JP4984411B2 - 絶縁劣化位置評定装置及び方法 - Google Patents

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本発明は電力ケーブルで形成された電力線路の絶縁劣化位置を評定する絶縁劣化位置評定装置及び方法に関する。
一般に、電力ケーブルで形成された電力線路の絶縁劣化の検出は、簡易絶縁測定器(メガー)により絶縁抵抗を測定することにより行われている。電力ケーブルの劣化パターンには2通りあり、一つは漏れ電流が全くなく、いきなり絶縁破壊に至る架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブル)が原因の劣化であり、もう一つは、ジョイント等の浸水が原因によるもので、漏れ電流が大きく徐々に絶縁抵抗が小さくなって最終的に絶縁破壊に至る劣化である。後者の徐々に絶縁破壊に至る劣化は、簡易絶縁測定器(メガー)等で容易に発見が可能であるが、絶縁劣化部の位置を確認することは困難である。簡易絶縁測定器(メガー)等により電力線路に絶縁劣化が発生していることが分かった場合には、電力線路に直流高電圧を印加して絶縁劣化部を焼成し、強制的に絶縁破壊を発生させ、その絶縁破壊が発生した箇所を特定して修理するようにしている。
一方、都市部の大需要家に電力を供給する配電設備には、絶縁特性の優れた六フッ化硫黄SFガスを使用したガス絶縁開閉装置GIS(Gas Insulated Switchgear)がある。GISはSFガスを0.3〜0.5[Mpa]程度に圧縮して充填した容器の中に、開閉器、母線CT・PT、避雷器等を設置した配電設備である。また、各機器を一括して、低圧のSFガスで密閉しキュービクル型としたC−GIS(Cubicle type Gas Insulated Switchgear)がある。以下の説明では、C−GISも含めてGISと言うことにする。GISは、SFガスで絶縁強度を保つので、変電所や電気所の面積や容積を従来の大気絶縁方式に比べ大幅に縮小でき、また、高電圧部分が露出していないので安全であり、さらに、雷、雪、塩分の多い雨などの被害を受けず、コロナ障害などの環境問題もほとんど解消されると言う利点を有する。GISは、電力線路の保守上、直流電圧10kVに耐えうる設計が望ましいとされている(例えば、非特許文献1参照)。
電気学会技術報告(II部)第442号「キュービクル型ガス絶縁開閉装置の技術動向」、電気学会発行、1992年。
ところが、このようなGISに接続された需要家に電力を配電する電力線路に対しては、絶縁劣化した箇所を特定するために直流高電圧を印加することができない。前述したように、GISは、電力線路の保守上、直流電圧10kVに耐えうる設計が望ましいとされているので、直流電圧を印可する場合には10kV程度以上の直流電圧を印可することができない。
このように、GISが接続された電力線路に対してはGISの許容直流電圧値(例えば、10kV)以上の直流高電圧を印加することができないので、絶縁劣化部を焼成するに必要な直流高電圧を印加することができない。従って、強制的に絶縁破壊を発生させて絶縁破壊箇所を特定することはできない。
そこで、GISから絶縁ガスを抜き取り耐圧用アダプタと移動用ケーブルとを介して気中の場合と同様な状態とし、電力線路に直流高電圧を印加して絶縁劣化部を焼成し、強制的に絶縁破壊を発生させて絶縁破壊箇所を特定することが考えられるが、その場合、絶縁破壊箇所の修理の後にGISにSFガスを封入し元の状態に戻さなければならない。また、電力線路に直流高電圧を印加して絶縁劣化部を焼成することになるので、絶縁劣化部以外の健全部の絶縁強度を劣化させるおそれがあり、さらに、破壊した絶縁劣化部を速やかに修復し需要家に電力を供給できるようにしなければならない。
本発明の目的は、ガス絶縁開閉装置に接続された電力線路に対しても絶縁劣化箇所を非破壊で特定できる絶縁劣化位置評定装置及び方法を提供することである。
