JP4983940B2 - 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス装置、並びに表示装置に関する。
光源として機能する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と記載する場合がある。)を備える表示装置の研究開発が現在進められている。
表示装置に搭載される有機EL素子は電圧を印加することによって発光する発光素子であり、一対の電極と、該電極間に設けられる発光層とを含んで構成される。有機EL素子に電圧を印加すると、一方の電極から正孔が注入されるとともに、他方の電極から電子が注入され、これら正孔と電子とが発光層で結合することによって発光する。
カラー表示用の表示装置は、所期の色を表現するために、通常は赤色発光する有機EL素子と、緑色発光する有機EL素子と、青色発光する有機EL素子との3種類の有機EL素子を備える。表示装置では、基板上において各有機EL素子を区分けするための隔壁が設けられる。例えば格子状の隔壁が基板上に設けられる場合、隔壁により格子状に区分けされた各画素に各有機EL素子がそれぞれ設けられる。そのため有機EL素子はマトリクス状に配置される。
有機EL素子の発光層は様々な方法で形成することが可能であるが、工程の簡易さから、塗布法で発光層を形成することが検討されている。例えば発光層は、この発光層となる材料を溶媒に溶かしたインキを所定の塗布法によって塗布し、これを固化することによって形成することができる。前述した3種類の有機EL素子を基板上に形成するためには、赤色発光する赤色発光層、緑色発光する緑色発光層、青色発光する青色発光層をそれぞれ所定の位置に作り分ける必要がある。これを塗布法で実現するためには、赤色発光層を形成するためのインキ(以下、単に赤インキという場合がある。)、緑色発光層を形成するためのインキ(以下、単に緑インキという場合がある。)、青色発光層を形成するためのインキ(以下、単に青インキという場合がある。)を所定の位置に選択的に供給する必要がある。具体的には赤色発光する有機EL素子、緑色発光する有機EL素子、青色発光する有機EL素子をそれぞれ形成する領域に、赤インキ、緑インキ、青インキをそれぞれ選択的に供給する必要がある。
例えばインクジェットプリント法、凸版印刷法などの所定の塗布法によって、赤インキ、緑インキ、青インキの3種類のインキを所定の領域に選択的に供給することは可能であるが、隔壁が親液性を示す場合、隔壁によって区分けされた所定の領域に供給されたインキが隔壁表面に沿って濡れ拡がることがあり、隔壁を隔てて隣接する隣の画素領域にまでインキが拡がることもある。この場合、いわゆる混色が生じる。すなわち赤インキ、緑インキ、青インキの混ざった発光層が形成される。このように親液性を示す隔壁を備える基板に有機EL素子を作製する場合、所期の色を発光する発光層を設計通りに形成することが困難である。
このような混色の問題を解決するために、親液性を示す隔壁に撥液処理を施し、撥液性を示す隔壁を用いて有機EL素子を作製する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。隔壁が撥液性を示す場合、供給されたインキが隔壁に沿って濡れ拡がることを防ぐことができるため、所定の領域に供給されたインキが隔壁を隔てて隣接する隣の画素領域にまで拡がることを防ぐことができる。このように、供給されたインキを所定の領域内に確実に保持することができる。これによって、異なる種類のインキの混合を防ぐことができ、結果として所期の色で発光する発光層を設計通りに形成することができる。
特開2006−286241号公報
前述した従来の技術では、撥液性を示す隔壁を用いることにより混色の問題を解決することはできるが、隔壁表面の性質を親液性から撥液性にするための処理が必要となり、その分だけ工程数が増加するという問題がある。
従って本発明の目的は、親液性を示す隔壁を用いて、混色の問題が顕在化することを回避するとともに、少ない工程で所期の有機EL素子を作製することができる有機EL装置の製造方法を提供することである。
本発明は、基板と、該基板上に設けられる複数の有機エレクトロルミネッセンス素子と、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を区分けする隔壁と、
を備え、
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子は、塗布法により形成される発光層と、該発光層を介在させて配置される一対の電極とを含んで構成され、前記発光層として、赤色発光する赤色発光層、緑色発光する緑色発光層、または青色発光する青色発光層を有する、
有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
親液性を示す隔壁と、前記一対の電極のうちの一方の電極とが設けられた基板を用意する工程と、
赤色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する赤インキ供給工程と、
緑色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する緑インキ供給工程と、
青色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する青インキ供給工程と、
供給したインキを固化する工程と、
前記一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、
