JP4984498B2 - 機能素子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノチューブなどの炭素系線状構造材料が機能部位として設けられている機能素子及びその製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブのように、断面の大きさがナノメートル程度(以下、簡略にナノサイズと言う。)の極細線の形状をもつ物質は、断面方向の電子の運動がナノサイズの領域に制限され、長さ方向(軸方向)の一次元の電子の運動のみがマクロなスケールで許されている。このような特異な構造と物性をもつ物質を、本明細書では一次元材料と呼ぶことにする。
近年、一次元構造をもつ材料は、将来のエレクトロニクス材料などとして注目されている。特に、カーボンナノチューブ(CNT;carbon nanotube)などの炭素系一次元材料は、優れた電気伝導性や熱伝導性や機械的強度、半導体材料における高いキャリア移動度、および軽量性などにより、エレクトロニクス材料としての応用が期待されている材料である。例えば、半導体性の単層CNT(single-walled CNT)および二層CNT(double-walled CNT)は、高いキャリア移動度を示すことが報告されており、高速スイッチング用の電界効果トランジスタ(FET)のチャネル材料などとしての応用が期待されている。
なお、本明細書では、金属ではない物質が、非局在化したπ電子の移動などによって、金属と同程度の高い電気伝導度を示す場合、「その物質は金属性である」と言うことにする。ベンゼン環と同様のπ電子共役系を有する炭素原子からなる6員環を多数個、平面蜂の巣(ハニカム)状に連結すると、グラファイト結晶の1層分に相当するグラフェンシートが形成される。単層のカーボンナノチューブの構造は、このグラフェンシートを長方形に切断し、長方形の長辺どうしが互いに重なるように円筒状に丸めたものに相当する。この際、同じ直径であっても、長方形を取る向きの違いによって分子構造(キラリティ;chirality、例えば、らせん構造の有無など)が微妙に異なる複数種のカーボンナノチューブが形成され、これらの電気的性質は、半導体性であるものから金属性であるものまで変化する(参考文献1:田中一義編,「化学フロンティア2 カーボンナノチューブ」,化学同人,2001年,p.19−31参照。)。
さて、カーボンナノチューブの合成方法としては、アーク放電法、レーザーアブレーション法およびCVD法(化学気相成長法)などが知られている。これらのうち、CVD法は、簡易な装置と安価な原料ガスを用いて、生産性よく、低コストで、多量のカーボンナノチューブを合成できる利点がある。また、触媒微粒子の大きさを制御したり、担持方法を工夫したりすることで、カーボンナノチューブの構造を制御できる可能性があり、例えば、単層CNTと二層CNTを作り分けたり、単層CNTの直径を所定の大きさに揃えたりすることができる(例えば、参考文献2:篠原久典,日経サイエンス,2002年8月号,p.26−31参照。)。また、所定の位置に触媒を配置しておき、この触媒に接してカーボンナノチューブを成長させることで、所定の位置にカーボンナノチューブを形成することができる(例えば、参考文献3:粟野祐二,日経サイエンス,2002年8月号,p.32−37参照。)。
CVD法では、例えば鉄Fe、コバルトCo、ニッケルNi、またはそれらを含む合金などからなる微粒子状の触媒を、径のそろったナノサイズの細孔をもつゼオライト、酸化アルミニウム(アルミナ)Al23、酸化シリコンSiO2、および酸化マグネシウムMgOなどに担持させる。そして、水素ガスの共存下、650〜1000℃程度の温度に保った触媒上で炭素含有化合物からなる原料ガスを分解させ、触媒に接して炭素原子を堆積させ、径のそろった高純度の単層CNTなどの合成を可能にする(例えば、参考文献4:K.Mukhopadhyay et al.,Chem.Phys.Lett.,303,p.117(1999)参照。)。
また、鉄Fe、コバルトCo、ニッケルNiをモリブデンMoなどと合金化した触媒を用いても、CVD法で単層CNTを合成することが可能である(例えば、参考文献5:Y.Murakami et al.,Chem.Phys.Lett.,377,p.49 (2003)参照。)。
このようなカーボンナノチューブなどの炭素系一次元材料を機能部位として用い、トランジスタやMEMS(micro-electro-mechanical system)などの機能素子を作製するには、基板上などに炭素系一次元材料を配置する工程や、炭素系一次元材料に電気的に接続する電極などの他の部材を形成する工程なども必要である。このため、上記の機能素子の作製方法として、大きく異なる2つの方法が考えられる。
第1の方法は、まず、炭素系一次元材料を合成した後、電極などが形成された基板上の所定の位置に、炭素系一次元材料を配置する方法である。炭素系一次元材料を配置する方法としては、適当な溶媒を用いて炭素系一次元材料の分散液を調製し、分散液を所定の位置に塗布した後、溶媒を蒸発させて除去するなどの方法がある(例えば、参考文献6:M.Shiraishi et al.,Chem.Phys.Lett.,394,p.110−113 (2004)参照。)。この方法には、ナノサイズの炭素系一次元材料を所定の位置に所定の向きで配置し、電極への良好な電気的接続を形成するという困難な課題がある。また、これらの工程において炭素系一次元材料の特性が劣化する問題もある。このため、製造歩留まりの向上に限界があり、この方法が機能素子の実用的な製造方法となる可能性は小さいと考えられる。
第2の方法は、まず、基板上の所定の位置に触媒を配置し、この触媒に接してCVD法により炭素系一次元材料を成長させる方法である。この方法では、困難な炭素系一次元材料の配置工程が不要になり、触媒のパターニングによって微細構造の形成にも対応できる。また、配置工程にともなう炭素系一次元材料の特性劣化がなくなるので、トランジスタ特性などの優れた機能素子を得ることができる等の利点がある。このため、多くの研究が行われている。
第2の方法では、炭素系一次元材料に電気的に接続する対向電極を先に形成しておき、炭素系一次元材料を成長させる際に、対向電極間に適当な大きさの直流または交流電圧を印加するようにするのがよい。炭素系一次元材料は電界方向に沿って成長する性質がある(例えば、参考文献7:Y.Zhang et al.,Appl.Phys.Lett.,79,p.3155−3157(2001)参照。)ので、このようにすると、対向電極間を結ぶ方向に向きをそろえ、対向電極間を架橋するように、炭素系一次元材料を成長させることが可能である(例えば、参考文献8:A.Ural et al.,Appl.Phys.Lett.,81,p.3464−3466(2002)参照。)。
ただし、この場合、先に形成された電極は、CVD工程において炭素含有ガスおよび水素ガスが存在する雰囲気に高温下で曝されることになる。このため、電極を構成する材料は、このような条件下で劣化などの問題が生じない材料であることが必要である。
例えば、900℃の高温下、メタンと水素の混合ガスが存在する雰囲気下では、金Au(融点 1064℃)からなる電極は、化学的には安定であるものの、金の融点が比較的低いため、CVD工程後、電極が不連続な複数個のボール状のかたまりに分離してしまうので、用いることができない。また、チタンTiまたはタンタルTaからなる電極は、一部が揮発性の水素化物に変化することによってエッチングされ、この結果、電極として残った部分が高抵抗化するので、用いることができない。タングステンWまたはモリブデンMoからなる電極は、熱的にも化学的にも安定である。しかし、電極材料としてタングステンを用いると、電極に接して配置された触媒の活性がタングステンによって阻害され、カーボンナノチューブが形成されなくなる。従って、タングステンも電極として用いることができない(参考文献9:N.R.Franklin et al.,Appl.Phys.Lett.,81,p.913−915(2002)参照。)。