請求項1の発明に係わる絶縁劣化位置評定装置は、電力ケーブルで形成された電力線路の一方端が短絡された2本の電力線路の他方端に測定辺抵抗を接続するとともに測定辺抵抗に並列に検流計メータを接続してホイートストンブリッジ回路を形成し、前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗を按分した位置に直流電圧を印加してマーレーループ法で電力線路の絶縁劣化位置を評定する絶縁劣化位置評定装置において、前記電力線路の絶縁劣化位置を評定する際に前記電力線路に接続されるガス絶縁開閉装置の許容直流電圧値以下の直流電圧を前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置に印加する直流電圧電源と、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され前記ホイートストンブリッジ回路における2本の電力線路と測定辺抵抗との接続点間に流れる電流を指示する検流計メータと、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され2本の電力線路の各々の電力線路に重畳するノイズが前記検流計メータに入力されることを防止するノイズ侵入防止回路と、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置を変化させ前記検流計メータに流れる電流を零に調整するレシオアームとを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係わる絶縁劣化位置評定装置は、請求項1の発明において、前記ノイズ侵入防止回路は、2本の電力線路の各々の電力線路から入力される電流に含まれるノイズを除去する入力フィルタ回路と、前記入力フィルタ回路の出力の差分を演算する動増幅回路と、2本の電力線路に直流電圧が印加されない状態で前記動増幅回路の出力が零となるように前記検流計メータの零調整を行う零調整回路とを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明に係わる絶縁劣化位置評定方法は、電力ケーブルで形成された電力線路の一方端が短絡された2本の電力線路の他方端に測定辺抵抗を接続するとともに測定辺抵抗に並列に検流計メータを接続してホイートストンブリッジ回路を形成し、前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗を按分した位置に直流電圧を印加してマーレーループ法で電力線路の絶縁劣化位置を評定する絶縁劣化位置評定方法において、2本の電力線路に流れる電流を大地間と所定の絶縁強度を保って形成されたノイズ侵入防止回路を介して検流計メータに入力し、2本の電力線路に直流電圧が印加されていない状態で大地間と所定の絶縁強度を保って形成された検流計メータの零調整を行い、前記直流電圧電源から前記電力線路に接続されるガス絶縁開閉装置の許容直流電圧値以下の直流電圧を前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置に印加し、大地間と所定の絶縁強度を保って形成されたレシオアームにより前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置を変化させて前記検流計メータに流れる電流を零に調整し、前記レシオアームで調整された測定辺抵抗の按分位置の比率に基づいて電力線路の絶縁劣化位置を評定することを特徴とする。
本発明によれば、マーレループ法によるホイートストンブリッジ回路の2本の電力線路の各々の電力線路に重畳するノイズを除去するノイズ侵入防止回路を設け、またノイズ侵入防止回路は大地間と所定の絶縁強度を保って形成されているので、電力線路の絶縁劣化箇所に流れる微少な漏れ電流を精度良く検出できる。従って、直流電圧電源からホイートストンブリッジ回路に印加する直流電圧が電力線路に接続されるガス絶縁開閉装置の許容直流電圧値以下の直流電圧であっても、電力線路の絶縁劣化位置を評定できる。このことから、ガス絶縁開閉装置に接続された電力線路に対しても絶縁劣化箇所を非破壊で特定できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係わる絶縁劣化位置評定装置の構成図、図2は本発明の実施の形態におけるノイズ侵入防止回路の回路構成図、図3は本発明の実施の形態で使用するマーレーループ法での電力線路の絶縁劣化位置を評定する原理の説明図である。
