JP4983658B2 - 画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラム - Google Patents

画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラム Download PDF

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本発明は、画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラムに関し、特に、第1の画像機器にて使用される第1画像データを第2の画像機器にて使用される第2画像データに変換する画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
ディスプレイやプリンタ等の画像機器は、表現可能な色の範囲(色域;Gamut)が各機体で異なっている。例えば、ディスプレイ色域で表現された画像データをプリンタ色域で表現するには、ディスプレイ色域のみで表現可能な色を歪めつつプリンタ色域内で表現可能な色に対応付ける(ガマットマッピングする)必要がある。この対応付けには、測色的、明度重視型、彩度重視型等があり、測色的であれば最近傍の色域表面に対応付けられるためオリジナル画像データを数値的に忠実に再現するし、明度重視型であれば階調性が維持されて知覚的に違和感の無い自然な対応付けが可能となり、彩度重視型であれば色再現が向上して見栄えする対応付けが可能となる。特許文献1〜3には各種ガマットマッピングの例について記載されている。
特開2002−118762号公報 特開2005−348053号公報 特開2002−314832号公報
測色的、明度重視型、彩度重視型のいずれであっても、暗部の階調性を維持するためには、対応付けの前に色域間の明度範囲を一致させる黒点補正を実行する必要がある。なお、この黒点補正においては、シャドウ部以外の中間調や高階調の階調性を損なわないように行うのが好ましい。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、シャドウ部以外の階調性を損なうことなく、黒点補正を行うことが可能な画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラムの提供を目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の画像処理方法は、第1の画像機器にて使用される第1画像データを第2の画像機器にて使用される第2画像データに変換する画像処理方法であって、黒点比較工程と、検出工程と、圧縮先領域設定工程と、色域圧縮工程と、色域変換工程と、色変換工程とを備える構成としてある。該構成において、前記黒点比較工程においては、所定の機器独立色空間の所定色相において前記第1の画像機器の色域における最小明度である第1の黒点と、前記第2の画像機器の色域における最小明度である第2の黒点と、を検出し、前記第1の黒点と前記第2の黒点との大小関係を比較する。すなわち第1の画像機器の色域のシャドウ部が第2の画像機器の色域の黒点よりも低階調側に広がっているか否かを判断するのである。
判断の結果、前記大小関係において前記第1の黒点が小さい場合には前記シャドウ部が第2の黒点よりも低階調側に存在していると判断して、前記検出工程において、前記所定色相における前記第1の画像機器の色域の最大彩度点の明度を検出し、検出された明度を利用して、前記圧縮先領域設定工程において圧縮先領域を設定する。該圧縮先領域は、前記第1の画像機器の色域内であって前記検出工程において検出された前記明度よりも低明度側に設定される。
そして、前記色域圧縮工程において、前記第1の画像機器の色域のうち前記第2の黒点よりも低階調の領域と前記圧縮先領域とからなる圧縮元領域を圧縮して、前記圧縮先領域に対し写像する。このように写像された第1の画像機器の色域と前記第2の画像機器の色域との対応関係を前記色域変換工程において所定の変換規則(アルゴリズム)で設定し、この対応関係に基づいて前記色変換工程において、前記第1画像データを第2画像データに変換することになる。
ここで、機器独立色空間としては種々の色空間を採用することが可能であり、LabやJab、XYZ等種々の絶対色空間を採用可能である。第1および第2の画像機器も特に限定されず、カラー画像データを使用して所定の画像を扱う機器であれば良く、例えば、ディスプレイ,プリンタ,スキャナ,デジタルカメラ等種々の画像機器を採用可能である。むろん、機器が別体でなくてもよく、例えば、fax機は第1の画像機器としてのスキャナと第2の画像機器としてのプリンタとが一体になっていると言え、かかるfax機に本発明を適用することも可能である。また、上記処理は所定色相内で行われ積極的に色相を変更する処理を行っているわけではないが、処理を行う機器独立色空間の性質や空間の変換,画像機器の機体誤差等によって第2カラー画像データが第1カラー画像データの色相とが異なってしまうことを禁じるわけではない。積極的に色相を変更しなくても、色域変換処理を行う領域全体に渡って「0〜10度」程度の色相変化が生じることはある。尚、本発明における色域圧縮は単一の色域外領域に対して行うのみならず複数の色域外領域について行うことが可能である。
以上説明した構成によれば、圧縮先領域が尖頭と重複することが無いため本発明の色域圧縮によって前記所定色相における前記第1の画像機器の色域の最大彩度点の明度(尖頭)の座標値が変更されることが無く、中間調から高階調にかけての階調性を維持したまま黒点補正を実行できる。すなわち本発明で実行される黒点補正処理の前後で、尖頭値が変動することが無く、隣接色相における尖頭との間にギャップが生じない。よって、明度の逆転の原因になることがない。
また、圧縮先領域を出来る限り広く確保する際に好適な本発明の選択的な一側面として、前記圧縮先領域設定工程においては、前記検出工程において検出された前記明度が増加した場合は前記圧縮先領域を拡大し、前記検出工程において検出された前記明度が低減した場合は前記圧縮先領域を縮小する構成としてもよい。すなわち、尖頭の位置に応じて圧縮先領域を増減させるので、尖頭との干渉を防止しつつも可能な限り広い領域を黒点補正の圧縮先領域として確保可能となる。
また、圧縮元領域の中で圧縮度合のメリハリを付けたい場合に好適な本発明の選択的な一側面として、前記色域圧縮工程においては、前記圧縮を実行するにあたり、前記圧縮元領域を複数領域に分割し、該分割された各領域に対して異なる圧縮率を設定し、該設定された圧縮率にて前記圧縮先領域への圧縮を実行する構成としてもよい。このように領域分割した上で領域毎に一定の圧縮率を設定することにより、例えば階調の変化に伴って圧縮率を変化させたい場合であっても、非線形的な圧縮ではなく複数種類の線形的な圧縮の組合せで実現可能となり、演算量の増加を抑えることが出来る。
また、前述したメリハリの付け方の一例として、前記色域圧縮工程においては、前記圧縮を実行するにあたり、前記圧縮元領域の各部位に対して階調保存の重要性が高いほど低い圧縮率を設定し、該設定された圧縮率にて前記圧縮先領域への圧縮を実行する構成としてもよい。すなわち階調性の維持が重要な部位では圧縮率を低く抑えつつ、階調性の維持が重要でない部位については圧縮率を高めるのである。
また、設定された領域と領域外との連続性を確保するための本発明の選択的な一側面として、前記色域圧縮工程においては、前記圧縮元領域が前記圧縮先領域に規格化されるように圧縮を実行する構成としてもよい。すなわち規格化した圧縮により、彩度を維持しつつ明度方向での色点の逆転を防止し、非圧縮領域との連続性を維持するのである。
また、本発明の選択的な一側面として、前記第1の黒点は、前記第1の画像機器の色域に対し、各色点の彩度値の増加に伴って補正度合が低下するS字カーブ補正を行った結果として得られる最小明度である構成としてもよい。すなわち、彩度値によって変換後の最小階調が変化するS字カーブ補正により黒点補正をした後、第2の画像機器の色域における黒点よりも低階調側の領域を本発明の色域圧縮工程において、該黒点よりも高階調側に写像するのである。
前述した画像処理方法は、他の方法の一環として実施されたり各工程に対応する手段を備えた画像処理装置や該画像処理方法で作成された色変換テーブルを備えた画像処理装置として実現されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は前記画像処理装置を備える画像処理システム、前述した方法の構成に対応した機能をコンピュータに実現させるプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。これら画像処理システム、画像処理装置、画像処理プログラム、該プログラムを記録した媒体、の発明も、前述した作用、効果を奏する。むろん、請求項2〜6に記載した構成も、前記システムや前記装置や前記プログラムや前記記録媒体に適用可能である。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本発明の構成:
(2)印刷処理:
(3)LUT作成処理:
(4−1)色域変換処理:
(4−2)色域変換処理の変形例:
(5)黒点補正処理:
(6)色相間の尖頭値変動の平滑化処理:
(7)まとめ:
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる色変換プログラムを実行するコンピュータの概略ハードウェア構成を示しており、図2は当該色変換プログラムが同コンピュータのOS上に色変換モジュール21bとして実現された場合における概略構成図を示している。コンピュータ10は演算処理の中枢をなすCPU11を備えており、このCPU11はシステムバス14を介してワークエリアとして使用可能なRAM12やBIOSなどの記載されたROM13にアクセス可能となっている。システムバス14には不揮発性の記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)15が接続されており、HDD15に記憶されたOS20やアプリケーションプログラム(APL)25等がRAM12に転送され、CPU11はROM13とRAM12に適宜アクセスしてソフトウェアを実行する。すなわち、RAM12を一時的なワークエリアとして種々のプログラムを実行する。
コンピュータ10にはキーボードやマウス等の操作用入力機器30や、表示機器としてのディスプレイ18も接続されている。さらに、印刷装置としてのプリンタ40とはプリンタI/O19bを介して接続が可能である。尚、本コンピュータ10の構成は簡略化して説明しているが、パーソナルコンピュータとして一般的な構成を有するものを採用することができる。むろん、本発明が適用されるコンピュータはパーソナルコンピュータに限定されるものではない。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくシリアルインタフェースやSCSI,USB接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
本実施形態では各プログラムの類はHDD15に記憶されているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブルディスクであるとか、CD−ROMであってもよい。これらの記録媒体に記録されたプログラムはフレキシブルディスクドライブやCD−ROMドライブを介してコンピュータ10にて読み込まれ、HDD15にインストールされたり直接実行されたりする。そして、RAM12上に読み込まれてコンピュータを制御することになる。また、記録媒体はこれに限らず、光磁気ディスクなどであってもよい。また、半導体デバイスとしてフラッシュカードなどの不揮発性メモリなどを利用することも可能であるし、モデムや通信回線を介して外部のファイルサーバにアクセスしてダウンロードする場合には通信回線が伝送媒体となって本発明が利用される。
一方、図2に示すように本実施形態にかかるコンピュータ10では、色域変換モジュール24とプリンタドライバ(PRTDRV)21と操作用入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、操作用入力機器DRV22は前記キーボードやマウスからのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。色域変換モジュール24は、異なるデバイスの色域(色再現域)の対応関係を作成するとともに、該対応関係に基づいて、一のデバイスの色域の色を、他のデバイスの色域の色に変換する。なお、この変換を行う際に色や階調の再現性も調整出来るようになっている(以下、色や階調の再現性の調整を、色域の調整と称する。)。またOS上ではAPL25が実行可能になっている。
APL25は、表示されたHDD15に記録された画像データ15aをRAM12に読み出してレタッチ等の処理を実行可能であり、ディスプレイDRV23はRAM12に読み出された画像データ15aに基づいてディスプレイ18上に画像を表示させる。利用者が操作用入力機器30を操作するとその操作内容が操作用入力機器DRV22を介して取得されて内容が解釈されるようになっており、APL25はその操作内容に応じて印刷実行やレタッチなど種々の処理を行う。
また、利用者は当該APL25の実行下において、操作用入力機器30を操作して設定処理を行うことにより、所定のデバイスにおいて形成される画像を再現して表示させる事が可能である。例えば、sRGB色空間で作成された画像データの表示を行うにあたり、ディスプレイの色域がsRGB色空間よりも狭い場合に、ディスプレイの色域からはみ出す部位がディスプレイ18の色域内にある所定の色で表現されるように色変換を行うように調整できる。すると画像データにおいて表現されている階調性や色彩がディスプレイ表示において維持されることになる。
また、この画像データの印刷結果をディスプレイ上に再現することも出来る。すなわち、ディスプレイ18の色域の中でプリンタ40の色域にて表現可能な色のみで表現されるように画像データの色変換を行うのである。無論、印刷結果を再現する際に、同時に画像データの階調性や色彩が維持されるような色変換を行ってもよい。さらに、このように調整して表示された印刷結果のカラー画像をプリンタ40にて印刷させてもよい。以下、色域変換モジュールにて実行される色域の調整の一例として、プリンタ40の印刷結果に調整を施しつつディスプレイ表示させる例について説明する。
図3は、色域調整の設定処理を行う画面の一例を示している。該設定処理においては、入力側と出力側の各デバイスに対し、所定の標準色空間(例えばsRGB色空間等)におけるデバイス色域を所定の機器独立色空間に変換するためのプロファイル(Device Model Profile: DMP)を選択する。そして、異なる色域の調整や変換の方式(Rendering Intent)を指定するプロファイル(Gamut Map Model Profile: GMMP)の選択を行う。
設定処理を行った後、色域の変換が指示されると色域変換モジュール24が起動され、設定されたDMPやGMMPを参照しつつ、入力側デバイスの色域を出力側デバイスの色域に変換するためのLUT15bを作成し、HDD15に記憶する。このLUT15bの作成については後述する。次に、利用者がマウスを操作してプリンタ40の印刷結果の表示を指示すると色域の調整指示がなされ、画像データ15aが色域変換モジュール24に受け渡される。画像データ15aが色域変換モジュール24に受け渡されると色変換処理が実行される。
ここで、図4を参照しつつ、色域変換モジュール24の構成を説明する。本実施形態の色域変換モジュール24は以下の各モジュールM1〜M4を備えている。XYZ値算出モジュールM1は入力側デバイスのDMPを参照しつつRGB値で表現された入力側デバイスの色域をCIE三刺激値XYZ値に変換する。XYZ値算出モジュールM2は出力側デバイスのDMPを参照しつつRGB値で表現された出力側デバイスの色域をCIE三刺激値XYZ値に変換する。CA変換モジュールM3はXYZ値算出モジュールM1,M2において算出されたXYZ値にカラーアピアランス(CA)変換式の順方向変換を行ってJ値を算出し、J色空間における入力デバイスの色域を確定する。色域マッピングモジュールM5はGMMPを参照しつつCA変換モジュールM3によって確定された入力側デバイスの色域を、同じくCA変換モジュールM3によって算出された出力側デバイスの色域へとマッピングする。CA変換モジュールM4は色域マッピングモジュールM5によって算出されたJ値にカラーアピアランス(CA)変換式の逆方向変換を行ってXYZ値を算出し、XYZ色空間における出力デバイスの色域を確定する。なお、各CA変換モジュールM3,M4の行うカラーアピアランス変換においては、入力もしくは出力デバイスに対して指定されたDMPに指定された観察条件(D55、D65等の光源情報)を考慮した変換が実行される。
以上の各モジュールM1〜M4で利用されるプロファイルDMP1〜n、GMMP1〜nは、HDD15に記憶されている。各DMPにはsRGB色空間におけるデバイスの色再現域を測色値に変換するための対応関係および上述の観察条件が記述されており、GMMPには色域間を対応付ける変換式や条件式が記述されている。なお本実施形態においては、DMPに記述されているデバイスの色再現域をsRGB色空間における色再現範囲で記述してあるが、無論他の色空間で表現されていても構わない
DMPを利用して行われる色域の変換には、順方向変換(ICCプロファイルのAToB1Tagの処理に相当)と逆方向変換(ICCプロファイルのBToA1Tagnの処理に相当)がある。順方向変換はデバイス色からXYZ値への変換を行う順方向多次元LUTもしくは変換式で実現される。逆方向変換は、順方向変換の結果を利用して順方向多次元LUTの逆引きや回帰分析法による多項式パラメータの最適化等を行い、これにより作成されるXYZ値からデバイス色への変換を行う多次元LUTもしくは変換式で実現される。