赤インキ供給工程と、青インキ供給工程と、緑インキ供給工程とのうちで赤インキ供給工程を最後に行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記青インキ供給工程の後に前記緑インキ供給工程を行うことを特徴とする前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記塗布法が、ノズルコート法または有版印刷法であることを特徴とする前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記塗布法が、凸版印刷法であることを特徴とする前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキは、沸点が200℃以上の溶媒を含み、
沸点が200℃以上の溶媒の、インキに対する割合が、5重量%以上であることを特徴とする前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
また本発明は、基板と、該基板上に設けられる複数の有機エレクトロルミネッセンス素子と、該複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を区分けする隔壁とを含んで構成される有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子は、塗布法により形成される発光層と、該発光層を介在させて配置される一対の電極とを含んで構成され、発光層として、赤色発光する赤色発光層、緑色発光する緑色発光層、または青色発光する青色発光層を備え、
前記隔壁が、親液性を示し、
緑色発光層、及び/又は青色発光層は、その一端部が、隔壁を隔てて隣接する赤色発光層上にまで隔壁に沿って延在していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
また本発明は、前記有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする表示装置に関する。
本発明によれば、親液性を示す隔壁を用いて、混色の問題が顕在化することを回避するとともに、少ない工程で所期の有機EL素子を作製することができ、簡易に有機EL装置を製造することができる。
本実施形態の有機EL装置1を模式的に示す平面図である。 図1に示す有機EL装置1の1画素分の領域を拡大して模式的に示す有機EL装置1の断面図である。 インキを塗布する際のインキの挙動および発光層5の形成のされ方を説明するための図である。
図1は、本実施形態の有機EL装置1を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す有機EL装置1の1画素分の領域を拡大して模式的に示す有機EL装置1の断面図である。なお本明細書では1画素は1つの有機EL素子によって構成されるものとする。なお図2(1)は図1において列方向Yに垂直な切断面で有機EL装置1を切断した断面図であり、図2(2)、(3)は図1において行方向Xに垂直な切断面で有機EL装置1を切断した断面図である。なお図2(1),(2)は切断面が一方の電極6上を通り、図2(3)は切断面が隔壁4上を通るように有機EL装置1を切断した断面図である。
本実施形態の有機EL装置1は、基板2と、該基板2上に設けられる複数の有機EL素子3と、複数の有機EL素子を区分けする隔壁4とを含んで構成される。有機EL素子3は、塗布法により形成される発光層5と、該発光層5を介在させて配置される一対の電極6,7とを含んで構成され、前記発光層5として、赤色発光する赤色発光層5R、緑色発光する緑色発光層5G、または青色発光する青色発光層5Bを有する(後述する図3(5)参照)。
本実施形態の有機EL装置の製造方法は、親液性を示す隔壁4と、前記一対の電極6,7のうちの一方の電極6とが設けられた基板2を用意する工程と、赤色発光層5Rを形成するためのインキを、前記一方の電極6上に塗布法により供給する赤インキ供給工程と、緑色発光層5Gを形成するためのインキを、前記一方の電極6上に塗布法により供給する緑インキ供給工程と、青色発光層5Bを形成するためのインキを前記一方の電極上に塗布法により供給する青インキ供給工程と、供給したインキを固化する工程と、前記一対の電極のうちの他方の電極7を形成する工程とを含み、赤インキ供給工程と、青インキ供給工程と、緑インキ供給工程とのうちで赤インキ供給工程を最後に行うことを特徴とする。
1)有機EL装置の構成
まず有機EL装置1の構成について説明する。以下ではアクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置1を例として有機EL装置1について説明するが、本発明はアクティブマトリクス駆動方式に限らす、例えばパッシブマトリクス駆動方式にも適用可能である。
本実施形態では基板2上に複数の有機EL素子3がマトリクス状に設けられる。すなわち複数の有機EL素子3が、基板2上において行方向Xに等間隔をあけるとともに、列方向Yに等間隔をあけて、それぞれ離散的に配置される。
基板2上には列方向Yに延伸する複数本の隔壁4が設けられる。各隔壁4は、行方向Xに隣り合う有機EL素子3の間に配置され、行方向Xに互いに等間隔をあけて配列される。換言すると、行方向Xに隣り合う隔壁4の間に有機EL素子3が配置され、複数の有機EL素子3は、行方向Xに隣り合う隔壁4間において列方向Yに等間隔をあけて配置される。なお本実施形態では隔壁4は、図1に示すようなストライプ状に配置されるが、他の実施形態として隔壁4は格子状に配置されてもよい。
本実施形態では赤色発光する有機EL素子、緑色発光する有機EL素子、および青色発光する有機EL素子の3種類の有機EL素子が基板2上に設けられる。本実施形態では1つの列には同じ種類の有機EL素子が設けられる。例えば基板2上において、(I)赤色発光する有機EL素子の設けられる列、(II)緑色発光する有機EL素子の設けられる列、および(III)青色発光する有機EL素子の設けられる列は、それぞれ2列おきに配置される。なおこれら3種類の有機EL素子の他に、例えば消費電力の低減を目的として、白色発光する有機EL素子を設けてもよい。
