JP4982918B2 - 液晶表示用基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示用基板及びその製造方法に関し、特に、同一基板上に薄膜トランジスタと蓄積容量とが形成されるアクティブマトリクス型液晶表示用基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の微細化に伴いMOSトランジスタのゲート長が短くなり、ホットキャリアの注入やショートチャネル効果によりトランジスタの信頼性が低下するという問題が生じている。そこで、ドレイン近傍の高電界領域におけるデバイスの信頼性の低下を防止するために、不純物濃度に勾配を設けたLDD(Lightly Doped Drain)構造が広く用いられている。このLDD構造は、ゲートとソース/ドレイン間の基板表面に不純物濃度の低いオフセットゲート層を形成することによって、パンチスルー電圧やホットキャリア耐圧を高めるものである。
【0003】
ここで、Si基板上に形成される一般的なLDD構造のMOSFETの製造方法について図6を参照して説明する。まず、図6(a)に示すように、Si基板13上にLOCOS法により分離酸化膜14を形成し、この分離酸化膜14で挟まれたフィールド領域に、熱酸化法によりシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜5を形成した後、減圧CVD法等を用いてポリシリコンを成長させ、フォトリソグラフィー技術及びドライエッチング技術を用いてゲート電極6を形成する。その後、ゲート電極6をマスクとしてイオン注入法により基板全面に低濃度のイオンを注入し、所定の条件でアニールを行い、低濃度注入領域3a、3bを形成する。
【0004】
次に、図6(b)に示すように、減圧CVD法等により基板全面にシリコン酸化膜等を堆積し、異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜をエッチバックして、ゲート電極6の側壁にサイドウォール酸化膜15を形成する。そして、図6(c)に示すように、ゲート電極6及びサイドウォール酸化膜15をマスクとして高濃度のイオン注入を行い、高濃度注入領域4a、4bを形成する。すると、サイドウォール酸化膜15直下ではオフセットゲート層となる低濃度注入領域3a、3bが、その外側には高濃度注入領域4a、4bが自己整合的に形成される。
【0005】
このようなLDD構造のMOSFETにおいては、ドレイン側では低濃度注入領域3aによってパンチスルー電圧及びホットキャリア耐圧を高めることができるが、サイドウォール酸化膜15直下のオフセット層がゲート電極6に対して対称に形成されるため、ソース側では低濃度注入領域3bによって寄生抵抗が高くなり、トランジスタのON抵抗が上昇してしまう。
【0006】
そこで、この問題を解決するために、特開平10−70196号公報、特開平10−12881号公報等に、低濃度注入領域3a、3bをゲート電極6に対して非対称に形成する方法が記載されている。この非対称型LDD構造のMOSFETをSi基板上に形成する方法について説明すると、まず、前記した対称型LDD構造の場合と同様に、Si基板13上にゲート絶縁膜5としてシリコン酸化膜を形成した後、減圧CVD法等を用いてポリシリコンを堆積し、所定の形状にエッチングしてゲート電極6を形成する。そして、このゲート電極6をマスクとしてイオン注入法により基板全面に低濃度のイオンを注入し、所定の条件でアニールを行って低濃度注入領域3a、3bを形成する。
【0007】
次に、減圧CVD法等により基板全面にシリコン酸化膜等を堆積し、異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜をエッチバックするが、その際、プラズマエッチングのイオンの打ち込み角度を垂直から所定の角度だけ傾けてドライエッチングを行うことにより、ゲート電極6側壁に左右非対称の厚みを持ったサイドウォール酸化膜15a、15bを形成する。そして、ゲート電極6及びサイドウォール酸化膜15a、15bをマスクとして高濃度のイオン注入を行い、高濃度注入領域4a、4bを形成することにより、図7に示すように、ソース側(図の左側)の低濃度注入領域3bがドレイン側の低濃度注入領域3aよりも短い、非対称のLDD構造が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した方法で形成した左右非対称のLDD構造によって、ホットキャリアの注入を抑制し、かつ、ソース領域でのトランジスタのON抵抗を減少させることができるが、上記手法はSi基板13上に形成されるMOSトランジスタにおいて有効な製造方法であり、液晶表示装置のアクティブマトリクス基板に形成される薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)にそのまま適用することは困難である。その理由は、液晶表示用基板にはガラス基板等が用いられるため、シリコン酸化膜からなるサイドウォール酸化膜15をエッチングする際にガラス基板もエッチングされてしまい、また、ガラス基板の耐熱温度を考慮すると、製造工程中の温度は550℃以下に抑えければならず、半導体層形成プロセスに制約が生じる等の問題があるからである。