カラーアピアランス変換では、XYZ値に対してCIECAM02等の色知覚モデルの順方向変換を適用してカラーアピアランス空間の色値を求める。このカラーアピアランス空間の色値(例えば、J値とする)は、概ねCIE三刺激値XYZから計算することができるようになっている。このJを利用することにより、より人間の視覚特性に適合した色域マッピングを行うことができる。カラーアピアランス空間の色値Jを得るための変換は、色順応変換、錐体応答変換、反対色応答変換により行われ、人間の視覚特性に近付くように変換される。色順応変換においては観察環境下の光源に対応した変換が行われる。なお、色知覚モデルとしてはCIECAM02、CIECAM97s等に限定される必要は無く、人間の色知覚パラメータJ(lightness), C(Chroma), Q(brightness), M(colorfulness), h(huequadrature又はhueangle), H(huequadrature又はhueangle)を予測できる色知覚モデルであれば、他の知覚モデルであっても構わない。
なお、本実施形態では、色域変換モジュール24はLUT15bを作成した上で、該LUT15bを参照しつつ色域変換処理を実行するものとして説明を行うが、無論、動的にLUTを作成する構成としても構わない。例えば、画像データ15aを構成する色座標の入力された順にLUTを作成しつつ、色調整が実行されてもよい。また、このようにして作成されたLUT15bをHDD15に記憶しておき、同一の色域間の色域変換処理が指示された場合は作成済みのLUTを参照して色変換処理を行う等、種々の構成が可能である。
(2)LUT作成処理:
図5は、LUT作成作業のフローチャートである。この作業においては多くの演算処理を必要とするので、コンピュータを使用して演算を実行するのが好ましい。本発明における色域変換処理は、所定の色相において色相を積極的に変化させること無く明度および彩度を変化させることによって行われている。すなわち、J色空間においてJ軸を通りJ軸に平行な平面において処理を行っている。また処理を行う領域は、変換先の色域(プリンタ色域)外であって変換元の色域(ディスプレイ色域)内となる領域が存在する所定の色相であって、本実施形態においては、黄相〜青相である。むろんこの処理領域はディスプレイ、プリンタの機種、プリンタで使用するメディア、プリンタで使用するインク種類等によって適宜変更される。
本実施形態において作成されるLUTはRGB値とRGB値との対応関係であるが、カラーアピアランスを考慮するために機器独立色空間であるJab空間で処理を行う。まずステップS200にて、ディスプレイ18に対して選択されたDMP1を取得してディスプレイ18の色域を設定する。たとえばディスプレイ18がRGB各色256階調で表現されているのであれば、XYZ値算出モジュールM1が、各色256階調で全ての組合せを考慮しつつ公知の変換式でXYZ値に変換すればXYZ色空間におけるディスプレイ18の色域が確定する。このように変換されたXYZ値に対し、さらにCA変換モジュールM3が、DMP1に記載の観察条件を考慮したカラーアピアランス変換を行ってJ値を算出する。以上、ディスプレイ18のRGB値とJ値との対応関係を設定したLUTが第1色変換テーブルとなる。そして、J値を受け取った色域マッピングモジュールM5が、得られたJ値を包含する領域(例えば三次元凸包やポリゴン等)の作成を行って色域を設定する。色域は、得られたJ値を包含する三次元立体である。
続いてステップS210では、プリンタ40に対して選択されたDMP2を取得して、プリンタ40の色域を設定する。プリンタ40のCMYK階調データが各色256階調で表現されているのであれば、これらの各階調で表現可能な色域がsRGB色空間のどの範囲に該当するかがDMP2に記載されており、XYZ値算出モジュールM2は、この範囲においてRGB各色256階調の組合せを考慮しつつ公知の変換式でXYZ値に変換すればXYZ色空間におけるプリンタ40の色域が確定する。さらにCA変換モジュールM3が、DMP2に記載された観察条件を考慮したカラーアピアランス変換をXYZ値に対して行ってJ値を算出する。以上、プリンタ40のRGB値とJ値との対応関係を設定したLUTが第2色変換テーブルとなる。そしてJ値を受け取った色域マッピングモジュールM5が、得られたJ値を包含する領域(例えば三次元凸包やポリゴン等)の作成を行って色域を設定する。
以上のように、ディスプレイ18およびプリンタ40の色域を確定した後、ステップS220にて色域変換処理を行ってJ色空間においてディスプレイ色域をプリンタ色域内にマッピングする。本願における色域変換処理においては、高明度においては彩度と明度の双方を変化させ、低明度においては明度を維持しつつ彩度を変化させるマッピングを行っている。従って、ディスプレイの色をプリンタの色域にて再現するにあたり、高明度においては高彩度の階調性が向上して色再現が良好になり、低明度においては暗部の階調性が向上する。この色域変換処理については後述する。
以上の変換によりディスプレイ色域とプリンタ色域との対応関係が規定されたことになるので、ステップS230においては色変換時の補間演算に必要な代表点を抽出してLUT15bを作成する。すなわち、前記第1色変換テーブルに基づいてディスプレイ18のRGB値をXYZ値に変換し、該XYZ値に色域変換処理を行ってプリンタ40の色再現域内に変換し、変換されたXYZ値を前記第2色変換テーブルに基づく逆引きによりプリンタ40のRGB値に変換して、sRGB色空間においてディスプレイ18のRGB値をプリンタ40のRGB値に対応付けるLUT15bを作成する。なお、色変換処理後のXYZ値は、第2色変換テーブルに記載されている点とは限らないため、近い値のXYZ値を第2色変換テーブルから探索し、色変換処理後のXYZ値を囲む数点のXYZ値を特定して、特定されたXYZ値に対応するRGB値から補間演算することにより、色変換処理後のXYZ値に対応するRGB値を決定することになる。
ただし、RGB値を決定するまでに変換処理や演算が行われるため、決定されたRGB値がsRGB色空間におけるプリンタ色域から外れてしまう可能性もある。そこでステップS240においては、ディスプレイ18色域を包含する領域(例えば三次元凸包やポリゴン等)の作成を行ってsRGB色空間における色域を設定し、後述の色域内外判定処理を行うことになる。この結果設定されたsRGB色空間におけるプリンタの色域は、sRGB色空間におけるディスプレイの色域と一対一の対応関係にある。以上のようにして設定されたLUT15bを参照して画像データ15aを変換することにより、プリンタ40の色再現範囲に色変換された画像をディスプレイ18上に再現できる。
なお、前述のDMPやGMMPは必要に応じて追加したり変更したりすることが可能であり、ディスプレイ18やプリンタ40の機種変更、プリンタ40で使用するインク種類やメディア種類の変更などに容易に対応することが出来る。
(3)印刷処理:
ここで、図6のフローチャートを参照しつつLUT15bを利用した印刷処理について以下に説明する。PRTDRV21が印刷実行指示を受け取ると、ステップS100において画像データ取得モジュール21aはRAM12に格納された画像Aの画像データ15aを取得する。すると、ステップS110にて色変換モジュール21bが起動され、画像データ15aの各ドットのRGBデータがCMYKデータに変換される。このとき、色変換モジュール21bは、LUT15bとLUT15cを参照して補間演算によってCMYKデータを生成する。このLUT15bは後述の色域変換処理を行って作成されたものである。従って、LUT15bはディスプレイ18の所定の色をプリンタ40にて階調性を維持しつつ色再現性の高い色に対応づけるテーブルとなっている。LUT15cはsRGB値をCMYK値に変換するLUTである。なお、本実施形態においては、色域変換モジュール24が予めLUT15bを作成しており、この作成済みのLUT15bを色変換モジュール21bが取得して利用する構成として記載してあるが、無論、色変換モジュール21bの求めに応じて色域変換モジュール24がLUT15bを作成して色変換モジュール21bに供給する構成としても構わない。
色変換モジュール21bが色変換を行ってCMYKの階調データを生成すると、ステップS120にて当該CMYKの階調データは前記ハーフトーン処理モジュール21cに受け渡される。ハーフトーン処理モジュール21cは、各ドットのCMYK階調値を変換してインク滴の記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行うモジュールであり、変換後の記録密度でインクを付着させるためのヘッド駆動データを生成する。そして、ステップS140にてプリンタI/O19bを介して当該生成した印刷データを出力する。印刷データ生成モジュール21dはヘッド駆動データを受け取って、プリンタ40で使用される順番に並べ替える。すなわち、プリンタ40においてはインク吐出デバイスとして図示しない吐出ノズルアレイが搭載されており、当該ノズルアレイでは副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分間離れたデータが同時に使用される。
そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替えるラスタライズを行う。このラスタライズの後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、前記USBI/F13を介してプリンタ40に出力する。プリンタ40においては当該印刷データに基づいて前記ディスプレイ18に表示された画像を印刷する。ステップS150では、画像データ15aの全ラスタに関して上述の色変換処理等を行ったか否かを判別し、全ラスタに関して終了したと判別されるまでステップS100以降の処理を繰り返す。
(4−1)色域変換処理:
次に、前記ステップS220における色域変換処理を詳細に説明する。図7はディスプレイの色域とプリンタの色域とをJab空間における所定の色相角θにて切断した状態を示す模式図である。なお同図において横軸は彩度C(=(a+b1/2)、縦軸は明度Jである。本実施形態においては、色域変換処理にあたりディスプレイ色域のうちプリンタ色域の外部および外殻付近の領域を、プリンタ色域の外殻付近にマッピングする。なお、ディスプレイ色域のうちプリンタ色域の外殻付近を除いた内部の領域については、同一座標値にマッピングすることになる。
本実施形態における色域変換処理では、各色相角で切断したプリンタ色域において最大彩度Cmaxを示す座標(Cmax,J)の明度Jを境に、高明度側と低明度側とで異なるマッピングアルゴリズムを採用する。以下、(Cmax,J)を尖頭(cusp)と呼び、尖頭の明度を尖頭値と呼ぶことにする。図8は本実施形態における圧縮アルゴリズムを説明する図である。本実施形態の圧縮アルゴリズムは、尖頭値よりも高明度側においては、例えばSGCK(Sigmoidal Gaussian Cusp Knee)のように明度維持を重視しつつも彩度と明度の双方を圧縮するアルゴリズム(第1圧縮アルゴリズム)を採用するとともに、尖頭値よりも低明度側においては、例えばBasicPhoto((登録商標)Microsoft)のように明度を維持しつつ彩度を圧縮するアルゴリズム(第2圧縮アルゴリズム)を採用してある。以下の説明においてはSGCKとBasicPhotoを例にとって説明を行う。
各圧縮アルゴリズムにおいては、まず、ディスプレイ色域がプリンタ色域の内部に収まっているか否かの内外判定が行われる。SGCKの内外判定では、(0,J)と判定対象の色点(C,J)とを結ぶ直線とディスプレイ色域の外殻との交点(C,J)が、プリンタ色域内であるか否かの判定を行う。一方、BasicPhotoの内外判定では、判定対象の色点(C’,J’)を含む直線J=J’とディスプレイ色域の外殻との交点(C’,J’)が、プリンタ色域内であるか否かの判定を行う。ここで、SGCKにおいて交点(C,J)を内外判定の判定対象とし、BasicPhotoにおいて交点(C’,J’)を内外判定の判定対象としている理由は、SGCKの圧縮方向が(0,J)方向でありBasicPhotoの圧縮方向がJ=J’方向だからである。なお、他の圧縮アルゴリズムであれば判定対象色点から圧縮方向に延びる直線とディスプレイ色域外殻との交点の内外判定を行うことになる。この内外判定において交点がプリンタ色域内と判定された色点については、座標値を変更することなくマッピングされる。
一方、内外判定において交点(C,J)や交点(C’,J’)がプリンタ色域外と判定された色点については、圧縮対象の色点であるか否かを判定するための圧縮対象判定が行われる。圧縮対象判定は、処理対象の色点がプリンタ色域における所定の非圧縮領域P1の内部であるか否かを判定することによって行われる。本実施形態における非圧縮領域P1は、プリンタ色域を彩度方向に90%に圧縮した領域であり、該非圧縮領域P1内の彩度はプリンタ色域外殻における彩度の90%以下である。この非圧縮領域P1に位置するディスプレイ色域は、圧縮されずにプリンタ色域の同一の座標値にマッピングされる。これに対し、非圧縮領域P1の外部にはみ出しているディスプレイ色域は、線型圧縮されて圧縮領域P2に対応付けられる。圧縮領域P2は、プリンタ色域の外殻付近に設定される領域であり、本実施形態においては、非圧縮領域P1を除いた残りのプリンタ色域が該当する。
なお、本実施形態では非圧縮領域P1をプリンタ色域の90%として記載してあるが、無論このパーセンテージに限るものではなく、0より大きく100未満の任意のパーセンテージを適宜採用可能である。また、必ずしも全明度域に亘って同一のパーセンテージで規定する必要もなく、非圧縮領域P1としては、プリンタ色域の外殻を含みつつプリンタ色域内部に広がる領域であれば、各明度における非圧縮領域P1のサイズを変えて様々な範囲を設定可能である。
圧縮対象判定が終了すると、第1圧縮アルゴリズムにおいては、圧縮対象と判定された色点に対し、図8に示すような線型的なマッピングが行われる。図8は第1圧縮アルゴリズムを説明する図である。同図に示すマッピングは、例えば下記(1)式により表すことが出来る。

ここで、(C,J)は圧縮前の色点の座標であり、(Cnew,Jnew)は圧縮後の色点の座標である。また、(0,J)と色点(C,J)とを結ぶ直線上において、(0,J)から色点までの距離をD、(0,J)から非圧縮領域P1の外殻までの距離をD、(0,J)からディスプレイ色域の外殻までの距離をD、(0,J)からプリンタ色域の外殻までの距離をDとしてある。
すなわち、前記式(1)では、非圧縮領域P1の外殻から色点までの距離(C−D)に対し、非圧縮領域P1の外殻からディスプレイ色域の外殻までの距離(D−D)と非圧縮領域P1の外殻からプリンタ色域の外殻までの距離(D−D)の比を乗ずることにより、非圧縮領域P1の外殻とディスプレイ色域の外殻との間における色点の位置関係を、非圧縮領域P1の外殻とプリンタ色域の外殻との間に規格化して再現してある。以上の圧縮により、プリンタ色域外の色点のうち尖頭値よりも高明度の色点は、明度と彩度とを圧縮されてプリンタ色域内部の圧縮領域P2にマッピングされることになる。なお、式(1)の圧縮アルゴリズムは一例であり、線形的なマッピングに限らず非線形的なアルゴリズムでマッピングしても無論構わない。
一方、第2圧縮アルゴリズムにおいては、圧縮対象と判定された色点に対し、図9に示すようにな線形的なマッピングが行われる。図9は第2圧縮アルゴリズムを説明する図である。同図に示すマッピングは、例えば下記(2)式により表すことができる。

ここで、(C,J)は圧縮前の色点の座標、(Cnew,Jnew)は圧縮後の色点の座標である。また、明度Jにおける非圧縮領域P1の外殻の彩度をC、明度Jにおけるプリンタ色域の外殻の彩度をC、明度Jにおけるディスプレイ色域の外殻の彩度をCとしてある。前記式(2)では、非圧縮領域P1の外殻から色点までの距離(C−C)に対し、非圧縮領域P1の外殻からディスプレイ色域の外殻までの距離(C−C)と非圧縮領域P1の外殻からプリンタ色域の外殻までの距離(C−C)の比を乗ずることにより、非圧縮領域P1の外殻とディスプレイ色域の外殻との間における色点の位置関係を、非圧縮領域P1の外殻とプリンタ色域の外殻との間に規格化して再現してある。以上の圧縮により、プリンタ色域外の色点のうち尖頭値よりも低明度の色点は、明度を維持しつつ彩度を圧縮されてプリンタ色域内の圧縮領域P2にマッピングされることになる。なお、式(2)の圧縮アルゴリズムは一例であり、線形的なマッピングに限らず非線形的なアルゴリズムでマッピングしても無論構わない。
以上説明した第1圧縮アルゴリズムにおいては、尖頭値から離れるほど明度の圧縮度合が高まり、尖頭値に近づくほど明度の圧縮度合が低くなり、尖頭値Jにおいては明度の圧縮率が0となる。もちろん、第2圧縮アルゴリズムにおいては、明度の大小に関わらず明度が維持されている。すなわち、尖頭値においては、第1圧縮アルゴリズムの圧縮率と圧縮方向は、第2圧縮アルゴリズムの圧縮率と圧縮方向に一致することになる。従って、尖頭値を挟んで異なる圧縮アルゴリズムを採用しながらも、マッピング後の色点間で尖頭値における連続性が確保されるし、尖頭値付近における明度の逆転も防止されることになる。明度の逆転を防止することにより、彩度よりも明度に対して感度が高い人間の目に対し、自然な印象を与える印刷結果を実現する色域変換が実現可能となる。
