JP4981768B2 - 背面雑音抑制マイクロホン - Google Patents

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Description

本発明は、前面方向からの目的音を収音すると共に、背面方向からの非目的音である背面雑音を抑制する背面雑音抑制マイクロホンに関する。
従来から、屋外で収音を行う場合、1種類のマイクロホンで全ての状況に対応することは困難であるため、全指向性、単一指向性、超指向性等の指向特性を有する様々なタイプのマイクロホンが用途別に開発されてきた。ここで、屋外でマイクロホンを利用する場合、目的音以外の音が存在しないことは稀である。このため、屋外の収音では、長い音響管を使用して側面からの雑音を抑制し、前面方向からの音(目的音)を収音することを目的としたショットガンマイクロホンが広く用いられている(例えば、ゼンハイザージャパン株式会社製,製品名:MKH−416,MKH−816)。
また、背面方向からの非目的音(背面雑音)を抑制するために、超指向性マイクロホンと、背面方向の2次音圧傾度マイクロホンとを組み合わせた小型狭角指向性マイクロホンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−323157号公報
しかし、前記したショットガンマイクロホンは、側面方向からの非目的音を抑制できるものの、背面方向からの非目的音(背面雑音)を抑制できておらず、ギャラリーを避けたスポーツ中継の収音や中継車上からの収音には適さない。さらに、ショットガンマイクロホンの使用者が発生させる雑音が、ショットガンマイクロホンの背面方向で発生するため、ショットガンマイクロホンは、この雑音も収音してしまうという問題がある。
また、前記した小型狭角指向性マイクロホンは、背面方向からの非目的音を抑制することを目的としているが、中低音域を対象としているため、例えば、拍手のような高周波数成分の多い背面雑音を、十分に抑制できないという問題がある。
そこで、本発明は、広い周波数にわたって、背面雑音を抑制する背面雑音抑制マイクロホンを提供することを目的とする。
前記した課題を解決するため、請求項1に係る背面雑音抑制マイクロホンは、前面方向からの目的音を収音すると共に、背面方向からの非目的音である背面雑音を抑制する背面雑音抑制マイクロホンであって、指向特性として超指向性を有し、前記前面方向からの音を収音して信号を出力する超指向性マイクロホンと、指向特性として単一指向性を有する単一指向性マイクロホンを前記背面方向に向けて所定の間隔で複数配置し、前記背面雑音を収音して信号を出力するマイクロホンアレイと、マイクロホンアレイ信号減算手段と、マイクロホンアレイ信号整形手段と、超指向性マイクロホン信号減算手段と、を備える構成とした。
かかる構成において、背面雑音抑制マイクロホンは、超指向性マイクロホンによって、前方からの音、つまり、目的物が発生させる目的音を収音する。このとき、背面雑音抑制マイクロホンは、超指向性マイクロホンの背面特性によって、山谷が連続する周波数特性を示す背面雑音を収音してしまう。また、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイによって、非目的音である背面雑音を収音する。なお、非目的音とは、目的物以外が発生させる様々な雑音である。
また、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイ信号減算手段によって、マイクロホンアレイのうち、予め設定された一対の単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算する。ここで、単一指向性マイクロホンが配置された間隔に応じて、抑制できる背面雑音の周波数領域が異なる。つまり、背面雑音抑制マイクロホンは、背面雑音を抑制できるように、信号を減算する一対の単一指向性マイクロホンが予め設定される。
また、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイ信号整形手段によって、マイクロホンアレイ信号減算手段が減算した信号を、超指向性マイクロホンの背面方向の周波数成分に合わせて整形する。ここで、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイ信号整形手段によって、背面雑音の周波数特性が連続する波となるので、この各波の波形に合わせて、マイクロホンアレイ信号減算手段が減算した信号を整形する。そして、背面雑音抑制マイクロホンは、超指向性マイクロホン信号減算手段によって、超指向性マイクロホンが出力する信号からマイクロホンアレイ信号整形手段が整形した信号、つまり、背面雑音を減算する。
また、請求項2に係る背面雑音抑制マイクロホンは、請求項1に係る背面雑音抑制マイクロホンにおいて、前記マイクロホンアレイの前記単一指向性マイクロホンは、前記超指向性マイクロホンの音響中心を境に前記前面方向及び前記背面方向にそれぞれ配置され、前記マイクロホンアレイ信号減算手段は、前記背面雑音の周波数成分が低くなる程、前記音響中心から等距離であると共に、互いに離して配置された一対の前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算し、前記背面雑音の周波数成分が高くなる程、前記音響中心から等距離であると共に、互いに近くに配置された一対の前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算することを特徴とする。
