(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の断面図、図1(b)は同薄膜チップ抵抗器のウェットエッチング工程直前の基板の要部拡大断面図、図2は同薄膜チップ抵抗器の製造方法を示すフローチャートである。本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の製造方法の特徴とするところは、図2のフローチャートに示すように、薄膜抵抗体層を形成する工程、すなわちフォトリソプロセス工程の中において、現像工程とウェットエッチング工程との間に分割溝用レジスト印刷工程を付加した点である。なお、図1(a)に示す本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の断面構造は、図17に示した従来の薄膜チップ抵抗器の断面構造と同一であるため、その構造の説明は省略する。
次に、本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の製造方法を図2のフローチャート、図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(e)の製造工程図に基づいて説明する。
まず、図3(a)に示すように、1次分割溝1aと2次分割溝1bを有する96%アルミナからなるシート状の絶縁基板1を用意する。
次に、図3(b)に示すように、絶縁基板1の上面および裏面に金を主成分とする金属有機物からなる電極ペースト、例えば金レジネートペーストを1次分割溝1aを跨ぐようにスクリーン印刷して乾燥させ、その後、金属有機物電極ペーストの有機成分だけを飛ばし、そして金属成分だけを絶縁基板1上に焼き付けるために、ベルト式連続焼成炉によって焼成し、薄膜上面電極層2および薄膜裏面電極層3(図示せず)を形成する(図2の裏面・上面電極層形成工程)。
次に、図3(c)に示すように、絶縁基板1の上面全体にNi−Cr系合金等からなる薄膜抵抗体層4をスパッタを用いて形成する(図2の抵抗体着膜工程)。
次に、図4(a)に示すように、前記薄膜抵抗体層4を所定の抵抗体パターン4aに形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわちフォトレジスト塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここでフォトレジストの塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望の抵抗体パターン4aを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚とする。
次に、図4(b)に示すように、1次分割溝1aを跨ぐように分割溝用レジスト10を印刷する。この時、従来は図23に示すように、薄膜上面電極層2と薄膜抵抗体層4が1次分割溝1aの段差部に露出していたため、フォトリソプロセス工程における抵抗体パターン形成過程でのウェットエッチングの際に局部電池反応による過エッチング現象を引き起こし、抵抗体パターンが断線する要因となっていたが、本発明の実施の形態1においては、上記図4(b)で示したように1次分割溝1aを跨ぐように分割溝用レジスト10を印刷することにより、図1(b)に示すように1次分割溝1aの段差部の薄膜上面電極層2と薄膜抵抗体層4の露出部分を分割溝用レジスト10で完全に覆うようにしているため、図4(c)に示すウェットエッチング工程においては、フォトレジスト9に形成した抵抗体パターンに従ってエッチングされることになり、これにより、過エッチングによる抵抗体パターンの欠損を低減できるものである。なお、このウェットエッチングには、薄膜上面電極層2の材料を溶解せず薄膜抵抗体層4の材料を選択的に溶解する強酸性の水溶液が用いられる。
次に、図5(a)に示すように、フォトレジスト9と分割溝用レジスト10の両者を剥離するレジスト剥離工程を実施し、その後、抵抗体パターン4aを安定な膜にするために、300〜400℃の雰囲気で熱処理を行う(図2の薄膜抵抗体層を形成する工程)。なお、レジスト剥離工程を設けずに、フォトレジスト9と分割溝用レジスト10を保護膜の一部として用いても良いものである。
次に、図5(b)に示すように、薄膜上面電極層2上の薄膜抵抗体層4を覆うように導体樹脂からなる再上面電極層5を形成する(図2の再上面電極層形成工程)。この再上面電極層5は、後述する抵抗値修正工程においてトリミング検針の接触を良好にするために設けるものである。