【0009】
そこで、例えば、特開平2−81439号公報には、ガラス基板上にゲート絶縁膜を介して形成するゲート電極にシリサイド膜を形成し、このシリサイド膜をマスクとしてイオン注入を行う方法が記載されている。この方法について図8を参照して説明すると、まず、図8(a)に示すように、ガラス基板1上に減圧CVD法等により半導体層2を堆積し、ドライエッチングにより所定の形状に加工した後、ゲート絶縁膜5を形成し、その上にポリシリコン等からなるゲート電極6を形成する。その後、このゲート電極6をマスクとして半導体層2に低濃度のイオンを注入し、低濃度注入領域3を形成する。
【0010】
次に、図8(b)に示すように、ゲート電極6表面にTi等の金属をスパッタ法等により成膜した後、金属膜をシリサイド化することによりシリサイド膜16からなるサイドウォールを形成する。その後、図8(c)に示すように、ゲート電極6及びシリサイド膜16をマスクとして半導体層2に高濃度のイオン注入を行い、高濃度注入領域4を形成する。
【0011】
しかしながら、この方法では、ゲート電極6側壁に成長したシリサイド膜16によってオフセット領域の幅が決定されることになるが、ゲート電極6側壁に成膜する金属膜の膜厚を正確に制御することは困難であり、また、シリサイド膜16がゲート電極6の左右両側に対称に形成されるため、非対称のLDD構造を形成することができない。また、金属膜を堆積した後、シリサイド化してサイドウォールを形成する方法に代えて、シリサイド膜16を堆積した後、異方性エッチングによりサイドウォールを形成する方法を用いた場合には、異方性エッチングの工程が追加されるために製造工程が複雑になってしまう。
【0012】
更に、アクティブマトリクス基板上にTFTと共に蓄積容量部を形成する場合には、この蓄積容量部にも高濃度のイオン注入を行わなければならないが、上述した方法では、蓄積容量部への高濃度イオン注入工程を別途追加する必要があり、工程の増加を招いてしまう。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、同一基板上にTFTと蓄積容量とが形成される液晶表示用基板において、蓄積容量形成のためのイオン注入工程を別途追加することなく、かつ、ソース領域でのキャリアの注入による信頼性の低下を防止することができる非対称LDD構造のTFTを有する液晶表示用基板及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に半導体層を備え、前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には低濃度注入領域と高濃度注入領域とからなり、ソース電極側の高濃度領域とソース電極側のゲート電極の端部との距離がドレイン電極側の高濃度領域とドレイン電極側のゲート電極の端部との距離よりも短い非対称LDD構造が形成され、前記蓄積容量領域の前記半導体層には高濃度注入領域が形成される液晶表示用基板の製造方法において、前記半導体層配設後、少なくとも前記半導体層を覆う犠牲層を介して、ゲート電極形成領域のソース/ドレイン両電極方向に所定のマージンを見込んで形成したレジストパターンをマスクとして、前記薄膜トランジスタ領域と前記蓄積容量領域とに同時に高濃度のイオン注入を行い、前記レジストパターン及び前記犠牲層を除去した後、少なくとも前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を介して形成したゲート電極をマスクとして、前記高濃度のイオン注入よりも高い注入エネルギーで、前記薄膜トランジスタ領域に自己整合的に低濃度のイオン注入を行うものである。
【0015】