これらのことから、上記の金属中ではモリブデンだけが、電極に接して触媒を配置してもカーボンナノチューブのCVD合成を阻害せず、かつ、CVD条件下で電極材料としての性能を維持できる材料である。このため、従来、電極に接して配置された触媒を起点としてCVD法によってカーボンナノチューブを形成する際には、電極材料としてモリブデンが用いられることが多かった(例えば、参考文献8および9参照。)
しかし、最近、仕事関数が大きく、炭素系一次元材料に対する密着性(濡れ性)に優れたパラジウムPdを電極材料として用いると、直径が約2nmをこえるカーボンナノチューブに対して、ショットキー障壁をほとんど形成することなく、オーミック接触性よく接続できることが明らかにされた(参考文献10:A.Javey et al.,Nature,424,p.654−657(2003)参照。)。これに基づき、後述の非特許文献1には、FETのソースおよびドレイン電極として、モリブデン電極の代わりにパラジウム電極を用いることによって、ON状態でのコンダクタンスが改善され、飽和電流が3倍に向上した例が示されている。
一方、新たなCVD法として、炭素含有ガスをプラズマによって活性化するプラズマ強化CVD法(PECVD法:Plasma Enhanced CVD法)が開発されている。例えば、参考文献11には、フェライトまたは鉄の蒸着膜を触媒とし、炭素含有ガスとしてメタンガスを用いながら、PECVD法を用いることによって600℃の低温で単層カーボンナノチューブを高効率で成長させた例が報告されている(参考文献11:Y.Li et al.,Nano Lett.,vol.4,no.2,p.317−321(2004)を参照)。
A.Javey et al.,"Carbon Nanotube Field-Effect transistors with Integrated Ohmic Contacts and High-κ Gate Dielectrics",Nano Lett.,vol.4,no.3,p.447−450(2004)(第447及び第448頁、図1及び2)
以上に述べたように、近年、カーボンナノチューブなどの炭素系一次元材料を機能部位とする機能素子の構造及びその製造方法は、大きく進歩した。しかし、問題点がすべて解決されたということではない。以下、残された問題点について説明する。
図13は、非特許文献1に示されている、カーボンナノチューブをチャネル材料として用いたFETの構造およびその作製工程を示す断面図である。図13(a)は、バックゲート型FETが形成された状態を示し、図13(b)は、さらにトップゲートが形成されたデュアルゲート型FETを示している。基板101はバックゲートを兼ねたp型シリコン基板であり、その表面には絶縁層102として酸化シリコン層が形成されている。これらのFETの作製工程は次の通りである。
初めに、パラジウムからなるソース電極103およびドレイン電極104を形成する。まず、酸化シリコン層102の上に、スパッタリングによってパラジウム層を形成した後、フォトリソグラフィと反応性イオンエッチングによってパターニングして、ソース電極103およびドレイン電極104を形成する。この後、ソース電極103およびドレイン電極104の周囲の酸化シリコン層102を部分的にエッチングして、チャネル領域における酸化シリコン層102の厚さを減少させる。
続いて、リフトオフ法によってパターニングして、ソース電極103およびドレイン電極104の上に(図示省略した)触媒層を形成する。すなわち、まず、全面にポリメチルメタクリレート(PMMA)層を形成した後、形成しようとする触媒層に対応したパターンを、紫外光または電子線の照射によってPMMA層に形成する。次に、PMMA層の被照射領域を現像除去して、PMMA層にウエルを形成する。次に、触媒粒子をメタノールに分散させた分散液を全面に被着させた後、メタノールを蒸発させ、触媒粒子を堆積させる。次に、PMMA層をアセトンに溶解させ、その上に堆積した触媒粒子とともに除去する。この結果、ウエルに堆積していた触媒粒子のみが残り、ソース電極103およびドレイン電極104の上に島状に堆積した触媒層が形成される。触媒としては、アルミナに担持された鉄触媒を用いる。
続いて、CVD法によって触媒層を起点として、ソース電極103とドレイン電極104との間を架橋して、電気的に接続するようにカーボンナノチューブ105を成長させ、図13(a)に示したバックゲート型FETを形成する。CVD工程は、石英管中に基板101をおき、900℃でメタンと水素の混合ガスを流すことによって行う。
この後、原子層堆積法(ALD:Atomic-Layer Deposition)によって酸化ハフニウムHfO2からなるトップゲート側絶縁層106などを形成して、図13(b)に示したデュアルゲート型FETを形成する。
上記の作製工程において、問題点の1つは、触媒層をパターニングして形成する際に、PMMA層をパターニングする特殊な方法が用いられていることである。触媒層のパターニングに通常のフォトレジストではなくPMMAが用いられているのは、触媒分散液の溶媒であるメタノールにフォトレジストが溶解してしまうためである。通常のフォトリソグラフィとエッチングによってPMMAをパターニングするには、PMMAと通常のフォトレジストの二層構造を形成する必要があり(参考文献8のp.3464右欄−p.3465左欄参照。)、工程が煩雑になる。
上記の作製工程の他の問題点は、CVD工程が900℃の高温下で行われていることである。既述したように、このような高温下では金やチタンなどを電極材料として用いることができない。直径が約2nmをこえるカーボンナノチューブは、パラジウムとオーミック接触性よく接続できるが、良好な半導体性を示すカーボンナノチューブの大部分は、直径が1nm程度のカーボンナノチューブである。これらのカーボンナノチューブは、バンドギャップが1eV程度あるため、パラジウムと良好なオーミック接触を形成することができない(参考文献11のp.318右欄参照。)。このため、パラジウムを電極材料として用いると、使用可能なカーボンナノチューブが大きく制限される。また、基板材料などもCVD工程における高温に耐え得る材料に制限される。
本発明は、上述した課題等を解決するためになされたものであって、その目的は、カーボンナノチューブなどの炭素系線状構造材料が、対向電極間に機能部位として設けられた機能素子であって、炭素系線状構造材料と対向電極とのオーミック接触性が良く、比較的低い温度と簡易な工程で作製可能な機能素子及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、
炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料からなり、所定の位置 に対向して配置された対向電極と、
化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦ 0.33、0<y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される 触媒材料からなり、前記対向電極に接する位置又は前記対向電極間の位置に形成された 触媒と、
前記触媒に接して形成され、前記対向電極間に機能部位として設けられた前記炭素系 線状構造体と
からなる第1の機能素子に係り、また、
炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料からなり、所定の位置 に対向して配置された対向電極と、
少なくとも、前記対向電極に形成された凹部、或いは貫通孔又は切り欠き部に設けら れた触媒と、
前記触媒に接して形成され、前記対向電極間に機能部位として設けられた前記炭素系 線状構造体と
からなる、第2の機能素子に係るものである。
また、
炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料を所定の位置に配置し て、対向電極を形成する工程と、