次に、図5(c)に示すように、抵抗体パターン4aの抵抗値を所定の値に修正するためにレーザートリミングにより抵抗値修正工程を行って、抵抗値修正済みの抵抗パターン4bとする(図2の抵抗値修正工程)。
次に、図6(a)に示すように、抵抗値修正済みの抵抗パターン4bを保護するために、熱硬化性のエポキシ樹脂からなる保護膜層6を形成する(図2の保護膜層形成工程)。
次に、図6(b)に示すように、シート状の絶縁基板1を1次分割溝1aに沿って分割することにより短冊状基板1cを得る。
次に、図6(c)に示すように、短冊状基板1cの端面にスパッタを用いて薄膜端面電極層7を形成する(図2の端面電極層形成工程)。
次に、図6(d)に示すように、短冊状基板1cを2次分割溝1bに沿って分割することにより個片状基板1dを得る。ここで2次分割溝1bの内部にはウェットエッチングで十分に除去できていない抵抗体が残存しているため、この2次分割溝1bに沿って分割する際にはレーザースクライブ等の残存抵抗体を除去するのに有効な方法を用いる。この場合、2次分割溝1bの内部の抵抗体除去が不十分であると、後述する電極めっき工程で薄膜端面電極層7以外の部分にもめっきが付着して外観不良品が発生する。
最後に、図6(e)に示すように、はんだ付け時の信頼性の確保のために、露出した電極部に電極めっき層8を形成する工程(図2の電極めっき層形成工程)を行うことにより、本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器を完成させる。
上記した本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の製造方法においては、フォトレジスト9で完全に覆いきれていなかった1次分割溝1aの段差部の薄膜上面電極層2と薄膜抵抗体層4の露出部分を分割溝用レジスト10の印刷によって完全に覆うようにしているため、抵抗体パターン形成過程でのウェットエッチングの際における1次分割溝1a付近での局部電池反応による過エッチング現象を抑制することができ、これにより、抵抗体パターンの過エッチングによる不良を低減できて、抵抗値歩留りを大幅に改善することができるという優れた効果を奏するものである。また、この効果は、薄膜上面電極層2を形成する材料として金レジネート等の貴金属有機物ペーストを用い、かつ薄膜抵抗体層4を形成する材料に薄膜上面電極層2よりも卑な金属を用いているため、従来の技術においては相対的に卑な金属である薄膜抵抗体層4の過溶解が局部電池反応によって促進されることになり、これにより、本発明の実施の形態1を採用することによる上記記載の効果がより顕著に現れるものである。
なお、上記本発明の実施の形態1においては、薄膜抵抗体層4を着膜する場合、図3(c)に示すように絶縁基板1の上面全体に着膜していたが、マスクスパッタ法を用いて1次分割溝1aとその付近を除いた絶縁基板1の上面すべての箇所に薄膜抵抗体層4を着膜するようにしてもよいものである。このようにすれば、1次分割溝1aに薄膜抵抗体層4が最初から存在しないため、分割溝用レジスト10を印刷した際に隣接する素子の分割溝用レジストと短絡した場合においても素子同士の電気的な短絡は発生せず、また、1次分割溝1a付近の絶縁基板1の上面には薄膜抵抗体層4が存在せず、薄膜上面電極層2が絶縁基板1の上面に露出する部分が存在するため、再上面電極層5と薄膜上面電極層2との接触が図れて電気的接続が安定するものである。
また、マスクスパッタ法を用いて2次分割溝1bとその付近を除く絶縁基板1の上面すべての箇所に薄膜抵抗体層4を着膜するようにしてもよく、このようにした場合は、エッチングで十分に除去できない2次分割溝1b内部の薄膜抵抗体層4をレーザースクライブ等で除去する工程を省くことができ、かつ薄膜端面電極層7以外の部分にめっきが付着する外観不良が発生する割合を低減することができるものである。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3、4に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
図7は本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサの断面図、図8は同薄膜チップコンデンサの第1の薄膜金属層のウェットエッチング工程後の要部拡大断面図、図9は同薄膜チップコンデンサの薄膜誘電体層のウェットエッチング工程後の要部拡大断面図、図10は同薄膜チップコンデンサの第2の薄膜金属層のウェットエッチング工程後の要部拡大断面図、図11は同薄膜チップコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサの製造方法の特徴とするところは、図11のフローチャートに示すように、薄膜金属層を形成する工程、すなわち薄膜金属層のフォトリソプロセス工程の中において、現像工程とウェットエッチング工程との間に分割溝用レジスト印刷工程を付加した点である。
