JP4985581B2 - ベーン圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、ベーンによってシリンダブロック内に圧縮室が形成されたベーン圧縮機に関する。
例えば、特許文献1に開示のように、ベーン圧縮機において、ハウジング内にはシリンダブロックが収容されるとともに、このシリンダブロックの軸方向両端それぞれにはサイドプレートが接合されている。また、シリンダブロックの内部には複数のベーンを備えたロータが回転可能に収容されるとともに、これらベーンによってシリンダブロック内には一対の作動室(圧縮室)が形成されている。シリンダブロックの外周面と、該外周面に対向するハウジングの内周面と、両サイドプレートの一側面との間には作動室で圧縮された冷媒ガスの吐出空間が区画されている。また、シリンダブロックには、その内部の各圧縮室と外部の各吐出空間とを連通する吐出口が形成されるとともに、吐出空間には各吐出口が開口する一対の吐出室が設けられている。
さらに、リヤサイドプレートの他側面とハウジングの内面との間には油貯留室(吐出領域)が区画されるとともに、この油貯留室内には、冷媒ガスに含まれる潤滑油を分離する油分離器が設けられている。この油分離器は、ケースに形成された油分離室と、この油分離室の上部に設けられた油分離筒とを備える。
また、リヤサイドプレートには、吐出空間と油貯留室とを連通する一対の吐出通路が形成され、両吐出通路を介して吐出空間と油分離器とが繋がれている。そして、冷媒ガス中に含まれるミスト状の潤滑油は、吐出空間から各吐出通路を通って油分離器に供給され、油分離器により分離される。また、冷媒ガスから分離された潤滑油は油分離室から滴下し、油貯留室に貯留される。この油貯留室に貯留された潤滑油は、ベーンが収容されたベーン溝に供給されるとともに、ロータとサイドプレートとの摺動面やロータとベーンとの摺動面等の各摺動部に供給される。
特開平7−12072号公報
ところで、冷媒ガス中に含まれる潤滑油は、冷媒ガスが作動室から各吐出口を通過して吐出室(吐出空間)に吐出された後、ハウジングの内周面に衝突すること等により吐出空間で冷媒ガスから分離されてしまい、潤滑油が吐出空間内に貯まってしまう。潤滑油が吐出空間内に貯まると、吐出脈動を低減させる効果の大きい吐出空間の容積が減少してしまい、ベーン圧縮機の吐出脈動による異常騒音が増大してしまう。また、吐出空間内に潤滑油が貯まってしまうと、ベーン圧縮機の各摺動部の潤滑に用いられる潤滑油量が減少してしまう。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、吐出空間に潤滑油が貯まることを防止し、吐出空間の容積減少を防止して吐出脈動を低減することができるとともに、摺動部の摺動用に供給される潤滑油量の減少を防止することができるベーン圧縮機を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハウジング内には筒状のシリンダブロックが収容され、該シリンダブロックの内部にはベーンを備えたロータが回転軸の回転に伴って回転可能に収容されるとともに前記シリンダブロックの両端にはサイドプレートが接合され、前記ベーンによって前記シリンダブロック内には一対の圧縮室が形成されるとともに前記シリンダブロックには各圧縮室に連通する吐出口が形成され、前記シリンダブロックの外周面と、該外周面に対向する前記ハウジングの内周面と、両サイドプレートにおいて前記シリンダブロックに対向する一方の端面とで囲まれる空間には、前記圧縮室で圧縮された冷媒ガスの吐出空間が区画されており、前記吐出空間の一部には、前記回転軸を挟んだ前記シリンダブロックの外周面それぞれから前記回転軸に向けて延びる段差面、該段差面から前記外周面に向けて延びる取付面、前記ハウジングの内周面、及び両サイドプレートの一方の端面によって区画される領域よりなり、かつ前記取付面から前記吐出口それぞれが開口する一対の吐出室が形成され、一方のサイドプレートにおける他方の端面と、前記ハウジングの内面との間には前記吐出空間から冷媒ガスが吐出される吐出領域が区画され、前記一方のサイドプレートに前記吐出空間と前記吐出領域とを繋ぐ吐出通路が形成されたベーン圧縮機であって、前記吐出通路は、該吐出通路の一端が一対の吐出室のうちのいずれか一方に向けて開口して前記吐出空間に連通するとともに他端が前記吐出領域に連通しており、前記吐出通路のみにより前記吐出室と前記吐出領域とが繋がれているものである。