また、本発明は、(a)絶縁基板上の薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に、各々低温ポリシリコンからなる半導体層を配設する工程と、(b)前記半導体層上に所定の膜厚の犠牲層を堆積する工程と、(c)前記薄膜トランジスタ領域のゲート電極を形成する領域とソース/ドレイン両電極を形成する領域との間にソース電極側がドレイン電極側よりも短い所定のマージンを見込んだレジストパターンを形成する工程と、(d)前記レジストパターンをマスクとして、前記薄膜トランジスタ領域と前記蓄積容量領域とに、同時に高濃度のイオン注入を行い、前記半導体層に浅く高濃度注入領域を形成する工程と、(e)前記レジストパターンと前記犠牲層とを除去した後、前記半導体層上に所定の膜厚のゲート絶縁膜を堆積する工程と、(f)前記薄膜トランジスタ領域の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を配設し、同時に前記蓄積容量領域の前記ゲート絶縁膜上に対電極を配設する工程と、(g)前記ゲート電極をマスクとして、前記高濃度のイオン注入よりも高いエネルギーで、前記薄膜トランジスタ領域に自己整合的に低濃度のイオン注入を行い、前記高濃度注入領域を覆うように前記半導体層に深く低濃度注入領域を形成する工程と、を少なくとも有するものである。
【0016】
本発明においては、前記絶縁基板の法線方向から見て、前記レジストパターンに見込む前記マージンが、ドレイン電極方向は所望の低濃度注入領域の距離に、ソース電極方向はリソグラフィーの精度誤差に等しく設定されることが好ましい。
【0017】
また、本発明においては、前記犠牲層が10nmの膜厚で形成され、前記高濃度イオンが、10keV〜30keVの加速電圧で前記半導体層表面から30nmの深さまで注入され、また、前記半導体層が60nmの膜厚で形成され、前記低濃度イオンが、80keV〜90keVの加速電圧で前記半導体層の底面まで注入される構成とすることができる。
【0018】
本発明の薄膜トランジスタは、絶縁基板上に半導体層を備え、前記半導体層には低濃度注入領域と高濃度注入領域とが形成され、ソース電極側の低濃度注入領域の距離がドレイン電極側の低濃度注入領域の距離よりも短い非対称LDD構造が形成されてなる薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層には、ゲート電極からソース/ドレイン両電極方向に所定の距離だけ離間して浅く前記高濃度注入領域が形成され、前記高濃度注入領域を覆うように前記低濃度注入領域が深く、かつ、前記ゲート電極と相重ならないように形成されているものである。
【0019】
本発明の液晶表示用基板は、絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に半導体層を備え、前記半導体層には低濃度注入領域と高濃度注入領域とが形成され、ソース電極側の低濃度注入領域の距離がドレイン電極側の低濃度注入領域の距離よりも短い非対称LDD構造をなし、前記蓄積容量領域の前記半導体層には高濃度注入領域が形成されてなる液晶表示用基板において、前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には、ゲート電極からソース/ドレイン両電極方向に所定の距離だけ離間して浅く前記高濃度注入領域が形成され、前記高濃度注入領域を覆うように前記低濃度注入領域が深く形成され、前記蓄積容量領域には、前記薄膜トランジスタの前記高濃度注入領域とイオン注入濃度及び注入深さが等しい高濃度注入領域が形成されているものである。
【0020】
また、本発明の液晶表示用基板は、絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に、低温ポリシリコンからなる半導体層を有し、前記薄膜トランジスタ領域及び前記蓄積容量領域の前記半導体層には、犠牲層を介してゲート電極形成領域のソース/ドレイン両電極方向にソース電極側がドレイン電極側よりも短い所定のマージンを見込んで形成されたレジストパターンをマスクとして、イオン注入濃度及び注入深さが等しい条件でイオン注入された高濃度注入領域が各々浅く形成され、更に、前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極をマスクとして、前記高濃度のイオン注入よりも高いエネルギーで自己整合的にイオン注入された低濃度注入領域が深く形成されているものである。
【0021】
本発明においては、前記絶縁基板の法線方向から見て、前記高濃度注入領域が、ドレイン電極側では所望の低濃度注入領域の距離±リソグラフィーの精度誤差だけ前記ゲート電極から離間して形成され、ソース電極側では前記ゲート電極と相重ならず、かつ、前記ゲート電極との距離が前記ドレイン電極側よりも短く、リソグラフィーの精度誤差の2倍以下であることが好ましい。
【0022】