基板2の厚み方向の一方の表面には、一対の電極のうちの一方の電極6が設けられる。なお本実施形態では一方の電極として陽極を設け、他方の電極として陰極を設ける。そのため、以下では一方の電極を陽極6とし、他方の電極を陰極7として記載する。また以下本明細書では基板2の厚み方向の一方を「上方」または「上」と記載し、厚み方向の他方を「下方」または「下」と記載する場合がある。
陽極6は、基板2上においてマトリクス状に設けられる。陽極6は、1つの有機EL素子3に対して1つ設けられる。すなわち有機EL素子3の数と同数の陽極6が設けられる。陽極6は、基板2上において行方向Xに等間隔をあけるとともに、列方向Yに等間隔をあけて、それぞれ離散的に配置される。陽極6は、平板状であって、基板2の厚み方向の一方から見て(以下、「平面視で」という場合がある。)略矩形状に形成される。陽極6は平面視で行方向Xに隣り合う隔壁4間に設けられ、各隔壁4間において、列方向Yに等間隔を開けて配置される。本実施形態では陽極6は平面視で行方向Xの両端部が隔壁4に重なっている。なお陽極6は平面視で行方向Xの両端部が隔壁4に重なっていなくてもよい。
本実施形態では基板2上にさらに絶縁膜8が設けられる。絶縁膜8は電気絶縁性を有し、各有機EL素子3を電気的に絶縁するために設けられる。絶縁膜8は、陽極6を除く領域に主に形成され、その一部が陽極6の周縁部を覆うように格子状に設けられている。すなわち絶縁膜8は、陽極6が形成された基板2の上方から一面を覆うように設けられ、さらに陽極6が露出する開口がマトリクス状に穿設されている。このような絶縁膜8が各陽極6間に介在するために、各陽極6は電気的に絶縁されており、そのため各有機EL素子3も同様に電気的に絶縁されている。なお各有機EL素子3の電気的な絶縁を図る機能を担う隔壁4が設けられている場合など、設計によっては絶縁膜8を設けなくてもよい。
有機EL素子は平面視で開口が形成された部分が主に発光する。この開口の大きさは、解像度や、求められる特性に応じて設計され、行方向Xおよび列方向Yの開口の幅は、通常20μm〜500μm程度である。
隔壁4は、前述したようにそれぞれ列方向Yに延伸し、行方向Xに互いに所定の間隔をあけて配置される。本実施形態では隔壁4は、絶縁膜8上において互いに隣り合う開口と開口との間に設けられる。隔壁4は、後述するインキに対して親液性を示す。ここで本明細書において隔壁が親液性を示すとは、発光層を形成するためのインキと隔壁との接触角が30°以下であることを意味する。隔壁4の行方向Xの間隔は、解像度や、求められる特性に応じて設計され、通常20μm〜500μm程度である。
有機EL素子3は、一対の電極6,7間に、発光層5だけでなく、素子特性および工程の容易さなどを勘案して、所定の層がさらに設けられることがある。本実施形態ではこのような所定の層として正孔注入層9がさらに設けられる。正孔注入層9は、陽極6と発光層5との間に設けられる。本実施形態では正孔注入層9は発光層5と同様に塗布法によって形成される。後述するように正孔注入層9を形成するためのインキがスピンコート法によって塗布された場合、隔壁4が親液性を示すために、インキが隔壁4上にも濡れ拡がり、結果として正孔注入層9が基板上に全面に形成されることになる。またたとえパターン塗布可能な塗布法によって、列方向Yに隣り合う隔壁4間にインキを供給したとしても、隔壁4が親液性を示すため、供給されたインキは隔壁4表面に沿って濡れ拡がる。そのため正孔注入層9は陽極6上だけでなく、隔壁4上にも形成される。このように親液性を示す隔壁4を用いた場合、正孔注入層9は、陽極6、絶縁膜8、および隔壁4の露出する表面に沿って全面に形成される。
発光層5は塗布法によって形成される。本実施形態では発光層5は正孔注入層9上に形成される。発光層5を形成するためのインキは正孔注入層9上を濡れ拡がるために、正孔注入層9と同様に、平面視で隔壁4上にも形成される。なお本実施形態では赤色発光する有機EL素子、緑色発光する有機EL素子、青色発光する有機EL素子の3種類の有機EL素子が設けられるため、赤色発光する有機EL素子には赤色発光する赤色発光層5Rが設けられ、緑色発光する有機EL素子には緑色発光する緑色発光層5Gが設けられ、青色発光する有機EL素子には青色発光する青色発光層5Bが設けられる。なお本明細書において赤色発光、緑色発光、青色発光とは、それぞれ、ピーク波長が600nm以上750nm未満の光、ピーク波長が500nm以上600nm未満の光、ピーク波長が400nm以上500nm未満の光を発光することを意味する。
陰極(一対の電極のうちの他方の電極)7は、発光層5上から全ての有機EL素子3にわたって一面に形成される。すなわち陰極7は各有機EL素子3に跨って形成され、各有機EL素子3の共通の電極として設けられる。
2)有機EL装置の製造方法
(基板を用意する工程)
まず親液性を示す隔壁4と、陽極6(一対の電極のうちの一方の電極)とが設けられた基板2を用意する。この基板2は、隔壁4および陽極6が予め形成されたものを入手してきてもよく、また隔壁4および陽極6を基板2上に形成することによって用意してもよい。
<基板>
基板は、有機EL装置を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。なおアクティブマトリクス駆動方式の表示装置の場合、基板としては有機EL素子を駆動する回路が予め形成されたものを用いることが好ましく、例えばTFT(Thin Film Transistor)が予め形成された基板を用いることができる。なお一方の電極および基板を通して発光層から放射される光を出射する構成の装置では、基板は可視光の光透過率が高い方が好ましい。
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通して出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して設計され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<絶縁膜>
