JP4982869B2 - Lmp2を用いた子宮平滑筋肉腫の検出 - Google Patents
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Description
[1] LMP2をマーカーとして用い、子宮平滑筋肉腫を検出する方法。
[2] 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を検出する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると判定する方法。
[3] 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋の腫瘍が子宮平滑筋腫であるかまたは子宮平滑筋肉腫であるかを鑑別する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫であると判定する方法。
[4] 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の悪性度を判定する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に悪性子宮平滑筋肉腫であると判定する方法。
[5] 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用いin situ ハイブリダイゼーションを行いLMP2の転写を測定する、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2のmRNAを抽出しRT-PCRまたはノーザンブロットを行いLMP2の転写を測定する、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[7] 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い免疫組織化学染色または免疫細胞化学染色を行いLMP2の発現を測定する、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[8] 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2タンパク質を抽出しイムノアッセイを行いLMP2の発現を測定する、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[9] さらに、ミオシンをマーカーとして用い、LMP2およびミオシンの転写または発現を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を検出する方法であって、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつミオシンの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると判定する[1]の方法。
[10] LMP-2およびサイクリンEをマーカーとして用い、子宮平滑筋肉腫を検出する方法。
[11] 子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を検出する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつサイクリンEの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると判定する方法。
[12] 子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋の腫瘍が子宮平滑筋腫であるかまたは子宮平滑筋肉腫であるかを鑑別する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつサイクリンEの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫であると判定する方法。
[13] 子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の悪性度を判定する方法であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2およびサイクリンEの転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつサイクリンEの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に悪性子宮平滑筋肉腫であると判定する方法。
[14] 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用いin situ ハイブリダイゼーションを行いLMP2およびサイクリンEの転写を測定する、[10]〜[13]のいずれかの方法。
[15] 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2およびサイクリンEのmRNAを抽出しRT-PCRまたはノーザンブロットを行いLMP2およびサイクリンEの転写を測定する、[10]〜[13]のいずれかの方法。
[16] 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い免疫組織化学染色または免疫細胞化学染色を行いLMP2およびサイクリンEの発現を測定する、[10]〜[13]のいずれかの方法。
