JP4983579B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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本発明は、水槽の複数方向の振動を検知する振動検知装置を備えたドラム式洗濯機において、共振域での前記振動検知装置から得られた各軸の共振脱水回転数の差の大きさに応じて、高速回転への移行可否の判定に用いる閾値を切り替えるドラム式洗濯機に関するものである。
ドラム式洗濯機の脱水行程で、低振動脱水を実現するためには、洗濯物をいかにしてドラム内壁に均等に張り付かせ、アンバランスの少ない状態で高速脱水に移行できるかが課題であり、これまでにも、水槽や筐体に設けた振動検知装置から得られた出力結果に基づいてアンバランスの大小を検知して高速脱水へ移行する判定を行う洗濯機が多数提案されている。さらにアンバランスの位置を特定し、特定した結果を高速脱水へ移行する判定に加え低振動脱水を実現しようとする洗濯機が提案されている。
例えば、衣類の回転軸方向前後の偏り具合を、水槽に取り付けた2つの振動検知装置で特定し、その特定結果に基づいて脱水回転制御を行なうドラム式洗濯機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、2軸以上の複数方向の振動を検知することができる振動検知手段で、各振動成分の位相角の差から衣類の前後方向のアンバランス位置を特定し、アンバランス位置に応じて高速脱水へ移行する判定手段の基準値を個別に設定するドラム式洗濯機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3865791号公報 特開2006−311885号公報
しかしながら、前記従来の構成(特許文献1)では、偏り具合を特定するために、振動検知装置が2つ必要なため、機器のコスト上昇の要因となり望ましくない。
また、特許文献2の構成では、洗濯物の偏り具合によっては、各振動成分の最大値検知タイミングが大きくずれてしまい、位相角の差を求めることが困難になり、正確なアンバランス位置を特定できないという課題を有していた。
また、アンバランス位置は単純に前後方向だけでなく、一方が前側、もう一方が後側に偏った、いわゆる対角関係の複雑な偏り方をする場合もあり、このような偏り方を位相角の差だけでは特定できないという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、振動が大きくなるような衣類の偏り具合を、共振脱水回転数の差の大きさから特定し、効率的なアンバランス判定を実現することで、低振動、低騒音のドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽を収容する筐体と、水槽と筐体間に取り付けて水槽の振動を抑制する防振ダンパーと、前記水槽に設けた複数方向の振動を検知する振動検知装置と、この振動検知装置の出力に応じて洗濯物のアンバランス量を検知するアンバランス検知手段とを備え、前記アンバランス検知手段は、前記振動検知装置から得られた各軸の出力ピークが現れる共振脱水回転数の差の大きさに応じて、以降のアンバランス検知の判定に用いる閾値を切り替えるようにしたものである。
本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物のアンバランスの状態に応じた的確なアンバランス判定を行うことができ、低振動、低騒音の脱水を実現することができる。
第1の発明は、外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽を収容する筐体と、水槽と筐体間に取り付けて水槽の振動を抑制する防振ダンパーと、前記水槽に設けた、複数方向の振動を検知する振動検知装置と、この振動検知装置の出力に応じて洗濯物のアンバランス量を検知するアンバランス検知手段とを備え、前記アンバランス検知手段は、前記振動検知装置から得られた各軸の出力ピークが現れる共振脱水回転数の差の大きさに応じて、アンバランス検知の判定に用いる閾値を切り替えるようにすることにより、脱水高速回転時にさほど振動が大きくならないアンバランス状態であれば更なる高速回転へと移行し、振動大に結びつくアンバランス状態の場合のみ、脱水を停止して脱水起動をやり直す行程へ移行することが可能となり、アンバランスによって生じる振動の低減を実現することが可能となるだけではなく、不必要なリトライ処理も減り運転時間の短縮も可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、各軸の共振脱水回転数の差が少ないほど、アンバランス検知の判定に用いる閾値を小さくすることにより、高速脱水に移行したときに大きな振動になると推測される状態を未然に検知し、低振動、低騒音の高速脱水を実現することができ、製品の安全性も向上することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、アンバランス検知を共振域通過後に行うようにしたことにより、共振域で検知したアンバランス特性結果に基づいて、アンバランス検知に用いる閾値を切替ることが可能となり、精度のよいアンバランス検知を行うことができる。
