JP4986272B2 - ニオブ粉、その焼結体及びコンデンサ - Google Patents
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Description
本発明は、信頼性の良好なコンデンサ用ニオブ粉、そのニオブ粉を用いた焼結体、及びその焼結体を用いたコンデンサに関する。
背景技術
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは、大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体としてタンタル粉の焼結体が一般的に使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体質量を増大させる必要がある。
焼結体質量を増大させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大し小型化の要求を満たさない。この欠点を解決する研究の一つとして、タンタルより誘電率の大きい材料粉末の焼結体のコンデンサが考えられている。これらの誘電率の大きい材料としてニオブがある。
特開昭55−157226号公報には、凝集粉から粒径2.0μmあるいはそれ以下のニオブ微粉末を加圧成形して焼結し、その成形焼結体を細かく裁断し、これにリード部を接合した後再び焼結するコンデンサ用焼結素子の製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはコンデンサ特性について詳細には開示されていない。
米国特許4,084,965号公報には、ニオブインゴットを水素化して粉砕し、5.1μmのニオブ粉末を得、これを用いたコンデンサが開示されているが、ニオブ焼結体はタンタル焼結体に比べて漏れ電流(LC)値が大きいという問題があるため実用性に乏しい。
本発明者等は、ニオブの一部を窒化することにより、漏れ電流値が改善できることを提案し(特開平10−242004号公報;米国特許第6,115,235号)、ニオブの焼結体を作製する時の焼結温度を高くすることにより漏れ電流値を低下できることを見出している。
しかしながら、焼結温度を高くすると作製した焼結体の質量あたりの容量と焼結体表面に誘電体を形成する時の化成電圧の積(CV値と略記する。)が小さくなるために、最終的な目標である高CVで低LCというバランスの良いニオブの焼結体を得ることは困難であった。また、高CVのみを意識したニオブ焼結体からコンデンサを作製した場合、LCが特異的に大きなコンデンサが出現する問題があった。
また、ニオブはタンタルに比較して酸素親和力が大きいため、室温でも一部が酸化され、この酸化された部分は後記するように焼結後にコンデンサの一方の電極となった場合に誘電体に悪影響を与え、コンデンサの信頼性を損なう場合があった。
例えば、加速試験(高温負荷試験)後に室温でコンデンサ電圧を印加すると急激なノイズの変化(スパイクノイズという。)を生ずることがあった。このことは、コンデンサを回路基板に搭載して使用した場合、経過時間が長くなるにつれてノイズを発生し、回路基板上の他の電子部品に影響を与える可能性があることを意味し、信頼性に問題があった。
したがって、本発明の目的は、酸素親和力が大きいニオブを使用した場合に、信頼性の良好なコンデンサを製造できるコンデンサ用ニオブ粉、そのニオブ粉を使用した焼結体、及びその焼結体を使用した信頼性の良好なコンデンサを提供することにある。
発明の概要
本発明者等は、ニオブ粉中の含有酸素について鋭意検討し、含有酸素量に対する含有窒素量の比率を調整したニオブ粉を用いることによりスパイクノイズが発生せず漏れ電流特性が良好で信頼性の良好なコンデンサが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のニオブ粉、そのニオブ粉を使用した焼結体及びその焼結体を使用したコンデンサを提供する。
1.一部酸化及び一部窒化されたニオブ粉において、含有酸素量に対する窒素量の質量比が1/45以上であることを特徴とするニオブ粉。
2.含有窒素量が、300〜9000質量ppmである前項1に記載のニオブ粉。
3.ニオブ粉が、平均粒径が0.05〜3μmである前項1または2に記載のニオブ粉。
4.前項3に記載のニオブ粉を造粒してなるニオブ粉。
5.前項1乃至4のいずれかに記載のニオブ粉を用いた焼結体。
6.前項5に記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されたコンデンサ。
7.誘電体が、酸化ニオブである前項6に記載のコンデンサ。
8.酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである前項7に記載のコンデンサ。
9.他方の電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれる少なくとも1種の材料である前項6に記載のコンデンサ。
10.他方の電極が、有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機半導体である前項6に記載のコンデンサ。
11.有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である前項10に記載のコンデンサ。
発明の実施の形態