絶縁膜8は通常親液性を示す部材によって構成される。例えば撥液性を示す部材によって絶縁膜を構成した場合、正孔注入層9を形成する際に、正孔注入層9を形成するためのインキが絶縁膜によって弾かれつつ乾燥する。そのため陽極6上において、正孔注入層9の周縁部の膜厚が不均一になり、均一な膜厚の正孔注入層を得ることが難しくなる。他方、親液性を示す部材によって絶縁膜8を構成した場合、正孔注入層9を形成するためのインキが絶縁膜8上を濡れ拡がるので、正孔注入層9の膜厚に絶縁膜8の影響が現れ難くなり、均一な膜厚の正孔注入層9を得ることができる。
絶縁膜8は有機物または無機物によって構成される。有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などの樹脂を挙げることができ、無機物としてはSiO、SiNなどを挙げることができる。
有機物からなる絶縁膜を形成する場合、例えばポジ型またはネガ型の感光性樹脂を一面に塗布成膜し、所定の部位を露光、現像する。つぎにこれを硬化することによって、所定の部位に開口が形成された絶縁膜8が得られる。なお感光性樹脂としてはフォトレジストを用いることができる。
また無機物からなる絶縁膜を形成する場合、まずプラズマCVD法やスパッタ法などによって、無機物からなる薄膜を一面に形成する。つぎにこの薄膜の所定の部位に開口を形成することにより、所定の部位に開口が形成された絶縁膜8が得られる。開口は例えばフォトリソグラフィによって形成される。この開口を形成することにより陽極6が露出する。これによって格子状の絶縁膜8を得ることができる。
絶縁膜8の厚さは、少なくとも電気絶縁性が確保できる値に設定され、例えば0.1μm〜5μm程度であり、好ましくは0.5μm〜2μmである。
なお上述した材料を用いた場合、撥液処理を特別に施さない限り、通常、絶縁膜8は親液性を示す。
<隔壁>
隔壁4は絶縁膜8と同様にして形成することができる。なお隔壁4と絶縁膜8とは、工程の簡易さの観点からは、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィによって形成することが好ましい。
隔壁4の厚さは、隔壁4間に供給されるインキをほぼ収容できる値に設計され、例えば0.5μm〜5μm程度であり、好ましくは1μm〜2μmである。
基板2上には配線などがさらに設けられており、通常この配線などは隔壁4によって覆われている。そのため隔壁4の行方向Xの幅は例えば配線などの幅よりも幅広に設計され、例えば5μm〜50μm程度であり、好ましくは10μm〜30μmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解するものが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。なお赤色発光する有機EL素子、緑色発光する有機EL素子、青色発光する有機EL素子の3種類の有機EL素子において、正孔注入層として同じ部材からなる薄膜をそれぞれ用いる場合には、列ごとに種類の異なる正孔注入層を形成する必要はなく、全ての有機EL素子にまたがって正孔注入層を一面に形成してもよい。例えば異なる種類の有機EL素子に共通する正孔注入層を、スピンコート法により一面に形成することができる。
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層5を形成する工程は、発光層5を形成するためのインキを隔壁4間に供給するインキ供給工程と、供給したインキを固化する工程とを含む。
有機EL装置1は赤色発光する有機EL素子3、緑色発光する有機EL素子3、および緑色発光する有機EL素子3を備えるため、列毎に赤色発光層5R、緑色発光層5G、または青色発光層5Bを選択的に形成する必要がある。そのため(i)赤色発光層を形成するためのインキ(以下、「赤インキ」という場合がある。)を、前記一方の電極上に塗布法により供給する赤インキ供給工程と、(ii)緑色発光層を形成するためのインキ(以下、「緑インキ」という場合がある)を、前記一方の電極上に塗布法により供給する緑インキ供給工程と、(iii)青色発光層を形成するためのインキ(以下、「青インキ」という場合がある。)を、前記一方の電極上に塗布法により供給する青インキ供給工程との3つの工程が必要となる。なお「一方の電極上に」とは、「一方の電極に接してその上に」という意味、および「一方の電極に接して設けられる所定の部材を介在させてその上に」という意味を含み、必ずしも「一方の電極に接してその上に」という意味に限定されるわけではない。また赤インキ供給工程では、複数ある一方の電極のうち、赤色発光層がその上に形成される一方の電極上に赤インキを供給し、緑インキ供給工程では、複数ある一方の電極のうち、緑色発光層がその上に形成される一方の電極上に緑インキを供給し、青インキ供給工程では、複数ある一方の電極のうち、青色発光層がその上に形成される一方の電極上に青インキを供給する。
本実施形態では、赤インキ供給工程、青インキ供給工程、および緑インキ供給工程のうちで赤インキ供給工程を最後に行う。また好ましくは青インキ供給工程の後に前記緑インキ供給工程を行う。すなわち青インキ供給工程、緑インキ供給工程、赤インキ供給工程の順にインキを供給すること好ましい。
親液性の隔壁4を用いた場合、後述するように、先の工程で形成された発光層と、後の工程で形成された発光層とでは、インキの混色の仕方が異なるという現象を本発明者等は見出した。すなわち後の工程で塗布形成された発光層には、先の工程で塗布されたインキが混入することがあるが、逆に、先の工程で塗布形成された発光層には、後の工程で塗布されるインキが混入しない。これはインキの混色の組合せが、インキの塗り順に左右されるということを意味する。さらにこの現象に基づいて、インキを所定の順序で塗ることにより、インキの混色が発光色に顕在化することを抑制しうるということを本発明者等は見出した。