これによれば、一対の吐出室に対し、いずれか一方の吐出室のみに吐出通路の一端が連通している。このため、吐出通路の連通していない吐出室(他方の吐出室とする)に吐出された冷媒ガスは、吐出空間より低圧部となる吐出領域との差圧に基づき、吐出通路が連通する一方の吐出室に向けて流れ、吐出空間内には他方の吐出室から一方の吐出室に向けた冷媒ガスの流れが発生する。よって、吐出空間で冷媒ガスから分離された潤滑油は、冷媒ガスの流れに乗って一方の吐出室(吐出通路)に向けて流れ、冷媒ガスとともに一方の吐出室から吐出通路を流れて吐出領域へ排出される。したがって、吐出空間に潤滑油が貯まることを防止し、吐出空間の容積減少を防止することができるため、吐出空間による吐出脈動の緩衝作用を発揮させ、吐出脈動を低減することができる。また、潤滑油が吐出空間内に貯まることで、ベーン圧縮機内を流れる潤滑油量が低下してしまうことを防止することができる。
また、前記一方のサイドプレートにおける他方の端面には、前記冷媒ガスから潤滑油を分離する油分離器が接合されるとともに該油分離器は前記吐出領域内に設けられ、前記油分離器には前記吐出通路に連通する連通通路が形成されていてもよい。
これによれば、吐出空間から吐出通路へ流れた潤滑油は、冷媒ガスとともに連通通路を流れて油分離器に供給される。そして、油分離器によって冷媒ガスと潤滑油が分離される。このため、吐出空間内の潤滑油は、冷媒ガスとともに吐出領域へ排出された後、油分離器によって確実に冷媒ガスと分離される。
また、前記一方のサイドプレートには、前記吐出通路及び連通通路の他に、前記吐出空間と前記油分離器とを繋ぐ導入通路が形成され、前記導入通路の前記吐出空間側の開口は、前記吐出室以外の前記吐出空間に向けて開口し、前記導入通路の開口面積は、前記吐出通路の開口面積より小さく形成されていてもよい。これによれば、吐出空間と油分離器との差圧により、吐出空間内の冷媒ガスは導入通路を流れて油分離器に供給される。このため、油分離器には、連通通路と導入通路の両通路から冷媒ガスが供給される。すなわち、吐出空間に吐出された冷媒ガスが、2つの通路に分かれて油分離器に供給される。よって、吐出空間に吐出された冷媒ガスの全てを一つの通路のみを利用して油分離器に供給する場合の通路断面積に対し、導入通路及び連通通路の通路断面積を小さくする(絞る)ことができる。その結果として、導入通路及び連通通路を流れて油分離器に向かう冷媒ガスの流速を高め、油分離器での潤滑油の分離効率を高めることができる。なお、導入通路の吐出空間側の開口面積は、導入通路に冷媒ガスが導入されることによって吐出空間で生じた冷媒ガスの流れを妨げないように、吐出通路の吐出空間側の開口面積より小さく設定されている。よって、吐出空間内で、他方の吐出室から一方の吐出室に向けた冷媒ガスの流れを発生させつつ、導入通路を介して吐出空間から油分離器へ冷媒ガスを供給することができる。
また、前記一方のサイドプレートには、前記吐出空間と前記吐出通路とを繋ぐ補助通路が形成され、前記補助通路の前記吐出空間側の開口は、前記吐出室以外の前記吐出空間に向けて開口し、前記補助通路の開口面積は、前記吐出通路の開口面積より小さく形成されていてもよい。これによれば、吐出空間に吐出された冷媒ガスを、吐出通路と補助通路を利用して吐出領域へ吐出することができる。よって、吐出空間に吐出された冷媒ガスの全てを、吐出通路のみを利用して吐出領域へ吐出するようにした場合に比して、吐出領域への吐出効率を高めることができる。なお、補助通路の吐出空間側の開口面積は、補助通路に冷媒ガスが導入されることによって吐出空間で生じた冷媒ガスの流れを妨げないように、吐出通路の吐出空間側の開口面積より小さく設定されている。よって、吐出空間内で、他方の吐出室から一方の吐出室に向けた冷媒ガスの流れを発生させつつ、補助通路を介して吐出空間から吐出領域へ冷媒ガスを吐出することができる。