図10は、以上説明した尖頭値を境に圧縮アルゴリズムを使い分けることによる作用効果を説明する図である。同図は緑色の階調性を示す図であり、上下に緑色の明度を連続的に変化させた画像データを各圧縮アルゴリズムでマッピングして印刷してある。図10(a)は全明度域に亘ってBasicPhotoでマッピングした場合の印刷結果、図10(b)は全明度域に亘ってSGCKでマッピングした場合の印刷結果、図10(c)は本願の圧縮アルゴリズムでマッピングした場合の印刷結果、をそれぞれ示している。BasicPhotoでマッピングした図10(a)の印刷結果では上部の高階調で階調性が乏しくなって、SGCKでマッピングした図10(b)の印刷結果では、暗部に明度が大きく変わる箇所があるために階調性が悪く黒潰れが発生している。これに対し、本実施形態の色域変換処理を行ってマッピングした図10(c)では高彩度において階調表現が豊かであり、暗部において階調性が維持されていることが分かる。
図11は、前記式(1)(2)を使用して行う色域変換処理のフローチャートである。同図において、まず、ステップS300で処理対象の色相角θを決定し、ステップS305で該色相角θにおける初期座標(C,J)を決定する。そしてステップS310にて色相角θにおけるプリンタ色域の尖頭値Jを取得し、ステップS315において、初期座標の色点に対しプリンタ色域の内外判定を行う。内外判定の結果、プリンタ色域の内部と判定されると、ステップS320にて(C,J)と同一の座標値を有するプリンタ色域の色点にマッピングする。一方、プリンタ色域の外部と判定されると、ステップS310で取得した尖頭値に基づいてステップS325にて何れの圧縮アルゴリズムを使用するかを決定する。そして決定された圧縮アルゴリズムに従ってステップS330で圧縮先の座標(Cnew,Jnew)を決定し、この座標にマッピングする。
このようにしてステップS315,S330にて座標(C,J)のマッピングが完了すると、ステップS335にて全座標に対する(Cnew,Jnew)の演算が終了したか否かを判断する。ここで、本色域変換処理はLUTを作成するための一過程としての処理であることから、全座標について演算が終了したか否か判別すると言っても、当該LUTを作成するために必要十分な座標に対する演算が終了したか否を判別すれば十分であり、整数座標値のみに対して演算したり、Jab空間で所定ピッチの格子点を考えてこの格子点についてのみ演算するようにすること等種々の態様を採用可能である。
ステップS335にて全座標について演算が終了したと判別されないときには、ステップS345にて次の演算候補座標(C,L)をセットし、ステップS315以降の処理を繰り返す。ステップS335にて全座標について演算が終了したと判別したときには、ステップS340にて全色相について色域変換処理が終了したか否かを判別し、全色相について色域変換処理が終了したと判別されるまでステップS300以降の処理を繰り返す。
なお、本発明の色域変換処理は、前述のような静的なLUTを作成する場合のみならず、入力されたsRGB値に対するマッピング先を動的算出して生成する場合にも適用可能である。LUT作成のように各色相角の色点を連続して処理する場合は、前述したフローチャートのようにステップS320の色域内外判定の前にステップS310の尖頭値の決定を行う方が処理効率がよいが、動的なマッピング処理において入力される色点の色相角がランダムに変化する場合は、ステップS320の色域内外判定の後にステップS310の尖頭値の決定を行う方が処理効率がよくなる。
ところで、前述した実施形態ではプリンタ色域の尖頭値Jを境界として、高明度側においては第1の圧縮アルゴリズムにて色域変換を実行し、低明度側においては第2の圧縮アルゴリズムで色域変換を実行しているが、尖頭値をよりも明度が高いか低いかで圧縮アルゴリズムを切換える以外にも、例えば、外殻形状の類似度合に応じて圧縮アルゴリズムを切換えて選択してもよい。例えば、上に凸の外殻形状を有する色域を下に凸の外殻形状を有する色域に対してマッピングすると、明度や彩度の変化が強調されて急峻になり、特に階調性に大きく影響する。このような事情に鑑みて、外殻形状の膨らみ方向が異なる場合は、階調性を維持する明度維持型の圧縮アルゴリズムを採用し、外殻形状の膨らみ方向が一致する場合は、明度と彩度とを圧縮する圧縮アルゴリズムを採用する。すると色域形状に合わせて階調性の維持が適切に行われることになる。
(4−2)色域変換処理の変形例:
次に前述した色域変換処理の変形例について説明する。該変形例においてはプリンタ色域とディスプレイ色域との色域形状の相似度合に応じて、前述の実施形態のように尖頭値で圧縮アルゴリズムを切換えるか圧縮アルゴリズムの切換えを行わずに全明度域に亘って明度維持型の圧縮アルゴリズムを適用するかを選択する。相似度合の判断には、プリンタ色域の尖頭値Lcuspとディスプレイ色域の尖頭値Lcusp’の位置関係を利用する。すなわち、プリンタ色域とディスプレイ色域とで尖頭値が近い場合は色域形状が相似すると見做し、ディスプレイ色域においてプリンタ色域外の色点をプリンタ色域内にマッピングするにあたり、全明度域に渡って明度を略維持したマッピングを行うのである。このようにプリンタ色域の尖頭値とディスプレイ色域の尖頭値の関係に基づいて圧縮アルゴリズムの切り替えることによって、マッピング後の階調性がより適切に維持されることになる。
図12はディスプレイの色域Jabとプリンタの色域PとをJab空間におけるab平面で切断した状態を示している。なお、(a)は緑の色相角にて切断した状態であり、(b)はマゼンタの色相角にて切断した状態であり、(c)は青の色相角にて切断した状態である。同図において横軸は彩度C、縦軸は明度Jである。プリンタ色域の各色相における尖頭値は、尖頭値の存在する明度が色相角毎に異なっており、緑においては高明度に存在し、マゼンタにおいては中明度に存在し、青においては低明度に存在する。従って、尖頭値Jと尖頭値J’の値が近い色域間のマッピングであれば、全明度域に亘って明度維持型の圧縮アルゴリズムで色域変換処理を行っても階調性が十分に維持されるが、尖頭値Jと尖頭値J’の値が離れている色域間のマッピングであれば、彩度の移動に加えて明度のシフトを行った方が色再現の観点において好ましい。
図13は本変形例の色域変換処理における圧縮アルゴリズムの切り替え方を説明する図である。同図に示すように、本変形例の色域変換処理においては、まず各色域の尖頭値に基づいて圧縮アルゴリズムの切り替えの要否を以下の式(3)によって判定する。

ここでJはプリンタ色域の尖頭値、Jはディスプレイ色域の尖頭値、Jはプリンタ色域(ディスプレイ色域)の白点、である。この式(3)によれば、白点と尖頭値Jの間隔の半分を閾値Jthとして、尖頭値間の差分Jsubと閾値Jthとの大小関係に基づいて圧縮アルゴリズムの切換えを行うか否かが判断される。すなわち尖頭値間の差分が前記閾値よりも大きい(Jsub>Jth)場合は、プリンタ色域とディスプレイ色域の形状が非相似であると判断し、前述した実施形態と同様に尖頭値Jを境にして第1圧縮アルゴリズムと第2圧縮アルゴリズムとを切換えて色域変換処理を行う。一方、尖頭値間の差分が該閾値以下(Jsub≦Jth)場合は、プリンタ色域とディスプレイ色域の形状が相似していると判断し、例えば全明度域に亘って明度を維持しつつ彩度を圧縮する第2圧縮アルゴリズムで色域変換処理を実行する。
また、前述した実施形態における第1圧縮アルゴリズムの圧縮方向は、処理対象の色点(C,J)からプリンタ色域の尖頭値(0,J0p)に向かう方向であったが、本変形例においては、この方向に尖頭値間の差分Jthに応じた変更を加えてもよい。具体的には、下記式(4)のように、差分Jthに応じた角度を加味した圧縮方向とすることが考えられる。

ここで、ベクトルnは色点(C,L)からプリンタ色域の尖頭値(0,L)に向かうベクトルであり、ベクトルnはディスプレイの尖頭値(0,L)からプリンタ色域の尖頭値(0,L’)に向かうベクトルであり、ncompは差分Lthに応じた角度を加味した圧縮方向を表すベクトルである。この式(4)により、ベクトルnに対しベクトルnに所定の係数αを乗じて加えたncomp方向が決定され、このncomp方向に圧縮することにより圧縮における明度圧縮度合に尖頭値間の差が反映されることになる。すなわち、尖頭値間の距離が拡がるほど明度の圧縮度合が増加し、尖頭値間の距離が縮まるほど明度の圧縮度合が低下するマッピングが行える。なお、本変形例においてもプリンタ色域の尖頭値Lにおいて明度圧縮率が0になり、尖頭値Lにおける圧縮方向と圧縮率との連続性が保たれるのは前述した実施形態と同様である。