次に本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサの断面構造を、図7を参照しながら説明する。21はアルミナ含有量が96%以上のアルミナ基板等からなる絶縁基板である。22は前記絶縁基板21の上面の両端部に形成された一対の薄膜上面電極層である。23は前記絶縁基板21の裏面の両端部に形成された一対の薄膜裏面電極層である。24は前記一対の薄膜上面電極層22を覆うように絶縁基板21上に形成された第1の薄膜金属層である。25は前記第1の薄膜金属層24の少なくとも一部を覆うように形成された薄膜誘電体層である。26は前記第1の薄膜金属層24の少なくとも一部と前記薄膜誘電体層25を介して対向するように形成された第2の薄膜金属層で、この第2の薄膜金属層26と前記第1の薄膜金属層24および薄膜誘電体層25により容量素子を構成している。27は少なくとも前記第1の薄膜金属層24と第2の薄膜金属層26が薄膜誘電体層25を介して対向する部分を覆うように形成された保護膜層である。28は前記薄膜裏面電極層23、薄膜上面電極層22、第1の薄膜金属層24および第2の薄膜金属層26と電気的に接続されるように前記絶縁基板21の端面に形成された端面電極層である。29は前記薄膜裏面電極層23、端面電極層28および第2の薄膜金属層26を覆うように形成された第1のめっき層である。30は第1のめっき層29を覆うように形成された第2のめっき層である。
次に、本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサの製造方法を図8〜図10に示した断面図、図11に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、図8に示すように、1次分割溝21aを有する96%アルミナからなるシート状の絶縁基板21を用意し、そしてこの絶縁基板21の上面および裏面に金を主成分とする金属有機物からなる電極ペースト、例えば金レジネートペーストを1次分割溝21aを跨ぐようにスクリーン印刷して乾燥させ、その後、金属有機物電極ペーストの有機成分だけを飛ばし、かつ金属成分だけを絶縁基板21上に焼き付けるために、ベルト式連続焼成炉によって焼成し、薄膜上面電極層22および薄膜裏面電極層23を形成する(図11の裏面・上面電極層形成工程)。
次に、前記絶縁基板21の上面全体に前記薄膜上面電極層22を覆うように金系の金属からなる第1の薄膜金属層24をスパッタを用いて形成する。このとき金の密着を高めるために金の下地としてチタン等の密着層をスパッタ等を用いて形成する(図11の第1の薄膜金属層着膜工程)。
次に、前記第1の薄膜金属層24を所定のパターンに形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわち、第1のフォトレジスト31の塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここで前記第1のフォトレジスト31の塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望のパターンを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚で形成する(図11の第1のフォトレジスト塗布、パターン露光、現像の各工程)。
次に、1次分割溝21aを跨ぐように第1の分割溝用レジスト32を印刷して乾燥させることにより、1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24の露出部分をこの第1の分割溝用レジスト32で完全に覆う。そしてこの状態で、前記第1の薄膜金属層24の第1のウェットエッチングを行う。ここで金系の金属からなる第1の薄膜金属層24をエッチングする場合には、エッチャントとして塩酸と硝酸からなる王水を40℃〜80℃の温度で使用する(図11の第1の分割溝用レジスト印刷、第1のウェットエッチングの各工程)。