かかる構成において、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイ信号減算手段によって、音響中心を基準とするため、位相ずれの発生を防止できる。
また、請求項3に係る背面雑音抑制マイクロホンは、請求項1又は請求項2に係る背面雑音抑制マイクロホンにおいて、前記マイクロホンアレイ信号減算手段は、前記単一指向性マイクロホンを組み合わせた数と等しい数の減算部によって、前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算し、前記マイクロホンアレイ信号整形手段は、予め設定された周波数以下の周波数成分を通過させるローパスフィルタと、予め設定された周波数以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタとによって、前記マイクロホンアレイ信号減算手段が減算した信号を整形することを特徴とする。
かかる構成において、背面雑音抑制マイクロホンは、マイクロホンアレイ信号減算手段及びマイクロホンアレイ信号整形手段を、簡易にすることができる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、背面雑音を収音できる単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算し、周波数特性が連続する山谷となる前面方向用の超指向性マイクロホンの背面特性の各波の波形に合わせてこの信号を整形するため、広い周波数にわたって、背面方向からの音に対する感度を抑制し、雑音を低減することができる。
請求項2に係る発明によれば、位相ずれの発生を防止できるため、背面雑音を抑制できない事態を防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、背面雑音抑制マイクロホンを簡易な構成とすることができる。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する手段及び部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
[背面雑音抑制マイクの構成]
以下、図1,図2を参照し、本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクの構成について、説明する。図1は、本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクの外観図である。図2は、本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクを模式的に示した模式図である。図1の背面雑音抑制マイク1は、前面方向からの音を収音すると共に、背面方向からの雑音である背面雑音を抑制するものであって、超指向性マイクロホン2と、マイクロホンアレイ3と、制御手段10とを備える。また、図2では、図2の右側を前方(前面方向)とし、図2の左側を背面(背面方向)とする。
超指向性マイクロホン2は、指向特性として超指向性を有し、前面方向からの音と前記背面雑音とを収音して信号を出力する、例えば、音響管2aの内部左端に、振動膜2bが配置されたものである。ここで、超指向性マイクロホン2としては、例えば、超指向性を有するダイナミック型マイクロホン、又は、超指向性を有するコンデンサ型マイクロホンがある。
音響管2aは、側方到来音抑制用のスリット又は連続穴(不図示)が側面に形成された、例えば、長さが30cm程の中空構造の筒状体である。
振動膜2bは、音響管2aの内部左端に配置されると共に、空気の振動を捉えるものであり、例えば、アルミニウム、ジェラルミン等の金属膜、又は、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂膜である。また、振動膜2bの振動は、図示しないセンサにより、電気信号に変換されて、制御手段10に出力される。
音響中心2cは、音響管2aの長手方向(前面方向から背面方向)の中心位置とする。
カバー2dは、音響管2aと、振動膜2bと、後記するマイクロホンアレイ3と、後記する制御手段10とを収容して保護するものである。図1に示すように、カバー2dは、前面方向の側の径が背面方向の側の径と同じ太さの円筒状であり、前面方向の正面に音波入射口、側面にスリットが形成されている。なお、図1には、音響管2a、振動膜2b、単一指向性マイクロホン4及び制御手段10は、カバー2dに収容されているため、図示していない。
ここで、超指向性とは、前面方向の音を捉え易い指向特性である単一指向性をさらに狭角にしたものである。図3は、図2の超指向性マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。なお、図3では、0°が図2の前面に対応し、180°が図2の背面に対応する。