本実施形態のように青インキ供給工程、緑インキ供給工程、赤インキ供給工程の順に各インキを供給すると、青インキおよび緑インキの組成物が赤色発光層5Rに混入し、青インキの組成物が緑色発光層5Gに混入することはあるが、その一方で、緑インキおよび赤インキの組成物が青色発光層5Bに混入することを避けることができ、また赤インキの組成物が緑色発光層5Gに混入することを避けることができる。
例えば青インキに赤インキが少量でも混入すると、赤インキの組成物が発光するために、白みがかった光が放射されるが、逆に、本実施形態のように赤インキに青インキが少量混入したとしても、発光色に影響を与えるほどには青インキの組成物が発光しないため、赤色光が放射される。この現象は、発光波長の長い発光材料と、発光波長の短い発光材料とが混在した状態では、発光波長の長い発光材料がより発光し易い傾向にあるために顕在化するものと考えられる。すなわち発光し易い傾向にある発光波長の長い発光材料が、発光波長の短い発光材料に少量混入すると、混入による影響が発光色に顕在化するが、逆に発光し易い傾向にある発光波長の長い発光材料に、発光波長の短い発光材料が少量混入したとしてその影響が発光色にはあまり顕在化しないために、上述の現象が生じるものと考えられる。そのため発光波長の長い発光層に、発光波長の短い発光層の構成材料が少量混入したとしても、インキの混色が発光色には顕在化しないが、逆に発光波長の短い発光層に、発光波長の長い発光層の構成材料が少量混入すると、インキの混色が発光色に顕在化すると考えられる。従って所期の発光色で光を放射する発光層を得るためには、発光波長が長い発光層の構成材料が、発光波長の短い発光層に混入することを避けることが好ましい。すなわち緑インキ、青インキに赤インキが少量混入することを防ぐことが好ましく、緑インキが青インキに少量混入することを防ぐことが好ましい。
実施例に示すように、青インキおよび緑インキの組成物が赤色発光層5Rに混入したとしても赤色発光層5Rは赤色光を放射し、青インキの組成物が緑色発光層5Gに混入したとしても緑色発光層5Gは緑色光を放射し、他のインキが混入しない青色発光層5Bは当然に青色光を放射する。しかしながら本実施形態とは異なる順序でインキを塗布した場合には、インキの混色が発光色に顕在化し、所期の色よりも白みがかった光が有機EL素子3から放射されることになる。
前述したように、インキの塗り順によってインキの混入の組合せが左右されるため、本発明者らは緑インキ、青インキに赤インキが少量混入することを防ぎ、緑インキが青インキに少量混入することを防ぐために、赤インキ供給工程と、青インキ供給工程と、緑インキ供給工程とのうちで赤インキ供給工程を最後に行い、好ましくは青インキ供給工程の後に前記緑インキ供給工程を行う。
図3を参照してインキを塗布する際のインキの挙動および発光層5の形成のされ方を説明する。なお図3では一方の電極6、絶縁膜8および正孔注入層9は、インキの挙動の説明のためには不要なため、図示を省略している。図3は図1に示す有機EL装置1を列方向Yに垂直な切断面で切断した断面図に対応する図である。図3において最も右側の凹部に青インキを供給することにより青色発光層5Bを形成し、中央の凹部に緑インキを供給することにより緑色発光層5Gを形成し、最も左側の凹部に赤インキを供給することにより赤色発光層5Rを形成する。
(青インキ供給工程)
図3(1)に示すように、所定の塗布法で青インキを所定の凹部11に供給する(図では最も右側の凹部11)。なお青インキは2列の凹部をあけて供給される。所定の凹部に供給された青インキは溶媒が蒸発することによって薄膜化するが、その際に隔壁4に沿って濡れ拡がるために、隔壁4を隔てて隣接する凹部に臨む隔壁4の側面上にまで青インキが拡がった状態で薄膜化する(図3(2)参照)。なお図3(2)では最も左側の隔壁4上にも薄膜が形成されているが、これは青インキが2列の凹部をあけて供給されるためであり、図3において最も左側の凹部の左隣の凹部にも青インキが供給されるためである。
(緑インキ供給工程)
図3(3)に示すように、所定の塗布法で緑インキを所定の凹部11に供給する(図では中央の凹部11)。なお緑インキは2列の凹部11をあけて供給される。供給された緑インキは凹部11において行方向Xの一端部が、青インキが薄膜化した膜上に塗り重ねられる。青インキが薄膜化した膜は緑インキに再度溶解するため、膜上に塗り重ねられた緑インキの固形分濃度が高くなり、結果としてその粘度が高くなるものと推測される。青インキが薄膜化した膜に沿って緑インキは拡がるが、その一方で緑インキが拡がるにつれてその粘度が高くなり、緑インキの拡がりが阻害されるため、青インキが薄膜化した膜上を緑インキが濡れ拡がることはなく、青インキが供給された凹部11に緑インキが混入することを防ぐことができる。他方、凹部11において行方向Xの他端部は隔壁4に沿って緑インキが濡れ拡がるために、後述する赤インキが供給される凹部11にまで緑インキの薄膜が形成される(図3(4)参照)。
(赤インキ供給工程)
図3(5)に示すように、所定の塗布法で赤インキを所定の凹部11に供給する(図では最も左側の凹部)。なお赤インキは2列の凹部11をあけて供給される。赤インキは溶媒が蒸発することによって薄膜化する。供給された赤インキは凹部11において行方向Xの一端部が、緑インキが薄膜化した膜上に塗り重ねられる。緑インキが薄膜化した膜は赤インキに再度溶解するため、赤インキの固形分濃度が高くなり、結果としてその粘度が高くなるものと推測される。そのため赤インキは緑インキが薄膜化した膜上を濡れ拡がることはなく、緑インキが供給される凹部11に赤インキが混入することを防ぐことができる。また凹部11において行方向Xの他端部は、青インキが薄膜化した膜上に赤インキが塗り重ねられるため、凹部11において行方向Xの一端部と同様に、青インキが供給される凹部11に赤インキが混入することを防ぐことができる(図3(6)参照)。
なお本実施形態では正孔注入層9上をインキが濡れ拡がるが、仮に正孔注入層9がない場合であっても隔壁4上をインキが濡れ拡がるため、インキは上述と同様の挙動をとる。