本発明によれば、吐出空間に潤滑油が貯まることを防止し、吐出空間の容積減少を防止して吐出脈動を低減することができるとともに、摺動部の摺動用に供給される潤滑油量の減少を防止することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明のベーン圧縮機を具体化した第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明においてベーン圧縮機の「前」及び「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向とし、「上」及び「下」は、図1に示す矢印Y2の方向を上下方向とする。
図1に示すように、ベーン圧縮機10のハウジングHは、リヤハウジング11と、このリヤハウジング11の前端面(一端面)に接合されたフロントハウジング12とから形成されている。リヤハウジング11(ハウジングH)の内部には筒状をなすシリンダブロック13が収容されている。このシリンダブロック13の内周面は、縦長に延びる楕円状に形成されている(図2参照)。
また、リヤハウジング11(ハウジングH)の内部において、シリンダブロック13の前端面(一端面)にはサイドプレートとしてのフロントサイドプレート14が接合されるとともに、シリンダブロック13の後端面(他端面)には、サイドプレートとしてのリヤサイドプレート15が接合されている。そして、シリンダブロック13の外周面と、この外周面に対向するリヤハウジング11(ハウジングH)の内周面と、フロントサイドプレート14及びリヤサイドプレート15においてシリンダブロック13に対向する一方の端面たる第1端面14a,15aとの間には、吐出空間Daが区画されている。
また、フロントサイドプレート14及びリヤサイドプレート15には回転軸17が回転可能に支持されるとともに、回転軸17はシリンダブロック13内を貫通している。シリンダブロック13内において、回転軸17には円筒状をなすロータ18が回転軸17に一体回転可能に止着されている。図2に示すように、ロータ18の外周面には、複数箇所に放射状にベーン溝18aが形成されるとともに、各ベーン溝18aそれぞれにはベーン20が出没可能に収容されている。各ベーン溝18aには潤滑油が供給されるようになっている。
そして、回転軸17の回転に伴うロータ18の回転によってベーン20の先端面がシリンダブロック13の内周面に接触すると、ロータ18の外周面と、シリンダブロック13の内周面と、隣り合うベーン20と、フロントサイドプレート14及びリヤサイドプレート15との間に、一対の圧縮室21が区画されるようになっている。ベーン圧縮機10において、ロータ18の回転方向に関して圧縮室21が容積を拡大する行程が吸入行程となり、圧縮室21が容積を減少する行程が圧縮行程となる。
また、図1に示すように、ベーン圧縮機10において、フロントハウジング12の上部には吸入ポート24が形成されるとともに、フロントハウジング12内には吸入ポート24に連通する吸入空間Saが形成されている。さらに、フロントサイドプレート14には、吸入空間Saと連通する一対の吸入口14bが形成されている。また、シリンダブロック13には、シリンダブロック13を軸方向全体に亘って貫通する一対の吸入通路13bが形成されている。そして、吸入行程中の各圧縮室21と吸入空間Saとは、それぞれ吸入口14b及び吸入通路13bを介して連通される。
図2に示すように、シリンダブロック13の上下方向における中央部に位置し、かつ回転軸17を挟んだシリンダブロック13の外周面それぞれは、シリンダブロック13の外周面から凹むように形成されている。そして、シリンダブロック13の外周面から凹んだ部位それぞれにより吐出室13dが形成されるとともに、一対の吐出室13dは吐出空間Daの一部を形成している。
両吐出室13dは、シリンダブロック13の外周面それぞれから回転軸17に向けて延びる段差面13fと、段差面13fに対し交差しつつシリンダブロック13の外周面に向けて延びる取付面13gと、両サイドプレート14,15の第1端面14a,15aと、リヤハウジング11の内周面とによって区画される領域よりなる。2つの吐出室13dのうち一方(図2では左方)の吐出室13dは、取付面13gの上側に段差面13fが位置するように形成され、他方(図2では右方)の吐出室13dは、取付面13gの下側に段差面13fが位置するように形成されている。