本発明のニオブ粉は、一部酸化されたニオブ粉において、含有酸素量に対する窒素量の質量比を1/45以上、好ましくは1/40以上、さらに好ましくは1/30以上に調整するところに特徴がある。
含有酸素量に対する窒素量の質量比が上記の範囲外であると、ニオブ粉からコンデンサを作製した場合の信頼性が良好にならない。例えば、信頼性を評価するための加速試験の1つである高温負荷試験後に室温でコンデンサに電圧を印加すると、スパイクノイズを発生する場合があり、コンデンサの信頼性が低下する(後述の表2の比較例のデータ参照)。従って、本発明においては、一部酸化及び一部窒化されたニオブ粉において、含有酸素量に対する窒素量の質量比を1/45以上に制御することが重要である。
本発明において、ニオブ粉中に含有される酸素量及び窒素量とは、ニオブ粉に吸着されたもの、あるいは物理的にドーピングしたものではなく、ニオブを化学的に酸化したもの、または窒化したものである。従って、本発明では、前記酸素量及び窒素量とはニオブの含有酸素量及び含有窒素量に相当するものである。
コンデンサの性能上、含有酸素量は少ない方が好ましいが、ニオブ粉は酸素親和力が大きいため空気中室温で自然に酸化され、その結果本発明の平均粒径を有するニオブ粉では、通常5000〜60000ppmの酸素を含有している。このため、本発明のニオブ粉をあえて人為的に酸化する必要はない。
窒化による窒素量は、含有酸素量に対する窒素量の質量比が1/45以上となる量であり、200質量ppm〜20000質量ppm(以下、質量ppmを単にppmと略記する。)の範囲がよい。さらに、実質的に、ニオブ粉から焼結体を作製し、後述するように焼結体の表面に誘電体を形成してリン酸水溶液中で漏れ電流値を測定した場合の漏れ電流値を小さくなる含有窒素量は、300ppm〜9000ppm、好ましくは500ppm〜7000ppmである。
ニオブ粉の窒化処理は、液体窒化法、イオン窒化法、ガス窒化法などのいずれか、あるいはそれらを組み合わせた方法で実施することができる。このうち、装置が簡便で操作が容易な窒化ガス雰囲気下で行なうニオブ粉のガス窒化法が好ましい。このガス窒化方法は、例えば、前記ニオブ粉を窒素雰囲気中に放置することにより行うことができる。
窒化する雰囲気温度は2000℃以下、放置時間は数10時間以内とすることで、目的とする含有窒素量を有するニオブ粉を得ることができる。さらにこの処理を高温で行うことにより処理時間を短くすることもできる。前記ニオブ粉の含有窒素量は、被窒化物の粒径と含有酸素量を測定後、窒化温度と窒化時間を確認する予備実験により容易に管理することができる。
前記窒化処理は、ニオブ粉だけでなくニオブ粉を造粒した粉に対しても同様に行うことができる。
次に、本発明の焼結体を得るための一形態を説明する。
焼結体を作製するための原料となるニオブ粉は、平均粒径が0.05μm〜3μmであることが好ましい。比表面積を上げて焼結体からコンデンサを作製した場合の焼結体重量当たりの容量を増加させる点から、平均粒径が0.05μm〜1μmであることがより好ましい。0.05μm未満では、粉末から焼結体を作製しコンデンサを形成した場合に焼結体内部の細孔が小さすぎるため、後記する他方の電極(陰極材)の含浸が困難になる場合がある。また、平均粒径が3μmを超えると焼結体重量あたりの容量が小さくなり、好ましくない。
本発明において、ニオブ粉の平均粒径としては、粒度分布測定器(商品名「マイクロトラック」)を用いて測定したD50値(累積質量%が50質量%に相当する粒径値)を採用することができる。このような平均粒径を有するニオブ粉は、例えばフッ化ニオブ酸カリウムのナトリウム還元物を粉砕する方法、あるいはニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素する方法、酸化ニオブを炭素還元により製造する方法等によって得ることができる。例えば、ニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素化して得る方法の場合、ニオブインゴットの水素化量と粉砕装置などによる粉砕時間を制御することにより、希望とする平均粒径を有するニオブ粉を得ることができる。
これらの方法によって得られるニオブ粉には、原料、還元剤及び使用機器から不純物が混入してくることが考えられる。代表的な不純物元素としては、鉄、ニッケル、コバルト、シリコン、ナトリウム、カリウム及びマグネシウム等の元素(以下、元素Mと称する。)が挙げられる。
ニオブ粉中に存在する不純物である元素Mは、それを含有するニオブ粉を用いてコンデンサを作製した時に、誘電体層内に入り込み、電圧を印加した際に電荷の異常集中の原因となり、その結果、コンデンサの漏れ電流値が大きくなるものと予想される。従って、好ましい元素Mの各々の含有量を100ppm以下、または総和の含有量を350ppm以下にすることにより、前記誘電体層への影響を緩和することができる。漏れ電流値をより小さくするためには、元素Mの各々の含有量を好ましくは70ppm以下に、より好ましくは30ppm以下にするのがよい。漏れ電流値をより小さくする元素Mの含有量の総和は、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。
不純物元素Mの除去は、ニオブ粉を酸で洗浄する方法、アルカリで洗浄する方法が挙げられ、好ましくは、酸での洗浄である。酸としては、例えばフッ酸、硝酸、硫酸、塩酸等の酸が挙げられ、好ましくは、フッ酸、硝酸、硫酸より選ばれる少なくとも1つの酸である。さらに好ましい洗浄法は、硝酸と同時に過酸化水素を用いる方法である。