[17] 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2およびサイクリンEタンパク質を抽出しイムノアッセイを行いLMP2およびサイクリンEの発現を測定する、[10]〜[13]のいずれかの方法。
[18] 少なくともLMP2遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含む、LMP2をマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[19] 少なくともLMP2遺伝子断片およびサイクリンE遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含む、LMP2およびサイクリンEをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[20] in situ ハイブリダイゼーション用試薬である[18]または[19]の子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[21] さらに、ミオシン遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含み、LMP2およびミオシンをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための[18]または[20]の検出試薬。
[22] さらに、ミオシン遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含み、LMP2、サイクリンEおよびミオシンをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための[19]または[20]の検出試薬。
[23] 少なくとも抗LMP2抗体を含む、LMP2をマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[24] 少なくとも抗LMP2抗体および抗サイクリンE抗体を含む、LMP2およびサイクリンEをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[25] 免疫組織化学または免疫細胞染色用試薬である[23]または[24]の子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
[26] さらに、抗ミオシン抗体を含み、LMP2およびミオシンをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための[23]または[25]の検出試薬。
[27] さらに、抗ミオシン抗体を含み、LMP2、サイクリンEおよびミオシンをマーカーとして用い子宮平滑筋肉腫を検出するための[24]または[25]の検出試薬。
[28] JAK1キナーゼ遺伝子の以下の(A1)〜(A6)の変異部位の少なくとも1つを含むJAK1キナーゼ遺伝子の部分配列、およびLMP2プロモーターの以下の(B1)〜(B5)の変異部位の少なくとも1つを含むLMP2プロモーターの部分配列からなる群から選択される部分配列からなるオリゴヌクレオチドまたはその標識物であって、10から30塩基からなる部分配列またはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドまたはその標識物:
(A1) A2612A
(A2) G2626A
(A3) G2642T
(A4) A2967C
(A5) A2960C
(A6) A2985T
(B1) A210G
(B2) C214T
(B3) A216G
(B4) A217G
(B5) G219A。
[29] プローブとして用いられる[28]のオリゴヌクレオチドまたはその標識物。
[30] [28]のオリゴヌクレオチドまたはその標識物を固定化した固定化基板。
[31] JAK1キナーゼ遺伝子の以下の(A1)〜(A6)の変異部位の少なくとも1つ、およびLMP2プロモーターの以下の(B1)〜(B5)の変異部位の少なくとも1つからなる群から選択される変異部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、上記変異部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列からなる、DNA断片の増幅に用い得る一対のプライマーセット:
(A1) A2612A
(A2) G2626A
(A3) G2642T
(A4) A2967C
(A5) A2960C
(A6) A2985T
(B1) A210G
(B2) C214T
(B3) A216G
(B4) A217G
(B5) G219A。
[32] [31]のプライマーセット、[28]もしくは[29]のオリゴヌクレオチドもしくはその標識物、または[30]の固定化基板を含む子宮平滑筋肉腫検出キット。
[33] 動物から採取した子宮平滑筋組織または細胞におけるJAK1キナーゼ遺伝子の以下の(A1)〜(A6)の変異部位の少なくとも1つ、およびLMP2プロモーターの以下の(B1)〜(B5)の変異部位の少なくとも1つからなる群から選択される変異部位の検出を行い、その結果に基づいて、上記変異が存在する場合に、前記動物が子宮平滑筋肉腫に罹患しているか、または罹患するリスクが高いと判断する、子宮平滑筋肉腫の検出方法:
(A1) A2612A
(A2) G2626A
(A3) G2642T
(A4) A2967C
(A5) A2960C
(A6) A2985T
(B1) A210G
(B2) C214T
(B3) A216G
(B4) A217G
(B5) G219A。
[34] JAK1キナーゼ遺伝子、またはMP2プライマーの変異の検出を[31]のプライマーセット、[28]もしくは[29]のプローブまたは[30]の固定化基板を用いて行う[33]の方法。
遺伝子変異 対応アミノ酸変異 変異の存在するドメイン
A2612A G781E ATP binding
G2626A G876R ATP binding
G2642T C881F ATP binding
A2967C G986P active site
A2960C Y987S active site
A2985T R995S active site
JAK1キナーゼ遺伝子の塩基配列を配列番号3に、JAK1キナーゼのアミノ酸配列を配列番号4に示す。
遺伝子変異 対応アミノ酸変異 変異の存在するドメイン
A2104C I702L non kinase active region
T2128G S710A non kinase active region
T2078G L693R non kinase active region
A2148C R716S non kinase active region
STAT1遺伝子の塩基配列を配列番号5に、STAT1のアミノ酸配列を配列番号6に示す。
遺伝子変異 対応アミノ酸変異 変異の存在するドメイン
A210G IRF-E site
C214T IRF-E site
A216G IRF-E site
A217G IRF-E site
G219A IRF-E site
LMP2プロモーターの遺伝子配列を配列番号7に示す。
また、上記断片に相補的な配列を有するDNAも本発明の範囲である。相補的なDNAも本願明細書の開示に基づいて得ることができる。
本実施例においては、以下に記載する材料及び方法を用いて検討を行った。
ヒト子宮平滑筋肉腫細胞株であるSKN細胞(RCB0513)は、理化学研究所セルバンクから購入し、0.6%のL-グルタミン(Invitrogen社)および15%の牛胎児血清(シグマ-オルドリッチ社)を補足したF-12Nutrient Mixture(Ham)培地(Invitrogen社)で維持した。HeLa細胞およびHeLa.S3細胞は0.6%のL-グルタミンおよび10%の牛胎児血清を補足したダルベッコのMEMで維持した。ヒト子宮平滑筋細胞はCambrex BioScience Wailersville社から購入し、メーカーのプロトコルに従って維持した。
TAP1、LMP2、β2-mおよびβアクチンの転写物をRT-PCRにより調べた。細胞を250ユニット/mlのヒトIFN-γ(Pepro Tech社)で処理しないかまたは48時間処理し、RNAを回収した。トータルRNAはTRIzol試薬(Invitrogen社)を用いメーカーのプロトコルに従って5×106細胞から調製した。RNAは、Superscript II enzyme(Invitrogen社)を用いて逆転写し、1本鎖cDNAをTAP1、LMP2、β2mおよびβアクチン転写物を増幅するのに用いた。PCRは適切なプライマーを用いて、30秒94℃35サイクル、30秒60℃、1.5分72℃および追加の5分のプログラムで行い、転写物を伸長させた(Cabrera CM. et al. (2003) Tissue Antigens, 61,211-219; Miyagi T. et al. (2003) J.Gastroenterol.Hepatol., 18, 32-40)。
IHCは、Hsu SM. et al. (1981) J.Histochem.Cytochem. 29, 577-580に記載の方法によりアビジン-ビオチン複合体を用いて行った。すなわち、子宮平滑筋肉腫患者から得られた子宮摘出標本のパラフィン包埋サンプルから代表的な6つの5μm組織切片を作製した。切片はパラフィン除去しアルコール中で再水和し、正常マウス血清を用いて20分間インキュベートした。次いで、切片を抗LMP2抗体(Affinity Res. Products社、希釈1/100)を用いて1時間室温でインキュベートした。その後、切片をビオチン化2次抗体(Dako社)とともにインキュベートした。反応を3、3'-ジアミノベンジジンを用いて完了し、スライドをヘマトキシリンで対比染色した。標本中の正常子宮平滑筋組織を陽性対照として用いた。組織切片からなる陰性対照も、1次抗体の代わりに正常ウサギIgGとともにインキュベートした。
細胞質抽出物および核抽出物は250ユニット/mlのヒトIFN-γで処理したか、または処理しない5×106細胞から調製した(Brucet M. et al. (2004) Genes Immun., 5, 26-35)。細胞を1200rpm、10分間の遠心分離により回収し、5mlの氷冷PBSで洗浄し、5分間、12000rpm、4℃で遠心分離した。細胞をペレット化し、0.4mlのバッファーA(10mM Hepes、pH7.8; 10mM KCl; 2mM MgCl2; 1mM DTT; 0.1mM EDTA; およびコンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル(Kirkegaard&Perr Lab社)中で一度洗浄し、2時間、4℃でインキュベートした。次いで、10%のNonidet P-40溶液25μlを添加し、細胞を1時間、4℃で激しく混ぜ、次に、5分間、12000rpmで遠心分離した。遠心分離の後に上清を細胞質抽出物として回収し、-80℃で保存した。ペレット化核は、40μlのバッファーC(50mM Hepes、pH7.8; 50mM KCl; 300mM NaCl; 0.1mM EDTA; 1mM DTT; 10%(v/v)グリセロール)に再懸濁し、4℃で2時間混ぜて、5分間、4℃で12000rpm遠心分離した。核タンパク質を含む上清を回収し、-80℃で保存した。