まず、本発明の実施の形態で使用するマーレーループ法での電力線路(電力ケーブル)の絶縁劣化位置を評定する原理について説明する。電力ケーブルで形成された電力線路は、電力ケーブルを接続点で直列に接続して形成されるが、説明を簡単にするために、以下の説明では電力ケーブルの接続点がない場合について説明する。図3(a)に示すように、健全相の電力ケーブル11aと絶縁劣化相の電力ケーブル11bとの一方端を短絡ケーブル12で接続する。絶縁劣化相の電力ケーブル11bは簡易絶縁測定器(メガー)等で事前に発見しておくことになる。そして、健全相の電力ケーブル11aと絶縁劣化相の電力ケーブル11bとの他方端に測定辺抵抗13を接続し、その測定辺抵抗13に並列にノイズ侵入防止回路14を介して検流計メータ15を接続してホイートストンブリッジ回路を形成する。このホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗13をレシオアーム16にて按分し、その按分位置Qに直流電圧電源17から直流電圧を印加して、絶縁劣化相の電力ケーブル11aの絶縁劣化位置を評定する。ノイズ侵入防止回路14は電力ケーブル11a、11bを伝わって侵入してくるノイズを除去するものである。ノイズ侵入防止回路14については後述する。
いま、電力ケーブル11a、11bの長さをD、絶縁劣化相の電力ケーブル11bの絶縁劣化点をP、測定点から絶縁劣化点Pまでの長さをx、レシオアーム16にて按分された測定辺抵抗13の健全相側の抵抗値をR1、絶縁劣化相側の抵抗値をR2、測定点から健全相側経由での絶縁劣化点Pまでの抵抗値をR3、測定点から絶縁劣化相経由での絶縁劣化点Pまでの抵抗値をR4、絶縁劣化点Pの劣化点抵抗をR5とする。
図3(b)は図3(a)の等価回路である。図3(b)では、レシオアーム16にて測定辺抵抗13を按分することを可変抵抗R3で示している。図3(b)において、ホイートストンブリッジ回路の平衡条件は下記の(1)式で示される。(1)式が成立するときには、検流計メータ15が指示する電流値は零となる。
R1/R2=R3/R4 …(1)
電力ケーブル11a、11bは同径で同材質であるとし、電力ケーブル11a、11bの導体の固有抵抗をρ、導体の断面積をSとすると、抵抗R3は(2)式で示され、抵抗R4は(3)式で示される。
R3=(ρ/S)・(2D−x) …(2)
R4=(ρ/S)・x …(3)
(2)式および(3)式を(1)式に代入して、測定点から絶縁劣化点Pまでの長さxを求めると、(4)式で示される。
x={R2/(R1+R2)}・2D …(4)
このように、測定点から絶縁劣化点Pまでの長さxは、ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たしたときの測定辺抵抗13の按分比率{R2/(R1+R2)}に電力ケーブル11a、11bの全長2Dを掛け算して求められる。すなわち、電力ケーブル11a、11bの全長2Dは既知であることから、ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たしたときの測定辺抵抗13の按分比率を計測すれば、測定点から絶縁劣化点Pまでの長さxが分かるので、電力ケーブルの絶縁劣化箇所を特定できる。なお、電力ケーブル11a、11bの径や導体の固有抵抗ρが異なる場合には、等価長に換算して絶縁劣化点Pまでの長さxを求めることになる。
次に、本発明の実施の形態に係わる絶縁劣化位置評定装置の構成について説明する。図1に示すように、絶縁劣化位置評定装置は、測定表示装置18と直流電圧電源17とから構成される。測定表示装置18は、2本の電力ケーブル11a、11bを接続してホイートストンブリッジ回路を形成し、測定辺抵抗13の按分比率を測定表示するものである。
健全相の電力ケーブル11aと絶縁劣化相の電力ケーブル11bとの一方端を短絡ケーブル12で接続し、その他方端を分岐して測定表示装置18の接続端子19に接続する。測定表示装置18には、測定辺抵抗13、ノイズ侵入防止回路14、検流計メータ15が収納されており、健全相の電力ケーブル11aおよび絶縁劣化相の電力ケーブル11bの他方端を接続端子19に接続することによって、ホイートストンブリッジ回路が形成される。すなわち、健全相の電力ケーブル11aおよび絶縁劣化相の電力ケーブル11bの他方端が測定辺抵抗13に接続され、また、測定辺抵抗13に並列にノイズ侵入防止回路14を介して検流計メータ15が接続され、ホイートストンブリッジ回路が形成される。
ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗13はレシオアーム16により按分され、その按分位置Qに直流電圧電源17から直流電圧が印加される。レシオアーム16で按分された測定辺抵抗13の按分位置Qは比率演算部20に入力され、測定辺抵抗13の按分比率が演算されて按分比率表示器21に表示される。なお、ノイズ侵入防止回路14や比率演算部20にはバッテリ22から制御電源が供給される。