シリンダブロック13の上下方向における中央部外周面、すなわち、取付面13gそれぞれには、圧縮行程中の圧縮室21と吐出室13d(吐出空間Da)とを連通する吐出口13aが形成されている。各吐出口13aは、取付面13gに取り付けられた吐出弁22により開閉可能となっている。そして、圧縮室21で圧縮された冷媒ガスは、吐出弁22を押し退けて吐出口13aを介して吐出室13d(吐出空間Da)へ吐出されるようになっている。
図1に示すように、リヤハウジング11の後側には、リヤサイドプレート15によって吐出領域30が区画形成されている。すなわち、リヤハウジング11内は、リヤサイドプレート15によって吐出空間Da側と吐出領域30側とに区画されている。また、吐出領域30は、リヤサイドプレート15の他方の端面としての第2端面15bと、リヤハウジング11の後側の内面とで囲まれた空間である。なお、第2端面15bは、リヤサイドプレート15の厚み方向において第1端面15aの反対側に位置する端面である。
図3に示すように、リヤサイドプレート15の第2端面15bには、一定の厚みを持って後側に膨出する膨出部15cが形成されている。膨出部15cには、1本の吐出通路15eが形成されている。吐出通路15eは、膨出部15cの後端面に凹設された細長の溝部15fと、この溝部15fの下端(一端)に連通し、かつリヤサイドプレート15全体を厚み方向に貫通するように延びる絞り部15gとから形成されている。絞り部15gは軸方向に直交する断面形状が円形状をなす。そして、絞り部15gは、前端(一端)が、吐出空間Daにおける一方の吐出室13dに向けて開口して吐出空間Daに連通するとともに、後端(他端)が溝部15fの下端(一端)に開口して連通している(図1参照)。
図1に示すように、絞り部15gの前端は、吐出口13a(吐出室13d)と対応するようにリヤサイドプレート15の上下方向における中央部に形成されている。すなわち、絞り部15gは、リヤサイドプレート15の上下方向における中央部に形成されており、絞り部15gはリヤサイドプレート15の下部には形成されていない。そして、吐出空間Daの冷媒ガスは、一方の吐出室13dに開口する吐出通路15eを流れて吐出領域30に供給されるため、吐出通路15eにおける絞り部15gで絞られることにより減圧される。よって、減圧された冷媒ガスが吐出される吐出領域30は、吐出空間Daよりも低圧の低圧部となっているとともに、冷媒ガスの流通方向において吐出空間Daよりも下流側に位置している。
ベーン圧縮機10において、吐出領域30内には冷媒ガス中に含まれる潤滑油を分離するための油分離器40が設けられており、この油分離器40内は吐出領域30と同圧の低圧部となっている。また、吐出領域30内において、油分離器40の外側には油貯留室31が区画されている。
図4に示すように、油分離器40は、膨出部15cに露出した吐出通路15e全体を覆うように膨出部15cにガスケットGを介して接合固定されたケース41を備える。さらに、図1に示すように、油分離器40は、ケース41に形成した有底円筒状の油分離室42と、この油分離室42の上部に嵌合固定した円筒状の油分離筒43とを備える。ケース41には、前端(一端)が吐出通路15e(溝部15f)の上端(他端)と連通する連通通路41aが形成されるとともに、この連通通路41aの後端(他端)は油分離筒43の外周面に対向するように形成されている。そして、一本の吐出通路15eにより吐出空間Daと吐出領域30内に設けられた油分離器40内とが繋がれている。
また、油分離器40において、ケース41の下部には、油分離室42内の潤滑油を油貯留室31へ流下させる油通路41bが形成されている。さらに、リヤサイドプレート15の膨出部15c内には、油貯留室31(吐出領域30の底部側)に貯留された潤滑油をベーン溝18a等に導くための油供給通路15dが形成されている。
次に、上記構成のベーン圧縮機10について、その動作を説明する。
さて、回転軸17が回転されると、ロータ18及びベーン20が回転し、冷媒ガスが吸入空間Saから一対の吸入口14b、及び吸入通路13bを介して吸入行程中の各圧縮室21に吸入される。そして、各圧縮室21に吸入された冷媒ガスは、圧縮行程中の圧縮室21の容積減少により圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、各圧縮室21から吐出口13aを介して各吐出室13d(吐出空間Da)に吐出される。各圧縮室21から各吐出室13dへ冷媒ガスが吐出されたとき、冷媒ガスがリヤハウジング11の内周面に衝突したりする等により冷媒ガスから潤滑油が分離され、吐出空間Daには潤滑油が存在することとなる。