TAP1およびLMP2wt(TAP1 593-1/pGL3およびLMP2 1-593/pLG3)の構造ならびにそれらのIRF-E変異体プロモーター構築物の構造を図2に示す。トータル2μgのこれらのプラスミドDNA(University of South FloridaのK.L. Wright博士から提供を受けた)を、メーカーの推奨に従って、FuGENE 6 Transfection Reagent(Roche社)によりHeLaまたはSKN細胞中に移入した。すべての移入されたDNAには200ngのpCMVβ-Gal(Tropix社)を内部トランスフェクト効率コントロールとして含んでいた。IFN-γ(最終濃度250ユニット/ml)をトランスフェクト24時間後に添加し、細胞をさらに24時間インキュベートした。最終的に、細胞を洗浄し、500μlの溶解バッファーで溶解し、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega社)を用いてメーカーの指示に従って分析した。LMP2またはTAP1/pGL3の代わりにpGL3ベースで移入した細胞のルシフェラーゼ活性をバックグラウンドとして差し引いた。
LMP2欠損マウスは子宮平滑筋肉腫を発症した(Hayashi T. et al. (2002) Cancer Res., 62, 24-27)。次いで、ヒト子宮平滑筋肉腫がTAP1およびLMP2の弱い発現を示すか否かを示す必要がある。TAP1およびLMP2発現に対するIFN-γの効果は、4種の細胞株を用いたイムノブロットにより調べた。IFN-γ処理に続くHeLa、HeLa.S3、およびHu.USMC(対照)はTAP1およびLMP2の強い誘導を受けたが、ヒト平滑筋肉腫細胞株SKNにおけるIFN-γ処理ではTAP1およびLMP2発現はそれほど誘導されなかった(図1a)。SKN細胞は、HeLa、HeLa.S3細胞の両方とHu.USMC(対照)と比べると、同じようなβアクチン発現が認められたので、抽出物の調製工程はIFN-γ処理に続くTAP1およびLMP2発現の非誘導に影響しなかった。このIFN-γの量は、HeLa、HeLa.S3細胞の両方とHu.USMC中(図1a)のTAP1およびLMP2遺伝子の両方に共有されている双方向プロモーターを最大限に誘導するのに十分であった(図1a)。INF-γ量を500ユニット/mlまで増加させても、SKN細胞中でTAP1およびLMP2発現を顕著に誘導することはなかった。従って、SKN細胞はIFN-γ処理によりTAP1およびLMP2発現を増強する能力を失っていた。
IRF-1はTAP1およびLMP2遺伝子に共有される双方向プロモーター中のIRF-Eと呼ばれるシスエレメントに直接結合する(Wright KL. et al. (1995) J.Exp.Med., 181, 1459-1471; White LC. et al. (1996) Immunity, 5, 365-376; Dovhey SE. et al. (2000) Cancer Res., 60, 5789-5796; Brucet M. et al. (2004) Genes Immun., 5, 26-35)。IRF-Eは図2に表されるように、NFκB様結合部位およびGC1ボックスの上流に位置する。IFN-γ処理によるTAP1およびLMP2の発現増強にIRF-Eが必要であることが示された(Wright KL. et al. (1995) J.Exp.Med., 181, 1459-1471; White LC. et al. (1996) Immunity, 5, 365-376; Dovhey SE. et al. (2000) Cancer Res., 60, 5789-5796; Brucet M. et al. (2004) Genes Immun., 5, 26-35)。IFN-γがSKN細胞においてTAP1/LMP2の共有された双方向のプロモーターを確実に活性化するかどうかを調べるために、SKN細胞およびHeLa細胞にTAP1またはLMP2の発現を誘導すべくIRF-Eがwtもしくはmutであるプロモーター-ルシフェラーゼコンストラクトDNAを移入した。HeLa細胞の場合、IFN-γ処理により11倍のLMP2プロモーター活性が誘導され、さらに10倍のTAP1プロモーター活性が誘導された(図2)。しかしながら、SKN細胞中では、IFN-γ処理の結果、TAP1/LMP2の共有された双方向のプロモーターの活性化誘導は認められなかった。IRF-Eの変異により、HeLa細胞中で認められたIFN-γのTAP1/LMP2遺伝子発現を誘導する能力が失われた(図2)。これらの結果は内在性のmRNAレベルと一致しており、HeLa細胞中でのTAP1およびLMP2遺伝子の活性が強調しているが、SKN細胞では強調していないことを示す。IRF-E部位の変異はHeLa細胞およびSKN細胞の両方でベースとなる発現レベルをいくらか減少させた。このことはこの部位がLMP-2の発現において一定の役割を果たすことを示す。これらの結果は、IFNγ処理が、HeLa細胞中でTAP1/LMP2の共有されたプロモーター活性を強く誘導し得るが、SKN細胞中では誘導しないことを示す(図2)。
