材料に比べて耐摩耗性の顕著な向上が認められる。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを2%添加した比較材8の摩耗量は43μmであることから、ニオブ添加前の材料とほとんど変化は認められない。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを16%添加した比較材9の摩耗量は17μmであることから、ニオブ添加前の材料に比べて耐摩耗性の大きな向上が認められるが、ニオブを8%添加した本発明材9の摩耗量が18μmであることから、ニオブの効果は飽和していると考えられる。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には明らかな低下が認められる。
【0033】
【表4】
Figure 0004981212
【0034】
実施例3
本実施例は、実施の形態(その)における、本発明合金および比較合金の実施例であり、合金組成を下記表5に示す。
まず、大気溶解によって、表5に示す4種類の合金を作製した。本発明材10,11および比較材10,11は基本成分を表1の本参考材1と同様とし、ニオブの添加量を変化させたものである。供試材作製手順および評価方法は、参考例1と同じである。
【0035】
ニオブを5%添加した本発明材10の摩耗量は80μmとなり、ニオブ添加前の材料の摩耗量100μmと比べて耐摩耗性の向上が認められる。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上,靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを8%添加した本発明材11の摩耗量は70μmとなり、ニオブ添加前の材料と比べて耐摩耗性が向上している。なお、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを1%添加した比較材10の摩耗量は95μmとなり、ニオブ添加前の材料と比べて若干耐摩耗性が向上しているが、その効果は顕著ではない。一方、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には若干の低下が認められる。
ニオブを16%添加した比較材11の摩耗量は68μmとなり、ニオブ添加前の材料と比べて耐摩耗性が向上しているが、ニオブを8%添加した本発明材11の摩耗量は70μmであることから、その効果は飽和していると考えられる。一方、ビッカース硬さ・高温強度には若干の向上、靭性には若干の低下が認められる。
【0036】
【表5】
Figure 0004981212
【0037】
【発明の効果】
本発明の材料を用いれば、優れた耐摩耗性等の耐久性により、メンテナンスの負担(交換費が削減)等が軽減し、材料の寿命も延びるので、結果的にコスト的にも有利となる。また、例えば翼の全体に本発明の材料を用いる必要はなく、耐久性の要求される部分にのみ用いることもできる。よって、本発明のNi基系合金は、発電、製鉄、環境、化学工業等のプラントのファンや動翼のように高温で、鉱物粒子や酸化スケール等が高速衝突する部材や、弁などのように高温で摺動やたたきが負荷される部材に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における耐摩耗試験を実施するための遠心式高温エロージョン試験機の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 試験片
11 粉体
12 円板
13 供給ノズル
14 ヒータ
15 ノズル
16 モータ
17 炉

Claims (3)

  1. アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄とコバルトの合計量:3〜20.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金。
  2. アルミニウム:1.0〜10.0質量%、カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、モリブデン:0.5〜10.0質量%、ニオブ:3.0〜10.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金。
  3. アルミニウム:1.0〜10.0質量%, カーボン:0.5〜5.0質量%、クロム:20.0〜50.0質量%、鉄とコバルトの合計量:3〜20.0質量%、ニオブ:3〜10.0質量%、および、残部は不可避的不純物とニッケルとからなる高温用耐摩耗性合金。
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