吐出空間Daを形成する一対の吐出室13dのうち、一方の吐出室13dのみに吐出通路15eの絞り部15gが連通している。このため、他方の吐出室13dへ吐出された冷媒ガスは、絞り部15gに向けて吐出空間Da内を流れる。すなわち、冷媒ガスは、他方の吐出室13dより上側及び下側に形成された吐出空間Daを通過して絞り部15gに向けて流れる。その結果、図2の矢印Yに示すように、吐出空間Da内には、シリンダブロック13の外周面及びリヤハウジング11の内周面に沿うように、他方の吐出室13dから一方の吐出室13dへ向かう冷媒ガスの流れが発生する。すると、吐出空間Da内に存在する潤滑油は、他方の吐出室13dから一方の吐出室13dへ向かう冷媒ガスの流れに乗り、絞り部15gへと送られ、絞り部15gから溝部15fへと流れる。
その後、溝部15fに流入した潤滑油を含む冷媒ガスは、溝部15fから連通通路41aへ流れ、連通通路41aから油分離器40に供給される。すなわち、吐出空間Daの潤滑油は、吐出通路15eを流れて吐出領域30へ排出される。そして、冷媒ガスは連通通路41aから油分離筒43の外周面に吹き付けられるとともに、油分離筒43の外周面を旋回しながら油分離室42の下方へ導かれる。このとき、遠心分離によって冷媒ガスから潤滑油が分離される。そして、冷媒ガスから分離された潤滑油は油分離室42に貯まり、さらに、油通路41bから吐出領域30の油貯留室31へ滴下される。油貯留室31に貯留された潤滑油は、油供給通路15dからベーン溝18aや、ベーン圧縮機10内の摺動部に導かれ、各摺動部が潤滑油によって潤滑される。一方、潤滑油が分離された冷媒ガスは、油分離筒43の内部を上方へ移動し、ベーン圧縮機10外(例えば、外部冷媒回路)へ排出される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)圧縮室21の外周側に一対の吐出室13dを含む吐出空間Daが区画されるとともにハウジングH内に吐出領域30が区画され、リヤサイドプレート15に吐出空間Daと吐出領域30とを繋ぐ吐出通路15eが形成されたベーン圧縮機10において、吐出通路15eを一対の吐出室13dのうちの一方の吐出室13dのみに連通させた。このため、吐出空間Da内に他方の吐出室13dから一方の吐出室13dへ向かう冷媒ガスの流れを生じさせ、この流れに潤滑油を乗せて冷媒ガスとともに潤滑油を吐出空間Daから吐出領域30へ排出することができ、吐出空間Daに潤滑油が貯まることを防止することができる。したがって、吐出脈動の緩衝作用を有している吐出空間Daの容積減少を防止して吐出脈動を低減することができる。また、潤滑油が吐出空間Da内に死にオイルとして貯まることを無くし、ベーン圧縮機10内を流れる潤滑油量の低下を防止することができる。その結果として、ベーン圧縮機10内の各摺動部に供給される潤滑油量の減少を防止し、各摺動部の信頼性の低下を防止することができる。
(2)一対の吐出室13dのうちの一方の吐出室13dのみに吐出通路15eを連通させるようにした。このため、吐出空間Daで冷媒ガスから潤滑油が分離されても、吐出空間Da内に発生させた冷媒ガスの流れを利用して、吐出空間Daの潤滑油を吐出通路15eから吐出領域30に排出することができる。よって、吐出空間Da内に潤滑油が貯まることを防止することができる。したがって、吐出空間Daに貯まった潤滑油が、吐出弁22の作動(特に、開方向への変形)の妨げとなることを防止することができる。その結果として、吐出弁22の開き遅れが防止され、過圧縮を防止してベーン圧縮機10の動力損失を低減することができる。
(3)吐出通路15eには油分離器40の連通通路41aが連通している。このため、冷媒ガスに乗って吐出通路15eに流入した潤滑油は、吐出通路15eから連通通路41aを流れて油分離器40に供給される。このため、吐出空間Daの潤滑油が冷媒ガスとともに吐出通路15eへ流入しても、油分離器40で冷媒ガスと潤滑油とを分離することができる。