このとき、1次分割溝21aのエッジは急で溝が深いため、第1の分割溝用レジスト32の印刷工程がない場合には、第1のフォトレジスト31が1次分割溝21aの端部で極端に薄くなり、薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24が1次分割溝21aの段差部付近で露出してしまうため、ウェットエッチングの際に薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24が1次分割溝21aの周辺でエッチングされてしまう要因となっていたが、本発明の実施の形態2においては、図8に示すように、1次分割溝21aを跨ぐように第1の分割溝用レジスト32を印刷することにより、1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24の露出部分を第1の分割溝用レジスト32で完全に覆うようにしているため、第1のウェットエッチング工程においては、第1のフォトレジスト31に形成したパターンに従ってエッチングされることになり、これにより、第1の薄膜金属層24のパターンの欠陥は発生し難くなるものである。
次に、図8に示した第1のフォトレジスト31と第1の分割溝用レジスト32の両者を剥離するレジスト剥離工程を実施する。このとき、レジスト剥離液としてはNaOH水溶液等のアルカリ性の剥離液や溶剤等からなる第1のフォトレジスト31と第1の分割溝用レジスト32を両方とも剥離させる能力のある剥離液を使用し、剥離後は純水で充分すすいだ後、乾燥させる(図11の第1のレジスト剥離工程)。
次に、前記第1の薄膜金属層24を覆うように絶縁基板21の上面全体に薄膜誘電体層25をスパッタリングを用いて形成する。薄膜誘電体層25の材料としては、チタン酸ストロンチウム(以下STOと記す)、チタン酸バリウムストロンチウム(以下BSTと記す)、チタン酸バリウム(以下BTOと記す)、二酸化ケイ素(以下SiO2と記す)等が挙げられるが、所望の静電容量を作成するために適切な誘電率εの材料を選択し、適切な厚みで成膜する(図11の薄膜誘電体層着膜工程)。
次に、前記薄膜誘電体層25を所定のパターンに形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわち、第2のフォトレジスト33の塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここで前記第2のフォトレジスト33の塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望のパターンを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚で形成する(図11の第2のフォトレジスト塗布、パターン露光、現像の各工程)。
次に、図9に示すように、前記第1の薄膜金属層24上に形成された薄膜誘電体層25における第2のフォトレジスト33以外の部分を取り除くように第2のウェットエッチングを行う。このとき、薄膜誘電体層25の材料としてSTO、BST、BTO、SiO2などの材料を使用した場合、薄膜誘電体層25のウェットエッチングにはフッ酸の水溶液を使用し、常温でエッチングを実施する。また、このとき、1次分割溝21a上に形成された薄膜誘電体層25も取り除く必要があるため、薄膜誘電体層25のウェットエッチング時には分割溝用レジストは形成しないものである(図11の第2のウェットエッチング工程)。
次に、図9に示した第2のフォトレジスト33を剥離するレジスト剥離工程を実施する。このとき、レジスト剥離液としてはNaOH水溶液等のアルカリ性の剥離液や溶剤等からなる第2のフォトレジスト33を剥離させる能力のある剥離液を使用し、剥離後は純水で充分すすいだ後、乾燥させる(図11の第2のレジスト剥離工程)。
次に、図10に示すように、前記第1の薄膜金属層24および薄膜誘電体層25を覆うように絶縁基板21の上面全体に銅系の金属からなる第2の薄膜金属層26をスパッタを用いて形成する。このとき、銅系の薄膜金属層の密着力を高めるために、銅系の金属の下地としてクロム等の密着層をスパッタ等を用いて形成する(図11の第2の薄膜金属層着膜工程)。
次に、前記第2の薄膜金属層26を所定のパターンに形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわち、第3のフォトレジスト34の塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここで第3のフォトレジスト34の塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望のパターンを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚で形成する(図11の第3のフォトレジスト塗布、パターン露光、現像の各工程)。