前記対向電極に接する位置又は前記対向電極間の位置に、化学式 (Fe1-p-qCopNiq )1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦0.33、0<y≦0.33 、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される触媒材料を配置して、触媒を 形成する工程と、
炭素含有化合物からなる原料を分解し、前記触媒に接して、前記炭素系線状構造体の 材料である炭素系線状構造材料を形成する工程と
を有する、機能素子の第1の製造方法に係り、また、
炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料を所定の位置に配置し て、前記対向電極を形成する工程と、
前記対向電極に凹部、或いは貫通孔又は切り欠き部を形成する工程と、
少なくとも、前記凹部、或いは前記貫通孔又は前記切り欠き部に触媒を設ける工程と 、
炭素含有化合物からなる原料を分解し、前記触媒に接して、前記炭素系線状構造体の 材料である炭素系線状構造材料を形成する工程と
を有する、機能素子の第2の製造方法に係るものである。
なお、前記炭素系線状構造材料は、典型的には、単層カーボンナノチューブ、又は二層以上の多層カーボンナノチューブのような炭素系一次元材料であるが、カーボンナノチューブほど高い結晶性(原子配列の規則性)をもたない材料をも含むものとする。すなわち、前記炭素系線状構造材料とは、筒状に丸められたグラフェンシート構造の全部又は一部を導電領域として含み、前記グラフェンシート構造が断面の大きさがナノメートル程度の極細線の外形形状をもち、断面方向の電子の運動がナノサイズの領域に制限され、長さ方向(軸方向)の電子の運動のみがマクロなスケールで許されている炭素系材料であれば何でもよい。その外形形状は、直線状又は曲線状であって、分岐や節を含んでいてもよい。具体的には、筒状のカーボンナノチューブの他に、カップスタック型のカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバンブー又はカーボンナノワイヤなどであってよい。また、金属イオンやフラーレンなどが内包されることによって、p型又はn型の半導体性を示すものであってもよい。
本発明の第1の機能素子において、炭素系線状構造材料は、化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦0.33、0<y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される触媒材料からなる触媒によって合成される。この触媒は、メタンなどの炭素を含む化合物を原料ガスとして、特にプラズマ中或いはプラズマの下流中で反応を行う際の触媒活性が高いので、650℃以下の比較的低い温度でも高い触媒活性を得ることができ、300〜650℃で単層又は二層のカーボンナノチューブを合成することができる。
このため、前記炭素系線状構造体に対してオーミック接触性の良好な電極材料として、融点の高いパラジウムやチタンばかりではなく、比較的融点の低い金(融点 1064℃)やアルミニウム(融点 660℃)を用いることができる。金は仕事関数が大きく、直径が2nm以下のカーボンナノチューブに対しても、良好なオーミック接触を形成することができる。アルミニウムは、前記炭素系線状構造材料に対する密着性(濡れ性)に優れており、仕事関数の小さいカーボンナノチューブや、n型のカーボンナノチューブと良好なオーミック接触を形成することができる。
また、基体として、耐熱性はよいが高価なシリコン基板などの結晶性基板以外に、耐熱性は低いが安価なガラス基板などを用いることができるようになる。また、前記触媒によって合成される単層カーボンナノチューブは一般に高純度であり、直径が2nm未満で0.7nm以上のものが容易に得られ、これらはトランジスタ等の機能素子に用いるのに好適なものである。
また、前記触媒は、鉄Fe、コバルトCo及びニケルNiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素の塩と、モリブデンMo及びクロムCrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素の塩とを含む触媒原料溶液の被着と、その後の金属イオンの還元処理によって簡易に形成することができる。この際、前記触媒は前記対向電極に固着させたり、前記対向電極の支持体である、表面に酸化物層が形成された基体上に担持させたりすることができる。
このため、触媒をゼオライトなどの微粒子に担持させる必要がなく、これらの微粒子が不純物として機能素子の機能を阻害することがない。また、好適な金属塩を選択することによって、メタノールなど、フォトレジストを溶解させる溶媒を触媒原料溶液の溶媒として用いることを避けることができる。この結果、触媒層のパターニングに際し、通常のフォトレジストを用いることができ、非特許文献1の場合のようにPMMAの使用を迫られるということがない。また、従来の金属触媒の形成には、真空蒸着装置などの設備を要したが、そのような設備の必要もない。
以上のように、(Fe1-p-qCopNiq1-x-yMoxCry 触媒を用いることにより、触媒形成のための工程及び設備を簡易にすることができる。
本発明の第2の機能素子において、前記触媒は、前記対向電極に形成された凹部、或いは貫通孔又は切り欠き部に設けられる。このため、前記触媒は確実に前記対向電極の近傍に保持され、その結果、前記触媒に接して形成された前記炭素系線状構造体が前記対向電極に良好に接触することを実現することができる。特に、前記貫通孔又は前記切り欠き部は、前記対向電極をパターニングして形成する際に同時に形成することができるので、これらの形成のために新たな工程が必要になるということはなく、好都合である。
第2の機能素子において用いられる前記触媒はとくに限定されるものではないが、第1の機能素子で用いられている(Fe1-p-qCopNiq1-x-yMoxCry 触媒を好適に用いることができる。従って、第1の機能素子の発明と、第2の機能素子の発明とは相補い合う関係にあり、併用するのが望ましい。
本発明の機能素子の第1の製造方法及び第2の製造方法は、それぞれ、本発明の第1の機能素子及び第2の機能素子を作製するのに必要な工程を有し、これらの機能素子の実現と表裏一体の関係にある機能素子の製造方法である。
本発明の第1の機能素子において、単層のカーボンナノチューブを得るためには、前記触媒材料の化学式(Fe1-p-qCopNiq1-x-yMoxCryにおいて、0.05≦x十y≦O.2の範囲のxおよびyが好適である。また、触媒材料の合成の容易さの観点からは、触媒材料が化学式 Fe1-xMox(ただし、0<x≦0.33)又は化学式 Co1-xMox(ただし、0<x≦0.33)で表される材料であるのがよい。
前述したように、前記触媒は、鉄Fe、コバルトCo及びニケルNiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素の塩と、モリブデンMo及びクロムCrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属元素の塩とを含む触媒原料溶液を、所定の位置に被着させた後、含まれる金属イオンを還元することによって、簡易に形成することができる。この場合、前記触媒材料が、少なくとも、前記対向電極に形成された凹部、或いは貫通孔又は切り欠き部に配置されるのがよい。このようにすると、前記触媒は確実に前記対向電極の近傍に保持され、その結果、前記触媒に接して形成された前記炭素系線状構造体が前記対向電極に良好に接触することを実現することができる。
