JP4982616B2 - 不織布の製造方法 - Google Patents
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尚、不織布に関しては、構成繊維の配向方向を見て、一般的に繊維の配向方向に沿う方向をMD方向又は長手方向、それと直交する方向をCD方向又は幅方向として、以下説明する。また、以下の説明では、MD方向(長手方向)の不織布を搬送する方向とロールを周方向に回転させることによりシートを搬送する方向とは同じ方向を意味し、不織布のCD方向(幅方向)とロール回転軸方向とは同じ方向を意味する。
図1〜図4は、本発明の不織布の製造方法に用いられる加工装置(以下、単に加工装置ともいう。)の一実施形態を模式的に示したものである。
不織布のトータル延伸倍率 = {周方向(MD方向)の不織布の延伸倍率 × 不織布のMD方向の延伸面積率} + {回転軸方向(CD方向)の不織布の延伸倍率 × 不織布の回転軸方向(CD方向)の延伸面積率} +{未延伸部分(実質的に延伸されない部分を含む)の延伸倍率(1倍) × 不織布の未延伸の面積率}・・・(1)
本実施態様のような部分延伸加工ではなく、通常一般に行われている一軸延伸等の全体延伸の場合には、供給速度よりも平滑ロールの周速度の方が大きくなるため先ほどのV1/V2が1よりも小さくなり、例えば通常のスパンボンド不織布では1.3倍以上の不織布のトータル延伸倍率(一軸延伸ではV2/V1により求められる)があると不織布に破れ等が生じてしまう。そのため、不織布のトータル延伸倍率を上げることができないが、本実施態様においては、1.3倍以上の不織布のトータル延伸倍率があっても不織布に破れ等が生じ難い。
スパンボンド不織布を用いる場合、スパンボンド不織布の有するエンボスによる複数個の熱融着部は、各熱融着部の面積が、0.05〜10mm2であることが好ましく、0.1〜1mm2であることが更に好ましい。前記熱融着部の数は、10〜250個/cm2であることが好ましく、35〜65個/cm2であることが更に好ましい。前記熱融着部の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、三角形等の任意の形状であってもよい。スパンボンド不織布の一面の表面積に占める熱融着部の合計面積の割合は、5〜30%であることが好ましく、10〜20%であることが更に好ましい。
また、スパンボンド不織布は、単層のものでもよく、複数層積層されたものでもよい。
元のスパンボンド不織布又は加工後に得られるスパンボンド不織布を、X方向(幅方向、CD方向)に200mm、Y方向(長手方向、MD方向)に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、X方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は150mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプル破断までの最大荷重点をX方向の破断強度とする。また、Y方向(長手方向、MD方向)に200mm、X方向(幅方向、CD方向)に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのY方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したX方向の破断強度の測定方法と同様の手順によってY方向の破断強度を求める。
スパンボンド不織布を用いた場合に、スパンボンド不織布の表面から起毛した不織布の構成繊維が短い理由として、本発明者は、部分延伸加工部2のスチールマッチングエンボスローラー23によりスパンボンド不織布を延伸する際に、スパンボンド不織布の熱融着部に弱化点を形成し、その後、起毛加工部3の凸ロール31により表面を加工するため、弱化点の形成された熱融着部からスパンボンド不織布の構成繊維である連続長繊維が破断し、熱融着部から切断された繊維が形成されるためと推測している。
不織布は、肌触りが良くなる観点から、起毛している繊維が、8本/cm以上であることが好ましく、12本/cm以上であることが更に好ましい。また、十分な破断強度が得られる観点から上限は100本/cm以下、より好ましくは外観上、毛羽立って見えない点から40本/cm以下が好ましい。起毛している繊維は、以下の測定法により測定する。
図5は、起毛した構成繊維の本数を測定する方法を示した模式図である。サンプリングおよび測定環境は22℃65%RH環境下にて行う。先ず、測定する不織布から、鋭利なかみそりで、20cm×20cmの測定片を切り出し、図5(a)に示すように、測定片を起毛側が外向きになるように山折りして測定サンプル104を形成する。次に、この測定サンプル104を、A4サイズの黒い台紙の上に載せ、図5(b)に示すように、さらにその上に、縦1cm×横1cmの穴107をあけたA4サイズの黒い台紙を載せる。このとき、図5(b)に示すように、測定サンプル104の折り目105が、上側の黒い台紙の穴107から見えるように配置する。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた。その後、上側の台紙の穴107の両側それぞれから、折り目105に沿って外方に5cmはなれた位置に、50gのおもりをそれぞれ載せ、測定サンプル104が完全に折りたたまれた状態を作る。次に、図5(c)に示すように、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−900)を用いて、30倍の倍率で、台紙の穴107内を観察し、測定サンプル104の折り目105から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線108よりも上方に起毛している起毛した繊維の本数を計測する。このとき測定する不織布において、起毛加工の施された部位の幅が1cm以上の場合は、起毛加工の施された部位を含むように、20cm×20cmの測定片を3片切り出して計測する。また、起毛加工の施された部位の幅が1cm以下の場合は、無作為に20cm×20cmの測定片を3片切り出して計測する。以上の操作を、測定する不織布に対して3枚分計測し、計9箇所の平均をとり、起毛した構成繊維の本数とする。