(4)吐出空間Daは一対の吐出室13dを含むとともに、各吐出室13dそれぞれは取付面13gと、段差面13fと、第1端面14a,15aと、リヤハウジング11の内周面とから吐出空間Daに区画された領域よりなる。そして、一方の吐出室13dにおいては、段差面13fは取付面13gの上側に位置し、他方の吐出室13dにおいては、段差面13fは取付面13gの下側に位置している。このため、一方の吐出室13d内には、他方の吐出室13dに比して潤滑油が貯まりやすくなり、吐出室13d内への潤滑油の貯まり方の差により2つの吐出室13dの間に圧力差が生じると、この圧力差によりロータ18ががたつき、騒音が発生する虞がある。しかし、本実施形態では、一方の吐出室13dのみに吐出通路15eを連通させたことで吐出空間Daに潤滑油が貯まることを防止することができるため、吐出室13dの形状が異なっていてもロータ18のシリンダブロック13内でのがたつきを防止し、このがたつきに起因した騒音の発生を防止することができる。
(5)一般に、一対の圧縮室21を有するベーン圧縮機10においては、吐出通路15eは各圧縮室21に対応して二本設けられるものであるが、この吐出通路15eを一本にするだけの簡単な構成で、吐出空間Daに潤滑油が貯まることを防止することができる。
(6)吐出空間Daから吐出領域30へ冷媒ガスを吐出させるために、リヤサイドプレート15には吐出通路15eが形成されている。この吐出通路15eにおける絞り部15gは、リヤサイドプレート15の上下方向における中央部に形成されている。このため、吐出空間Daで冷媒ガスから潤滑油が分離されても、吐出通路15eが潤滑油で満たされることを防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明のベーン圧縮機を具体化した第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
図5に示すように、リヤサイドプレート15の下部に、前端(一端)が吐出空間Daの下部に連通し、後端(他端)が膨出部15cの後端面に開口する第1通路51をリヤサイドプレート15の厚み方向へ延びるように形成する。また、膨出部15cに、下端(一端)が第1通路51の後端に連通するとともに、上端(他端)が膨出部15cの上部後端面に向けて開口するように延びる第2通路52をリヤサイドプレート15の厚み内に形成する。この第2通路52の上端を、吐出通路15eの溝部15fとは別に膨出部15cに凹設された第3通路53の下端(一端)に連通させる。さらに、第3通路53の上端(他端)に第4通路54の前端(一端)を連通させるとともに、この第4通路54の後端(他端)を油分離器40の油分離筒43に対向させる。そして、第1通路51、第2通路52、第3通路53、及び第4通路54から、吐出空間Daと油分離器40(吐出領域30)とを繋ぐ導入通路55を形成する。なお、導入通路55はガスケットGによってシールされている。
導入通路55における吐出空間Da側の開口(第1通路51の前端(一端)側の開口)は、吐出室13d以外の吐出空間Daに向けて開口している。また、導入通路55における吐出空間Da側の開口面積は、吐出通路15e(絞り部15g)における吐出室13d側の開口面積より小さくなっている。導入通路55における吐出空間Da側の開口面積は、導入通路55に冷媒ガスが導入されることによって吐出空間Daで生じた冷媒ガスの流れを妨げないように、吐出通路15eの吐出空間Da側の開口面積より小さく設定されている。
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(6)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)吐出通路15e及び連通通路41aを介して吐出空間Daの冷媒ガスを油分離器40に供給することができるとともに、導入通路55を介して吐出空間Daの冷媒ガスを油分離器40に供給することができる。すなわち、吐出空間Daに吐出された冷媒ガスが、2つの通路に分かれて油分離器に供給される。よって、例えば、吐出空間Daに吐出された冷媒ガスの全てを、吐出通路15e及び連通通路41aのみを利用して油分離器40に供給した場合の連通通路41aの通路断面積に対し、連通通路41aと導入通路55における第4通路54の通路断面積を小さくする(絞る)ことができる。その結果として、油分離器40に向かう冷媒ガスの流速を高め、潤滑油の分離効率を高めることができる。