この際、前記触媒は、前記対向電極に固着させたり、前記対向電極の支持体である、表面に酸化物層が形成された基体上に担持させたりすることができるが、特に、前記触媒が酸化物絶縁層に接して形成されているのが望ましい。酸化物絶縁層としては、酸化シリコンSiO2、酸化アルミニウム(アルミナ)Al23、酸化マグネシウムMgOおよびゼオライトなどがよく、前記触媒の膜厚は10nm以下、より好ましくは2nm程度である。これらの酸化物絶縁層上に形成された前記触媒は、熱的に安定な酸化物上に微粒子状に担持され、高い触媒活性を示すことが、本発明者によって実験的に明らかにされている。一方、前記触媒を前記対向電極に直接固着させると、前記触媒が前記対向電極に融着して、粒径が大きくなったり、前記対向電極と合金化したりして、触媒活性が低下することがある。従って、前記対向電極に形成された凹部などに前記触媒を形成する場合には、前記対向電極に接して酸化物絶縁層を形成し、この酸化物絶縁層上に前記触媒を担持させるのがよい。
また、前記電極材料が、パラジウム、金、白金、ニッケル、チタン及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属であるか、又はこの金属を含有する材料、或いはITO(Indium Tin Oxide)であるのがよい。パラジウム、金、白金、ニッケル及びチタンの単体(金属)、若しくはこれらの合金、或いはITOは、仕事関数が大きく、仕事関数が大きいカーボンナノチューブに対しても、良好なオーミック接触を形成することができる。パラジウム、チタン及びアルミニウムは、前記炭素系線状構造材料に対する密着性(濡れ性)に優れており、仕事関数の小さいカーボンナノチューブや、n型のカーボンナノチューブと良好なオーミック接触を形成することができる。例えば、チタンの場合、チタンと前記炭素系線状構造材料との界面において炭化チタン(TiC)を形成することにより、欠陥の少ない界面が得られ、この結果、良好なオーミック接触が形成される。
また、前記炭素系線状構造体が金属性の炭素系線状構造材料を含み、配線素子として構成されているのがよい。或いは、前記炭素系線状構造体が半導体性の炭素系線状構造材料からなり、抵抗素子として構成されているか、或いは、前記炭素系線状構造体をチャネル部とし、前記対向電極をソース電極及びドレイン電極とする電界効果トランジスタとして構成されているのがよい。
また、前記炭素系線状構造体がカーボンナノチューブからなるのがよく、前記カーボンナノチューブが単層又は二層のカーボンナノチューブであるのがよい。半導体性の単層又は二層のカーボンナノチューブは、高いキャリア移動度を示すことが報告されており、高速スイッチング用の電界効果トランジスタ(FET)のチャネル材料などとしての応用が期待されている。
本発明の第2の機能素子において、前記触媒が鉄Fe、コバルトCo、ニッケルNiのいずれか、又はこれらのいずれかを含む合金であるのがよい。この際、前記合金が鉄、コバルトおよびニッケルのいずれかと、モリブデンMo又はクロムCrとの合金であるのがよい。その他、粉末状のY型ゼオライト、アルミナ及び酸化マグネシウムんどの担体に、必要あればバナジウムV又はモリブデンとともに、コバルト又は/及び鉄を担持させた触媒も使用できる。
また、既述したように、前記合金が、化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦0.33、0<y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される触媒材料からなるのがより好ましく、合成の簡易さからは、前記触媒材料が、化学式 Fe1-xMox(ただし、0<x≦0.33)又はCo1-xMox(ただし、0<x≦0.33)で表される材料であるのがよい。
本発明の機能素子の第1の製造方法において、前記触媒を構成する金属元素の塩を含む溶液を触媒配置位置に被着させ、溶媒を蒸発させた後、金属イオンの還元処理を行うことにより、前記触媒を形成するのがよい。この際、塩として、酢酸塩、塩化物、シュウ酸塩および硝酸塩などを用いることができる。例えば、酢酸塩であれば、酢酸鉄、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸モリブデンおよび酢酸クロムなどである。前記触媒は、前記対向電極に固着させたり、前記対向電極の支持体である、表面に酸化物層が形成された基体上に担持させたりすることができる。酸化物層としては、酸化シリコンSiO2、酸化アルミニウム(アルミナ)Al23および酸化マグネシウムMgOなどがよい。
また、前記炭素系線状構造材料を形成する工程において、前記対向電極間に電圧を印加し、この結果生じる電界の作用によって、前記炭素系線状構造材料の成長方向を、前記対向電極間を結ぶ方向に制御するのがよい。既述したように、前記炭素系線状構造材料は電界方向に沿って成長する性質があるので、このようにすれば、前記対向電極間を結ぶ方向に向きをそろえ、前記対向電極間を架橋するように、前記炭素系線状構造材料を成長させることが可能である。
また、化学気相成長法(CVD法)によって前記炭素系線状構造材料を形成するのがよい。既述したように、CVD法は、簡易な装置と安価な原料ガスを用いて、生産性よく、低コストで、多量のカーボンナノチューブを合成できる利点がある。また、触媒微粒子の大きさを制御したり、担持方法を工夫したりすることで、カーボンナノチューブの構造を制御できる可能性があり、例えば、単層CNTと二層CNTを作り分けたり、単層CNTの直径を所定の大きさに揃えたりすることができる。
また、プラズマで前記原料ガスを活性化するプラズマ強化化学気相成長法(PECVD法:Plasma Enhanced CVD法)によって、前記化学気相成長法(CVD法)を行うのがよい。CVD法としてPECVD法を用いると、(Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry触媒を用いて、一般的には400℃〜650℃でカーボンナノチューブを形成することができ、本発明の特徴を良好に発揮させることができる。
この際、還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を活性化処理する工程を有するのがよい。この工程により、前記触媒に高い触媒活性を付与することができるので、300℃〜650℃の下でカーボンナノチューブを形成することができ、本発明の特徴を最も良く発揮させることができる。前記還元ガスとしては、通常水素ガスが用いられるが、他の還元性ガスであってもよい。
また、前記炭素系線状構造材料のうち、金属性の炭素系線状構造材料又は半導体性の炭素系線状構造材料を電磁波の照射によって選択的に除去し、前記炭素系線状構造体を形成するのがよい。最近、カーボンナノチューブによって共鳴吸収される波長のレーザー光をカーボンナノチューブに照射すると、レーザー光がカーボンナノチューブに共鳴吸収され、吸収された光エネルギーによってカーボンナノチューブが破壊される現象が発見された(特願2005-219846号参照。)。
このとき共鳴吸収される波長は、例えば、カーボンナノチューブの第一電子励起エネルギー(第一ヴァン・ホーブ(von Hove)電子遷移エネルギー)に相当する波長であり、構造の異なるカーボンナノチューブでは共鳴吸収される波長も異なる。従って、金属性のカーボンナノチューブ又は半導体性のカーボンナノチューブによって選択的に共鳴吸収される光、一般的には電磁波を照射することによって、金属性のカーボンナノチューブ又は半導体性のカーボンナノチューブを選択的に除去することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、主として請求項1および5に記載した機能素子、および請求項17および18に記載した機能素子の製造方法に関わる例として、前記炭素系線状構造材料である半導体性カーボンナノチュ−ブを機能部位(チャネル部)として有する電界効果トランジスタ(FET)およびその製造方法について説明する。
図2は、実施の形態1に基づくFET10およびその周辺部の平面図である。図2に示すように、FET10では前記対向電極であるソース電極3およびドレイン電極4が対向して形成されており、各電極の縦および横の大きさは、例えば20μm×20μmであり、電極間の間隙(ギャップ)5の大きさは、例えば長さ1μm、幅20μmである。部分拡大図に示すように、電極3および4の上には触媒層7が形成されており、ソース電極3とドレイン電極4との間を架橋するように、触媒層7に接して半導体性カーボンナノチュ−ブ8aが形成されている。