第4の発明は、外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記モータの駆動を制御する制御手段と、前記水槽を収容する筐体と、水槽と筐体間に取り付けて水槽の振動を抑制する防振ダンパーと、前記水槽に設けた複数方向の振動を検知する振動検知装置と、この振動検知装置の出力に応じて洗濯物のアンバランス量を検知するアンバランス検知手段とを備え、前記制御手段は、前記振動検知装置から得られた各軸の出力ピークが現れる共振脱水回転数の差の大きさに応じて、定常脱水時の回転数を制御することにより、定常脱水時に大きな振動になる可能性が高いと判断した共振域での振動検知装置の複数方向の出力特性結果から、脱水回転数を低振動になる回転数に補正することによって脱水運転を継続し、脱水起動のやり直しによる運転時間の増加を発生させることなく、かつ、低振動、低騒音の脱水を実現することができる。
第5の発明は、第4の発明において、各軸の共振脱水回転数の差が少ないほど、定常脱水時の回転数を低くすることにより、定常脱水時に振動が大きくなる可能性が高いアンバランス状態であっても、定常脱水中の振動や騒音を抑えることができる。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、振動検知装置は、3方向の加速度の検出が可能な加速度センサであり、第1の方向は第2の方向と直交しかつ水平方向とし、第2の方向はドラムの回転軸方向に一致し、第3の方向は前記第1の方向と直交しかつ前記第2の方向とも直交していることから、複雑な水槽の動きを的確に判断することが可能となる。
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、振動検知装置は、水槽の外周上部で回転軸方向の前部に設けることにより、感度のよい振動検知を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯機の洗濯物のアンバランスによる振動を抑制させる制御装置のブロック図である。図1において、10は筐体、11は洗濯物を収容し回転させるドラム、12はドラムを速度制御しながら回転させるモータである。13はドラム11を内包し水をためる水槽、18は洗濯物投入口を有するカバー、14は水槽13と洗濯物投入口のあるカバー18との隙間をなくして接続するためのシールパッキン、15は水槽13の姿勢を保持するための支持ばね、16はモータ回転時に発生する振動を低減して、筐体10や床への振動伝達を小さくするための防振ダンパである。
17は水槽13の振動を検知する振動検知装置である。振動検知装置の例として、本実施の形態では加速度の変化を電圧変化として出力できる加速度センサを用いている。
本実施の形態における加速度センサは、比較的構造が単純なピエゾ抵抗型加速度センサを用いている。また、本実施の形態における加速度センサは3軸の検知が可能なものを採用しており、複数方向の振動を検知し、脱水の共振域で複雑な挙動をする水槽の動きを的確にとらえ、様々なアンバランス状態を検知することを可能にしている。ただし、加速度センサは2軸のものであってもよい。
本実施の形態における振動検知装置17の取り付け位置は、水槽の上部前側としている。ドラム内の洗濯物のアンバランスが前部に存在する状態で高速回転へ移行したときの振動は後部に存在する場合と比較して大きくなるため、前部に大きなアンバランスがある状態で高速回転へ加速することを極力避ける必要がある。前部にアンバランスがある場合には水槽の揺れも前部側が顕著に現れやすいことから、振動検知装置の取り付け位置も前部とすることが望ましい。
19は筐体10を床に設置する防振ゴムで、支持ばね15とダンパ16で支持手段を構成している。さらに、20は振動検知装置の出力に応じてアンバランスを検知するアンバランス検知手段、21はモータ12の回転を制御する制御手段である。
