JP4984544B2 - 電力システム - Google Patents

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本発明は、直流電源と、界磁付き発電機(電動機)及びコンバータからなる別の直流電源とが、一つの直流電圧部に接続され、この直流電圧部から負荷に直流電力を供給する電力システムにおいて、コンバータ及び冷却装置等の小型化及び低価格化、並びにシステムの安全性向上を可能にするための技術に関するものである。
図4はこの種の電力システムの従来技術を示している。
図4において、1は三相交流電源及びダイオード整流器(Dはダイオードを示す)からなる直流電源であり、その直流出力端子間には電圧平滑用コンデンサ2Cからなる直流電圧部2が接続されている。
直流電圧部2の両端には、スナバコンデンサ3を介してコンバータ4の直流端子が接続されている。このコンバータ4は、環流ダイオードを備えたIGBT等の半導体スイッチング素子SWを三相ブリッジ接続して構成されており、三相交流端子には界磁付き同期発電機(電動機)5が接続されている。ここで、界磁付き同期発電機とは、永久磁石または界磁巻線からなる界磁を備えた同期発電機をいう。
なお、前記直流電圧部2には、直流電力が供給される負荷10が接続されている。
界磁付き同期発電機5は、図示されていない外力が回転子に加えられて軸トルクを得、これを三相の交流電力に変換して固定子コイルからコンバータ4に出力する。コンバータ4はスイッチング素子SWのオンオフ動作により発電機5の交流電力を直流電力に変換し、この直流電力は、直流電圧部2を介して負荷10に供給される。
また、別の直流電源1により発生させた直流電力も、前記直流電圧部2を介して負荷10に供給可能となっている。
上記構成によれば、常時はコンバータ4の動作により直流電圧部2の電圧を直流電源1の出力電圧よりも高く維持することによって直流電源1からの電力流入をゼロとし、全ての負荷電力を発電機5から供給することができる。
一方、発電機5の発電量を絞りたい場合には、コンバータ4により発電量を負荷電力未満に抑制するような制御を行って直流電圧部2の電圧を直流電源1の電圧よりも低くし、これによって不足分の負荷電力を直流電源1から供給する動作を可能にしている。
このような電力供給システムは、例えば後述する特許文献1に開示されている。
上述した従来技術では、コンバータ4の運転が停止の状態、すなわちコンバータ4を構成するスイッチング素子SWが全てオフの状態において発電機5からコンバータ4へ電流が流れないように、発電機5の無負荷誘起電圧(以下、単に誘起電圧という)を直流電源1(直流電圧部2)の電圧よりも低く設定することが通常である。これにより、コンバータ4の運転が停止したときに発電機5に電流が流れなくなり、その電磁トルクを確実かつ簡便にゼロとすることができる。このことは、例えば発電機5を駆動する外力が同時に他の機械を駆動しており、外力のトルクを全て他の機械に供給したい場合等に有用である。
なお、図4に示した界磁付き同期発電機5及びコンバータ4の組み合わせの代わりに、界磁付き直流発電機及びチョッパの組み合わせを用いることも可能である。この場合にも、チョッパの運転停止時における直流発電機の誘起電圧と直流電源1の電圧との関係について、同様のことが言える。
特開2003−161541号公報([0027]〜[0030]、図2,図3等)
しかし、図4の電力システムにおいて、発電機5の誘起電圧を直流電源1の電圧より低く設定すると、発電機5を低速運転して所定の発電量を得たい場合に問題が生じる。
すなわち、発電機5の誘起電圧は回転速度に比例し、また発電機5の発電量は誘起電圧と電流との積にほぼ比例するため、発電機5の低速運転時に所定の発電量を得るためには電流を増加させる必要がある。
一方、コンバータ4のスイッチング素子SWの定格電流や、コンバータ4の電流通流時の発熱を放熱する冷却装置(フィンなど)の定格容量は、発電機5の最大電流に基づいて定める必要がある。このため、発電機5の電流が大きくなるほどスイッチング素子SWや冷却装置の定格が大きくなり、コンバータ4や冷却装置の大型化、高価格化を招くことになる。