電極3および4は、マーカー14に基づいて位置決めして形成され、それぞれ、例えば幅2μmの配線12によって電極パッド13に接続されている。対向する電極パッド13間の距離は、例えば160μmであり、電極パッド13を含んだ全体の長さは、例えば400μmである。なお、図2は、最少構成として、1つのFET10に1組の電極パッド13を配する場合を示したため、素子面積の大部分を電極パッド13が占めており、FET10と電極パッド13の設置面積のバランスは良くない。実用的な回路では、FET10などの機能素子は多数個が集積され、これらに対して少数の電極パッド13が配置されるので、通常、電極パッド13の設置面積が素子面積の大部分を占めることはない。
図1は、図2の部分拡大図に点線で囲んで示した領域をさらに拡大して示す、FET10の要部平面図(a)および要部断面図(b)である。なお、要部断面図(b)は、要部平面図(a)に1b−1b線で示した位置における断面図である。
基板1は例えばシリコン基板であり、その表面には絶縁層2として酸化シリコン層が形成されている。基板1としては、その他に、酸化シリコンSiO2、酸化アルミニウム(アルミナ)Al23および酸化マグネシウムMgOなどからなる絶縁層2が表面に形成された結晶性基板やガラス基板などを用いることができる。
基板1の絶縁層2の上に、チタンおよびパラジウムの積層構造(Ti/Pd)からなるソース電極3およびドレイン電極4が、長さ1μmの間隙5を挟んで対向するように形成されている。チタン層およびパラジウム層の厚さは、例えば2nmおよび100nmである。電極3および電極4をこのような積層構造にすることで、下地の酸化シリコン層2に対する密着性と、半導体性カーボンナノチュ−ブ8aに対するオーミック接触性とを実現することができる。電極3および4には、間隙5に面した端部から1μm離れた位置に、縦および横の大きさが例えば1μm×1μmの、酸化シリコン層2に達する貫通孔6が設けられている。この貫通孔6は、図示した位置又は形状に限られるものではなく、他の位置又は形状に設けられてよい。
貫通孔6は、触媒材料を埋め込み、酸化シリコン層2に接触した触媒層7を確実に形成するためのものである。触媒層7は、貫通孔6を埋め込み、さらにソース電極3およびドレイン電極4上の一部の領域を被覆するように形成されている。電極上の触媒層7の縦および横の大きさは、例えば10μm×5μmである。
触媒材料は、化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry で表される材料であるが、単層のカーボンナノチューブを得る観点から、0.05≦x十y≦O.2の範囲のxおよびyが好適である。また、合成の容易さなどの観点から、触媒材料は、化学式 Fe1-xMox(ただし、0<x≦0.33)および化学式 Co1-xMox(ただし、0<x≦0.33)の二元系金属材料が好適である。
この触媒層7に接して、ソース電極3とドレイン電極4との間を架橋するように、FET10のチャネル部である半導体性カーボンナノチュ−ブ8aが形成されている。半導体性カーボンナノチュ−ブ8aは、接触領域11などにてソース電極3およびドレイン電極4に良好なオーミック接触を形成する。基板1の裏面には、チャネル部である半導体性カーボンナノチュ−ブ8aの導電性を制御するバックゲート電極9が形成されている。バックゲート電極9は、例えばアルミニウムからなる。
図3は、実施の形態1に基づくFETの作製工程を示すフロー図であり、図4〜6は、FETの作製工程のフローを示す断面図である。なお、図3に示した(a)〜(g)の工程は、それぞれ、図4〜6の(a)〜(g)の図に対応する。また、図4〜6の断面図は、図1(b)と同じ位置(図4(c)の4c−4c線の位置)における断面図である。
初めに、図4(a)〜(c)に示すように、リフトオフ法によってパターニングして、ソース電極3およびドレイン電極4を形成する。
すなわち、まず、図4(a)に示すように、表面に酸化シリコン層などの絶縁層2が形成されたシリコン基板などの基板1の全面に、塗布法などによってフォトレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィによってパターニングして、電極3および電極4を形成しようとする領域以外を被覆するマスク層51を形成する。
次に、図4(b)に示すように、蒸着法などによって全面に、例えばチタンおよびパラジウムがこの順に積層されたTi/Pdの2層構造からなる電極材料層52を、各層の厚さが例えば2nm/100nmになるように形成する。
次に、図4(c)に示すように、マスク層51を溶解除去することにより、その上に堆積した電極材料層52を除去して、ソース電極3およびドレイン電極4となる電極材料層52のみを残す。この際、触媒材料を埋め込むための貫通孔6が、ソース電極3およびドレイン電極4に形成されるようにパターニングする。貫通孔6は、間隙5に面した端部から1μm離れた位置に、縦および横の大きさが例えば1μm×1μmになるように形成する。
続いて、図5(d)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4の上に、貫通孔6を埋め込むように触媒層7を形成する。触媒層7のパターニングもリフトオフ法によって行う。これも含めて、触媒層7を形成する工程は、図3にd−1工程〜d−6工程として示している。
d−1工程:まず、触媒層7をパターニングするためのマスク層を形成する。
すなわち、基板1の全面を被覆するようにフォトレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィによってパターニングして、触媒層7を形成しようとする領域以外を被覆するマスク層を形成する。
d−2工程:一方、触媒を構成する金属元素の酢酸塩を溶解させた触媒原料溶液を調製する。
すなわち、例えば、エタノール40ml中で酢酸鉄および酢酸モリブデンを混合し、超音波処理して、鉄およびモリブデンが、それぞれ、0.01質量%の割合で含まれる均一な触媒原料溶液を調製する。
d−3工程:酢酸塩からなる触媒原料層を形成する。
すなわち、上記触媒原料溶液中に基板1を浸積し、超音波で10分間処理して、触媒層7形成領域に混合溶液を隙間なく付着させる。次に、触媒原料溶液から基板1を取り出し、ブロア処理して溶媒を蒸発させた後、例えば150℃でプリベークして、触媒層7形成領域に酢酸鉄および酢酸モリブデンからなる触媒原料層を固着させる。
d−4工程:パターニングされた触媒原料層を形成する。
すなわち、マスク層を溶解除去することにより、その上に堆積した触媒原料層を除去して、触媒層7形成領域の触媒原料層のみを残す。
d−5工程:触媒原料層の酢酸塩を酸化物に変換する。
すなわち、触媒原料層が形成された基板1をPECVDチャンバである石英製の管状炉内に移し、空気中で5分間400℃に加熱して、酢酸塩を構成している有機物成分を酸化除去し、酢酸塩を酸化物に変換する。この後、PECVDチャンバ内の内圧が2×10-2Paになるまでロータリーポンプおよびターボ分子ポンプによって真空排気する。
d−6工程:触媒原料層の酸化物を還元して、触媒を構成する金属の合金微粒子からなる触媒層7を形成する。
すなわち、ターボ分子ポンプによる排気を停止した後、アルゴンガスArを流量1000sccmで、水素ガスH2を流量150sccmで導入し、PECVDチャンバ内の圧力を600Paに調整し、10分間の間に室温から550℃まで加熱する。この間に触媒層の酸化物は金属鉄および金属モリブデンに還元される。通常、還元ガスとして水素ガスを用いるが、一酸化炭素COなどの他の還元性ガスを用いることも可能である。