次に、1次分割溝21aを跨ぐように第2の分割溝用レジスト35を印刷して乾燥させることにより、1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と、第1の薄膜金属層24および第2の薄膜金属層26の露出部分を第2の分割溝用レジスト35で完全に覆う。この状態で、第2の薄膜金属層26の第3のウェットエッチングを行う。ここで第2の薄膜金属層26がクロム系の金属と銅系の金属の2層構造で構成される場合には、エッチャントとしてまず過硫酸アンモニウムの水溶液で銅系の金属のエッチングを行い、その後、過マンガン酸カリウムとメタ珪酸ナトリウムの水溶液でクロム系の金属のエッチングを行う(図11の第3のウェットエッチング工程)。
このとき、1次分割溝21aのエッジは急で溝が深いため、第2の分割溝用レジスト35の形成工程がない場合には、第3のフォトレジスト34が1次分割溝21aの端部で極端に薄くなり、薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24が1次分割溝21aの段差部付近で露出してしまうため、第3のウェットエッチングの際に貴な金属である金系の金属からなる薄膜上面電極層22および第1の薄膜金属層24と、金に比べて相対的に卑な金属である銅系の金属からなる第2の薄膜金属層26との間に電位差が生じ、局部電池反応によって過エッチングされてしまう要因となっていたが、本発明の実施の形態2においては、図10に示すように1次分割溝21aを跨ぐように第2の分割溝用レジスト35を印刷することにより、1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と、第1の薄膜金属層24および第2の薄膜金属層26の露出部分を第2の分割溝用レジスト35で完全に覆うようにしているため、第3のウェットエッチング工程においては、第3のフォトレジスト34に形成したパターンに従ってエッチングされることになり、これにより、第2の薄膜金属層26のパターンの欠陥は発生し難くなるものである。
次に、第3のフォトレジスト34と第2の分割溝用レジスト35の両者を剥離するレジスト剥離工程を実施する。このとき、レジスト剥離液としてはNaOH水溶液等のアルカリ性の剥離液や溶剤等からなる第3のフォトレジスト34と第2の分割溝用レジスト35を両方とも剥離させる能力のある剥離液を使用し、剥離後は純水で充分すすいだ後、乾燥させる(図11の第3のレジスト剥離工程)。
次に、容量素子の形成部を保護するために、熱硬化性のエポキシ樹脂等からなる保護膜層27を印刷および硬化により形成する(図11の保護膜層形成工程)。
その後、1次分割工程、端面電極形成工程、2次分割工程、電極めっき層形成工程を行うが、これらは上記した本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の製造工程と同一であるため、その説明は省略する。そして上記した工程の実施により、本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサは製造されるものである。
上記した本発明の実施の形態2における薄膜チップコンデンサの製造方法においては、第1の薄膜金属層24の形成過程で、第1のフォトレジスト31で完全に覆いきれていなかった1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24の露出部分を第1の分割溝用レジスト32の印刷によって完全に覆うようにしているため、第1の薄膜金属層24のパターン形成過程での第1のウェットエッチングにおける1次分割溝21a付近での第1の薄膜金属層24と薄膜上面電極層22の露出が抑えられ、これにより、1次分割溝21a付近の第1の薄膜金属層24と薄膜上面電極層22の過度なエッチングを抑制することができ、また第2の薄膜金属層26の形成過程では、第3のフォトレジスト34で完全に覆いきれていなかった1次分割溝21aの段差部の薄膜上面電極層22と第1の薄膜金属層24および第2の薄膜金属層26の露出部分を第2の分割溝用レジスト35の印刷によって完全に覆うようにしているため、第3のウェットエッチングの際における1次分割溝21a付近での局部電池反応による第2の薄膜金属層26の過エッチング現象を抑制することができ、これにより、第1の薄膜金属層24および第2の薄膜金属層26のパターン不良を低減できるため、容量値の歩留りを大幅に改善することができるという優れた効果を奏するものである。
また、上記本発明の実施の形態2においては、絶縁基板21上に直接第1の薄膜金属層24を形成しているが、絶縁基板21上の容量素子を形成する範囲にガラスグレーズを施して、より平滑な面を出すようにしても同様の効果が得られるものである。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項5、6に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