そこで、本発明の解決課題は、界磁付き発電機の誘起電圧を適切に設定することにより、コンバータ4に流入する電流を減少させつつ所定の発電量が得られるようにし、コンバータや冷却装置の小型化、低価格化を図ると共に、システムの安全性向上、高効率化を可能にした電力システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、界磁付き発電機と、この発電機による発電電力を直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの出力側に直流電圧部を介して接続された直流電源と、前記直流電圧部に接続された負荷とを備え、前記コンバータの動作により前記直流電圧部の電圧を前記直流電源の電圧よりも高く維持して全ての負荷電力を前記発電機から供給する動作と、前記コンバータにより前記発電機の発電量を負荷電力未満に抑制して前記直流電圧部の電圧を前記直流電源の電圧よりも低くすることにより前記負荷電力の不足分を前記直流電源から供給する動作と、を可能にした電力システムにおいて、前記発電機の最高回転速度における誘起電圧の最大値を、前記直流電源の電圧よりも高くしたものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した電力システムにおいて、前記発電機が、突極性を有する同期発電機であることを特徴とする。
特に、前記発電機としては、請求項3に記載したごとく、埋込磁石型同期発電機を用いることが望ましい。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した電力システムにおいて、前記コンバータを構成する半導体スイッチング素子が全てオフの状態における前記発電機または前記スイッチング素子を流れる電流値が所定値以上になる場合に、前記発電機の回転を停止し、または前記発電機と前記コンバータとを電気的に遮断するものである。
本発明によれば、埋込磁石型同期発電機等の界磁付き発電機の誘起電圧の最大値を直流電源電圧よりも高くすることにより、発電機からコンバータに流入する電流を小さくしながら低速運転時にも所定の発電量を得ることができる。このため、コンバータや冷却装置の定格を低くしてシステム全体の小型化、低価格化を図ることができる。
また、コンバータにおける短絡故障等の発生時に発電機やコンバータの焼損を防止すると共に、弱め磁束制御の併用により高効率化も可能になる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態は、図4と同様に、直流電源1と、界磁付き同期発電機5と、この発電機5の発電電力を直流電力に変換するコンバータ4と、前記直流電源1及びコンバータ4の直流端子に共通して接続された直流電圧部2と、この直流電圧部2から直流電力が供給される負荷10と、からなる電力システムを対象としている。
まず、図1は請求項1に係る本発明の実施形態を説明するためのものであり、発電量を一定とした場合の界磁付き同期発電機の誘起電圧、電流及び回転速度の関係を概念的に示したグラフである。なお、図1(a)は発電機の最高回転速度における誘起電圧の最大値を直流電源1の電圧よりも低く設定した場合、図1(b)は同じく誘起電圧の最大値を直流電源1の電圧よりも高く設定した場合であり、図1(a)における誘起電圧、電流の最大値をそれぞれ100〔%〕として示してある。
図1から明らかなように、誘起電圧は回転速度に比例しており、また、電流は回転速度に概ね反比例している。そして、電流の最大値は、図1(b)の方が図1(a)よりも小さくなっていることが分かる。すなわち、誘起電圧の最大値を直流電源1の電圧よりも高くも設定した図1(b)の方が、同一の回転速度に対し電流が減少するのでコンバータや冷却装置の定格を小さくすることができ、システム全体の小型化、低価格化を図ることができる。
なお、インバータによって界磁付き電動機を駆動するシステムにおいては、電動機の誘起電圧をインバータの直流電圧よりも高くする構成が従来から用いられている。
しかし、この構成では、直流電源から、または交流電源から整流器を介してインバータに直流電力が供給されることを前提としており、電動機が高速回転している状態でインバータの運転が停止した場合に、直流電圧が電動機の誘起電圧のピーク値まで上昇した時点で電動機からの電流流入が停止することを想定するか、または、直流電圧の上昇を抑えるために直流電圧部に抵抗を接続して電力を消費させるか、あるいは、インバータからの電力を電源側に回生するかの何れかの対策がとられていた。
これに対して、本発明の実施形態では、図4に示す如く直流電圧部2に負荷10が接続されており、コンバータ4の運転が停止した状態でも、直流電源1によって負荷10に給電されるという点で、インバータによる界磁付き電動機の駆動システムとは基本的な動作が異なっている。