続いて、図5(e)に示すように、PECVD法によって、触媒層7を起点としてカーボンナノチューブ8を成長させる。この際、電極パッド13(図2参照。)を介して、ソース電極3とドレイン電極4との間に適当な大きさの直流または交流電圧、例えば5Vの交流電圧を印加して、カーボンナノチューブ8がソース電極3とドレイン電極4とを結ぶ方向に向きをそろえ、両電極間を架橋するように成長させる。
図7は、カーボンナノチューブ8の作製に用いられるPECVD装置の構成を示す説明図である。PECVD工程用チャンバ21は石英管22からなり、加熱炉23などを備えた管状炉として構成されている。石英管22の上流側には、プラズマ24発生のためのRF放電装置25が配置されている。図示した装置25はキャパシタータイプのプラズマ発生装置であって、石英管22に巻いてある銅リングがカソード26、中心にある金属棒がアノード27であり、両者の間にプラズマ24が発生する。さらに上流側には、原料ガスであるメタンや還元ガスである水素などのガス供給手段28が設けられている。石英管22の下流側には、真空ポンプなどの排気手段29が配置されている。カーボンナノチューブ8が形成される基板1は、プラズマによって直接加熱されることがないように、プラズマ24から十分に離れた、PECVD工程用チャンバ21の中央部に固定される。
図8は、PECVDチャンバ21の別の例を示す概略説明図である。この例はプラズマ発生装置が誘導コイルタイプである例であり、誘導コイル30の両端がそれぞれアノード、カソードになり、コイル30の線の周辺で一様にプラズマ24が発生する。
PECVD工程では、まず、アルゴンガスおよび水素ガスの導入を停止し、PECVDチャンバ21内を真空排気した後、再びアルゴンガスを流量1000sccmで導入し、550℃に加熱する。温度が安定した後、アルゴンガスの導入を停止し、再び水素ガスを流量60sccmで導入し、さらに原料ガスであるメタンガスを流量40sccmで導入し、PECVDチャンバ21内の圧力を100Paに調節し、70Wの高周波プラズマを立てることにより、Mo/Co触媒からSWNTがソース−ドレインギャップを架橋するように10分間成長させた。
本実施の形態におけるPECVD時のプラズマ発生条件は、例えば下記の条件とするのがよい。
プラズマパワー 25〜200W;より好ましくは60〜120W、
ガス流量 H2 50〜70sccm、
CH4 50〜200sccm;より好ましくは60〜160sccm、
ガス圧力 10〜100Pa;より好ましくは20〜50Pa、
温度 350〜650℃;より好ましくは450〜600℃
原料ガスとして用いられる炭素含有化合物としては、メタンの他にアセチレンなどの炭化水素、あるいはメタノールやエタノールなどのアルコール類など、各種のものを適宜用いることができ、特にメタンやメタノールなどのC1化合物が好ましい。上記と同じ長さのカーボンナノチューブを成長させるのに要する時間は、合成時の温度が低下すると長くなり、例えば温度450℃の下では120分になる。
続いて、図6(f)に示すように、半導体性カーボンナノチューブ8aおよび金属性カーボンナノチューブ8bが形成された基板1の裏面に、蒸着法などによってアルミニウム(Al)などからなるバックゲート電極9を形成する。なお、図6(f)には3本のカーボンナノチューブ8を示したが、これは多数のカーボンナノチューブ8の代表として示したものであって、形成されるカーボンナノチューブ8の本数や形成位置は特に限定されるものではない。
続いて、図6(g)に示すように、金属性カーボンナノチューブ8bを選択的に除去し、FET10の作製を終了する。ここで金属性カーボンナノチューブ8bを選択的に除去する方法は2つある。
1つは、既述したように、金属性カーボンナノチューブ8bによって選択的に共鳴吸収される波長のレーザー光をカーボンナノチューブに照射し、レーザー光の共鳴吸収によって吸収された光エネルギーによって、カーボンナノチューブを破壊する方法である。このとき照射するレーザー光の波長は、例えば、カーボンナノチューブの第一電子励起エネルギー(第一ヴァン・ホーブ(von Hove)電子遷移エネルギー)に相当する波長などであるのがよい。
他の1つは、金属性カーボンナノチューブ8bに過大な電流を流すことによって、この金属性カーボンナノチューブ8bを焼き切る方法である(特表2004-517489号公報参照。)。この方法では、金属性カーボンナノチューブ8bを切断破壊するが、半導体性カーボンナノチューブ8aは破壊せずに残す程度の大きさの電圧を、ソース電極3とドレイン電極4との間に印加する。このとき、必要なら、バックゲート電極9にもゲート電圧を印加して、半導体性カーボンナノチューブ8a内のキャリアを空乏化させ、半導体性カーボンナノチューブ8aと金属性カーボンナノチューブ8bとの選別を確実にすることもできる。また、半導体性カーボンナノチューブのうち、半導体特性の良くない半導体性カーボンナノチューブを選択的に除去し、半導体特性の良好な半導体性カーボンナノチューブのみを残すこともできる。
さらに具体的に説明すると、膜厚100nmの酸化シリコン層をゲート絶縁層2として用いる場合、ソース電極3とドレイン電極4との間に5〜20V/μm、バックゲート電極9に10〜50Vの電圧を印加する。例えば、バックゲート電極9に10Vの電圧を印加した状態で、ソース電極3とドレイン電極4との間に印加する電圧を増加させていくと、金属性カーボンナノチューブ8bが一本ずつ焼き切れて行く。この際、一本の金属性カーボンナノチューブ8bが焼き切れると、ソース電極3とドレイン電極4との間に流れる電流の大きさが階段状に減少するので、この電流の大きさを検知しながら印加電圧を増加させて行くことで、残す金属性カーボンナノチューブ8bの数を制御することができる。
同様にして、半導体性カーボンナノチューブのうち、半導体特性の良くない半導体性カーボンナノチューブを選択的に除去し、残す半導体特性の良好な半導体性カーボンナノチューブ8aの数を制御することもできる。例えば、FETを作製する場合には、金属性カーボンナノチューブ8bと半導体特性の良くない半導体性カーボンナノチューブをすべて除去したのち、半導体特性の良好な半導体性カーボンナノチューブ8aの数を調節する。ソース電極3とドレイン電極4との間に印加する電圧を増加させ過ぎると、すべてのカーボンナノチューブが切れてしまうので、ソース電極3とドレイン電極4との間に流れる電流が、例えば10μA以下になった時点でこの工程を終了し、半導体特性の良好な半導体性カーボンナノチューブ8aが所望の本数だけ、例えば一本だけ残った状態を作り出すことができる。
図9は、このようにして作製されたFET10のうち、典型的なFET特性を示した素子について、ソース・ドレイン間電圧(Vd)を−0.1Vに固定して、ゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)特性を測定した例を示している。図9には2本のグラフが示されているが、下側のグラフはゲート電圧(Vg)を−10Vから+10Vへ増加させていったときのグラフであり、上側のグラフはゲート電圧(Vg)を+10Vから−10Vへ減少させていったときのグラフである。ゲート電圧(Vg)が増加する場合とゲート電圧(Vg)が減少する場合とでドレイン電流(Id)に差が生じるのは、バックゲート電極9と半導体性カーボンナノチューブ8aとの間に吸着された水分子による固定電荷に起因するものである(詳しくは、Nano Letters, Vol. 3, No. 2, p.193-198(2003)参照。)。
図9から、ドレイン電流(Id)は、バックゲート電極9に負の電圧を印加した場合に増加し、正の電圧を印加した場合に減少しており、FET10は、バックゲート電極9に印加する電圧が負電圧でON、正電圧でOFFになるp型のFETとして動作していることがわかる。このときの性能指標として用いられるON/OFF比、および−10Vのゲート電圧(Vg)におけるON状態でのドレイン電流(Id)は、それぞれ、1×105および−200nAである。