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム回転制御パターンのグラフである。脱水行程開始直後、洗濯物同士の絡みや塊をほぐし、衣類をドラム内周面に均等にはりつかせやすくするための、ほぐし行程を実施する。その後、共振域到達前に、ある程度大きなアンバランスを未然に検知して脱水を一旦停止させるための予備アンバランス検知を何段階か行っている(第1及び第2アンバランス検知区間)。その後、共振域(140〜280rpm)において、3軸加速度センサの各出力ピークが現れる共振脱水回転数の差を計算し、計算結果をその後のアンバランス検知(第3アンバランス検知区間)での判定閾値補正に利用する。
図3は、前記共振脱水回転数差を計算し、その計算結果を基にアンバランス判定を行う一連の処理を表したフローチャートである。
共振域の始まり(140rpm)に到達したら、ステップ3にて、3軸加速度センサ各軸毎の出力値とその時点でのドラム回転数から、3方向の振幅を計算し、前記回転数と振幅を記憶させる。なお、振幅(X)は以下の式より計算することができる。
X=a÷(2πf)[m]
a[m/s]・・・加速度、 f[Hz]・・・回転周波数
以降、共振域を抜けるまで、1[msec]のサンプリング周期で加速度センサの出力を取得し、その都度各方向の振幅計算を実行する。計算した振幅が記憶されている振幅を上回ったら、記憶されている振幅とその時点の回転数を更新する。この処理を、共振域を抜ける(280rpm)まで実施し、各方向の共振脱水回転数(第1方向はR1[rpm]、第2方向はR2[rpm]、第3方向はR3[rpm]とする)を確定する。
ステップ5にて、前記確定した各方向の共振脱水回転数から、それぞれの差の合計(A[rpm])を計算する。本実施の形態では、以下の式で各方向間全ての組み合わせの差の合計を計算している。
A=‖R1−R2‖+‖R2−R3‖+‖R1−R3‖
これらの組み合わせは、全ての組み合わせではなく、特定の方向間の差であっても良い。
共振域通過後に設けたアンバランス判定区間において、アンバランス量を検知し、高速脱水への移行可否判断を行っている。本実施の形態では、300[rpm]を前記アンバランス検知区間として共振域通過後のアンバランス判定を行っている(ステップ6)。ここで、前記記憶されている共振脱水回転数の差の合計(A[rpm])に応じて、前記高速脱水への移行可否判断用に設定した所定の閾値の切替を行う。
すなわち、加速度センサ出力電圧のPeak to Peak値(Vpp「mV」)を測定し、出力のサンプリングとVppの更新を1[msec]ごとに行い、Vppと閾値との比較判定を行うが、その際に前記Aの値に応じてVppと比較するための閾値を切り替える。
例えば、前記Aが20[rpm]以上であれば、定常脱水回転時における振動がさほど悪化しないアンバランス状態であるため、前記閾値を緩和する。一方で前記Aが10[rpm]未満であれば、定常脱水回転時における振動が悪化するアンバランス状態であるため、判定閾値を厳しくする。これにより、アンバランス判定時に加速度センサから出力される各方向の振動レベルはさほど変わらないが、定常脱水時に振動が大きくなるバランス状態であることを判定することにより、定常脱水時の振動大を未然に防ぐことができる。
図4、図5は、脱水容量9kgのドラム式洗濯機を用いて容量6kgの洗濯物を脱水した時の共振域付近での3軸の加速度センサからの出力を表したものである。
図4は、3軸の共振脱水回転数の差が大きいときの出力を示し、図5は、3軸の共振脱水回転数の差が小さい時の出力を示している。図4と図5では、共振時の振動レベルに差は見られないが、定常脱水時の加速度センサの出力は回転数の差が小さい図5の方が大幅に増加していることが確認できた。
図6は、図4、図5と同一の機体を用いて容量6kgの洗濯物を脱水させたときの共振脱水回転数の差と、アンバランス判定時の加速度センサ出力結果、及び定常脱水回転時(830[rpm])の水槽の各方向の振幅を記録した結果であり、複数回実験を行った結果を示している。なお、各実験毎に洗濯物を入れ直し、標準コースによる洗い行程を経て脱水を行っており、脱水開始時の洗濯物のバランス状態は毎回異なっている。
実験No.1及び3は定常脱水時の水槽の振幅が比較的小さく(1.23[mm]〜3.17[mm])、このときの共振脱水回転数の差Aはどちらも20[rpm]を超え、一方、実験No.2、4及び6は定常脱水時の水槽の振幅が比較的大きく(2.96[mm]〜5.92[mm])、このときの共振脱水回転数の差Aはどれも10[rpm]を下回っており、共振脱水回転数の差が大きいときは、定常脱水時の振動レベルが小さくなる傾向にあり、逆に差が小さいときは、定常脱水時の振動レベルが大きくなる傾向にあることを確認できた。