按分比率表示器21は、例えば7セグメントの発光ダイオード(LED)で形成され、図1では絶縁劣化相の電力ケーブル11bの測定点側から見た按分比率(R100%)が表示された場合を示している。
絶縁劣化相の電力ケーブル11bの測定点側から見た按分比率は、(4)式から分かるように、R2/(R1+R2)で示される。このR2/(R1+R2)の0〜1/2の範囲を0%〜100%と表示する。例えば、R2が0のときは0%、R2=R1のときは100%と表示する。また、絶縁劣化相の電力ケーブル11bの測定点側から見た按分比率であることを識別するためにRを表示する。
同様に、健全相の電力ケーブル11aの測定点側から見た按分比率は、R1/(R1+R2)で示されるので、R1/(R1+R2)の0〜1/2の範囲を0%〜100%と表示する。そして、健全相の電力ケーブル11aの測定点側から見た按分比率であることを識別するためにLを表示する。従って、例えば按分比率表示器21に「R35%」と表示された場合には、絶縁劣化相の電力ケーブル11bの測定点側から、その長さが35%の位置に絶縁劣化が発生していること示す。同様に、按分比率表示器21に「L165%」と表示された場合には、健全相の電力ケーブル11aの測定点側から、その長さが165%の位置(絶縁劣化相の電力ケーブル11bの測定点側から、その長さが35%の位置)に絶縁劣化が発生していること示すことになる。
ここで、本発明の実施の形態では、絶縁劣化側の電力ケーブル11bの絶縁劣化点Pでの劣化点抵抗R5が大きい場合であっても、高感度でその絶縁劣化を検出できるように以下のような工夫をしている。
(1)直流電圧電源17は、電力ケーブル11a、11bに接続されるガス絶縁開閉装置(GIS)の許容直流電圧値以下の直流電圧を発生する直流安定化電源を採用し、内部抵抗が低抵抗の直流電圧電源を採用したこと。
(2)ノイズ侵入防止回路14を設け電力ケーブル11a、11bの電流変化を高感度で入力できるようにしたこと。
(3)測定表示装置18を構成する各要素であるノイズ侵入防止回路14、検流計メータ15、レシオアーム16、比率演算部20、按分比率表示器21、バッテリ22等の絶縁性能を向上させるとともに、測定表示装置18の操作部(操作スイッチ、操作ダイアル、操作つまみ等)の絶縁性能を向上させ、大地間と所定の絶縁強度を保ち漏れ電流を小さくしたこと。
まず、工夫点(1)について説明する。電力ケーブル11a、11bに接続されるガス絶縁開閉装置(GIS)の許容直流電圧値は、現状では10kVである。従って、本発明の実施の形態では、直流電圧電源17の発生する直流電圧は10kV以下とする。以下の説明では10kVである場合を例にとり説明する。また、直流電圧電源17としては、出力電流値(負荷)が変動しても直流電圧が変動しない直流安定化電源を採用する。
また、電力ケーブル11a、11bは電気的特性として静電容量が大きいので、直流電圧を供給した場合に静電容量に充電する充電電流が流れる。この静電容量への充電時間を短縮するために、内部抵抗が低抵抗の直流電圧電源を採用する。理想的には内部抵抗が0であることが望ましい。
次に、工夫点(2)について説明する。直流電圧電源17の直流電圧として、電力ケーブル11a、11bに接続されるガス絶縁開閉装置(GIS)の許容直流電圧値以下としたことに伴い、電力ケーブル11bの絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5を流れる電流は小さくなる。そこで、ノイズ侵入防止回路14を設け電力ケーブル11a、11bの電流変化を高感度で入力できるようにする。
例えば、電力ケーブル11bの絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が50kΩである場合に、電力ケーブル11a、11bに直流電圧として10kVを印加した場合には、劣化点抵抗R5に流れる漏れ電流は200mAである。漏れ電流が200mAである場合には、ノイズ侵入防止回路14を設けなくても、現状のマーレループ法により絶縁劣化点Pを検出できる。しかし、劣化点抵抗R5が50kΩである絶縁劣化点Pは、絶縁破壊が進み短絡故障となるまでの時間が比較的短いので、絶縁劣化点Pを検出してから補修するまでに短絡故障となってしまうことがある。