超指向性マイクロホン2は、図3に示すように、前面方向(0°)を中心に約60°の範囲に強い指向性を有する。このため、超指向性マイクロホン2は、側面方向(90°,270°)からの雑音を収音することは少ない。しかし、超指向性マイクロホン2は、図2に示すように、背面方向(180°)にも感度を有する。つまり、超指向性マイクロホン2は、この背面方向の感度により、背面雑音を収音してしまうことになる。
図2のマイクロホンアレイ3は、n個の単一指向性マイクロホン4,4,4,4(但し、2≦l≦m≦n)が差動するように、極性を逆にしたn個の単一指向性マイクロホン4〜4(2次音圧傾向マイクロホン)が、所定の間隔(例えば、4.25cm)で配置されたものである。なお、単一指向性マイクロホン4〜4を区別しないで説明する場合、単に、単一指向性マイクロホン4と記す。
また、マイクロホンアレイ3は、n個の単一指向性マイクロホン4が、超指向性マイクロホン2の音響中心2cを境に前面方向及び背面方向にそれぞれ配置される。そして、マイクロホンアレイ3は、単一指向性マイクロホン4が収音した音を電気信号に変換し、制御手段10に出力する。
単一指向性マイクロホン4は、図4に示すように、指向特性として単一指向性を有するものであり、例えば、ダイアフラムの小さいマイクロホンである。図4は、図2の単一指向性マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。なお、図4では、0°が図2の前面に対応し、180°が図2の背面に対応する。
実際には、単一指向性マイクロホン4は、単一指向性マイクロホン4の図示しない振動膜の受音面を、超指向性マイクロホン2の背面方向に向けて配置される。このため、単一指向性マイクロホン4は、背面方向(180°)からの音、つまり、背面雑音を収音する。
ここで、背面雑音抑制マイク1は、単一指向性マイクロホン4を2個組み合わせて差動で使用、つまり、2次音圧傾度マイクロホンとして使用する。図5は、図2の一対の単一指向性マイクロホン4を組み合わせた2次音圧傾度マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。なお、図5では、0°が図2の前面に対応し、180°が図2の背面に対応する。
2次音圧傾度マイクロホン(一対の単一指向性マイクロホン4)は、図5に示すように、前面方向(0°)に指向性を有し、背面方向にはほとんど感度を有さない。このため、2次音圧傾度マイクロホンは、背面雑音のみを効果的に収音できる。なお、単一指向性マイクロホン4の間隔と周波数特性との関係については、後記する。
図2の制御手段10は、背面雑音抑制マイク1を制御するものである。以下、図6を参照して、制御手段10の構成について、説明する。図5は、図2の制御手段の構成を示すブロック図である。
<背面雑音抑制マイクの制御手段の構成>
図6に示すように、制御手段10は、マイクロホンアレイ信号減算手段11と、マイクロホンアレイ信号整形手段12と、超指向性マイクロホン信号減算手段13とを備える。
マイクロホンアレイ信号減算手段11は、マイクロホンアレイ3のうち、予め設定された一対の単一指向性マイクロホン4(但し、2≦j≦k≦l≦m≦n)が出力する信号を減算するものである。例えば、図6では、単一指向性マイクロホン4が出力する信号から単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する1個目の減算部11aと、単一指向性マイクロホン4が出力する信号から単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する2個目の減算部11aと、単一指向性マイクロホン4が出力する信号から単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する3個目の減算部11aとを図示したが、減算部11aの数は、これに制限されない。例えば、単一指向性マイクロホン4の個数がnの場合、減算部11aの最大個数は、nを組み合わせた数となる(不図示)。
ここで、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、減算部11aによって、背面雑音を抑制できるような間隔で配置された一対の単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。例えば、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、背面雑音の周波数成分が低くなる程(例えば、スポーツ中継における応援団の太鼓の音)、音響中心2cから等距離であると共に、互いに離して配置された一対の単一指向性マイクロホン4,4が出力する信号を減算する。
また、例えば、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、減算部11aによって、背面雑音の周波数成分が高くなる程(例えば、スポーツ中継における拍手の音)、音響中心2cから等距離であると共に、互いに近くに配置された一対の単一指向性マイクロホン4,4が出力する信号を減算する。