(8)また、吐出空間Daに対し、吐出通路15eにおける絞り部15gと導入通路55の第1通路51が開口しているため、吐出空間Daから油分離器40へ供給される冷媒ガスの通路断面積を十分に確保することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図6に示すように、リヤサイドプレート15の下部に、前端(一端)が吐出空間Daの下部に連通し、後端(他端)が膨出部15cの後端面に開口する第1補助通路61をリヤサイドプレート15の厚み方向へ延びるように形成する。また、膨出部15cに、下端(一端)が第1補助通路61の後端に連通するとともに、上端(他端)が吐出通路15eの溝部15fに連通する第2補助通路62を形成する。そして、第1補助通路61と第2補助通路62とから、吐出空間Daと吐出通路15eとを繋ぐ補助通路64を形成してもよい。なお、補助通路64はガスケットGによってシールされている。
補助通路64における吐出空間Da側の開口(第1補助通路61の前端(一端)側の開口)は、吐出室13d以外の吐出空間Daに向けて開口している。また、補助通路64における吐出空間Da側の開口面積は、吐出通路15e(絞り部15g)における吐出室13d側の開口面積より小さくなっている。補助通路64における吐出空間Da側の開口面積は、補助通路64に冷媒ガスが導入されることによって吐出空間Daで生じた冷媒ガスの流れを妨げないように、吐出通路15eの吐出空間Da側の開口面積より小さく設定されている。
このように構成すると、吐出空間Daと、溝部15fとの差圧により吐出空間Daの冷媒ガスを、補助通路64を介して溝部15fへ導入することができる。このため、吐出空間Daに存在する冷媒ガスは、吐出通路15eに加え補助通路64からも溝部15fを介して吐出領域30へ排出される。よって、例えば、吐出通路15eにおける絞り部15gの通路断面積が十分に確保できない場合は、補助通路64によって冷媒ガスの吐出領域30への通路断面積を増加させることができる。また、吐出空間Daに吐出された冷媒ガスの全てを、吐出通路15eのみを利用して吐出領域30へ吐出するようにした場合に比して、補助通路64によって吐出領域30への冷媒ガスの吐出効率を高めることができる。
○ 第2の実施形態において、リヤサイドプレート15に、導入通路55に加え、図6に示す補助通路64を形成してもよい。
○ 各実施形態において、前端(一端)が吐出空間Daに連通するとともに後端(他端)が低圧部としての吐出領域30の下部に連通するように、リヤサイドプレート15を厚み方向に貫通する排出通路を吐出通路15eとは別にリヤサイドプレート15に形成し、吐出空間Daの潤滑油を吐出領域30の下部に直接戻すようにしてもよい。
○ 各実施形態において、前端(一端)が吐出空間Daに連通するとともに後端(他端)が低圧部としての油分離器40の連通通路41aに直接連通するように、排出通路を吐出通路15eとは別にリヤサイドプレート15及びケース41に形成してもよい。
○ 各実施形態において、一端が吐出空間Daに連通するとともに、他端が吸入行程中の圧縮室21(低圧部)に連通するように、排出通路を吐出通路15eとは別にシリンダブロック13に形成してもよい。この場合、排出通路は、シリンダブロック13においてリヤサイドプレート15に対向する後端面に形成された切り欠きによって形成される。
○ 各実施形態において、一端が吐出空間Daに連通するとともに、他端が低圧部としての吸入通路13bや油供給通路15dに連通する排出通路を設けてもよい。なお、上記いずれの排出通路においても、排出通路における吐出空間Da側の開口は、吐出室13d以外の吐出空間Daに向けて開口している。また、排出通路における吐出空間Da側の開口面積は、吐出通路15e(絞り部15g)における吐出室13d側の開口面積より小さくなっている。
○ 各実施形態において、一方の吐出室13dに向けて開口する絞り部15gの断面形状を長孔状に形成してもよい。このように構成すると、吐出通路15eの通路断面積を確保することができる。
○ 各実施形態において、吐出通路15eは、一方の吐出室13dと吐出領域30とを繋ぐ形態において二本以上設けてもよい。このように構成すると、吐出通路15eの通路断面積を確保することができる。