図10は、同様にして作製され、典型的なFET特性を示した別のFET素子10の、ソース・ドレイン間電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)特性を測定した結果を示すグラフである。測定は、ゲート電圧(Vg)を40V、20V、0V、−20Vおよび−40Vに固定して行った。図10において、ソース・ドレイン間電圧(Vd)が−0.1Vであり、ゲート電圧(Vg)が0Vおよび−20Vである場合のドレイン電流(Id)は、それぞれ、−20nAおよび−40nAである。これらから、図9のFET10が−200nAのドレイン電流(Id)を示したのと同じ、ゲート電圧(Vg)が−10Vである場合のドレイン電流(Id)を推定すると、−30nA程度と推定される。この例のように、同様にして作製されたFET10であっても、この程度(一桁以内)の電流特性のばらつきは生じ得る。
図11は、実施の形態1の変形例として、貫通孔6を形成せず、電極周辺の酸化シリコン層2の上に触媒層を形成し、この触媒層からカーボンナノチューブを電極間に配向成長させ、この単層カーボンナノチューブを走査電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM写真である。図11から、多数の単層カーボンナノチューブが電界方向に沿ってソース電極−ドレイン電極間を架橋していることがわかる。
以上に説明したように、本発明の実施の形態1によれば、化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦0.33、0<y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表され、プラズマ下流中で反応を行う際の触媒活性が高く、650℃以下の比較的低い温度でも高い触媒活性を示す触媒材料を用い、プラズマ強化CVD法によって、前記炭素系線状構造材料である半導体性カーボンナノチュ−ブ8aを合成するので、トランジスタ等の機能素子に用いるのに好適な、高純度の単層又は二層のカーボンナノチューブを400〜650℃の比較的低い温度で合成することができる。
このため、半導体性カーボンナノチューブ8aに対してオーミック接触性の良好な電極材料として、融点の高いパラジウムばかりではなく、比較的融点の低い金を用いることができる。また、触媒層7は、鉄やモリブデンなど、触媒を構成する金属元素の塩を溶解させた触媒原料溶液の被着と、その後の金属イオンの還元処理によって簡易に形成することができる。この際、触媒層7はソース電極3およびドレイン電極4に形成された貫通孔6などに配置されるので、確実に電極3および4の近傍に保持され、その結果、触媒層7に接して形成された半導体性カーボンナノチューブ8aは確実に電極3および4に接触する。このようにして、半導体性カーボンナノチューブ8aのソース電極3およびドレイン電極4に対する良好なオーミック接触性が保証される。
また、PECVD法による半導体性カーボンナノチューブ8aの形成工程において、既に形成されているソース電極3とドレイン電極4との間に電圧を印加することによって、この結果生じる電界の作用によって、半導体性カーボンナノチューブ8aを、電極間を結ぶ方向に向きをそろえ、電極間を架橋するように成長させることが可能であり、この点からも特性の優れたカーボンナノチューブFETを確実に作製することが可能になる。しかも、貫通孔6などは、ソース電極3およびドレイン電極4をパターニングして形成する際に同時に形成することができるので、これらの形成のために新たな工程が必要になるということはない。
触媒層7は、ソース電極3およびドレイン電極4に固着させたり、これらの支持体である、表面に酸化物層が形成された基板1の上に担持させたりすることができる。このため、触媒をゼオライトなどの微粒子に担持させる必要がなく、これらの微粒子が不純物として機能素子の機能を阻害することがない。また、好適な金属塩を選択することによって、メタノールなど、フォトレジストを溶解させる溶媒を触媒原料溶液の溶媒として用いることを避けることができる。この結果、触媒層のパターニングに際し、通常のフォトレジストを用いることができ、非特許文献1の場合のようにPMMAの使用を迫られるということがない。また、従来の金属触媒の形成には、真空蒸着装置などの設備を要したが、そのような設備の必要もない。また、基板1として、シリコン基板などの高価な結晶性基板以外に、安価なガラス基板などを用いることができる。これらの結果、簡易な工程及び設備を用いて、歩留まりよく、低コストでカーボンナノチューブFETを作製することができる。
実施の形態2
実施の形態2は、主として請求項22に記載した機能素子の製造方法に関わる例として、触媒の還元処理をプラズマを用いて行う例である。それ以外は実施の形態1と同じであるので、重複を避けるため、相違点に重点をおいて説明する。
図12は、実施の形態2のFET作製工程において、その特徴であるd−6工程とその前後の工程における、PECVDチャンバ21内の温度および圧力の時間変化を示すグラフである。図12において、横軸は時間(min)、左縦軸は温度(℃)、右縦軸はPECVDチャンバ21内の圧力(Pa)を示す。また、d−6工程およびe工程の区間に示す斜線入りの矢印はプラズマを発生させている時間帯、白抜きの矢印は還元ガス(H2)または原料ガス(CH4)をPECVDチャンバ21内に導入している時間帯を示している。実施の形態1と異なるのはd−6工程のみであるが、その前後のd−5工程およびe工程の詳細も補足的に説明する。
d−5工程:
触媒原料層が形成された基板1をPECVDチャンバ21を兼ねる管状炉22内に固定し、所望の時間をかけて温度を所望の温度、例えば400℃まで上昇させる。この後、空気中で所望の時間、例えば5分間400℃に加熱して、酢酸塩を構成している有機物成分を酸化除去し、酢酸塩を酸化物へ変換する。この後、放冷し、この放冷期間の間に管状炉22内の内圧が2×10-2Paになるまでロータリーポンプおよびターボ分子ポンプによって真空排気する。なお、図12に示すように、基板1を室温まで放冷することなく、所望の基板温度(例えば、200℃又は400℃)から所望の基板温度(例えば、500℃〜550℃)へ所望の時間をかけて上昇させてもよい。
d−6工程:
PECVDチャンバ21内に還元ガスを導入し、チャンバ21内の圧力を所望の値に調整した後、所望の基板温度(例えば、500℃〜550℃)で触媒原料層表面の還元処理を所望の時間行うことにより、d−5工程で生成した金属酸化物を還元し、金属合金の微粒子からなる触媒層7を生成させる。この際、触媒微粒子の表面は、還元ガスのプラズマにより活性化状態となる。すなわち、還元ガスの高周波プラズマを所望の出力で発生させ、還元ガスのプラズマにより触媒表面の活性化処理を所望の時間行い、触媒活性を付与する。
本実施の形態における還元処理時のプラズマ発生条件は、例えば下記の条件とするのがよい。
プラズマパワー 50〜200W;好ましくは70〜150W、
ガス流量 H2 50〜70sccm、
ガス圧力 5〜40Pa;好ましくは10〜20Pa、
温度 450〜650℃;好ましくは500〜600℃
e工程:
d−6工程に引続き、PECVDチャンバ21内で同じ基板温度に基板を保持したまま、還元ガスを導入しながら更に原料ガスを導入する。すなわち、還元ガスと原料ガスの混合ガスをPECVDチャンバ21内に導入し、チャンバ21内の圧力を所望の値に調整した後、混合ガスの高周波プラズマを所望の出力で所望の時間発生させ、PECVD法により、触媒層7から単層のカーボンナノチューブなどを成長させる。なお、本工程では、還元ガスのPECVDチャンバ21内への導入を停止して、原料ガスをチャンバ内に導入してチャンバ21内の圧力を所望の値に調整した後、原料ガスの高周波プラズマを所望の出力で所望の時間発生させ、PECVD法によりカーボンナノチューブなどを成長させてもよい。
本実施の形態によれば、還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって触媒層7を活性化処理する工程を有するので、触媒層7に高い触媒活性を付与することができる。このため、300℃〜650℃の下でカーボンナノチューブを形成することができ、本発明の特徴を最も良く発揮させることができる。前記還元ガスとしては、通常、水素ガスが用いられるが、他の還元性ガスであってもよい。