そして、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、減算した信号を、マイクロホンアレイ信号整形手段12に出力する。例えば、一対の単一指向性マイクロホン4,4が予め設定されている場合、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、単一指向性マイクロホン4,4に接続する減算部11aによって、単一指向性マイクロホン4が出力する信号から、単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。
マイクロホンアレイ信号整形手段12は、マイクロホンアレイ信号減算手段11が減算した信号を、背面雑音の周波数成分に合わせて整形するものである。また、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、各単一指向性マイクロホン4の感度を予め測定しておき、この感度に基づいて、LPF12aとHPF12bとで処理した信号の感度が背面雑音とほぼ同じ感度となるようにレベル調整を行っても良い。さらに、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、整形した信号を超指向性マイクロホン信号減算手段13に出力する。
また、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、減算部11aのそれぞれに対応するように、LPF(ローパスフィルタ)12aとHPF(ハイパスフィルタ)12bとを組み合わせて構成できる。例えば、図6では、3組のLPF12aとHPF12bとを図示したが、これに限定されない。例えば、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、前記した減算部11aと同数のLPF12aとHPF12bとを組み合わせて構成できる。なお、マイクロホンアレイ信号整形手段12による信号整形の詳細は、後記する。
超指向性マイクロホン信号減算手段13は、超指向性マイクロホン2が出力する信号からマイクロホンアレイ信号整形手段12が整形した信号を減算するものである。ここで、背面雑音に合わせて整形した信号を超指向性マイクロホン2が出力する信号から減算するため、超指向性マイクロホン信号減算手段13は、超指向性マイクロホン2が出力する信号に含まれる背面雑音を抑制できる。
なお、制御手段10は、増幅器をさらに備え、増幅器によって、超指向性マイクロホン信号減算手段13が出力した信号を増幅しても良い(不図示)。この場合、制御手段10は、増幅器で信号を増幅した後に、前記したレベル調整を行っても良い。
<信号整形の詳細>
以下、図6のマイクロホンアレイ信号整形手段12による信号整形の詳細について、図7及び図8を参照して説明する(適宜図2,図6参照)。図7は、図6のマイクロホンアレイ信号整形手段による信号整形の詳細を説明する図であり、(a)は超指向性マイクロホンが収音した背面雑音の周波数特性の例を示す図であり、(b)は1番目のディップまでの波を抜き出した図であり、(c)は1番目のディップから2番目のディップまでの波を抜き出した図である。なお、図7及び図8は、横軸が周波数(Hz)であり、縦軸が感度(dB)である。
超指向性マイクロホン2は、図7(a)に示すように、櫛型フィルタにも似た、山谷が連続する周波数特性を示す背面雑音を収音する。ここで、音響管2aの長さをLとする場合、式(1)を満たす周波数間隔でディップ(くぼみ)が発生する。このディップとは、ある周波数で感度が急激に低くなることを示しており、図7及び図8では、谷間のように図示される。なお、式(1)では、λは、背面雑音の波長を示す。
式(1):L=λ/2,λ・・・
このディップが前記した周波数間隔で発生するため、超指向性マイクロホン2は、山谷が連続する周波数特性を示す背面雑音として収音してしまう。このように、背面雑音において、山谷が連続する周波数特性を示すため、従来技術では、背面雑音を、図7(b)のような1番目のディップまでしか抑制できず、その効果が不十分であったと考えられる。そこで、本発明は、図7(a)のように、山谷が連続する周波数特性を示す背面雑音を、ディップで区分けして個別の山谷として扱うことで、この背面雑音の抑制を効果的に行うことを可能とした。
例えば、図7(a)の背面雑音を、図7(b)の1番目のディップまでの山と、図7(c)の1番目のディップから2番目のディップまでの山と、図示を省略した2番目のディップから3番目のディップまでの山と、図示を省略したx−1番目のディップからx番目のディップまでの山(xは、ディップの数)とに分けて扱う。以下、図7(a)の背面雑音のうち、図7(c)の1番目のディップから2番目のディップまでの山を背面雑音として抑制する例について、説明する。
図8は、図6のマイクロホンアレイ信号整形手段12による信号整形の詳細を説明する図であり、(a)は一対の単一指向性マイクロホンの出力を減算した信号の周波数特性の例を示す図であり、(b)はマイクロホンアレイ信号整形手段が整形した信号の周波数特性の例を示す図である。ここで、図8(a)に示すように、一対の単一指向性マイクロホン4の出力を減算した信号においても、一対の単一指向性マイクロホン4の間隔に応じて、異なる周波数間隔でディップが発生する。そこで、図7(c)とほぼ同じ周波数間隔でディップが発生するような一対の単一指向性マイクロホン4が予め設定され、マイクロホンアレイ信号減算手段11は、これら単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。以下、マイクロホンアレイ信号減算手段11が、図8(a)に示す周波数特性を有する信号を、マイクロホンアレイ信号整形手段12に出力した例で説明する。