さらに、意匠性を持たせるため、ストライプ状に起毛したり、パターン的に模様をつけて部分的に起毛させることも好ましい。
エチレン−プロピレンコポリマー樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け15g/m2、1.3dtex、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率15%のSMS不織布を用いた。図1〜図4に示した前述の加工方法により起毛加工を施した実施例1の不織布を得た。用いたスチールマッチングエンボスローラー23のロールにおける各凸部210は、その高さが2.8mmであり、ロール21の各凸部210とロール22の各凸部との噛み合いの深さDは、2.7mmであった。また、機械延伸倍率は2.9倍であり、回転軸方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチP2)は、7mmであり、周方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチP1)は、7mmであった。スチールマッチエンボスのロールの周速度V2は20m/minであり、不織布の搬送速度V1は26m/minであった。また、起毛に用いた凸ロール31の各凸部310の高さは、0.6mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)は、1.4mmであり、周方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチ)は、2.1mmであった。不織布の搬送速度V3は20m/minであり、不織布の搬送方向に対して逆方向に4倍の周速度V4で凸ロール31を回転させた。抱き角は130度であった。実施例1においては、片面のみ起毛した。不織布のトータル延伸倍率は1.7倍であった。不織布の熱圧着部のピッチと、凹凸ロールの凸部のピッチとの比(不織布の熱圧着部のピッチ/凸部のピッチ)はMD方向(ロール周方向)が0.43、CD方向(ロール回転軸方向)が0.37で行った。不織布の熱圧着部の面積率と不織布のトータル延伸倍率の比は、0.088であった。
プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け13g/m2、繊維径15.9μm、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率13%のSMS不織布を用いた。実施例1と同じ条件の加工を施し、実施例2の不織布を得た。不織布のトータル延伸倍率は1.7倍であった。不織布の熱圧着部のピッチと、凹凸ロールの凸部のピッチとの比(不織布の熱圧着部のピッチ/凸部のピッチ)はMD方向(ロール周方向)が0.41、CD方向(ロール回転軸方向)が0.24で行った。不織布の熱圧着部の面積率と不織布のトータル延伸倍率の比は、0.076であった。
プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け18g/m2、1.8dtex、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率12%の、メルトブローン層のない、スパンボンド層のみの不織布を用いた。実施例1と同じ条件の加工を施し、実施例3の不織布を得た。不織布のトータル延伸倍率は1.7倍であった。不織布の熱圧着部のピッチと、凹凸ロールの凸部のピッチとの比(不織布の熱圧着部のピッチ/凸部のピッチ)はMD方向(ロール周方向)が0.3、CD方向(ロール回転軸方向)が0.3で行った。不織布の熱圧着部の面積率と不織布のトータル延伸倍率の比は、0.071であった。
実施例1と同じく、エチレン−プロピレンコポリマー樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け15g/m2、1.3dtexのSMS不織布を用いた。実施例1と同様にスチールマッチングエンボスローラーによる加工をおこなった。不織布のトータル延伸倍率は1.7倍であった。不織布の熱圧着部のピッチと、凹凸ロールの凸部のピッチとの比(不織布の熱圧着部のピッチ/凸部のピッチ)はMD方向(ロール周方向)が0.43、CD方向(ロール回転軸方向)が0.37で行った。不織布の熱圧着部の面積率と不織布のトータル延伸倍率の比は、0.088であった。その後、起毛には突起高さが最大約0.07mm、突起の密度が約2000個/cm2の凸ロールを用いた。不織布の搬送速度V3は20m/minであり、不織布の搬送方向に対して逆方向に4倍の周速度V4で凸ロール31を回転させた。抱き角は60度であった。実施例4においても、片面のみ起毛した。
実施例1と同じく、エチレン−プロピレンコポリマー樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け15g/m2、1.3dtexのSMS不織布を、比較例1の不織布とした。
実施例1と同じく、エチレン−プロピレンコポリマー樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け15g/m2、1.3dtexのSMS不織布を用いた。次に、トラスコ中山(株)製サンドペーパー粒度♯240を110φのロール全周に両面テープにより接着、そのロールの全周360度の内、8.5度接触する状態で抱きかけ、このSMS不織布を10m/minで流した。その際サンドペーパーを接着したロールは40m/minで進行方向とは逆回転に回転させて起毛した比較例2の不織布を得た。