ヒト正常子宮平滑筋層、ヒト子宮平滑筋腫およびヒト子宮平滑筋肉腫の顕微鏡観察
ヒト子宮平滑筋組織をバイオプシーまたは手術により採取し、顕微鏡観察した。
LMP2発現
正常子宮平滑筋組織 ++++
子宮平滑筋腫組織 ++++
子宮内膜肉腫組織 -/+
子宮平滑筋肉腫(悪性度低)組織 -/+
子宮平滑筋肉腫(悪性度高)組織 -
1. SKN細胞におけるLMP2の強制発現による細胞形態の変化
LMP2の発現低下が、子宮平滑筋細胞において形質転換(癌化)に直接的に関与しているかについて検討を行った。LMP2の発現が認められない子宮平滑筋肉腫細胞(SKN)に、遺伝子組換えによりLMP2を強制発現させ、SKN細胞の形態を観察した。
LMP2発現プラスミドベクター(2μg)をSKN細胞(5 x 105)内にFuGene6 (Roche,Indianapolis, IN)を用いメーカーのプロトコールに従って導入した。同プラスミドベクターを細胞に導入した3日後に、G418(ネオマイシン)を培養液に加えて(最終濃度200μg/ml)、LMP2発現プラスミドベクターが導入されたSKN細胞のみを選択した。LMP2の強制発現されたSKN細胞の細胞増殖能、細胞形態能について検討を行った。結果を図8、図9および図21に示す。図8、図9および図21に示すように、SKN細胞の増殖能は、倍加時間15.2時間だったの対して、LMP2の強制発現されたSKN細胞の細胞増殖能は、倍加時間17.5時間となった。LMP2の発現により、SKN細胞の増殖速度が、倍加時間2時間遅くなった。また、細長い斜方形の細胞形態を持っているSKN細胞が、LMP2の強制発現により繊維芽細胞様(菱形)の細胞形態に変化したことが認められた。
一般的に転移能を有する悪性度の高い癌細胞は、細胞と細胞との接着因子(ファイブロネクチン)の著しい発現低下が認められる。LMP2の発現が認められない子宮平滑筋肉腫細胞(SKN)に、遺伝子組換えによりLMP2を強制発現させ、ファイブロネクチンの発現変化について検討を行った。
LMP2の発現は、子宮平滑筋組織のみならず、本来骨格筋組織および心筋組織においても認められる。ところが、LMP2の欠損により、平滑筋肉腫が発症するのは子宮平滑筋組織のみである。そこで、骨格筋、心筋および平滑筋におけるLMP2発現を調べた。また、免疫機構に必須であるRag1遺伝子を欠損させたマウスの骨格筋、心筋および平滑筋におけるLMP2発現を調べた。
ヒト子宮平滑筋肉腫の組織においてLMP2の発現の著しい消失が確認された。平滑筋肉腫は、子宮以外にも種々の臓器にいても発症するが、LMP2の発現の消失は子宮平滑筋肉腫に特異的に認められるものか検討した。
病理ファイルより、子宮平滑筋肉腫(悪性度高い)4症例、子宮平滑筋肉腫(悪性度低い)4症例、子宮上皮平滑筋肉腫1症例、子宮内膜間質肉腫1症例、子宮平滑筋腫1症例、正常子宮平滑筋1症例、後腹膜原発平滑筋肉腫1症例、大網原発平滑筋肉腫1症例、小腸原発平滑筋肉腫1症例、腸管膜原発平滑筋肉腫1症例を選び、各疾患の組織におけるLMP2の発現を抗ヒトLMP2抗体を用いた免疫組織染色により検討した。
「子宮平滑筋肉腫において特異的に認められるLMP2発現の著しい減弱」について再検討し、その特異性を確立した。具体的には、ヒト正常子宮平滑筋組織21症例、子宮平滑筋腫24症例、子宮内膜間質肉腫6症例、子宮平滑筋肉腫29症例についてLMP2の発現を抗ヒトLMP2抗体を用いた免疫組織染色により検討した。図18に示されるように、子宮平滑筋肉腫において特異的に認められるLMP2発現の著しい減弱性を確認した。
手術により摘出されたヒト子宮体部組織13症例から平滑筋肉腫組織部位のみと正常な平滑筋組織部位のみをレーザーマイクロダイセクションにより切り取り回収した。正常な子宮平滑筋組織13検体にヒト正常子宮平滑筋培養細胞1検体を加えた合計14検体、子宮平滑筋肉腫組織13検体にヒト子宮平滑筋肉腫培養細胞1検体を加えた合計14検体を用いてJAK1、JAK2、STAT1、LMP2のpromoter領域の変異について検討した。各検体をHMW溶液(10mM Tris-HCl pH8.0、150mM NaCl、10mMEDTA-NaOH pH8.0、0.1% SDS)-proteinase K (100mg/ml)に加えて55℃で24時間保温し、フェノール/クロロホルムにより不純物を取り除きゲノムDNAを精製した。JAK1分子内のATP結合領域をコードする遺伝子領域(A)とチロシンリン酸化酵素活性化領域をコードする遺伝子領域(B)の塩基配列を決定するために、遺伝子領域(A)と遺伝子領域(B)の各領域に対するPCR-primerを用いてそれぞれの領域を含むDNA断片を各検体より得られたゲノムDNAを用いてPCRにより増幅させた。PCRにより増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動法により抽出し精製し、シークエンサー(ABI Prism3100 Genetic Analyzer)により塩基配列を決定した。さらに、JAK1の塩基配列を決定した方法と同様の手法を用いて、JAK2分子内のATP結合領域をコードする遺伝子領域(C)とチロシンリン酸化酵素活性化領域をコードする遺伝子領域(D)の塩基配列、STAT1分子内における転写因子活性化領域(701番目のチロシンと727番目のセリン)コードする遺伝子領域(E)の塩基配列、LMP2のpromoter領域をコードする遺伝子領域(F)の塩基配列を決定した。子宮平滑筋肉腫における特異的な変異を検出するために、同一子宮体部における子宮平滑筋肉腫組織部位と正常子宮平滑筋組織部位での塩基配列(AからE領域)を比較検討した。