d−6工程以外に関しては実施の形態1と同じであるので、共通点に関しては前述した実施の形態1の作用効果が、実施の形態2でも得られることは言うまでもない。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
本発明に係る炭素系線状構造材料からなる機能素子及びその製造方法は、カーボンナノチューブなどの炭素系線状構造材料が、対向電極間に機能部位として設けられている機能素子であって、炭素系線状構造材料と対向電極とのオーミック接触性が良く、比較的低い温度と簡易な工程で作製可能な機能素子、及びその製造方法を提供するので、カーボンナノチューブなどからなる機能素子の高性能化および低コスト化を実現し、これらの機能素子の実用化に寄与することができる。
本発明の実施の形態1に基づくFETの要部平面図(a)および要部断面図(b)である。 同、FETおよびその周辺部の平面図である。 同、FETの作製工程を示すフロー図である。 同、FETの作製工程のフローを示す平面図(一部)および断面図である。 同、FETの作製工程のフローを示す平面図および断面図である。 同、FETの作製工程のフローを示す平面図(一部)および断面図である。 同、PECVD装置の構成を示す説明図である。 同、PECVDチャンバの別の例を示す概略説明図である。 同、FETのゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)特性を示すグラフである。 同、別のFETのドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態1の変形例に基づく単層カーボンナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態2のFET作製工程において、d−6工程とその前後の工程における、PECVDチャンバ内の温度および圧力の時間変化を示すグラフである。 非特許文献1に示されているFETの構造およびその作製工程を示す断面図である。
符号の説明
1…基板(シリコン基板など)、2…絶縁層(酸化シリコン層など)、
3…ソース電極(Ti/Pdなど)、4…ドレイン電極(Ti/Pdなど)、5…間隙、
6…貫通孔、7…触媒層、8a…半導体性カーボンナノチュ−ブ(CNT)、
8b…金属性カーボンナノチュ−ブ(CNT)、9…バックゲート電極(Alなど)、
10…FET、11…接触領域、12…配線、13…電極パッド、14…マーカー、
21…PECVDチャンバ、22…石英管、23…加熱炉(ヒーター)、
24…プラズマ、25…RF放電装置、26…RF電極(カソード)、
27…RF電極(アノード)、28…ガス供給手段、29…排気手段、
30…誘導コイル、51…マスク、52…電極材料層、
101…基板(p型シリコン基板)、102…絶縁層(酸化シリコン層)、
103…ソース電極(pd)、104…ドレイン電極(pd)、
105…CNT(カーボンナノチューブ)、106…トップゲート側絶縁層(HfO2)、
107…トップゲート(Al)

Claims (16)

  1. 炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料からなり、所定の位置 に対向して配置された対向電極と、
    化学式 (Fe1-p-qCopNiq)1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0<x≦ 0.33、0y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される 触媒材料からなり、少なくとも、前記対向電極に形成された凹部、或いは貫通孔又は切 り欠き部に前記対向電極して形成された触媒と、
    前記触媒に接して成長し前記触媒からの成長方向に前記対向電極が存在するように 前記対向電極間に機能部位として成長してなる前記炭素系線状構造体と
    からなる、機能素子。
  2. 前記触媒材料が、化学式 Fe1-xMox(ただし、0<x≦0.33)で表される材料である、請求項1に記載した機能素子。
  3. 前記触媒材料が、化学式 Co1-xMox(ただし、0<x≦0.33)で表される材料である、請求項1に記載した機能素子。
  4. 前記触媒が、酸化物絶縁層に接して形成されている、請求項に記載した機能素子。
  5. 前記電極材料が、パラジウム、金、白金、ニッケル、チタン及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属であるか、又はこの金属を含有する材料、或いはITO(Indium Tin Oxide)である、請求項1に記載した機能素子。
  6. 前記炭素系線状構造体が金属性の炭素系線状構造材料を含み、配線素子として構成されている、請求項1に記載した機能素子。
  7. 前記炭素系線状構造体が半導体性の炭素系線状構造材料からなり、抵抗素子として構成されている、請求項1に記載した機能素子。
  8. 前記炭素系線状構造体が半導体性の炭素系線状構造材料からなり、前記炭素系線状構造体をチャネル部とし、前記対向電極をソース電極及びドレイン電極とする電界効果トランジスタとして構成されている、請求項1に記載した機能素子。
  9. 炭素系線状構造体に対してオーミック接触性を有する電極材料からなり、所定の位置 に対向して配置された対向電極と、
    少なくとも、前記対向電極に形成された凹部、或いは貫通孔又は切り欠き部に前記対 向電極と接して設けられた触媒と、
    前記触媒に接して成長し前記触媒からの成長方向に前記対向電極が存在するように 前記対向電極間に機能部位として成長してなる前記炭素系線状構造体と
    からなる、機能素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載した機能素子を製造する方法であって、
    前記炭素系線状構造体に対してオーミック接触性の電極材料を所定の位置に配置して 、前記対向電極を形成する工程と、
    前記対向電極に前記凹部、或いは前記貫通孔又は前記切り欠き部を形成する工程と、
    少なくとも、前記凹部、或いは前記貫通孔又は前記切り欠き部に前記触媒を設ける工 程と、
    炭素含有化合物からなる原料を分解し、前記触媒に接して、前記炭素系線状構造体の 材料である炭素系線状構造材料を成長させ、この際、前記触媒からの成長方向に前記対 向電極を存在させる工程と
    を有する、機能素子の製造方法。
  11. 前記触媒を構成する金属元素の塩を含む溶液を触媒配置位置に被着させ、溶媒を蒸発させた後、金属イオンの還元処理を行うことにより、前記触媒を形成する、請求項10に記載した機能素子の製造方法。
  12. 前記炭素系線状構造材料を成長させる工程において、前記対向電極間に電圧を印加し、この結果生じる電界の作用によって、前記炭素系線状構造材料の成長方向を、前記対向電極間を結ぶ方向に制御する、請求項10に記載した機能素子の製造方法。
  13. 化学気相成長法(CVD法)によって前記炭素系線状構造材料を形成する、請求項10に記載した機能素子の製造方法。
  14. プラズマで前記原料のガスを活性化するプラズマ強化化学気相成長法(Plasma Enhanced CVD法)によって、前記化学気相成長法(CVD法)を行う、請求項13に記載した機能素子の製造方法。
  15. 還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を活性化処理する工程を有する、請求項14に記載した機能素子の製造方法。
  16. 前記炭素系線状構造材料のうち、金属性の炭素系線状構造材料又は半導体性の炭素系線状構造材料を電磁波照射によって選択的に除去し、前記炭素系線状構造体を形成する、請求項10に記載した機能素子の製造方法。
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