図14は、前記式(3)に基づいてマッピングアルゴリズムの選択を行いつつ色域変換処理を行うフローチャートである。処理が開始されると、まず、ステップS400で処理対象となる色点の存在する色相角θを決定し、ステップS405で該色相角θにおける初期座標(C,J)を決定する。そしてステップS410にて色相角θにおけるプリンタ色域の尖頭値Jを取得し、ステップS415において、初期座標の色点に対しプリンタ色域の内外判定を行う。内外判定の結果、プリンタ色域の内部と判定されると、ステップS420にて(C,J)と同一の座標値を有するプリンタ色域の色点にマッピングする。一方、プリンタ色域の外部と判定されると、ステップS425にて色相角θにおけるプリンタ色域の尖頭値Jおよびディスプレイの尖頭値J’を決定し、これら尖頭値間の差分Jsubと閾値Jthとを比較する。比較の結果が差分LsubがLthよりも小さいときはステップS430にてアルゴリズムを切換えないと判断してステップS435に進んで圧縮アルゴリズムの切換えを行わずに明度を維持するアルゴリズムのみを使用してマッピングを行うことを決定する。一方、比較の結果が差分LsubがLthよりも大きいと判断された場合は、ステップS440に進んで圧縮アルゴリズムを切換えつつマッピングを行うことを決定する。そして決定された方式にてマッピングを行う。そして決定された圧縮アルゴリズムに従ってステップS345で圧縮先の座標(Cnew,Jnew)を決定し、この座標にマッピングする。
このようにしてステップS420、S445にて座標(C,J)のマッピングが完了すると、ステップS450にて全座標に対する(Cnew,Jnew)の演算が終了したか否かを判断する。ステップS450にて全座標について演算が終了したと判別されないときには、ステップS455にて次の演算候補座標(C,L)をセットし、ステップS415以降の処理を繰り返す。ステップS450にて全座標について演算が終了したと判別したときには、ステップS460にて全色相について色域変換処理が終了したか否かを判別し、全色相について色域変換処理が終了したと判別されるまでステップS400以降の処理を繰り返す。
(5)黒点補正処理:
以上説明した色域変換処理においては、ディスプレイ色域とプリンタ色域とで明度範囲が略一致、すなわち黒点が略一致している例について説明を行ってきた。しかしながら一般にディスプレイと比較した場合のプリンタは黒の再現能力が低く、両デバイスの色域の白点を一致させると暗部でディスプレイ色域の方が広くなり黒点が一致しない。黒点が一致しないと、ディスプレイ色域の暗部における複数階調値がプリンタ色域の黒点にマッピングされてしまい、色域変換処理における暗部の階調性を低下させ、色つぶれが発生する。そこで、前記SGCK等のマッピングアルゴリズムにおいては、暗部の階調性を維持するために、マッピングを行うにあたり予めS字カーブ等で黒点補正処理を行い、マッピングを行う色域間の黒点を一致させることが行われている。
ここで前記SGCKのS字カーブを用いた黒点補正処理について簡単に説明を行う。SGCKのS字カーブ補正は下記式(5)を用いて行われる。
上記式(5)において、Jは入力された色点の明度、JはJをシグモイド関数等を用いてS字カーブ補正した明度、pは入力色点の彩度に依存する重み係数、Jは黒点補正後の明度、である。Jでは、図15のようにプリンタ色域の外殻がディスプレイ色域の内部にある部位についてはシグモイド関数にてS字カーブ補正され、プリンタ色域の外殻がディスプレイ色域の外部にある部位については線型補正されている。Jはpに応じてJとJとを線型結合したものであり、pによって彩度が考慮されている。すなわち、低彩度領域におけるJには、Jの影響が強く現れて図16のように全明度域に渡って階調性が十分に再現されるが、彩度が高まるにつれてJにおけるJの影響が強くなり、図17のようにS字カーブ補正後も出力機器色域から低明度側にはみ出した位置にマッピングされる部位が残ってしまう。
そこで、本実施形態においては、概略、ディスプレイ色域をSGCKのS字カーブにて補正した後の領域のうち、プリンタ色域の黒点よりも低明度側に補正されてしまう領域について、プリンタ色域の暗部の所定領域に対して線型圧縮する。すなわちSGCKのS字カーブで補正した後も階調の潰れている暗部を、プリンタ色域の黒点よりも高明度側にシフトして、ディスプレイ色域の暗部の階調性を適切に再現する補正を行う。無論、該補正も、SGCKのように暗部以外の中明度域、高明度域には影響が及ばないようにしてある。なお、本実施形態ではSGCKの黒点補正処理を補完する黒点補正処理として説明を行うが、本発明の黒点補正処理はSGCKのように彩度依存型の黒点補正を行うものを補完するために行う場合に限るものではなく、色域変換処理に先立って色域間の黒点を一致させるための処理として普遍的に利用可能であることはいうまでもない。
図18は本実施形態の概念を説明する図である。同図に示すように、本発明の黒点補正では、SGCKのS字カーブ補正後の明度に対し、ディスプレイ色域の黒点をプリンタ色域の黒点に一致させるとともに、ディスプレイ色域の全明度範囲に亘って黒点を上回る明度が出力されるように補正し、出力がプリンタ色域の黒点を下回る部位を高明度側に修正する。
プリンタ色域の黒点よりも低明度側に広がる所定領域を、黒点よりも高明度側の所定領域に対し対応付けるだけでも黒点補正自体は実現されるが、所定領域内にも階調性の維持が重要な部位とそうでない部位とが存在する。そこで本実施形態においては、ディスプレイ色域の暗部に、圧縮率と圧縮先が各々異なる3つの領域を設定する。圧縮率は各領域で一定であり、各領域は圧縮先に対して線型圧縮される。領域は階調性の重要度に応じて設定されており、階調性が重要な領域については圧縮率を低めつつ圧縮先の領域を広めに確保し、重要度の低い領域については圧縮率を高めつつ圧縮先の領域も狭目に確保する。無論、領域設定を行わずに非線形圧縮によって階調性の重要度合に応じた圧縮率や圧縮先を設定してもよいし、領域設定しつつ各領域で圧縮率の異なる非線型圧縮を行っても構わない。
以下、図19を参照してこの黒点補正処理の詳細を説明する。まず領域設定の手順について説明を行う。領域設定においては、まず明度軸上におけるプリンタ色域の黒点JDBと、S字カーブ補正後のディスプレイ色域の黒点JSBとが確定される。この黒点JSBは前記式(5)によって求められる彩度依存性のある値であり、彩度上昇に伴って低下する明度を表す軌跡Tとして表すことができる。次に、求めた黒点JDBの軌跡Tにディスプレイ色域の尖頭値Jを考慮した係数αを乗じて、尖頭値を考慮した軌跡Tを算出する。軌跡Tと尖頭値Jを考慮した係数αは、下記式(6)で決定される。

次に、プリンタ色域の黒点(J=JDB)の直線を線対称の軸として、下記式(7)により軌跡Tを線対称移動させた軌跡Tを決定する。

以上決定された軌跡Tよりも低明度側が第1領域Aとなる。なお本実施形態の黒点補正対象となる色点は、実際には、SGCKの黒点補正により第1領域AのTとTに挟まれる領域にのみ存在する。また、軌跡TとJ=JDBに囲まれた領域が第2領域Aとなり、軌跡TとJ=JDBとに囲まれた領域が第3領域Aとなる。
以上の領域形成における軌跡Tと軌跡Tを形成において、尖頭値を考慮することにより、プリンタ色域の尖頭値Jを含む領域が、本実施形態における黒点補正の圧縮対象とならないように調整される。すなわち、ディスプレイ色域の尖頭値Jが高明度に存在する場合は、軌跡Tがより高明度側に設定され、ディスプレイ色域の尖頭値Jが低明度に存在する場合は、軌跡Tがより低明度側に設定される。結果として、尖頭値Jの明度が高いほど第3領域Aが広がるとともに尖頭値Jの明度が低いほど第2領域Aが狭まり、尖頭値Jが黒点補正の圧縮で変動することを防止しつつ、暗部の階調性を最大限に維持する黒点補正を可能にする領域設定が可能となる。
次に、各領域の圧縮先となる領域について、図20〜図22を参照して説明する。図20は、第1領域Aの圧縮先を説明する図、図21は第2領域Aの圧縮先を説明する図、図22は第3領域Aの圧縮先を説明する図である。まず、図20に示すように、第1領域Aは一律にプリンタ色域の黒点JDBに補正される。次に、図21に示すように、第2領域Aは、圧縮率0.75で線型圧縮されつつ、第3領域Aの低明度側75%の領域Bに向けて補正される。この第2領域Aの補正式は下記式(8)で表される。

前記式(8)において、Joutは本実施形態の黒点補正後の明度であり、T(C)は黒点補正対象となる色点の彩度Cにおける軌跡Tの明度である。そして、第3領域Aは、図22に示すように圧縮率0.25で線型圧縮されつつ、第3領域Aの高明度側25%の領域Bに向けて補正される。この第3領域Aの補正式は下記式(9)で表される。

前記式(9)において、Joutは本実施形態の黒点補正後の明度であり、T(C)は黒点補正対象となる色点の彩度Cにおける軌跡Tの明度である。