ヒト子宮平滑筋肉腫の組織において顕著なLMP2の発現低下が認められるが、LMP2の発現低下が、子宮平滑筋肉腫の発症に関与しているのか検討した。
SKN細胞を6穴プレートにおいて培養し、70%コンフルエントの際、HamF-12-15%Fcs培養液2mlを交換した。培養液を交換した次ぎの日、Roche社のプロトコールに従って、1穴に対して2μgのpCEM9ベクター(LMP2の遺伝子を含まない)またはpCEM-LMP2ベクター(LMP2の遺伝子を含んでいる)をFuGENE6(Roche社)によりSKN細胞に移入した。各ベクターの移入を行ったSKN細胞をCO2インキュベーター内において37℃で48時間培養した後、SKN細胞をトリプシン処理によって剥がして100mm培養シャーレでCO2インキュベーター内において37℃で48時間培養した。その後、G418(ネオマイシン)100μg/mlを含んだHamF-12-15%Fcs培養液で培養を行った。CO2インキュベーター内において37℃で2週間培養すると、pCEM9ベクターまたはpCEM-LMP2ベクターが移入されたSKN細胞のみがG418によって選択的に生き残り増殖しコロニーを形成しているのが確認された。G418(ネオマイシン)含有培養液にて選択培養の3週間後、100mm培養シャーレ内における各ベクターが移入されたSKN細胞により形成されたコロニー数を数え、かつSKN細胞の細胞形態を観察した。
ヒト子宮平滑筋培養細胞SKN細胞において、LMP2の恒常的な発現は、(1)SKNの細胞形態を線維芽細胞様(Flatrevertant)に変化させる、(2)SKN細胞の増殖速度を有意に低下させる、(3)SKN細胞の有する腫瘍形成能を顕著に低下させる、以上3つの生物学的特長を認めた。そこで、SKN細胞において、LMP2の恒常的な発現によりどのような因子の発現に顕著な変化が認められるのか、SKN-pCEM9細胞とSKN-lmp2細胞間において遺伝子発現のプロファイリングを行った。
SKN-pCEM9細胞とSKN-lmp2細胞とを100mmデイッシュ4枚ずつでCO2インキュベーター内において37℃で、80%コンフルエントの状況まで(シャーレ1枚あたり2x106個の細胞が増殖)培養した。各細胞をトリプシンによって剥がして回収し、1XPBSによって細胞を洗った。シャーレ1枚あたりTRIsol(インビトロジェン社)2mlの割合で、各細胞をTRIsolに溶かした(細胞が完全にTRIsolに溶けるように10分間穏やかに振揺させる)。TRIsol 1mlあたりクロロホルム200μlの割合で、TRIsol溶液にクロロホルムを加えて10分間穏やかに振揺させる。10分間の振揺後、7000rpm、室温、20分間の条件で遠心を行い、水層と有機層に分離して中間層を採取しない様に水層を採取した。水層に含まれているトータルRNAを公知の方法を精製した。上記の手法により、SKN-pCEM9細胞よりトータルRNA 152.3μg、SKN-lmp2細胞よりトータルRNA 128.8μg得られた。各トータルRNA 100μgを調整して、遺伝子発現のプロファイリングを行った。
サイクリンEのプロモター領域の活性化によりルシフェラーゼ遺伝子が発現誘導されるレーポータープラスミド(p10-4-Luc) (Department of Cancer Biology, Mayo Clinic Comprehensive Cancer CenterのE A.Thompson博士から提供を受けた)の構造を図25に示す。p10-4-LucレーポータープラスミドとLMP2発現プラスミドpCEM9-Lmp2とを図に示した内容にしたがって、トータル2μgのプラスミドをメーカーの推奨に従って、FuGENE 6 Transfection Reagent(Roche)によりSKN細胞、SKN-lmp2細胞(クローン#121と#122)中に移入した。すべての移入されたDNAには200ngのpCMVβ-Gal(Tropix社)を内部トランスフェクト効率コントロールとして含んでいた。トランスフェクト後、各細胞をCO2インキュベーター内において37℃で48時間培養した。最終的に、細胞を洗浄し、500μlの溶解バッファーで溶解し、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega社)を用いてメーカーの指示に従って分析した。
Claims (20)
- 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価する方法であって、採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価する方法。
- 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋の腫瘍が子宮平滑筋腫であるかまたは子宮平滑筋肉腫であるかを評価する方法であって、採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫であると評価する方法。
- 子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の悪性度を評価する方法であって、採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に悪性子宮平滑筋肉腫であると評価する方法。
- 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用いin situ ハイブリダイゼーションを行いLMP2の転写を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2のmRNAを抽出しRT-PCRまたはノーザンブロットを行いLMP2の転写を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 採取した子宮平滑筋組織または細胞を用い免疫組織化学染色または免疫細胞化学染色を行いLMP2の発現を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 採取した子宮平滑筋組織または細胞からLMP2タンパク質を抽出しイムノアッセイを行いLMP2の発現を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- LMP2およびミオシンの転写または発現を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価する方法であって、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつミオシンの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価する請求項1記載の方法。
- 少なくともLMP2遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価するための検出試薬。
- 少なくともLMP2遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋の腫瘍が子宮平滑筋腫であるかまたは子宮平滑筋肉腫であるかを評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫であると評価するための検出試薬。
- 少なくともLMP2遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の悪性度を評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に悪性子宮平滑筋肉腫であると評価するための検出試薬。
- in situ ハイブリダイゼーション用試薬である請求項9〜11のいずれか1項に記載の検出試薬。
- さらに、ミオシン遺伝子断片をプローブまたはプライマーとして含み、LMP2およびミオシンの転写または発現を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価するための検出試薬であって、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつミオシンの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価するための、請求項9記載の検出試薬。
- in situ ハイブリダイゼーション用試薬である請求項13記載の検出試薬。
- 少なくとも抗LMP2抗体を含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価するための検出試薬。
- 少なくとも抗LMP2抗体を含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋の腫瘍が子宮平滑筋腫であるかまたは子宮平滑筋肉腫であるかを評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に子宮平滑筋肉腫であると評価するための検出試薬。
- 少なくとも抗LMP2抗体を含む、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現の程度を指標に子宮平滑筋肉腫の悪性度を評価するための検出試薬であって、子宮平滑筋組織におけるLMP2の転写または発現を測定し、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少ない場合に悪性子宮平滑筋肉腫であると評価するための検出試薬。
- 免疫組織化学または免疫細胞染色用試薬である請求項15〜17のいずれか1項に記載の子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
- さらに、抗ミオシン抗体を含み、LMP2およびミオシンの転写または発現を指標に子宮平滑筋肉腫の存在を評価するための検出試薬であって、LMP2の転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して少なく、かつミオシンの転写または発現が正常子宮平滑筋組織に比較して多い場合に子宮平滑筋肉腫が存在すると評価するための、請求項15記載の検出試薬。
- 免疫組織化学または免疫細胞染色用試薬である請求項19記載の子宮平滑筋肉腫を検出するための検出試薬。
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