マイクロホンアレイ信号整形手段12は、マイクロホンアレイ信号減算手段11が出力した信号、ここでは、図8(a)の信号を、図7(c)の背面雑音とほぼ同じ周波数特性に整形する。具体的には、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、LPF12aによって、2番目のディップが発生する周波数以上の周波数領域をカットする。そして、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、HPF12bによって、1番目のディップが発生する周波数以下の周波数領域をカットする。さらに、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、この周波数領域をカットした信号を、図7(c)の背面雑音とほぼ同じ感度に増減させる(レベル調整)。そして、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、この整形した信号を、超指向性マイクロホン信号減算手段13に出力する。
なお、図7(c)の1番目のディップから2番目のディップまでの山を背面雑音として抑制する例について説明したが、2番目のディップから3番目のディップまでの山や、x−1番目のディップからx番目のディップまでの山も背面雑音として抑制する。この場合、背面雑音抑制マイク1は、2番目のディップから3番目のディップまでの山や、x−1番目のディップからx番目のディップまでの山に対応するように、一対の単一指向性マイクロホン4がそれぞれ設定される。
<単一指向性マイクロホン4の間隔と周波数特性との関係>
以下、図2の単一指向性マイクロホン4の間隔と周波数特性との関係について、図9を参照して説明する(適宜図2,図6参照)。図9は、一対の単一指向性マイクロホンの出力を減算した信号の周波数特性の例を示す図である。なお、図9は、横軸が周波数(Hz)であり、縦軸が感度(dB)である。
前記したように、背面雑音抑制マイク1は、一対の単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。ここで、単一指向性マイクロホン4の間隔をDとすると、図9に示すような周波数特性の信号において、感度が最高となるピーク周波数fpは340/2Dと表すことができ、感度が無くなるディップ周波数fdは340/Dと表すことができる。例えば、単一指向性マイクロホン4の間隔Dが10cmの場合、ピーク周波数fpが1.7kHzとなり、ディップ周波数fdが3.4kHzとなる。
また、例えば、超指向性マイクロホン2の周波数特性において、ピーク周波数fpが2kHzでディップ周波数fdが4kHzとなる場合を考える。この場合、背面雑音を抑制するために、単一指向性マイクロホン4の間隔Dが8.5cm及び4.25cmとなる単一指向性マイクロホン4が予め設定され、マイクロホンアレイ信号整形手段12は、これら単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。
[背面雑音抑制マイクの制御手段の動作]
以下、図6の制御手段10の動作について、図10を参照して説明する(適宜図4参照)。図10は、図6の制御手段の動作を示すフローチャートである。
まず、背面雑音抑制マイク1は、マイクロホンアレイ信号減算手段11によって、マイクロホンアレイ3のうち、予め設定された一対の単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する。ここで、背面雑音抑制マイク1は、マイクロホンアレイ信号減算手段11によって、背面雑音の周波数成分が低くなる程、音響中心2cから等距離であると共に、互いに離して配置された一対の単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算し、背面雑音の周波数成分が高くなる程、音響中心2cから等距離であると共に、互いに近くに配置された一対の単一指向性マイクロホン4が出力する信号を減算する(ステップS11)。
ステップS11の処理に続いて、背面雑音抑制マイク1は、マイクロホンアレイ信号整形手段12によって、マイクロホンアレイ信号減算手段11が減算した信号を、背面雑音の周波数成分に合わせて整形する。ここで、背面雑音抑制マイク1は、マイクロホンアレイ信号整形手段12によって、LPF12aとHPF12bとの畳み込み演算を行って、マイクロホンアレイ信号減算手段11が減算した信号を整形する(ステップS12)。