以上のように設定された領域A〜Aを利用して行われる黒点補正について、図23を参照しつつ説明する。図23は黒点補正処理のフローチャートである。処理が開始されると、ステップS500においてSGCKのS字カーブ補正を実行する。次に、ステップS505に進み、プリンタ色域の黒点JDBと、入力された色点(J,C)に対応する彩度における黒点JSBとを決定する。次にステップS510において黒点JDBと黒点JSBとを比較する。該比較の結果、黒点JDBが黒点JSBよりも大きい場合はステップS515に進んで本実施形態の黒点補正を行わずに前記式(5)のS字カーブ補正を行った明度Joutを出力する。一方、黒点JDBが黒点JSBよりも小さい場合は、ステップS520に進んで軌跡Tを決定するとともに、前述の式(6)、式(7)によって軌跡Tと軌跡Tを決定する。そしてステップS525において、処理対象となる色点を式(5)でS字カーブ補正した座標値(J,C)と黒点LSBの軌跡Tとを比較する。該比較の結果、座標値が軌跡T以下の場合はステップS530にてプリンタ色域の黒点JDBをJoutとして出力する。一方、座標値(J,C)が軌跡Tよりも大きい場合はステップS535にて座標値(J,C)とプリンタ色域の黒点JDBとの比較を行う。該比較の結果、(J,C)が黒点JDB以下の場合は、ステップS540にて式(8)により圧縮率0.75で圧縮しつつ領域Bに変換した明度Joutを出力する。一方、座標値(J,C)が黒点JDBよりも大きい場合は、ステップS545にて座標値(J,C)と軌跡T3とを比較する。該比較の結果、座標値(J,C)が軌跡T以下の場合は、ステップS550にて式(9)により圧縮率0.25で圧縮しつつ領域Bに変換した明度Joutを出力する。一方、座標値(J,C)が軌跡T3を超える場合は、黒点補正の必要が無いので、ステップS555に進んでそのままの値をJoutとして出力する。以上の黒点補正が終了すると、黒点補正後の色点(Jout,C)を前述の色域変換処理にてプリンタ色域にマッピングすることになる。
なお、以上本実施形態においてはSGCKのS字カーブによる黒点補正処理後の明度を補正する例について説明を行ったが、本発明の黒点補正は暗部において入力機器の色域よりも出力機器の色域が狭い場合であればどのような色域変換処理にも適用可能である。
(6)色相間の尖頭値変動の平滑化処理:
以上の色域変換処理や黒点補正処理においては、プリンタ色域やディスプレイ色域の尖頭値を利用した処理を行っている。この尖頭値についてプリンタ色域の各色相における尖頭値をプロットしたグラフが図24である。同図においては、色相角が約110°、130°、260°に小刻みに振幅の起こる箇所が観察される。小刻みな振幅が発生する箇所では、前述の色域変換処理や黒点補正処理を行った際に、その振幅の前後で明度の逆転が発生し、擬似輪郭が起きる可能性がある。このような擬似輪郭の発生を防止するために、色相間の階調を平滑化しておくことが好ましい。以下、擬似輪郭の発生防止のための色相間の尖頭値変動を平滑化する処理について説明を行う。
本実施形態の色相間の尖頭値変動の平滑化においては、最大彩度をとる色相の尖頭値を平滑化のための基準点として使用して平滑化を行う。一般にプライマリカラーは色表現能力が高いため最大彩度を取りやすい。そこでまずは平滑化の基準点としてプリンタ色域におけるプライマリカラー(本実施形態においては、加法混色と減法混色の一次色としてRGBCMYを想定してある。)の尖頭値を採用し、下記式(10)を用いて隣接プライマリカラーの尖頭値間を平滑化する。

ここで、L(θ)は所定色相θ(θ?θ?θ)における尖頭値、L0Mはマゼンタの色相θにおける尖頭値、L0Bは青の色相θにおける尖頭値、Rateは隣接するプライマリカラーの尖頭値間を線型補間する係数、である。なお、前記式(10)には青〜マゼンタの色相角を平滑化する式を例示してあるが、他のプライマリカラー間の尖頭値についても同様の式で平滑化できる。図25は前記図24のグラフをプライマリカラーの尖頭値を利用して近似したグラフである。小刻みに振幅していた箇所が平滑化されたことが見て取れる。このように既定のプライマリカラーの尖頭値間を補間すると、尖頭値の算出処理や補間処理が非常に簡易になる。
ところで、例えばJCh色空間のように、プライマリカラーが最大彩度をとらない場合もある。このような場合は、まず、最大彩度となる基準点の検出を行う。すなわち、プライマリカラーに代えて、尖頭値の傾きが大きく変動する色相の尖頭値を基準点としてする。すなわち、色相の変化に対する尖頭値Jの変化度合いが大きく変動する色相角θ(以下、勾配変動点Iと称する。)を複数ポイント検出する。そして、各勾配変動点Iにおける尖頭値L(I)の間を所定の補間式で補間することにより、色相の変化に対する尖頭値Lの変化を平滑化する。
勾配変動点Iを検出するために、まず色相角θを所定量ずつ変化させつつプリンタ色域を所定色相角で切断した色域の尖頭値Jを順に求め、色相の対する尖頭値Jの変動データを取得する。次に所定の色相範囲Rを設定し、取得した変動データの所定の色相範囲Rを所定の色相範囲R内における尖頭値Jの傾きの変化度合を、所定の色相範囲Rを所定量ずつシフトさせつつ全色相に亘って算出する。このとき設定される所定の色相範囲Rの最小値は、前述した小刻みな振幅よりも広く設定される必要がある。そして、変動の大きい順に例えば12ポイントの色相角θ〜θ12を選択し、色相角の昇順に勾配変動点I〜I12として設定する。より具体的な勾配変動点の検出の仕方としては、図24のa,b,c等のように該勾配変動点の前後で傾きの符号が変化するような点であってもよいし、図24のdのように傾きの符号自体は変化しないが傾きが比較的大きく変化する点、等が可能である。実際には、以上の勾配変動点に設定されやすい部位は、極値や変曲点であることが多い。
そして決定された勾配変動点の尖頭値間を以下の補間式(11)にて補間する。

前記式(11)では、θ?θ?θn+1のJ(θ)を求めることができる。ここで、J(I)は勾配変動点Iにおける尖頭値、J(θ)は色相角θにおける尖頭値、Rate’は隣接する基準点の尖頭値間を線型補間する係数である。以上の式(11)によれば、各勾配変動点の尖頭値の間の尖頭値が平滑化され、小刻みな振幅を解消できる。なお、基準点の尖頭値間の補間は、線型補間に限るものではなく、例えば3次補間などの高次の補間を利用しても構わない。
図26は色相間の尖頭値変動を平滑化する処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態においては、ステップS600にて各色相角における尖頭値を色相角を所定角置きに取得する。ステップS605では、取得された尖頭値の色相変化に対する傾きを検出し、傾きの変動が大きい色相角θ〜θ12を色相角の昇順に勾配変動点I〜I12に決定する。そしてステップS610にて勾配変動点I〜I12における尖頭値L(I)〜L(I12)を式(11)で線型補間する。以上のようにして求めた各色相の尖頭値を使用して前述の色域変換処理や黒点補正処理を行えば、各色相間でマッピングベクトル方向を安定して色相変化に対する尖頭値変化に起因した小刻みな振幅が抑制され、擬似輪郭が発生しなくなる。
さらに、色相間の尖頭値変動を平滑化するにあたり、前述したプライマリカラー6色に加えて各プライマリカラーの中間値を基準点に追加したり、検出された勾配変動点Iの間に基準点を複数追加したりすると、補間された尖頭値の実際の尖頭値に対する近似精度の向上が期待できる。また、前述した勾配変動点Iの決定方法として、例えば傾きが正負で変化する部位のみを勾配変動点Iとして採用しても構わない。傾きの符号が変化しない場合は、補間などで近似が可能であり、実際の尖頭値と大幅なズレは発生しないと想定されるからである。また、補間には、尖頭値間の線型補間のみならず、各尖頭値を3次補間式などで非線形的に近似した補間を行っても無論構わない。3次補間を用いると、基準点における尖頭値の変動が緩やかな場合に、近似精度が向上する。
さらにプライマリカラーが勾配変動点であるか否かが不明な場合に好適な変形例として、前述した実施形態を組合せても良い。すなわち、プライマリカラーRGBCMYを仮の勾配変動点として設定しつつ、該プライマリカラーを略中心とする所定の色相範囲Rに含まれる各色相の尖頭値Jを順次取得し、取得した変動データにおける傾きの変動度合を算出する。この変動度合が所定の基準を超えていればプライマリカラーRGBCMYを真の勾配変動点として採用するのである。一方、変動度合が所定の基準を超えていない場合は、真の勾配変動点が他に存在する可能性があるため、前述の尖頭値の傾きが大きく変動する色相の探索を実行するのである。このようにプライマリカラーが勾配変動点になりやすいという前提に立ちつつも、プライマリカラーが本当に勾配変動点であるかを確認する処理を行うことにより、確実に真の勾配変動点を採用できる。さらに、プライマリカラーが勾配変動点であるか否かを判断する際に、各プライマリカラーの所定の色相範囲Rのみを確認対象とすることで演算量を最小限に抑えることができる。一般にプライマリカラーが勾配変動点であることが多いことを前提に、いわば、プライマリカラーが勾配変動点でない場合を例外処理とするのである。
前述した色相間の尖頭値を平滑化する処理は、ガマットに凹凸のあるプリンタ色域、特にフォトマット紙等の色域に適用すると好ましいが、無論、ディスプレイの色域に適用しても構わない。特に勾配変動点とプライマリカラーとが一致するのであれば、各色相角の尖頭値を逐次算出するのではなく、該色相階調平滑化処理にて各色相角の尖頭値を予測して処理速度を向上させることも可能である。
(7)まとめ:
以上説明したように、所定の機器独立色空間の所定色相においてディスプレイ色域の黒点JSBとプリンタ色域における黒点JDBとを検出して両黒点の大小関係を比較し、黒点JDBが黒点JSBよりも大きい場合はディスプレイ色域の尖頭Jを検出して、プリンタ色域内の尖頭Jよりも低明度側に圧縮先領域を設定する。そして、ディスプレイ色域のうち黒点JDBよりも低階調の領域と前記圧縮先領域とからなる圧縮元領域を、前記圧縮先領域に対し圧縮し、圧縮後のディスプレイ色域とプリンタ色域との対応関係を所定のアルゴリズムで規定し、この対応関係に基づいて前記第1カラー画像データを第2カラー画像データに変換する。よって、シャドウ部以外の階調性を損なうことなく、黒点補正を行うことが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。
本発明にかかる色変換プログラムを実行するコンピュータの概略ハードウェア構成を示すブロック図である。 色変換プログラムが同コンピュータのOS上に色変換モジュールとして実現された場合における概略構成を示すブロック図である。 色域調整の設定処理を行う画面の一例である。 色変換モジュールの概念図である。 LUT作成作業のフローチャートである。 印刷処理を示すフローチャートである。 ディスプレイの色域とプリンタの色域とをJab空間における所定の色相角θにて切断した状態を示す模式図である。 第1圧縮アルゴリズムを説明する図である。 第2圧縮アルゴリズムを説明する図である。 尖頭値を境に圧縮アルゴリズムを使い分けることによる作用効果を説明する図である。 色域変換処理のフローチャートである。 ディスプレイの色域Jabとプリンタの色域PとをJab空間におけるab平面で切断した状態を示している。 色域変換処理における圧縮アルゴリズムの切り替え方を説明する図である。 マッピングアルゴリズムの選択を行いつつ色域変換処理を行うフローチャートである。 SGCKのS字カーブ補正を説明する図である。 低彩度領域におけるSGCKのS字カーブ補正を説明する図である。 高彩度領域におけるSGCKのS字カーブ補正を説明する図である。 本実施形態にかかる黒点補正処理の概念を説明する図である。 本実施形態にかかる黒点補正処理における領域設定を説明する図である。 本実施形態にかかる黒点補正処理における圧縮元と圧縮先の領域を説明する図である。 本実施形態にかかる黒点補正処理における圧縮元と圧縮先の領域を説明する図である 本実施形態にかかる黒点補正処理における圧縮元と圧縮先の領域を説明する図である 本実施形態にかかる黒点補正処理のフローチャートである。 プリンタ色域の各色相における尖頭値をプロットしたグラフである。 プライマリカラーの尖頭値を利用して近似したグラフである。 色相間の尖頭値変動を平滑化する処理のフローチャートである。
符号の説明
10…コンピュータ、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…システムバス、15…ハードディスクドライブ(HDD)、15a…画像データ、15b…ルックアップテーブル(LUT)、18…ディスプレイ、19b…プリンタI/O、20…OS、21…プリンタドライバ(PRTDRV)、21a…画像データ取得モジュール、21b…色変換モジュール、21c…ハーフトーン処理モジュール、21d…印刷データ生成モジュール、22…操作用入力機器ドライバ(DRV)、23…ディスプレイドライバ(DRV)、24…色域変換モジュール、25…アプリケーションプログラム(APL)、30…操作用入力機器、40…プリンタ

Claims (8)

  1. 第1の画像機器にて使用される第1画像データを第2の画像機器にて使用される第2画像データに変換する画像処理方法であって、
    所定の機器独立色空間の所定色相において前記第1の画像機器の色域における第1の黒点と前記第2の画像機器の色域における第2の黒点とを検出し、前記第1の黒点と前記第2の黒点との大小関係を比較する黒点比較工程と、
    前記所定色相における前記第1の画像機器の色域の最大彩度点の明度を検出する検出工程と、
    前記大小関係において前記第1の黒点が小さい場合に、前記第2の画像機器の色域内であって前記検出工程において検出された前記明度よりも低明度側に圧縮先領域を設定する圧縮先領域設定工程と、
    前記第1の画像機器の色域のうち前記第2の黒点よりも低階調の領域と前記圧縮先領域とからなる圧縮元領域を圧縮して、前記圧縮先領域に対し写像する色域圧縮工程と、
    前記色域圧縮工程において写像された後の前記第1の画像機器の色域と前記第2の画像機器の色域との対応関係を所定の変換規則に基づいて設定する色域変換工程と、
    前記対応関係に基づいて前記第1画像データを第2画像データに変換する色変換工程と、
    を備えることを特徴とする画像処理方法。
  2. 前記圧縮先領域設定工程においては、前記検出工程において検出された前記明度が増加した場合は前記圧縮先領域を拡大し、前記検出工程において検出された前記明度が低減した場合は前記圧縮先領域を縮小する請求項1記載の画像処理方法。
  3. 前記色域圧縮工程においては、前記圧縮を実行するにあたり、前記圧縮元領域を複数領域に分割し、該分割された各領域に対して異なる圧縮率を設定し、該設定された圧縮率にて前記圧縮先領域への圧縮を実行する請求項1又は請求項2に記載の画像処理方法。
  4. 前記色域圧縮工程においては、前記圧縮を実行するにあたり、前記圧縮元領域の各部位に対して階調保存の重要性が高いほど低い圧縮率を設定し、該設定された圧縮率にて前記圧縮先領域への圧縮を実行する請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像処理方法。
  5. 前記色域圧縮工程においては、前記圧縮元領域が前記圧縮先領域に規格化されるように圧縮を実行する請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の画像処理方法。
  6. 前記第1の黒点は、前記第1の画像機器の色域に対し、各色点の彩度値の増加に伴って補正度合が低下するS字カーブ補正を行った結果として得られる最小明度である請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の画像処理方法。
  7. 第1の画像機器にて使用される第1画像データを第2の画像機器にて使用される第2画像データに変換する画像処理装置であって、
    所定の機器独立色空間の所定色相において前記第1の画像機器の色域における第1の黒点と前記第2の画像機器の色域における第2の黒点とを検出し、前記第1の黒点と前記第2の黒点との大小関係を比較する黒点比較手段と、
    前記前記所定色相における前記第1の画像機器の色域の最大彩度点の明度を検出する検出手段と、
    前記大小関係において前記第1の黒点が小さい場合に、前記第2の画像機器の色域内であって前記検出手段によって検出された前記明度よりも低明度側に圧縮先領域を設定する圧縮先領域設定手段と、
    前記第1の画像機器の色域のうち前記第2の黒点よりも低階調の領域と前記圧縮先領域とからなる圧縮元領域を圧縮して、前記圧縮先領域に対し写像する色域圧縮手段と、
    前記色域圧縮手段によって写像された後の前記第1の画像機器の色域と前記第2の画像機器の色域との対応関係を所定の変換規則に基づいて設定する色域変換手段と、
    前記対応関係に基づいて前記第1画像データを第2画像データに変換する色変換手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  8. 第1の画像機器にて使用される第1画像データを第2の画像機器にて使用される第2画像データに変換する機能をコンピュータに実現させるための画像処理プログラムであって、
    所定の機器独立色空間の所定色相において前記第1の画像機器の色域における第1の黒点と前記第2の画像機器の色域における第2の黒点とを検出し、前記第1の黒点と前記第2の黒点との大小関係を比較する黒点比較機能と、
    前記前記所定色相における前記第1の画像機器の色域の最大彩度点の明度を検出する検出機能と、
    前記大小関係において前記第1の黒点が小さい場合に、前記第2の画像機器の色域内であって前記検出機能によって検出された前記明度よりも低明度側に圧縮先領域を設定する圧縮先領域設定機能と、
    前記第1の画像機器の色域のうち前記第2の黒点よりも低階調の領域と前記圧縮先領域とからなる圧縮元領域を圧縮して、前記圧縮先領域に対し写像する色域圧縮機能と、
    前記色域圧縮機能によって写像された後の前記第1の画像機器の色域と前記第2の画像機器の色域との対応関係を所定の変換規則に基づいて設定する色域変換きのうと、
    前記対応関係に基づいて前記第1画像データを第2画像データに変換する色変換きのうと、
    をコンピュータに実現させるための画像処理プログラム。
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