また、本発明においては、前記高濃度注入領域が、前記半導体層表面から30nmの深さまで形成され、前記低濃度注入領域が、前記高濃度注入領域を覆い、前記半導体層底面まで到達している構成とすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る液晶表示用基板の製造方法は、その好ましい一実施の形態において、ガラス基板1上に設けられた薄膜トランジスタ領域と蓄積容量領域とに、低温ポリシリコンからなる半導体層2を配設し、その上に犠牲層7を堆積した後、薄膜トランジスタ領域のゲート電極形成部に、該ゲート電極のソース/ドレイン両端側に所定のマージンを見込んだレジストパターン8を形成し、これをマスクとして、薄膜トランジスタ領域と蓄積容量領域とに同時に高濃度のイオン注入を行った後、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6を形成し、ゲート電極6をマスクとして、薄膜トランジスタ領域に高い加速電圧で自己整合的に低濃度のイオン注入を行うことにより、蓄積容量領域へのイオン注入工程を別途追加することなく非対称LDD構造を有するTFTを形成する。
【0024】
【実施例】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の実施例について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFTと同一基板上に形成される蓄積容量部の構造を示す断面図である。また、図2及び図3は、TFT及び蓄積容量部のレイアウトを示す平面図であり、図2は画素部の全体図、図3(a)は画素部TFTの部分拡大図、図3(b)は画素部周囲に形成される回路部TFTの部分拡大図である。また、図4は、アクティブマトリクス基板の製造方法を模式的に示す工程断面図であり、図5は、ソース/ドレイン領域における不純物濃度の分布を示す図である。なお、以下の説明では、図3(a)に示す画素部TFTについて述べるが、図3(b)に示すような、蓄積容量部11が接続されない回路部TFTも同様の手法を用いて形成することができる。
【0025】
まず、図1乃至図3を参照して、本実施例の液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFT及び蓄積容量部の構造について説明すると、本実施例のアクティブマトリクス基板は、ゲート線9とドレイン線とが互いに直交するように形成され、その交差部にTFTが配設され、ゲート線9とドレイン線とで囲まれる各々の画素には、単位TFTのソース/ドレイン部10に接続される蓄積容量部11が形成されている。
【0026】
そして、ガラス基板1上の薄膜トランジスタ領域と蓄積容量領域には低温ポリシリコンからなる半導体層2が形成され、その上に半導体層2を覆うようにシリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜5が堆積され、更に、薄膜トランジスタ領域には、微結晶シリコン6aとタングステンシリサイド6bの積層構造からなるゲート電極6が、蓄積容量領域には同構造の対電極6cが形成されている。ここで、低温ポリシリコンとは、a−Siを前駆体とし、レーザーアニール、炉アニール等によって結晶化エネルギーを与え、Siの結晶化を行ったもので、最終的な結晶構造が多結晶となるものであり、この低温ポリシリコンを用いることにより、プロセス全工程を通して基板としてガラスを使用できる温度範囲(550℃以下)におさめることができる。
【0027】
また、TFTのソース/ドレイン部10には、蓄積容量部11と同時に、浅く不純物が注入されて高濃度注入領域4a、4bが設けられ、ゲート電極6を中心にドレイン電極側(図の右側)にLDDを形成する低濃度注入領域3aが、ソース電極側(図の左側)にはLDD長よりも距離の短い低濃度注入領域3bが形成されている。この低濃度注入領域3a、3bは、深さ方向で濃度分布が少なく、かつ、高濃度注入領域4a、4bを覆うように深く形成されている。
【0028】
このような非対称LDD構造のTFTの製造方法について、図4を参照して説明する。まず、図4(a)に示すように、ガラス基板1上に減圧CVD法等を用いて所定の膜厚の低温ポリシリコンを堆積し、公知のリソグラフィー技術及びドライエッチング技術を用いて、薄膜トランジスタ領域と蓄積容量領域とに半導体層2を形成する。この半導体層2は、膜厚が厚すぎると光吸収によるリーク電流が大きくなり誤動作の原因となってしまい、また、薄すぎると後の工程で行う高濃度注入領域の活性化が困難になってしまうこと等を勘案して最適な膜厚に設定されるが、本実施例では60nm程度の膜厚としている。
【0029】