すなわち、直流電源1から負荷10に電力を供給するためには、直流電圧部2の電圧は直流電源1の電圧以下にクランプされなくてはならない。直流電圧部2の電圧が直流電源1の電圧より高いと、例えば図4のように直流電源1が交流電源及びダイオード整流器を有する場合にはダイオードDが逆バイアスされ、また、ダイオードDを有さない場合には直流電源を充電するモードとなり、何れの場合にも直流電源から負荷10に電力を供給することができなくなる。
このとき、発電機5からコンバータ4側への流入電流は、直流電流によってクランプされた直流電圧部2の電圧と、発電機5の誘起電圧、及び発電機5のインピーダンスによって決まることになる。
この状態における動作を更に詳細に勘案した実施形態につき、以下に説明する。
すなわち、請求項2に係る本発明の実施形態では、同期発電機として回転子が突極性(電気的突極性)を有するもの(このような同期発電機を、突極性を有する同期発電機ともいう)を用いることとし、特に、請求項3に係る本発明の実施形態では、埋込磁石型の回転子を有する同期発電機(このような同期発電機を、埋込磁石型同期発電機ともいう)を対象としたものである。ここで、回転子の突極性とは、回転子の界磁磁極軸としてのd軸(N極)と、このd軸に対して電気的に直交するq軸とで、インダクタンスが異なる性質をいう。
図2は、埋込磁石型の回転子20の断面図である。
図2に示すように、積層鋼板からなる鉄心21にはシャフト22の長手方向に断面ほぼ長方形の孔23が複数形成されており、これらの孔23には永久磁石24がそれぞれ収容されている。
また、回転子20の周囲には、図示されていないが、空隙を介して同心円状に配置された固定子があり、固定子のコイルと回転子20の永久磁石24及び突極性との相互作用によってトルクが得られる。
回転子20を図2に示したような埋込磁石構造とすることにより、回転子20の周囲部分、すなわち空隙を介して固定子のコイルに対向する部分に鉄心21が存在することになり、固定子のコイルから見こんだ磁気抵抗が小さくなることから、コイルのインダクタンスを増大させることができる。
既に述べたように、コンバータ4の運転停止時に高速回転状態の発電機5からコンバータ4に流入する電流は、発電機5のコイルのインピーダンスにより影響を受ける。従って、図2に示した埋込磁石型の回転子20を用いることにより、発電機5のコイルのインピーダンスを大きくすることができ、これによってコンバータ4の運転停止時における発電機5からの流入電流を減少させることができる。
これにより、発電機5及びコンバータ4の発熱を抑制できるだけでなく、発生トルクも低減することができる。
一方、界磁付き発電機や電動機に通常用いられる表面磁石型回転子では、固定子のコイルのインダクタンスが埋込磁石型回転子を用いる場合よりも小さくなるため、コンバータへの流入電流、発生トルクとも大きくなる。
図3は、表面磁石型回転子(図3(a))及び埋込磁石型回転子(図3(b))を用いた同期発電機において、コンバータの運転を停止した状態における発電機の回転速度、電流(相電流)、誘起電圧及びトルクを示す波形図である。なお、図3(a),(b)の何れの場合も、回転速度当たりの誘起電圧を等しく設定している。
これらの図から明らかなように、表面磁石型ではコイルのインダクタンスが小さいため、大きな電流が通流しており、また、発生トルクも大きくなっている(図3(a))。これに対して、埋込磁石型ではコイルのインダクタンスを大きくできるため、電流、発生トルクの何れも表面磁石型より小さくなっている(図3(b))。
なお、表面磁石型の回転子を有する同期発電機であっても、例えば固定子においてコイルが収納されているスロット形状を工夫する等の対策により、故意に漏れインダクタンスを増大させてインピーダンスを大きくすれば、前述した原理によってコンバータ4への流入電流及び発生トルクを抑制することができる。
突極性を有する同期発電機を用いることにより、高速で回転する発電機の誘起電圧が直流電源の電圧よりも高い状態であっても、弱め磁束制御によって安全かつ効率的な運転を行うことができる。
ここで、界磁付き電動機の弱め磁束制御と、これによる高速運転範囲の拡大については、例えば、武田,松井,森本,本田共著「埋込磁石同期モータの設計と制御」第3章「電圧・電流制限時の制御法と出力範囲」(オーム社、2005年8月20日第1版第4刷発行)に記載されており、弱め磁束運転領域では、高速域になるほど突極性の大きい電動機の電流が減少し、逆に効率は高くなることが示されている。