(インキを固化する工程)
発光層はインキを固化することによって得られる。インキの固化は、常温または加熱下で乾燥することによってなされる。なお窒素などの不活性ガス中または真空雰囲気中で乾燥することが好ましい。またインキが、加熱または光照射によって重合する材料を含む場合、加熱または光照射することによってインキを固化することが好ましい。なおインキの固化は、各種インキを供給するたびに行ってもよいが、全ての種類のインキを供給した後に行う方が好ましい。固化工程を1回で行うことができるためである。なおインキを自然乾燥する場合には、固化工程として特別な処理が行われるわけではない。
以上説明したように、青インキ供給工程、緑インキ供給工程、赤インキ供給工程の順に各インキを供給すると、青インキおよび緑インキの組成物が赤色発光層5Rに混入し、青インキの組成物が緑色発光層5Gに混入することはあるが、その一方で緑インキおよび赤インキの組成物が青色発光層5Bに混入することを避けることができ、また赤インキの組成物が緑色発光層5Gに混入することを避けることができる。これにより、工程数が増加する撥液性を隔壁に施すことなく、親液性を示す隔壁を用いた場合であっても、青色発光層5Bが青色発光し、緑色発光層5Gが緑色発光し、赤色発光層5Bが赤色発光する発光層5を得ることができ、工程数を増加させることなく、塗布法により所期の色で発光する有機EL素子3を簡易に作製することができる。
なお上記工程により、緑色発光層および青色発光層は、その一端部が、隔壁を隔てて隣接する赤色発光層上にまで隔壁に沿って延在する。
<塗布法>
各種インキは所定の塗布法によって所定の凹部11に供給される。塗布法としては、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法およびインクジェットプリント法などを挙げることができ、ノズルコート法または有版印刷法が好ましく、凸版印刷法がより好ましく、フレキソ印刷法がさらに好ましい。
<インキ>
赤インキ、緑インキ、青インキの各種インキは、各種発光層となる材料を溶媒に溶解することにより調整される。インキにおける発光層となる材料の割合(以下、固形分濃度という場合がある)は、通常0.1重量%〜5重量%であり、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。なお本明細書における固形分濃度または溶媒の濃度は、塗布装置においてインキを収容するタンク内での濃度を意味する。
溶媒としては発光層となる材料を良好に溶解するものが好ましく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。溶媒は1種類を単独で用いても、複数種類を混合して用いてもよい。
平坦な発光層を形成するために、溶媒は、沸点が200℃以上の溶媒(以下、高沸点溶媒という場合がある。)を含むことが好ましく、沸点が200℃以上の溶媒の、インキに対する割合が5重量%以上であることが好ましい。このように高沸点溶媒を含むことによりインキが蒸発し難くなる。
インキは、所定の凹部11に供給されるまでに途中の工程で蒸発するので、所定の凹部11に供給される際のインキの固形分濃度は、インキを収容するタンク内でのインキの固形分濃度より高くなり、結果として所定の凹部11に供給される際のインキの粘度もタンク内における粘度よりも高くなる。粘度の高いインキが凹部11に供給されると、インキが濡れ拡がり難くなり、発光層の表面が平坦にならないことがある。特に有版印刷法では、インキが版に付着した後にさらにこのインキが転写されるため、途中の過程での溶媒の蒸発量が多くなり、所定の凹部11に供給される際のインキの粘度が高くなる。そのため、有版印刷法では平坦な発光層を得ることが難しいが、上述のように沸点が高く、蒸発し難い溶媒を用いることにより、途中の過程における溶媒の蒸発を抑制し、インキの粘度上昇を抑えることができるため、平坦な発光層が得られると考えられる。なお高沸点溶媒を含むインキを使用する場合、親液性を示す隔壁4を用いたのでは、粘度の低いインキが隔壁4に沿って濡れ拡がり、インキの混色が発生するおそれもあるが、本実施形態のように塗り順を規定することによってインキの混色が発光色に顕在化することを防ぐことができる。このように塗り順を規定し、かつ高沸点溶媒を含むインキを使用することにより、インキの混色による発光色への影響を防ぎつつ、平坦な膜厚の発光層を得ることができる。なお樹脂などの弾性物質からなる版を用いるフレキソ印刷法では、版が溶媒を吸収するため、固形分濃度の上昇が顕著となる。そのため親液性を示す隔壁4を用いた場合、平坦な膜厚の発光層を形成するとともに、混色の問題が顕在化することを防ぐことは困難であったが、本実施形態の塗り順でインキを塗布し、かつ高沸点溶媒を用いることで、所期の発光層を得ることができる。
沸点が200℃以上の溶媒としては、前述したシクロヘキシルベンゼンを用いることができる。沸点が200℃以上の溶媒の、インキに対する割合は、5重量%〜70重量%が好ましく、10重量%〜50重量%がさらに好ましい。
<発光層となる材料>
発光層は通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、溶媒への溶解性の観点からもポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
(他方の電極を形成する工程)
本実施形態では他方の電極として陰極7を形成する。本実施形態では絶縁膜8によって各有機EL素子3は互いに電気的に絶縁しているため、陰極7を上方から一面に形成する。すなわち各有機EL素子3に共通の陰極7を形成する。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を必要に応じて用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。