そして、この半導体層2上にCVD法等を用いて犠牲層7となるシリコン酸化膜等を所定の膜厚で堆積する。この犠牲層は、後の工程で行う高濃度イオン注入において、半導体層2の表層のみに高濃度注入領域4a、4bが形成されるように薄く形成する必要があり、その膜厚はゲート絶縁膜5よりも薄く、例えば、10nm程度の膜厚で形成される。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、公知のリソグラフィー技術を用いて、ゲート電極6が形成される領域に、所定のマージンを見込んでゲート電極6よりも大きいフォトレジストパターン8を形成し、このレジストパターン8をマスクとして、イオンドーピング装置によりソース/ドレイン部10に高濃度のイオン注入を行うと同時に、蓄積容量部11にも高濃度のイオン注入を行う。このようにTFTのソース/ドレイン領域形成のためのイオン注入と、蓄積容量形成のためのイオン注入とを同時に行うことによって工程を簡略化することができる。
【0031】
なお、この高濃度のイオン注入は、半導体層2の全領域がアモルファス化されて活性化不良が発生するのを防止するため、できるだけ浅く打ち込むことが好ましく、例えば、本実施例ではその深さは20〜30nm程度としている。その場合のイオン注入条件としては、例えば、不純物原料ガスとして水素希釈PH3/(H2+PH3)=0.05〜0.15を用い、加速電圧10〜30keV程度、ドーズ量1.0×1015〜2.0×1015/cm2で行うことが好ましい。
【0032】
また、この工程で形成するレジストパターン8は、ドレイン側ではLDD構造を形成するために、後に形成されるゲート電極6に対してLDD長だけ大きく、また、ソース側ではゲート電極6とソース側の高濃度注入領域4bとがオーバーラップしないように、リソグラフィーの精度ばらつきを吸収できるだけのオフセット長を持つようにマージンを見込んで形成する。
【0033】
例えば、図1に示すように、ソース/ドレイン部10の高濃度注入領域4a、4bの端部とゲート電極6の端部との距離を、ソース側でLS、ドレイン側でLDとし、露光の光源としてi線を用いる場合には、レジストパターン8のドレイン側マージンは1.5μm、ソース側マージンは0.5μm程度に設定することが好ましく、その場合、LS、LDはリソグラフィーの精度誤差分(±0.5μm)だけ変動するため、LS=0〜1.0μm、LD=1.0μm〜2.0μm程度となる。
【0034】
そして、高濃度のイオン注入後、レジストパターン8をウェット又はドライエッチングにより除去し、犠牲層7として用いたシリコン酸化膜をBHF等を用いてエッチングした後、図4(c)に示すように、CVD法等を用いてゲート絶縁膜5となるシリコン酸化膜等を90nm程度の膜厚で堆積する。その後、減圧CVD法等を用いて微結晶シリコン6aとタングステンシリサイド6bとを各々70nm、110nm程度の膜厚で堆積し、所定の形状にエッチングしてゲート電極6及び対電極6cを形成する。
【0035】
次に、図4(d)に示すように、薄膜トランジスタ領域にゲート電極6をマスクとして自己整合的に低濃度のイオン注入を行う。この低濃度イオン注入は、例えば、不純物原料ガスとして水素希釈PH3/(H2+PH3)=0.15を用い、加速電圧80〜90keV程度、ドーズ量1.0×1013〜1.5×1013/cm2の条件で行うことが好ましい。なお、蓄積容量部11上には対電極6cが半導体層2と略同じ幅で形成されているため、蓄積容量部11には低濃度のイオン注入は行われない。
【0036】
ここで、この低濃度のイオン注入は前の工程で行った高濃度イオン注入よりも高いエネルギーの条件で行うことが重要であり、これにより高濃度注入領域4a、4bの下部にも低濃度注入領域3a、3bが分布し、また、注入される不純物の深さ方向の分布がブロード化することにより、ソース側の低濃度注入領域3b領域及びLDD領域の特性ばらつきを抑えることができ、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0037】
以上の工程により、高濃度注入領域4a、4bを覆うように低濃度注入領域3a、3bが形成され、ゲート電極6の両端で非対称な長さの低濃度注入領域3a、3bを有するTFTが完成する。ここで、各々の不純物領域の濃度を一例として記載すると、半導体層2の膜厚が60nm、ゲート絶縁膜5の膜厚が90nmの構成を持つTFTにおいて、図5に示すように、高濃度注入領域4は、ゲート絶縁膜5と半導体層2界面において、5.0×1020/cm2〜1.0×1021/cm2程度、界面から30nm下層で、1.0×1017/cm2程度の不純物濃度となる。一方、低濃度注入領域3は、ゲート絶縁膜5と半導体層2界面において、6.0×1017/cm2〜9.0×1017/cm2程度、ガラス基板1との界面において、5.0×1017/cm2程度の不純物濃度になる。
【0038】