弱め磁束制御の実現方法や効果については公知であるものの、これらを本実施形態に適用することにより、システムの高効率化や安定性向上に寄与することができる。
埋込磁石型の回転子は一般に突極性を持たせることが容易であるため、既に述べた突極性による利点とコイルの高インダクタンスによる利点とを同時に得ることが可能である。
次いで、請求項4に係る本発明の実施形態を述べる。
コンバータ4の運転停止状態において発電機5から電流が通流するケースとしては、前述したように高速回転によって誘起電圧が高い場合のみならず、コンバータ4を構成するスイッチング素子SWの少なくとも一つが短絡故障している場合もある。従って、単純にコンバータ4の運転停止時の電流通流を発電機5の高速回転によるものと判定して制御を続行すると、コンバータ4の短絡故障による過大な電流が流れているにも関わらず発電機5を運転し続ける状況になり得る。この状況は、発電機5のみならずコンバータ4の焼損を招くことになる。
上記の問題を回避するためには、短絡故障等がなく正常な状態のコンバータ4において、その運転停止時に発電機5から流入する電流の最大値を予め調べておき、これを超えるような大電流が流入した際には、コンバータ4を構成するスイッチング素子SWの短絡等が疑われるため、発電機5の回転を停止させるか、あるいはコンバータ4と発電機5とを電気的に切り離す等の措置をとればよい。
これによってコンバータ4の故障時における発電機5からの大電流の通流が解消されるため、装置の焼損を未然に防ぐことが可能である。
以上説明した各実施形態は、図4に示したような電力システムを対象としている。
しかしながら、例えば、直流電源1またはコンバータ4のうち一方の故障時にその故障が他方へ波及するのを防止することを目的として、直流電源1からコンバータ4に至る正負の直流母線の一方または双方に、直流電源1あるいはコンバータ4から直流電圧部2へ電力を供給する方向にダイオードを接続してなるシステムにも適用することができる。
本発明の実施形態において、界磁付き発電機の誘起電圧、電流及び回転速度の関係を概念的に示したグラフである。 埋込磁石型回転子の断面図である。 コンバータの運転停止時における発電機の回転速度、電流(相電流)、誘起電圧及びトルクを示す波形図である。 従来技術を示す構成図である。
符号の説明
1:直流電源
2:直流電圧部
2C:電圧平滑用コンデンサ
3:スナバコンデンサ
4:コンバータ
5:界磁付き同期発電機
10:負荷
20:回転子
21:鉄心
22:シャフト
23:孔
24:永久磁石
D:ダイオード
SW:半導体スイッチング素子

Claims (4)

  1. 界磁付き発電機と、この発電機による発電電力を直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの出力側に直流電圧部を介して接続された直流電源と、前記直流電圧部に接続された負荷とを備え、前記コンバータの動作により前記直流電圧部の電圧を前記直流電源の電圧よりも高く維持して全ての負荷電力を前記発電機から供給する動作と、前記コンバータにより前記発電機の発電量を負荷電力未満に抑制して前記直流電圧部の電圧を前記直流電源の電圧よりも低くすることにより前記負荷電力の不足分を前記直流電源から供給する動作と、を可能にした電力システムにおいて、
    前記発電機の最高回転速度における誘起電圧の最大値を、前記直流電源の電圧よりも高くしたことを特徴とする電力システム。
  2. 請求項1に記載した電力システムにおいて、
    前記発電機が、突極性を有する同期発電機であることを特徴とする電力システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載した電力システムにおいて、
    前記発電機が、埋込磁石型同期発電機であることを特徴とする電力システム。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した電力システムにおいて、
    前記コンバータを構成する半導体スイッチング素子が全てオフの状態における前記発電機または前記スイッチング素子を流れる電流値が所定値以上になる場合に、前記発電機の回転を停止し、または前記発電機と前記コンバータとを電気的に遮断することを特徴とする電力システム。
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