図12は本発明の実施の形態3におけるチップインダクタの断面図、図13は同チップインダクタの第1の薄膜金属配線層エッチング後の要部拡大断面図、図14は同チップインダクタの層間絶縁層のウェットエッチング工程後の要部拡大断面図、図15は同チップインダクタの第2の薄膜金属配線層エッチング後の要部拡大断面図、図16は同チップインダクタの製造方法を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態3におけるチップインダクタの製造方法の特徴とするところは、図16のフローチャートに示すように、第1の薄膜金属配線層形成工程の中のフォトリソプロセス工程および第2の薄膜金属配線層形成工程の中のフォトリソプロセス工程において、現像工程とウェットエッチング工程との間に分割溝用レジスト印刷工程を付加した点である。
次に本発明の実施の形態3におけるチップインダクタの断面構造を、図12を参照しながら説明する。41はアルミナ含有量が96%以上のアルミナ基板等からなる絶縁基板である。42は前記絶縁基板41の上面の両端部に形成された一対の薄膜上面電極層である。43は前記絶縁基板41の裏面の両端部に形成された一対の薄膜裏面電極層である。44は前記一対の薄膜上面電極層42を覆うように絶縁基板41上に形成された第1の薄膜金属配線層で、この第1の薄膜金属配線層44は絶縁基板41上では螺旋形状を有し、インダクタ素子を形成するものである。45は前記第1の薄膜金属配線層44の少なくとも一部を覆うように形成されたポリイミド等からなる層間絶縁層である。46は前記第1の薄膜金属配線層44の少なくとも一部と層間絶縁層45を介して対向するとともに、前記第1の薄膜金属配線層44の一部と層間絶縁層45に設けられたスルーホールによって電気的に接続された第2の薄膜金属配線層で、この第2の薄膜金属配線層46はさらに前記一対の薄膜上面電極層42と電気的に接続されるように形成されているものである。そしてこの第2の薄膜金属配線層46は前記第1の薄膜金属配線層44等とでインダクタ素子を構成している。47は少なくとも前記第1の薄膜金属配線層44と第2の薄膜金属配線層46が層間絶縁層45を介して対向する部分を覆うように形成された保護膜層である。48は前記薄膜裏面電極層43、薄膜上面電極層42、第1の薄膜金属配線層44および第2の薄膜金属配線層46と電気的に接続されるように前記絶縁基板41の端面に形成された端面電極層である。49は前記薄膜裏面電極層43、端面電極層48および第2の薄膜金属配線層46を覆うように形成された第1のめっき層である。50は第1のめっき層49を覆うように形成された第2のめっき層である。
次に、本発明の実施の形態3におけるチップインダクタの製造方法を図13〜図15に示した断面図、図16に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、図13に示すように、1次分割溝41aを有する96%アルミナからなるシート状の絶縁基板41を用意し、そしてこの絶縁基板41の上面および裏面に金を主成分とする金属有機物からなる電極ペーストを1次分割溝41aを跨ぐようにスクリーン印刷して乾燥させ、その後、金属有機物電極ペーストの有機成分だけを飛ばし、かつ金属成分だけを絶縁基板41上に焼き付けるために、ベルト式連続焼成炉によって600℃以上の温度で焼成し、薄膜上面電極層42および薄膜裏面電極層43を形成する(図16の裏面・上面電極層形成工程)。
次に、前記絶縁基板41の上面全体に前記薄膜上面電極層42を覆うように銅系の金属からなる第1の薄膜金属配線層44をスパッタリングなどの成膜方法を用いて形成する。このとき銅の密着力を高めるために銅の下地としてクロム等の密着層をスパッタなどを用いて形成する(図16の第1の薄膜金属配線層着膜工程)。
次に、前記第1の薄膜金属配線層44を所定のパターン(インダクタ素子を形成する螺旋形状)に形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわち、第1のフォトレジスト51の塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここで前記第1のフォトレジスト51の塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望のパターンを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚で形成する(図16の第1のフォトレジスト塗布、パターン露光、現像の各工程)。