ステップS12の処理に続いて、背面雑音抑制マイク1は、超指向性マイクロホン信号減算手段13によって、超指向性マイクロホン2が出力する信号からマイクロホンアレイ信号整形手段12が整形し、レベル調整を行った信号を減算する(ステップS13)。以上のように、背面雑音抑制マイク1は、広い周波数にわたって、背面雑音を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクは、広い周波数にわたって、背面雑音を抑制するため、従来では難しかった屋外での収音を容易にできる。さらに、本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクは、音源が密集した環境、例えば、オーケストラ内での設置において、各楽器の音を効率よく分離させて収音できる。
本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクの外観図である。 本発明の実施形態に係る背面雑音抑制マイクを模式的に示した模式図である。 図2の超指向性マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。 図2の単一指向性マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。 図2の一対の単一指向性マイクロホン4を組み合わせた2次音圧傾度マイクロホンのポーラパターンの例を示す図である。 図2の制御手段の構成を示すブロック図である。 図6のマイクロホンアレイ信号整形手段による信号整形の詳細を説明する図であり、(a)は超指向性マイクロホンが収音した背面雑音の周波数特性の例を示す図であり、(b)は1番目のディップまでの山を抜き出した図であり、(c)は1番目のディップから2番目のディップまでの山を抜き出した図である。 図6のマイクロホンアレイ信号整形手段12による信号整形の詳細を説明する図であり、(a)は一対の単一指向性マイクロホンの出力を減算した信号の周波数特性の例を示す図であり、(b)はマイクロホンアレイ信号整形手段が整形した信号の周波数特性の例を示す図である。 一対の単一指向性マイクロホンの出力を減算した信号の周波数特性の例を示す図である。 図6の制御手段の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 背面雑音抑制マイク
2 超指向性マイクロホン
2a 音響管
2b 振動膜
2c 音響中心
2d カバー
3 マイクロホンアレイ
4 単一指向性マイクロホン
単一指向性マイクロホン
単一指向性マイクロホン
単一指向性マイクロホン
単一指向性マイクロホン
10 制御手段
11 マイクロホンアレイ信号減算手段
12 マイクロホンアレイ信号整形手段
13 超指向性マイクロホン信号減算手段

Claims (3)

  1. 前面方向からの目的音を収音すると共に、背面方向からの非目的音である背面雑音を抑制する背面雑音抑制マイクロホンであって、
    指向特性として超指向性を有し、前記前面方向からの音を収音して信号を出力する超指向性マイクロホンと、
    指向特性として単一指向性を有する単一指向性マイクロホンを前記背面方向に向けて所定の間隔で複数配置し、前記背面雑音を収音して信号を出力するマイクロホンアレイと、
    前記マイクロホンアレイのうち、予め設定された一対の前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算するマイクロホンアレイ信号減算手段と、
    前記マイクロホンアレイ信号減算手段が減算した信号を、前記背面雑音の周波数成分に合わせて整形するマイクロホンアレイ信号整形手段と、
    前記超指向性マイクロホンが出力する信号から前記マイクロホンアレイ信号整形手段が整形した信号を減算する超指向性マイクロホン信号減算手段と、
    を備えることを特徴とする背面雑音抑制マイクロホン。
  2. 前記マイクロホンアレイの前記単一指向性マイクロホンは、前記超指向性マイクロホンの音響中心を境に前記前面方向及び前記背面方向にそれぞれ配置され、
    前記マイクロホンアレイ信号減算手段は、前記背面雑音の周波数成分が低くなる程、前記音響中心から等距離であると共に、互いに離して配置された一対の前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算し、前記背面雑音の周波数成分が高くなる程、前記音響中心から等距離であると共に、互いに近くに配置された一対の前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算することを特徴とする請求項1に記載の背面雑音抑制マイクロホン。
  3. 前記マイクロホンアレイ信号減算手段は、前記単一指向性マイクロホンを組み合わせた数と等しい数の減算部によって、前記単一指向性マイクロホンが出力する信号を減算し、
    前記マイクロホンアレイ信号整形手段は、予め設定された周波数以下の周波数成分を通過させるローパスフィルタと、予め設定された周波数以上の周波数成分を通過させるハイパスフィルタとによって、前記マイクロホンアレイ信号減算手段が減算した信号を整形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の背面雑音抑制マイクロホン。
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