陰極の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極は、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などにより形成することができる。
以上説明した本実施形態の有機EL装置1は、一方の電極を陽極とし、他方の電極を陰極とし、陽極と発光層との間に正孔注入層が設けられた構成の有機EL素子を備えるが、有機EL装置に搭載される有機EL素子の層構成はこれに限られない。
有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に配置される発光層とを少なくとも有し、陽極と発光層との間、及び/又は発光層と陰極との間に、発光層とは異なる他の層を有していてもよい。また電極間には、一層の発光層に限らずに、複数の発光層が設けられてもよい。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に、一層のみが設けられる場合には、該層を電子注入層という。また陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する。
正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、一層のみが設けられる場合には、該層を正孔注入層という。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する。
電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
本実施形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜p)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のq)に示す層構成を挙げることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
q)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のp)に示す層構成を挙げることができる。
r)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。
電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
有機EL素子は、封止のための封止膜または封止板などの封止部材で覆われていてもよい。有機EL素子を基板に設ける際には、通常本実施形態のように基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。すなわちa)〜p)の形態において、左側から順に各層を基板に積層してもよく、また逆に、右側から順に各層を基板に積層してもよい。積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、素子特性および工程の簡易さなどを勘案して適宜設計することができる。
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。なお陽極、正孔注入層、発光層、陰極については前述したので重複する説明を省略する。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
以上説明した有機EL装置は、表示装置に好適に用いることができる。有機EL素子を備える表示装置としては、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置などを挙げることができる。
青インキ、緑インキ、赤インキ(B,G,R)の順に各インキを塗布して、3種類の有機EL素子を作製した。
(基板の準備および陽極の形成)
まず200mm(縦)×200mm(横)×0.7mm(厚み)の透明ガラス板上にTFTアレイと複数の陽極(一方の電極)とが形成された基板を用意した。複数の陽極はマトリクス状に配列され、その形状は板状であり、サイズは行方向Xの幅が60μm、列方向Yの幅が180μm、厚みが150nmである。陽極にはITO薄膜を用いた。
(絶縁膜の形成)
次にポジ型フォトレジスト(東レ株式会社製、商品名「SL−1904」)を基板全面に塗布し、フォトリソグラフィにより陽極上に開口が形成された格子状の絶縁膜を形成した。絶縁膜の膜厚は1.8μmであり、開口は、行方向Xの幅が55μm、列方向Yの幅が175μmである。
(隔壁の形成)
次にポジ型フォトレジスト(東レ株式会社製、商品名「SL−1904」)を基板全面に塗布し、フォトリソグラフィによりストライプ形状の隔壁を形成した。形成した隔壁は、高さが2μm、行方向Xの幅が33μm、隣り合う隔壁の間隔が41.5μmであり、行方向Xのピッチ(繰り返し)が74.5(33+41.5)μmであった。上述のフォトレジストを用いて通常のフォトリソグラフィによって隔壁を形成した場合、撥液処理を特別に施さない限り、形成された隔壁は通常親液性を示す。
(正孔注入層の形成)
次にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer社製、商品名「BaytronP AI4083」)の懸濁液を0.2μmメンブランフィルターで濾過した。この濾過液をスピンコートにより基板上に塗布した。その後、200℃で20分間加熱処理して、膜厚が80nmの正孔注入層を形成した。
(発光層の形成)
上記隔壁に対応するストライプ状の複数本の凸部を備えるフレキソ印刷版(材質:ポリエステル系樹脂)を準備した。各凸部は版胴の周方向に沿って延伸し、互いに中心軸線方向に等間隔をあけて配置されている。凸部は、高さが100μm、幅が35μm、繰り返し間隔(ピッチ)が223.5(74.5×3)μmである。