実施例2と同じく、プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け13g/m2、繊維径15.9μmのSMS不織布を、比較例3の不織布とした。
実施例2と同じく、プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け13g/m2、繊維径15.9μmのSMS不織布を用いた。次に、比較例2と同じ条件の加工を施し、比較例4の不織布を得た。
実施例3と同じく、プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け18g/m2、1.8dtexの、メルトブローン層のない、スパンボンド層のみの不織布を、比較例5の不織布とした。
実施例3と同じく、プロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布の層を有する、目付け18g/m2、1.8dtexの、メルトブローン層のない、スパンボンド層のみの不織布を用いた。次に、比較例2と同じ条件の加工を施し、比較例6の不織布を得た。
〔肌触りの官能評価〕
実施例1〜3、比較例1〜6で得られた不織布について、比較例1の不織布を基準(3点)としたときの10段階の(10点に近づく程よりよい肌触り)官能評価を行い、各不織布について3枚の平均値を、整数桁に四捨五入して求め、実施例1〜3、比較例1〜6で得られた不織布それぞれが、各々の未処理の不織布に対して(実施例1と比較例1、実施例2と比較例3、実施例3と比較例5、比較例2と比較例1、比較例4と比較例3、比較例6と比較例5)、求められた官能評価の平均値が向上していれば○とし、平均値が変わらないものは×として表1,表2,表3に示した。
実施例1〜3、比較例1〜6で得られた不織布について、前述した起毛した構成繊維の本数の測定方法により、起毛した構成繊維の本数を測定した。起毛した構成繊維の本数が10本以上の場合に○とし、20本以上の場合に◎とし、10本未満の場合に×として表1,表2,表3に示した。
実施例1〜3、比較例1〜6で得られた不織布について、前述した破断強度の測定法により、X方向(幅方向、CD方向)に200mm、Y方向(長手方向、MD方向)に50mmの測定サンプルを取り出し、チャック間を150mmにした引張試験機(島津製作所製)で、引張速度300mm/分で引っ張り、X方向(幅方向、CD方向)の強度を測定し、4枚の平均値をX方向(幅方向、CD方向)の強度とした。次に、各々の未処理の不織布に対して(実施例1と比較例1、実施例2と比較例3、実施例3と比較例5、比較例2と比較例1、比較例4と比較例3、比較例6と比較例5)、X方向(幅方向、CD方向)の強度の比が50%以上の場合に○とし、50%未満の場合に×として表1,表2,表3に示した。
2 部分延伸加工部
21,22 凹凸ロール
210 ロール21の周面に有する凸部
210a 凸部210におけるエッジ
220 ロール22の周面に有する凹部
220a 凹部220における窪み始めのエッジ
23 スチールマッチングエンボスローラー
24,25 搬送ロール
3 起毛加工部
31 凸ロール
310 凸ロール31の周面に有する凸部
32,33 搬送ロール
4 加工前の不織布
4’ 部分延伸加工の施された不織布
4’’ 加工装置1を用いて得られた不織布
Claims (9)
- 50℃以下の温度で不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施し、該部分延伸加工の施された不織布に該不織布の構成繊維を起毛する起毛加工を施す不織布の製造方法。
- 前記部分延伸加工は、前記不織布の前記複数箇所それぞれを機械延伸倍率1.05〜20倍に延伸する請求項1に記載の不織布の製造方法。
- 前記部分延伸加工によって前記不織布の前記複数箇所それぞれに搬送方向及び搬送方向に直交する方向に延伸加工を施す請求項1又は2に記載の不織布の製造方法。
- 前記部分延伸加工は、一対の凹凸ロールを用いて行い、
一方のロールが周面に複数個の凸部を有し、他方のロールが周面に一方の前記ロールの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有しており、
前記不織布を一対の前記凹凸ロール間に供給し、該不織布に前記部分延伸加工を施す請求項1〜3の何れか1項に記載の不織布の製造方法。 - 一対の前記凹凸ロールは、供給された前記不織布の総面積に対し10%〜80%の部分に前記部分延伸加工を施す請求項4に記載の不織布の製造方法。
- 前記不織布を一対の前記凹凸ロール間に供給する際の供給速度V1と一対の前記凹凸ロールの周速度V2との関係を、V1>V2とした請求項4に記載の不織布の製造方法。
- 前記起毛加工は、周面に複数個の凸部を有する凸ロールを用いて行い、
前記凸ロールの回転方向を前記不織布の搬送方向に対して逆方向に回転させ、
前記部分延伸加工の施された不織布の搬送速度V3と前記凸ロールの周速度V4との関係を、V4/V3=0.3〜10とした請求項1〜6の何れか1項に記載の不織布の製造方法。 - 前記不織布のトータル延伸倍率が、1.3〜4.0倍である請求項1〜7の何れか1項に記載の不織布の製造方法。
- 元の前記不織布は、平面方向に規則的に分散する熱圧着部を備え、
前記熱圧着部のピッチと一対の前記凹凸ロールの前記凸部のピッチとの比(熱圧着部のピッチ/凸部のピッチ)が0.05〜0.7である請求項1〜8の何れか1項に記載の不織布の製造方法。
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