次に、1次分割溝41aを跨ぐように第1の分割溝用レジスト52を印刷して乾燥させることにより、1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と第1の薄膜金属配線層44の露出部分を第1の分割溝用レジスト52で完全に覆う。そしてこの状態で、前記第1の薄膜金属配線層44の第1のウェットエッチングを行う。ここで第1の薄膜金属配線層44がクロム系の金属と銅系の金属の2層構造で構成される場合には、エッチャントとしてまず過硫酸アンモニウムの水溶液で銅系の金属のエッチングを行い、その後、過マンガン酸カリウムとメタ珪酸ナトリウムの水溶液でクロム系の金属のエッチングを行う(図16の第1のウェットエッチング工程)。
このとき、1次分割溝41aのエッジは急で溝が深いため、第1の分割溝用レジスト52の形成工程がない場合には、第1のフォトレジスト51が1次分割溝41aの端部で極端に薄くなり、薄膜上面電極層42と第1の薄膜金属配線層44が1次分割溝41aの段差部付近で露出してしまうため、第1のウェットエッチングの際に第1の薄膜金属配線層44が1次分割溝41aの周辺でエッチングされてしまう要因となっていたが、本発明の実施の形態3においては、図13に示すように、1次分割溝41aを跨ぐように第1の分割溝用レジスト52を印刷することにより、1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と第1の薄膜金属配線層44の露出部分を第1の分割溝用レジスト52で完全に覆うようにしているため、第1のウェットエッチング工程においては、第1のフォトレジスト51に形成したパターンに従ってエッチングされることになり、これにより、第1の薄膜金属配線層44のパターンの欠陥は発生し難くなるものである。
次に、図13に示した第1のフォトレジスト51と第1の分割溝用レジスト52の両者を剥離するレジスト剥離工程を実施する。このとき、レジスト剥離液としてはNaOH水溶液などのアルカリ性の剥離液や溶剤等からなる第1のフォトレジスト51と第1の分割溝用レジスト52の両方とも剥離させる能力のある剥離液を使用し、剥離後は純水で充分すすいだ後、乾燥させる(図16の第1のレジスト剥離工程)。
次に、前記第1の薄膜金属配線層44が形成された絶縁基板41の上面全体に感光性ポリイミド等からなる層間絶縁層45の材料を、スピンコート等の方法で塗布して乾燥させる(図16の層間絶縁層塗布工程)。
次に、前記層間絶縁層45を所定のパターンに形成するフォトリソプロセス工程、すなわちパターン露光、現像の各工程を行う。層間絶縁層45の材料として感光性ポリイミドを使用した場合には、上記したパターン露光、現像の工程によって所望のパターン形成が完了するものである(図16のパターン露光、現像の各工程)。なお、層間絶縁層45の材料としては、非感光性ポリイミド材料を使用することもできる。その場合は、非感光性ポリイミド材料をスピンコート等の方法で塗布して乾燥させた後、絶縁層用フォトレジスト53をスピンコート、ロールコート等の方法で塗布して乾燥させ、そして前記絶縁層用フォトレジスト53を露光、現像した後、ウェットエッチングを行って図14に示すような形状を得、その後、絶縁層用フォトレジスト53を剥離することによって層間絶縁層45を形成するものである。
次に、上記ポリイミドからなる層間絶縁層45を、300℃〜500℃の温度で硬化させる(図16のベーキング(焼付け)工程)。なお、層間絶縁層45は上記ポリイミド以外にスパッタリングやCVD等の方法で成膜したSiO2等の無機絶縁層を、フォトリソグラフィーの工法でパターニングして形成してもよいものである。
次に、図15に示すように、前記第1の薄膜金属配線層44および層間絶縁層45を覆うように絶縁基板41の上面全体に銅系の金属からなる第2の薄膜金属配線層46をスパッタを用いて形成する。このとき、銅系の金属の密着力を高めるために銅系の金属の下地としてクロム等の密着層をスパッタ等を用いて形成する(図16の第2の薄膜金属配線層着膜工程)。
次に、前記第2の薄膜金属配線層46を所定のパターンに形成するフォトリソプロセス工程の前半部分、すなわち、第2のフォトレジスト54の塗布・乾燥、パターン露光、現像の各工程を行う。ここで第2のフォトレジスト54の塗布にはロールコート法、スピンコート法等を用い、その膜厚は所望のパターンを忠実に再現するために膜厚ばらつきの少ない数μm程度の均一な膜厚で形成する(図16の第2のフォトレジスト塗布、パターン露光、現像の各工程)。