このように本実施例の液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFTの製造方法によれば、TFTの高濃度イオン注入と蓄積容量の高濃度イオン注入とを同時に行うために、製造工程を増加させることなくTFTのLDD形成と蓄積容量の形成を行うことができる。
【0039】
また、ソース側に低濃度注入領域3bを形成する際に、意図的にオフセットを設けない場合には、ゲート電極6と高濃度注入領域4bとがオーバーラップするためにゲート電極6のソース側で電界の集中が起き、これが酸化膜へのキャリアの注入などTFT特性の劣化の原因となり、一方、ソース側を単純にオフセットとした場合には、ON時抵抗が増大し、やはりトランジスタの性能が低下してしまう。しかしながら、本実施例では、リソグラフィーの精度誤差を見込んで最小限の長さの低濃度注入領域3bが設けられているため、トランジスタのON時抵抗の増大を最小限に抑え、かつ、電界を緩和してトランジスタ特性の劣化を抑えることができる。
【0040】
更に、本実施例では、低濃度イオン注入は高濃度イオン注入よりも高いエネルギーで行っているために、低濃度注入領域3a、3bともに深さ方向での不純物濃度分布のばらつきを小さくすることができ、トランジスタの特性ばらつきを抑制することができる。
【0041】
なお、本実施例では、液晶表示装置のアクティブマトリクス基板における画素部TFTの製造方法を例として説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、高濃度注入領域4が浅く、低濃度注入領域3が深く、かつ濃度勾配が小さく形成され、ソース側においてゲート電極6と高濃度注入領域4bとが重ならず最小限のオフセットが形成される任意のMOSトランジスタ、例えば、図3(b)に示すような蓄積容量部11が接続されない回路部TFTや、半導体基板に形成されるMOSトランジスタにも適用できることは明らかである。また、犠牲層7及びゲート絶縁膜5の材料は、シリコン酸化膜に限定されるものではなく、通常用いられるシリコン窒化膜等の他の材料を用いることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示用基板及びその製造方法によれば下記記載の効果を奏する。
【0043】
本発明の第1の効果は、TFTのLDD構造形成に際し、高濃度イオン注入を先に行い、かつ、TFTの高濃度イオン注入と蓄積容量部形成のイオン注入とを同時に行うことにより、製造工程を増加させることなく、TFTの非対称LDD構造と蓄積容量部とを形成することができるということである。
【0044】
本発明の第2の効果は、フォトリソグラフィーにより高濃度注入用マスクを形成する段階で、あらかじめリソグラフィーの精度誤差を吸収できるだけのオフセットを設けておくことにより、ゲート電極のソース端と高濃度注入領域とのオーバーラップを完全に防止することができるため、ソース領域におけるホットキャリア注入を抑制することができ、かつ、ゲート電極をマスクとして自己整合的にオフセット部分にも低濃度イオン注入を行うことにより、低濃度注入領域によるトランジスタ性能の低下を最低限に抑え、信頼性を向上させることができるということである。
【0045】
また、本発明の第3の効果は、高エネルギー条件で低濃度イオン注入を行うことにより、注入される不純物の分布をブロード化することができ、オフセット領域の特性ばらつきを抑制することができるということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFT及び蓄積容量の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFT及び蓄積容量のレイアウトを示す全体図である。
【図3】本発明の一実施例に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFT及び蓄積容量のレイアウトを示す部分拡大図である。
【図4】本発明の一実施例に係る液晶表示装置のアクティブマトリクス基板におけるTFTの製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係るTFTのLDD領域における深さ方向の不純物濃度を示す図である。
【図6】従来の対称型LDD構造を有するMOSFETの構造を示す図である。
【図7】従来の非対称型LDD構造を有するMOSFETの構造を示す図である。
【図8】従来の液晶表示装置のアクティブマトリクス基板における対称型LDD構造を有するTFTの構造を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 半導体層
3 低濃度注入領域