具体的には、酸として硫酸を用いる場合は、ニオブ粉を硫酸で充分に洗浄した後、この硫酸根を除去するために、アルカリで中和し、水洗する。また、硝酸と過酸化水素水を共用する場合には、硝酸水溶液と過酸化水素水との混合溶液で洗浄した後、水洗する。過酸化水素水を共用する方法では、ニオブ粉の硝酸による酸化を防ぐことができる利点がある。洗浄方法としては、前記した試薬中で適当な時間、すなわち不純物の含有量が所定量以下になるまでの時間、粉を撹拌して抜き出す方法を採用しても良い。
本発明のニオブ粉は、前述したニオブ粉を適当な形状に造粒した後に使用しても良いし、造粒後に未造粒のニオブ粉を適量混合して使用しても良い。造粒方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、未造粒ニオブ粉を高温真空下に放置して一体化(凝集固化)した後、解砕する方法、あるいは特定のバインダーと未造粒ニオブ粉を混合した後、解砕する方法等が挙げられる。この際、ニオブ粉とバインダーとの混練りには溶媒を使用しても良い。この場合、混練り後には乾燥して解砕する方法が採用される。
バインダーには一般的にポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が用いられる。溶媒としては、アセトン、アルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、水等から選択されたものが使用できる。このようにして造粒したニオブ造粒品は、平均粒径が300μm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは200μm〜1μmにして使用するのがよい。
本発明のニオブ粉を用いた焼結体は、前述したニオブ粉を焼結して製造することができる。例えば、焼結体の1つの製造方法として、ニオブ粉を所定の形状に加圧成形した後、1.33×10−4〜1.33×102Pa(パスカル)で数分〜数時間、500℃〜2000℃、好ましくは900℃〜1500℃、さらに好ましくは900℃〜1250℃の範囲で加熱してもよい。
次に、コンデンサ素子の製造について説明する。
本発明のコンデンサは、前述した焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成される。
例えば、ニオブまたはタンタル等の弁作用金属からなる適当な形状及び長さを有するリードワイヤーを用意し、これを前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入されるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように設計し組立てる。
コンデンサの誘電体の好ましい例としては、酸化ニオブからなる誘電体が挙げられる。酸化ニオブからなる誘電体は、一方の電極であるニオブ焼結体を電解液中で化成することによって容易に得られる。ニオブ電極を電解液中で化成するには、通常、プロトン酸水溶液、例えば0.1%りん酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブからなる誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは電解コンデンサとなり、ニオブ側が陽極となる。
本発明のコンデンサの他方の電極は格別限定されるものではない。例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体、及び無機半導体から選ばれた少なくとも1種の材料(化合物)が使用できる。
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体に、ドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
式(1)または(2)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポニフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でもポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等)が好ましい。
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10−2S・cm−1〜103S・cm−1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
他方の電極が固体の場合には、その上に外部外出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために、導電体層を設けてよい。
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムの形成等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
具体的には、例えば第二の電極上にアルミペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または後で溶接されたニオブまたはタンタルリードを有していても良い。