○ 各実施形態において、油分離器40を削除してもよい。
○ 各実施形態において、吐出通路15eの絞り部15gが連通する吐出室13dを各実施形態とは逆の他方の吐出室13dとしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記吐出通路において前記一方の吐出室に連通する絞り部は、前記シリンダブロックの上下方向における中央部に形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のベーン圧縮機。
第1の実施形態のベーン圧縮機を示す縦断面図。 第1の実施形態のベーン圧縮機内を示す図1の2−2線断面図。 リヤサイドプレートの第2端面を示す図1の3−3線断面図。 リヤサイドプレートに油分離器を接合した状態を示す図1の4−4線断面図。 第2の実施形態のベーン圧縮機を示す断面図。 補助通路を示す断面図。
符号の説明
H…ハウジング、Da…吐出空間、10…ベーン圧縮機、13…シリンダブロック、13a…吐出口、13d…吐出室、13f…段差面、13g…取付面、14…フロントサイドプレート、14a,15a…一方の端面としての第1端面、15…一方のサイドプレートとしてのリヤサイドプレート、15b…他方の端面としての第2端面、15e…吐出通路、17…回転軸、18…ロータ、20…ベーン、21…圧縮室、30…吐出領域、40…油分離器、41a…連通通路、55…導入通路、64…補助通路。

Claims (4)

  1. ハウジング内には筒状のシリンダブロックが収容され、該シリンダブロックの内部にはベーンを備えたロータが回転軸の回転に伴って回転可能に収容されるとともに前記シリンダブロックの両端にはサイドプレートが接合され、前記ベーンによって前記シリンダブロック内には一対の圧縮室が形成されるとともに前記シリンダブロックには各圧縮室に連通する吐出口が形成され、前記シリンダブロックの外周面と、該外周面に対向する前記ハウジングの内周面と、両サイドプレートにおいて前記シリンダブロックに対向する一方の端面とで囲まれる空間には、前記圧縮室で圧縮された冷媒ガスの吐出空間が区画されており、前記吐出空間の一部には、前記回転軸を挟んだ前記シリンダブロックの外周面それぞれから前記回転軸に向けて延びる段差面、該段差面から前記外周面に向けて延びる取付面、前記ハウジングの内周面、及び両サイドプレートの一方の端面によって区画される領域よりなり、かつ前記取付面から前記吐出口それぞれが開口する一対の吐出室が形成され、一方のサイドプレートにおける他方の端面と、前記ハウジングの内面との間には前記吐出空間から冷媒ガスが吐出される吐出領域が区画され、前記一方のサイドプレートに前記吐出空間と前記吐出領域とを繋ぐ吐出通路が形成されたベーン圧縮機であって、
    前記吐出通路は、該吐出通路の一端が一対の吐出室のうちのいずれか一方に向けて開口して前記吐出空間に連通するとともに他端が前記吐出領域に連通しており、前記吐出通路のみにより前記吐出室と前記吐出領域とが繋がれているベーン圧縮機。
  2. 前記一方のサイドプレートにおける他方の端面には、前記冷媒ガスから潤滑油を分離する油分離器が接合されるとともに該油分離器は前記吐出領域内に設けられ、前記油分離器には前記吐出通路に連通する連通通路が形成されている請求項1に記載のベーン圧縮機。
  3. 前記一方のサイドプレートには、前記吐出通路及び連通通路の他に、前記吐出空間と前記油分離器とを繋ぐ導入通路が形成され、前記導入通路の前記吐出空間側の開口は、前記吐出室以外の前記吐出空間に向けて開口し、前記導入通路の開口面積は、前記吐出通路の開口面積より小さく形成されている請求項2に記載のベーン圧縮機。
  4. 前記一方のサイドプレートには、前記吐出空間と前記吐出通路とを繋ぐ補助通路が形成され、前記補助通路の前記吐出空間側の開口は、前記吐出室以外の前記吐出空間に向けて開口し、前記補助通路の開口面積は、前記吐出通路の開口面積より小さく形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のベーン圧縮機。
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