3a ドレイン側低濃度注入領域
3b ソース側低濃度注入領域
4 高濃度注入領域
4a ドレイン側高濃度注入領域
4b ソース側高濃度注入領域
5 ゲート絶縁膜
6 ゲート電極
6a 微結晶シリコン
6b タングステンシリサイド
6c 対電極
7 犠牲層
8 レジストパターン
9 ゲート線
10 ソース/ドレイン部
11 蓄積容量部
12 チャネル部
13 Si基板
14 分離酸化膜
15 サイドウォール酸化膜
15a ドレイン側サイドウォール酸化膜
15b ソース側サイドウォール酸化膜
16 シリサイド膜

Claims (15)

  1. 絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に半導体層を備え、前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には低濃度注入領域と高濃度注入領域とからなり、ソース電極側の高濃度領域とソース電極側のゲート電極の端部との距離がドレイン電極側の高濃度領域とドレイン電極側のゲート電極の端部との距離よりも短い非対称LDD構造が形成され、前記蓄積容量領域の前記半導体層には高濃度注入領域が形成される液晶表示用基板の製造方法において、
    前記半導体層配設後、少なくとも前記半導体層を覆う犠牲層を介して、ゲート電極形成領域のソース/ドレイン両電極方向に所定のマージンを見込んで形成したレジストパターンをマスクとして、前記薄膜トランジスタ領域と前記蓄積容量領域とに同時に高濃度のイオン注入を行い、前記レジストパターン及び前記犠牲層を除去した後、少なくとも前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を介して形成したゲート電極をマスクとして、前記高濃度のイオン注入よりも高い注入エネルギーで、前記薄膜トランジスタ領域に自己整合的に低濃度のイオン注入を行うことを特徴とする液晶表示用基板の製造方法。
  2. (a)絶縁基板上の薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に、各々低温ポリシリコンからなる半導体層を配設する工程と、
    (b)前記半導体層上に所定の膜厚の犠牲層を堆積する工程と、
    (c)前記薄膜トランジスタ領域のゲート電極を形成する領域とソース/ドレイン両電極を形成する領域との間にソース電極側がドレイン電極側よりも短い所定のマージンを見込んだレジストパターンを形成する工程と、
    (d)前記レジストパターンをマスクとして、前記薄膜トランジスタ領域と前記蓄積容量領域とに、同時に高濃度のイオン注入を行い、前記半導体層に浅く高濃度注入領域を形成する工程と、
    (e)前記レジストパターンと前記犠牲層とを除去した後、前記半導体層上に所定の膜厚のゲート絶縁膜を堆積する工程と、
    (f)前記薄膜トランジスタ領域の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を配設し、同時に前記蓄積容量領域の前記ゲート絶縁膜上に対電極を配設する工程と、
    (g)前記ゲート電極をマスクとして、前記高濃度のイオン注入よりも高いエネルギーで、前記薄膜トランジスタ領域に自己整合的に低濃度のイオン注入を行い、前記高濃度注入領域を覆うように前記半導体層に深く低濃度注入領域を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする液晶表示用基板の製造方法。
  3. 前記絶縁基板の法線方向から見て、前記レジストパターンに見込む前記マージンが、ドレイン電極方向は所望の低濃度注入領域の距離に、ソース電極方向はリソグラフィーの精度誤差に等しく設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示用基板の製造方法。
  4. 前記ドレイン電極方向の前記マージンが1.5μm、前記ソース電極方向の前記マージンが0.5μmに設定されることを特徴とする請求項3記載の液晶表示用基板の製造方法。
  5. 前記犠牲層が10nmの膜厚で形成され、前記高濃度イオンが、10keV〜30keVの加速電圧で前記半導体層表面から30nmの深さまで注入されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の液晶表示用基板の製造方法。
  6. 前記半導体層が60nmの膜厚で形成され、前記低濃度イオンが、80keV〜90keVの加速電圧で前記半導体層の底面まで注入されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の液晶表示用基板の製造方法。