次に、図15に示すように、1次分割溝41aを跨ぐように第2の分割溝用レジスト55を印刷して乾燥させることにより、1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と、第1の薄膜金属配線層44および第2の薄膜金属配線層46の露出部分を第2の分割溝用レジスト55で完全に覆う。この状態で、第2の薄膜金属配線層46の第2のウェットエッチングを行う。ここで第2の薄膜金属配線層46がクロム系の金属と銅系の金属の2層構造で構成される場合には、エッチャントとしてまず過硫酸アンモニウムの水溶液で銅系の金属のエッチングを行い、その後、過マンガン酸カリウムとメタ珪酸ナトリウムの水溶液でクロム系の金属のエッチングを行う(図16の第2のウェットエッチング工程)。
このとき、1次分割溝41aのエッジは急で溝が深いため、第2の分割溝用レジスト55の形成工程がない場合には、第2のフォトレジスト54が1次分割溝41aの端部で極端に薄くなり、金からなる薄膜上面電極層42と銅からなる第1の薄膜金属配線層44が1次分割溝41aの段差部付近で露出してしまうため、第2のウェットエッチングの際に相対的に貴な金属である金系の金属からなる薄膜上面電極層42と、金に比べて相対的に卑な金属である銅系の金属からなる第1の薄膜金属配線層44および第2の薄膜金属配線層46との間に電位差が生じて局部電池反応による過エッチングが生じていたが、本発明の実施の形態3においては、1次分割溝41aを跨ぐように第2の分割溝用レジスト55を印刷することにより、1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と第2の薄膜金属配線層46の露出部分を第2の分割溝用レジスト55で完全に覆うようにしているため、第2のウェットエッチング工程においては第2のフォトレジスト54に形成したパターンに従ってエッチングされることになり、これにより、第2の薄膜金属配線層46のパターンの欠陥は発生し難くなるものである。
次に、第2のフォトレジスト54と第2の分割溝用レジスト55の両者を剥離するレジスト剥離工程を実施する。このとき、レジスト剥離液としてはNaOH水溶液などのアルカリ性の剥離液や溶剤等からなる第2のフォトレジスト54と第2の分割溝用レジスト55を両方とも剥離させる能力のある剥離液を使用し、剥離後は純水で充分すすいだ後、乾燥させる(図16の第2のレジスト剥離工程)。
次に、薄膜インダクタ素子の形成部を保護するために、熱硬化性のエポキシ樹脂等からなる保護膜層47を印刷および硬化により形成する(図16の保護膜層形成工程)。
その後、1次分割工程、端面電極形成工程、2次分割工程、電極めっき層形成工程を行うが、これらは上記した本発明の実施の形態1における薄膜チップ抵抗器の製造工程と同一であるため、その説明は省略する。そして上記した工程の実施により、本発明の実施の形態3における薄膜チップインダクタは製造されるものである。
上記した本発明の実施の形態3における薄膜チップインダクタの製造方法においては、第1の薄膜金属配線層44の形成過程で、第1のフォトレジスト51で完全に覆いきれていなかった1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と第1の薄膜金属配線層44の露出部分を第1の分割溝用レジスト52の印刷によって完全に覆うようにしているため、第1の薄膜金属配線層44のパターン形成過程での第1のウェットエッチングにおける1次分割溝41a付近での第1の薄膜金属配線層44と薄膜上面電極層42の露出が抑えられ、これにより、1次分割溝41a付近の第1の薄膜金属配線層44と薄膜上面電極層42の過度なエッチングを抑制することができ、また第2の薄膜金属配線層46の形成過程では、第2のフォトレジスト54で完全に覆いきれていなかった1次分割溝41aの段差部の薄膜上面電極層42と第1の薄膜金属配線層44および第2の薄膜金属配線層46の露出部分を第2の分割溝用レジスト55の印刷によって完全に覆うようにしているため、第2のウェットエッチングの際における1次分割溝41a付近での局部電池反応による第2の薄膜金属配線層46の過エッチング現象を抑制することができ、これにより、第1の薄膜金属配線層44および第2の薄膜金属配線層46のパターン不良を低減できるため、歩留りを大幅に改善することができるという優れた効果を奏するものである。
また、上記本発明の実施の形態3においては、絶縁基板41上に直接第1の薄膜金属配線層44を形成しているが、絶縁基板41上の薄膜インダクタ素子を形成する範囲にガラスグレーズを施して、より平滑な面を出すようにしても同様の効果が得られるものである。