一方、絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が200MΩである場合には、短絡故障となるまでの時間が長くなり、絶縁劣化点Pを検出してから補修するまでに短絡故障となることはほとんどない。そこで、本発明の実施の形態では絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が200MΩ程度である場合にも、絶縁劣化点Pを検出できるようにする。
絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が200MΩである場合には、劣化点抵抗R5に流れる漏れ電流は50μAである。漏れ電流が50μAである場合には、電力ケーブル11a、11bに重畳するノイズとの識別が困難となるので、ノイズ侵入防止回路14を設け、電力ケーブル11a、11bに重畳するノイズを除去する。
図2は、本発明の実施の形態に係わるノイズ侵入防止回路14の回路構成図である。ノイズ侵入防止回路14は接続端子19に接続された電力ケーブル11a、11bに重畳するノイズをそれぞれ除去するための入力フィルタ回路23a、23bを有する。入力フィルタ回路23aは電力ケーブル11aに重畳するノイズを除去し、入力フィルタ回路23bは電力ケーブル11bに重畳するノイズを除去する。
入力フィルタ回路23a、23bの出力は動増幅回路24に入力され、その差分が演算増幅され、さらに、2段増幅回路25で増幅されて零調整回路26に入力される。2段増幅回路25で増幅されて零調整回路26に入力される。2段増幅回路25を設けているのは増幅率を高めるためである。零調整回路26は、2本の電力ケーブル11a、11bに直流電圧が印加されない状態で差動増幅回路24の出力が零となるように検流計メータ15の零調整を行うものである。2本の電力ケーブル11a、11bに直流電圧が印加されていない状態では、本来的には動増幅回路24の出力は0Vであるが、実際には電力ケーブル11a、11bに発生している直流電圧や、動増幅回路24自身で発生しているオフセットのために0Vにならない。そこで、電圧をキャンセルするために零調整を行う。
零調整回路26の出力は、感度調整回路27を介して検流計メータ15に入力される。感度調整回路27は検流計メータ15の感度を調整するものであり、劣化点抵抗R5に流れる漏れ電流の大きさ、すなわち、絶縁劣化点Pにおける劣化点抵抗R5を測定する感度に合わせて調整される。測定しようとする絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が200MΩ(漏れ電流が50μA)である場合には、最大感度に設定される。
次に、工夫点(3)について説明する。工夫点(2)で述べたように、本発明の実施の形態では絶縁劣化点Pの劣化点抵抗R5が200MΩ程度である場合、すなわち、絶縁劣化点Pでの漏れ電流が50μAである微少電流の場合にも、絶縁劣化点Pを検出できるようにするので、自己の測定表示装置18の各要素からの漏れ電流が電力ケーブル11a、11bに流れ込まないように配慮する。
そのため、測定表示装置18を構成する各要素であるノイズ侵入防止回路14、検流計メータ15、レシオアーム16、比率演算部20、按分比率表示器21、バッテリ22等の絶縁性能を向上させる。例えば、これら要素を絶縁材料で覆い測定表示装置18の筐体に漏れ電流が流出しないようにする。これにより、大地間と所定の絶縁強度を保ち漏れ電流を小さくしている。
また、測定表示装置18の操作部、例えば、零調整回路26の操作つまみ、感度調整回路27の操作ダイヤル、レシオアーム16の操作つまみ、測定表示装置18の電源の入切スイッチ等についても絶縁性能を向上させる。例えば、これら操作部が測定表示装置18の筐体に接触する部分に絶縁材料を施し、大地間と所定の絶縁強度を保ち漏れ電流を小さくする。なお、測定表示装置18の筐体は、直流電圧電源17から直流電圧が印加されるので安全のために大地に接地する。
本発明の実施の形態によれば、直流電圧電源17として、電力ケーブル11a、11bに接続されるガス絶縁開閉装置(GIS)の許容直流電圧値以下の直流電圧を発生する直流安定化電源を採用したので、ガス絶縁開閉装置に接続された電力ケーブルに対しても絶縁劣化箇所を非破壊で特定できる。
また、ガス絶縁開閉装置(GIS)の許容直流電圧値以下の直流電圧としたことに伴い漏れ電流が微少な電流となることから、ノイズ侵入防止回路14を設け、電力ケーブル11a、11bの電流変化を高感度で入力できるようにしたので、絶縁劣化箇所の絶縁抵抗R5が大きな場合であっても絶縁劣化を検出できる。また、測定表示装置18を構成する各要素や操作部の絶縁性能を向上させ、漏れ電流の流出を抑制しているので、測定表示装置18の感度を高感度に保つことができる。