  7. 前記高濃度注入領域が、前記半導体層表面で1021/cm2の最大不純物濃度となり、前記半導体層表面から30nmの深さで1016/cm2の不純物濃度を有し、前記低濃度注入領域は、前記半導体層の表面と底面とにおける不純物濃度の差が、4.0×1017/cm2以下となる条件でイオンが注入されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の液晶表示用基板の製造方法。
  8. 前記ゲート電極が、微結晶シリコンとタングステンシリサイドとの積層膜により形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の液晶表示用基板の製造方法。
  9. 絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に半導体層を備え、前記半導体層には低濃度注入領域と高濃度注入領域とが形成され、ソース電極側の高濃度領域とソース電極側のゲート電極の端部との距離がドレイン電極側の高濃度領域とドレイン電極側のゲート電極の端部との距離よりも短い非対称LDD構造をなし、前記蓄積容量領域の前記半導体層には高濃度注入領域が形成されてなる液晶表示用基板において、
    前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には、ゲート電極からソース/ドレイン両電極方向に所定の距離だけ離間して浅く前記高濃度注入領域が形成され、前記高濃度注入領域を覆うように前記低濃度注入領域が深く、かつ、前記ゲート電極をマスクとして自己整合的にイオン注入されることで形成され、
    前記蓄積容量領域には、前記薄膜トランジスタ領域の前記高濃度注入領域とイオン注入濃度及び注入深さが等しい高濃度注入領域が形成されていることを特徴とする液晶表示用基板。
  10. 絶縁基板上に設けられた薄膜トランジスタ領域及び蓄積容量領域に、低温ポリシリコンからなる半導体層を有し、前記薄膜トランジスタ領域及び前記蓄積容量領域の前記半導体層には、犠牲層を介してゲート電極形成領域のソース/ドレイン両電極方向にソース電極側がドレイン電極側よりも短い所定のマージンを見込んで形成されたレジストパターンをマスクとして、イオン注入濃度及び注入深さが等しい条件でイオン注入された高濃度注入領域が各々浅く形成され、更に、前記薄膜トランジスタ領域の前記半導体層には、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極をマスクとして、前記高濃度注入領域を形成する際のイオン注入よりも高いエネルギーで自己整合的にイオン注入された低濃度注入領域が前記高濃度注入領域によりも深く形成されていることを特徴とする液晶表示用基板。
  11. 前記絶縁基板の法線方向から見て、前記高濃度注入領域が、ドレイン電極側では所望の低濃度注入領域の距離±リソグラフィーの精度誤差だけ前記ゲート電極から離間して形成され、ソース電極側では前記ゲート電極と相重ならず、かつ、前記ゲート電極との距離が前記ドレイン電極側よりも短く、リソグラフィーの精度誤差の2倍以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載の液晶表示用基板。
  12. 前記ドレイン側の前記高濃度注入領域と前記ゲート電極との離間距離が1.0μm〜2.0μm、前記ソース側の前記高濃度注入領域と前記ゲート電極との離間距離が1.0μm以下であることを特徴とする請求項11記載の液晶表示用基板。
  13. 前記高濃度注入領域が、前記半導体層表面から30nmの深さまで形成され、前記低濃度注入領域が、前記高濃度注入領域を覆い、前記半導体層底面まで到達していることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一に記載の液晶表示用基板。
  14. 前記高濃度注入領域が、前記半導体層表面で10 21 /cm 2 の最大不純物濃度となり、前記半導体層表面から30nmの深さで10 16 /cm 2 の不純物濃度を有し、前記低濃度注入領域は、前記半導体層の表面と底面とにおける不純物濃度の差が4.0×10 17 /cm 2 以下であることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一に記載の液晶表示用基板。
  15. 前記ゲート電極が微結晶シリコンとタングステンシリサイドとの積層膜を含むことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一に記載の液晶表示用基板。
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