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるドラム回転制御パターンのグラフである。初めに、ほぐし行程を行った後、徐々に速度上昇し、共振域におけるアンバランス状態検知を実施し、定常域での振動が高いと予測される振動波形パターンの場合(例えば、図7において共振回転数の差が10rpmより小さい場合)、定常脱水時の回転数を低くすることにより、定常脱水中の振動を抑えることができる。また、定常脱水時の回転数を低くした場合には、脱水性能も低下することから、定常脱水時間を一定時間増やすことによって脱水性能を維持させるための制御を行なう。
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、共振域における水槽の複数方向の振動特性から定常脱水時に振動が大きくなるアンバランス状態を特定し、その結果に基づいてアンバランス判定や脱水回転制御を行うことができるので、脱水時の振動を抑えることができる、低振動低騒音型ドラム式洗濯機として有用である。
本発明の実施の形態1における洗濯機の制御装置のブロック図 本発明の実施の形態1におけるアンバランス検知過程のドラム回転数を示すグラフ 本発明の実施の形態1における、共振脱水回転数差の算出及び、算出結果を基にアンバランス判定閾値の補正を行う一連の処理を表したフローチャート 洗濯物6kgを脱水させたときの、脱水回転共振域における3軸加速度センサの出力波形を示す図 洗濯物6kgを脱水させたときの、脱水回転共振域における3軸加速度センサの他の出力波形を示す図 洗濯物6kgを脱水させたときの共振脱水回転数の差と、アンバランス判定時の加速度センサ出力結果、及び定常脱水回転時(830[rpm])の水槽の各方向の振幅結果を示す図 本発明の実施の形態2におけるアンバランス検知過程のドラム回転数を示すグラフ
符号の説明
10 筐体
11 ドラム
12 モータ
13 水槽
15 支持ばね
16 防振ダンパー
17 振動検知装置
20 アンバランス検知手段
21 制御手段

Claims (7)

  1. 外周に通水孔を設けたドラムと、前記ドラムを内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽を収容する筐体と、水槽と筐体間に取り付けて水槽の振動を抑制する防振ダンパーと、前記水槽に設けた複数方向の振動を検知する振動検知装置と、この振動検知装置の出力に応じて洗濯物のアンバランス量を検知するアンバランス検知手段とを備え、前記アンバランス検知手段は、前記振動検知装置から得られた各軸の出力ピークが現れる共振脱水回転数の差の大きさに応じて、アンバランス検知の判定に用いる閾値を切り替えるようにしたドラム式洗濯機。
  2. 各軸の共振脱水回転数の差が少ないほど、アンバランス検知の判定に用いる閾値を小さくするようにした請求項1記載のドラム式洗濯機。
  3. アンバランス検知を共振域通過後に行うようにした請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
  4. 外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記モータの駆動を制御する制御手段と、前記水槽を収容する筐体と、水槽と筐体間に取り付けて水槽の振動を抑制する防振ダンパーと、前記水槽に設けた複数方向の振動を検知する振動検知装置と、この振動検知装置の出力に応じて洗濯物のアンバランス量を検知するアンバランス検知手段とを備え、前記制御手段は、前記振動検知装置から得られた各軸の出力ピークが現れる共振脱水回転数の差の大きさに応じて、定常脱水時の回転数を制御するようにしたドラム式洗濯機。
  5. 各軸の共振脱水回転数の差が少ないほど、定常脱水時の回転数を低くするようにした請求項4記載のドラム式洗濯機。
  6. 振動検知装置は、3方向の加速度の検出が可能な加速度センサであり、第1の方向は第2の方向と直交しかつ水平方向とし、第2の方向はドラムの回転軸方向に一致し、第3の方向は前記第1の方向と直交しかつ前記第2の方向とも直交するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
  7. 振動検知装置は、水槽の外周上部で回転軸方向の前部に設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
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