有機発光材料として赤、緑、青の3色の高分子発光材料(サメイション社製、商品名「RP158(赤)」、「GP1300(緑)」、「BP361(青)」)をそれぞれアニソール/シクロへキシルベンゼン=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解させた3種類のインキ(各インキの固形分濃度:2重量%)を準備した。
準備したインキを青インキ、緑インキ、赤インキ(B、G、R)の順でフレキソ印刷法により塗布した。まず上記凸部を有するフレキソ印刷版を用いて、青色発光層を形成すべき凹部に青インキを印刷し、さらにこれを乾燥し、青色発光層を形成した。次に青インキと同様にして緑インキを印刷し、さらにこれを乾燥し、緑色発光層を形成した。そして緑インキと同様にして赤インキを印刷し、さらにこれを乾燥し、赤色発光層を形成した。各色の発光層5R,5G,5Bの厚みは、それぞれ60nmであり、ほぼ同じ厚みであった。
なお印刷機には日本写真印刷(株)製の「オングストローマーSDR−0023(商品名)、版ドラム直径:80mm」を用いた。印刷速度は50mm/秒とし、版と基板とが接触する状態を印刷押し込み量0μmとして、その位置から版を50μm押し付けた状態(印刷押し込み量=50μm)で印刷した。
各発光層の形状を光学顕微鏡(ニコン社製、商品名「オプチフォト88」、体物レンズ倍率:50倍)で観察したところ、青インキ、緑インキ、赤インキともに隔壁上まで拡がり、図3(5)に示すような膜形状が観測された。
(陰極の形成)
次に発光層上に他方の電極(陰極)として、カルシウムを100Åの厚さで蒸着し、さらに、酸化保護層としてアルミニウムを2000Åの厚さで蒸着した。これによりボトムエミッション型の有機EL素子を作製した。
得られた各有機EL素子を発光させたところ、赤インキ、緑インキ、青インキをそれぞれ用いて発光層を形成した有機EL素子からは、それぞれ赤色、緑色、青色の発光が得られ、混色が観測されなかった。
[比較例]
青インキ、緑インキ、赤インキ(R,G,B)の順に各インキを塗布して、3種類の有機EL素子を作製した。
インキの塗布順を赤インキ、緑インキ、青インキとしたこと以外は実施例と同様に有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子を発光させたところ、青インキを用いて発光層を形成した有機EL素子が白色発光した。これは青インキを用いて形成した発光層に赤インキの組成物が混入したために、赤色発光が生じ、赤色発光と青色発光とが得られた結果として白色発光が観測されたものと思われる。
1 有機EL装置
2 基板
3 有機EL素子
4 隔壁
5 発光層
6 一方の電極(陽極)
7 他方の電極(陰極)
8 絶縁膜
9 正孔注入層
11 凹部

Claims (5)

  1. 基板と、該基板上に設けられる複数の有機エレクトロルミネッセンス素子と、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を区分けする隔壁と、
    を備え、
    前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子は、塗布法により形成される発光層と、該発光層を介在させて配置される一対の電極とを含んで構成され、前記発光層として、赤色発光する赤色発光層、緑色発光する緑色発光層、または青色発光する青色発光層を有する、
    有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    親液性を示す隔壁と、前記一対の電極のうちの一方の電極とが設けられた基板を用意する工程と、
    親液性を示す前記隔壁と、前記一対の電極のうちの前記一方の電極とが設けられた前記基板(ただし撥液化処理された隔壁が設けられた基板を除く)において、赤色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する赤インキ供給工程と、
    親液性を示す前記隔壁と、前記一対の電極のうちの前記一方の電極とが設けられた前記基板(ただし撥液化処理された隔壁が設けられた基板を除く)において、緑色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する緑インキ供給工程と、
    親液性を示す前記隔壁と、前記一対の電極のうちの前記一方の電極とが設けられた前記基板(ただし撥液化処理された隔壁が設けられた基板を除く)において、青色発光層を形成するためのインキを、前記一方の電極上に塗布法により供給する青インキ供給工程と、
    供給したインキを固化する工程と、
    前記一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、
    赤インキ供給工程と、青インキ供給工程と、緑インキ供給工程とのうちで赤インキ供給工程を最後に行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  2. 前記青インキ供給工程の後に前記緑インキ供給工程を行うことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  3. 前記塗布法が、ノズルコート法または有版印刷法であることを特徴とする請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  4. 前記塗布法が、凸版印刷法であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  5. 前記インキは、沸点が200℃以上の溶媒を含み、
    沸点が200℃以上の溶媒の、インキに対する割合が、5重量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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