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィルムなどによる外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上、説明した本発明により製造したニオブ粉を用いて焼結体を作製し、その焼結体からコンデンサを製造することにより、信頼性の良好なコンデンサを得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例における粉体の含有酸素量及び含有窒素量、焼結体の容量、焼結体の漏れ電流(LC)、チップに加工されたコンデンサの容量及び漏れ電流(LC)、スパイクノイズの測定、評価方法は以下の通りである。
(1)粉体中の酸素量及び窒素量
LECO社製の酸素窒素量測定器を用いて粉体中の酸素量、窒素量を求め、別途測定した粉体の質量との比を含有酸素量と含有窒素量とした。
(2)焼結体の容量
焼結体を0.1%リン酸水溶液中80℃で200分間化成し、焼結体表面に誘電体を形成した後、室温において、30%硫酸水溶液中に浸漬させ、この焼結体と硫酸液中に入れたタンタル材の電極との間に、ヒューレットパッカード(HP)製LCR測定器に接続して測定した120Hz(ヘルツ)での容量を焼結体の容量とした。
(3)焼結体の漏れ電流(LC)
室温において、20%リン酸水溶液中に浸漬させた焼結体と、リン酸水溶液中に入れた電極との間に誘電体作製時の化成電圧の70%の電圧の直流電圧を3分間印加し続けた後に測定された電流値を、焼結体の漏れ電流値とした。
(4)チップに加工されたコンデンサの容量及び漏れ電流(LC)
室温において、チップの端子間にHP社製LCR測定器で測定した、120Hzでの容量をチップに加工されたコンデンサの容量とし、その時、定格電圧を1分間印加し続けた後に測定された電流値をチップに加工されたコンデンサの漏れ電流値とした。
(5)スパイクノイズ
コンデンサに定格電圧を印加して105℃中で2000時間放置する高温負荷試験の後、室温で定格電圧を加えて5分間記録紙に漏れ電流を連続的に記録させた時に発生する急激なノイズの有無で判断した。
なお、以下の各例において、各容量及び漏れ電流値は、各例とも20個の素子について測定した平均値を示している。
実施例1〜4及び比較例1:
ニッケル製るつぼ中に80℃で充分に真空乾燥したフッ化ニオブ酸カリウム300gとナトリウムをフッ化ニオブ酸カリウムの10倍モル量を投入し、アルゴン雰囲気中1000℃で20時間還元反応を行った。反応後冷却させ、還元物を水洗した後、95%硫酸、水で順次洗浄した後、真空乾燥した。さらに、シリカアルミナボール入りアルミナポットのボールミルを用いて35時間粉砕した後、粉砕時の不純物除去のために50%硝酸と10%過酸化水素水の3:2(質量比)混合液中に浸漬し撹拌した。その後pH7になるまで充分に水洗して真空乾燥した。作製したニオブ粉の平均粒径は、2.9μmであった。
引き続いて、ニオブ粉を1100℃、1.33×10−4Paの真空下で30分放置して取り出した後、窒素雰囲気下室温で水中解砕(商品名:アトライタ湿式粉砕器使用)して造粒粉とした。自動篩器を用いて測定した平均粒径は150μmであり、含有酸素量は12000ppmであった。
つぎに、この造粒品を容器に入れ、500ml/分の条件で窒素を流しながら、表1の比較例1及び実施例1〜4に示すように200℃〜700℃の温度範囲で条件を変えて3時間放置して窒化した。測定した含有窒素量と、含有酸素量に対する窒素量の質量比を表1に示した。続いて各造粒品を0.29mmφのニオブ線と共に成形し、おおよその大きさ0.34cm×0.18cm×0.44cmの成形体(約85mg)とした。この時、ニオブ線の6mmが成形体外部に、約3.5mmの部分が成形体内部に存在させた。
次にこれらの成形体を3.99×10−4Paの真空下、1250℃で30分間放置することにより焼結体を得た。得られた焼結体を、0.1%リン酸水溶液中で温度条件80℃にて200分間20Vで化成することにより、表面に酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。
この後、30%硫酸中での容量と、20%リン酸水溶液中にて室温で14Vの電圧を3分間印加後の漏れ電流(LC)を各々測定し、その結果を表1に示した。
同様な焼結体を各例20個作製し、化成時間を1000分とした以外は同様な条件で酸化ニオブからなる誘電体層を形成した後、30%酢酸鉛水溶液と35%過硫酸アンモニウム水溶液の等量混合液に浸漬し、40℃で1時間反応させることを20回繰り返して、誘電体酸化皮膜層上に他方の電極層として二酸化鉛と硫酸鉛の混合物(二酸化鉛94質量%)層を形成した。引き続き、その上にカーボンペースト層、銀ペースト層を順次に積層し、次にリードフレームに接続した後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量とLC値(6.3Vで1分間印加後の測定値)及び高温負荷試験後のスパイクノイズ発生数を表2に示した。また、原子吸光分析により求めた各例のニオブ粉中に含まれる元素Mの含有量(ppm単位)を表3に示した。
実施例5〜6及び比較例2:
SUS304製の反応容器に100mmφのニオブ棒を300g投入し、一度真空(7.98×10−2Pa)にして脱気した後、800℃に温度上昇させた。続いて水素を導入した後、350℃で50時間水素を導入し続けた。冷却後、水素化されたニオブ塊の一部を、鉄製ボールを入れたSUS304製の容量1リットルのポットに入れ、5時間粉砕した。さらに、この粉砕物を前述したSUS304製の反応器に入れ、再度前述した条件で水素化した。次に、SUS304製の湿式粉砕機(商品名「アトライタ」)に、この水素化物を水で20体積%のスラリー状にしたもの及びジルコニアボールを入れ、湿式粉砕した。
次いで、95%硫酸、水、30%フッ酸と50%硝酸の1:1(質量比)混合液、水で順次洗浄した後、真空乾燥することにより不純物を除いた。
乾燥した粉砕物の平均粒径は、0.7μmであった。引き続き、該ニオブ粉を950℃、1.33×10−4Paで30分放置し、取り出した後に、実施例1〜4と同様にして解砕し、平均粒径130μmの造粒粉とした。造粒粉の含有酸素量は30000ppmであった。
次に、実施例1〜4と同様な流量の窒素量で、表1の比較例2及び実施例5〜6に示すように200℃〜400℃の温度範囲で条件を変えて3時間放置して窒化した。さらに焼結温度を1050℃にした以外は、実施例1〜4と同様に成形、焼結、化成を行い容量とLC値を求め表1に示した。各例の焼結体を同様な方法で20個ずつ作製した後、同様な条件で酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。
次に、前記誘電体上に他方の電極を形成する方法として、この焼結体を1リットル/分の窒素気流中に混合したピロール蒸気に曝露させ、次いで別途用意した過硫酸アンモニウム5質量%水溶液とアントラキノンスルホン酸1質量%水溶液に浸漬した後、これを引き上げ、さらにピロール蒸気に曝露するという操作を繰り返し行った。この操作を少なくとも5回行い、ポリピロールからなる他方の電極を前記誘電体層上に形成した。その後、実施例1と同様にしてチップ型コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量、LC値及び高温負荷試験後のスパイクノイズ発生数を表2に示した。また、原子吸光分析により求めた各例のニオブ粉中に含まれる元素Mの含有量(ppm単位)を表3に示した。
実施例7〜10及び比較例3:
水素導入後のニオブ塊のポットでの粉砕時間を2時間にした以外は実施例5〜6と同様にして、平均粒径1μmのニオブ粉を得た。また、粉体の造粒時の温度を1050℃にすること以外は実施例5〜6と同様にして、平均粒径140μmの造粒粉とした。造粒粉の含有酸素量は25000ppmであった。次に表1の比較例3及び実施例7〜10に示すように200℃〜500℃の温度範囲で条件を変えて3時間放置して窒化した。さらに焼結温度を1150℃にした以外は実施例5と同様にして成形、焼結、化成、コンデンサ作製を行った。測定した容量、LC及びコンデンサでの諸数値を表1及び表2に示した。また、原子吸光分析により求めた各例のニオブ粉中に含まれる元素Mの含有量(ppm単位)を表3に示した。
表1及び表2において、実施例1〜10と比較例1〜3を比較することにより、含有酸素量に対する窒素量の質量比が1/45以上であるニオブ粉は、該粉体からコンデンサを作製した場合、コンデンサの信頼性が良好であることがわかる。
産業上の利用可能性
ニオブ粉はニオブの酸素親和力が大きく、自然酸化されるため、ニオブコンデンサは信頼性が低いものであったが、一部酸化されたニオブ粉の含有酸素量に対する窒素量の質量比を1/45以上に調整したニオブ粉をコンデンサ原料に用いることにより信頼性試験(高温負荷試験)においてスパイクノイズを全く発生しない信頼性の高いコンデンサを得ることが可能となった。
Claims (11)
- 一部酸化及び一部窒化されたニオブ粉において、含有酸素量が25000〜60000ppmであり、含有酸素量に対する窒素量の質量比が1/45以上であることを特徴とするニオブ粉。
- 含有窒素量が、1000〜9000質量ppmである請求項1に記載のニオブ粉。
- ニオブ粉が、平均粒径が0.05〜3μmである請求項1または2に記載のニオブ粉。
- 請求項3に記載のニオブ粉を造粒してなるニオブ粉。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のニオブ粉を用いた焼結体。
- 請求項5に記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されたコンデンサ。
- 誘電体が、酸化ニオブである請求項6に記載のコンデンサ。
- 酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである請求項7に記載のコンデンサ。
- 他方の電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれる少なくとも1種の材料である請求項6に記載のコンデンサ。
- 他方の電極が、有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及び
R3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機半導体である請求項6に記載のコンデンサ。 - 有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載のコンデンサ。
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