以上の説明では、電力ケーブルの接続点がない電力線路の場合について説明したが、電力ケーブルの接続点がある電力線路の場合には、その接続点の長さや抵抗値を電力ケーブルの等価長や等価抵抗に換算して絶縁劣化位置を特定することになる。
本発明の実施の形態に係わる絶縁劣化位置評定装置の構成図。 本発明の実施の形態におけるノイズ侵入防止回路の回路構成図。 本発明の実施の形態で使用するマーレーループ法での電力線路の絶縁劣化位置を評定する原理の説明図。
符号の説明
11…電力ケーブル、12…短絡ケーブル、13…測定辺抵抗、14…ノイズ侵入防止回路、15…検流計メータ、16…レシオアーム、17…直流電圧電源、18…測定表示装置、19…接続端子、20…比率演算部、21…按分比率表示器、22…バッテリ、23…入力フィルタ回路、24…動増幅回路、25…2段増幅回路、26…零調整回路、27…感度調整回路

Claims (3)

  1. 電力ケーブルで形成された電力線路の一方端が短絡された2本の電力線路の他方端に測定辺抵抗を接続するとともに測定辺抵抗に並列に検流計メータを接続してホイートストンブリッジ回路を形成し、前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗を按分した位置に直流電圧を印加してマーレーループ法で電力線路の絶縁劣化位置を評定する絶縁劣化位置評定装置において、前記電力線路の絶縁劣化位置を評定する際に前記電力線路に接続されるガス絶縁開閉装置の許容直流電圧値以下の直流電圧を前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置に印加する直流電圧電源と、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され前記ホイートストンブリッジ回路における2本の電力線路と測定辺抵抗との接続点間に流れる電流を指示する検流計メータと、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され2本の電力線路の各々の電力線路に重畳するノイズが前記検流計メータに入力されることを防止するノイズ侵入防止回路と、大地間と所定の絶縁強度を保って形成され前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置を変化させ前記検流計メータに流れる電流を零に調整するレシオアームとを備えたことを特徴とする絶縁劣化位置評定装置。
  2. 前記ノイズ侵入防止回路は、2本の電力線路の各々の電力線路から入力される電流に含まれるノイズを除去する入力フィルタ回路と、前記入力フィルタ回路の出力の差分を演算する動増幅回路と、2本の電力線路に直流電圧が印加されない状態で前記動増幅回路の出力が零となるように前記検流計メータの零調整を行う零調整回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の絶縁劣化位置評定装置。
  3. 電力ケーブルで形成された電力線路の一方端が短絡された2本の電力線路の他方端に測定辺抵抗を接続するとともに測定辺抵抗に並列に検流計メータを接続してホイートストンブリッジ回路を形成し、前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗を按分した位置に直流電圧を印加してマーレーループ法で電力線路の絶縁劣化位置を評定する絶縁劣化位置評定方法において、2本の電力線路に流れる電流を大地間と所定の絶縁強度を保って形成されたノイズ侵入防止回路を介して検流計メータに入力し、2本の電力線路に直流電圧が印加されていない状態で大地間と所定の絶縁強度を保って形成された検流計メータの零調整を行い、前記直流電圧電源から前記電力線路に接続されるガス絶縁開閉装置の許容直流電圧値以下の直流電圧を前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置に印加し、大地間と所定の絶縁強度を保って形成されたレシオアームにより前記ホイートストンブリッジ回路の測定辺抵抗の按分位置を変化させて前記検流計メータに流れる電流を零に調整し、前記レシオアームで調整された測定辺抵抗の按分位置の比率に基づいて電力線路の絶縁劣化位置を評定することを特徴とする絶縁劣化位置評定方法。

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